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2009年7月18日土曜日

セブン弁当値引き“解禁”…仕入れ値下回らない範囲で―役所は、流通業に関しては結局何もやってこなかった?

Adds by Yutakarlson

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セブン弁当値引き“解禁”…仕入れ値下回らない範囲で (この内容すでにご存知の方は、この項は読み飛ばしてください)

セブンイレブンで値引きをしたとしても、いつも値引き品を買えるということにはならない?

 売れ残った弁当などを値引きする「見切り販売」を制限、公正取引委員会がセブン-イレブン・ジャパンに排除措置命令を出した問題で、セブン側が見 切り販売を“解禁”する方針を決めたことが18日分かった。同日付の読売新聞が報じた。極端な値下げによって本部と加盟店、双方の経営を圧迫しないよう、 仕入れ値を下回らない範囲で実施するという。

 セブン-イレブンは6月22日、独占禁止法違反として公取委から排除措置命令を受けた後、消費期限が迫った弁当を廃棄する際に損失となる仕入れ価 格を加盟店の全額負担から、本部側の15%負担へと変更した。だが、一部の加盟店オーナーが「場当たり的で何の問題解決にもなっていない」と強く反発。結 局、値引き販売が認められる見通しとなった。これまで、弁当や総菜の廃棄は加盟店が全額負担し、本部はいくら廃棄物が増えても利益が減らないシステムだっ た。以前から加盟店は不満を抱えていたものの、営業契約の打ち切りを恐れるあまり問題が表面化しなかったという。

役所は、流通業に関しては何もやってこなかった?

まだ詳細は、発表されていませんが、おそらく値引きするにしても、ただオーナーなどの感覚で値引きするのではなく、キチンとした基準にもとづいて値引きするようになるのだと思います。コンビニと、スーパーとでは、業態が違うので、セブンイレブン本部もなかなか値引きをそうすんなりと認めるわけには行かなかったのだと思います。

ただし、現在は、資源を大事にする時代ですから、いくらコンビニ業態とはいっても、資源を無駄にすることには、いつまでも抵抗はしずらかったに違いありません。

ただし、私自身は、以前にもこの前のブログで書いたように、オーナーが勝手に自分の判断で値引きをするなどのことはありえないだろうし。値下げは、今まで、長い間培って育ててきた、業態の一部を変更することになるため、今回は、セブンイレブンの廃棄ロスの15%負担くらいで終わるだろうということを書きました。ある意味では、予測は外れたわけです。しかし、この値下げに関しては、流通業に従事している人、あるは従事した経験がないとわからないような問題が背後にあります。

しかし、とうとう、値下げに踏み切ったわけです。私自身は、これは、結局役所の命令に従ったというより、従来と比較すると随分回りの環境が変ってきたためだと思います。ただし、多くのブログにも書いてあったように、ある時間帯になると安売り時間が始まって、多くの顧客が値引きした商品を購入できるというわけには行かないと思います。おそらく、滅多になくて、たまたま運がよければ、そういうこともある程度になると思います。これが、恒常的に当てにできるようになったとしたら、おそらく、惣菜部門は、セブンイレブンの利益に貢献しなくなると思います。

値引きにこだわった、FCのオーナーにとっても、現実はあまり変わらないと思います。これは、商いの原点として、仕入れたものを売り切るというのが原則だからです。ただし、品揃えの観点から、多少の廃棄ロスは最初から出るのを予期して販売している(させている)のも事実です。しかし、私は、あまりに廃棄ロスを出すのには、仕入れに問題があるのではないかと思っています。廃棄ロスが予想通りの店であれば、廃棄ロスとして処分する予定だったものが、賞味期限が切れる直前に運良く売れるかも知れないという程度のことになると思います。仮に売れたとしても、ほとんど利益に貢献しないと思います。ましてや、予定の廃棄ロスより過大なロスがでる店は、仕入れが間違っているし、利益はますます出にくくなるといわざるをえません。

値引きに相当こだわっていた、FCオーナーは、廃棄ロスが通常より随分多いのではないかと思っています。こういうオーナーの場合は、結局値引き販売することが可能になったとしても、多くの商品を値引きして恒常的に販売することになり、結局損をします。

最近、廃棄ロスが資源の無駄遣いとして、何かとマスコミの間でも話題になっていました。しかし、現実に現在まで売れていたということは、消費者は結局そのことは、あまり気にしていなかったのだと思います。お客様が気にして購入を控えるようになれば、店に変化が起こります。たぶん、役所が介入しなくても、これらの変化が大きくなれば、セブンイレブン本部でもそれに対処するため、条件づきで値引きに踏み切ったと思います。役所が黙っていても、しばらくしたら値引き解禁に踏み切ったかもしれません。

商売とはそんなに甘いものではありません。店頭にならんでいるものを、すぐに安売りするということは、商人としては、最低で最初から負けの商売をしているといっても過言ではありません。特に、コンビニはそうです。以前のブログにも書きましたが、もともとの、アメリカのセブンイレブンは、安易に値下げをしたため、値下げ競争に巻き込まれたことが、破綻の一因ともなっています。最近スーパーのお弁当でも、最初から300円を切るようなものも、販売しているところもありますが、きちんとシステム的に、儲けがでるようにしているならいいですが、そうでないとすれば、商売ではありません。値引き競争というのは、商売としては、下等な部類のやり方です。企業というものは、長い間存続し続けて、お客さまに一定のサービスを提供し続ける義務があります。安易な安売りは、こうした義務を履行できなくすることにもつながりかねません。

もともと、粗利益の少ない商売ですが、お役人感覚でやれば、すぐに失敗してしまいます。工夫と努力の連続です。こんな厳しい商売は、やはり、お客様の喜ぶ笑顔を見て喜べるという、根っからの商人でないと勤まりません。お役人などには、およびもつかない世界です。

多くの人たちは、今回の役所のやり方を良いことだと思っているかもしれません。しかし、そんなことは、ありません、結局、オーナーの段階では、ほとんど何も変わらないと思います。廃棄ロスの多かった、オーナーの店も、これで救われることはなく、結局安売りで長続きしないことになると思います。役所が、甘えの構造をつくってしまったと言っても過言ではありません。これらの、オーナー仮に安売りで利益でずに店を閉めることになったとしても、お役所は何もしないと思います。

お役所は、何も消費者の味方ではありません。イトーヨーカドーの平均的な店を出すにしても、700以上もの書類が必要になります。現在、セブンイレブンなどができて、日本の流通業は、世界でも屈指の効率の良いシステムになりました。しかし、こうしたことに対して、役所がやってきたことといえば、益になることは何もやってこなかったといっても過言でありません。

ドラッカーも「ネクスト・ソサエティー」の中で述べています。日本の役所は、結局何もしないという選択肢である「引き伸ばし戦略」を実施することにより、成功してきたというものです。戦後で大きなものは、二つほどあります。一つは、農村人口の都市への移動でした。これに関して、役所は全く何もしませんでしたが、結局は都市部に多くの就職口ができて、成功しました。

もう一つは、暗黒大陸(仲介がいくつあって、複雑に入りくんでいて、中身がどうなっているかわからない業界)ともいわれた、流通業界の近代化です。これに関しては、政府は全く何もしませんでした。そのことにより、イトーヨーカドーやダイエー、西友、イオンなどの民間企業が努力して、今日の流通業界をつくりあげてきました。

私の勤務する会社、オーディンフーズは、いまでこそ、ピザの宅配を中心とした事業を展開していますが、もともとは、流通近代化センターという、流通コンサルタントを事業としてきました。その意味では、今日の流通業のありように、お手伝いをしてきたということになります。このコンサルタント事業では、誰でも知っているところとしては、北海道のローカルチェーンから脱皮しようとしてたニトリ家具もありました。札幌東急ストア(定鉄商事)なども指導していました。というより、北海道のありとあらゆる、流通業をクライアントとしていた時期もあります。

私の知る限りでは、いわゆるお役所が主導で何かをやった場合、成功したものは一つもなかった思います。流通業でも、製造業、第三次産業でもなんでも、役所主導では何も成功しいません。ITでも、トロン(日本産のパソコンOS)では大失敗です。ネクスト・ソサエティでも述べたいたように、役所はもともと、インフラを整備することはできても、そのインフラの上で何かをやったら必ず失敗します。インフラ(基盤:法律、条令、ライフ・ラインなど)の上で活動するのは、民間であるべきです。現在テレビで「官僚達の夏」という番組が報道されていて、さも、旧通産省のお役人が頑張って、日本の産業を振興してきたようなことを放映していますが、あれは、幻想に過ぎません。役所が日本の産業の振興に役所主導で本気で入れ込んでいたとしたら、ことごとく失敗し、今日の日本の姿はなかったでしょう。

今回も、役所の方は、様子見をして、勧告する程度にして、余計なことはすべきでなかった思います。今回、値引きを問題にしていたオーナーの多くは、値引きが解禁になっても救われることはありません。元々、駄目なものは駄目なのです。お役所のやったことはといえば、駄目なオーナーを少しの間生きながらえさせるだけで、結局は、何にもならないことに地道をあげたということです。

それどころか、駄目なオーナに対して、怠ける口実を与えて、かえって、駄目にしてしまったかもしれません。それよりも、何よりも、今セブンイレブンなどのコンビニ求められているのは、値引きがどうのなどという安直なものではなく、次世代コンビニとしての、イノベーションだと思います。いつも日本の流通業の先端を走ってきたセブンイレブンです。私は、近いうちにまた、何かをやってくれるではないかと期待しています。

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