2014年7月11日金曜日

この国は俺たちのためにある そこどけ!財務省「花の54年組」4人衆のお通りだ 加藤勝信・木下康司・香川俊介・田中一穂―【私の論評】アベノミクスを完遂するために、安部総理が財務省対策の深謀遠慮を巡らしてそれを実行できなければ、この国は終わるかもしれない(゚д゚)!

この国は俺たちのためにある そこどけ!財務省「花の54年組」4人衆のお通りだ 加藤勝信・木下康司・香川俊介・田中一穂

財務省「花の54年組」4人衆 加藤勝信(左上) 木下康司(右上)
香川俊介(下右) 田中一穂(右下)

1.財務官僚にとっては予算配分の権限を広げる歳入拡大こそが至上命題
「財務省が財政の立て直しを必死で訴えて、増税に邁進しているのは、自分たちの影響力を保持するためなのです。たしかに国家財政の立て直しという大義名分がありますが、それならば歳出の削減で対応してもいい。しかし、財務省が歳出カットに熱心でないのは、政治家にも他省庁にも煙たがられるだけだから。 
それよりも増税で歳入を拡大できれば、差配できる予算が増えるため、霞が関や永田町に、より大きな影響力を行使できる。たとえ『増税の黒幕』と非難されようと、財務官僚にとっては『予算配分の権限を広げる歳入拡大こそが至上命題』というわけです」
その結果、国民がさらなる血税を搾り取られようと知ったことではない。財務省の権限が広がればそれでいいというのが、彼らの思考回路なのである。
2.財務省は見せかけの景気回復を演出し、増税につなげようとしている
「安倍政権の支持率は結局、株価頼みです。日本銀行による金融緩和も、公共事業の拡充も、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が保有する年金資金を国内株式に振り分けるのも、法人税減税も、すべて日経平均株価を上げるためと言っても過言ではない。財務省はこれらに協力することで、見せかけの景気回復を演出し、増税につなげようとしているのです」(前出・経済部デスク) 
たとえば、安倍政権は6月24日に閣議決定された「新成長戦略」で、法人税の実効税率を20%台まで引き下げる方針を示した。その代替財源として、財務省は中小企業などの赤字法人への課税の適用拡大を主張している。 
その結果、どうなるか。東証一部に上場しているような大企業にとって減税はメリットだが、雇用の8割を支える大多数の中小企業にとっては増税となる。マーケットには好影響を与えるが、地方の中小企業にとっては致命的とも言える愚策に、財務省は率先して手を貸しているのである。
3.財務省は表向きはアベノミクスに協力し、そのウラで「大増税路線」のレールを敷いている
元厚労省キャリア官僚で『財務省支配の裏側』の著書もある神戸学院大学現代社会学部教授・中野雅至氏が言う。 
「財務省は安倍政権の餌食にならないよう、したたかに戦略を練っています。安倍総理が最も嫌うのは、『財務省に操られている』と国民に思われること。財務省もそれをよく理解しているから、目立たないようにしている。余計なことをして、安倍総理に機嫌を損ねられ、消費増税が頓挫しても困るからです」 
だからこそ表向きはアベノミクスに協力し、そのウラで「大増税路線」のレールを敷いているのである。
4.財務省の増税路線を永田町からバックアップするのが加藤勝信議員
こうした路線を永田町からバックアップするのが、5月30日に発足した内閣人事局の初代局長に就任した自民党代議士の加藤勝信氏(58歳、当選4回)である。 
木下氏らと同じく、'79年に大蔵省に入省した加藤氏は、農水大臣や国土庁長官を歴任した故加藤六月氏の女婿となり、その地盤を引き継いだ。 
「'95年に退官し、政治の道に入ったが、2度落選。'03年にようやく当選しました。霞が関の価値観では、官僚が途中で退官し、永田町に行くことは『逃げた』とみなされる。そのため表舞台に返り咲いたときに開かれた同期会では、最初は微妙な空気だった。だが、彼は頭がよく人柄もいい。しっかりした人物でバランス感覚にも長けていて、今や財務省とは蜜月です」(全国紙政治部記者) 
「非常におとなしい感じに見えますがある種、『人間交差点』のような政治家です。加藤さんを介して四方八方に道路が通じている。彼が財務省出身者として政策と霞が関に精通しているのは、政権にとっても非常に大きい。昨年の消費増税の議論の最中に行われた、民間有識者からの意見聴取も加藤さんが取りまとめました」 
加藤氏が財務省の方針に理解を示し、消費増税のためのバックアップをする。かくして、「4人組」は、強力な牽引車として増税への道を突っ走る。国民に痛みを強いても、彼らがそれを省みることはない。結局のところ、財務省は自分たちの組織が生き延びればいいからだ。
5.財務省はメディアの中枢を押さえている
後藤氏が続ける。 
「財務官僚の特徴は、自分が生き延びることよりも、組織が生き延びることに重点を置くこと。だから、天下り先も含めて人材をきちんと配置していくんです。元次官の丹呉泰健さんもJTの会長に収まったし、勝栄二郎さんは、その丹呉さんに代わって読売新聞の監査役になり、真砂靖さんは日本テレビの社外取締役に。いつの間にか、新聞と電波というメディアの中枢を押さえているんです」 
歴代の先輩次官たちに天下り先を用意して、いずれは自分たちもそこに収まる腹積もりだろう。彼らの目には「国民の生活」など見えていない。
以上は要約記事です。この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】アベノミクスを完遂するために、安部総理が財務省対策の深謀遠慮を巡らしてそれを実行できなければ、この国は終わるかもしれない(゚д゚)!

上の記事の内容には、概ね賛成なのですが、一つだけ反対意見をいわせていただくと、上の要約の『1.財務官僚にとっては予算配分の権限を広げる歳入拡大こそが至上命題』において、「たしかに国家財政の立て直しという大義名分がありますが、それならば歳出の削減で対応してもいい。しかし、財務省が歳出カットに熱心でないのは、政治家にも他省庁にも煙たがられるだけだから」というくだりがありますが、この歳出削減には絶対に反対です。

デフレの最中には、積極財政をすべきであって、歳出削減はこの正反対の緊縮財政だからです。そうして、公共工事の供給制約がある現状においては、減税、給付政策が直近では最も効果があると思います。:現在日銀が、包括的金融緩和を実行していますが、減税・給付などの積極財政をすれば、再配分的な政策としてこれを実行すれば、直近で効果があり、さらにデフレから脱却しやすくなります。

デフレから脱却できれば、税収の源泉である国民所得も増え、その結果税収が増え、国家財政の立て直しに寄与することになります。しかし、増税は逆の効果をもたらします。増税により、景気がさらに落ち込み、国民所得が減り、税収は減り、国家財政の立て直しはますます困難になります。そうして、過去二回の消費税増税のときはまさに、そのようなことになり、今日の国家財政の危機を招いています。

ですらか、この点だけは、賛成できませんが、後は概ね上の記事には賛成です。

それにしても、来年の4月の10%増税が、上記のように財務省の省益だけのために実行されればとんでもないことになるのは明らかです。

それについては、以前のこのブログでも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。

この記事は、6月末のもので、高橋洋一氏の記事を紹介し、それ対して私が論評したものです
過去33年でワースト2!消費税増税がもたらした急激な消費落ち込みに政府は手を打てるか―【私の論評】総白痴化した支配層にはこんな自明の理も理解できなくなっている!中華や財務省・マスコミの陰謀があったにしても酷すぎ・・・!しかし、希望はある(゚д゚)!

この記事では、高橋洋一氏は、5月度の家計調査では、「1世帯当たりの消費支出(2人以上世帯)は27万1411円で、物価変動を除いた実質で前年同月比8.0%減った。減少幅は4月の4.6%から拡大した」「家計調査の実質消費は、東日本大震災があった2011年3月(8.2%減)以来の落ち込みだった」という結果になったことを掲載しました。

そうして、実は、この落ち込み、過去33年間のデータで見てみると。370回に1回起こるかどうかの最悪の数字であり。高橋氏はこの最悪の数字に対して、本来ならば、何らかの対策を打つべきだが、今のところ何も手が討たれていないことを懸念していました。

そうして、悪い数字は家計調査だけではありません。それに関しては、高橋洋一氏がまた新しい記事を書いています。その記事のURLを掲載します。
高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 「悪い」経済指標を無視するな 景気は「アベノミクス前」に戻った?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に要約だけ掲載しておきます。
  「5月機械受注は過去最大の減少幅」という報道があった。7月10日(2014年)に内閣府が発表した機械受注統計で、5月国内民需(船舶・電力を除くベース)は、対前月比19.5%減となった。これを受けて、内閣府は、機械受注の基調判断を「増加傾向にある」から「増加傾向に足踏みがみられる」に変更した。 
新聞報道では「6月景気ウォッチャー調査 2か月連続で上昇」と楽観的だ。しかし、この報道は指標の読み方に問題がある。これは、すごく落ちた時からの上昇であって、その前の水準には戻っていないから、消費税増税後の反動減からの回復とは思ってはいけない。 
   今年(2014年)の年末には、消費税の再増税の判断を行う。といっても、政治的には、消費税再増税は、民主党政権時代に法律も通っており「決着済み」ともいえよう(正確にいえば、10%への再増税をひっくり返すには、新たな法律を国会で通さなければいけないという意味)。 
   もし景気の落ち込みがあっても、それを逆手にとって、与党政治家は予算の増額を求めてくるだけだろう。今から、増税しないと国債暴落があると発言する政治家もいるが、「増税して景気を悪くするほうが、財政再建が遠のき国債が暴落する」というロジックは理解できるものの、政治家発言に経済的な意味はないと理解すべきだ。要するに、オレのところに予算を回せといっているだけなのだ。 
   再増税の判断は、7-9月期のGDPで判断するというが、4-6月期と比べて(前期比)プラスになっていると程度で再増税になったら悲劇だ。昨(2013)年7-9月期と比べて(前年同期比)プラスを最低条件にするべきだ。
来年の4月からの10%増税が決まってしまえば、日本は再びデフレ・スパイラルの底に沈みます。そうして、デフレ・スパイラルの底に落ち込んだことを根拠にアベノミクスによる金融緩和は効き目がないなどの頓珍漢な批判がまかりとおるようになり、金融緩和から金融引締めに転じるようなことがあったとしたらとんでもないことになります。

それこそ、この国は終わってしまうかもしれません。そうなれば、過去の20年と同じように日本はデフレから脱却できず、デフレ・スパイラルの底に沈んてしまいます。

若者雇用が極度に悪化し、賃金も下がり、何かを良くしようとして手を打てば、今度は別の何かが駄目になるという悪循環をくりかえすだけで、政府も国民も八方塞がりになり、閉塞感にさいなまされることになります。

財務省の強力なキャンペーンにより、マスコミも政治家も、昨年のように増税に走ってしまえば、大変なことになります。まさに、アベノミクスを完遂するために、安部総理が財務省対策の深謀遠慮を巡らしてそれを実行できなければ、この国は終わるかもしれません。

私自身としては、安部総理は第一次安倍内閣の失敗を踏まえて、現状ではその轍を踏まないように努力をしていることを十分に理解しています。

昨年の増税に関しても、安部総理自身は忸怩たる思いだったでしょう。そのため、今年こそは、昨年のような財務省の必死の大増税キャンペーンに負けることなく、その対抗策に関して深謀遠慮を巡らせていることと思います。

日本がこのまま再び長い間デフレの底に沈めば、まともな安全保障も不可能になり、本格的に経済力の衰えとるに足らない国になり、中国の属国に成り下がるってしまう可能性すらあります。

人民解放軍の艦船は今のところ旧式のボロ船に過ぎないが、
10年後、20年後にはどうなっていることか・・・・・・。

経済と安全保障、若者雇用戦略などは実は経済政策と密接に繋がっています。この事実が政治家やマスコミ、そうして多くの国民に理解されなければ、本当にこの国は終わってしまいます。

そうならないためには、私たちは、安部総理が悪鬼財務省対策をやりやすいように、財務省を糾弾する世論を盛り上げていくべきだと思います。

財務省も世論には弱いです。大蔵省が解体したときには、マスコミが「ノーパンしゃぶしゃぶ」問題で、大蔵省を徹底的に糾弾しました。ただし、マスコミがこうした行動に出たのは、国民がどうのこうの経済がどうのという次元ではなく、日本弱体化の一環として行ったと思います。

官僚の権威をおとしめ、国民から離反させ、結果としして日本を弱体化させるという目的があったものと思います。あれ以降確かに、官僚の権威は地に落ちました。あの当時から、マスコミは、中国様のため日本国弱体化に努力していたと思います。とにかく、日本国内で分裂や、離反を起こすことは、中国様のために多いに役立つことです。

ノーパンしゃぶしゃぶ「ローラン」の入り口

あの時は、大蔵省に対して、多くの国民が不信感を露わにしていました。だからこそ、日本最強の大蔵省解体も可能だったと思います。あの時のように世論を盛り上げていくべきです。それにしても、財務省も馬鹿ではないですから、「ノーパンしゃぶしゃぶ」の二の轍を踏むことはないと思います。

しかし、あのときのような多少下世話な内容であっても、国民が不信感を露わにするような、事柄、必死になって探せはありそうです。今から考えてみれば、あの「ノーパンしゃぶしゃぶ」接待の饗応も、国民のことなど何も考えていないから、できたということです。

今の財務省も末期の大蔵省と同じく、高級財務官僚は、省益が最優先であり、国民のことなど二の次です。頭からそう思い込んでいると、言葉の端々や、行動に出ます。その具体的な行動を見逃さないようにすべきと思います。

本来ならば、アベノミクスによるまともな経済成長により、税収を増やすことが、国民にとっても国とっても良いことなのですが、それには時間がかかります。そんなに時間がかかるより、国民生活など無視して、てっとり早く増税で予算配分の権限を広げる歳入拡大するというのが、財務省の戦略です。

しかし、実際にはこの戦略も破綻します。なぜなら、増税で一時は税収も増えるかもしれませんが、過去二度の増税によっても明らかなように、増税してしまえば、経済が落ち込み、税収が減ります。

しかし、財務省はそのことをあまり理解していないようです。安部総理が増税阻止に失敗したとしたら、景気はさらに落ち込み、その真の原因が増税であろと、露見した場合国民は離反し、かつての大蔵省のように財務省も解体されるかもしれません。本当は、来年の消費税増税は、財務省にとっても、国民にとっても良くないことです。

しかし、現実には、官僚、大多数の政治家、マスコミが束になって、安部総理の行方を幾重にも阻み増税路線を貫こうとしています。しかし、これらに対抗する世論が盛り上がれば、これらを阻止することも可能です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年7月10日木曜日

韓国を先兵に自由主義に挑む中国 北朝鮮崩壊シナリオ共有か ―【私の論評】アジア投資銀行から多額の借金している中国によるアジアインフラ投資銀行の設立など妄想に過ぎない! 韓国を先兵とする自由主義体制への挑戦は最初から頓挫する(゚д゚)!

韓国を先兵に自由主義に挑む中国 北朝鮮崩壊シナリオ共有か 

朴槿恵と、韓国を訪れた習近平

中国の習近平国家主席が韓国を訪れ、朴槿恵大統領との首脳会談が開かれた。両首脳が会うのがこの1年間で5回目という中韓の蜜月ぶりだ。

中韓両国はFTA(自由貿易協定)を今年末までに妥結するため交渉を加速させるとしたほか、中国は、自国主導で設立を目指す国際金融機関「アジアインフラ投資銀行」に韓国の参加を求めているようだ。

これは、日米などが推進しているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、自由主義国のIMF(国際通貨基金)・世界銀行体制と、その枠組み内で日本が歴代総裁を輩出しているアジア開発銀行に対する、いってみれば自由主義体制への中国の挑戦と考えられる。そこに、韓国を巻き込んでいるのが、中韓首脳会談の狙いである。

政治的に重要なこともある。習主席は中国の指導者として初めて、北朝鮮より先に韓国を訪れた。中国はこれまで、北朝鮮の後ろ盾としてサポートしてきたが、これがそろそろ終わりになるということだ。

これは今のアジアの安全保障状況を大きく変化させる。アジアでの安全保障体制は、米国による2国間同盟が基軸である。その下で、米国と日本、韓国、台湾、フィリピン各国が同盟関係になっている。

もし、本当に、韓国が中国と「同盟関係」になるなら、こうしたアジアの安全保障体制が大きく変わることになる。安全保障と自由貿易体制は互いにオーバーラップするので、韓国の意図は別として、中国としては、韓国を先兵として自由主義体制に挑んでいるのだ。

こうした中国の意図が満載された中韓首脳会談直前に、安倍晋三政権が集団的自衛権の権利行使容認を打ち出したのは、偶然ではない。日本は自由主義体制の強化というスタンスを世界に向けて打ち出したのだ。まさに、国際政治経済の駆け引きが行われている。在韓米軍の撤退方針が伝えられる中、今後の韓国の出方は大いに注意すべきだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】アジア開発銀行から多額の借金している中国によるアジアインフラ投資銀行の設立など妄想に過ぎない! 韓国を先兵とする自由主義体制への挑戦は最初から頓挫する(゚д゚)!

結論からいうと、本格的に韓国が中国と同盟関係になれば、韓国に明日はありません。完璧に中国の属国となり、いずれ北朝鮮とともに、朝鮮半島は中国の一つの省になってしまうことでしょう。おそらく、朝鮮省という名称になると思います。

それは、以前もこのブログで掲載した、中国の長期国家戦略を示す地図をご覧いただければ、一目瞭然です。


中国の長期国家戦略示す地図

中国が目指す「アジアインフラ投資銀行」の設立や韓国の同盟国化など、自由主義体制への挑戦は、無論最終的にこの中国の長期国家戦略に向けての布石であると考えられます。

しかし、この自由主義体制への中国への朝鮮はうまくいくのでしょうか?ともあれ、この銀行所詮、習近平の財布にすぎないようです。それについては、下の動画をご覧いだたければご理解いただけるものと思います。




上の動画で上念氏は語ってはいませんでしたが、11月の中国共産党3中全会で決まったアジアインフラ投資銀­行の設立趣意は、「日本とアメリカが主導しながら、日本が総裁の席を独占している現在のアジア開­発銀行(ADB)では限界があるとして、中国が主導する新しい投資銀行の設立が必要である。

モン­ゴル・北朝鮮などで道路や港湾などを建設する仕事が多いので、インフラ建設銀行を設立すれ­ば中国が500億ドル程度は簡単に出資できる。」というものです。

結局、アジア開発銀行の実­質的スポンサーである日本の意向を気にせず、自分たちの思いどおりに動かすことのでき­る財布(銀行)が欲しいということなのでしょう。

しかし、これには矛盾があります。中国が参加を呼びかけているアジア諸国(南北朝鮮、アセアン諸国)で真のスポンサーして­お金を出せる国がどこにあるというのでしょうか。

それは、実質中国以外にありません。しかし、中国は世界一の米国債の保有国ということもあるので、お金がないこ­とはないが、実はその中国がアジア開発銀行の最大の融資先であるのです。

中国がアジアインフラ投資銀行を設立したいというのであれば、先ず今までアジア開発銀行から借りたお金を返済すべきであるのです。仮に一度に返済しなくても、今後はアジア開発銀行からの融資を受けないと明言すること位はすべきです。

アジアインフラ投資銀­行の設立は、それからの話ということになるはずです。それに、中国がそのような明言をしなくても、中国がインフラ投資銀行を設立するというのなら、アジア開発銀行は、今後は投資すべきでないし、今まで投資してきた金を返却させるというのが筋です。

自分たちがアジア開発銀行からお金を借りる立場であるのにも拘わらず、その一方で、北朝鮮・モンゴルや、アセアン諸国にお金を融資したいというのは、結局習近平が自分の自由になる財布をつくりそれを元手に、投資をして利益を得たいというだけなのだと思います。

背後にそういう意図があるということです。そうでもなければ、一方では金を借りて、一方では貸すなどという矛盾を説明できません。そもそも、多額の金を借りている者が、金貸し業をするというのは理屈にあいません。

そうして、中国が自由主義陣営への対抗の先兵と見込む韓国は、アジアインフラ投資銀行への参加表明を見送っています。
韓国、中国主導インフラ銀の参加表明見送り 
中国国営新華社によると、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は中国の習近平国家主席との3日の首脳会談で、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加表明を見送った。新華社によると、習氏は「AIIBの設立などで韓国との協力を強化したい」と呼び掛けたが、朴氏は「中国がAIIB設立を提起したことを称賛する。中国と意思疎通を保ちたい」と述べるにとどめ、態度を保留した。 
AIIBは、日本や米国が主導するアジア開発銀行など既存の国際金融機関に対抗する形で、中国が主導して設立をめざしている。(中国総局)
韓国が参加を見送った、アジアインフラ投資銀行は、そもそも本当に設立できるのでしょうか。あるいは、設立したとしても、実効的な活動ができるのでしょうか。

アジア開発銀行があるというのに、習近平の隠れた意図がミエミエのこのような銀行から金を借りる国などほとんどないと思います。

それに、現在の中国、銀行を設立できるほど余裕があるのでしょうか?そもそも、現状では不動産パブル崩壊によって、中国の金融システム自体が、崩壊の危機にあります。

韓国の朴槿恵は、長期的な視野などもちあわせておらず、今は輸出先として最大の中国をもちあげていますが、中国の不動産パブル崩壊が顕著になり、金融システムの崩壊がはじまり中国経済が本格的に低下し韓国の対中国向け輸出額が激減すれば、手のひらを返したように、中国から離反すると思います。朴槿恵は頭を使わず単なる脊髄反射をしているだけです。

朴槿恵を揶揄する日本の週刊誌の誌面

それは、韓国は、日本が過去にかなり援助しても、後足で砂をかけるように国家ぐるみの反日運動にのめり込んでいったことからも十分あり得ることです。そうして、反日運動の本質は、反日により日本に対して強力な外交カードを持ち、それを笠に着て、過去のように日本から多大の援助を受けようとするが、真の目的です。

本気で、自由主義体制から抜け出し、中国の同盟国になり、自由主義体制への挑戦の先兵となり、中国の支援を仰ごうというのなら、反日などやめはしないでしょうが、二義的なものになるはずです。反日は、裏からみれば、自由主義体制の日本の支援をあてにしているということです。

アジアインフラ投資銀行の設立は所詮、習近平の妄想にすぎません。この銀行そもそも、現状では設立できないか、設立できたとしても実質的な行動などできないと思います。

上の記事にもあるように、安倍晋三政権は集団的自衛権の権利行使容認を打ち出し、日本は自由主義体制の強化というスタンスを世界に向けて打ち出しています。そうして、アジア諸国や、他の先進国などもこの動きを歓迎しています。

であれば、中国による韓国を先兵とする、自由主義体制への挑戦など、最初から頓挫したも同じではないかと思います。私は、そう思います。

皆さんは、どう思われますか?

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2014年7月9日水曜日

豪首相「日本は法の下で行動してきた」 歴史問題で批判を繰り返す中国を強く意識―【私の論評】中国と遠く離れたイギリスやドイツと違いオーストラリアは中国の脅威に直接さらされているし、中国の内情を理解し行動している(゚д゚)!

豪首相「日本は法の下で行動してきた」 歴史問題で批判を繰り返す中国を強く意識

EPA(経済連携協定)で大筋合意したオーストラリアの
トニー・アボット首相(左)と安倍晋三(しんぞう)首相

安倍晋三首相にとって7日のニュージーランドのキー首相、8日のオーストラリアのアボット首相との首脳会談は、集団的自衛権の行使を限定容認する憲法解釈変更について、1日の閣議決定後に初めて外遊先で説明する場となった。特にアジア太平洋地域の大国であるオーストラリアの支持が得られるかがポイントだったが、アボット首相は安倍首相が直接、全閣僚に説明をする場を設けるなど歓迎姿勢を示した。

「こうした会合に外国の首脳を招いたのは英国のブレア元首相以来だ」

8日の日豪首脳会談後、連邦議会内で開かれた安倍首相とアボット政権の全閣僚との会合で、アボット首相はそう語った。各閣僚は一様に「今日の議会での演説は素晴らしかった」などと安倍首相を持ち上げた。

首脳会談を受けて発表された共同声明には、日豪関係を「特別な戦略的パートナーシップ」と明記。友好国とは「戦略的パートナーシップ」とする表現が一般的だが、「日豪は通常より一段上の関係」(政府高官)との理由で“準同盟国”扱いすることになった。

アボット首相は首脳会談後の記者会見で、歴史問題で執拗(しつよう)に日本批判を繰り返す中国を念頭に「日本は1945年から一歩一歩、法の支配の下で行動してきた。日本を公平に見てほしい」と訴えた。海洋安全保障の強化を目指し、日本とハワイ、オーストラリア、インドをひし形に結ぶ「安全保障のダイヤモンド構想」を提唱する安倍首相は自信を一層深めたようだ。

【私の論評】中国と遠く離れたイギリスやドイツと違いオーストラリアは中国の脅威に直接さらされているし、中国の内情を理解し行動している(゚д゚)!

また、安部総理の外交の大勝利です。中国は、地団駄踏んで悔しがっていることでしょう。

オーストラリアは、アングロサクソン系で英語を母国語とする国でありながら、中国の海洋進出の表舞台となっている南シナ海からかなり近いです。

南シナ海から近いオーストラリア
当然のことながら、中国の海洋進出は人事ではなく、自らのこととして真摯に受け止めているものと思います。

このオーストラリア日本の南氷洋の捕鯨を国際裁判所に提訴し、日本は負けてしまったということが、ありました。しかし、この提訴は前の政権によるものであり、現政権は捕鯨問題に関しては、なるべく事を荒立てなくないという姿勢であり、前々からその配慮をうかがい知ることができました。

また、現状では、オーストラリアは中国経済に大きな影響を受ける構造になってしまっています。

これに関しては、下の資料をご覧いだければ、良くご理解できると思います。
中国要因に振り回されるオーストラリア経済
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、オーストラリアがいかに中国に依存しているか、以下のグラフを見ると明らかです。


しかし、最近では中国経済の落ち込みは明らかです、そうなるとオーストラリアは甚大な影響を受けてしまうわけです。これは、日本国内にも大勢存在する中国幻想によった人々のようであり、まさに、中国のポンジ・スキーム(投資詐欺)に載せられて多大な投資をしてしまった愚かな人々のようでもあります。

中国経済は、現実には2008年に崩壊しています。しかし、その事実を隠しポンジ・スキームで何とか切り抜け、自転車操業をしてきたというのが現実です。

しかし、もうそれも続けることはできず、経済崩壊が近づいています。そうなると、オーストラリアの鉄鋼・石炭などの鉱業関係の輸出は激減し、大打撃を受けてしまいます。

だからこそ、オーストラリアは対中国の鉱業関連輸出に依存する経済から抜けだそうと必死に模索しているわけです。

また、中国の最近の海外進出はオーストラリアにとっても脅威です。

この二つの背景を知れば、当然オーストラリアは日本との関係を深めるであろことが、予測できます。

オーストラリアは、対中国の鉱業関係の輸出に変わる輸出物、輸出先を模索しており、その対象として日本は中国を除けば最大のマーケットでもあります。オーストラリアからは、農産物などの輸出もできますし、それだけではなく、他の工業関係の部品などの輸出もできる可能性も高いです。

そうして、こうした予測のもとに、安部総理はオーストラリアを訪問し、上記のような大成果をあげることが出来たのです。

そうして、オーストラリアは良い選択をしたと思います。

こうしたオーストラリアの行動とは対象的に、ドイツ・イギリスは今の時点で中国に擦り寄っています。

これに関しては、以前もこのブログで紹介しましたので、その記事のURLを掲載します。
【脱中国元年】英、独の中国擦り寄りと反日暴動の深い意味 複雑怪奇な世界情勢―【私の論評】 対中国政策が示す日が沈むEU、日が昇る日本。すでに不退転の決意を示している日本国民!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、宮崎正弘氏の以下の論評を紹介しました。
 世界情勢は「複雑怪奇」に激変の最中である。日本人はとかく「西側同盟」と「日米同盟」が堅い絆で結ばれていると勘違いしている。国際政治の舞台裏では「昨日の敵は今日の友」「今日の友は明日の敵」である。 
 NATO(北大西洋条約機構)で団結していたはずの欧米同盟とて、中国と対立する米国に意外な方向から敵対者が出現した。何と、英国とドイツが米国に敵対 的態度を示すようになったのである。英、独は中国に異常接近し、特に、英国は金融市場で、ドイツは製造分野でこれまで以上の中国重視政策にかじ取りを変え た。 
この記事は、昨年の2月19日のものです。そうして、最近の李克強のイギリス訪問にもみられるように、イギリスの中国擦り寄りは、今も継続しているようです。ドイツも変わらずというところです。

ドイツのメルケル首相
イギリス、ドイツは、日本と中国との関係やオーストラリアの事例も知っているはずです。さらに、中国経済が破綻の淵にあることも知っているはずです。少なくとも、両国とも優秀なインテリジェンスがありますから、私が個人で知り得るよりもはるかに詳細に報告を受けているはずです。

しかし、同じ情報を受け取っても、人も国も各々の行動は異なってきます。

さて、日本との関係をより深めようというオーストラリアと、泥船中国との関係をより深めようというイギリス・ドイツ、将来的にどちらが吉とでるのでしょうか。

私は、現在の中国の状況を考えると、オーストラリアのほうが吉と出ると思います。

中国と遠く離れたイギリスやドイツと違いオーストラリアは中国の脅威に直接さらされているし、中国の内情を理解し行動しているのだと思います。直接艦艇や航空機などの危機さらされる国と、そうではない国とでは、やはり緊迫感が違うと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

これについては、その後も追跡して、新たな動きがあれば再度掲載します。

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2014年7月8日火曜日

30年以上前、現代に警鐘を鳴らした男がいた。その人の名は……【私の論評】糸井重里氏をはじめとするコピーライターはもとより、変化を厭う、変化したくないというのなら、誰もが第一線から退くべきだ(゚д゚)!

30年以上前、現代に警鐘を鳴らした男がいた。その人の名は……

今、30年以上前に作られたキャッチコピーがTwitterやネット上で話題になっています。どうして今頃になって? と不思議に思われるかもしれません。その理由は、キャッチコピーをご覧になればすぐにお分かり頂けるでしょう。



これは、雑誌『広告批評』1982年6月号に収録された作品。作者はあの有名なコピーライター、糸井重里さんです。確かにこの内容、集団的自衛権の閣議決定などが物議をかもしている最近の世相にあったものと言えます。

昔の王様は戦争の際、最前線に立って指揮を執ったり、戦ったりするのが当たり前でした。だからこそ一介の兵士の痛みが分かり、だからこそ兵たちは王を信じて付いていけたのです。命の重みというのは、自らが命を危険に晒している者にだけ理解できるものでしょう。エアコンの効いた安全な部屋では、決して命の重さは分かりません。

『まず、総理から前線へ。』  このキャッチコピーを読んで、あなたはなにを考えますか?

【私の論評】糸井重里氏をはじめとするコピーライターはもとより、変化を厭う、変化したくないというのなら、誰もが第一線から退くべきだ(゚д゚)!

上のキャッチコピーを見ていると、隔世の感がします。当時といえば、まだ冷戦時代で、米ソともに超大国で、ある意味では世界秩序は単純でした。しかし、この世界秩序も長続きはしませんでした。ソ連崩壊とともに、この秩序は崩れ、現在の世界は新たな秩序を求めて模索している段階です。

糸井重里氏

糸井氏も現在なら、このようなコピーは世には出さないでしょう。キャッチコピーは、多くの人々の耳目を寄せ付けなければなりませんが、多くの人々の反感をかってはいけないからです。現在なら、まず間違いなく反感をかってしまうことでしょう。

上のキャッチは、30年前には日本国内では、物議を醸し多くの人々の耳目を寄せ付けたにしても当然と受け止められていたと思います。ツイッターでは、上のキャッチをもじって、以下の様なキャッチが流布されています。私も、このキャッチをリツイートしました。



糸井氏のあのキャッチから30年経過した現在、特にこの5年ほどで、随分日本も変化しました。

そもそも、集団的自衛権の行使など、いくら導入したくてもできなかったのが30年前であり、この状況はこれからもずっと続くと思われていました。

それに、当時はソ連など永遠に崩壊することなどはないと考えられていたと思います。私が大学を卒業した直後にソ連は崩壊しました。大学の卒業式の時に、卒業後はJICA(国際協力機構)のボランティアをすることが決まっていた友人となぜかソ連の話になり、私が「ソ連は近いうちに崩壊する」という話をしたところ、その友人は「そんなことは絶対にあり得ない」と語っていました。

その友人は、ソ連不滅を頑なに信じていたので、私はこの話をしても無理だと思ったので、適当にお茶を濁して話題を変えました。ソ連崩壊に関しては、当時様々な情報が飛び交っており、その頃あまりものを知らなかった私でさえ、少なくとも20世紀中には崩壊すると思っていました。

この友人以外にも周りの人に話を聴いてみても、ソ連崩壊を本気で考えていた人はあまりいませんでした。

ソ連崩壊にともない撤去されたレーニン像に向かい語りかける人

しかし、現実のほうがはやく、すぐにソ連は崩壊してしまいました。

しかし、ソ連崩壊などあり得ないと大多数の人が思っていたまさにその時に崩壊したという事実を忘れるべきではありません。

いわゆる戦後体制(戦後レジーム)もあれから随分時が経っています。ソ連が崩壊し、世界秩序は随分と塗り替えられました。東欧諸国の共産主義体制もすべて崩れました。

しかし、ソ連崩壊後において結果として日本は何もしなかったためというかできなかったため、アジア地域の冷戦体制はそのまま温存されてしまいました。中国、北朝鮮の体制は何も変わらず、アジア地域の不安定要因になっています。

日本は、戦後70年もたっているというのに、未だに戦後体制(それも第二次世界大戦の戦後体制)にがっちりと組み込まれていて身動きができない状態にあるように見えます。

30年前であれば、集団的自衛権の許容などということを言い出した総理大臣は国民からも糾弾され、アメリカなどを含む第二次世界大戦戦勝国からもかなり糾弾されたと思います。しかし、もうそうではありません。

この変化を見逃すべきではありません。

いわゆる戦後体制もソ連のように、崩壊しはじめたら、意外にその完全崩壊はやくなる可能性が大です。

その、条件は揃いつつあります。まずは、ソ連は崩壊して、現在では小国になってしまったこと、アメリカもアメリカ一極体制を目論見大失敗しており、巨大な軍事費に悩まされるようになってきました。

ソ連崩壊により、ソ連の脅威がなくなった中国は、海洋に進出しつつあり、それが東シナ海や、南シナ海での衝突につながっています。

現状では、中国では、経済が破綻しかけていますし、暴動が毎年平均10万件も発生すると推定する専門家もいるくらいで、このままの状態が続けは、中国も旧ソ連と同じように崩壊すると思います。

中国の海洋進出

日本には、中国幻想によった人々が大勢いますから、これからも、ますます経済や軍事力を拡大し続けると信じて疑わない人々が大勢います。そうして、中国が崩壊したら日本もとんでもないことになると考える人も大勢いまなす。

しかし、そんなことありません。ソ連が崩壊したときを思い出して下さい。ソ連崩壊後の日本はどうだったでしょうか。ソ連に対して過大な投資をしていたなど、ごく一部の人や企業を除いてほとんど影響はなかったです。これは、ソ連崩壊をリアルタイムで経験した人は誰もが納得する事実だと思います。

ソ連が崩壊したから、経済的に困窮したとか、株で大損したとか、直接投資でとんでもないことになったなどという人はごくわずかで、大多数の人はほとんど関係はありませんでした。

ソ連がなくなって、体制が変わっても、そこには相変わらず人が住んでおり、経済活動や社会活動を続けます。体制が激変しても、人々はそれに順応し、働いて生計を立てていかなければなりません。国家体制が崩壊しても、その後に新たな国家が生まれて、新たな秩序をうみだすか、アフリカ諸地域に見られるような内戦が継続する不安定な地域になるかのいずれかです。

元々、ソ連は徐々に経済が落ち込み、崩壊直前には外部には情報閉鎖をしていたため、多くの人が知りませんでしたが、実は経済は崩壊状況になっていました。崩壊状況になっていたからこそ、国も崩壊しました。しかし、ソ連が崩壊する前から、経済は実質上崩壊していたので、その影響はあまり大きくはなかったということです。

内戦の続く国ですら、そこに暮らす人々は、窮乏するものの、それでも何らかの形で生計をたてて、地域を維持し生活を維持していかざるを得ません。確かに、その地域の人々お気の毒ですが、だからといって、日本など他の主権国家がこれに甚大な影響を被るかといえばそうではありません。

ただし、特に日本に関しては、それには二つ条件があります。それは、まず第一に旧秩序、新秩序にかかわりなく、国家主権を維持することです。第二に国民国家を維持することです。そうして、秩序を維持することです。

そのためには、今の日本は、先日もこのブログに掲載したように、短期的には、集団的自衛権行使の容認、長期的には中国に隣接する国々のランドパワー増すことです。

これについては、昨日このブログに掲載しましたので、以下のそのURLを以下に掲載します。
北朝鮮の崩壊シナリオ、米中と「二股」かける韓国…アジアの安全保障を考えれば集団的自衛権は当然だ―【私の論評】日本の安全保障は、長期的観点である中国周辺国のランドパワーの拡張と、短期的観点である正当防衛を確実にできるようにするすることが正しい選択肢である(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、マスコミがこれらのことをほとんど報道しない中、安倍政権は着々と、短期的観点である正当防衛を確実にする集団的自衛権の確保と、長期的観点である中国周辺国のランドパワーの拡張を実行しつつあります。

日本は、今のところ安全保障について正しい選択をしました。将来この選択が維持・発展されることになれば、中国が崩壊しても、日本にとっては旧ソ連の崩壊と同程度の軽微な影響しかありません。

しかし、そうでなければ、どうなるかはわかりません。それこそ、紛争の絶えないアフリカの地域のようになる可能性も十分あります。

ソ連崩壊のときは、アメリカは世界唯一の超大国であり、戦後体制は強固でしたから、日本はソ連が崩壊してもさほどの影響はありませんでした。しかし、今日では、世の中は変わり、アメリカは弱体化し、戦後体制も強固ではありません。

どちらの道を選ぶかといえば、選択の余地はないと思います。

それにしても、30年前のキャッコピーの時代とは、世界情勢も日本も随分変わったということです。しかし、日本にはまだまだ、30年前の頭から変わらない人が大勢います。

30年前から頭が変わらない人?

変化を厭う、変化したくないというのなら、第一線から退くべきです。いつまでも、若い時代の気分で、政治活動やその他の活動を続けるべきではありません。左翼であっても、右翼であっても、中間派であっても、あるいは年齢がどうであれ、30年前の頭であってはいけないはずです。時代が変わっているのですから、新たな道を模索すべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年7月7日月曜日

北朝鮮の崩壊シナリオ、米中と「二股」かける韓国…アジアの安全保障を考えれば集団的自衛権は当然だ―【私の論評】日本の安全保障は、長期的観点である中国周辺国のランドパワーの拡張と、短期的観点である正当防衛を確実にできるようにするすることが正しい選択肢である(゚д゚)!

北朝鮮の崩壊シナリオ、米中と「二股」かける韓国…アジアの安全保障を考えれば集団的自衛権は当然だ

国連加盟国同士は原則として、武力行使できない。唯一の例外が『自衛権』」による武力行使である。自衛権の中に「個別的自衛権」と「集団的自衛権」がある。

そうして、「個別的自衛権」と「集団的自衛権」はともに正当防衛であることを浅薄なマスコミは全く理解していない。

北朝鮮崩壊後は、韓国が北朝鮮を飲み込む。ただし、これで中国と接する新たな「韓国」は、中国と「同盟関係」になるということだろう。

しかし、これは今のアジアの安全保障状況を大きく変化させる。

まず現状を整理しておこう。アジアでの安全保障体制は、米国による二国間同盟(日米安全保障条約、米韓相互防衛条約、米比訪問軍隊協定、米国台湾関係法など)が基軸になっている。




ここで、ロシアのことは当面あまり考える必要はない。ロシアは歴史的にも、西で忙しいときには、東(つまりアジア方面)はおろそかになる。かつてのクリミア戦争の時もそうだが、今ではウクライナ問題があるので、極東には手が回らないからだ。

となると、基本的には、米国による二国間同盟と中国の覇権主義の争いになる。中国は、西でウイグル問題を抱えているが、今のところ国力に余裕があるので、東の海洋進出との両面作戦が可能になっている。海洋進出でぶつかるのが、日本、ベトナム、フィリピン、台湾だ。

このうち、日本、フィリピン、台湾には米国との二国間同盟(日米安全保障条約、米比訪問軍隊協定、米国台湾関係法)がある。ベトナムとの間にはない。

ドイル教授は、民主国家同士の交戦可能性が相対的に低いのは社会科学的事実だとしている。

その理由は、共通の価値観を持ってイデオロギー対立がなくなること、複数政党を背景にして議会主義的交渉能力が発達していること、マイノリティの言論の自由が保護されていること、情報がよく公開されていること、民主主義国では戦争の大義がないことなどが挙げられる。ここで、民主主義国とは、男女普通選挙、複数政党制、報道の自由の確保などが基準になっている。

この対極にあるのが一党独裁だ。日本の周りには一党独裁国家が多い。そして、民主的平和論の応用として、一党独裁国家同士は戦争になりやすい。また、一党独裁国家と民主国家の間では、時に戦争が起こる、とも言えるだろう。

これを現在のアジアの安全保障状況に当てはめると、ベトナムと中国の間で最も戦争となる確率が高い。両国は過去にもやっているが、ともに独裁国家なので、ふとしたことで戦争になりやすい。そのベトナムは、今回の日本の集団的自衛権の行使容認を事実上肯定しているようだ。対中国の観点からそうなるだろう。

ベトナムと中国のとばっちりを受けそうなのが、フィリピンである。日本と似たような平和憲法を持っている国だが、かつて米軍を追い出したツケが回っている。今は懸命にその挽回を図っており、日本の集団的自衛権の行使容認について積極的な立場であるのは当然だ。

台湾は、中国と運命的な対立関係だ。中国の憲法には、台湾は領土の一部と明記してある(前文)。そして、2005年に制定された中国の反分裂国家法は、台湾が独立宣言したら、武力制圧も辞さないと規定している。

ただし、アメリカは台湾に対し、台湾関係法で事実上の同盟関係にある。そのアメリカを後方支援するかもしれない日本の集団的自衛権の行使は、基本的には歓迎だろう。日本と正式な国交がないため公式に意見表明することはないが、民間交流が盛んなので一定の期待をしているに違いない。

そして、日本。尖閣諸島は、中国は「核心利益」と位置づけており、野心を隠さない。ただ、日米安保条約の適用対象になるとアメリカが正式に意見表明したので、とりあえず一服の状況だ。ただし、中国の一党独裁がなくなるまで、日本は潜在的な脅威を受け続けるだろう。集団的自衛権はそのための抑止力になる。

アメリカやオーストラリアも、日本の集団的自衛権の行使容認には賛成の立場である。

こうしてみると、日本の集団的自衛権の行使容認について、中国を別とすれば、韓国の否定的な反応が異様である。

韓国がこのまま中国との「同盟関係」に突き進んだ場合、アメリカとの同盟はどうなるのか。

可能性としては、二股がうまくいなくなるか、うまくいくかの二つしかない。これまでの国際社会の歴史どおり、自由主義経済と独裁社会は水と油のように混じり合わないことから、二股がうまかなくなる。後者は、韓国が何か魔法を使って、二つの体制の架け橋になることだ。筆者には、どうしても前者の予感がする。

この記事は要約です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】日本の安全保障は、長期的観点である中国周辺国のランドパワーの拡張と、短期的観点である正当防衛を確実にできるようにするすることが正しい選択肢である(゚д゚)!

上の記事で、高橋洋一氏は、以下のように述べています。
尖閣諸島は、中国は「核心利益」と位置づけており、野心を隠さない。ただ、日米安保条約の適用対象になるとアメリカが正式に意見表明したので、とりあえず一服の状況だ。ただし、中国の一党独裁がなくなるまで、日本は潜在的な脅威を受け続けるだろう。集団的自衛権はそのための抑止力になる。
だから、まずは正当防衛をより確実にできるための、集団的自衛権は確実に行使できる体制にもっていく必要がありました。正当防衛もできなければ、日本を防衛することは全く不可能です。これは、特に緊急の課題でした。

私としては、現状ではまだまだ不十分ですが、今回の安倍政権の集団的自衛権容認によって、日本の正当防衛の道が拓かれたことは多いに評価すべきことと思います。

しかし、日本の安全保障をより確かなものにするためには、上記のことだけでは不可能です。しかし、これについても、安倍政権は着実に手を打ちつつあります。

それについては、このブログでも以前解説したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!
かつての中ソ国境紛争の係争地だった黒瞎子島は今では観光地になっている
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、結局中国の海洋進出が可能になったのは、ソ連が崩壊して、小国ロシアになってから、国境溶解(中国と最も長く国境接するロシアの国境が、中国人の越境により不明確になっている状況)が顕著となり、中国にとって軍事的脅威がなくなったためであることを掲載しました。そうして、この国境溶解はベトナム・中国間でも顕著になっています。

特に、アジアの中国と国境を接する国々では、元(中国の通貨)が流通しており、最近では、対中国決済は元を用いる比率が高まりつつあります。

こうした国境溶解が、中国が海洋進出ができるようになった背景となっています。

そうしてこの記事では、以下の様な結論を掲載しました。
日本としては、これらの国々に経済援助や、技術援助、軍事援助などしてこれらの国々のランドパワーを強化することにより、中国の海洋進出の夢と野望を打ち砕くことができます。そうして、日本はデフレさえ脱却できれば、そのような支援を実施することは十分に可能です。
そうして、安部総理はこの方向に向かって、実際に行動を起こしています。まずは、特定の国々だけではなく、全方位外交の一環としてインドおよびASEAN諸国全部、モンゴル、トルコ、ロシアを歴訪しています。

そうして、これらの国々対して、支援や援助を実際に行いつつあります。

マスコミがこれらのことをほとんど報道シない中、安倍政権は着々と、短期的観点である正当防衛を確実にする集団的自衛権の確保と、長期的観点である中国周辺国のランドパワーの拡張を実行しつつあります。

マスコミや、多くの白痴自民党議員から足を引っ張られつつも着々と歩を進めています。

この二つの方向性が確実なものとなれば、日本の安全保障はより強固なものになります。

自分で脚を伸ばすのはいいですが、他人に引っ張られるのは・・・・・・

多くの白痴自民党議員がどうやって脚を引っ張っているかって? それは、いわずもがなの、消費税増税です。上の引用記事にも掲載したように、日本はデフレさえ脱却できれば、中国周辺諸国のランドパワーを増すための支援を実施することは十分に可能です。しかし、デフレから脱却できなければ、これもなかなか実施しにくくなります。

経済と、安全保障は不可分に結びついているのです。これも、日本の白痴マスコミや、白痴議員は理解できていないか、中国の意向に意図的に即しているだけです。いずれであっても、マスコミや議員の多くは、白痴体質だということです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年7月6日日曜日

東大が防衛省に協力拒否 輸送機不具合究明「軍事研究」と―【私の論評】国立大学が国の事業に協力するのはあたり前のど真ん中、国立大学の教員・事務員ともに国に協力するのが嫌なら全員辞任して、中華大学にでも行きたまえ、馬鹿(゚д゚)!




防衛省が今年5月、強度試験中に不具合が起きた航空自衛隊輸送機の原因究明のため東大大学院教授に協力要請したところ、大学側が「軍事研究」を禁じた東大方針に反すると判断し拒否したことが5日分かった。防衛省は文部科学省を通じ東大に働き掛けを強め、方針変更を促す構えだが、文科省は大学の自治を尊重し消極的。一方、教授は大学側に届けず防衛省の分析チームに個人の立場で参加しており、大学方針の実効性が問われる可能性もある。

輸送機はC2次期輸送機。離島防衛のため陸上自衛隊部隊が移動する際の主力輸送手段と想定されている。14年度末からの配備を予定していたが、2年延期された。

【私の論評】国立大学が国の事業に協力するのはあたり前のど真ん中、国立大学の教員・事務員ともに国に協力するのが嫌なら全員辞任して、中華大学にでも行きたまえ、馬鹿(゚д゚)!



東京大学は職員労組と、国の大学であるにもかかわらず、軍事研究禁止どころか産学協同にも「資本への奉仕は否定」という秘密合意をしています。その記事のURLを以下に掲載します。
東大の軍事研究禁止、職員労組と秘密合意 昭和44年、産学協同にも「資本への奉仕は否定」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より一部を以下にコピペさせていただきます。
 東京大学と同大職員組合が昭和44年に軍事研究と軍からの研究援助を禁止する労使合意を結んでいたことが14日、分かった。東大紛争時に労組の要求に応じ確認書を作成したとみられる。東大は現在も全学部で軍事研究を禁じており、憲法に規定される「学問の自由」を縛りかねない軍事忌避の対応が、労使協調路線のもとで定着していった実態が浮き彫りになった。 
 労組関係者が明らかにした。確認書は昭和44年3月、当時の同大総長代行の加藤一郎、職員組合執行委員長の山口啓二の両氏が策定。確認書では軍学協同のあり方について「軍事研究は行わない。軍からの研究援助は受けない」とし、大学と軍の協力関係について「基本的姿勢として持たない」と明記した。 
 産学協同についても「資本の利益に奉仕することがあれば否定すべきだ」との考えで一致し、そのことが文書に盛り込まれている。
 【合意文書骨子】 
 ・大学当局は「軍事研究は行わない。軍からの研究援助は受けない」との大学の慣行を堅持し、基本的姿勢として軍との協力関係を持たないことを確認する。 
 ・大学当局は、大学の研究が自主性を失って資本の利益に奉仕することがあれば、そのような意味では産学協同を否定すべきであることを確認する。 

 政府は昨年に閣議決定した国家安全保障戦略で、産学官による研究成果を安保分野で積極活用する方針を明記しており、東大をはじめ軍事研究を禁じている大学側の姿勢が問われる局面となっています。

それにしても、労使協定で国にも協力しない、民間にも協力しないなどと決めている国立大学である東京大学、それでは、そもそも一体何のため存在しているのか、存在理由が問われます。

しかし、この東京大学で、複数の教授らが平成17年以降、米空軍傘下の団体から研究費名目などで現金を受け取っていたことが今年の4月30日、分かっています。東大は昭和34年から軍事研究を、さらに42年からは外国軍隊からの資金供与も禁止して「学問の自由」を事実上、制限してきました。これまで学内の独自ルールに手足を縛られてきた研究者が反旗を翻した格好となりました。

東大はこうした評議会の確認事項を根拠に、現在でも全学部で軍事研究の禁止を続けています。

東京大学では、近年さらにおかしな動きがみられます。たとえば、以下の様な動きがあります。
東大内に「ソウル大オフィス」開設 協力を強化
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部をコピペさせていただきます。
 東京大に本年4月14日、「ソウル大オフィス」がオープンした。  
 東京大とソウル大は同日、東京大で「ソウル大学東京大事務所」(Seoul national Universi UTokyo Office)開所式に続き、オフィス相互設置開所記念シンポジウムを開いた。  
 両大学は昨年10月にオフィスの相互設置について合意している。 
 同オフィスは研究・教育の協力強化のための各種支援業務を遂行する。 
 ソウル大は冠岳キャンパスに「東京大オフィス」を用意し、年内に開所式を行う予定だ。
この動き何やらきな臭いです。今まで、こんなものがなくても十分やってこられたのに、なぜ今わざわざ東大の中に設置しなければならないのでしょうか?

この件に関する東京大学のサイトのURLを以下に掲載しておきます。
「東京大学・ソウル大学オフィス相互設置開所記念シンポジウム」を開催(本部国際企画課)

覚書調印 左からOH校長、濱田総長
上記の東大の振る舞いなかなか理解できない人も大勢いると思います。しかし、終戦直後の大学とジャーナリズムの状況を知ればこれは容易に理解できます。

その内容が記載されている書籍として、『アメリカが畏怖した日本』があります。

アメリカが畏怖した日本 真実の日米関係史 (PHP新書)

その133~135頁に以下のような記述があります。
この公職追放がいかに愚かなものであったかは、松下幸之助や石橋湛山まで引っかかったことからもわかる。それでも政界や実業界では有力な人たちが復帰したが、まったく復帰しない重要な分野が二つあった。大学とジャーナリズムだ。 
東大総長の南原繁はスターリンの意向を受けてサンフランシスコ講和条約ー日本の独立を回復させる条約-に反対したし、矢内原忠雄はクリスチャンとして立派な方だと思うが、教授の頃に「神よ、日本を滅ぼしたまえ」という趣旨の文章を書き、大学にいられなくなった。学問分野ではマルキストであった。その人が、戦後、東大に戻り、総長まで務めた。京都大学の滝川幸辰は無産党派の刑法の論文を書き、文部省から「それはまずいのではないか」といわれると、反発してやめたが、彼もまた戦後、京大に戻り、教授、法学部長、総長となった。 
一橋大学の教授、学長を務めた都留重人は若い頃に共産活動をやって、アメリカに渡りハーバードでノーマンと共に左翼活動をした経験がある、といった具合だ。 
占領軍が日本の新聞に連載させた「太平洋戦争史」を訳して出版した中屋健弐は、その序文で、「これを公正なる資料」とか「この種の文献中最高峰」とたたえた。このとき、共同通信社員だった中屋は、後に東大のアメリカ史の教授になった。 
一事が万事である。他の大学も似たりよったりで、主要大学の主な教授のうち、戦前、政府に利用価値があったような先生はみな追放され、その空席を占めたのは主として戦前の日本をひっくり返したいと思った人、コミンテルンと直接、間接的に関係のあった人たちである。彼らのいうことを聞く弟子たちが、雨後の筍のごとく誕生した新制大学の先生に送り込まれた。 
その結果、あっという間に「戦前の日本は真っ黒けの軍国主義」というとらえ方が広がった。 
ジャーナリズムも似たようなところがある。追放されたり、自分から辞職した者に代わって、「戦前の日本は悪」とする人々がポストを占め、力をもった。そして、一度「戦前の日本は悪かった」と書いてしまうと、どの新聞も取り消せなくなり、その路線をひたすら進んだ。 
「戦前の日本は悪かった」と主張して職を得た人たちを、私は「敗戦利得者」と呼ぶ。占領期が終わってもその立場は体制として固まり、教えに忠実な弟子たちがポストを受け継ぐことでー要するに敗戦利得の継承という形でー東京裁判史観を広め、定着させるシステムが形成されたのである。
「戦前の日本は悪かった」と主張して職を得た人たちである、「敗戦利得者」はいまでも、大学やジャーナリズムの世界に色濃く残っているのです。

無論、終戦直後の戦後利得者の人たちは、とうに亡くなられていますが、これらの薫陶を受けた人たたちが、継承されています。

戦後70年もの時がたっています。当時のGHQの生き残りの人たちも、未だに日本がこのような状況にあることを知って驚いているそうです。彼らからすれば、当時はあくまで臨時的な占領地法(日本国憲法)や、公職追放にすぎないものが、なぜか戦後日本では固定化されて未だに継承されています。

日本の教育機関その中でも、国立大学は、日本人の国民国家の学校であるべきです。このような、戦後利得を継承するような考えを持つ国立大学の教員・職員どもに、「国立大学が国の事業に協力するのはあたり前のど真ん中、国立大学の教員・事務員ともに国に協力するのが嫌なら全員辞任して、中華大学にでも行きたまえ、馬鹿(゚д゚)!」といいたいです。

私も、国立大学出身者ですが、理科系だったので、ほとんど影響は受けませんでした。また、教養課程で文化系の単位も取得しましたが、語学とその他は今から振り返ってみると、戦後利得者ではない先生の授業ばかり受けたので、良かったです。当時は、あまりモノを知りませんでしたが、意図せず企図せずとも、戦後利得者は忌避していたのだと思います。だから、在学中にこういうことで、嫌な思いや、不愉快な思いはしませんでした。

もし、文化系に入学していたら、場合によっては、戦後利得者の教育を受けるはめになって、卒業できなかったかもしれません。

それにしても、大学や大学院に入って、戦後利得者による教育を受けならない方々はお気の毒です。

これから人生を切り開こうという若者にそんな思いをさせてはならないと思います。

そんなことをなくすためにも、安部総理には徹底的な教育改革をして欲しいと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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