2023年4月18日火曜日

FBI、中国人工作員とみられる2人逮捕 司法省は中国人34人を訴追―【私の論評】法的根拠がない日本でもスパイから身を守る方法はあるが、やはりスパイ防止法は必要(゚д゚)!

FBI、中国人工作員とみられる2人逮捕 司法省は中国人34人を訴追


 米連邦捜査局(FBI)が中国人工作員と疑われる2人を逮捕したことが分かった。また米司法省は、米国在住の反体制派の発言封じや嫌がらせを試みたとして、中国人34人を訴追した。

 逮捕された盧建旺容疑者と陳金平容疑者は、ニューヨークのチャイナタウンでひそかに「警察署」を運営していた疑いが持たれている。両容疑者は米国籍の保有者。共謀して中国政府の代理人として活動し、司法妨害を試みた疑いで訴追された。

中国の警察機能を担う出先機関が入っていたとされるビル(中央)=2023年4月17日、米ニューヨーク

 ニューヨーク州東部地区連邦地検の報道官によると、2人は17日、ニューヨークの連邦裁判所に出廷した。「警察署」は昨年秋に捜索令状が執行された後、閉鎖されたという。

 盧容疑者は25万ドル、陳容疑者は40万ドルの保釈金を支払い釈放された。中国領事館から半マイル(約800メートル)を超える移動や共謀者との連絡は禁止されている。両容疑者とも答弁をしていない。

 司法省はまた、中国政府に批判的な米国在住の中国人に嫌がらせを行ったとして、中国国家警察の警官34人を訴追すると発表した。

 司法省によると、34人はいずれも中国在住で、身柄は拘束されていない。34人は中国に対する世界の見方に影響を与えることを目的とした特別プロジェクトの取り組みに参加していたとされる。

 司法省によると、工作員2人はSNSを使って中国に好意的な内容を投稿したり、米国や中国人の民主化活動家を含む「敵とみなした」存在を攻撃したりした疑いがある。違法運営されていた警察署は「初めて確認された米国内の海外警察署」で、中国公安部のために設置されたものだという。

 工作員2人は中国公安部の指示で、米国民が運営しているように見せかけたアカウントを創設、維持していたとされる。プロパガンダの話題としては、米国外交や香港の人権問題、ロシアのウクライナ侵攻、新型コロナウイルス、ジョージ・フロイドさん殺害事件をきっかけに起きた人種的公正を求めるデモなどがあったという。

 オルセン司法次官補は声明で、「中国は抑圧的な治安機関を通じ、反体制派や政府に批判的な人を監視、威嚇するための秘密拠点をニューヨークに設けた」と指摘。「中国の行動は許容される国家の行動の限度をはるかに超えている。我々は断固として、米国に住む全ての人の自由を専制体制の抑圧の脅威から守る」と述べた。

【私の論評】法的根拠がない日本でもスパイから身を守る方法はあるが、やはりスパイ防止法は必要(゚д゚)!

松野博一官房長官は18日午後の会見で、米当局が中国の「秘密警察署」を運営した疑いで男2人を逮捕したことに関連し、日本国内でも主権を侵害する行為が行われているのであれば、断じて認められないと外交ルートを通じて中国側に申し入れを行ったと述べました。


松野官房長官は、米当局による逮捕に関し「他国の内政に関することである」としてコメントを控えました。

しかし、中国による日本国内での同様の活動に対しては「中国側に対し、外交ルートを通じわが国の主権を侵害するような活動が行われているのであれば、断じて認められない旨の申し入れを行っている」と説明しました。

その上で「関係国とも適切な形で情報共有を行ってきており、引き続き緊密に連携しつつ、各種情報の収集・分析に努めてきている」と指摘。「いずれにせよわが国での(中国による)活動の実態解明を進めているところであり、その結果に応じて適切な措置を講じる考えである」と述べました。

スペインの人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ(Safeguard Defenders)」が発表した報告書によると、中国政府が海外に在住する中国人を監視し、場合によっては強制帰国させるため、日本を含む欧米諸国など53ヵ国102ヵ所に「中国警察署」を設置しているといいます。

これは、単に海外に居住する中国人の人権侵害に留まらず、国際法の原則に違反し、第三国の主権を侵害している行為です。すでに、米国やカナダ、ドイツ、オランダなど欧米各国で設立され、日本でも東京など2ヵ所に拠点があるとされています。

2014年以降、中国政府は、政権批判を続けたなどとして在外中国人1万人あまりを強制的な手段で帰国させました。さらに対象となる中国人の親族などが中国国内で不当な嫌がらせにあったとされます。

それにしても、中国はなぜこうしたことを行うのでしょう。通常常識的に考えられる日本に在住あるいは滞在する中国人に対する通常の行政サービスであれば、在外公館があるから、そこが対象すべきですし。そもそも在外公館でなければできません。それ以外の組織がそれを実行すれば、それだけで犯罪です。

それには、背景があります。中国は現在、大量の資金と人材が海外に流出しているので、それを取り戻したいというのが本来の狙いとみられます。

日本は中国にとって外国ですから、さすがに強制送還はできません。だから圧迫して、自分で帰るように仕向けているということもあるようです。

無論対象は、対象者が犯罪者の場合もあるかも知れませんが、そうではない人たちに対しても働きかけているようです。

さらに、いまのところ、日本国内の秘密警察署は在日中国人の人間と関係で語られていますが、中国の法律には域外適用という考え方があるので、我々日本人も関係する可能性はありえます。

反中的な発言をする言論人などは、「日本国内にいれば安全だ」と思っているかもしれませんが、域外適用でそのような人ががある日、拉致されてしまう可能性もあり得ます。

さらに、在外中国人の情報入手にもTikTokが使用されている可能性があります。むしろ関係がないと考えるほうが不自然でしょう。中国には「国家情報法」という法律があり、その第7条では「中国の国民や組織は中国政府の情報(諜報)活動に協力する義務がある」と明記されているからです。TikTokの運営会社が中国企業である以上、この法律に従うのは当然のことなのです。

TikTokは犯罪に用いられることもある スパイには格好のツールにになり得る

そうしてこの情報収集は、在外中国人だけに留まらないのは言うまでもありません。各国に展開している中国警察の拠点とTikTokからの情報で、場合によっては日本の警察以上に、中国警察が日本人各個人の動向を把握している可能性すらあります。

TikTokは撮影者などの顔から撮影場所、周辺の風景などの情報が認識可能です。膨大な数の動画をデータ化すれば、日本各地のさまざまな人物や場所の情報を得ることができます。もちろん、撮影ではなく見る側についても、地域の年齢構成から動画の好み、思想性までも把握されてしまう恐れがあります。

相手の好みがわかれば、親しく近づくことも容易ですし、さらに深くスパイ活動を行うことも簡単にできてしまいます。親中的な日本人、反中的な日本人を分別したり、在日スパイによって罠にはめる、意のままに動くように脅迫する、といったことも簡単でしょう。

米国としては、放置しておけばやがでそのようなことになりかねないことも懸念して、「警察署」を運営していたとみられる、2人を逮捕したのでしょうし、TikTokの使用制限がなされつつあるのでしょう。

米下院外交委員会は1日、米国で中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を全面禁止する権限をバイデン大統領に付与する法案を賛成24反対16の賛成多数で可決しました。

法案は今後、上下両院の本会議を通過し、バイデン大統領の署名が必要で、成立までの道のりは依然不透明だ。しかし成立すれば、1億人超とされるTikTok利用者に影響が及ぶ可能性があります。TikTokに限らず、中華アプリにはその危険性があることは認識すべきです。

日本には現在スパイ防止法がないため、警察は表立った犯罪事実がないと動きようがないということは良く言われていますし、多くの人が知っている事実です。そのため、日本においてはスパイ防止法の制定は必須です。

しかし、犯罪事実がないと動きようがないというのは、スパイ活動そのものをしていることが明白であっても、それだけでは逮捕したりできないということですが、犯罪事実があれば、逮捕できるということです。

たとえば、あなたが中国側に弱みを握られて、中国スパイから情報を求められたり、何かの違法行為をそそのかされたとして、それだけでは警察も動かないですが、それを放置すれば、いずれ脅しなどをかけてくる可能性があります。

中国スパイもいきなり、拉致や殺傷などの挙には出る前にまずは何らかの方法で嫌がらせや脅しに出でくる可能性が高いです。そうなれば、警察が動く可能性がありますし、脅しなどの現行犯等では逮捕できます。

これにうまく対処するには、恐喝などを受ける前に、警察などに相談し、予め恐喝等に備えるなどのことをしておけば、警察はこれを逮捕する等こともできます。

犯罪に手を染めたり、気密情報を漏らしたり、暴力被害にあったり、拉致されるなどのことを避けるためにも、もし中国スパイからの接触があった場合などには、このようなことを頭に入れておいて、行動すべきでしょう。このようなことで、人生を詰んでしまったり、被害を受けたりすることは避けるべきです。

それにしても、スパイ防止法があるにこしたことはないのは確かです。早く成立させて欲しいものです。成立すれば、政界、財界、学界、マスコミなどかなりスパイに浸透されていることが暴露されることになるでしょう。それを嫌がる人が大勢いるので、なかなかスパイ防止法が成立しないのでしょう。そのような圧力に負けず、是非成立させていただきたいものです。

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