まとめ
- 自民党の政治資金スキャンダルで保守系議員が再結集
- 安倍派の解散で、憲法改正実現に動く議員が出現
- 総裁選を控え、岸田政権への批判と対抗馬の動きも
- 保守系議員の再編が、党内グループの再編に影響
- 安倍政権の未完の政策を引き継ぐ動きが注目される
安倍晋三氏 |
自民党が「政治とカネ」の問題で大混乱するなか、保守系議員が動きを活発化させている。安倍晋三元首相が凶弾に倒れ、安倍派が派閥解散を決めたが、憲法改正や安定的な皇位継承などを重視する議員らが結集しつつある。日本を取り巻く安全保障環境が激化する中、国家観や安保戦略の希薄化は国難を加速させかねないとの危機感がある。「安倍イズム」の継承が問われている。
高市早苗経済産業大臣は保守団結の会で講演し、セキュリティー・クリアランス制度の重要性を訴えた。高市大臣はこの制度を特定秘密保護法を補完するものと位置づけ、安倍氏の未完の課題だと強調した。最大派閥の解散で、党内のリベラル派が力を持つ中、100人近い元安倍派議員の動向が注目される。
ある中堅議員は、安倍派の政治不信を省みつつ、喫緊の安保や経済課題に取り組むためには保守系議員が改革を先導し、国民の信頼を回復する必要があると語った。9月の総裁選では、支持率低迷の岸田政権の去就が焦点で、地方組織からも「岸田の顔では戦えない」との声が上がり、対抗馬の動きもある。
このような中、保守団結の会は勉強会を継続的に開く方針だが、保守派再結集の動きともされる。また青山繁晴氏らが「政治変革会議」を立ち上げ、次期総裁選への動きを見せている。鈴木哲夫氏は、岸田の派閥解消は再編を意味し、保守系議員の再編も重要と指摘する。安倍政権の未完の政策を引き継ぐ動きが、党内のグループ再編に影響を与えると見られている。
【私の論評】政局混乱で問われる岸田政権の去就と官僚の影
まとめ
- 検察が今回の自民党派閥事件で、大物逮捕を示唆する情報リークを行った。過去の事件でも同様のリークがあり、立件が困難な今回の事件では検察の政治介入の可能性がある。
- 次の総裁選で岸田政権が続投できなければ、時の政権が検察に負けたことになり、検察の更なる政治介入の端緒となる恐れがある。岸田政権の続投が重要。
- 財務省は減税を主張する岸田政権を快く思っておらず、検察の捜査と連携し政局介入を狙っている可能性が危惧される。
- 政権を安定化させるには、次の総裁選で岸田政権を続投させる必要がある。野党も建設的な批判をすべき。
- 現在の混乱した政局での政権交代は、官僚主導のさらなる強化を招きかねない。岸田政権を一定期間継続させた上での交代が望ましい。
東京佐川急便事件でも、大物議員秘書の逮捕直前に氏名が報道されるなど、検察からの情報リークが指摘されました。
別の汚職事件でも、逮捕前からマスコミが「汚職議員」などと報じるケースがしばしば見受けられました。
今回の事件は、過去の大規模汚職事件ほど悪質ではなく、立件自体が困難だったことは当初から多くの識者に指摘されており、これは、検察が大物逮捕を示唆する情報を流し、事実上の政治介入を行った可能性があります。
東京地方検察庁特別捜査部が設置されている 九段合同庁舎 |
これを前提とした上で、次の総裁選で、岸田首相が出馬できない、あるいは出馬しても続投できない状況になるのは望ましくないと考えられます。なぜなら、それは自民党政権が東京地検特捜部に負けたことを意味するからです。そうなれば、これからも東京地検が政治に介入する端緒を与えてしまうことになりかねません。
さらに、財務省が今回の政局にどれだけ関与しているかは、不明ですが、減税を言い出した、岸田首相のことを快く思っていなかったのではないかとみられます。
東京地検の政治資金規正法に関連する捜査は、財務省にとって望ましいものだったのではないでしょうか。特に、安倍派幹部が自民党内のポストから外されたことは、財務官僚には歓迎された可能性があります。
今回の政局では、増税に反対する安倍派潰しに財務省が関与していたかどうかは定かではありませんが、政局が波乱含みとなったことに乗じ、財務省が最後にラスボスとして登場し、様々な増税策を打ち出そうとするかもしれません。
財務省と検察は定期的に交流しており、これを活用して連携し、自分たちに都合の良いように政治を操作する可能性が危惧されます。
これを防ぐためには、まず自民党内では次の選挙で岸田政権では勝てないという風潮がありますが、これを払拭し、次の総裁選で岸田首相を続投させる方向で結束するべきです。そうして政権運営を安定化させるべきです。
野党も、官僚機構の尻馬にのるような真似は避け、国民の視点に立って、自民党を批判するべきです。野党が、自分たちにも脅威となり得る検察のリークを批判しないことには大いに疑問を感じます。
これによって、官僚機構やその支援者、政権を崩壊させることを狙うマスコミへの牽制をすることにより、まずは政権を安定させるべきです。そうして、少なくとも、もう一期程度は、岸田政権を存続させるべきです。岸田政権が継続できれば、官僚主導ではなく政治主導の政治が行われているとみなすことができるでしょう。
岸田首相 |
安定した岸田政権下で、自民党議員は支持率低下の原因を考え対策をすべきです。野党も同様に、なぜ支持されないのかを考え、対策をすべきです。そうして、上の記事にもある「安倍イズム」を真摯に見直すべきでしょう。そうして、安倍政権がなぜ憲政史上最長の政権になったのかも、真摯に見直すべきです。
岸田政権崩壊を目指せば、事態はますます悪化するだけです。まず政権を安定化し、官僚機構の影響を排除した上で、次の展開を考えるべきです。
私は、その後に高市氏総理大臣誕生もあり得ると思いますが、政局が混乱したままの政権交代は誰が総理大臣になったとしても機能しない可能性が大きいです。
だからといって、岸田首相のいうことはすべて正しいとか、是認せよとかなどというつもりは毛頭ありません。私は、個人的には岸田氏は好きではありません。ただ、現在は岸田政権の崩壊によって、官僚主導の政治が台頭する危険性があることを多くの人々に認識して頂きたいのです。
自民党の議員、野党議員、国民も是々非々で批判すべきところは、批判すべきです。その上で、官僚主導の政治は絶対に廃するべきであり、その意思を貫くべきです。
選挙で選ばれてもいない官僚が政治を強力に主導すれば、いわゆる派閥政治や世襲政治の弊害どころではありません。それこそ、実質的に共産主義になってしまいかねません。この脅威に気づくべきです。
共産主義政権下で苦しむ人々 AI生成画像 |
岸田政権が一定期間存続してから政権交代する方が、官僚支配を避けられることになるでしょう。そうして、それと同時に国民の民意が尊重されるべきことはいうまでもありません。それを自民党の議員等は強く認識すべきです。短絡的な思考は、自滅を招くだけでなく、日本の政治風土をさらに悪化させることになります。
現在の混乱した政局での政権交代は、官僚主導のさらなる強化を招きかねず、当面は岸田政権を維持すべきです。
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