2024年3月1日金曜日

能登半島地震から2カ月 "最大震度5弱程度以上"は10分の1に 引き続き地震活動に注意 気象庁―【私の論評】補正予算なしで大丈夫なのか?過去の教訓を忘れて今頃「政倫審」を開催する与野党の無責任

 能登半島地震から2カ月 "最大震度5弱程度以上"は10分の1に 引き続き地震活動に注意 気象庁


 能登半島での地震活動について、気象庁は、最大震度5弱程度以上の地震が発生する確率は徐々に低くなってきているものの、引き続き注意が必要としています。

 気象庁は能登半島での地震活動について、元日に発生したマグニチュード7.6・最大震度7の地震以降、地震の発生回数は緩やかに減少しているとしました。

 今後の見通しとして、最大震度5弱程度以上の地震が発生する可能性は、当初に比べて10分の1程度に低くなってきましたが、元日の地震の前と比べると依然として活発な状態としています。
このため一連の地震活動は当分の間継続すると考えられるため、引き続き強い揺れを伴う地震に注意するよう、呼びかけています。

【私の論評】補正予算なしで大丈夫なのか?過去の教訓を忘れ今頃「政倫審」を開催する与野党の無責任

まとめ

  • 過去には震度7以上の地震で補正予算を組むのが慣例だったが、政府は2024年度予算案では予備費を前年の2倍に増額し、財政支援を行う方針とした。
  • 財務省は歴史的に財政健全化を重視し、補正予算の発動には慎重な姿勢を取っているが、慣例に反して補正予算を組まないのは、岸田政権への財務省の見方が関係しているとの見解もある
  • 野党は予算成立を人質に政倫審を開催し、補正予算の審議の機会を完璧になきものにした。
  • 補正予算を組むべきとの野党の声もあったが、結局それを組まず、政倫審を開催した与野党の責任が問われるべきである。
  • 補正予算がなくても、予備費だけで能登半島地震への対応はできるだろうが、新たな自然災害おこった場合被災者や国民への支援が遅れる可能性がある。

能登半島も上の記事にあるように、今後も地震に対する警戒が必要です。昨日2月29日18時35分頃、千葉県東方沖を震源とするマグニチュード4.9の地震が観測されました。千葉県では最大震度4を観測しました。

行方不明者を捜索する航空自衛隊の災害救助犬とハンドラー

今後、今期中(三月末)までに、大きな地震や洪水などの大規模な自然災害が発生しないとは言い切れないです。

さて、それを考えると、能登半島地震に関して、補正予算を組まなかったというのはなんとも心もとないです。

震度7以上の地震が発生した際、政府が補正予算を組むことが慣例化していたかについては、特定の慣例に言及する資料はありませんが、過去に大きな地震が起きた際には、復旧や復興のために補正予算が組まれることが一般的でした。

過去の日本で発生した主要な震災に関連する補正予算の規模を調査しました。阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震に関しての補正予算の情報をまとめました。

阪神・淡路大震災に関する補正予算
  • 補正予算: 約17兆円(震災対策関連事業に16.3兆円投入されたとされています)
東日本大震災に関する補正予算
  • 第1次補正予算: 約4兆153億円(2011年度) 
  • 第2次補正予算: 約9兆9988億円(平成23年度) 

東日本大震災における災害派遣活動 23.3.26 13普連:捜索(南相馬市鹿島区南海老地区)

熊本地震に関する補正予算
  • 平成28年度補正予算: 約7780億円 
  • 令和元年度9月補正予算: 被災分を含む総額6569億円 

これらの補正予算は、震災発生後の復旧・復興に伴う直接的な需要だけでなく、インフラ復旧や災害援助、長期的な復興計画にも配分されました。政府はこれらの資金を効率的かつ迅速に活用し、被災地の復興を支援しています。

最近の能登半島地震においては、政府は補正予算を組まずに、予備費のみで対応するという異例の決定をしました。2024年度予算案の予備費を前年の2倍にあたる1兆円に増額し、財政支援を行うとしています。

予備費の増額を通じて災害復旧や復興を支援するとされていますが、予備費の使い道は限定されていないため、政府の「便利な財布」としての機能が強調されています。

無論、これによって能登半島地震のみには十分対応できると思います。

しかし、今期末(3月)から来年度(4月以降)にかけてこの記事の冒頭で指摘したとおり、能登半島でも、他の地域でも大きな地震が起こらないとは断言できません。そうなれば、すぐには対応できない場合も想定されます。

このような不安材料があるからこそ、過去の政府は震度7以上の地震が起こった場合、ほとんど例外なく補正予算を組んだのです。

無論能登半島地震の対応として予備費を最初に使用することは、流動性の高い資金運用を可能とし、緊急時の迅速な対策実施へと繋がります。そうして、補正予算の策定は、新たなリスクに備えるとともに、リスクに備えた長期的な視野を持つことができるという点で重要です。

能登半島地震に関する補正予算を組まないということは、リスク管理の観点からいえば危険極まりないといえます。大災害は、能登半島地震だけと限定することはできません、他の大きな地震や、水害などの大災害が起こらないとは断言できません。

なぜ、補正予算を組まないのかといえば、もうすでに財務省は岸田政権は用済みと考えているという見解もあります。

補正予算の編成を巡って財務省が消極的な姿勢を示しているとの報道があり、その背景には岸田政権への財務省の見方が関係しているとの見解があるようです。財務省は歴史的に日本の財政健全化に強いコミットメントを持ち、補正予算の発動には厳しい姿勢を取ることが一般的です。

財務省の財政観と補正予算予算運用の原則: 
財務省は一貫して予算運用において財政健全化を重視し、補正予算の発動には慎重な姿勢を取ります。[1]
政権との関係: 
財務省との関係は政権の財政政策や政策の推進力によって変わる可能性があり、必ずしも岸田政権のみに特有の状況とは限りません。[2]
政権の動向と財務省の対応政権の意向: 
政権が積極的に補正予算を編成しようとする動きに対して、財務省がどう対応するのかはその時の政治、経済状況によって異なります。[3]
用済み説の評価: 
いわゆる「用済み」という見方は、一部の解釈や分析によるものであり、必ずしも全ての専門家や分析者の共通の見解ではありません。
ただし、能登半島地震に関して、迅速に大規模な補正予算を組まないという方針は、過去との比較からすれば、異常事態といわざるをえません。

こうした異常事態を引き起こしている、与党に関して、これを批判しない野党も異常です。

昨日のブログのタイトルは、以下でした。
政倫審全面公開、奇策の岸田首相に「救世主」と称賛や困惑 自民党幹部「安倍派」―【私の論評】予算成立 vs 政治資金問題:どっちが国民のため!? 国民不在の茶番劇に終止符を打て!
この記事の中で、私は以下のように、野党について批判しました。
予算の審議に関しても、野党が予算の内容について岸田政権の政策の間違いを本格的に追求するというのならまだしも、ただただ、予算成立を人質にとり、最初から疑惑が晴れず、単なるみそぎやガス抜きに過ぎない政倫審を開催し、岸田政権にマイナスイメージをつけることに奔走している姿は、異様です。何のために議員をしているか、存在意義が疑われます。
昨日は、補正予算のことについても述べたかったのですが、それでは話が長くなるので、掲載はしませんでした。政倫審を開催したことにより、補正予算の審議の可能性は完璧に消えたといえます。

これを国民不在といわずして何というべきでしょうか。政倫審など予算ならびに補正予算の審議の後で実施しても何ら支障がないどころか、ほとんど無意味なものです。


無論、国民民主党の玉木代表は、「急ぐのはこの1月2月3月の対応です。ですから、政府におかれては今年度の第2次補正予算(案)の編成に着手すべきだ」と述べ、政府が来年度予算案の予備費を積み増す方針に反対し、補正予算による対応を主張しました。玉木代表は住宅が損壊した世帯への最大300万円の支援金についても、「物価高の状況を踏まえて引き上げるべきだ」と強調していました。

立憲民主党の岡田幹事長も、「補正予算で対応すべき」と政府に対して批判していることが報告されています。

しかし、結果として政倫審は開催され、補正予算の審議どころか、本予算の成立まで人質にとるという有り様です。本来なら、野党は補正予算を組まないことで、与党を吊し上げにして、補正予算を組むことを迫るべきでした。それが、本当の野党議員の仕事というものです。

そのような緊張関係があれば、政治も良くなっていく見込みがでてきます。

もし、来年度中に運悪く震災や洪水などの大災害が起きて何らかの支障がでた場合、今のタイミングで政倫審を開催した与野党に対して怒りをぶつけるべきです。無論、財務省に対しても怒りをぶつけるべきでしょう。

テレビなどのマスコミは、そうなった場合、被災者や国民などを置き去りにして、政府を叩きまくるでしょうが、間違っても、与党だけ責めるということはすべきではありません。野党も財務省をも責めるべきです。ただそのようなことにならないことを祈るばかりです。

私からすると、多くの国民が現状に対してあまり怒らないということが不思議です。実際に大災害が再び生じて、当面の予算が足りなくなったときには、すぐに補正予算を組むことになるでしょうが、最初から補正予算を組んでおけば、スムーズに対応できます。

しかし、補正予算の審議も一定の時間がかかるので、その間に被害が大きくなってしまった場合、その被害を被る可能性があるのは被災地の人々であるということ忘れるべきではありません。

他人事と思うべきではありません。日本は、地震も多いですが、洪水その他の災害も頻繁にあります。その被害を被るのはあなた自身かもしれないし、あなたの家族か親戚か知人になるかもしれないのです。

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