2023年12月25日月曜日

フーシ派はなぜ、紅海での船舶攻撃を続けるのか―【私の論評】バイデン政権のフーシ派外し決定が招く中東危機:弱さから生まれた新たな脅威

フーシ派はなぜ、紅海での船舶攻撃を続けるのか

岡崎研究所

まとめ
  • 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はバイデン政権がフーシ派をテロリストから除外したことは戦略的失敗としている。
  • バイデン政権は、フーシ派のようなイラン代理勢力に対して十分な強い姿勢をとっていない。
  • イランの支援を受けたフーシ派が紅海で商船を攻撃し、米海軍が介入した。
  • バイデン氏のイランとその代理勢力に対する宥和政策は、彼らを勇気づけた。
  • この抑止力の欠如は、さらなるエスカレーションと米国の利益への損害につながるだろう。
BP(旧ブリテッシュペトロリアム)の石油タンカー

 ウォールストリート・ジャーナル』紙の12月3日付社説は、バイデン政権がフーシ派を外国テロ組織リストから外したことを取り上げた。この動きは、イランとの関係改善を促進する試みの一環である。しかし、社説はこの決定を、フーシ派による最近の商船と米艦船への攻撃と結びつけて強く批判した。社説によれば、この攻撃は中東におけるイランの代理勢力を抑止するための政権の戦略の失敗を意味する。

 フーシ派はイランから武器と訓練の支援を受けており、紅海で商船への攻撃を行ったとされる。この侵略行為は、イランの革命防衛隊による制裁の一環であると考えられ、この地域における米国の軍事的利益と同盟国を標的にしたパターンの一部と見られている。

 社説は、バイデン政権が中東での紛争激化を懸念して、このような挑発行為に断固として対応しようとしないのは、その抑止アプローチの重大な失敗を意味すると主張している。警告を発し、フーシ派をテロ組織として再登録することを検討したにもかかわらず、攻撃は続いた。

 社説は、イランとその代理勢力に対するより強固な態度がなければ、挑発的な行動はさらにエスカレートし、米国の利益に大きな損害をもたらす可能性があることを強調し、米国がより毅然とした態度をとるよう求めている。さらに、シリアとイラクにおける米軍の交戦規定による制約を指摘し、米側に死傷者が出ない限り、報復攻撃は制限される可能性があることを示唆している。

 フーシ派の後ろ盾のイランのこの過去の行動を考えると、イスラエルの船に紅海を利用させないと言いつつ、フーシ派の真の狙いは、やはり、国際社会に圧力を掛けて、彼等がイスラエルに圧力を掛け、イスラエルのハマス攻撃を止めさせることにあるのではないだろうか。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】バイデン政権のフーシ派外し決定が招く中東危機:弱さから生まれた新たな脅威

まとめ
  • バイデン政権はイエメンの悲惨な人道危機を救うため、2021年2月にフーシ派をテロリストから除外した。
  • この措置にもかかわらず、イエメンの危機は避難民、飢餓、必需品へのアクセスの制限などを伴っていまでも続いている。
  • 結局バイデンの弱腰なアプローチがイランとフーシ派を大胆にしている。
  • バイデンは、即刻フーシ派を再指定し、積極的に行動すべきだ。
  • そうしなければ、既存の危機がさらに悪化し、米国とその同盟国を危険にさらすことになる。

バイデン政権は、2021年2月16日にフーシ派を外国テロ組織リストから外しました。この決定は、人道的な影響を考慮したもので、特にイエメンの深刻な人道危機に対応するためのものでした。

具体的には、トランプ前政権が政権交代直前の1月にフーシ派をテロ組織に指定したことが、停戦を遠のかせ、状況を悪化させるとの懸念が出ていました。そのため、バイデン政権はこの決定を反転させることを決定しました。

また、バイデン大統領は、イエメン内戦に介入を続けるサウジアラビア主導の軍事作戦への支援を停止するとも発表しました。これらの決定は、「世界最悪の人道危機」とされるイエメンの状況を改善するための一環として行われました。

しかし、イエメンの人道危機は依然として深刻で、改善の兆しは見られません。以下に具体的な状況をいくつか示します。

人々の犠牲は拡大する一方で、今年の9月以降、首都サナアの東に位置する都市マアリブでは推定40,000人、西部の紅海沿岸に位置する都市ホデイダでは10,000人以上が安全を求めて故郷を離れることを余儀なくされています。

水や食料、医療、教育などの必要不可欠なサービスへのアクセスも困難になっています。2021年時点で、人口の66%にあたる2,070万人が支援を必要としており、そのうち54%が18歳未満の子どもです。

人口の半数に当たる1,400万人が「過去100年間で世界最悪の飢饉」とされる危機に直面しています。6年間の長期にわたる紛争により、推定23万3,000人が死亡し、そのうち13万1,000人は、医療サービスやインフラ、食料の不足などの間接的な原因で死亡しました。

これらの情報から、イエメンの人道危機は依然として深刻であり、改善の兆しは見られません。国際社会の継続的な支援と関心が必要とされています。


現在の紅海の危機は、バイデン政権の外交政策の失敗を物語っています。フーシ派をテロリストリストから外したのは、悪党どもを増長させただけです。

イランとその代理勢力はあまりにも長い間、中東の安定を脅かしており、バイデンの弱いリーダーシップはさらなる侵略を招いているといえます。こうした脅威に対処する唯一の方法は強さと強い意思以外にありません。

バイデンのイランへの屈服は弱さを映し出し、今やフーシ派は報復されることなしに、自由に攻撃できると考えているようです。とても残念なことです。バイデンの失策が新たな危機を生み出しているのです。

フーシ派、ハマス、イラン......彼らはみな同じ穴のムジナに過ぎません。宥和政策は決してうまくいきません。バイデンは敵を挑発するのを恐れるのではなく、気骨を見せ、今すぐフーシ派を直ちにリストに戻すべきです。それは自らの過ちを認めることになりますが、それを恐れていては、テロリストによる犠牲者をますます増やし、米国やその同盟国にとっても脅威が増すばかりです。

フーシ派

そして、もし彼らが挑発を続けるのであれば、徹底的に叩く必要があります。それが彼らに理解できる唯一の言葉です。中途半端なことをすれば、さらなる危機を招くだけです。現在の世界秩序は良くも悪くも、米国を頂点として形成されており、米国が強ければ、世界はより安全になり、米国が弱ければ、悪政は強化されることになります。

今や強さによる平和の時代が懐かしいです。バイデンの招いた危機は、彼がそれに気づくまで、さらに制御不能に陥ることになるでしょう。それは、惨めなアフガン撤退、ウクライナにかかわるロシアに対する弱気な態度でも示されました。手遅れになる前に、米国民が目を覚まし、何が本当に起こっているのかを認識すべきです。日本を含む、米国の同盟国の国民もそうすべきです。

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