2023年4月26日水曜日

「性自認」が焦点 LGBT法案、国会で議論開始へ 保守派は「差別」訴訟乱発、悪用を懸念 山田宏氏「拙速に進めることは慎むべき」―【私の論評】米英では、反LGBTの声も大きくなった昨今、周回遅れで拙速に法律を制定するな(゚д゚)!

「性自認」が焦点 LGBT法案、国会で議論開始へ 保守派は「差別」訴訟乱発、悪用を懸念 山田宏氏「拙速に進めることは慎むべき」


 終盤国会の焦点に、LGBTなど性的少数者に対する理解増進法案が浮上してきた。公明党などは来月広島で開催されるG7(先進7カ国)首脳会議前の成立を求めている。自民党は週内に党内議論を再開する方針を決めたが、党内保守派は自分の性別を個人の判断に委ねる色彩が濃い「性自認」という文言などを問題視し、慎重な議論を求めている。

 「理解増進のための取り組みや課題について復習したい」

 自民党「性的マイノリティに関する特命委員会」の高階恵美子委員長は25日、党本部での会合で、こう語った。

 法案は2021年5月に与野党の実務者間で合意したが、「性自認を理由とする差別は許されない」などの文言が加わったことで、自民党内で賛否が割れた。

 保守派は当時、「差別」の定義があいまいなことで訴訟が乱発したり、トイレや更衣室、お風呂などの利用で混乱が生じると懸念を示し、法案の国会提出は見送られていた。

 一方、世耕弘成参院幹事長は同日の記者会見で、「スケジュールありきで議論を拙速に進めると、逆に亀裂を深める」と語った。

 当事者団体からも慎重論が挙がる。性同一性障害の人たちでつくる「性別不合当事者の会」など4団体は先月、拙速な法案審議を避けるよう求める共同要請書を岸田文雄首相に送付している。

この問題をどうみるか。

自民党の山田宏参院議員は「『性自認』という言葉の定義すらはっきりせずに、法律の文言に入れるのは時期尚早ではないか。多くの人は、身体と心の性が違っていることは理解するだろう。ただ、『自分が考えたから男、女』というのでは、心の中の問題で証明しようがない。これを悪用することも懸念され、スポーツやトイレ、浴場などで、他の利用者が不安に陥ることにもなる。LGBTの側からも『性自認』にさまざまな意見がある。拙速に進めることは慎んだ方がいいと考える」と語った。

【私の論評】米英では、反LGBTの声も大きくなった昨今、周回遅れで拙速に法律を制定するな(゚д゚)!

米国の州レベルでは、反LGBT法が可決された13州、LGBT法令自体ない州が14州と米国の半分以上が「差別禁止法」がありません。国レベルで共和党の反対にあってLGBT法案を成立させられないバイデン政権に急かされて浮き足立つ日本の政治家の愚かさが恥ずかしいです。


米国大使が公明山口代表、維新の吉村知事、立憲の泉代表とも面談。当然、政権の官房長官、西村大臣などと精力的に会合。はては、欧州駐日大使と連名でLGBTの法整備を要求。バイデン夫人の岸田夫人への説得。異常です。日本は、米国の内政干渉に屈するべきではありません。

近年、LGBT政策推進の先進国と言われてきた米国では、多様性や差別禁止をといったポリティカル・コレクトネスを信奉する過激な急進リベラル派の活動により、価値観を押し付ける全体主義の様相が強まりつつありました。

これに反対する国民は対峙することになり、事実、社会の分断が認識されるようになり、文化戦争とまで言われるようになり、ついにはリベラルメディアまでもが行き過ぎたLGBT運動の弊害を直視し、客観的に精査する動きが出ています。

米英では教育者による行き過ぎたジェンダー教育の影響で、たった15分の医療診断で性適合手術に踏み込み、後に取り返しのつかない状況となり、医師らが訴えられ、集団訴訟となっていること等が報道され、大きな社会問題になっています。 

行き過ぎた性教育による子供のアイデンティティ形成に混乱が生じることを懸念した米国の10州では、既に誤りに気が付き、幼稚園や小学校低学年での性的指向や性自認に関する教育を禁止する州法を制定しています。

それらどころか、むしろ最近ではLGBTQに対する反発も強まっており、2017年1月時点ですら19の州で50件を超える「反LGBTQ法」が制定されました。LGBT理解増進を目的にしていたはずの条文が、かえって当事者に対するタブー意識を強めてしまうだけでなく、対立や分断を生じさせてしまうことになったのです。

現在平穏の中で生活している「そっとしておいてほしい」と考える性的少数者の当事者と国民全体を不幸にすることになってしまったのです。

米国では「差別を禁止する法律や条例を作ることを禁ずる州法」もあり、全米の31州では「スポーツの性区分は出生時の性とする」と州法で定めています。

東京五輪に出場したトランスジェンダー・アスリート

英国では、「トランスジェンダーであると主張した性犯罪者が女子刑務所に収監され、女性の囚人をレイプ」「性別違和を訴える思春期女子が急増」「思春期抑制剤や性交差ホルモンの投与、外科手術など性別適合治療を受けた後で健康被害を訴えたり、元の性別に戻す事例が現れる」など、LGBT問題、特に「性自認」をめぐるトラブルや事件が注目を集めています。 

スコットランドでは性別変更の要件を簡素化する法律が昨年末に可決されましたが、女性スペースが危機にさらされるなどの批判もあって英国政府が実効化を阻止しました。 

日本にも同様の軽薄な状況がマスコミの後押しで広がっていることを直視する必要があります。 

これに対して英国政府は1月17日、同法案は国内の性専用スペースに身震いするような影響を及ぼすとして、国王による同意を得ることを阻止しました。青少年の性同一性サービスに関する中間レビューによれば、定期的かつ一貫したデータ収集が行われていないため、子供たちがジェンダー・サービスによってたどる経路や結果を正確に追跡できないため、特定のイデオロギーの理論的観点からデータを解釈する危険性が高いといいます。

性の多様性と「性的自己決定権」を尊重する「包括的性教育」によって、子供たちの性転換手術が急増し、大混乱に陥った英国が今、「性自認」の扱いに苦慮している現状、小学生に性の多様性と「性的自己決定権」を教えた米国で「差別を禁止する法律や条例を作ることを禁ずる州法』が制定され、性教育をめぐって親と学校の対立が深刻化している現実を直視する必要があります。

LGBT理解増進法の審議は先送りされたとされましたが、復活の可能性も出てきました。「こども家庭庁」が発足し、秋までに策定する「こども大綱」に向けて審議が本格化します。子供の最善の利益・ウェルビーイングを第一に考える「こどもまんなか社会」の実現に向けた「性の多様性尊重」の法律や条例はいかにあるべきかについて、欧米の教訓を踏まえて、慎重に議論を尽くす必要があります。

法律を制定するにしても、しないにしても、拙速に決めるべきではありません。米英などで多数発生した問題も踏まえて、じっくり検討してからにすべきです。

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