2024年3月17日日曜日

最新鋭潜水艦「じんげい」就役! 海上自衛隊最新鋭潜水艦の実力とは?―【私の論評】新型潜水艦「たいげい」型で専守防衛力の飛躍的向上 - 浮き甲板で静粛性向上、リチウムイオン電池で一ヶ月潜航可能か

最新鋭潜水艦「じんげい」就役! 海上自衛隊最新鋭潜水艦の実力とは?【自衛隊新戦力図鑑】

まとめ
  • 今回就役した「じんげい」型は、「たいげい」型潜水艦の3番艦。「たいげい」型世界は初のリチウムイオン電池搭載による長期間潜航能力の実現 
  • 「そうりゅう」型の後継艦として船体構造を改良し、高い静粛性を実現
  •  新型魚雷・対地攻撃能力のあるミサイルなど、新兵装の搭載で攻撃能力が向上 
  • 女性自衛官の勤務環境に配慮した改修(専用寝室区画、仕切り設置など) 
  • 第11潜水隊の新設と「たいげい」の試験潜水艦指定による技術研究の効率化により潜水艦技術がますます高まることが期待される。
「たいげい」型潜水艦「じんげい」

 日本は、リチウムイオン電池を世界で初めて実用化した新型の通常動力潜水艦「たいげい」型を就役させている。この電池は従来の鉛蓄電池に比べ、容積当たりの蓄電量が2倍以上の大容量と高出力を実現し、潜水艦の長期間潜航を可能にした新技術である。

 「たいげい」型は、直前の「そうりゅう」型潜水艦の発展型としてデザインされた。全長・全幅はほぼ同じだが、船体の深さが若干大きくなり、排水量も増加している。外観はよく似ているが、内部では「浮き甲板」構造を採用するなど、船体構造が改良され、「そうりゅう」型以上の静粛性を実現している。

 新型兵装も搭載しており、対艦ミサイルのハープーンがBlock.2型に更新され、対地攻撃能力と射程が大幅に向上した。さらに、新型の魚雷も装備する。また、女性自衛官の勤務環境に配慮し、専用の寝室区画を確保するとともに、通路やシャワー室に仕切りを設置するなどの改修も行われた。

 就役した「じんげい」は第4潜水隊に所属するが、1番艦の「たいげい」は新編の第11潜水隊に移り、試験潜水艦に指定された。この改編により、最新鋭艦である「たいげい」を試験専用艦とすることで、技術研究の効率化が図られている。このように「たいげい」型をモデルに、日本の潜水艦技術の更なる向上が強く期待されている。

 この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】新型潜水艦「たいげい」型で専守防衛力の飛躍的向上 - 浮き甲板で静粛性向上、リチウムイオン電池で一ヶ月潜航可能か

まとめ
  • 「たいげい」型潜水艦の就役により、日本の海洋防衛力が飛躍的に強化されたリチウムイオン電池の搭載で1ヶ月以上の長期間潜航が可能になった
  • 「浮き甲板」構造の採用により、静粜性と衝撃耐性が大幅に向上した
  • 新型魚雷・ミサイルの搭載で対潜戦争(ASW)能力が大きく増強された
  • 中国の東シナ海・南シナ海進出や台湾侵攻への強力な抑止力ともなった
日本が「たいげい」型潜水艦を年1隻ずつ計画的に製造し続けていることには、主に以下のような大きな意義があります。

【防衛力の現代化と強化】
  •  日本の技術水準からすれば、陳腐化した「そうりゅう」型から「たいげい」型への更新により、潜水艦戦力全体の現代化が着実に進められている 。
  • リチウムイオン電池による長期間潜航や新型ミサイル装備など、「たいげい」型の高い能力で日本の海洋防衛力が飛躍的に増強される 。旧式の「そうりゅう」型潜水艦でも2週間前後の潜航が可能だったが、「たいげい」型ではその2倍以上、つまり1ヶ月以上の長期潜航ができるのではないかと推測される。
  • 「浮き甲板」は、船体内の甲板を外殻からゴム等で宙づりにして音が伝わりにくくする構造であり、一定の間隔を持たせて支持する。この方式により衝撃への耐性と静粛性が大幅に向上し、戦闘力の増強に寄与している。潜水艦の情報は秘密にされるため、定かではないが、現時点では「浮き甲板」構造を採用した潜水艦は日本の「たいげい」型だけである可能性が高い。
  • 潜水艦の現代化は、中国の台湾侵攻、東シナ海進出や南シナ海での実効支配に対する確実な抑止力となる
浮き甲板の模式図のスケッチ

【対潜戦争(ASW)能力の大幅な向上】 
  • 極めて静粛な「たいげい」型は、敵潜水艦捜索・追跡能力を飛躍的に高めることになる。同時に敵からは発見しにくくなる。 
  • 新型魚雷、対艦・対地ミサイルなど高い対潜戦能力を備え、統合対潜戦システムの中核として機能する。
  • これにより日本のASW能力が大幅に向上し、中国の核潜水艦増強等への有力な対抗手段となる
【地政学的緊張の高まりへの対応】 
  • 潜水艦戦力の現代化は、マラッカ海峡を守る重要な手段となり、インド太平洋の海上交通路安全確保に大きく貢献する。
  • 中国の南シナ海での現状変更の試み、南太平洋諸島への影響力拡大、直近ではモルジブとの軍事協定など、地域での脅威に対する確実な抑止力ともなる 。
  • 中国は すでに東シナ海に軍事基地を建設し、南シナ海では人工島の軍事拠点化を進めている 。
  • 日米同盟の一翼としての日本の防衛力増強に対し、中国に対する強い牽制となる。
このように「たいげい」型の装備は、日本の防衛力およびASW能力の飛躍的強化と、インド太平洋における存在感の増大をもたらすことになります。同時に、特に中国の領有権侵害の動きなどに対抗する、地域の強い抑止力となります。

日本の潜水艦技術の高まりは、さらに次の段階をめざしています。

酒井良海上幕僚長

次期潜水艦の必要要件について、酒井良海上幕僚長は3月6日の記者会見で、「まさしく今後の検討になると思っている。垂直発射型の潜水艦についても、トマホークを発射できるものを将来的に装備する。従来型の潜水艦とミサイル発射の反撃能力を発揮する潜水艦との棲み分けをどう図るか、今後の検討になると認識している。これ以上詳しくは申し上げられない」と述べました。

日本は、高度な技術力で対潜水艦戦力(ASW)を高めてきました。これは海に囲まれた日本の戦略としては、合理的であり、コストパフォーマンスもかなり高いものです。これによって、専守防衛力はかなり高まり、日本は独立を維持することが容易になりました。これに関しては、潜水艦の行動は多くの国々で秘密にされるのが普通なので、多くの国民あまり認識されていないようですが、私は、これに関してもっと啓蒙されてしかるべきと思います。

「たいげい」型潜水艦 1番艦「たいげい」

しかし、これだけでは、敵のミサイル攻撃などによる、国土の破壊を防ぐまでには至っていません。次の段階ではこれを防ぐことが大きな課題です。日本としては、潜水艦の攻撃能力をさらに高めることがこれに至る近道であると考えます。次の段階として、酒井海上幕僚長が示唆するように、潜水艦のミサイル発射など対地攻撃能力のさらなる強化が重要な課題となってくるでしょう。


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