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2008年12月1日月曜日

NHK「篤姫」視聴率、自己最高の29・2%-なぜ高視聴率なのか?

ー篤姫ー


NHK「篤姫」視聴率、自己最高の29・2%
(2008.12.1 10:15 産経ニュース)
  NHK大河ドラマ「篤姫」の視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)が11月30日放送の回「無血開城」で29・2%を記録、最終回まであと2話 残してこれまでの自己最高(28・1%、10月5日)を塗り替えた。瞬間最高は午後8時33分、38分の30・8%だった。

なぜ高視聴率なのか?
■篤姫が高視聴率なわけ
なぜ、篤姫が高視聴率なのか、脚本がどうのとか、キャストがどうのという話は抜きにして、やはり世相を反映しているだろうと思います。

最 近の日本、どこをみても閉塞感ばかりです。これは、明治維新の前の日本の社会も同様だったと思います。徳川の幕藩体制が長く続き、徳川幕府の力も衰え、人 々の間に閉塞感が鬱積していたのだと思います。この閉塞感を打ち破ったのが明治維新です。そうして、これは大きな社会改革でもありました。

私 は以前このブログで、金融危機後には社会の変革や、すでに変わってしまっている社会に追いついていないインフラや、システムに関して、改革していくことが 重要であるということを掲載しました。今の時代には消費者ニーズの深耕はやめよなどという大胆なことも書きました。その現象を端的に示すのが、「大草原の 小さな家」のDVDシリーズの販売であったり、演歌の興隆であることを書きました。

幕末でも、同じことです。閉塞感はあるものの、あくま で閉塞感であり、一般の人々は何をどうしたら良いのか分からなかったと思います。この時代に人々からアンケートをとったり、人々のニーズを一生懸命汲み 取ったとしても明治維新は成し遂げられなかったでしょう。なぜなら、明治維新後の社会はそれまで日本の歴史がみたことのない未来だったからです。まさに、 「歴史がみたことのない未来」が始まったのです。

さて、私たちの今の時代も、こうした今だ「歴史がみたことのない未来」が始まりかけてい るのでしないでしょうか。明治維新は、それまでとは全く違った社会から、今日私たちが住む社会への移行の時期だったと思います。移行の時期だった ということでは現代と同じなのだと思います。多くの人の中に、無意識であれ、明治維新のような変革への期待があるのだと思います。

明治維新は多くの人々の自己犠牲 による、世界にまれに見る無血革命でもありました。そうして、これらの基礎を築いたのが、篤姫や当時の幕末の志士だったのです。また、篤姫は、維新に大きな役割を果たした薩摩藩の出身でありながら、後に徳川幕府側の人間として維新をむかえる立場になりました。こういった立場から物語をつくることにより、ぐっと大きな背景を持つ番組になることができたのだと思います。だから、こそ篤姫の視聴率があがっているのではないでしょうか?

■西欧から一つ入れ忘れたものがある?
そ うして、もう一つ私たちの社会は明治維新時の社会と非常に似ていることがあります。それは、その当時の日本が西欧からいろいろな文化を輸入したことです。 特にこれらの中で、近代的組織の導入はその後の日本を大きく変え、日本を大きく躍進させる原動力となりました。近代的組織というと、政府は勿論のこと、病 院、軍隊、役所、郵便、学校、近代的民間企業(カンパニーなど)などです。これらのものは、その当時の日本には全くなかったか、あったとしても近代的では なかったものばかりです。私たちの日本の社会は実は、今からでも西欧から導入しなければならない、大きなシステムが残されています。それは、非営利企業で す。

旧函館ロシア領事館(函館には明治時代の建築物が多く残っていて、往時をしのばせます)

明 治の先達がただひとつ入れ忘れたものそれが、NPO(民間非営利企業)です。イギリスでも、アメリカでもその当時からNPOは大きな勢力となっており、特 にイギリスなどでは盛んで、現在社会福祉と言われいるなものはほとんどすべてNPOが実施していました。さすがに、当時の幕末の志士たちも、NPOはその 時点では理解できなかったのだと思います。

なにせ、その当時の日本は、文化的には決して遅れてはいなかったものの、すべての面で立ち遅れ ていて、特に経済力、軍事力の面での遅れは大きく、まずこれらを整える必要があり、何もかも政府主導で強力に推し進めることが必要だったの と、日本の社会があまりに貧乏だったので、政府の補助金やお金持ちからの寄付で成り立つNPOなど当時の日本ではすぐに設立できるはずもなく、そこまでは目 がいかなったのだと思います。それこそ、社会福祉とか社会保障などという考え方自体が希薄だったと思います。

さて、明治維新以降の日本、細かいことは省きますが、政府機関や、民間営利企業など明治維新から始まって、 20世紀までどんどん設立されていきました。19世紀に始まり20世紀までは、まさに政府、民間営利企業が伸びた時代だったと思います。21世紀はNPOの時代になりま す。私たちは、それこそ、明治の先達が努力しして、近代的組織を日本に導入していったように、いまこそ、近代的で大規模なNPOを導入して、日本流につく りかえていく必要があります。

■現代日本の閉塞感を打ち破る有能なNPOの輩出が必要か?
先に述べた現代日本の閉塞感、今の日本では社会的な救済は、政府によるものしかないという考えによるところが大きいです。今日本人の多くが、政府に対して相当いらだっていると思います。そうして、その苛立ちは、社会問題の解決や、解消は、政府によってしかできないという思い込みがあるからです。

日本にも、NPOは、あることはありますが、今のところ、弱小なものがほとんどです。アメリカの強大な力と財力(全NPOの歳入は国家予算に匹敵)を持ち、都市計画や大きな社会問題に取り組むNPOなどまだありません。このブログにも何回か書いたように、アメリカのNPOでは低所得者向け住宅を昔から提供し続けてきて成功しているものもあります。このようなNPOには、最初から銀行や建築会社が構成員として組み込まれています。

このようなNPOは日本では皆無です。日本はもともと絆の強い立派な社会を形成してきました。そのため、過去にはあまり近代的NPOなど必要なかったのかもしれません。しかし、最近は風向きが変わってきていると思いますます。いろいろと複雑な社会問題が噴出し、既存の組織ではなかなか対応できなくなってきました。やはり、ここにきて、西欧型の近代的なNPOの本格的な導入が必要になってきていると思います。

■100人の村のモデルで述べるNPOの必要性
いまやすべての産業の生産性があがり、効率化されつつあります。話をかなり簡単にするために、日本を100人の村にたとえると、昔は、全人口の70人の人がいろいろな産業に従事してようやっと、すべての人の衣食住をまかなうことができました。残りの30人の人は子供や働けない老人、病人でした。しかし、今はすべての産業の生産性があがったために、50人の人が働いて100人全員の衣食住をまかなうことできます。それでは、50人の人のうち、老人、病人、子供以外の20人はどうなるのでしょうか?

働いてもワーキングプアになるか、生活保護などを受けて生きながらえるしかありません。こんなことでいいのでしょうか?しかも、今後老人の数が増えていきます。産業の生産性はこれかもあがり続けます。もっともっと多くの人が、ワーキングプアになるか、生活保護を受けなくてはならなくなります。昔70人で全部の村を支えていた時代には、皆が貧乏だったので互いに助け合いようやっと社会を維持できました。みんないろいろなことをしたくてもできず、我慢に我慢を重ねて社会を維持してきたのです。というより、社会を維持することで精一杯だったのです。

ここで少し考えてみてください。昔の全人口の70人が働いて、100人を養っていた時代は、日本も貧乏でした。おそらく明治維新から1960年頃までにあたるでしょう。それから以後は、50人で100人をさえられる時代になりました。経済的に余裕もでき、多くの人が個性を主張するようになりました。そうして、経済的にも恵まれるようになりました。

それこそ、昔とは違います。昔の貧乏だった時代とは違い、いろいろ社会問題にも対処していかなければなりません。基本的な人権も確保されないような我慢を村人に強いる理由はありません。そうなると、今まで仕事についていなった人々を新たにNPOを組織して就業させるのが一番だと思います。

これによって、今までは政府などによって完全に無視されてきた、というより、やろうにもできなかった重大な社会問題など解決される糸口となります。もともと、政府はインフラを整備するなどのことはできても、そのインフラの上で具体的な活動は出来ないのです。これは、有能なエリザベス朝のイギリス政府からしてそうでしたし、その後も変わらぬ真実です。このことは、皆さんも現在の日本の独立行政法人の仕事ぶりなどみて、はっきり認識されていると思います。独立行政法人の仕事が非効率なのは、何も政治家が悪人だったり、官僚が馬鹿で無能であるからではありません。もともと、できないのです。

■明治と同じように?
日本は、明治維新の時期に政府や、民間営利企業の組織を導入して、長い時間をかけてそれを日本風につくりあらため日本の独自の組織風土を築いてきました。導入先の西欧でもつい最近まで、様々な組織が構築され、それこそ、21世紀は政府と民間営利企業が世界中で日の出の勢いで生まれました。

さて、今度は、非営利民間企業の出番です。日本では、これらの作り方、発展のさせ方、また政府のバックアップの仕方などまだまだ、未熟な面があります。やはり、明治時代のように最初は海外から学ぶ必要があると思います。それには、それこそ、幕末の志士のような人たちが必要です。

知ったかぶりの官僚では、無理です。というより、明治維新直前のほんんどの日本人が近代的組織を知らなかったのと同様に、現代日本人のほんどが西欧型の近代的NPOについてほとんど知らないと思います。

最近は、幕末の志士のような方たちも生まれつつあります。今年夏に、カンブリア宮殿で大学時代はIT企業を起こし成功していた東大卒の人が、今は社会事業に挑戦していて、番組内で視聴者から「こういったNPOの事業が日本でも成り立つと思いますか?」と質問されて「私たちが、それを証明してみせます」と応えていました。頼もしい限りです。

天璋院篤姫の写真。

最近では、新卒の学生の方でもNPOに興味を持つ人が増えているそうです。今後、こういった人たちから有能な人たちが輩出してきて、それこそ、幕末の志士のようになるのではないかと期待しています。現代の篤姫はどのような人になるのでしょうか、そんな素敵な女性も現れて欲しいものです。

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