2023年4月27日木曜日

韓国への戦略原潜派遣、北朝鮮の攻撃から守る米国の決意示す―【私の論評】日本も日米「核共有」を検討し、中露北のミサイルを牽制できる「極超音速ミサイル」の配備を急げ(゚д゚)!

韓国への戦略原潜派遣、北朝鮮の攻撃から守る米国の決意示す

4月27日 バイデン米大統領と尹錫悦韓国大統領が合意した「ワシントン宣言」に基づき、米軍は核兵器を搭載できる弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)を韓国に派遣する。写真はジョージア州キングスベイの潜水艦基地に戻ったオハイオ級原子力潜水艦アラスカ。

 バイデン米大統領と尹錫悦韓国大統領が合意した「ワシントン宣言」に基づき、米軍は核兵器を搭載できる弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)を韓国に派遣する。SSBNの寄港は1980年代以来で、北朝鮮の攻撃から韓国を守るという米国の決意を示す。

 SSBNは秘密裏に行動するため、外国での寄港を公にすることはほとんどない。

 韓国の元潜水艦長Moon Keun-sik氏は「潜水艦の位置情報は通常明らかにされないため、北朝鮮にとって大きな圧力となり得る」との見方を示した。

 SSBNの寄港には韓国を安心させ、自国産の核兵器開発を思いとどまらせるという狙いも透ける。

 別の元潜水艦長Choi Il氏は「米国のSSBNが韓国に寄港するのは非常に珍しく象徴的なことだ」と指摘。「米国は抑止力の強化を目に見える形で示し、韓国の懸念を抑えたい考えだ」と語った。

 米海軍は現在14隻のSSBNを保有している。「オハイオ」級は1隻当たり20基の潜水艦発射弾道ミサイル「トライデントII D5」を搭載。同ミサイルは1基当たり最大8発の核弾頭の搭載が可能で1万2千キロ離れた目標を攻撃できる。

 米国科学者連盟(FAS)の報告書によると、1970年代にはSSBNが定期的に韓国に派遣されていた。数年間ほぼ毎月、時には月に2─3回安定したペースで寄港していたが、81年に停止され、それ以降は再開されていないという。

 SSBNの寄港に関する詳細は明らかにされていない。米政府高官は記者団に、空母、潜水艦、長距離爆撃機などの「戦略資産」をより頻繁に朝鮮半島に送ることになり、SSBN派遣はその一環と説明した。

 その上で「これらの戦略資産や核兵器を韓国に常駐させたり、基地化したりする計画はない」と言明した。

【私の論評】日本も日米「核共有」を検討し、中露北のミサイルを牽制できる「極超音速ミサイル」の配備を急げ(゚д゚)!

バイデン大統領は26日、ホワイトハウスで韓国のユン・ソンニョル大統領と首脳会談に臨み、核・ミサイル開発に一段と拍車をかける北朝鮮に対し、アメリカの核戦力を含む抑止力で同盟国を守る「拡大抑止」について、意見を交わしました。

会談後の共同記者会見でバイデン大統領は「アメリカや同盟国などへの北朝鮮の核攻撃を許さない。そうした行動を取れば、いかなる体制でも終わりを迎えることになる」とけん制しました。

会談後、両首脳が発表した共同声明には、北朝鮮の脅威に対する拡大抑止に加え、日米韓3か国の関係強化などについても盛り込まれています。

このうち、日米韓3か国については「両首脳は共通の価値観にもとづいた協力関係の重要性を強調した」とした上で「バイデン大統領は日韓関係改善に向けたユン大統領の大胆な決断を歓迎した」としています。


今後、核弾頭を搭載したオハイオ級等のSSBNが韓国に定期的に訪問し、交替制で韓国に常時核が存在することになるでしょう。

一方、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は26日の記者会見で、日本や周辺地域に核兵器を搭載できる戦略原子力潜水艦の母港を置く可能性について問われ、「そのような計画はない」と否定しました。 

日本では、核に対する忌避感が未だ強いことに配慮したのでしょう。

かつて、安倍晋三元総理はNATOと同様の米国と日本の「核共有」主張しました。この「核共有」とは、日本と米国が核兵器を共有し、日本が核の抑止力を持つことを意味しています。この考え方によって、日本は以下のようなメリットを享受することができます。


安全保障が強化される:日本が核の抑止力を持つことによって、外部からの脅威を抑止することができます。これによって、日本の安全保障が強化され、国民の安全が確保されます。

財政負担が軽減される:日本が自前で核兵器を保有することは財政的に非常に高額なものとなりますが、核共有によって、費用を分担することができます。このため、日本は財政的な負担を軽減することができます。

米国との協力関係が強化される:核共有は、日本と米国の協力関係を強化することにつながります。米国は、日本が核兵器を持つことによって、自国の安全保障も強化されるため、核共有は日米同盟の強化につながります。

ユン・ソンニョル大統領は、当初は米韓で「核共有」を目論んでいたのでしょうが、米国はまずは過去にも実施していたSSBNの定期的寄港から始めることから合意したものとみられます。

SSBNの寄港については、軍事的には無意味という軍事評論家もいますか、やはり北朝鮮にとっっては脅威です。北が核ミサイルを発射すれば、米軍としては最悪、これに向けて核ミサイルを打ち込めば、確実にこれを破壊できます。しかも、北朝鮮の近くから打つということで、確実に早期に仕留められます。

仮に北朝鮮のミサイルがロフテッド軌道を取ったにしても、核ミサイルを含めて、かなり大きな部分が同時に破壊されることになります。

韓国は、今後も米国と「核共有」の話をすすめていくことになるでしょう。米国がなぜ今回、SSBNの派遣を決めたかというと、いきなり「核共有」の前に、まずはしばらく中止していたSSBNの派遣することにより、これから徐々にハードルをあげていくことを北朝鮮に示したものとみられます。

米国は核を搭載できる、B21爆撃機の昨年12月3日に公開もしたばかりです。この戦力化がある程度進めば韓半島への展開だけでなく場合によって暫定的または循環配備も可能になるでしょう。中国、ロシア、北朝鮮にとっては、ステルス性能がないB1、B52爆撃機よりはるかに脅威です。

昨年暮公開された米軍B21爆撃機

中露北には、新たな戦略爆撃機の開発計画はなく、米国がこれを随時展開すれば米国の抑止の拡大は、彼らにとってさらに大きな脅威になります。

米韓で検討されている金正恩が恐れるもう一つの軍事対応は「ダークイーグル(Dark Eagle)ミサイル」(LRHW)の実戦配備でしょう。

このミサイルの発射が初公開されたのは一昨年でした。2021年10月77日、ワシントン州タコマ市郊外にある米陸軍のルイス=マコード統合基地に、開発中の新型中距離ミサイル「LRHW」の試作型発射機が送られ初公開されました。

「ダークイーグル」は、陸海空共通の極超音速滑空体(C-HGB)を弾頭に使う極超音速滑空ミサイルで、マッハ17、射程2775km以上の最新式の新型中距離ミサイルです。

ダークイーグルの発射想像図

この「ダークイーグルミサイル」の韓国配備を金正恩は恐れているのでしょう。4月10日の党中央軍事委員会で、金正恩が韓国の地図を映し出し指さしている場面がありましたが、「ダークイーグル」対策を語ったかもしれないです。このミサイルが韓国の平沢(ピョンテク)市にある米軍基地(キャンプ・ハンフリーズ)に配備されれば、平壌へは1分、北京は3分で精密打撃できます。

北朝鮮から日本まで核ミサイルが飛んでくる時間は、約6 〜7分です。発射されてすぐにこれを発射すれば、撃墜できる可能性はかなり高いです。日本で言われているロフテッド軌道をとるようなミサイルであっても、発射後1分以内なら、その軌道を取る前に撃墜できます。

今後、二重三重に米国が選択できる手段はあります。北朝鮮にはこれに対抗手段を取るのは難しいです。

日本も、「核共有」や「ダークイーグルミサイル」の配備の検討、もしくは自国で開発する体制を整えるべきです。

岸田文雄首相は2月15日の衆院予算委員会で、米国の核兵器を日本国内に起き、共同運用する「核共有」政策について、今後の検討を改めて否定した。安全保障環境の厳しさなどを理由に検討を促した自民党石破茂元幹事長に対し、「政府として議論することは考えていない」と答えました。

日本も「極超音速ミサイル」の開発をすすめています。日本も、韓国なみに米軍の「SSBNの派遣」、「核共有」、「ダークイーグルミサイル」の配備も検討すべきです。検討するだけでも、抑止になります。そうして、これらは北朝鮮だけではなく、中国やロシアに対して抑止につながることはいうまでもありません。

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