首相公邸より豪華といわれた内閣法制局長官の旧公邸=東京・東五反田 |
「(政府解釈の見直しで集団的自衛権の行使を認めることは)非常に難しいと思う」「完全な集団的自衛権を実現するためには、憲法改正をした方が適切だ」
内閣法制局長官から最高裁判事に任命された山本庸幸(つねゆき)氏は20日、最高裁で会見し、こう語った。最高裁判事として政治課題に言及するのは異例といえるが、こんな山本氏がトップを務めた内閣法制局とは、一体どんな組織なのか。
法制局は定員77人の小所帯で、幹部はすべて各省庁からの出向者で占められる。憲法解釈など法律問題について首相らにアドバイスするとともに、各省庁が起草した法案を一字一句までチェックする。
各省庁の担当者と直接向き合うのが、法制局で課長級の参事官だ。
法案審査では「省庁担当者に『こんな法律、出せるわけないだろ!』と怒鳴り上げることもある」(政府関係者)という。某省庁の中堅幹部は「金曜日の夜から土曜日の夜まで、延々と法案審査に付き合わされたこともある」と語る。
参事官の機嫌をいかに取るかについては、各省庁ごとにマニュアルが存在するという。「資料のとじ方や、座る位置が細かく書いてある」(外務省幹部)ぐらいならまだいいが、驚きの内容が盛り込まれている省庁もあったという。
【私の論評】政治主導は最大のコントロール手段である人事から!日銀と内閣法制局をとった安倍総理は着々と政治主導をすすめている(゚д゚)!
民主党の政治主導は絵に描いた餅でした。彼らの政治主導とは、役人がやっていることを自分たちもやろうとして頓挫してしまいました。本当に馬鹿でした。民主党のやったことは、会社でいえば、事務部門のスタッフの仕事も役員が自らやろうというような、馬鹿げたものでした。役員は事務をするのではなく、意思決定をすべき存在です。
民主党の事業仕分けは、政治主導にみせかけるたのパフォーマンスに過ぎなかった |
それは、政治家の世界でも同じことであり、官僚はそもそも、国家の膨大な事務を司るのが本来の役割です。意思決定のための資料は作成するが、意思決定には参加しないというのが本分です。意思決定を行うのは、政治家の領分であり、その中でも、時の政府が重要な意思決定をするが本来の姿です。
ところが、こうした意思決定も形骸化して、役人が決めたものを追認するというようなことが行なわれてきて、これではいかんということで、政治主導という言葉がでてきたはずです。
しかし、民主党は勘違いして、役人の事務仕事までやろうとして、役人からかなり仕事をとりあげ、自分たちでやろうとして役人にそっぽを向かれ、それでは結局何もできず、何も決められないまま、右往左往して漂流していたというのが実体です。鳩山さんが、官邸にはいるときに、いつも資料の入った大きな袋を持っていたことがそれを如実に示しています。本来資料が重要なのではなく、資料に基づいた判断、意思決定が重要なはずが、いつの間にか資料そのものが重要と勘違いしていたのかもしれません。
何も決められず流れに身をませて漂流していた民主党 |
そもそも、一般の企業で、本社のスタッフが言うことをきかないからといって、役員が、本部スタッフの事務仕事をやりはじめたら、うまくいかないのが当たり前です。そんなことをしては、本部スタッフをただ遊ばせるだけになります。こんなことをやったからといって、役員主導になるはずがありません。ますます、本部スタッフはつけあがるだけになります。
しかし、現実には政治の世界はそうなっていますが、企業ではさすがにそのようなことはありません。この違いどこからでてくるのでしょう。それは、良く考えれば、わかることです。そうです。人事です。本部スタッフで役員の言うことをきかない連中がでてくれば、それは、人事異動で左遷するか、酷い場合は解雇です。だからこそ、本部スタッフは役員のいうことをきき、会社は正常に運営されます。
これに関しては、あの経営学のドラッカーも語っています。以下にドラッカーの著書より、企業の精神は何によって決まるのかコピペさせていただきます。
「貢献させたいのならば、貢献する人たちに報いなければならない。つまるところ、企業の精神は、どのような人たちを昇進させるかによって決まる」(『創造する経営者』)
ドラッカーは、組織において真に力のあるコントロール手段は、人事の意思決定、特に昇進の決定だという。
それは組織が信じているもの、望んでいるもの、大事にしているものを明らかにする。
人事は、いかなる言葉よりも雄弁に語り、いかなる数字よりも明確に真意を明らかにする。
組織内の全員が、息を潜めて人事を見ている。小さな人事の意味まで理解している。意味のないものにまで意味を付ける。この組織では、気に入られることが大事なのか。
“業績への貢献”を企業の精神とするためには、誤ると致命的になりかねない“重要な昇進”の決定において、真摯さとともに、経済的な業績を上げる能力を重視しなければならない。
致命的になりかねない“重要な昇進”とは、明日のトップマネジメントが選び出される母集団への昇進のことである。それは、組織のピラミッドが急激に狭くなる段階への昇進の決定である。
そこから先の人事は状況が決定していく。しかし、そこへの人事は、もっぱら組織としての価値観に基づいて行なわれる。
「重要な地位を補充するにあたっては、目標と成果に対する貢献の実績、証明済みの能力、全体のために働く意欲を重視し、報いなければならない」(『創造する経営者』)
企業でも、政治の世界でも、様々なコントロールの手段があります。しかし、その中でも、何をさておいても、人事が最も重要であり、最大のコントロール手段です。その他のコントロール手段はこれには及びません。
業績、株価、その他の企業情報をいろいろ見ても、なかなかわからないことがあります。しかし、ある特定の企業について長年人事の内容をみていると、その企業の実体が本当に良く理解できます。特に重要な人事は、その企業の意思决定の内容がもろに反映されています。
本来、政治の世界でも同じことです。政治主導にするためには、ますは、人事を掌握して、役人の人事を適正に行う必要があります。民主党は、このあたりが全くお粗末でした。
しかし、安倍総理は、前の民主党政権とは全く異なります。政治主導などという言葉は遣いませんが、人事で政治主導の体制を固めています。その手腕は、まずは日銀人事における、白川討伐とその後の総裁、副総裁人事にものの見事に現れています。
そうして、上の記事にもあるように、内閣法制局のトップ人事です。上の記事でもみられるように、他役人に恐れられる内閣法制局の人事は政治主導としては、最高のコントロール手段です。
内閣法制局長官の辞令を受け、首相官邸を出る小松一郎氏 |
これに関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
【スクープ最前線】安倍政権転覆を画策か 中国の大物工作員が東京で暗躍―【私の論評】安倍潰しに最も有効なのは増税?増税すればアベノミクスは頓挫するが、果たして現在の安倍総理にその手は通じるのかは、はなはだ疑問(゚д゚)!詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、この人事を軽くみるべきではないことを強調しました。財務省よりも強い法制局が安倍首相に屈伏したということです。これは、意外といえば、意外かもしれませんが、財務省を屈服させるよりも、意表をつくということて、かなりやりやすいかもしれません。やりやすいとは、無論役人のコントロールという意味です。
役人にも恐れられる組織のトップをすげ替えたということは、少なからず、多くの役人に絶大な影響を与えると思います。心理的な圧迫感がかなりあります。なにせ、役人がいくら法案を作成して、大臣を説得したとしても、法制局が首を縦に振らなければ、それはただの作文になってしまいます。
それにしても、安倍総裁、したたかです。安倍首相は、外交といい、人事といい、見事な仕事をしています。これなら、増税に関して安倍総理が結局見送りの判断をしたとしても、財務省もなかなかたてをつくことはできません。たてをつけば、次の法案などを通すときに内閣法制局とどうなるかという心配は拭えないことになります。もう、軽々しいことは一切できなくなりました。少なくとも、これからは、あの勝栄二郎のような財務次官が誕生する余地はなくなりました。
私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?
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