「女性の貧困」というフレーズをよく聞くようになった。今の日本において、貧困に苦しむのは女性だけではないが、賃金格差や非正規雇用者の数、ひとり親になったときの貧困率などを見ると、若い女性が置かれている状況は確かに厳しいと感じる。そして、今貧困を感じていない女性でも、いつ貧困に陥るかわからないという恐さを感じている。20~30代女性の生の声を通じて、彼女たちの生活苦の実態に迫る。(取材・文/蒲田和歌 編集協力/プレスラボ)
日本はもはや豊かな国ではない?
女性たちが喘ぐ「生活苦」の実態
女性たちが喘ぐ「生活苦」の実態
若い世代を中心に、生活苦の女性が急増して いるという。その実態はどうなっているのか |
「最貧困女子」「失職女子」「高学歴女子の貧困」――。数年前から書店では「女子」と「貧困」を組み合わせたフレーズをよく見かけるようになった。とはいえもちろん、貧困は女子にだけ襲いかかっている現象ではない。今年の流行語大賞にノミネートされた「下流老人」「子どもの貧困」など、今や日本列島はどの年代、性別を見ても「貧困」から切り離せない状況となっている。
それでもまだ「貧困」と何らかのフレーズを組み合わせた言葉にインパクトがあるのは、「日本が豊かな国だ」というイメージを多くの人が持っているからかもしれない。しかし、貧困は我々の私生活に確実に忍び寄っている。
色々な指標を見ると、そうした現状が見て取れる。たとえば、日本は子どもの6人に1人が貧困と言われ、OECDの発表によれば子どもの相対的貧困率はOECD加盟国34ヵ国中10番目に高い。また、ひとり親世帯の子どもの相対的貧困率はOECD加盟国中最も高い。ひとり親家庭の貧困率は50%を超える。そして、日本の平均世帯所得は1994年の664.2万円をピークに下がり続けており、2013年は528.9万円となっている。
なかでも前述したように、若年層を中心とする女性の貧困は深刻だ。昨年1月にNHKで放送された「深刻化する“若年女性”の貧困」では、働く世代の単身女性のうち3分の1が年収114万円未満と報じられた。非正規職にしかつけず、仕事をかけ持ちしても充分な収入が得られないという状況だ。
しかし、我々にしてみると、周囲の女性たちから生活に関する深刻な苦労話を直接聞く機会は滅多にない。自分の生活苦を他人に相談することに対して「恥ずかしい」「プライドが許さない」と感じる女性が多いためだろう。こうした状況では、周囲が彼女たちの声にならないSOSに気づいて力になってあげることや、社会が抜本的な対策を講じることは難しい。
そこで今回、ダイヤモンド・オンラインでは、アンケート調査会社「リビジェン」の協力のもと、女性の「生活苦」に関する意識調査を行った。その調査結果を基に、彼女たちが抱える不安の裏側を考察したい。むろん限られた範囲での調査にはなるが、社会の一断面をのぞく上で参考になるはずだ。
本調査の対象は、全国の一般女性200人。世代の区分が難しいところだが、ここでは現在、貧困の増加が指摘されている若い女性のトレンドを重点的に見るために、企業の職場などで若手~中堅手前と見なされることが多い20代、30代を調査対象とした(回答者は20代98人、30代102人)。また、後述する調査結果のエピソードからもわかる通り、結婚をきっかけに生活苦に陥いる女性も少なくないと思われたことから、既婚・未婚の双方を調査対象にした。
まず、「あなたは使えるお金が少なく、日々の生活が苦しいと感じていますか?」という質問に対して「はい」と答えたのは、調査対象200人の半数を超える114人(57%)に上った(下のグラフ参照)。
回答者の中には、「毎日ランチを食べている友人を見て羨ましく感じる自分を生活苦だと思う」(大阪府/28歳・会社員(事務系)、「節約のためにマスカラをやめた」(愛知県/35歳・専業主婦)といった軽めのエピソードもある。バブルと呼ばれる時代だって給料日前は節約モードだったと思われるかもしれないが、今どきの若い女性の多くはバブル時代のように派手に遊んでいるわけではないことを考えると、些細なエピソードからも時代の変化を感じとれるのではないだろうか。
自分を「貧困女子」よりは困っていないと考えている女性でも、何かのきっかけで「貧困」「最貧困」に転落する恐さが現代にはあるのだ。
それでもまだ「貧困」と何らかのフレーズを組み合わせた言葉にインパクトがあるのは、「日本が豊かな国だ」というイメージを多くの人が持っているからかもしれない。しかし、貧困は我々の私生活に確実に忍び寄っている。
色々な指標を見ると、そうした現状が見て取れる。たとえば、日本は子どもの6人に1人が貧困と言われ、OECDの発表によれば子どもの相対的貧困率はOECD加盟国34ヵ国中10番目に高い。また、ひとり親世帯の子どもの相対的貧困率はOECD加盟国中最も高い。ひとり親家庭の貧困率は50%を超える。そして、日本の平均世帯所得は1994年の664.2万円をピークに下がり続けており、2013年は528.9万円となっている。
なかでも前述したように、若年層を中心とする女性の貧困は深刻だ。昨年1月にNHKで放送された「深刻化する“若年女性”の貧困」では、働く世代の単身女性のうち3分の1が年収114万円未満と報じられた。非正規職にしかつけず、仕事をかけ持ちしても充分な収入が得られないという状況だ。
しかし、我々にしてみると、周囲の女性たちから生活に関する深刻な苦労話を直接聞く機会は滅多にない。自分の生活苦を他人に相談することに対して「恥ずかしい」「プライドが許さない」と感じる女性が多いためだろう。こうした状況では、周囲が彼女たちの声にならないSOSに気づいて力になってあげることや、社会が抜本的な対策を講じることは難しい。
そこで今回、ダイヤモンド・オンラインでは、アンケート調査会社「リビジェン」の協力のもと、女性の「生活苦」に関する意識調査を行った。その調査結果を基に、彼女たちが抱える不安の裏側を考察したい。むろん限られた範囲での調査にはなるが、社会の一断面をのぞく上で参考になるはずだ。
本調査の対象は、全国の一般女性200人。世代の区分が難しいところだが、ここでは現在、貧困の増加が指摘されている若い女性のトレンドを重点的に見るために、企業の職場などで若手~中堅手前と見なされることが多い20代、30代を調査対象とした(回答者は20代98人、30代102人)。また、後述する調査結果のエピソードからもわかる通り、結婚をきっかけに生活苦に陥いる女性も少なくないと思われたことから、既婚・未婚の双方を調査対象にした。
まず、「あなたは使えるお金が少なく、日々の生活が苦しいと感じていますか?」という質問に対して「はい」と答えたのは、調査対象200人の半数を超える114人(57%)に上った(下のグラフ参照)。
回答者の中には、「毎日ランチを食べている友人を見て羨ましく感じる自分を生活苦だと思う」(大阪府/28歳・会社員(事務系)、「節約のためにマスカラをやめた」(愛知県/35歳・専業主婦)といった軽めのエピソードもある。バブルと呼ばれる時代だって給料日前は節約モードだったと思われるかもしれないが、今どきの若い女性の多くはバブル時代のように派手に遊んでいるわけではないことを考えると、些細なエピソードからも時代の変化を感じとれるのではないだろうか。
自分を「貧困女子」よりは困っていないと考えている女性でも、何かのきっかけで「貧困」「最貧困」に転落する恐さが現代にはあるのだ。
生活が苦しい理由は
「非正規社員だから」が最多
次に、「日々の生活が苦しい」と答えた約6割の女性たちは、具体的にどれくらいくらい生活が苦しいのか。「現在のあなたの年収(配偶者がいる場合は世帯年収)はどれくらいですか」という質問に対する回答は、200万円台が24人、300万円台が同じく24人(ともに21.1%)で最も多かった。一方、「なし(あるいは限りなくゼロに近い)」と答えた人も、15人(13.2%)と高い水準にあった。これに「100万円未満」が13人(11.4%)、「400万円台」が11人(9.6%)、「100万円台」が10人(8.8%)と続く。「500万円以上」と答えた人は全体のわずか17人(5.3%)だ(下のグラフ参照)。これを見ると、年収のボリュームゾーンは200~300万円台であり、日本における2013年の世帯所得の平均528.9万円を大きく下回っていることがわかる。
では、彼女たちは年収がどれくらいあれば生活が楽になると考えているのか。「今の生活が楽になるためには、『最低で』どれくらいの年収(配偶者がいる場合は世帯年収)が欲しいですか」という質問に対して、最も多かった回答は400万円以上(25人、21.9%)。他は200万円以上(10人、8.8%)、300万円以上(20人、17.5%)など、約半数にあたる58人は400万円までの年収帯に集中していた(下のグラフ参照)。前述のように「生活が苦しい」と感じる女性の年収のボリュームゾーンは200~300万円台であることから、理想と現実の年収の間には大きなギャップがあることがわかる。一部では、「女性は結婚相手に600万円以上の年収を求める」などと言われるが、それが夢見事ではない女性はごく一部ということだろう。
彼女たちは、なぜこれほど生活が苦しいのだろうか。「生活苦の理由は何ですか?(複数回答可)」という問いを投げかけると、やはりというべきか、「非正規社員(パート、アルバイト、派遣社員など)として働いており、年収が少ない」(36人)が最多となった。この他、「子どもの養育・教育にお金がかかる」(30人)、「ローンや借金があり、月々の返済が多い」(28人)、「夫が低収入(あるいは無収入)で家計のやりくりが厳しい」(26人)、「仕事に就いておらず、決まった収入がない」(24人)などを挙げた人が多かった(下のグラフ参照/総回答数264に対する割合)。いずれも、すぐに生活苦の原因を解消するのが難しそうなケースばかりだ。
ただ一方で「趣味や自己啓発に使う」「貯金する」「浪費してしまう」などの回答も一定割合存在することから、自己責任で生活苦に陥っている人もいることがわかる。女性の生活苦の背景には、実に様々な理由があるのだ。
「2日間水しか飲んでいない」
女性たちが明かす仰天の生活苦
それではここから、女性たちが語ってくれた、生々しい「生活苦」のエピソードを紹介していこう。「あなた自身が『私は生活苦だな』と感じた体験談、あるいはあなたが(女性の)同僚や友人などを見ていて『あの人は生活が苦しそうだな』と感じたエピソードを教えてください」という質問に対して、まず目立ったのが、食費の節約に関する回答である(回答の原文ママ)。
「給料日前には食べるものがもやしや豆腐といったやすくて腹持ちのいい食材になるとそう感じる」(神奈川県・24歳専業主婦)
「友人がお金がなくて2日間水しか飲んでいないと言われたとき苦しそうだと思った」(東京都・31歳会社員)
「パン屋で100円以上のパンを買うのに抵抗があること」(東京都/35歳・専業主婦)
「毎日パスタ(調味ナシ)しか食べてない」(東京都/34歳・自営業)
「カップラーメン生活になった時」(東京都/24歳・専業主婦)
「お腹が空いたら醤油を舐める」(大阪府/25歳・会社員(技術系))
「買い物はもっぱら人参ジャガイモ玉ねぎが基本。季節の野菜など楽しむ余裕なし。肉もササミが主。魚なんかは買えない。常になるべく消費期限が長めの物をえらぶ」(山口県/28歳・専業主婦)
給料日前などの数日間ならまだしも、日常的に食費をギリギリまで制限しなければならないことは、心身を疲労させるだろう。今は安価でも食材が手に入るものの、栄養が偏り、「貧困層にこそ肥満が多い」ことも指摘されている。エピソードの中に「パスタ」や「カップラーメン」という言葉が散見されたが、簡単に安く食事をしようとすると炭水化物に偏りがちだ。食材の選択肢が少ないことが貧困を感じさせる。
主婦たちからの意見で目立ったのは、「子どもへのしわ寄せがある」という意見。
「苦しいけど、苦しいとか貧乏とかいう言葉は子供の前では使いたくなくて、無理して頑張ってる子供たちにはある程度お金をかけてあげたいので、自分のことはとりあえず後回し食べること、着るもの、趣味など」(埼玉県/39歳・専業主婦)
「子供の誕生日を祝ってあげられないと聞いた時」(宮城県/36歳・専業主婦)
「子供達にまで必要な物を我慢させています。必要な物なのに不憫でならない」(北海道/38歳・専業主婦)
「子供に好きなことをさせてあげられない。情けないと思う」(三重県/36歳・専業主婦)
自分たちの我慢は仕方ないと思えても、子どもにまで「貧困」を感じさせたくないという心情。今の20代、30代は、子どもの頃に貧困を感じず、不自由なく育った人も多い。生活水準が下がり、親からしてもらったことを自分の子どもにはしてあげられないという悔しさもあるだろう。
また、「今はいいけど、将来が不安で子供はもう産めない」(宮城県・34歳会社員(営業系))、「妊娠して出産費がかかるのに自分は働けず、さらに夫の給料が下がった時」(東京都・35歳専業主婦)という声もあった。少子化が大きな社会問題となっているが、産んだ後のセーフティーネットは少なく、自己責任論が強い日本。金銭的な余裕がなく子どもを諦めるという声、さらには「子どもは贅沢品」という声すら聞こえてくる。
コミュニティからの疎外が
さらなる貧困を招く
生活苦のため、付き合いを制限しているという声もある。
「飲み会や結婚式の招待をキャンセルしていたこと」(東京都/30歳・会社員(事務系))
「週一である飲み会に行けなくなった時」(三重県/28歳・会社員(営業系))
「遊びに誘ってもお金がなくて遊びにいけないと断ってきた友達がいて生活苦だなと思いました」(東京都/24歳・会社員(技術系))
「周りの人がみんな買っている物を買えない時」(北海道/21歳・大学生)
人付き合いよりも節約の方が大事、お金がないなら付き合いは二の次でいい……という意見もあるだろうが、コミュニティからの孤立は、心理的な負担となる。また、近所同士で子どもを預かったり、必要な情報を交換したりといったつながりから疎外されることは、さらなる生活苦を招きかねない。鈴木大介氏の『最貧困女子』(幻冬舎)では、友人同士でガソリン代を出し合って買い出しに行く地方の20代が取材されているが、こういったつながりを持てないことは、ライフラインの1つを断たれることだとも指摘されている。
「車がない」(福岡県/35歳・会社員(営業系))という回答もあった。交通手段が多い都会に住んでいるとその感覚はわからなくなりがちだが、地方で自家用車は贅沢品ではなく、生活必需品だ。それどころか、「交通費の160円なども高く感じた時」(東京都/22歳・大学生)という回答さえあった。
「貧困」に陥る可能性は
もはや誰にでもあるという現実
アンケートの中には、「毎日お金で悩む。我慢ばかりで辛い。ストレス」(東京都/28歳・会社員(技術系))という回答もあった。貧困は精神をも蝕む。
また、「持病がある為、収入の殆どが医療費になってしまう事」(東京都/30歳・会社員〈事務系など〉)、「結婚当初は共働きでしたが、私が体調を崩し退職したため、世帯収入が半分になりました」(東京都/35歳・会社員〈事務系など〉)といった回答もあった。誰でも、急に病に倒れる可能性はある。先日、高額療養費の見直しが報じられたが、医療費の負担で家計が危ぶまれる事態を「人ごと」と割り切れる人はどのくらいいるのだろう。
【私の論評】痩せ細る若い女性を増やさないためにも、今後緊縮路線は絶対廃棄(゚д゚)!
上の実態、皆さんはどうお感じになりましたか、私は凄まじいと感じました。そうして、怒りも感じました。なぜなら、この記事では、若い女性の貧困の状況については詳しく解決するのに、その原因や、これに対する対策に関しては何も論じていないからです。
これでは、本当にバランスを欠いています。この記事に限らず、日本のマスコミの報道は、貧困の原因や、対策に関して、一部を除いてほとんど報道しません。
私は、これも日本の貧困の根本原因の一つにさえなっているのではないかと思います。
さて、ブログ冒頭の記事を読んでいて、気になったことがあります。日本人の体格で、最近特に言われているのが、20歳台女性がやせ細っているということです。これに関しては、よくマスコミでは、ダイエットのためなどといわれています。
上の記事など読んでいると、本当にダイエットだけなのかと思ってしまいます。実は、貧困も大きく影響しているのではないかと思ってしまいます。
■痩せ細る女性
以下に日本人の体格の変化(BMIの変化)のグラフを掲載します。(資料)国民健康・栄養調査(厚生労働省、1974年調査なし)、学校保健統計(文部科学省、17歳)
BMIは体格指数で、体重(kg)を身長(m)の2乗で割ったもの。25以上は「肥満」とされる。
戦後70年間の体格の変化は男女によって大きく異なっています。
男は、各年齢とも、太っていった。40歳代が先行していましたが、現在では30歳以上の各年齢ともBMIが23の後半あるいは24以上となっており、太りすぎが懸念されます。唯一、17歳、20歳代は体格はよくなったが太りすぎというほどではありません。
戦後日本の文明の姿を特徴的に示しているのは女の年齢別の動きです。
まず、戦後直後には、20歳代の若い女性がもっとも体格がよく、60歳代の高齢者層はもっともやせていた点を確認しておきましょう。中高年が若年層に優先的に栄養を分けていたとも考えられます。
現在では、まったく逆であり、20歳代はどんどん痩せていきもっとも痩せた年齢となり、60歳代はどんどん太っていったためもっとも太った年齢となりBMIで3以上の差が生じています。吉行淳之介のエッセイに「若い女性は決まって可愛いのに、我々の女房達はいったいどこから来たんだろう」というセリフがありましたが、この体格の大きな差は驚異的です。
女性20歳代の痩せへの転換は高度成長期にはじまっており、その後も一貫して痩せの方向へ進みました。これは、いわゆるダイエット・ブームによるもののようです。17歳(高校3年生)の体格は痩せでないので、20歳代にかけて痩せていくのです。
男は、各年齢とも、太っていった。40歳代が先行していましたが、現在では30歳以上の各年齢ともBMIが23の後半あるいは24以上となっており、太りすぎが懸念されます。唯一、17歳、20歳代は体格はよくなったが太りすぎというほどではありません。
戦後日本の文明の姿を特徴的に示しているのは女の年齢別の動きです。
まず、戦後直後には、20歳代の若い女性がもっとも体格がよく、60歳代の高齢者層はもっともやせていた点を確認しておきましょう。中高年が若年層に優先的に栄養を分けていたとも考えられます。
現在では、まったく逆であり、20歳代はどんどん痩せていきもっとも痩せた年齢となり、60歳代はどんどん太っていったためもっとも太った年齢となりBMIで3以上の差が生じています。吉行淳之介のエッセイに「若い女性は決まって可愛いのに、我々の女房達はいったいどこから来たんだろう」というセリフがありましたが、この体格の大きな差は驚異的です。
女性20歳代の痩せへの転換は高度成長期にはじまっており、その後も一貫して痩せの方向へ進みました。これは、いわゆるダイエット・ブームによるもののようです。17歳(高校3年生)の体格は痩せでないので、20歳代にかけて痩せていくのです。
30歳代、40歳代も10年、あるいは20年遅れて、痩せへの方向に転じています。40歳前後(35~44歳)の女性を意味するアラフォー世代という言葉が2007年から使われるようになりましたが、40歳代女性の痩身志向が最近特に目立ちます。あたかも30歳代と同じ体型を維持しようとしているようにも見えます。さらに40歳代ばかりでなく50~60歳代でも痩身化への反転が起こっているようにみえます。
若い女性がこれだけ痩せてきている背景には従来は、精神的な要因を想定するしかななかったようです。いいわるいは別にして、精神が肉体にこれだけの影響を及ぼしうると解釈されていました。しかし、上の記事を読んだ後で、これはひよっとすると、最近の女性が痩せる原因としては、従来のダイエット・ブームによるものだけではなく、女性の貧困にも原因があるのではないかと思いました。
17歳の女性の体格が、あまり変わらないのは、やはり親の庇護の元にあるため、食事に関してはそれなりに、摂取しているのでしょうが、20歳台になると親の元を離れ、独立している女性が増え、その女性の多くが貧困状況に陥っていて、十分食事をとれていないことと、さらにいわゆる痩せ願望を持つ女性も多く、それが特に20歳台の女性の大きな痩せにつながっているのではないかと思います。
特に1988年あたりは、日本は完璧にデフレに突入しています。このあたりが20歳台女性の体格の底のようです。そうして、2012年には、若干体格が良くなりつつありますが、この年から経済が少しですが、回復基調にありました。
以上、特に男が、太り続けているのとは、対照的です。確かに貧困問題は、男女に関係なく発生することですが、若い女性の貧困のほうがより深刻なのだと思います。その貧困が食事にまで影響を及ぼしているのかもしれません。
男性の場合は、貧困に陥っても、食事代はなんとかできる程度の貧困ですんでいるということも十分考えられます。
だとしたら、とんでもないことです。やはり、男性よりも女性のほうが弱い立場にあるため、最も悪影響を受けやすいことを示しているのかもしれません。
以上女性の体格、特に20歳台女性に関しては、「痩せ願望」だけで片付けるのではなくて、女性の貧困も考慮に入れる必要があるのではないかと思います。
■女性の貧困の原因
さて、貧困が女性が痩せ細る原因になっているかもしれないということですが、ではその痩せの原因にもなっているかもしれない、女性の貧困の原因は何かといえば、それはすでに上の文章にも、ヒントがありますが、それは長期にわたって続いたデフレです。
デフレ長期化の原因は、本来デフレのときには、日銀は金融緩和策をとり、政府は、積極財政をするべきだったのに、両者ともその逆の金融引き締め策、緊縮財政をしてしまったことです。
特に黒田体制になる前の、白川総裁までの日銀は、まともに金融緩和をしたことはありません。政府は、積極財政どころか、何度も緊縮財政の一つの手法である、増税を繰り返し、これでは、日本が長期デフレに至ったのは当然のことです。
デフレを素早く脱却するには、本来は速やかに金融緩和政策と、積極財政(減税、経済対策、給付金)などを実施すべきでしたが、なぜか過去20年近くもこれが実行されず、日本のデフレは放置されました。
ただし、これも、2013年の黒田体制の日銀からは、金融緩和に転じて、経済の統計数値もどんどん良くなっていたのですが、 2014年4月からご存知の8%増税が実施されて、せっかくの金融緩和の効果が削がれた形になりました。
今の日本は、言葉の厳密な意味では、もはやデフレではなくなりましたが、それでも、長年続いたデフレの影響は色濃く残っています。
その事例を企業サイドからみてみます。
企業が蓄積した内部留保を人件費等に使うのが望ましいとの考えで、政府から大企業に対する働きかけが続いています。
しかし、実際には政府からの要請があっても、民間企業の行動(=お金の使い方)に大きな影響を及ぼすには至らないのが実情でしょう。厳しい競争にさらされる民間企業の行動は、さまざまな要因が影響するので、法的拘束力がない声掛けにはおのずと限界があります。
2015年に期待された賃金上昇が遅れている一因を考えると、2014年に消費増税によって実質GDP成長率が停滞したことがあげられます。現段階で判明している2014年度の実質GDP成長率はマイナス0.9%と大きな落ち込みで、個人消費が失速して急ブレーキがかかり需給ギャップの縮小が止まってしまいました。
企業利益は円安効果で増益になったのですが、前政権の「負の遺産」である尚早な消費増税の後遺症は大きく、脱デフレと相反する政策を採用した政策への不信から、企業は賃上げに慎重にならざるをえなかった考えられます。
この状況では、社会的に弱い立場にある女性にそのしわ寄せがいき続け、女性の貧困問題はまだまだ解消されるには時間がかかりそうです。
特に、需給ギャップが残ってしまったというのが痛いです。この需給ギャップは、10 兆円とされています。にもかかわらず、政府は昨年も、今年も補正予算は3兆円台のものにとどまっています。
こんなことを書くと、中にはそんなことよりも、貧困女性に対する直接の支援が必要と訴える人もいると思います。確かにそうでは、私もそれは否定しません。しかし、需給ギャップを放置しておいて、貧困女性をセーフティーネットで救ったとしても、それは一時しのぎに過ぎません。
デフレを放置しておけば、何かに対策を打ち、何かが良くなっても、結局それがどこかにしわ寄せが行きます。しわ寄せが行きやすいのは、社会的に立場の弱い層です。そうなると、やはり女性にしわ寄せが行くという構図は変わりありません。まずは、何がなんでも、なるべくはやく、需給ギャップをなくすことが必要不可欠です。
このような最中に、自民、公明両党は2017年4月の消費税率の10%への引き上げに合わせて、加工食品を含む食料品への軽減税率の導入を決めました。さらに月ぎめ購読の新聞にも適用するといいます。と聞くと、税負担が軽くなるような気がするかもしれませんが、だまされてはいけません。消費税率2%分の年5・4兆円の消費者負担が1兆円程度少なくなるだけの話で、れっきとした増税であり、「緊縮財政」路線に変わりないです。
14年度の実質経済成長率はマイナスに落ち込み、さらに15年度も4~6月期がマイナス、7~9月期は改定値が何とかプラスになりましたが、10~12月期の足取りは重いです。原因はまさに緊縮財政です。
日銀は異次元金融政策を堅持しているし、場合によっては追加緩和にも踏み切るとの期待は株式など市場関係者に多いです。この緩和策は日銀が民間金融機関保有の国債を買い上げて、日銀資金を年間80兆円程度新規供給するのものですが、国際通貨基金(IMF)は民間の売却可能な国債保有額は約220兆円で、今後2~3年以内に日銀政策は限界にくるというリポートをまとめています。日銀緩和偏重の現状のままのアベノミクスは持続不可能です。
加えて、海外からのリスクもあります。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切ると、新興国などから資金の逃避が加速します。中国は特に危ないです。安倍晋三首相は、名目国内総生産(GDP)をあと5年で600兆円、14年度比で110兆円増やそうと大号令をかけています。そうなれば、女性の貧困問題も解消されるかもしれません。しかし、そのためには何よりもまず緊縮路線の廃棄が必要です。
緊縮路線の廃棄の筆頭は、10%増税をやめることです、やめるだけではなく、減税や、給付などをすることが、緊縮財政の反対の積極財政をするということです。
これを実現しない限り、痩せ細る女性が増え続けることになると思います。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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以下に、最近の貧困女子の驚くべき実態をあらわした書籍をセレクトしました。ただし、これらの書籍も、貧困女子が発生する真の要因については述べていません。
貧困女子が生まれる原因は、デフレであることを念頭に置いて読まれることを希望します。
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