2023年3月13日月曜日

中露首脳、来週にもモスクワで会談か ロイター報道―【私の論評】習近平と人民解放軍の争いの行末を占えるか?来週の習・プーチン会談(゚д゚)!

中露首脳、来週にもモスクワで会談か ロイター報道


 ロイター通信は13日、中国の習近平国家主席が来週にもロシアの首都モスクワを訪問し、プーチン大統領と会談する予定だと報じた。会談が実現した場合、中露はともに対立する米国への対処方針や、ウクライナ情勢に関して中国が先月24日に提示した和平案などを協議するとみられる。

 プーチン氏は昨年12月、オンライン形式での中露首脳会談で習氏を今春にもモスクワに招待したい意向を伝達。プーチン氏は今年2月22日、訪露した中国の外交担当トップ、王毅共産党政治局員と会談し、「習氏の訪露を心待ちにしている」と述べていた。

 それぞれ台湾情勢やウクライナ情勢で米国と対立する中露は、連携を強化し、自国単独で米国と対峙(たいじ)する事態を避けたい思惑だとみられている。

 ロシアとウクライナ双方に譲歩を通じた早期停戦を求めた中国の和平案を巡っては、ロシアは中国の関与を歓迎する一方、「軍事作戦は目標達成まで継続する」とし、早期停戦には応じない立場を示している。

【私の論評】習近平と人民解放軍の争いの行末を占えるか?来週の習・プーチン会談(゚д゚)!

習近平がプーチンの招請に応じて、今年の春にロシアを訪問する可能性があることについては、このブログで何度か述べてきました。

この会談の結果により、現在の中露関係が見極められるだろとうということも主張してきました。それらの記事から一つの記事のリンクを以下に掲載します。
「同盟しない、対抗しない、第3国をターゲットとしない」、習近平政権、ロシア見切りへ外交方針大転換―【私の論評】習近平がロシアを見限ったのは、米国の半導体規制が原因か(゚д゚)!

外相に就任した秦剛氏氏


これは、今年1月17日の記事です。この記事より一部を引用します。

昨年12月30日、習主席は今年3月開催予定の全人代を待たずにして異例の「閣僚人事」を行い、前駐米大使の秦剛氏を外務大臣に任命しました。

外相に就任した2日後の今年元旦、秦剛氏はさっそく米国のブリンケン国務長官と電話会談を行い、新年の挨拶を交わしたと同時に、「米中関係の改善・発展させていきたい」と語りました。

米国務長官との電話会談の9日後、秦外相は本来一番の友好国であるはずのロシア外相との電話会談を行ったのですが、その中でロシア側に対し、今後の中露関係の「原則」として「同盟しない、対抗しない、第三国をターゲットとしない」という「三つのしない」方針を提示しました。

それは明らかに、米国を中心とした西側に配慮してロシアと関係見直しに出た挙動であって、習政権の対米改善外交の一環であろうとも思われます。

こうした中で、ブリンケン米国務長官の2月訪中が双方の間で決定され、長官は2月5日、6日の日程で北京を訪問する予定でした。 ところが「ブリンケン訪中」の直前になって、中国の放った偵察気球一つでそれが延期されることとなりました。その後も、全部が中国の気球かは、まだわからないものの、カナダやアラスカでも行われことが報じられ、さらに止めの一発のように、今回のレーザー照射です。

中国外交部は、習近平の外交方針を代弁しているとみられます。よって、「同盟しない、対抗しない、第三国をターゲットとしない」という「三つのしない」方針は、習近平の方針であると考えられ、これはロシアとの関係を見直すと受け取れる発言です。

その直後に偵察気球問題が発生しました。この偵察気球は人民解放軍が上げたとみて、間違いありません。

月3日、米本土上空で米軍偵察機U2から撮影した中国の偵察気球

中国海警局は、組織改編により、人民解放軍の下に組み入れられています。したがって、フィリピン船へのレーダー照射も軍の意向と考えられます。

これは、ロシアと距離を置こうとしている、習近平指導部に対して、軍が意趣返ししたと受け取れます。習近平指導部と、軍との間で、対ロシア政策を巡って齟齬があるのは間違いないと見えます。

この記事の結論は以下のようなものです。

現状は、ウクライナもロシアも弾薬が不足気味のようで、戦線は膠着していますが、中国がロシアに対して、見切り外交に舵を切ったことから、今後はウクライナのほうが圧倒的に有利になる可能性がでてきました。

今春に習近平はロシアを訪問するのでしょうか、私は訪問しない可能性も出てきたと思います。訪問したとしても、型通りの話ししかなく、形式的なものになる可能性が高まってきたものと思います。

さて、今回習近平が、ロシアを訪問するということで、習近平としては、軍の意向も反映して、ロシアに対して無下にもできないというスタンスであるのは間違いないようです。

上の記事にもあるように、ロシアとウクライナ双方に譲歩を通じた早期停戦を求めた中国の和平案を巡っては、ロシアは中国の関与を歓迎する一方、「軍事作戦は目標達成まで継続する」とし、早期停戦には応じない立場を示しています。

和平提案については話はされるでしょうが、これをロシアが受け入れて、すぐに具体的な交渉にはいることはないでしょう。

今回の会談がほぼこれだけで終わり他にめぼしいものがなければ、習近平はロシアと距離を置こうとしているとみなすことができると思います。プーチンと会談したのは、人民解放軍への懐柔策ともみられます。

一方、中国の和平提案以外にも、中国のロシアに対する支援策、特に軍事支援などが具体的に話され、何らかの合意に達すれば、これは習近平が軍部に折れたともみなされ、中国内では人民解放軍が優勢であり、今後それこそ偵察気球やレーザー照射による意趣返しどころか、大規模な権力闘争もしくはそれを通り越して、武力による争いや内乱などに発展する可能性もあるとみるべきと思います。

ロシアの武器提供も含め、習近平がロシアを支援することを表明すれば、ウクライナ戦争はさらに長引くことも予想され、米国を含む西側諸国の大反発を招くのは必定です。米国は中国に対して、さらに制裁を強化するでしょう。特に半導体での締め付けはかなり厳しくなる可能性があります。現在中国は軍事転用可能な最新型の半導体等に関する規制をうけていますが、これが拡大され、半導体そのもの製造、輸入を妨害する等の厳しい措置にでるかもしれません。

まさに、来週の中露首脳会談の推移によって、これが占えると思います。滅多にない機会です。さて、どうなるか、何か動きがあれば、またレポートさせていただきます。

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