2024年3月8日金曜日

TikTok禁止法案可決 米下院委「共産党の管理下にあり、深刻な脅威」―【私の論評】中国アプリの危険性:個人情報、国家安全保障、そして代替案

TikTok禁止法案可決 米下院委「共産党の管理下にあり、深刻な脅威」

中国共産党に関する下院特別委員会のギャラガー委員長

 米下院エネルギー・商業委員会は7日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国内での利用を禁止する法案を賛成多数で可決した。法案は本会議で審議される。

 中国共産党に関する下院特別委員会のギャラガー委員長(共和党)ら超党派の議員団が5日、法案を発表。運営企業の親会社、北京字節跳動科技(バイトダンス)が「共産党の管理下にあり、米国の安全保障にとって深刻な脅威だ」と指摘していた。

 法案はTikTokの米国事業について、非中国企業により運営されれば適用されないとし、バイトダンスに売却を求めた。TikTokは中国への情報流出が懸念されており、米政府は政府の機器での利用を禁じている。

【私の論評】中国アプリの危険性:個人情報、国家安全保障、そして代替案

まとめ
  • 米国でTikTok禁止法案が提出、下院エネルギー・商業委員会で全会一致で承認。
  • 高橋洋一氏など識者が中国製アプリのプライバシー侵害、検閲、サイバー攻撃などのリスクを指摘、中国の「国家情報法」に基づき、中国当局はアプリのデータにアクセス可能。
  • 中国”系”アプリは、中国製であることを確認するのが難しい場合もあり、有名なメーカー以外のアプリは、サイトなどで確認してから使うべき。
  • 日本で広く用いられているLINEも、中国子会社への業務委託や国内利用者のデータが中国で閲覧可能、経済安全保障への対応が不十分等の問題がある。
  • 中国が絡んでいるアプリは危険性が高いことを、個人はもとより企業、自治体、NPO、NGOなどの組織は認識しておくべき
米国国会議事堂

法案の主なポイントは以下の通りです。

1. 強制的な事業売却または禁止: 法案は、TikTokの親会社であるByteDanceに対し、およそ6ヶ月以内にアプリを売却しなければならず、さもなければ米国内で禁止処分を受けることしています。この動きは、TikTokの中国人所有に関連する「国家安全保障上の懸念」によって推進されています。

2. 国家安全保障上の懸念: 議員らは、ByteDanceは中国共産党とつながりがあり、このアプリが米国の安全保障に与える潜在的な影響について懸念があると主張しています。ByteDanceとTikTokはこれらの疑惑を否定していますが、法案は特にByteDanceをターゲットにしており、TikTokを販売するか、米国内のモバイルアプリストアから削除されるリスクを負うかのいずれかを強制しています。

3. 委員会承認: 法案はエネルギー・商業委員会で50-0の投票により全会一致で承認されました。しかし、法律となるにはまだ上院の承認が必要です。

4. 言論の自由と中小企業: TikTokは、提案された法案が言論の自由とアプリに依存している中小企業に害を及ぼす可能性があることに懸念を表明している。同社はユーザーに対し、国会議員に連絡して法案への反対を表明するよう促しています。

5. TikTokの反応: TikTokはこの法案を「全面禁止」と表現し、何百万人ものアメリカ人や中小企業に影響を与えると強調しました。同社は、法案が憲法修正第1条の権利を侵害し、経済成長と雇用創出を妨げる可能性があるとしています。

情報源 2024/3/8

(1) TikTok禁止: 下院法案に怒りの電話殺到 ... https://www.usatoday.com/story/money/2024/03/07/tiktok-ban-congress-biden/72886191007/
(2)米議員、バイトダンスにTikTokの売却か禁止を要求する法案を提出 https://www.msn.com/en-xl/news/other/us-lawmakers-introduce-bill-demanding-bytedance-to-divest-tiktok-or-face-ban/ar-BB1jpXX6
(3) TikTokは、アプリを禁止しようとする動きについて、ユーザーに代表者に電話するよう呼びかけている。https://www.yahoo.com/tech/tiktok-is-encouraging-its-users-to-call-their-representatives-about-attempts-to-ban-the-app-202056111.html
(4) 米議員、ByteDanceにTikTokの売却か禁止を求める法案を提出https://www.msn.com/en-ph/news/other/us-lawmakers-push-for-bytedance-to-divest-tiktok-or-face-ban/ar-BB1jpC8w

TikTokは、中国の動画共有アプリで世界的に人気が高まっていますが、その一方で米国をはじめとする諸外国からは安全保障上の懸念が強まっています。

TikTokは、中国の企業バイトダンスが運営しており、ユーザーの個人データが中国当局に渡される可能性があると指摘されています。特にアプリが収集する広範なユーザー情報の取り扱いが問題視されており、それらのデータが中国政府によって米国の世論操作に悪用される恐れがあるとみなされています。

こうした懸念を受けて、米国ではTikTokに対する規制が次第に強化されつつあります。バイデン政権はTikTokの連邦政府機関での使用を原則禁止する方針を示しました。また、世論調査では59%の米国民がTikTokを国家安全保障上の脅威と認識していることが分かっています。

TikTokの親会社であるバイトダンスは、アプリのシステムから中国当局のアクセスを遮断する対策を講じていますが、コンテンツ自体が公開されている以上、その効果には疑問視する声もあります。TikTokのプラットフォーム自体から中国の影響力を完全に排除するには技術的な課題が残されているとの指摘があり、今後の対応が注目されます。

中国とのデータの行き来、アルゴリズムの透明性の問題など、TikTokが抱える安全保障リスクへの懸念は簡単には払拭できません。ユーザープライバシーの保護と表現の自由とのバランスをどう取るかが問われており、米国をはじめ各国でTikTok規制をめぐる議論が続いていくことが予想されます。

高橋洋一氏などの、識者もプライバシー侵害、検閲、サイバー攻撃、データ搾取、技術流出など、様々な安全保障上のリスクが根拠として中華アプリは使うなと警告しています。

2017年6月に施行された中国の「国家情報法」によれば、「いかなる組織及び個人も、法に基づき国の情報活動に協力し、国の情報活動に関する秘密を有し、国は、情報活動に協力した組織及び個人を保護する」となっています。日本から中国のアプリを利用している場合でも、通信の内容は中国当局に共有されている可能性が高いと思った方が良いでしょう。


TikTokのようなサービスは現在では、現在ではYouTube、Facebookなどにもあります。そちらを使用されることをおすすめします。上の写真はFacebookのリール動画です。

TikTokなどは、中国がからんだアプリということが周知されていますが、そうではないアプリも多く存在します。以下は中華アプリです。

放置少女、マフィア・-シティー(極道風雲)、荒野行動、原神、アーチャー伝説、IdentityV 第五人格、BeaytyPlus、CapCut、DiDi、Zoom

会議用ソフトZoomは日本でも最近良く用いられているようです。高橋洋一氏もこれを用いているそうですが、それは中国の学生などに教えたりするときに用いているそうですが、Zoomを用いる端末は、それ以外に使わないようするなどの安全対策をした上で、用いているそうです。

そうはいっても、中華アプリは表面上は他のアプリと見分けがつかないことが多いです。それに対する対処は、結構難しいです。

中国の会社法では社名に必ず所在地の地名を使用することが義務付けられているので、販売元の正式名称に中国の地名が含まれている企業から配信されているものは中国”産”アプリだと比較的簡単に判別できます。

一方で、中国”系”アプリは、中国国外の現地法人からリリースしているので、販売元の社名から判別するのは難しいのです。

有名なメーカー以外のアプリは、サイトなどで確認してから使うことをおすすめします。

日本では、TikTok以外にもLINEが問題になっています。


LINEは日本で非常に広く使われているコミュニケーションアプリですが、安全保障上の問題が指摘されています。以下にまとめます。

国内利用者のデータが中国で閲覧可能: LINEについては、国内利用者のデータが中国の業務委託先で閲覧できる状態にあったことが報告されています。経済安全保障への配慮が不足していたとも指摘されています [res_idx]

経済安全保障への対応の不備: 経済安全保障とは、経済分野において国家安全保障を考慮して行動することを意味します。LINEに関しては、経済安全保障への対応が不十分だったという最終報告書が提出されました [res_idx]

中国子会社への業務委託: LINEには、中国子会社に業務を委託する過程で想定されるリスクについて検討しなかったという問題がありました。また、中国で国家情報法が施行された後も、体制を見直す議論が起こらなかったとされています [res_idx]

このように、LINEにはユーザーデータの取り扱いや経済安全保障の観点からいくつかの問題点が浮かび上がっています。これらの問題によって、ユーザーのプライバシーや情報セキュリティに影響が出ることは非常に重要な懸念事項といえます。

私は、LINEは使用していませんが、大企業や地方自治体などで連絡用に用いている場合もあり、これについてはLINE以外の別の方法を使うよう、社員や地方自治体の住民が説得していくしかないでしょう。この説得には、「責任論」を主張すると良いでしょう。もし、問題が起こったら誰が責任をとるかという論法です。これには、企業のお偉方や、お役人は弱いです。

いずれにせよ、中国が絡んでいるアプリは危険性が高いということだけは、個人でも企業、自治体、NPO、NGOなどの組織でも、認識しておくべきです。そうして、中国アプリ等使わなくても、代替のアプリがあることを認識すべきです。

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