2023年3月26日日曜日

中国で拘束男性はアステラス社員 国内法違反か―【私の論評】中共による邦人拘束等では牽制できなくなった、岸田政権による日本の対中国構造変化(゚д゚)!

中国で拘束男性はアステラス社員 国内法違反か


 中国の国内法に違反したとして北京市で今月、当局に拘束された日本企業幹部の50代の日本人男性が、アステラス製薬の社員であることが26日、分かった。アステラスの広報担当者が共同通信の取材に「拘束されたのは当社の社員で間違いない」と明らかにした。

 男性の肩書や年齢、拘束に至る経緯といった詳しい内容は「個人情報の観点に加えて、分かっていないことも多い」として明らかにしなかった。アステラスは「外務省を通じて情報収集をしていく」と説明している。

 男性は反スパイ法などの疑いをかけられた可能性もある。日本政府は早期解放を中国政府に求めている。

【私の論評】中共による邦人拘束等では牽制できなくなった、岸田政権による日本の対中国構造変化(゚д゚)!

昨日は、このブログで、岸田政権が中国に対峙する姿勢をとってきたことを述べました。

岸田首相は、昨年9月安倍元総理の国葬の時に、台湾は献花の際、国名や国際機関名などを読み上げる「指名献花」の対象とし、今年1月には新日英同盟を締結、2月には岸田文雄首相に対する孔鉉佑(こう・げんゆう)中国大使の離任あいさつの申請を断り、その後今月は丁度習近平がロシアを訪問していた時の、インド訪問直後にウクライナ訪問をしていました。

日本人が中国で拘束されたニュースは今月25日ですが、実際に拘束したのは、ウクライナ訪問の前であったと考えられます。絶好のタイミングの岸田首相のウクライナ訪問で、中国はメンツを潰された形になりました。

中国としては、中国大使の離任挨拶を断った日本に対して、意趣返し、もしくは牽制のため、日本人を拘束した可能性があります。こうした圧力にも屈せず、岸田首相はウクライナ電撃訪問を果たしたと見られます。

ただし、日本政府関係者は「首相と大使は対等ではない。外交儀礼上は何ら問題ない」と説明。日本の前駐中国大使の離任時に習氏ら最高指導部との面会が実現しなかったため日本側には「相互主義の対応を取る必要がある」との判断もあったといいます。

令和元年(2019年)6月11日、当時の安倍総理は、総理大臣官邸で中華人民共和国の着任したばかりの孔鉉佑(こう・げんゆう)駐日大使による表敬を受けました。孔鉉佑大使の大使着任目的の一つには、2020年春に予定されていた中国の習近平国家主席の国賓としての日本訪問を実現させることがあったと考えられます。

孔鉉佑駐日大使の表敬訪問を受けた安倍総理(当時)

2019年7月2日、孔鉉佑大使夫妻は東京のホテルニューオータニで盛大に着任パーティーを開催しました。日本の福田康夫、鳩山由紀夫両元首相、世耕弘成経済産業大臣、吉川貴盛農林水産大臣、西村康稔官房副長官、阿部俊子外務副大臣、和泉洋人首相補佐官ら政府高官、自民党の二階俊博幹事長、公明党の山口那津男党首、日本維新の会の片山虎之助共同代表ら与野党の首脳および衆参両院の百名近い国会議員、友好団体、経済界、主要メディア、シンクタンクの学者ら各界の人々、各国駐日使節および在日華僑華人、留学生、中国系企業の代表ら1000人余りが出席しました。

しかし、2020年3月に安倍政権は、コロナ感染症の拡大などを理由にし、習近平来日を断っていました。それ以来、日本政府は未だ、習近平の国賓待遇での来日を実現させていません。

習近平の国賓待遇での日本への招待が実現していれば、中国の国際社会の復帰への拍車がかかった可能性があります。さらに、この後に天皇陛下が中国訪問ということになれば、1996年の天皇(元上皇)中国訪問の再来になりかねませんでした。

当時は、1989年6月4日の天安門事件に対する西側諸国による厳しい対中経済制裁が行われていましたが、天皇訪中を皮切りに、西側諸国は制裁を解除したのです。

ところが、安倍元総理の国葬が執り行われた、9月27日のわずか2日後の9月29日、日中国交正常化50周年記念レセプションが、都内のホテルで開催され、林外相をはじめ、二階俊博元自民党幹事長(日中国交正常化50周年交流促進実行委員会最高顧問)、福田康夫元総理(同委員会最高顧問)、河野洋平・元衆院議長など、自民党の「親中勇士」たちが顔を揃えたのです。

いずれも日中友好を讃え、「中国なくして日本の経済は成立しない」というトーンの中で祝い合ったのです。

以下の写真は、日中国国交正常化50周年レセプションで乾杯する(右から)林芳正外務大臣、二階俊博衆議院議員、河野洋平日本国際貿易協会会長、福田康夫元内閣総理大臣、十倉雅和・日中国交正50周年交流促進実行委員長、孔鉉佑・中国駐日大使です。


当然のことながら、これには多くの保守派が憤り、林外務大臣の参加を放置したともみられた岸田政権にも批判が集まりました。

しかし、今回の一連の岸田総理の動きで、これらの動きはことごとく葬り去られたといえます、中共はもとより自民党内の親中派議員も、ことごとく梯子を外され、地面に叩きつけられたと言って良い状況になりました。

中国で邦人がスパイ容疑で逮捕された場合、日本が普通の国であれば、国内の中国人スパイをスパイ容疑で逮捕、身柄交換をします。ただし日本でまともなスパイ防止法がないので、今後は、これをまともに整備すべきです。

特定秘密保護法やセキュリティクリアランスはそのための前提です。このような制度改革が行われたとしても、普通に生活している人には、何の関係もありません。にもかかわらず、これに反対する人はどういう人なのか、誰にもでも理解できます。


岸田文雄首相は24日の参院予算委員会で、放送法の「政治的公平」を巡る総務省の行政文書を「捏造(ねつぞう)だ」と主張した高市早苗経済安全保障担当相について、野党から要求された罷免を拒否しました。立憲民主党の石垣のりこ氏への答弁において「いきなり更迭うんぬんはあまりに論理が飛躍している」と述べました。

セキュリティー・クリアランスを推進している高市大臣がこのような扱いを受けたことに対して、岸田首相がこのような発言をするのは当然のことだと思います。

先日このブログでは、岸田首相がキーウを訪問した2023年3月21日は、21世紀の世界において、日本と中国が真逆の立場を鮮明にして、別の道を進み始めた「運命の日」として記憶されることになり、 これから、日中関係が大きく変わることになると記しました。

しかし、説明が足りなかったので、何のことかご理解いただけない部分もあったと思います。本日は中国での邦人拘束を題材としながらも、この補足説明もさせていただきました。

もうこの方向性は、岸田首相によって誰も変えられない次元にまで変えられてしまい、構造変化を起こし、親中・媚中派議員が、今後何をしても、騒いでもほとんど意味を持たなくなりました。中国も日本人拘束などで、日本に牽制をしたとしても、尖閣で暴れても、その他の戦狼外交等を仕掛けたとしても、この流れは変えられなくなりました。

来るG7サミットにおいても、岸田首相はこの路線を固辞し、G7広島サミットに臨み、中国への対峙の姿勢を明確にし、日本はかつての安倍政権の時のように、世界をリードする可能性が高まったといえます。

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