2023年3月29日水曜日

〝G7明け解散説〟浮上、岸田首相は決断するのか 「ウクライナ電撃訪問」など内閣支持率回復の兆し 与野党に思惑、駆け引き―【私の論評】岸田首相解散総選挙で支持率拡大の可能性は高まったが、長期安定政権にするにはまだ実行すべきことが(゚д゚)!

〝G7明け解散説〟浮上、岸田首相は決断するのか 「ウクライナ電撃訪問」など内閣支持率回復の兆し 与野党に思惑、駆け引き


 自民党内で「早期解散論」が浮上している。統一地方選を含めた4月決戦に勝利すれば、今国会会期末(6月21日)までに衆院を解散し、総選挙に踏み切るのが得策という見方だ。岸田文雄首相のウクライナ電撃訪問などで内閣支持率が回復している一方、立憲民主党などの支持率が低迷している背景もある。岸田首相は決断するのか。


 「間違いなく取り組んでいかなければいけない課題は統一地方選と衆参の補欠選挙だ。先送りできない課題に取り組む。今はそれしか考えていない」「支持率に一喜一憂することなく、やるべきことをやっていく」

 2023年度予算が成立した28日、岸田首相は記者団に解散総選挙の可能性を問われ、こう明言を避けた。

 岸田内閣の支持率が好調だ。

 日経新聞とテレビ東京の共同世論調査(24~26日)では、内閣支持率は2月の前回調査から5ポイント増の48%となり、7カ月ぶりに支持率が不支持率(44%)を上回った。岸田首相が直前に断行したウクライナ電撃訪問(21日)や、日韓首脳会談(16日)が支持率を押し上げたとみられる。

 一方、この1カ月、放送法文書問題を追及し続けてきた立憲民主党の支持率は8%と、前回比1ポイント減だった。候補選定も道半ばという。

 これらを受け、自民党内で「早期解散論」が高まっている。

 4月の衆参補選や統一地方選に勝利し、5月に岸田首相の地元・広島で開催されるG7(先進7カ国)首脳会議の成功を追い風に、国会会期末までに解散するとの算段だ。

 ただ、連立を組む公明党は慎重だ。

 山口那津男代表は28日、予算成立後のあいさつ回りで、国会の公明党控室に訪れた岸田首相に対し、「いよいよ統一選ですね。解散じゃありませんね?」と、あえて記者団の面前で〝ジャブ〟を放った。

 岸田首相は「統一選です。補選もあります」と答えた。

 衆院の任期満了は25年10月で、岸田首相は来年(24年)秋の自民総裁選も念頭に解散時期を検討するとみられる。

 高まる早期解散論をどう見るか。

 政治評論家の有馬晴海氏は「内閣支持率が回復し、統一地方選、広島サミットの成功を踏まえれば、岸田首相が6月以降に解散に踏み切る可能性がある。予算が着実に成立するなか、野党への支持は拡大せず、次期首相候補も見当たらないことは、岸田首相の自信になる。年末に向けて、国防強化や少子化対策の財源問題が焦点になれば厳しい局面を迎える。時間が経てば、新たな不祥事などのリスクもある」と語った。

【私の論評】岸田首相解散総選挙で支持率拡大の可能性は高まったが、長期安定政権にするにはまだ実行すべきことが(゚д゚)!

最近、労働参加率の落ち込みについて、日経新聞が意味不明の記事を書いています。下の動画は、高橋洋一氏がその記事について説明したものです。

この動画をご覧いただくと、日本は他国に比較すると、コロナ禍においても、労働参加率が他国のように大幅に落ちることなく、コロナ後も力強く回復しており、日本は他の先進国においては、雇用に関しては大成功といえることを説明しています。


日本の、雇用調整助成金制度は、日本独自のものであり、欧米にはありません。この仕組は、失業率があらかじめめ上がりそうなことが予想された場合、労働者にではなく、雇用主に補助金を支給し、労働者を解雇させないようにします。

欧米では、解雇された労働者に補助金を提供するという形式が多いですが、このやり方だと、景気が回復したときに、企業はまた人を雇用し始めるのですが、解雇してしまった労働者と同水準の労働者を雇うことは難しく、一定期間の教育や訓練が必要となり、労働力が回復するには時間がかかります。労働参加率はすくに高まりません。

日本のような方式だと、景気が悪くなった場合、雇用主に補助金を提供するため、景気が悪くても、雇用が維持されたままの状態なので、労働参加率は不況時にも下がることもなく、景気が回復した場合、企業はそれにすぐに対応して、増産などがすぐにできます。

安倍・菅両政権においては、増税することなく、100兆円の国債を発行し、日銀がそれを買い取る形で、補正予算を組みコロナ対策を実行しました。さらに、雇用調整助成金制度をフル活用したため、世界の先進国の中でも日本だけが、労働参加率を落とすことなく、コロナ禍収束後の景気の回復にもスムーズに対応できました。

両政権において、失敗とみられるのは、医療村などの執拗な抵抗にあって、コロナ病床の確保がなかなか進まなかったことですが、それでも、結果的には大規模な医療崩壊を起こすこともなく、失業率が他国のように急激に高まることもなく、推移しました。

これは、このブログでは何度か力説したように、安倍・菅両政権のコロナ対策が大成功したことを意味します。しかし、上の動画にも高橋洋一氏も触れているように、日本ではこの大偉業を日経新聞をはじめとするマスコミは報道しません。

さらに、失業率は典型的な遅行資料であり、現在の政府の雇用対策は、半年後以降にその成果が現れます。

安倍・菅政権による雇用対策は、功を奏し、さらに岸田政権においても、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置は継続されました。令和4年11月30日まで特例措置 及び 令和4年12月1日~令和5年3月31日まで経過措置が措置が取られています。雇用調整助成金の特例措置は3月31日をもって終了します。

菅義偉前首相(右)が新総裁に選ばれた自民党総裁選で手を取り合う安倍晋三元首相(中)と岸田文雄首相(2020年9月)

今後の雇用がどうなるかは、半年後にはっきりします。経済指標の中で、失業率は一番重要な指標です。マクロ経済的には、何をさておいても雇用が良ければ、政府の経済対策は合格といえます。雇用が悪ければ、他の指標がいくら良くても、政府の経済対策は失敗です。

雇用が遅行指標であることから、今後岸田政権がどのような経済政策をとろうとも、4月1日から半年後あたりまでは、雇用は良い状況が継続されるのは確実です。

私自身は、岸田政権が様々に批判されてきたにも関わらず、結局党内政局などになかなか結びつかないのは、結局のところ雇用状況の良さが続いているからであると考えています。雇用が悪ければ、政権の基盤も弱まります。

岸田政権が防衛費の倍増や、異次元の少子化対策などを打ち出しています。問題は、その財源を増税によって賄うか否かです。消費税などの増税で賄うとすれば、また、経済も落ち込み、さらにデフレが進行することになりかねません。そうなれば、雇用はいずれ再び悪化することになります。

このようなことをすれば、岸田政権は長期政権にはなり得ません。上の記事にもあるように、岸田首相はウクライナ電撃訪問(今月21日)や、日韓首脳会談(今月17日)、中国大使の離任の挨拶を断る(2月)、新日英同盟の締結(1月)などの目覚ましい外交により、特に日中関係を構造的に変えてしまったことにより、支持率をあげています。G7開催後にはさらに支持率を上げる可能性も大です。そうして、今後半年くらいは雇用が悪くなる可能性もありません。

そうなると、「G7明け解散説」が浮上するのは、当然の流れですし、これについては、以前にもあり得ることをこのブログで示しています。

そうなると、岸田首相は長期政権の切符を手にすることになるでしょう。ただ、それを確実なものにするには、やはり失業率をあげないようにするため、デフレを回避するため、当面増税・緊縮財政などはせず、日銀にも金融緩和政策を継続させるべきです。

ここを間違えれば、たとえ今年早期衆院解散を断行して、一時的に支持率が上がったにしても、それは一時的であり、岸田政権は長期にはなり得ません。

一番良いのは、先日も示したように、増税延期の時期を何年何月までとか、今後何年間などと時間で区切ることなく、たとえば物価上昇率が継続的に半年くらい4%くらいまで上がっても失業率が下がらなくなたときに検討するなどとして、増税延期を公約として、解散総選挙に臨むべきです。

上記の日経新聞のように安倍・菅政権の経済政策を認めないマスコミなどは、全くの問題外であり、ただのマクロ経済音痴としか言いようがありません。なぜアベノミクスを否定する人たちは、この雇用改善をみないのか不思議でなりません。いったいマクロ経済政策になにを求めているのでしょうか。岸田首相は、これを認めた上で、その積み残しを実行すべきです。


現在でも、失業率は高くはありませんが、GDPギャップは厳然と存在しているのですから、それを是正して、デフレからの完全脱却と、ゆるやかな賃金の上昇からしっかりとした上昇を目指し、アベノミクスのさらなる改善・改革を目指すべきです。金融緩和の継続と、積極財政は必要不可欠です。間違っても、増税などすべきではありません。これを実行できれば、岸田政権は長期政権となるでしょう。

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