まとめ
- 西側諸国と中国との経済的結びつきが急速に弱まっている。中国からの輸出が主要国で大幅減少している。
- 中国への外国からの投資や人的交流が大きく減少し、新規投資がなくなっている。
- 金融機関は中国よりも東南アジア市場にシフトしており、中国経済の勢いの低下を示している。
- 中国の公式発表データは信用できず、実態は内外から極めて深刻な経済危機に瀕していると考えられる。
- 中国経済の世界経済におけるプレゼンスは今後さらに低下していく見通しである。
西側諸国と中国との経済的な結びつきが、想像以上の速さで弱まっている。中国からの輸出は全体で4.6%減少したが、アメリカ、EU、日本などの主要西側国に対する輸出は10%前後も落ち込んでいる。台湾、フィリピン、カナダ、ニュージーランドなど中進国向けの輸出も大幅に減少した。対照的にロシアへの輸出は46.9%も増加しているが、これはウクライナ侵攻で西側の制裁を受けたロシアが中国に依存せざるを得なくなったためだ。
外国から中国への直接投資額も2022年第1四半期の10億ドル超の資金流入から、2023年第3四半期には1億ドル超の資金流出に転じた。2023年通年でも前年比82%減少している。中国専門のプライベートエクイティファンドへの新規組入れ額も97%減少するなど、人やカネの流れが激減している。
このトレンドは一時的なものではなく、今後も中国経済の世界経済におけるプレゼンスが年々低下していくと見込まれる。ゴールドマン・サックスの責任者は中国への投資を避ける考えを示し、不動産開発、インフラ開発、輸出というこれまでの成長の3本柱が弱体化して10年は苦戦が続くと指摘した。中国のGDP統計の信頼性にも疑問を呈している。
実際、東南アジア市場から得られる収益が中国市場を上回るなど、金融機関は中国よりも東南アジアにシフトしつつある。中国の不動産バブル崩壊や地方財政の破綻など国内問題に加え、習近平政権による外資規制強化で、世界経済からの中国の切り離しが加速している。
中国政府の発表データは信用できず、民間企業は既に自主的に中国離れを進めている。内外から極めて深刻な危機にさらされている中国経済の実態を認識する必要がある。
いまのままだと、過去にこのブログでも述べたように、中国は図体が大きいだけの凡庸なアジアの独裁国家になってしまうのではないでしようか。
外国から中国への直接投資額も2022年第1四半期の10億ドル超の資金流入から、2023年第3四半期には1億ドル超の資金流出に転じた。2023年通年でも前年比82%減少している。中国専門のプライベートエクイティファンドへの新規組入れ額も97%減少するなど、人やカネの流れが激減している。
このトレンドは一時的なものではなく、今後も中国経済の世界経済におけるプレゼンスが年々低下していくと見込まれる。ゴールドマン・サックスの責任者は中国への投資を避ける考えを示し、不動産開発、インフラ開発、輸出というこれまでの成長の3本柱が弱体化して10年は苦戦が続くと指摘した。中国のGDP統計の信頼性にも疑問を呈している。
実際、東南アジア市場から得られる収益が中国市場を上回るなど、金融機関は中国よりも東南アジアにシフトしつつある。中国の不動産バブル崩壊や地方財政の破綻など国内問題に加え、習近平政権による外資規制強化で、世界経済からの中国の切り離しが加速している。
中国政府の発表データは信用できず、民間企業は既に自主的に中国離れを進めている。内外から極めて深刻な危機にさらされている中国経済の実態を認識する必要がある。
【私の論評】中国経済減速で外資流入減 急速に発展する東南アジアに投資機会
まとめ
- 外国からの中国への直接投資が大幅に減少している一方、東南アジアへの投資は増加傾向にある。
- 日本からも中国への直接投資は減少基調だが、東南アジアへの投資は増加している。
- 中国経済の減速や米中対立が、中国への投資を手控える要因となっている可能性がある。
- 今後、デジタル関連や成長を支えるインフラ分野などへの東南アジア向け投資が有望視されている。
- 一方、中国に対しては投資を抑制する要因が継続すると見られ、投資額は当面横ばい或いは減少が予想される。
外国から、中国へと東南アジアの直接投資の推移を一覧表にまとめました。以下がその表です。
参考情報
中国国家外貨管理局 https://www.safe.gov.cn/big5/
ジェトロ https://www.jetro.go.jp/
ASEAN Secretariat https://www.asean.org
こうして、一覧表にまとめてみると、確かに、外国からの中国への直接投資の激減ぶりは、衝撃的です。
以下に日本から東南アジアと中国への直接投資の推移を一覧表にまとめたものを掲載します。
2023年、日本から東南アジアへの直接投資は2年連続で増加した一方、中国への投資は2年ぶりに減少しました。中国経済の減速や米中対立の影響が中国への投資を手控える要因となっている可能性があります。
参考情報
今後の見通しとして、特に若年人口が多く経済成長が見込まれるインドネシア、ベトナム、フィリピンなどへの投資機会が有望視されています。デジタル化の進展や成長を支えるインフラ需要が、主な投資先分野となると考えられます。
一方、中国に対しては成長鈍化や対米関係の緊張など投資を抑制する要因が継続すると見られ、当面は投資額が横ばいまたは減少基調が続くと予想されます。
つまり、日本企業の海外直接投資の重心が、リスクの高まる中国から有望な東南アジア市場にシフトする動きが今後も加速していくと考えられます。
中国が今後、そうなるかどうかは、いくつかの要因次第だと思われます。
一つ目は、経済発展の行方です。確かに現在は減速が見られますが、中国経済の潜在力は大きく、適切な改革ができれば再び成長軌道に乗る可能性があります。しかし、そうならなければ、単なる人口の多い発展途上国にとどまる可能性があります。
二つ目は、政治体制の行方です。現在の一党独裁体制が長期化すれば、先進国入りは難しくなります。しかし、将来的に開放的で自由な社会への移行ができれば、先進国の仲間入りも夢ではありません。
三つ目は、イノベーション力の行方です。中国はAI、5G、量子コンピューティングなど先端技術の研究開発に力を入れています。この分野で高い成果を上げられれば、単なる製造大国から脱却できるかもしれません。
つまり、経済改革、政治改革、技術革新の三つの課題をどう乗り越えられるかにかかっているといえます。
デカップリング AI生成画像 |
経済改革の停滞
習近平政権は国営企業の改革を遅らせ、国家資本主義的な方針を強めています。民間企業への締め付けも強まっており、経済の活力が阻害されかねません。経済と政治を分離するなどの、経済改革が停滞すれば、中国経済の高度化は難しくなります。
政治的自由の後退
習政権は言論・報道の自由を弾圧し、反体制派への監視・拘束を強化しています。さらに権力の一極集中が進んでいます。これによる法治国家化の遅れによる政治的自由の後退は、創造性と革新性を阻害する要因となり得ます。
対外孤立の深刻化
人権問題や軍事的な威嚇的姿勢から、欧米諸国からの非難が高まっています。対外的な孤立が深刻化すれば、先端技術の取得や人材の確保が困難になり、イノベーション力が低下する恐れがあります。
民主化の遅れ
習政権は一党支配体制を維持し、権力の世代交代も遅れています。民主化に向けた改革が進まなければ、経済活性化や創造性の発揮が制限されかねません。このように、習近平体制が続けば、経済改革の停滞、政治的自由の後退、対外孤立、民主化の遅れなどから、中国が凡庸な独裁国家に陥るリスクが高まると考えられます。
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