2024年3月27日水曜日

次期戦闘機の第三国輸出解禁が必要な理由 議論が深まるAUKUSのあり方、日本も取り残されるな―【私の論評】日本の選択―武器輸出解禁で防衛力強化、TPPをWTOルールとし国際ルールをリードせよ

次期戦闘機の第三国輸出解禁が必要な理由 議論が深まるAUKUSのあり方、日本も取り残されるな

岡崎研究所

まとめ
  • AUKUSはアメリカ、イギリス、オーストラリアの安全保障枠組みであり、オーストラリアが原子力潜水艦を取得する計画を含む。
  • AUKUSの実現可能性には疑問があり、特にオーストラリアの米国への依存度や将来の政治的姿勢に関する不安がある。
  • AUKUSの影響が地域の安定に及ぼす可能性がある。特に、アジア太平洋地域における軍事的緊張の増大や中国との関係悪化が懸念されている。
  • 日本との関係において、AUKUSがどのような影響を与えるかが焦点となっており、次期戦闘機の第三国輸出解禁の必要性が強調されている。
  • AUKUSに対する議論は様々な側面から展開されており、地域の安全保障における重要性や実現可能性に関する懸念が存在している。

 2024年2月26日の英フィナンシャル・タイムズ紙の記事は、AUKUS(アメリカ、イギリス、オーストラリア間の安全保障枠組み)に対する議論と、それが日本に及ぼす影響に焦点を当てている。

 AUKUSは、オーストラリアがアメリカやイギリスから原子力潜水艦を取得することを含む、地域安全保障の新たなアプローチを提案している。この枠組みは、太平洋地域における中国の台頭に対抗する戦略の一部として位置づけられている。しかし、その実現にはいくつかの懸念がある。

 まず、AUKUSの実現可能性に関する懸念がある。特に、オーストラリアが太平洋地域における米国の主導権を支えるという決断が持続的かどうかについて疑問が投げかけられている。また、AUKUSの政治的な面でも不安があり、将来の米国政権がこの枠組みにどのような姿勢を取るかに関する懸念がある。

 さらに、AUKUSが地域の安定に与える影響にも焦点が当てられている。特に、アジア太平洋地域における軍事的緊張の増大や、中国との関係悪化の可能性に対する懸念がある。このような懸念から、AUKUSが地域の安全保障状況をどのように変化させるかが注目されている。

 さらに、日本との関係においても、AUKUSがどのような影響を与えるかが焦点となっている。特に、日本が次期戦闘機の第三国輸出解禁を求める理由や、その重要性が強調されている。日本がAUKUSに取り残されることを避けるためには、これらの問題に対する適切な対応が求められる。

 総じて、AUKUSに対する議論はさまざまな側面から展開されている。地域の安全保障における重要な枠組みとして期待される一方で、その実現可能性や地域の安定への影響に対する懸念も根強く存在している。日本との関係においても、これらの問題に対する適切な対応が求められていることが明確に示されている。

 この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】日本の選択―武器輸出解禁で防衛力強化、TPPをWTOルールとし国際ルールをリードせよ

まとめ
  • 一国家だけでは安全保障を完全に確保することが困難な時代となり、同盟国との協力関係が不可欠
  • 価値観を共有する民主主義国家同士が防衛面で手を携えることが、費用対効果と相互信頼の面で合理的
  • 日本が次期戦闘機の輸出を解禁しないと、最新軍事技術から取り残されるリスクがある
  • 輸出解禁で同盟国との武器移転が可能になれば、共同開発によるコスト削減や運用の効率化が期待できる
  • TPPで確立した新ルールをWTOに反映させることで、日本が経済面でも国際ルール作りを主導できる
今日の国際情勢を見れば、一国家だけで安全保障を完全に確保することは極めて困難です。ますます高度化する軍事技術、さらには経済的・財政的制約から、各国は防衛面での同盟関係の重要性を増してきています。

とりわけ価値観を共有する民主主義国家同士が手を携えることが、費用対効果や相互の信頼関係の観点から合理的であると考えられています。このような流れは今後さらに加速していくことが予想されます。

そうした中で、日本が次期主力戦闘機の輸出を解禁しないことには大きなリスクがあります。AUKUSなどの先進国間の防衛協力の枠組みから取り残され、最新の軍事技術情報から遠ざかってしまう恐れがあるのです。

日英伊の共同開発の戦闘機 AI生成画像

高性能な戦闘機の開発には莫大な費用がかかり、一国だけの力では限界があります。同盟国との技術共有なくしては、日本の防衛産業の国際競争力は低下し、いずれは遅れをとってしまうでしょう。

一方で、輸出解禁により同盟国との武器移転が可能になれば、防衛装備品の共同開発が進み、大量生産によるコスト削減や相互運用性の向上など、大きなメリットが生まれます。開発当初から設計の共有や人材交流など、防衛分野での緊密な協力関係が構築できるようになるのです。単なる物資の移転にとどまらず、同盟国間の絆を一層強固なものとすることにつながります。

さらに重要な点は、輸出解禁を機に、日本が国際社会での武器移転ルール作りに積極的に関与できるようになることです。現在、先進国主導で新たな枠組み作りが進められていますが、武器を輸出しない国では発言力に限界があります。

輸出を解禁すれば、日本の価値観や考え方を国際ルールに反映させやすくなり、地域の平和と安定に貢献できるはずです。   

もちろん、武器輸出には慎重な対応が求められます。輸出先の選別や使用用途の制限など、厳格な輸出管理体制を整備する必要があります。しかし、そうした課題をクリアできれば、輸出解禁は日本の防衛産業の活性化や同盟国との信頼関係強化に大きく寄与するでしょう。

AUKUSを中心とした同盟国間の協力関係をより緊密なものとし、新時代の安全保障体制の構築に日本が中心的な役割を果たせるよう、次期戦闘機輸出解禁の重要性は計り知れないものがあると言えます。

日本は米国が離脱したTPPを主導し、自由で公正な経済ルールづくりに尽力してきました。

TPPは関税撤廃などの伝統的な貿易自由化に加え、労働、環境、電子商取引など、21世紀型の新しいルール作りを目指す経済連携協定です。投資家対国家紛争解決制度(ISDS)の見直しなど、従来の枠組みを超えた先進的な内容が盛り込まれています。

拡大TPP参加国

そうした経験と実績を生かし、日本がTPPで構築したルールをWTO(World Trade Organization)の多角的な枠組みに反映させていくことは、極めて有望な選択肢だと言えます。

WTOルールはかつての時代の産物であり、デジタル化の進展やサービス貿易の拡大など、現代の経済実態に必ずしも適合していない面があります。TPPのような21世紀型ルールを導入することで、WTO自体を時代に適ったものへと進化させられるからです。

もちろん、加盟国の利害対立から、WTOでのルール改革は容易ではありません。しかし、日本が主導してTPPで確立した新しいルールを足がかりに、徐々にWTOのルール見直しを働きかけていくことは有力な戦略オプションとなり得ます。

そうすれば、日本は単に同盟国との防衛協力関係を深めるだけでなく、経済面でも国際ルール作りの主導権を握れるようになります。安全保障と経済、両面でグローバルな影響力を高められるはずです。

自由貿易を旗印に、公正なグローバルスタンダードを主導することは、日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現にも大きく寄与するでしょう。武器移転だけでなく、経済連携でも日本が主導的役割を果たすことが、平和で安定した国際秩序の確立につながると考えられます。

日本の三文芝居のような政局 AI生成画像

現在日本は、選択を迫られているといえます。と同時に、これは日本にとって次の飛躍への大きなチャンスでもあります。残念ながら、今の日本は、政治が停滞しており、この選択のチャンスを活かせるのかどうか心許ない状況にあります。

心ある政治家や、官僚は現状の政治の三文芝居のような停滞状況は別にして、将来の日本を形作るための準備を怠りなくすすめていただきたいです。

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