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この法案は、被害の実態調査や、被害に遭った女性の社会復帰支援、関係機関との連携強化の必要性を明記したもので、禁止規定や罰則を設けない理念法としている。
悪質ホストクラブをめぐっては、警察庁も捜査を強化する方針を打ち出しているが、問題視されている高額の「売り掛け」を解決する方法はあるのだろうか。
現状としては、女性客のホストクラブに対する売り掛けを巡り、さまざまなトラブルがあるようだ。こうしたトラブルについては、基本的に現行法で対応できる。
消費者契約法のデート商法に引っかかるものもあるし、払えないような売り掛けは公序良俗違反になるなどだ。もし客が売り掛けに本当に困っているのであれば、自己破産という手もある。
ホストクラブの原価率はあまり高くないので、売掛債権が回収できなくてもあまり大きな実害はないという事情も勘案し、客には自己破産を勧めるのがいいだろう。
立憲民主党の案は、相談体制の整備や啓発推進など、一見すると人畜無害な法律に見えるが、そうした法律が成立すると、必ずそれを担当する役所組織が作られることになる。
組織ができると官僚組織の常として予算を獲得し、結果としてNPOなどの外郭団体に事務委任する仕組みができることになる。いわゆる「公金チューチュー」のスキームの出来上がりとなる。
【私の論評】公金チューチュースキームの正体とは?利権の温床となる問題の構造
まとめ
まとめ
- 多額の売掛金で困っている客がいる場合、自己破産という既存の法律や制度を利用すれば、大きな社会問題になることなく解決できる。
- にもかかわらず、一見人畜無害の法律をつくるのは、公金チューチュースキームを作ろうとする意図があると考えられる。
- 公金チューチューとは、NPO法人や一般社団法人、その他の組織、個人等が補助金や助成金等の公金を巧妙に獲得している状態、またはそのような仕組みのこと。
- このような状態が発生すると、不透明な金の流れが発生して利権の温床となる。
- このような問題は、昔からあり、最近ではアクターが変わっただけで、基本は変わらない。
多額の売掛金で客が本当に困っているというのであれば、自己破産というのが当然の流れです。
ホストクラブの広告 |
自己破産は、借金を返済することができない場合に、裁判所に申し立てて借金を免除してもらう手続きです。自己破産には、デメリットがあるのは事実ですが、借金の性格からいって、これくらいのデメリットは甘受すべきでしょう。
このような既存の法律や制度を利用すれば、この問題は、大きな社会問題になることなく解決できます。
にもかかわらず、このような問題に関して、一見人畜無害の法律をつくるのは上の記事で髙橋洋一が指摘する通り「公金チューチュー」スキームを作ろうとの目論見があるものと考えられます。
この「公金チューチュー」スキームは、最近は暇空茜さんが指摘したことによるcolabo問題で話題となりました。しかし、これは日本では昔からあることです。ただ、最近ではスキームのアクターが変わっただけで、基本は変わりありません。
このような状態が発生すると、不透明な金の流れが発生して利権の温床となります。しかし、このような問題は昔からありました。それは、鉄の三角形(鉄のトライアングル)と呼ばれてきました。
鉄の三角形 |
これは、政治家、官僚、財界が互いに利用し合い、助け合うという関係にあることを表現した言葉です。政治家は官僚・財界の通したい予算・法案成否について影響力を行使し、財界から政治献金を集め、官僚への限定的指揮権を持ちます。
ただ、ここでいう財界とは、無論日本経団連を含みますが、企業経営者の集団の意味です。その中には、様々企業経営者がいますが、有力企業が多いです。
ただ、農協や医師会など、企業以外の組織も、鉄のトライアングルを構築しています。
これらの事業は、「男女共同参画社会基本法(平成十一年六月二十三日法律第七十八号)」に基づいて行われているものです。
官僚は所轄業界をまとめ、その利益代表として動き、政治家・財界を許認可権限・公共事業・補助金振り分けで影響力を持ちます。財界等の業界団体や圧力団体が政治献金で族議員に代表されるような政治家を支援し、財界に影響力のある官僚を天下りで懐柔することで、政官財が一体の行動を取ることにより、国益・国民益より省益・企業益・私益が優先されることになります。
最近の新たな鉄のトライアングルにおいては、アクターがかなり変わってきており、政治家、官僚までは同じなのですが、財界の部分が、NPO法人や一般社団法人、その他の組織、個人等に変わってきています。要するに、従来の財界から比較すると、小規模であったり、非力であるといえます。
従来の鉄の三角形は、財界がスキームの主要アクターの一つであり、比較的大きな財界の利益を代表するという大義名分もありましたが、最近のスキームでは、より政治家、官僚の力が増したものに変わっているということがいえると思います。
また、最近のスキームは単体では小規模なので、あまりメリットがないためか、多数のスキーム実行主体がつくられるようになっています。それは、男女共同参画事業などをみればわかります。以下はある自治体のイベンのリストです。
このようなスキームを成り立たせるのが、補助金・助成金です。減税などは、減税対象者が直接メリットを受けることができます。補助金・助成金だと、対象者にメリットが及ぶ以前にNPOなどの中間組織に利益が及ぶことになります。
NPOは、財界のように政治家に対して献金したりパーティー券購入などは法律で禁じられていてできません。ただ、政治家には自らの政治信条などをNPOを通じて実現できるというメリットがありますし、有権者や支援者にいかにも仕事をしているように演出するという意味あいもあるでしょう。
特にNPOを運営している、あるいはこれから運営しようとする支援者に補助金であれ、なんであれ、お金が転がりこみ、それに政治家が尽力してくれたということになれば、大喜びするのは当然です。
官僚はNPOに天下りする例もありますし、NPOや財界にかかわらず、補助金・助成金の差配が拡大すればするほど、より大きな影響力を持つことができます。
この点が、直接巨額の利権となる従来のトライアングルとは若干異なりますが、それにしても基本は同じです。財界などが、NPO などに置き換わっただけです。
野党や自民党でも、一見人畜無害の法律を立案するのは、こうした背景があります。
このようなことから、政治家、官僚の中には、経済対策や支援事業で、減税よりは、補助金を好む人も多いようです。これが日本の政治を駄目にする一因になっています。
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