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まとめ
- トランプ前大統領が再選されれば、日本には大きな影響があり、政策逆転の可能性がある。
- トランプ氏は輸入品に関税をかける考えを示しており、これが日本の自動車産業に打撃を与える可能性がある。
- 中国との貿易においてもトランプ氏は強硬策を採ると予想され、対中政策では民主党との一致が見られる。
- 安全保障面では、トランプ氏が米国第一主義を重視し、日本に積極的な軍事的関与を求める可能性が高いとされている。
- トランプ政権下で日本は自力で国を守る「真の独立国」に向けた大きな機会を得る可能性がある。
もしドナルド・トランプ前大統領が再び米国の大統領になった場合、日本にはどのような影響があるのか。トランプ氏が大統領選で優位に立っている状況であるため、この「もしトラ」の問題は現実味を帯びてきている。私は、この状況が日本にとって大改革のチャンスとなると考えている。
政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」の平均値によると、2024年2月6日時点でトランプ氏は現職のジョー・バイデン大統領を2.1ポイント引き離している。個別の調査を見ても、最近ではほとんどがトランプ氏が優勢となっている。
もしトランプ氏が勝利すれば、バイデン政権が進めてきた政策の相当部分が覆されることは避けられない。
例えば、トランプ氏は「米国への輸入品に一律10%の関税を課す」と公言しています。日本が輸出する自動車に10%の関税が課されれば、自動車メーカーにとっては打撃となるだろう。
ただし、ノーベル賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマン氏は「それでも米国の貿易赤字は解消しない」と指摘している。高額な輸入品を購入することを強いられる米国の消費者にも不利な影響があるとされており、実際にどのような結果になるかは不透明だ。
中国との貿易に関しては、ワシントン・ポスト紙が「トランプ氏が60%を超える関税を課す可能性がある」と報じ、トランプ氏自身もFOXの番組で「それ以上になるかもしれない」と述べている。また、「最恵国待遇」という他国との差別しない原則を取り消す可能性も噂されている。
対中強硬策は、民主党との一致点が少ない中で唯一一致する分野だ。米中経済の切り離し(デカップリング)は、前政権よりも一層進むだろう。
日本にとって最も重要な問題は安全保障だ。
中国の習近平政権は、台湾への武力侵攻を選択肢として捨てていない。武力行使に至らなくても、臨検や海上封鎖などの措置を取る可能性がある場合、トランプ氏はどのような行動を取るのだろうか。
トランプ氏自身は具体的な対応策について明言は避けているが、日本に対しては「積極的な軍事的関与を求める可能性が非常に高い」と考えられている。なぜなら、トランプ氏の最重要課題は「アメリカ・ファースト」だからだ。
アメリカを最優先する考え方を日本に当てはめると、「台湾を失うことで日本が深刻な打撃を受ける」という結論になります。そのため、「日本が台湾の防衛に全力を尽くすべきだ」という考え方が生まれるのだ。
これは大きなチャンスだ。
第2次トランプ政権は、日本が「アメリカの従属国」の立場から脱却し、自力で国を守る「真の独立国」に近づく機会をもたらすだろう。バイデン政権の下で防衛費増額に踏み切った岸田文雄政権だが、「トランプ復活」の場合、それだけでは足りないかもしれない。台湾の防衛のために、憲法改正を求める可能性もあるだろう。実際、2016年には日本と韓国の核武装についても言及していた。
この状況は大きなチャンスだ。第2次トランプ政権が実現すれば、日本は他国に頼らずに自ら国を守る能力を高めることができるだろう。
政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」の平均値によると、2024年2月6日時点でトランプ氏は現職のジョー・バイデン大統領を2.1ポイント引き離している。個別の調査を見ても、最近ではほとんどがトランプ氏が優勢となっている。
もしトランプ氏が勝利すれば、バイデン政権が進めてきた政策の相当部分が覆されることは避けられない。
例えば、トランプ氏は「米国への輸入品に一律10%の関税を課す」と公言しています。日本が輸出する自動車に10%の関税が課されれば、自動車メーカーにとっては打撃となるだろう。
ただし、ノーベル賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマン氏は「それでも米国の貿易赤字は解消しない」と指摘している。高額な輸入品を購入することを強いられる米国の消費者にも不利な影響があるとされており、実際にどのような結果になるかは不透明だ。
中国との貿易に関しては、ワシントン・ポスト紙が「トランプ氏が60%を超える関税を課す可能性がある」と報じ、トランプ氏自身もFOXの番組で「それ以上になるかもしれない」と述べている。また、「最恵国待遇」という他国との差別しない原則を取り消す可能性も噂されている。
対中強硬策は、民主党との一致点が少ない中で唯一一致する分野だ。米中経済の切り離し(デカップリング)は、前政権よりも一層進むだろう。
日本にとって最も重要な問題は安全保障だ。
中国の習近平政権は、台湾への武力侵攻を選択肢として捨てていない。武力行使に至らなくても、臨検や海上封鎖などの措置を取る可能性がある場合、トランプ氏はどのような行動を取るのだろうか。
トランプ氏自身は具体的な対応策について明言は避けているが、日本に対しては「積極的な軍事的関与を求める可能性が非常に高い」と考えられている。なぜなら、トランプ氏の最重要課題は「アメリカ・ファースト」だからだ。
アメリカを最優先する考え方を日本に当てはめると、「台湾を失うことで日本が深刻な打撃を受ける」という結論になります。そのため、「日本が台湾の防衛に全力を尽くすべきだ」という考え方が生まれるのだ。
これは大きなチャンスだ。
第2次トランプ政権は、日本が「アメリカの従属国」の立場から脱却し、自力で国を守る「真の独立国」に近づく機会をもたらすだろう。バイデン政権の下で防衛費増額に踏み切った岸田文雄政権だが、「トランプ復活」の場合、それだけでは足りないかもしれない。台湾の防衛のために、憲法改正を求める可能性もあるだろう。実際、2016年には日本と韓国の核武装についても言及していた。
この状況は大きなチャンスだ。第2次トランプ政権が実現すれば、日本は他国に頼らずに自ら国を守る能力を高めることができるだろう。
【私の論評】日本の真の独立を促すとみられる、トランプ外交の真実
まとめ
トランプ氏が大統領になる直前にマスコミは、外交経験のないトランプ氏の外交を危ぶむ声が多かったのですが、現実はそうではありませんでした。トランプ氏の外交を以下にふりかえっておきます。
まとめ
- トランプ政権は中国に対する強硬姿勢やイスラエル・アラブ諸国の和平交渉成功、ISISへの迅速な対応、COVID対策の渡航制限などで外交で成果を上げた。
- バイデン政権は中国に対してソフトな態度を取り、イラン核合意やパリ協定への再参加を模索するが、批判も受けている。
- トランプ政権はNATOの防衛費増額要求やロシアへの軍事力強化で国際的な安全保障に影響を与えた。
- バイデン政権は価値観外交を推進し、外交において硬直した姿勢が目立つ。批判もあり、外交政策の一貫性が問われている。
- 第2次トランプ政権が実現すれば、日本は従属から脱却し、自立国としての機会を得る可能性が高まる。
習近平 |
以前もこのブログに掲載したことですが、トランプは中国に対して強硬路線をとり、不公正な貿易慣行に対処させた最初の大統領です。バイデンはすでにトランプの関税の一部を撤回し、中国に対してよりソフトな態度をとっています。
トランプの政策は功を奏し、中国に交渉を迫っていたのですが、バイデンの弱腰は中国を増長させることになるでしょう。
トランプはイスラエルとアラブ諸国との歴史的な和平交渉を仲介しました。バイデンはすでにイスラエルとアラブ諸国関係を緊張させています。トランプは、何十年もの間、他国から遠ざかっていた中東での外交的突破口を開き、懐疑論者が間違っていたことを証明しました。
トランプは記録的な速さでISISのカリフ制国家を壊滅させました。ISISはオバマ-バイデン政権下で急成長し、トランプはその混乱を一掃しなければなりませんでした。トランプは軍を解き放ち、ISISを迅速に粉砕し、イスラム過激派のテロに対する強さを示しました。
バイデンは、イラン核合意やパリ協定といった不公正な取引に再び参加しようとしています。トランプは、米国に不利なこれらの取引から当然のごとく脱退しました。
バイデンは、これらの取引に再び参加することで、影響力を失い、見返りも何も得られないでしょう。
トランプはメディアからの批判にもかかわらず、COVIDの蔓延を遅らせる渡航禁止措置をとりました。バイデンはこの禁止措置を「外国人嫌い」と呼びましたが、賢明な措置であることが証明されました。
バイデンの政策がボリティカル・コレクトネスによって推進されているように見えるのに対して、トランプは命を救う可能性の高い厳しい決断を早期に下しました。
バイデンやオバマのより伝統的な政治的アプローチよりも、トランプの堂々とした「アメリカ・ファースト」政策がより良い結果を生んだことは明らかです。それは、米国にとってもその同盟国にとってもそうでした。
メディアはトランプを脅威として描いていますが、彼の政策は世界における米国の地位を強化し、敵対国に責任を負わせ、外交政策で大きな勝利を収めました。トランプの外交は、世界の舞台で米国の影響力を低下させるバイデンの外交よりはるかに優れています。全体として、トランプ氏のリーダーシップのほうが、米国とその同盟国はより安全で安心できる環境をもたらしたといえます。弱い米国は、米国だけではなく、日本含む同盟国にとっても不利益をもたらすのです。
バイデン氏は政治家として外交経験も豊富なので、トランプ政権からバイデン政権に変わったとき、多くの識者は、トランプよりはバイデンのほうがまともな外交をするだろうと、安堵の声を漏らす向きも多かったのですが、現実はどうだったでしょうか。バイデン外交は失敗続きだったといっても過言ではありません。
バイデンが副大統領をつとめたオバマ大統領は外交経験に乏しく、外交の中心はバイデンが担っていました。ところが、オバマ政権で国防長官だったロバート・ゲイツはバイデンについて「過去40年、ほぼ全ての主要な外交、国家安全保障問題で間違っていた」と回顧録で切り捨てています。
「誤り」として挙げられるのはイラク戦争への対応のほか、国連決議に基づいていた1991年の湾岸戦争への反対、2011年のイラク撤退でテロ組織の台頭を許したと批判されていること、アフガニスタンへの増派反対などがあります
米企業公共政策研究所の外交政策専門家コリ・シェイクも、バイデン外交について「軍事力をいつどのように使うかという一貫した哲学に欠けている」と米誌アトランティックへの寄稿で批判しています。
バイデンが大統領になってからは、価値観外交を推進し、それが故に硬直した外交姿勢になっている面は否めません。トランプは元々実業家であり、物事を流動的にとらえ、実利の面からものごとをとらえる傾向があるため、特定の政治信条にとらわれることはありません。
一方、米国は2021年8月の米軍アフガニスタンからの撤退そのものは正しい判断ではありましたがそれにしても、撤退の仕方そのものは失敗でした。、ロシアのウクライナ侵攻の直前には、米軍は直接介入はしないとわざわざ公表し、プーチンに免罪符を与えたものと勘違いされ、結局ロシアを後押ししてしまったといわれても仕方ない状況をうみだしました。
「誤り」として挙げられるのはイラク戦争への対応のほか、国連決議に基づいていた1991年の湾岸戦争への反対、2011年のイラク撤退でテロ組織の台頭を許したと批判されていること、アフガニスタンへの増派反対などがあります
米企業公共政策研究所の外交政策専門家コリ・シェイクも、バイデン外交について「軍事力をいつどのように使うかという一貫した哲学に欠けている」と米誌アトランティックへの寄稿で批判しています。
バイデンが大統領になってからは、価値観外交を推進し、それが故に硬直した外交姿勢になっている面は否めません。トランプは元々実業家であり、物事を流動的にとらえ、実利の面からものごとをとらえる傾向があるため、特定の政治信条にとらわれることはありません。
大統領専用機のタラップを降りるバイデン大統領 |
「もしトラ」が現実になれば、トランプはバイデンとは異なり、現実的で流動的な政策を実行するでしょう。
2018年のトランプ大統領の欧州訪問で北大西洋条約機構(NATO)の首脳会談に出席したトランプ大統領は、NATOの欧州側加盟国に防衛費の増額を強く要求しました。加盟各国は最低限、GDP(国内総生産)2%の防衛費支出をするという約束を守れ、という要求でした。
トランプ氏のこの要求は、NATOを壊す動きだとして広く報道されました。トランプ氏はきわめて衝動的であり、米欧同盟の破壊につながるという批判もおおくありました。
しかし実際には、トランプ氏は「NATO諸国の防衛費負担の増大」を2016年4月の大統領候補として初の外交演説で第1の公約として挙げていました。当時から一貫して変わらない「公正な負担を」という政策なのです。これは国民から広く支持を得ている政策であり、オバマ前政権もこの政策を推していました。
また、トランプ大統領は「NATO体制の維持と強化」も政策として掲げてきました。2017年末から今年初頭にかけてトランプ政権が発表した「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」でも、大統領として明言しています。米国が主体となって進めるNATOの維持や強化は、今回のNATO首脳会議での共同声明でも確認されました。トランプ大統領はNATO堅持を主張した上で公正な負担を求めたのです。
ロシア政策にしても、トランプ大統領は前記の「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」の中で、ロシアをはっきりと米国主導の国際秩序を侵食し、破壊することを企図する危険国家として位置づけてきました。トランプ大統領はプーチン大統領と握手はしても、ロシアのクリミア奪取を許してはいませんでした。ロシアへの経済制裁もまったく緩めませんでした。
トランプ氏のこの要求は、NATOを壊す動きだとして広く報道されました。トランプ氏はきわめて衝動的であり、米欧同盟の破壊につながるという批判もおおくありました。
しかし実際には、トランプ氏は「NATO諸国の防衛費負担の増大」を2016年4月の大統領候補として初の外交演説で第1の公約として挙げていました。当時から一貫して変わらない「公正な負担を」という政策なのです。これは国民から広く支持を得ている政策であり、オバマ前政権もこの政策を推していました。
また、トランプ大統領は「NATO体制の維持と強化」も政策として掲げてきました。2017年末から今年初頭にかけてトランプ政権が発表した「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」でも、大統領として明言しています。米国が主体となって進めるNATOの維持や強化は、今回のNATO首脳会議での共同声明でも確認されました。トランプ大統領はNATO堅持を主張した上で公正な負担を求めたのです。
ロシア政策にしても、トランプ大統領は前記の「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」の中で、ロシアをはっきりと米国主導の国際秩序を侵食し、破壊することを企図する危険国家として位置づけてきました。トランプ大統領はプーチン大統領と握手はしても、ロシアのクリミア奪取を許してはいませんでした。ロシアへの経済制裁もまったく緩めませんでした。
トランプ政権のロシアへの基本姿勢は、軍事力の強化によっても明らかだったといえます。トランプ大統領は2017年9月の国連演説で「原則に基づく現実主義」という理念を掲げ、国家主権に基づく「力による平和」という政策を語りました。それとともに、潜在敵であるロシアや中国の膨張を抑えるために、軍事力を大幅に強化し始めました。トランプ政権の2018年度の国防予算は、前年度から13%増加し、GDPの4%ほどに達しています。
今日ロシアがウクライナに侵攻したことを考えると、トランプのこうしたNATOへの働きかけは正しかったといえます。
しかし、「払わないと駄目」という発言からもわかるように、これはNATO堅持を主張した上で公正な負担を求めた従来の姿勢を崩していないと受け取るのが妥当だと考えられます。
このようなトランプ氏です。もし大統領になった場合、中国に対する不沈空母ともいえる日本を堅持するする姿勢は崩さないでしょうが、日本も応分の対応を求めてくるでしょうし、場合によっては、日本政府の親中・媚中的な姿勢にも苦言を呈するかもしれません。
長谷川氏の主張するように、第2次トランプ政権は、日本が「アメリカの従属国」の立場から脱却し、自力で国を守る「真の独立国」に近づく機会をもたらすことになる可能性は高いです。
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