2023年3月15日水曜日

ホンジュラス大統領、「中国との国交樹立を指示」と発表 外交部「わなにはまるな」/台湾―【私の論評】ホンジュラスの中国への寝返りがかすむ米国の台湾紛争抑制法(゚д゚)!

ホンジュラス大統領、「中国との国交樹立を指示」と発表 外交部「わなにはまるな」/台湾

ホンジュラスのカストロ大統領


中華民国(台湾)と外交関係を結ぶ中米ホンジュラスのカストロ大統領は14日、ツイッターで、中国との公式な関係の樹立を取り計らうようレイナ外相に指示したと発表した。これを受けて外交部(外務省)は15日、ホンジュラス政府に対して「厳正な関心」を表明したと報道資料で明らかにし、「中国のわなにはまってはならない」と慎重な判断を求めた。

中華民国とホンジュラスは1941年に国交を樹立した。外交部は、台湾が信頼できるパートナーであることをこれまでに繰り返しホンジュラスに伝えてきたことを明かした上で、能力の及ぶ範囲において国家建設の発展を支援してきたと言及。中国がホンジュラスとの関係の発展を狙う唯一の目的は、国際社会における台湾の空間を圧迫することにあると指摘し、ホンジュラス国民の福祉に有益な協力関係を推し進めていく心からの思いはないと訴えた。その上で、台湾との長年来の友好関係を損なう誤った決定を下さないよう呼び掛けた。

「ホンジュラスは中南米の重要な国交樹立国」だと強調し、ホンジュラス政府や社会の各界に対する説明や意思疎通を引き続き強化していく方針を示した。

これに関し、駐台ホンジュラス大使は現時点では中央社の質問に回答していない。

【私の論評】ホンジュラスの中国への寝返りがかすむ米国の台湾紛争抑制法(゚д゚)!

ホンジュラスといえば、前大統領のエルナンデス大統領は、親台派でした。2021年11月13日台湾を訪問し、蔡英文総統と会談しました。中国と台湾の外交上の綱引きは中米の政治にも影響を与えています。  

ホンジュラスでは同年11月28日に大統領選挙が行われましたが、無所属の有力候補の一人であった現大統領カストロ氏は「当選した場合、台湾と断交し、即座に中国と外交・通商関係を結ぶ」と主張していて、台湾は強い危機感を示していました。

エルナンデス全大統領は、立候補していませんでしたが、「大統領選挙の結果、国民が台湾との交流を選択することを願う」と後継候補への支持を表明していました。大統領選の結果は、無党派のカストロ氏が当選しました。

中南米カリブ海地域には台湾と外交関係を持つ15カ国中9カ国が集中。長年、中台の「外交戦争」の最前線となってきました。台湾は、欧州連合(EU)欧州議会の代表団や米議員団の訪問を相次いで受け入れており、台湾と中国との駆け引きが活発化しています。

今回は、長年台湾と外交関係を維持してきた、ホンジュラスが台湾と断交することを決めたのです。


当時、断交を明言するカストロ氏の伸長に、台湾は強い危機感を示しました。台湾とホンジュラスは21年、外交関係の樹立から80年を迎えました。台湾外交部(外務省)はカストロ氏の発言について「中国は私たちの外交関係が不安定だとの誤った印象を与えるため民主的な選挙を利用している」と訴え、カストロ氏の背後に中国が存在すると示唆しました。

ただカストロ大統領は、中華民国(台湾)から中華人民共和国に承認先を替える計画はないと述べた上で、台湾副総統の頼清徳氏に対し、台湾との関係強化を約束しました。また、カストロのスポークスパーソンは、彼女が「当面の間、一つの中国への支持を変更・転換する考えはない」と述べていました。

現在台湾を国と認めているのはバチカン市国を含め世界で14カ国しかありません。うち7カ国は南太平洋やアフリカ沖の小さな島国で、主軸は中南米だ。と言っても、南米はパラグアイ1国、中米はグアテマラ、ホンジュラスと、81年に英国から独立した小国ベリーズ、そしてカリブに浮かぶ島国、ハイチです。

今回ホンジュラスが中国に寝返ってしまったので、もはや中米は台湾にとって「拠点」とは呼べなくなってしまいました。

中国と台湾の国交レースが始まったのは1970年代初頭です。71年の米ニクソン政権による対中接近、毛沢東率いる中国の国連復帰と中華民国(台湾)の国連脱退を機に、78年までに日本を含めた80カ国近くが雪崩を打つように中国と国交を結びました。

この時期、台湾の承認国は22カ国で底を打ち、その後、上下を繰り返す。李登輝総統時代の98~2000年にかけて、台湾の攻勢が最も華々しく、外交関係にある国は95年、30カ国に達しました。

ところが、アフリカにおける台湾の牙城だった南アフリカは98年、中国と国交を結びました。マンデラ政権の与党、アフリカ民族会議が反アパルトヘイト運動の中、長く中国から支援されてきたためです。その後もアフリカで大規模な援助外交を繰り広げる中国は、03年にリベリア、05年にセネガル、06年にチャド、07年にマラウイと相次いでアフリカ諸国との国交を台湾から奪いました。

援助攻勢で小国をつなぎ留めておく意味はあるのか、という議論も台湾にはあり、08~16年の馬英九総統時代には「外交休兵」が提起され、このころ、レースはさして進みませんでした。

ところが、16年に始まる蔡英文政権下、中国の習近平体制からの圧力が強まり、台湾は17年にパナマを、18年にはドミニカ、エルサルバドルまで奪われました。そして昨年12月にはニカラグアも台湾から中国に乗り換えました。

そんな逆風の中、ホンジュラスがつい最近まで台湾を維持してきたのは、米国の存在があったからです。

従来、例えば98年に南アフリカが台湾を切る際、米クリントン政権からは特段の外交圧力はありませんでした。米国の影響力が最も強い中米の国で「絶対に台湾とは断交しない」と歴代大統領が公約してきたエルサルバドルが18年に台湾から離れたときも、米国の言い分は重視されませんでした。

一方、22年1月のホンジュラス大統領カストロ氏の就任式にはバイデン政権のハリス副大統領が列席し、その存在感をアピールしました。両国は中米から米国への移民を抑えるプロジェクトで合意し、米国からの投資促進も約束さていました。

ホンジュラスと米国との緊密さに中台問題は本来関係がないですが、ここに来て、米国と中国の対立が微妙に影響し始めていたようです。「中南米における中国の影響を抑えるため」といった露骨なことをハリス氏は言いませんでした。

カルロス大統領就任式に出席するためホンジュラスに降り立つハリス米副大統領。就任式の際、同じく出席していた台湾の頼清徳副総統と異例の「直接会話」を行った。

しかしホンジュラスとしてはそれなりのそんたくを働かせたのか、早々に「台湾維持」を発表していました。

台湾が国交国を失うケースは近年頻発していますが、ここで特に記しておきたいのは、以上で「台湾と断交」と書いてきたのですが、正確にはこれらの国々は「中華民国」と断交したのです。

その背景にあるのが、中華人民共和国の唱える「ひとつの中国」政策です。中華人民共和国が南アフリカをはじめとする各国に対して迫ったのも「中華人民共和国を認めるか、中華民国を認めるか」という選択でした。

言い換えれば、台湾が国交国と断絶し、失っていく原因は、この中華人民共和国が唱える「ひとつの中国」政策といって良いです。台湾が1971年に国連を追放されたのも、中国を代表する正統政府は中華人民共和国だと認められたからであり、「台湾」という名義で国連に残るという選択肢がないわけではなかったと言われています。

台湾は現在にいたるまで国連に加盟出来ておらず、国連の関連組織である世界保健機関(WHO)や国際民間航空機関(ICAO)への限定的なオブザーバー参加さえ、中国の圧力によって妨害されることが多いです。これもまた「中華民国」という名称が大きな要因となっているといえます。

とはいえ、台湾がその国名「中華民国」を名称変更するのはそう容易なことではありません。選挙のたびびに有権者が「台湾」か「中華民国」かで割れるうえ、総統が演説の中で「中華民国」を何回使ったか、が台湾ではニュースになるほど賛否が分かれる状況です。

であるならば、台湾を取り巻く日本をはじめとする国際社会はどのように台湾と接していくべきでしょうか。それに有効な解決方法がすでに日台や米台の政府間で進められている「積み木方式」による各種協定の締結です。

日本と台湾は国交がなく、他の国家のように条約を締結することが出来ません。例えばFTAを結ぶにしても、中国による妨害も考えられ現実的ではありません。

そこで、包括的な条約を結ぶのではなく、投資や租税、電子取引や漁業など、個別の協定を結ぶことを、あたかも積み木を積み上げていくことで、実質的にはほぼFTAを締結したのと等しいレベルにまで持っていくことです。。

現在、台湾は中国の圧力により、いっそう国際社会における外交空間を狭められています。しかし、知恵を絞ることによって外交関係がなくとも、実質的には国家間とほぼ同等レベルの密接な関係にまで作り上げられるというモデルが日台間で実現、その成功例を世界に発信していくべきです。

さらに、日本としては、台湾をTPPに参加してもらうことにより、積み木をさらに高く積み上げることができます。そうして、民主化され市場の自由度も高い台湾はTPPに加入することは可能です。全体主義国家の中国は、市場の自由度も低く、そもそも固定相場性ですから、最初からTPPに入ることはできません。

TPPと積み木方式での各種協定により、日台は実質的に外交関係にあるのと同じことになります。これをモデルとして世界に示すことこそ、日本の使命であり、これを実現し、G7の国々が似たようなことをすれば、ホンジュラスのような国が中国側に寝返ったとしても、あまり影響がなくなります。

一方、米国は台湾関連法案を新設したり、改定しています。2月28日、米連邦議会下院金融委員会は台湾に関する3つの法案を圧倒的な多数で可決、台湾紛争抑制法案、台湾保護法案、台湾差別禁止法案」の3つ、その中で特に注目すべき台湾紛争抑制法案です。

中国が台湾に侵攻すると中共幹部は乞食になる・・・・?

本案には、米国財務省に中国共産党幹部とその親族たちの在米資産の調査を求める条項と、米国金融機構に対し中共幹部と親族に金融サービスを提供することを禁じる条項が含まれているからです。

これは、中国共産党に対して大変な威力のある「戦争阻止法案」となるでしょう。共産党政権を支える高官たちの大半(もっといえばほとんど)が米国に隠し資産を持っていることは「公開の秘密」でもあります。

それが米国の法律によって凍結・没収される危険性が生じてくると、共産党幹部集団にとっての死活問題となるからです。ちなみに米国には、5200億米ドル(約70.2兆円)の中国の特権階級の資産があるとされています。

一方SNS上で再び「中国人100人がスイス銀行に7兆8000億元、預金している」という噂がネットユーザーの間で広まっていまい。福建省当局はその「デマ」を検証し、ネットの噂は事実ではないと打ち消しました。

スイス連邦経済事務局のイネイヘン・フライシュ局長が、仮に台湾海峡情勢が変化すれば、EUの制裁に従うと明言した事と関連があるのではないでしょうか。

米国やスイスの銀行口座に資産を置いている同党幹部らは、ロシア・ウクライナ戦争を目の当たりにし、背筋が寒くなっているのではないでしょうか。

このようなことは、法律があろうがなかろうが、戦争になれば、普通は資産が凍結されることは、最初から分かりきっていることなのに、中国としてはホンジュラスで意趣返しでもしたつもりかもしれませんが、それにしても、中共の幹部らは、自分たちがいかに脆弱の基盤の上に立っているのか思い知らされたことでしょう。

かといって、中共幹部らは、資産を中国の銀行に預けることも不安なのでしょう。ということは、中共幹部は中国の未来を信じていないということを意味するのですが・・・・。

そんなことはないという人もいるかもしれませんが、お金は正直です。日本や西側諸国には、自国の金融機関に資産を預けない人などいません、これは自国の未来を信じているからです。

今後も米国は台湾関連法をさらに強化し、日本は台湾との間で様々な条約などを積み木方式でさらに積み上げ同盟関係に近いところまで持っていくべきです。

そうして、日本は米国を見習い、台湾関連法案も改定、新設すべきですし、米国はTPPに復帰すべきでしょう。

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