2024年2月14日水曜日

【独自】食用コオロギの会社が破産…その真相とは 経済ジャーナリストが分析「SDGsというきれい事だけではビジネスはできない。ベンチャー投資ブームが終わった」―【私の論評】SDGsに煽られて、身を誤ったり、時間を無駄にすべきではない理由

【独自】食用コオロギの会社が破産…その真相とは 経済ジャーナリストが分析「SDGsというきれい事だけではビジネスはできない。ベンチャー投資ブームが終わった」

まとめ
  • 長野県のクリケットファームが3年で倒産
  • 食糧危機解決を訴えながら、需要見込み過大だった
  • コオロギ食はSDGsの観点から注目されたが、実需少なく時期尚早
  • 内田氏はビジネスモデル未成熟と分析、イノベーション志向は評価

クリケットファームのウェブのトップページ

 長野県茅野市に工場を構える食用コオロギ会社のクリケットファームが、設立からわずか3年で倒産手続きを開始した。同社は世界的な食糧危機を訴え、コオロギを食用とすることで動物性タンパク質の新たな選択肢を提案する使命を掲げていた。 

 同社のコオロギパウダー入り製品は茅野市や岡谷市のふるさと納税の返礼品に採用され注目を集め、テレビ番組でも取り上げられるなど期待が高まっていた。しかし、2023年12月の家賃未払いをきっかけに2024年1月に倒産。親会社を含めた負債総額は2億4290万円に上った。

 コオロギ食への需要は限定的で、形状への嫌悪感も根強く、地域住民からは「まだ時期尚早」との冷めた見方も出ている。コオロギ食はSDGsの観点で注目されたが、実際にはビジネスとしてまだ未成熟な部分が多かった。

 経済ジャーナリストの内田氏は、クリケットファームのケースは「SDGsのきれいごとだけでは実現困難な部分があった」「ベンチャー投資環境の変化」の2点が重なった事例と分析。イノベーションへのチャレンジは評価するものの、需要予測の甘さとビジネスモデルの未成熟が倒産の原因と見ている。

 コオロギ食への注目度は海外に比べて低く、味覚的心理的ハードルは予想以上に高いことが裏付けられた形だ。食の分野でイノベーションを起こすには、単なる理念だけでなく、世の中の受け入れ態勢を見極める必要性が示唆された事例だと言えそうだ。

 この記事は元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】SDGsに煽られて、身を誤ったり、時間を無駄にすべきではない理由

まとめ
  • コオロギの大量生産には大規模な施設と設備が必要で、コスト面での困難が予想される
  • コオロギの個体サイズが小さいため、大量飼育には膨大なスペースが必要となる
  • 食料危機対策としては、まず食品ロスの削減が先決課題であるべきであり、海洋資源の利用は、鯨や魚介類の海洋牧場での養殖などによって有望
  • コオロギ食の先進国主導の急速な推進は、発展途上国の事情への配慮が不足している
  • 食品ロスは日本を含めてアジアは少なく、SDGsに惑わされることなく、日本の状況に合った食料対策を考えるべき
このようなことになるのは、当初から十分予想されたものでした。これについては、以前このフログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
コオロギ粉末を使用したパンを発売 「コオロギ食べない連合」がSNSトレンド入り―【私の論評】日本では食品ロス対策、鯨等も含む海洋資源の有効利用を優先すべき(゚д゚)!

ブログ管理人が大学の施設で継代飼育した沖縄の星コオロギ 背中に特有の斑点がある(赤線点内)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の【私の論評】の部分の要約を以下に掲載します。

私が大学生の時にコオロギの研究用試料としてのコオロギの飼育経験がある。その立場から最近注目されているコオロギを食用とすることについて、技術的にも経済的にも課題が多いことを指摘した。

コオロギを実験用の飼料として飼育するのではなく、産業ベースで大量に飼育・生産するためには、大規模な施設と設備が必要となり、コストがかかりすぎる。コオロギの個体のサイズが小さいことが課題で、単純計算では牛1頭分のコオロギを生産するだけでも体育館程度のスペースが必要と指摘した。

食料危機解決にはまずは近年問題視されている食品ロスの削減が優先されるべきであると指摘した。また、海洋資源の利用可能性にも言及し、鯨や魚介類の海洋牧場での養殖が期待できるとした。

加えて、コオロギ食の急速な普及が先進国主導で進められており、発展途上国の事情への配慮が欠けていると批判。拙速過ぎる展開はかえって食料事情を悪化させかねないと指摘した。

コオロギ食の技術的困難さ、経済的非効率性、推進のあり方の問題点を多角的に指摘した。

詳細は、この記事を参照していただくものとして、コオロギの1個体が少なくとも、豚くらいのサイズがあれば、産業ベースにのせられるでしょうが、最初から無理な話だったのです。

シラスやシラウオなどの個体の小さなものでも、市場に流通していますが、それを主食とか、主要なタンパク源にするわけではなく、珍味等として昔から愛好されているから事業として成り立つのですが、コオロギは違います。コオロギのような身近な昆虫が珍味等になりえるものであれば、SDGsなどとは無関係にとうに流通していたはずです。どう考えても事業としては成り立つものではなかったのです。

シラス(左)とシラウオ(右)

クリケットファームの従業員は何と一人です。先程、述べたように私は学生の頃、コオロギの継代飼育をしていたと述べましたが、大学生と院生の二人で行っていました。実験などの片手間で、一週間に一回餌や水を供給し清掃するだけで、手間はさほどかかりませんでした。温度・湿度は一年中一定に保っていました。専任の飼育係がいれば、飼育は十分にできると思います。

すべて一人で賄ってきたからこそ、今まで操業してこられたのでしょうが、一人で操業してですら、継続できなくなったというのですから、やはりコオロギ事業は、全く成り立たないものなのでしょう。

大手でも参入している企業もありますが、これは本業があって、片手間に実施するから成り立っているのであり、これそのものが事業として成り立っているところはないでしょう。

皆さんもSDGsなる言葉に煽られるのはやめましょう。食品ロスも日本を含むアジアは少ないです、多いのは特に米国です。これに煽られて日本国内で一生懸命になって、なにかをしようとして、無駄な失敗をするべきではありません。まともなビジネス感覚を持って、まともなビジネスをすべきです。

日本では、SDGsの関連法もありますが、罰則はありません。罰則のない法律は、ほとんど意味がありません。SDGsは当たり前のことなので、誰も反対できないです、誰も反対しないことは法律にもしやすいです。

滑稽な意識高い系の人 AI生成画像

SDGsなど日本では元々「もったいない」という言葉があるほどで、結局日本では、資源を大切にすることは、SDGs以前からいわれてきた当たり前ことです。にもかかわらず、SDGsを日本国内声高に叫ぶ人は、訓垂れたい人の格好つけとしか私には見えません。

意識高い系(本当に意識の高い人ではなく、意識が高いとみせかける人こと)の人の戯言にしかみえません。あるいは、SDGsにかこつけて金儲けをしたいとしかみえません。SGDsの理念そのものは、当たり前過ぎるほど当たり前であり、その理念は美しく格調高く表現されており、これには誰も反対できません。訓たれて気持ち良くなるだけなら、無害だと思います。

しかし、これは様々な人たちに悪用されやすく、それこそ公金チューチューにも利用しやすいということで、たちが悪いと思います。

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