2023年4月7日金曜日

南西有事想定、地形把握図る必要 陸自ヘリ事故―【私の論評】ヘリ墜落は、中国の偵察気球やドローンに衝突したという可能性を未だ否定しきれない(゚д゚)!

南西有事想定、地形把握図る必要 陸自ヘリ事故


 沖縄県の宮古島付近で起きた陸上自衛隊のヘリコプター事故では、九州南部を管轄する第8師団の坂本雄一師団長が事故機に搭乗し、行方不明になった。約5千人の部隊を擁する第8師団は、南西諸島有事の際に沖縄方面へ機動展開する主要部隊と想定されており、今回の飛行は、いつ有事が起きても対応できるよう備える目的もあったとみられる。

 「機体に搭乗していた坂本陸将ほか9名について、現在も発見に至っておりません」。浜田靖一防衛相は7日朝の記者会見で、夜を徹した捜索活動でも乗員の発見に至らない状況を声を詰まらせながら説明した。

 陸自は戦闘部隊や後方支援部隊などで構成され、基本的な作戦部隊となる数千人規模の師団と、より小規模な旅団を15地域に置く。沖縄県を管轄する第15旅団以外は全て機動展開部隊で、とりわけ中国の軍事的圧力が強まる先島諸島での有事には、近接する第8師団から一定規模の部隊展開が見込まれる。

 宮古島を含む南西諸島に展開する部隊は艦艇や航空機で島に上陸するため、島内の平らな場所や海岸部分の地形をあらかじめ把握しておくことが求められる。陸自元幹部は「師団長であっても部隊とともに現場へ向かうことはある」と話す。

 今回の飛行計画は、偵察飛行の「訓練」として行われた。自衛隊では、上層部の作戦指示による「任務」でない行動を現場指揮官の判断で行う場合は「訓練」の形をとる。坂本氏は3月30日付で師団長に着任したばかりで南西地域での勤務歴が乏しかったといい、ただちに偵察訓練の実施を判断した可能性がある。

 政府は昨年改定した「安保3文書」で、南西諸島防衛の強化をさらに図る方針を打ち出した。ある自民防衛族議員は「事故が防衛力強化に水を差すことはない。むしろ安全装置を拡充するなど予算を増やすべきだ」と語った。

【私の論評】ヘリ墜落は、中国の偵察気球やドローンに衝突したという可能性を未だ否定しきれない(゚д゚)!

まずは、今回墜落したヘリに搭乗していた方々が、全員無事発見されることを願いたいです。

本日はPM9時に高橋洋一が、陸自ヘリ墜落に関して、「緊急生配信」をしていました。その動画を以下に掲載します。


詳細は、この動画をご覧いただものとして、この動画でも高橋洋一が語っていたように、自民党党国防部会(部会長・國場幸之助衆院議員)と安全保障調査会(会長・小野寺五典衆院議員)は4月7日、合同会議を開き、陸上自衛隊第8師団第8飛行隊のUH-60JAヘリコプターの航空事故について防衛省から報告を受けました。

同機は6日15時46分、沖縄県宮古島市にある宮古分屯基地を離陸。その10分後、宮古島の北北西海域にて航空自衛隊のレーダーから同機の航跡が消失しました。10人の隊員が搭乗していました。現在、自衛隊の艦艇や航空機、海上保安庁による周辺海域の捜索・救難活動が続けられています。現場海域を航行する船舶等への被害は確認されていません。

捜索において、当該機種のものとみられる油が海面に浮遊していることや、当該機種と製造番号が一致する部品が発見されました。10人の隊員はいまだ見つかっていません。

そうして、高橋洋一氏も動画で指摘していたとおり、注目すべきはこの合同会議の席においての報告では、「航空機事故」とは未だ断定していないとされていることです。

「航空機事故」でないとすると、撃墜されたのかということにもなりかねませんが、こちらの可能性は低いと思います。ミサイルなどでの撃墜ということになれば、それ以前にレーダーなどで、ミサイルの存在が発見されるでしょうし、墜落したとされるヘリコプター側でも、直前にそれを発見できるはずであり、「チャフ」や「フレア」を発射して回避行動をとるとか、少なくともミサイルで迎撃されそうな状態にあることを報告できたはずと考えられます。


航空機事故以外でもっともありそうなのは、高橋洋一も指摘していたように、ドローン等との衝突も考えられます。

実際中国の偵察気球問題を機に、防衛省が今年2月には、対領空侵犯措置に関する武器使用の基準緩和に踏み切っています。背景には気球だけでなく、南西諸島周辺に飛来する中国の無人機が領空侵犯した場合でも、排除しやすくする狙いがあります。対処基準を公表することで、挑発的な行動を抑止する意味合いも持ちます。

要件緩和により、無人機の領空侵犯に対しては、従来の正当防衛や緊急避難だけでなく、航空路の安全確保を目的とした武器使用が認められることになりました。

浜田靖一防衛相は記者会見で今回の緩和措置により「民間航空機の危険を排除することができる」と強調。気球以外の日本周辺に飛来する無人機への対応も「領空侵犯し、自衛隊が対処する場合には(緩和措置は)当てはまる」と明言しました。

防衛省によると、領空に接近する無人機に対し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)したケースは2013年以降で15件。今年1月にも中国軍の偵察型無人機が沖縄本島と宮古島間を相次いで飛行しました。

偵察目的とみられる中国の無人航空機が、沖縄県の尖閣諸島や宮古島付近に飛来する事例が相次いでいる。過去1年半で、領空侵犯の恐れがあるとして航空自衛隊の戦闘機が緊急発進したケースだけで12件に上りました。

政府筋は「台湾海峡の緊張が高まれば、日本の対応を試すために無人機による領空侵犯が起きてもおかしくない」と指摘する。「ウクライナ侵攻でも無人機が多用されており、気球問題が武器使用基準の緩和を後押しした」と指摘しました。

旅客機の巡航高度は1万メートル付近。無人機や気球はさらに高い高度を飛行しますが、情報収集のために高度を下げたり、制御不能になったりして民間航空路に進入する可能性もあります。

ジャーナリストの有森香氏は、偵察気球についての記事を書いています。その記事より一部を以下に抜粋します。
米国での「気球」事件の後、2月中旬から3月にかけ、わが国の日本海側に中国のものとみられる気球が多数飛来していた。当初、空自戦闘機が緊急発進(スクランブル)で監視したが、その後、数があまりにも多いことや、政治的影響に鑑み、日本当局は「対処しない」と決定した。
この多数の偵察気球は当然のことながら、宮古島を含む南西諸島にも到来していたとみられます。
 
なぜ、中国がこの海域にドローンを頻繁に飛ばして、偵察するかといえば、この地域は日本の対中国の防衛拠点だからです。中国としては、この地域を経由して南太平洋や西太平洋に行けば、最短距離でいけます。そのため、この地域の防衛拠点は、中国にとっては、かなりやっかいで、邪魔な存在なのです。

22年度内に石垣島に陸上自衛隊の駐屯地が設置されました。19年の奄美大島や20年の宮古島に続いて地対艦ミサイル部隊が設置されました。地対空ミサイル部隊も設けて対空戦闘に備えます。

電磁波で敵の通信やレーダーを妨害する電子戦部隊を22年に南西諸島の3つの駐屯地・分屯地に設置しました。23年度には台湾に最も近い最西端の与那国島にも配置します。こうした南西諸島の防衛の強化については、以下の地図をご覧いただければ、ご理解いただけるものと思います。


今回の陸自ヘリの墜落は、こうした中国の偵察気球やドローンに衝突したという事実は未だ発見はされていませんが、否定することもできない状況だといえます。今後の調査を待ちたいです。

いずれにしても、我々は今回のようなことが起こりかねないほど、南西諸島は緊迫していることを認識しなければなりません。

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