2013年8月17日土曜日

“嫌がらせ国家”中国 報復でノルウェーのサケ輸入激減、比のバナナも…―【私の論評】このような嫌がらせをまだするということは、未だ経済と政治の分離がなされていないことの証、このままではかつてのソ連のように崩壊することだろうよ(゚д゚)!

“嫌がらせ国家”中国 報復でノルウェーのサケ輸入激減、比のバナナも…

劉暁波氏のノーベル賞受賞後、ノルウェーに理不尽な攻撃をする中国

 中国が、ノルウェーに“経済的恫喝”をしている疑いが出てきた。中国の民主活動家、劉暁波氏が2010年のノーベル平和賞を受賞して以降、同賞の選考機関があるノルウェーの主要輸出品であるサケの対中輸出が激減しているのだ。日本も尖閣沖中国漁船衝突事件直後、ハイテク製品の生産に不可欠なレアアースを一時禁輸された。同国の傲慢さがまた明らかになった。 

 これは、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)が15日伝えた。

 ノルウェーから中国へのサケの輸出は10年には約11万トンあったが、同年10月の劉氏へのノーベル賞授与の決定以来、急速に減少し、今年上半期は約3700トンに減った。

 中国の「相手国の弱みを攻撃する」思考は変わらない。同様の事例は、ノルウェーや日本だけでなく、フィリピンでもあった。

 昨年5月、中国とフィリピンが南シナ海のスカボロー礁をめぐって関係が悪化した際、中国は「害虫駆除のため」として、フィリピンの主要輸出物であるバナナなど果物の検疫を強化し、事実上の「禁輸」措置を取ったのだ。

 中国問題に詳しい作家の宮崎正弘氏は「分かりやすい報復措置だ。中国人は『相手が困るだろう』と思ってやるが、レアアースは1年後、日本が別の調達先を用意し、中国では在庫の山となった。ノルウェーのサケも世界各国で売れている。最後に困るのは中国。世界中から『おかしな国、困った国だ』と思われている」と語っている。

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】このような嫌がらせをまだするということは、未だ経済と政治の分離がなされていないことの証、このままではかつてのソ連のように崩壊することだろうよ(゚д゚)!



ノルウエイーの鮭を政治的駆け引きに使うとか、中国まったくどうしようもないです。
ノルウェイーの国旗をモチーフとした水着

しかし、ノルウエイーの鮭かなり品質が良いですから、世界中のどこの国でも売れます。何も、中国だけが、売り先ではありません。

これで、中国は政治と経済の分離が行なわれていないことを世界に向かって宣伝しているようなものです。中国に関しては、以前からこのブログでも、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がなされていないことをことあるごとに批判してきました。

この中で、民主化とか法治国家というのは多くの人に理解しやすいのですが、政治と経済の分離という概念は、おおよそ普通の先進国などでは、随分昔から分離されているので、日本でも分離されているのが当然の状態なのでなかなか理解していただきにくいところがありました。

政治と経済が分離されていないとは、要するに国家資本主義という状況なのですが、これを説明するのがなかなか大変でした。

さて、国家資本主義とはどのようなものかといえば、以下のようものです。
18世紀以降の啓蒙専制君主や日本の明治維新、20世紀以降の開発独裁などは、国家が自由主義や資本主義を含めた近代化を推進した。ただし政治上の自由は厳しく制限した場合が多い。多くの国では一定の経済発展を成し遂げると民主化を進めていったが、権力者による私物化や汚職が長期間行われた場合は、近代化プロセスが破綻しクーデターや権力者の国外追放といった結末に結びつくことが多かった。 
現代においても、シンガポールの人民行動党政権、鄧小平時代後の中華人民共和国の改革開放(たちあがれ日本共同代表の一人与謝野馨などが、現在の中国を「国家資本主義」と呼称)、ベトナム社会主義共和国のドイモイ路線、プーチン政権のロシア(政権によるオリガルヒ統制)などが国家資本主義と呼ばれることがある。 
 中華人​​民共和国 
多くのアナリストは、中華人民共和国は21世紀における国家資本主義国家の一つであるとしている。 政治科学者イアン・ブレマーは著書The End of the Free Market: Who Wins the War Between States and Corporations『自由市場の終焉――国家資本主義とどう闘うか』において、中国は2008年の金融危機以降、先進国の自由市場経済に対抗する国家資本主義を推進する中心的国家であると述べている。 
 シンガポール 
シンガポールの経済モデルは国家資本主義の形態であり、国家が政府関連企業の支配株式を持っており、ソブリン・ウエルス・ファンドを通じて直接投資を行っているとの論がある。
このように定義など並べてもなかなか理解しにくいところがありますが、中国は政治と経済がはっきりと分離されていないのは周知の事実です。中国共産党幹部は、資本主義を理解していませんし、民衆もそうです。政府の重要人物とコネができれば、事業は何でも成功すると考えていました。要するに、実体経済の意味が良くわかっていないのです。金融経済などとは異なり、実体経済を変えることは政府にはできません。政府ができることは、せいぜい実体経済の激しい変化をやわらげ、ソフトランディングさせることくらいです。

しかし、国家資本主義であれば、政府は、経済に介入して、財政政策や金融政策等で自由自在に実体経済をどうてもでも変えられるものとみなします。経済が小さなうちはそれでもなんとかなる部分はありますが、大きくなればそんなことはできません。

今までの中国は、とにかく経済など政府によって金融政策、財政政策、為替の固定化や通貨安などを自由に制御できるものとして運営してきました。

そうして、ごく最近まで、日本銀行が金融引締めにより、円高・デフレ政策を実施してきたため、経済がかなり大きくなった後でも、実際何とかなってきました。過去20年間は、危機があっても、政府が介入すれば、なんとか回復することができてきました。景気が悪くなれば、金融緩和、財政出動して、突貫工事をやれば、たちどころに景気が良くなりました。景気が加熱すれば、金融引締め、緊縮財政をやれば、たちとろころに景気は加熱気味から脱出できました。これらの政策を強行すれば、人民からの反発もありましたが、そのときには、武力でもって鎮圧しておしまいです。あまりにも簡単でした。だから、中国の経済と政治の分離は今でも進んでいません。

ところが、最近は風向きが変わってきました。日本銀行が、異次元の金融緩和をはじめたとたん、このブログでも指摘したように酷い状態になっています。
中国経済、大混乱! 飛び交う“銀行デフォルト連鎖”の噂―【私の論評】日本銀行が中国麻薬漬け金融政策をやめた途端この有様、日本人や中国社会のためにも、安全保障の観点からもアベノミクスの頓挫は許されないぞ(゚д゚)!
詳細は、この記事をごらんいただくものとして、日本が異次元の金融緩和に転じたとたんに、中国の実体経済の脆さが明るみにでたということです。

もう、中国は政治と経済を分離して、まともな経済運営をするようにしなければ、経済が崩壊するだけです。そのことを中国共産党幹部は全く理解しておらず、今でも、過去の対策で十分やっていけると勘違いして、右往左往しています。もう、おそらく、過去の手法は通じません、おそらく政府は、過去の手法をやって、もぐらたたきになり、どうしようもなくなってから、自分たちの過ちに気付くことと思います。

中国は、日本を含む先進国が辿ってきた道をである、民主化、政治と経済の完全分離、法治国家化をして、いわゆる中間層を多数形成して、その中間層の活動によって経済を活発化し、復活するしか方法はありません。しかし、中国共産党政府にはその気は全くないようです。

なぜ、そのようなことがいえるかといえば、ノルウエーの鮭輸入を激減させたり、フィリピンのバナナの輸入を激減させたりなどするということは、政治と経済が全く分離されていないことを示す事象だからです。バナナの輸入量や、鮭の輸入量など、需要の変動にあわせるべきものであり、政府が決めるのではありません。このせいで、人民がバナナや鮭を食べられなくなったり、高くなってしまっては本末転倒です。それに中国の輸入業者はえらい迷惑です。需要があっても、政治問題があったら、輸入でないということでは経済を阻害するだけであり、無意味です。


普通の国であれば、これらの輸入は民間が実施することであり、政治的に問題があったからといって、このような露骨な禁輸措置はとれません。これじゃまるで、冷戦下のソ連と変わりありません。冷戦下では、外交官など、何かまずい問題があれば、ソ連に行ったときに、電気が通じず、お湯も出ないような、ホテルに宿泊させられるなどの嫌がらせを受けたなどいう話は良く聴きました。しかしそれは、冷戦下のソ連の話であって、ソ連はもうこの世に存在しましせん。

旧ソ連のミスコン第一回目の参加者たち,クリックすると拡大します
この様子では、中国の民主化も、政治と経済の分離も、法治国家化も無理だと思います。行き着く先は、経済の破綻であり、その頃には、中国も分裂していることでしょう。

このままでは、中国共産党政府は、本来やるべきことをしないで、モグラたたきを続け、いずれソ連のように崩壊していくと思います。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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