米海軍駆逐艦メイソン |
当局者によると、タンカーへの攻撃はバベルマンデブ海峡から約60カイリ北で起き、米海軍駆逐艦メイソンが現場で支援を行っている。
【私の論評】イエメン内戦、日本経済への影響必至か!日本は中東の自衛隊を増強すべき
まとめ
- イエメンのフーシ派が支配する地域から、ノルウェー船籍の大型原油タンカー「STRINDA」号に向けて2発の巡航ミサイルが発射され被弾。
- フーシ派は、2015年3月の内戦勃発以降、サウジアラビアやその同盟国を標的としたミサイル攻撃を繰り返し行ってきた。
- 日本は、原油の輸入量の約9割を中東に依存している。
- イエメン内戦の長期化は、日本経済にも大きな影響を及ぼす可能性がある。日本はこの地域の自衛隊の増強のため、護衛艦や哨戒機を増派すべきである。
- 攻撃されたタンカーは、ノルウェー船籍の「STRINDA」号で、全長約295m、積載量約65万トンの大型原油タンカーです。
- 攻撃は、イエメン北部フーシ派支配地域から発射された2発の巡航ミサイルによって行われました。
- 1発目のミサイルは、タンカーの船体に命中し、火災が発生しました。2発目のミサイルは、タンカーの近くに落下しましたが、命中は免れました。
- 火災は、約2時間後に消火されましたが、タンカーは損傷を受け、航行不能となりました。
- 乗組員は、全員無事だったということです。
この攻撃は、イエメン内戦の長期化が、周辺地域の安全保障に与える影響の大きさを示すものとされています。
イエメンのフーシー派がミサイルを発射した事例については、以下のような報道があります。
アラブの春では、次のような主な事件が発生しました。
アラブの春では、チュニジアやエジプト、リビアでは政権が交代し、その他の国でも民主化運動で要求されたことを政府が受け入れる結果になりました。しかし、民主化後のアラブ各国では課題が多く、中長期的に見ればアラブ諸国に混乱をもたらしたと言わざるを得ません。
この混乱に乗じて、イエメンでは2014年9月、フーシ派は首都サヌアを掌握し、暫定政府を追放しました。サウジアラビアは、フーシ派の台頭を阻止するため、翌年3月に軍事介入を開始しました。
内戦は、サウジアラビアとイランの代理戦争の様相を呈しています。サウジアラビアは、フーシ派をイランの傀儡とみなしており、フーシ派を排除することで、イエメンにおけるイランの勢力拡大を阻止しようとしています。
内戦は、イエメンの経済や社会に大きな打撃を与えています。国連によると、2022年時点で、イエメンの人口の約6割が食料援助を必要としています。また、内戦による死者は、10万人を超えると推定されています。
内戦の終結に向けた動きは、これまでのところ進展していません。サウジアラビアとフーシ派は、2021年12月に和平交渉を開始しましたが、合意には至らず、交渉は中断しています。
内戦の長期化は、イエメンだけでなく、周辺地域の安全保障にも大きな影響を及ぼしています。
米軍、タンカー拿捕犯拘束 イエメン沖、海自が支援―【私の論評】日本の海洋安全保障へのコミットメント:日米協力でイエメン沖の海賊対処に成功
- 2022年1月30日、アラブ首長国連邦(UAE)の国防省は、フーシ派が発射した弾道ミサイルを迎撃し、破壊したと発表しました。このミサイルが首都アブダビや商業都市ドバイを標的としていたかどうかは明らかにされていません。
- 2023年10月19日、フーシ派はイスラエルに向けて巡航ミサイルとドローンを発射しました。米国防総省は、これらのミサイルなどは紅海で米駆逐艦によって迎撃されたとしていました。関係者によると、ミサイルのうち1発はサウジ空軍に撃ち落とされ、同国領内に落下したといいます。
- 2023年11月26日、イエメン沖のアデン湾で民間の貨物船「セントラルパーク」が何者かの襲撃を受け、SOSを発信しました。アメリカ海軍の駆逐艦「メイソン」などが現場に急行し、襲撃した5人のイエメン人を拘束しました。その後、イエメンのフーシ派支配地域から「メイソン」と襲撃された貨物船に向けて弾道ミサイル2発が発射されました。ミサイルは「メイソン」からおよそ18キロ離れた海域に着弾し、被害はありませんでした。
なお、最後の事例に関しては、このブログにも掲載しました。
イエメン内戦は、2015年3月から続く、イエメンにおける内戦です。サウジアラビアが支援する政府側と、イランが支援するフーシ派による対立が主な原因とされています。
内戦のきっかけとなったのは、2011年のアラブの春です。サウジアラビアと対立していたサレハ大統領が退陣に追い込まれた後、イエメンでは政治的混乱が続きました。
内戦のきっかけとなったのは、2011年のアラブの春です。サウジアラビアと対立していたサレハ大統領が退陣に追い込まれた後、イエメンでは政治的混乱が続きました。
アラブの春とは、2010年から2012年にかけてアラブ世界で発生した民主化運動の総称です。チュニジアで発生した「ジャスミン革命」がきっかけで、アラブ世界に波及しました。
ジャスミン革命 |
- 2011年1月、エジプトのムバーラク長期政権が崩壊
- 2011年2月、リビアで反政府デモが起こり内戦に発展
アラブの春では、チュニジアやエジプト、リビアでは政権が交代し、その他の国でも民主化運動で要求されたことを政府が受け入れる結果になりました。しかし、民主化後のアラブ各国では課題が多く、中長期的に見ればアラブ諸国に混乱をもたらしたと言わざるを得ません。
この混乱に乗じて、イエメンでは2014年9月、フーシ派は首都サヌアを掌握し、暫定政府を追放しました。サウジアラビアは、フーシ派の台頭を阻止するため、翌年3月に軍事介入を開始しました。
内戦は、サウジアラビアとイランの代理戦争の様相を呈しています。サウジアラビアは、フーシ派をイランの傀儡とみなしており、フーシ派を排除することで、イエメンにおけるイランの勢力拡大を阻止しようとしています。
内戦は、イエメンの経済や社会に大きな打撃を与えています。国連によると、2022年時点で、イエメンの人口の約6割が食料援助を必要としています。また、内戦による死者は、10万人を超えると推定されています。
内戦の終結に向けた動きは、これまでのところ進展していません。サウジアラビアとフーシ派は、2021年12月に和平交渉を開始しましたが、合意には至らず、交渉は中断しています。
内戦の長期化は、イエメンだけでなく、周辺地域の安全保障にも大きな影響を及ぼしています。
中東に派遣されている海自の護衛艦「あけぼの」 |
エネルギーの大きな部分を中東に頼る日本としては、この事態は捨て置けません。自衛隊の潜水艦を含む艦船の増派や、P3CもしくはP1などの哨戒機など増派も実施すべきです。
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