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2019年10月19日土曜日

ソ連に操られていた…アメリカが隠していた「不都合な真実」―【私の論評】ヴェノナを知れば、あなたの歴史観は根底から覆る(゚д゚)!

ソ連に操られていた…アメリカが隠していた「不都合な真実」

第二次世界大戦から朝鮮戦争、そして冷戦。現在へと続く戦後の歴史は「アメリカ覇権の歴史」でもある。

そのアメリカが今、「ある文書」によって自国の戦中・戦後史の見直しを強いられていることをご存じだろうか。そして、この歴史の見直しは日本にも暗い影を落とすものかもしれない。

■ソ連の暗号解読が引き当てたとんでもない事実

『ヴェノナ 解読されたソ連の暗号とスパイ活動』(扶桑社刊)は、アメリカが1995年に公開するまでひた隠しにしてきた「ヴェノナ文書」を軸に、戦中・戦後のアメリカの政策決定が「スパイ」によってゆがめられていた可能性を指摘する。

『ヴェノナ 解読されたソ連の暗号とスパイ活動』(扶桑社刊)  表紙

話は1943年、第二次世界大戦中にさかのぼる。アメリカ陸軍情報部の「特別局」の情報官がこんな噂を聞きつけた。

「独ソが英米を出し抜いて単独和平交渉を行っている」

この和平が成立すれば、両国は結託して戦争資源を米英に集中してくる可能性がある。この噂は当時の米軍にとって極めてデリケートな情報だった。

真偽を確認するために、アメリカは在米ソビエト外交官がソ連本国と交わしている秘密通信の解読プロジェクトを立ち上げ、そのプロジェクトを「ヴェノナ作戦」と名づけた。

「論理的に解読不能」とされる複雑な暗号システムに挑む困難なプロジェクトだったが、アメリカの情報分析官たちの奮闘によって、アメリカはついに暗号を部分的にではあるが解読することに成功。通信の内容は「独ソの和平交渉」を示してはいなかった。

しかし、これでひと安心、とはいかなかった。その代わりにもっととんでもない事実が明らかになったのである。

■なぜこんなに早く? ソ連の原爆保持の謎

話がそれるが、第二次世界大戦終戦当時、核戦力を持っていたのは世界の中でアメリカだけだった。そして、そのままアメリカのみが核を持っている状態であれば、今の世界秩序は全く違ったものになっていたはずだ。終戦後長くつづいた米ソの冷戦は、両国ともに核という「最終兵器」を持っていたからこそ起こり、維持されたものだからだ。

ソ連がはじめて核実験を成功させたのはアメリカに遅れること4年、1949年のことだった。たった4年である。不自然ではないだろうか。核物質の精製技術や兵器化の技術というのは、当時のソ連の技術水準からしてそれほどの短期間にものにすることができるものだったのか。

「ヴェノナ作戦」がソ連の暗号通信を徐々に解読できるようになったのは1946年。すでに戦争は終わり、「独ソの平和交渉」の証拠をつかむという当初の目的はすでに無意味になっていた。

しかし、最初にまとまった文章として解読された通信内容が示していたのは驚くべき事実だった。ソ連はアメリカ最大の秘密計画だった原爆プロジェクトに深く浸透していたのだ。

ソ連は主にアメリカ共産党員をエージェントとしてリクルートし、国内に大規模なスパイネットワークを作り上げていた。それはアメリカの国家中枢にまでおよび、軍事と外交に関わるほとんどすべての主要官公庁の内部に多数のスパイを獲得していた。アメリカの原爆開発プロジェクト「マンハッタン計画」の内部でも、クラウス・フックスとセオドア・ホールの二人の物理学者、そして技術者のデイヴィッド・グリーングラスらが、ソ連に多くの技術情報を渡していたとされる。

ソ連がわずかな期間できわめて安価に核開発を成功させることができたのは、米国のスパイからもたらされる情報によるところが大きかった。このスパイネットワークを通じて、アメリカの原爆プロジェクトはソ連に筒抜けだったのである。

話は原爆だけにとどまらない。後の捜査でわかったことだが、スパイの中にはイギリスのウィンストン・チャーチルやルーズベルトと個人的に会うことができるほど高位にあった者もいれば、軍の高官もいた。外交官もいた。

そして厄介なことに、「ヴェノナ作戦」によるソ連通信の解読文に出てきた、ソ連に協力するアメリカ人の数は349名。しかし大部分はコードネームを使って活動しており、本名を特定できたのは半数以下だったという。残りの半数以上は摘発されることなくスパイ行為を続け、国家の中枢でアメリカの利益を損ねる行動を繰り返しているのかもしれなかった。

当時のアメリカは、身内に裏切り者がいるのは確かだが、それが誰かわからない状態でソ連と外交交渉をしなければならないという、非常に困難な状況に追い込まれていたのだ。

『ヴェノナ 解読されたソ連の暗号とスパイ活動』はソ連のスパイネットワークがどのように形成され、スパイたちはどのように活動し、それがどうアメリカの政策決定に影響していたか、そしてアメリカはなぜ「ヴェノナ文書」をひた隠しにしてきたのかを、当時の歴史背景を交えながら解説していく。

「スパイ」「ソ連」と聞くとなにやら陰謀論めいた話に聞こえるが、「ヴェノナ文書」の存在も、それが長く封印されていたことも事実である。原爆の製造情報をソ連に渡した容疑で逮捕され、のちに死刑となったジュリアスとエセルのローゼンバーグ夫妻には40年以上も冤罪疑惑がつきまとっていたが、この文書の公開によって実際にスパイであったことが証明されている。

学校で教わったり本で読んだ戦後史の裏側にあるもう一つの物語。本書は、誰にとってもスリリングな読書経験となるはずだ。
(新刊JP編集部)

【私の論評】ヴェノナを知れば、あなたの歴史観は根底から覆る(゚д゚)!

今回が発刊された『ヴェノナ 解読されたソ連の暗号とスパイ活動』に関連する、倉山満氏、江崎道郎氏、上念司氏の鼎談の動画を以下に掲載します。


本作品は2010年にPHP研究所より発刊された『ヴェノナ 解読されたソ連の暗号とスパイ活動』が絶版となっていたのですが、再発刊されたものです。今回はkindle版も発行されるそうです。 

米ソ同盟の裏で行われたコミンテルン(ソ連のスパイ)の諜報活動を暴く「禁断の書」書籍として、再発刊が待望されていました。 

米国の軍事機密がソ連に筒抜けだった事実は、日本にとって何を意味するのでしょうか。ソ連はアメリカの原爆プロジェクト「マンハッタン計画」を事前に把握しつつ、1945年8月6日の広島への原爆投下を見届け、同月8日に対日戦線布告を行ったということです。

ブログ冒頭の記事には、日本のことは出ていませんが、戦時中の近衛内閣はかなりコミンテルン(ソ連のスパイ)が浸透していたことや、コミンテルンによるアジア浸透戦略がヴェノナ文書で裏付けられています。それについては以前このブログでも紹介させて頂いています。その記事のリンクを以下に掲載します。
アメリカを巻き込んだコミンテルンの東アジア戦略―【私の論評】他の陰謀論など吹き飛ぶ! これこそ陰謀中の陰謀だ! 世界は、日本は、あなたはとうに滅亡したソビエトにまだ欺かれ続けるのか?
ヴェノナ文書により、ソ連の陰謀は白日の下にされされた
詳細は、この記事をご覧になってください。以下にこの記事の結論部分のみ掲載させていただきます。
今や、EUが本気になれば、ロシアを一捻りできるほどに衰退しました。プーチンは、衰退したロシアを少しでも強く見せるため奔走し、これ以上譲歩させられることを何としても防ごうとしています。 
しかし、隣には人口13億、経済的にロシアを凌駕した中国が控えており、いつ出し抜かれるかわかりません。そうして、今やロシアの世界に対する影響力はソ連当時と比較すると見る陰もありません。 
しかし、アジアでは、旧ロシアに変わって、中国がソ連コミンテルンの陰謀によって築かれた「戦後体制」保持し、ソ連に成りかわりアジアの覇者になること虎視眈々と狙っています 
史実が明らかになった今、日本を含めた世界の多くの国々が、ソ連の仕掛けた陰謀に未だにはまっているのは不合理そのものです。一日もはやく、旧ソ連の陰謀によって、できあがった、ソ連に都合の良い、そうして今では、中国にとって都合の良い、「戦後体制」なるものは、捨て去り新たな世界秩序をうちたてるべきです。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
さて、コミンテルンは今はもう なくなりましたが、  実は共産党員でもなく 共産主義者でもないのに 実は隠れ共産主義者あるいは本人は共産党員でもないし共産主義者でもないと思ってるのに 実は共産党に操られてる人たちが日本は無論のこと世界中に相当存在しているようです。

こういう人たちをデュープスと言います。(デュープス=Dupes=騙されやすい人・お馬鹿さん・間抜け)

本人は共産主義者でもないし共産党員でもないのですが、 結果的に共産党やソ連の味方をしてしまう人たちのことです。

このように、芸能人、スポーツ、学者、政治家、文化人 に共産党に所属させないで 共産党の言ってることを代弁させるような工作活動 これを「影響力工作」と言いますが、これ共産党の得意技なのです。デューブスになりそうな人たちに、自分たちに直接属させたり、直接仕向けるのではなく、デュープスにさせるのです。このようなデューブスを数多く輩出することに共産主義者は長けているのです。

米国においては、マッカーシー旋風の時に 戦中・戦後の反省をして 共産党的なことやソ連の味方を してる人を全部共産主義者 と決めつけました。しかし、それは間違いでした。米国にはいわゆるデュープスが存在していたのです。そのためこの人達は共産党員でもないし共産主義者でもないのです。

共産党無自覚なのに自分たちに味方する人たちをつくるのです。だから、私達もそういう人たちも居るって言うことを理解するべきなのです。 そのた、むやみやたらに 彼らを共産党のスパイだとか 共産主義者等と烙印を押してはいけないのです。

精神医学 つまり ブレインウォッシング (洗脳)を含めて、心理学や洗脳工作や宣伝 プロパガンダ工作という形で多くの人々に影響力を与えることができるように、共産主義者らは精神世界に関する学問を徹底的に学び、多くの仲間を作ることに成功したのです。

ドイツ には ヴィリ・ミュンツェンベルク という映画製作者がいて ハリウッドも含めた 映画を上手く使いながら 世界の人を洗脳せよと いう工作方針を出しました。彼のそういう工作方法を学んだ人間が中国の周恩来、野坂参三などの共産主義者なのです。

こういうことを学んで 洗脳工作をしたのです。洗脳するためには教育界と メディア界を支配するのが近道です。だから彼らは、今でも教育とメディアに一生懸命入浸透しようとするのです。

米国では、大統領選で トランプが劣勢だった時に トランプを絶対応援すべきだと言って全米の保守派に号令をかけた人がいました。フィリス・シュラフリーという人なのですが、日本で言うと櫻井よしこさんのような人です。

1975年インタビューを受けるフィリス・シュラフリーさん

彼女は全米の草の根保守のリーダーです。日本ではあまり知られていないようですが、米国では著名人です。1100万人の人たちを率いてると言われていた人ですが 、彼女もまたヴェノナ文書のおかげでようやく私たち保守派の言ってることの正しさが証明されたと語っていました。

彼女は、真珠湾攻撃はルーズベルトが日本に仕掛けたんだということを保守派のある程度 物を分かっている人は知っていると語っていました。

ところが、 米国 メディアは 自分たち保守派の意見を全然報じないので、日本にほとんど伝わっていないが、 我々保守派はそういう事実を認識している ということを一所懸命言っていました。

フィリス・シュラフリーさんは 2016年の大統領選挙の2ヶ月前に亡くなったのですが、葬儀には トランプ氏も出席しました。

米国保守派は、 ルーズベルトと スターリン、レーニンこそが最大の敵なのであり、 だからこそ日本よりも スターリンと ルーズベルトがもっと悪いと いうを考え方を持っている人たちです。日本の保守派もこういう人たちと協力できるようになっていくと 力強いと思います。

その意味でも、すでに読んだ方は、今一度『ヴェノナ 解読されたソ連の暗号とスパイ活動』を読んで見る価値がありますし、読んでいないかたには、その価値は十分あると声を大にして言いたいです。

ヴェノナプロジェクトの内容を知ることは、日米双方の保守派にとって、協力するための一厘塚になるものと、私は確信しています。さらに、この書籍を読んだことのない方読めば、政治的信条がどうであれ、あなたの歴史観は根底から覆されることになります。

ベェノナ文書は、それだけインパクトのあるものでしたし、これからも多くの人々にインパクトを与え続けていくことでしょう。

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2016年12月23日金曜日

【日本の解き方】デフレの危険性に鈍感な人たち 雇用悪化の副作用理解せず、消費税の影響も「不都合な事実」―【私の論評】経済常識が一般常識にならない困った日本(゚д゚)!

【日本の解き方】デフレの危険性に鈍感な人たち 雇用悪化の副作用理解せず、消費税の影響も「不都合な事実」

 日本で「格差が拡大している」「生活保護受給者が増えている」「国内消費が低迷している」といった話題はしばしば報道される。その際、「デフレ」や「消費増税」の悪影響が指摘されることはあまりなく、逆に「値段が安いのは良いこと」「消費税は増税すべきだ」といった方向に議論が進むことがしばしばある。こうした風潮の背景にあるものは何なのか。

 まず、デフレについて、基本的な理解不足がある。これはしばしばテレビなどで「識者」とされる人でも混同するのだが、「個別価格」と「一般物価」の違いである。

 ほとんどの人は、ものの値段は安い方がいいという。たしかに、自分の給料を一定とすれば、個別の財やサービスは安いほうがいいに決まっている。これはいわゆる「主婦感覚」にもマッチするので、テレビなどでも受け入れられやすい。

 しかし、全体での物価水準を示す一般物価が下落することは一般的に失業率の上昇を伴う。その場合、「個人の給料が一定」という前提が危うくなる。一般物価の下落、つまりデフレにはこうした経済全体でみた「副作用」があるのだ。

グラフはブログ管理人挿入 以下同じ

 このため、デフレ脱却が政策課題になっているのであるが、デフレが雇用の喪失を伴う点については、いまだに理解されているとは言いがたい。

 これは、アベノミクス批判でよく見られる話だ。「いくら金融緩和しても経済は上向かない」「インフレ目標も達成していない」というものだ。

 しかし、この批判は失業率の低下を無視しており、論評に値しない。失業率が下がっていれば、物価が上がっていなくても、たいした問題ではない。

失業率の推移
 失業率低下の恩恵は、限界的な労働市場である大学生の就職率に現れている。大学の就職率は1年前の失業率と大きな逆相関関係がある。アベノミクスの金融緩和によって失業率が低下したので、大学の就職率も上昇したのだ。

今春卒業した大学生の就職率は97・3%で、前年同期から
0・6ポイント増え、調査を始めた1997年以来最高となった。

 論壇や大手メディアがデフレの危険に鈍感なのは、エスタブリッシュメント(既得権層)であるからだろう。大企業ではデフレでも雇用に影響は少ない。ただし、デフレも長引いているので、そろそろメディアへの悪影響も出始めている。

 一方、論壇やメディアで消費税の悪影響が軽視されているのは、さんざん財務省の口車に乗って、消費増税の影響が軽微だと間違ったことを言ってきたからだろう。いまさら悪影響があったと言うのはさすがにまずいということではないか。消費増税によって現実の景気は悪くなったが、論壇やマスコミにとっては「不都合な事実」なのだ。

 消費増税論者は、景気の悪化を無視して増税を主張するので、筆者には理解不可能だ。増税論者が根拠としているのは「日本の財政が危ない」という主張だ。しかし、政府と日銀を合算した統合政府のバランスシート(貸借対照表)をみれば、政府の借金1000兆円はほぼ解消して、事実上財政再建が達成できているという事実があり、おかしいと言わざるをえない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】経済常識が一般常識にならない困った日本(゚д゚)!

上の記事では、一般物価と、個別価格について掲載してあり、識者ですら混同する人がいるということが掲載されていました。

そのため本日は、まずは一般物価と個別価格の違いについて掲載します。それも、教科書的に書いても面白く無いので、それとは全く反対のスタイルで掲載しようと思いスマ

世の中にあるいろいろな財やサービスをバスケットの中に入れてぐちゃぐちゃにして、加重平均したものが一般物価です。この代表的な指数が消費者物価指数です。


一方、個別価格は読んで字のごとく、車とか住宅とかエネルギーなどの個別の価格のことです。

そんなのわかってるよ、バカにしてんのか?って声が聞こえてきそうですがでは、一般物価は何で決まるんでしょう?それは、ずばり金融政策によって決まるのです。

つまり、世の中に出回っている全体のおカネの量が一般物価を決めるのです。一般物価は人口も個別の需要や供給も、何にも関係ありません。

日本国の発行するおカネ全てが入る財布があるとします。財布に入っているおカネの量が一般物価を決めるんです。そうして、個別価格は、個別のモノの需要と供給で決まるのです。

一般物価は金融政策による全体のおカネの量で決まり、個別価格は需給で決まるのです。でもこれだけでは、何のことやらまだ理解しがたいところがあります。

しかし、次のはこの一般物価と、個別価格の違いを知るためにすごく大事な論点です。

今、ある財の供給が過多になり、個別価格が下がりました。例えば、自動車の価格やパソコンの価格が需要減で下がりました。

そうなると、マスコミはデフレが深刻化する大変だと騒ぐかもしれません。しかし、少し、待って下さい。

一般物価は何で決まるんでしたっけ?そうです、金融政策です。金融政策が一定なら一般物価は変わらないはずです。そうです、たとえパソコンや自動車の価格だけが下がったとしても一般物価は変わらないのです。

たとえ、パソコンや自動車の価格が需要不足で下がったとしても、それ以外の価格が上るので一般物価は上がらないのです。

このあたりを良く理解しないがための誤解があまりに多いのです。これを誤解するマスコミなどは、個別価格の低下をデフレを招くと騒ぎたてることになるのです。

でも本当は違うのです。金融政策が一定で消費性向が変化しなければある個別価格の低下は他の製品の需要を押し上げることになるのです。例えば給与が30万円で貯蓄が10万円なら消費に回せるおカネは20万円です。金融政策が同じなら、個別の価格が下がろうが上がろうが、使うお金は20万円と考えるのです。

そうして、インフレやデフレは個別価格の上昇や低下によって引き起こされるものではなく、あくまで金融政策によって決定され、消費に回せるおカネの量で決まるのです。

そこが非常に大事な論点です。しかし、これを理解していない人が、識者の中にも存在すると、高橋洋一はいうのです。確かに、これを理解していなければ、デフレが何が悪いのかということになります。

しかし、これは単なる勉強不足というだけであって、デフレに関して無頓着な人は、このへんは上の文章でも参考にして勉強していただきたいです。識者で、これを知らないというのは、問題外でしょう。このような知識にに欠ける人が、日本経済に関して論評すべきではありません。

この違いが理解できいないと、雇用と金融政策の関係の理解も覚束ないと思います。雇用と金融政策に関しては、以下のフリップス曲線といわれるグラフをご覧いただければ、一発で理解可能です。


物価上昇率と失業率はトレードオフの関係にあります。一般物価が上昇すれば、失業率は低下し、一般物価が下落すれば失業率は上昇するということです。

これは、マクロ経済学では当たり前のど真ん中の理論です。要するに、金融緩和をすれば、失業率は低下、金融引き締めをすれば、失業率は上昇するということです。

高橋洋一氏は、ブログ冒頭の記事の結論で「政府と日銀を合算した統合政府のバランスシート(貸借対照表)をみれば、政府の借金1000兆円はほぼ解消して、事実上財政再建が達成できている」と述べていますが、これはまったくその通りです。

これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下にこの記事にも掲載した「統合性不ベース」での政府純債務残高の推移と予測のグラフを掲載しておきます。

 

これは、ある方の試算ですが、私も自分で計算して大体これと同じ推移をたどることを確かめましたし、高橋洋一氏も大体同じ予測をしています。

それにしても、一般物価と個別物価の区別、統合政府ベースで財政をみること、フリップス曲線の意味するものなど、これらは世界的には特に先進国では一般常識になっていて、詳細は別にして、その意味くらいは多くの人が知っています。日本でも、多くの人に一般常識として知っていただきたいものばかりです。

しかし、日本ではこれは一般常識になっていないようです。なぜ、このようなことになるのか、本当に高橋洋一氏と同じく理解に苦しみます。

【関連記事】




2014年10月26日日曜日

実は不寛容だった!? 女性登用先進国の「不都合な真実」 フィナンシャル・タイムズ(UK)より―【私の論評】古今東西の事例をみないか、みても中途半端で失敗するというのは、日本の政治家・官僚・マスコミが何度となく繰り返したきた習性!これからも繰り返し続けるのだろうか(゚д゚)!


26.10.2014 フィナンシャル・タイムの第一面 

首相、財務相、さらには経済界の要職である雇用主組合と労働組合連合のトップに、女性が君臨する。ノルウェーが女性登用先進国と言われる所以である。

2003年、会社法改正により、同国の男女平等政策は民間企業にも広がった。上場企業の取締役会における女性の割合を40%以上とすることを義務づける「クォータ制(割当制)」が導入されたのだ。

国際的には、クォータ制は女性登用に一定の成果を挙げたと評価されている。だがノルウェー国内では、その効果を疑問視する声もあがっている。

ノルウェーではいまや、上場企業の取締役会における女性役員が40・7%を占めるまでになった。だが、実際に経営に携わる女性役員は6・4%にとどまる。さらに言えば、ノルウェーの大手上場企業で社長の座に就いている女性は一人もいない。

結局のところクォータ制は、企業社会の男女平等を後押ししたというより、経営の決定権を持たない女性役員の数を増やしただけだったというのだ。

この制度が非上場企業には適用されないことも、大企業にとっては抜け道となっている。03年に563社あったノルウェーの上場企業は、クォータ制が法的強制力を持つ08年までに、179社に激減した。女性役員の比率を上げたくないがために、7割の上場企業が非上場に転じたのだ。その結果、役員ポストは上場企業全体で1400となり、現在570人の女性役員がいるにすぎない。他方、非上場企業の役員の50万のうち、女性が就いているポストは9万余り。女性の割合は2割にも満たない。

【私の論評】古今東西の事例をみないか、みても中途半端で失敗するというのは、日本の政治家・官僚・マスコミが何度となく繰り返したきた習性!これからも繰り返し続けるのだろうか(゚д゚)!

官邸では、「輝く女性会議」が開催され、安倍総理の肝いりで、女性の社会進出を促そうという機運が盛り上がっているようです。

しかし、それにしても、上の女性登用先進国であるとみなされていたノルウェーの実体は、そうではなかったことが明らかにされています。

日本の政治家や、官僚、マスコミもこぞってこのような事例を出しつつ議論などしているようですが、このようなことは以前にも良くあったことです。そうして、女性の社会進出を促す以外のことでも、十分に調査もせずに、導入しようとしたたものは、大失敗したり、頓挫してしまったことが多いです。

こんな事例はいくつもあるのですが、それをいくつか以下にあげていきます。

ニュージーランド国旗をデザインした水着の女性

たとえば、日本の官僚の数が以上に多いという思い込みによる失敗です。これは、政治家などが、ニュージーランドに行ったときに、官僚の実数があまり少ないのに驚き、日本の官僚は多すぎなどと言い出したのが、きっかけのようです。

これに関して、その後ニュージーランドの人口は、数百万に過ぎず、日本の地方自治体レベルの人口しかないことがわかり、人口あたりの官僚数は、ニュージーランドのほうが多いくらいだということが公にされ、最近はほとんど誰も言わなくなりましたし、テレビでも報道しなくなりました。

こういうことを言い出したり、真に受ける人というのは、そもそも、日本やニュージーランドの人口総数も知らないか、実際に割り算などして、日本とニュージーランドの人口当たりの官僚数など比較したことがないのでしょう。全くもって愚かです。



次に例として出したいのは、「ゆとり教育」です。「ゆりと教育」に関しては、アメリカでも実際にこれを実行していた時期があります。しかし、これを実施したがために、アメリカの児童の学力が極端におち、特に理工系大学などでは、「ゆとり教育」のせいで、学力が低すぎで、まともに大学教育が出来ない状況になったため、「ゆとり教育」を実施するのは、やめてしまいました。

日本は、アメリカが「ゆとり教育」などやめて、その反動でアメリカでは、「詰め込めるだけ、詰め込め」ということが言われた頃に、こうしたアメリカの失敗を顧みることなく、導入され、実施されました。

その結果として、日本の児童などの学力がかなり落ち込んだし、アメリカの事例などもだんだんと知られるようになり、日本でも「ゆとり教育」は弊害が多すぎということで、廃止されるようになりました。

こんなことは、まだまだあります。上の事例は、はっきりと失敗ということが明らかになり、誤ったことを言わなくなった例と、導入した制度を撤回した事例です。

以下には、まだ失敗という認識がいきわたっていないか、まだまだ日本では十分議論されつくしていない事がらに関するものを掲載します。

まずは、夫婦別姓などの事例に関してあげます。

これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
選択的夫婦別姓を明記 第3次男女共同参画基本計画策定に向け答申―日本解体始動!!ゆとり教育の二番煎じになるか?
選択的夫婦別姓制度に関しては、反対派が多数を占めているが、賛成派も多い・・・・・

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の中からアメリカの夫婦別姓に関するものをピックアップして、以下に掲載します。
さて、この選択的夫婦別姓に関しては、米国では、現在の日本と同様、結婚によって夫婦は同じ姓になりますが、婚前の姓をミドルネームと言う形で残すのは、普通のことのようです。「私のパパの名前をミドルネームにして使っているの」という女性も多いです。米国では、法律では夫婦別姓に関して決まりはありません。
ところが、米国では1960年代からいわゆるリベラリスト(自由主義者)らによるフェミニズムの影響で、男性からの経済的自立で女性は自由を得るという生き方が吹聴され、夫婦別姓や事実婚を推奨する運動が盛んでした。
だから、アメリカでは働く女性が自分の旧姓を名乗り続けるなどのことが、珍しくないことになっていました。あるいは、実質的には夫婦関係にあるにもかかわらず、結婚せずに、夫婦別姓で、いわゆる事実婚という形をとるカップルも増えました。ところが、この法律にもとづかない実質的な夫婦別姓制度が大きな不幸をもたらしました。
夫婦別姓、女性の社会進出、子育ての外注化という流れの中で米国では多くの男性が妻と子供を扶養する責任を感じなくなっていきました。離婚や未婚の母が増加し、家族という生活の基礎的な基盤を失って苦しむ子供たちが急増しました。皆さんご存知でしょうが、現在アメリカで結婚したカップルのうち、半数以上が離婚します。半数以上ですよ!米国では、離婚は当たり前のことになってしまいました。近いところでは、あのおしどり夫婦で有名だったアル・ゴア氏の離婚が有名ですね。
ペンシルベニア州立大学ポール・アマト教授は「安定的な結婚を1980年の水準まで上昇させれば、停学になる子供を50万人、非行、暴力行為に走る子供を20万人、心理療法を受ける子供を25万人、喫煙する子供を25万人、自殺志向の子供を8万人、自殺未遂の子供を2万8千人、それぞれ減らせる」と警鐘を鳴らしました。
「家族の絆(きずな)」よりも「個人の意向」を優先する社会-。これが何をもたらしたか。米国の女性たちは既に教訓を得ました。「(米国女性は)過去25年間で初めて女性の就労率が下降し、女性の86%が『仕事よりも家庭が大事だ』と思っている」(2002年3月12日付『USAトゥデー』)
日本は米国の過ちを繰り返すのでしょうか?米国でのこうした、法律で定められていない、ライフスタイルにもとづく夫婦別姓がこれだけ社会に大弊害をもたらしているのです。日本が法律に基づく夫婦別姓を導入したら一体どういうことになるのでしょうか?
米国での、法律に基づかないライフスタイルとしての夫婦別姓が、このような結果を生んでしまったということを、先の学識者らで構成する男女共同参画会議傘下の専門調査会は知らないのでしょうか?一体専門家とはどういう人達なのでしょうか?
さて、選択的夫婦別姓に関しては、民主党政権時代には、法制化の動きもありましたが、結局は見送られました。しかし、選択的夫婦別姓に関して、未だ賛成している政治家も一定数存在します。マスコミにもそのような意見の人も多いようです。

そういう人たちは、アメリカの失敗事例を良く学んでいるのでしょうか。そうではないようです。そもそも、アメリカで法制化もされていない、選択的夫婦別姓をわざわざ、法律にする必要など全くありません。さらに、アメリカでは法制化もしてないのに、「夫婦別姓、女性の社会社会進出、子育ての外注化」という一時の流行で大失敗しているわけです。

この記事は、民主党政権時代に掲載したものなので、法制化の可能性もあっので、その場合は、「ゆとり教育」の二番煎じになる可能性があると論評しました。

私自身は、昨今の若い女性の場合は、社会新種するよりも、結婚したがる人のほうが多いという現実もあるので、女性の社会進出しゃにむに進めることには反対です。

家事に集中したい人は、それに集中し、働きたい人がいれば、働けば良いのだと思います。アメリカの失敗でアメリカ人が学んだように、「家族の絆」よりも「個人の意向」を優先する社会は失敗するのです。

だから、日本では、もっと家庭の重要性や、家事労働の価値を高める必要があると思います。その上で、働きたいと思った女性が働き易い環境を整えていくべきものと思います。

ノルウェー国旗をデザインした水着の女性


だからこそ、ノルウエーの事例のように、女性の閣僚や、女性の取締役が多いということだけでそれを単純に良いこととみなして、女性の社会進出を促すという名目だけで、クオータ制を導入するなどの論議はやめていただきたいです。

その前に、日本では、働きたい女性が働けるようにするために、取り除かなければならない、大きな障害があります。これを取り除かない限りは、日本で女性の社会進出などいつまだたっても、促されることはありません。

それは、何かといえば、デフレです。デフレと女性の社会進出に関しては、日本では全く関係のないものと受け取られているようです。特に、政治家、官僚、マスコミなどには全くその意識はないようです。だから、これらの人たちの中には、平気で増税を推進しようとする人々が大勢います。

デフレを解消して、緩やかなインフレになれば、間違いなく雇用は増大します。雇用が増大すれば、慢性的な人手不足になります。そうなれば、当然のことながら、今までは労働力とみなされなかった女性も労働力とみられるようになり、女性の社会進出が促されます。

それに対応して、女性の就業者の実数が増えれば、女性の正社員や、役職者になる確率は高まります。そうして、役員になる人も増えてきます。

これなしに、いくらいろいろな制度をいじくってみたところで、女性の社会進出はうながされません。

実際に、独女と言われる人たちの現在の境遇をみてみれば、それは良く理解できます。

それに関しては、このブログにも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
働けども独女の暮らし楽にならず!?:―【私の論評】そろそろ真実に目覚めても良いのでは?

詳細は、この記事をご覧いただくものとて、いわゆる独女と言われる人たちは、独身ですから、働きたいと思っている人が多く、実際に勤めている人が多いのですが彼女たちの暮らしは、デフレの現在働いていてもなかなか良くなりません。

このような状況に至るのは、様々な原因がありますが、最も大きな要因はデフレであることをこの記事では主張しました。

実際そうです、どこの国でも、不景気やそれよりももっと悪い状態のデフレの場合などには、雇用状況が悪化し、最も大きく悪影響を被るのは、社会的には弱い立場にある若者や、女性です。特に、若い世代の女性には一番悪影響があります。

日本は、つい最近までは、デフレスパイラルのどん底に沈んでいましたし、昨年からは日銀が、金融緩和に転じたので、一時雇用状況が改善されましたが、今年4月からの増税で、消費や雇用に関する指標なども、金融緩和を実施し始める前の水準に戻ってしまいました。

これでは、女性の社会進出など促されるはずがありません。全く逆のことをしています。

若い女性の就業を支援する「しごとラボ」 デフレで雇用情勢が悪ければ、このようなラボを利用しても無意味?!
以上述べたように、いくら女性の社会進出を促そうとして、ただ単にクォータ制などを導入しても、ノルウェーのようになるだけで、それでは働きたい女性の社会進出になど役になどたちません。まずは、デフレを解消して、若い女性の就業機会を増やすことが最優先課題です。

そうして、社会進出が進んだとしても、それだけでは社会は良くならないということです。アメリカはその失敗を体験しています。

そういうことなど、アメリカの事例など見ていれば、良くわかるはずなのに、政治家やマスコミではそのようなことも確かめもせず、愚かなことを繰り返しています。

以上の話は、外国の事例など先行事例があるものの話ですが、驚いたことに最近の政治家や、官僚、マスコミなどは、古今東西に先行事例など全くないような事柄を奇妙な理屈で推進して大失敗をしているし、これからもしそうなりそうです。

それは、はっきりしています。デフレのときの金融引締め政策や、増税です。

しかし、それを反証するような事例は、ごまんとあります。デフレや景気が落ち込んでいるときに、金融緩和をしたり、減税して成功した事例は、古今東西にいくらでもあります。

また、マクロ経済学という学問でも、不況になった場合は、金融緩和政策や、積極財政をしなさいと教えています。まちがったも、金融引締めや、緊縮財政をやれと教えてはイません。

その格好の事例としては、日本の昭和恐慌(世界恐慌の日本での呼び名、原因はデフレであったことが1990年台の研究で明らかにされている)からの素早い脱却です。

これに関しては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
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高橋是清

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事ではポール・クルーグマンの主張である、不況のときには、金融緩和と積極財政して、すみやかに不況状態をぬけるべきであるという趣旨の書籍『さっさと不況をおわらせろ』の概要と、その格好の事例として高橋是清による昭和恐慌対策について掲載しました。

高橋是清は、デフレ対策として、金融緩和と、積極財政を実行したため、世界で一番はやく、日本は世界恐慌から脱却することができました。

今から80年前の日本の事例です。その他にも、古今東西を調べれば、このような事例はたくさんあります。ただし、デフレなのに金融金融引き締めや、増税で成功したという事例は皆無です。

古今東西の事例をみないか、みても中途半端で失敗するというのは、日本の政治家・官僚・マスコミが何度となく繰り返したきた習性です。これからも繰り返し続けるのでしょうか?

本当は、彼らはまずは日本の社会・経済を良くするために存在しているはずです。それが出来ないというのなら、存在価値はないと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年11月8日金曜日

「脱デフレは困難」不都合な事実に目を背ける御用学者と日経新聞 ―【私の論評】今の日本は、米の第二次大戦戦時体制時ような覚醒のための大ショックが必要!習近平はぐずぐずせず日本再生のために尖閣を手中に収め、沖縄上陸作戦を敢行し自滅せよ!!




 消費税増税でもデフレから脱出できると、政府・日銀、御用学者やメディア主流派は言い続ける。財務官僚は「消費税増税すれば国債相場も株価も安定する」と安倍晋三首相を説き伏せた。

 日銀も黒田東彦(はるひこ)総裁が、増税した場合の景気悪化には「金融政策で対応できる」と約束した。日経新聞は連日のように紙面で景気の好転や上場企業の収益回復を喧伝している。増税を推進、または支持してきた自身の判断を正しいと信じたいという心理が明らかに作用し、不都合な事実には目を背ける傾向がある。

 彼らが最も見たくないのは市場反応である。

 増税決定後、国内外の市場アナリストから聞こえてくるのは、脱デフレの見通し難である。財務省に近い有力エコノミストが10月初旬、米欧の市場関係者の多くから、「増税という緊縮財政によるデフレ懸念」を指摘されて、衝撃を受けていたことは、本欄でも指摘した。

 増税はただちに国内総生産(GDP)の6割を占める家計消費を冷やすが、政府が検討する経済対策ではそのマイナス分を補えそうにない、という至極真っ当な見方である。

 日経新聞のように増税原理主義ではなく、マーケットの声を比較的忠実に拾い上げる米国系通信社のブルームバーグは5日付で、日本国内のエコノミスト34人からの聞き取り調査をもとに「安倍政権の成長戦略に市場が失望感-日銀の物価目標実現の足かせにも」と報じた。

 その論点は、アベノミクス「第3の矢」である成長戦略が極めて不十分、特に規制緩和が小出しに終わっているという批判だ。これでは、日銀が「異次元金融緩和」政策を続けても、脱デフレは困難、というわけである。

 もとより、薬のネット販売や農地の大企業への開放など個別の規制緩和がただちに経済成長に結びつくはずはない。むしろ当面は中小の薬局が経営難に陥りかねないし、大企業が参入しても収益性の高い分野をつまみ食いするだけに終わる可能性がある。

 「規制緩和=成長戦略」という発想は、その恩恵にあずかる特定業種の企業の株価が上がるという、トレーダーが自己利益誘導のために行う「ポジション・トーク」と呼ばれるエゴイズムであって、経済全体の需給関係をよくすることで実現できる脱デフレとはおよそ無縁である。マーケットは一種のいいがかりをつけて、株価を動かすわけであり、この場合は、明らかに日本株売りの口実にしているのである。

 考えてもみよ。「15年デフレ」はすっかり慢性化し、市場はそれを前提に売り買いする。グラフにある通り、日本のデフレは1930年代の米国大恐慌時代よりもはるかに長い。当時、米国は第二次大戦という戦争景気で最終的にデフレから脱したのだが、今の日本にはそんな外部環境もない。デフレ増税を避け、財政と金融政策の両面で、脱デフレ策を地道に積み上げていくしか、方法はない。 (産経新聞特別記者・田村秀男)


【私の論評】今の日本は、米の第二次大戦戦時体制時ような覚醒のための大ショックが必要!習近平はぐずぐずせず日本再生のために尖閣を手中に収め、沖縄上陸作戦を敢行し自滅せよ(゚д゚)!

アメリカに端を発した世界大恐慌

上の田村氏の記事では、大恐慌時のアメリカと現在の日本のデフレを比較しています。少し残念なのは、ここにさらに大恐慌時(日本国内では昭和恐慌と呼称)の日本との比較もしてほしかったです。大恐慌の原因は発生当初は無論のこと、発生してからしばらくも良くわからず、様々な憶測がなされました。ユダヤ人の陰謀とか、奇妙奇天烈説もありました。しかし、1990年代に恐慌当時の世界各地のデータをもとに分析した結果結論が出ました。そうしてその結論はデフレというものでした。アメリカに端を発した世界規模のデフレというのが世界恐慌の真相です。それ以外の珍説はすべて間違いでした。

日本は当時高橋是清がリフレ政策(金融緩和と積極財政)をしたため、世界で一番早く、もちろん当時のアメリカよりも早くデフレから脱却しました。これに関しては、以前このブログでも掲載したことがあるので、以下にそのURLを掲載します。
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詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、日本がいかに昭和恐慌から素早く抜け出したのかその概略を掲載しています。詳細は、書籍などを読んでいただくのが一番ですが、とりあえずはこの記事を読んでいただければ、概要はわかります。以下にこの記事より、当時のGDPの推移を下にコピペさせていただきます。

昭和恐慌前後の日本の経済成長率 (%)
1927       3.4   
1928     6.5   
1929     0.5   
1930     1.1   
1931     0.4  
1932     4.4   
1933    11.4  
1934     8.7
この数字を見ると、落ちても0.4%とか、0.5%のレベルであり今の水準からすれば、落ちていないとか、伸びているときは二桁成長で、あり得ないような数字が並んでいます。しかし、この当時の世界全体の経済規模は、現在から比較すればかなり小さいし、特に日本などは現在のような経済大国でもなく、いわゆる発展途上国ではなかったものの、経済規模はまだまだ小さく、まさに発展途上でした。

日本の昭和恐慌

だから、数字がわずかにプラスであっても、インフラを大々的に拡張したり、軍備を拡張していた時代にあっては、国民生活の実態はデフレであったということです。これは、現在の中国がまだまだ、発展途上であり、GDPが6%をきると雇用が悪化するというのと同じような理屈によるものです。

これを前提に上の数字を眺めると、高橋是清のリフレ政策により、日本は少なくとも1933年あたりには、すっかりデフレ(昭和恐慌)から抜け出ていたことがわかります。そうして、成長しすぎたため、これに対して金融引き締めや、緊緊縮財政などをして、1934には成長率を抑え、インフレ懸念を払拭しています。

同時期のアメリカはどうだったかといえば、上のデフレータでみれば、33年にはどん底、34年でも上向きに転じたという程度であり、まだまだデフレの真っ只中でした。

日本は、戦争に突入する前からデフレが終息していましたが、アメリカは戦争が始まってからしばらくしてからようやっとデフレから脱却しました。戦時経済に突入して、経済優先から軍事優先で、戦争遂行のため国債を乱発し、経済を無視してでも大量の武器を製造して世界中に送り届けなければなりませんでした。これは、戦前のアメリカが結局デフレ政策をとっていたのとは全く正反対の政策でした。

第二次世界大戦中のアメリカのピンナップ・ポスター

しかし、その結果は、リフレ政策と同じ効果を生み出し、戦争中にデフレから脱却することができました。もし、戦争がなければ、世界のデフレは各国政府のデフレ政策によりまだまだ、デフレが続いていたことでしょう。その中で、日本だけが、デフレ政策をやめ、リフレ政策に転じて成功していましたから、たとえ戦争がなくても、いずれ世界は日本の事例を参照して、リフレ政策を実施して恐慌から脱出したかもしれません。

しかし、これは、世界大戦が発生したため、歴史の裏に埋もれて認識されないままに終わりました。戦争は、アメリカに期せずして、恐慌からの脱却を促しましたが、仮に戦争をしなくても、当時の日本と同じようにリフレ政策を行えば、日本と同じように大恐慌から脱出できたことでしょう。

しかし、実際には戦争がなければ、アメリカはなかなか恐慌から脱出できなかったことでしょう。なぜなら、当時のアメリカにとっては、リフレ政策など考えも及ばない危険な政策だったからです。当時のアメリカでは、一国の経済、しかも基軸通貨への地位を高めつつあったドルを運用するするような国の経済をあたかも家計のように考え、景気が悪くなれば、なるべくお金が外に出て行かないように、緊縮財政をするとか、金融引き締めをするというのが常識でした。ケインズの理論も発表されていなかった当時としては、無理もないことだったかもしれません。

大東亜戦争時にフイリピンで日本軍に投降した米軍

アメリカも日本も同じような誤謬を何度となく、繰り返しています。30年ほど前には、アメリカは典型的な誤謬を繰り返しました。貿易収支や、経常収支を家計の赤字と同じように考え、赤字がなくなればアメリカ経済にとって良いことであるという誤った考えで、日本の経常収支が黒であることを短絡的に捉えて、日本をバッシングしました。このバッシングにお茶を濁し続けて何ら具体的な対応をしなかった日本政府により結局日本は円高となり、それが今日の日本のデフレを招いた原因の一つともなってしまいました。

その後も米国は、誤りを犯し続け、最近では債務上限引き上げ問題です。これは、以前にもこのブログで掲載したように、アメリカの政治家の多くが、基軸通貨の発行国であるアメリカの財政をあたかも家計のように考え、借金さえしなけばアメリカにとって良いことであるという誤謬をおかしたために生じたものです。

とてつもない円高に見舞われた日本

日本もアメリカの度重なる誤謬を批判することなどできません。日本は、昭和恐慌を世界でいち早く回避できたという実績を省みることもなく、過去20年間ずっとデフレでした。このデフレを回避するには、高橋是清が実施したリフレ政策をすべきなのに、ずっと金融引き締め、緊縮財政を繰り返してきました。しかしこの誤謬も解消される動きがでてきて、今年の4月から日銀による異次元の包括緩和策が実施されるようになりました。このような誤謬が解消されると喜んでいたら、何と、来年の4月から増税が決まってしまい、また誤謬が繰り返されています。

増税しないで、金融緩和を続け、さらに積極財政を行えば、日本は短くて2年、長くても4年もすればデフレから脱却できたかもしれません。ところが、増税を実施してしまったため、上の記事で田村氏が指摘しているように、この先なかなかその目処はたたなくなってしまいました。



これが間違いであるということは、過去の日本における高橋是清のリフレ政策の成功をみてもわかることですし、過去二回の増税では、税収が減って増税前の水準には戻らなかったことを考えても明らかです。また、イギリスでは、日本と順番が違いますが、大規模な付加価値税(日本の増税)をした直後に、大規模な金融緩和をしても未だ景気が回復せず、税収が増えないことをみても明らかです。しかし、多くの官僚や政治家、多くの識者といわれる人々まで、これを認めず、デフレの原因はやれアジア通貨危機が原因だとか、リーマンショックがどうのこうのとして、結局デフレ政策の大失敗の事実を認めようとしません。

だからこそ、来年4月から増税するなどという暴挙がまかり通ってしまいました。これも、結局は、一国の経済を家計と同次元で考えるという誤謬のなせる業です。

国の経済は、家計とは異なる(゚д゚)!

この誤謬どうしたら解消できるでしょうか。上で戦争前のアメリカ、戦中のアメリカを比較すると、戦時体制という特殊な状態に入ったからこそ、アメリカは戦争国債を乱発して、結果として金融緩和を実施し、兵器の大量製造、大量送り込みを実施して、結果として積極財政を行いました。それまでの経済対策とは全く正反対を実施して、デフレから脱却できました。

であれば、日本も当時のアメリカの戦時体制のような体制になって、戦争遂行のために国債を乱発し結果として金融緩和をし、最新鋭のハイテク兵器を開発したり、配備したり、兵員を増やすことにより、積極財政を行えば、デフレから脱却できるかもしれません。

習近平は日本のデフレに終止符を打てるかもしれない(゚д゚)!

であれば、習近平は日本のデフレ脱却に大きな役割を果たすことができるかもしれません。ご存知のように中国は、尖閣周辺で、艦艇や航空機で、領海ぎりぎりのところを航行したり飛行したり、ときには超えてまで示威行動を繰り返しています。こんな程度に収めるのではなく、尖閣などすぐに手中に収めて、その後沖縄本島への上陸を目指すべきです。本当に上陸するか、本気で上陸するそぶりを見せるため、本格的な準備をするだけでも良いです。

そうなれば、日本は安全保障のため、嫌でも中国と対峙しなければなりません。中国と戦争状態に入れば、日本も第二次世界大戦直前のアメリカのように、戦時体制、戦時経済に突入し、戦争国債を大量に発行し、結果としてさらに大規模な金融緩和を行い、自衛隊の隊員の増加、ハイテク兵器を開発、配備するなどして、結果として大規模な財政出動を行います。

こうして、沖縄の危機をやりすごして、尖閣列島を奪還する頃までには、戦時経済のもの経済は好転して、デフレから脱却することは間違いありません。また、このようなことにならないために、さらに軍備を強化することとなり、さらに良い状況になります。今から比較すれば、現在の日本の経済規模よりもはるかに小さかったアメリカですら、当時そうすることによってデフレを克服しているのですから、今の日本でも同じように克服できるからです。

人民解放軍は自衛隊にとって脅威ではない。あっという間に打ち負かせる(゚д゚)!

これは、十分にあり得るシナリオです。実際にそうなっても、中国人民解放軍は自衛隊の敵ではありません。中国国内まで、追撃戦をするということにでもなれば消耗戦に持ち込まれるかもしれまん。そこまではしないで、あくまで、尖閣から中国を追い払い、さらに、二度と上陸させないということを目標にするのです。であれば、赤子の手をひねるように、日本はこれをやり遂げるでしょう。

一つの核弾頭の複数の核弾道弾を同時に撃墜した実績を持つ、「あたご」型イージス艦

そうなると、核の脅威は当然でてきますが、日本のイージス艦は、アメリカ国内の演習で、複数の核弾頭を同時に迎撃し撃破するという離れ業を一度ではなく、複数回にわたって成功させています。これで、中国の核の脅威もかなり払拭されます。核で攻撃されたら、それでお仕舞などという過去の常識は、非常識になるかもしれません。それに、日本も核武装をしなければ、拉致問題など永遠に解決できません。そうして、今この時、中国の核ミサイルが日本に照準をあせて配置されていることを忘れるべきではありません。本格的に中国と対峙するということなれば、核武装は避けて通ることはできません。

しかし、これを実行するには、日銀による金融緩和、政府による積極財政が不可欠です。戦時体制ということで、無理にでも行わなければなりません。これで、日本は、デフレから決別することができます。これが、現在の日本では、最も早いデフレ解消の道かもしれません。

無論、私は本当は、そうなってほしいわけでも、そうしてほしいと言っているわけでもありません。私は、鳩山氏、河野氏などのように、外患誘致罪に問われるようなことはしたくはありません。しかし、日本が誤謬から立ち直って、デフレを解消するためには、これに近い覚醒のための大ショックが必要だとということを主張しているだけです。そうはいいながら、習近平が尖閣や、沖縄を巡っての冒険を行えば、日本の経済だけではなく、安全保障に対する国民の理解が推進され、これを実現するために、憲法論議も長足の進歩をすることになります。



まさに、一石二鳥と呼べる大変革になるかもしれません。しかし、中国はなかなかそのような冒険はできないでしょう。彼我の軍事力、特にハイテク兵器に関する差異は、途方もなく大きく、まともに闘えば人民解放軍に勝ち目はありません。唯一の勝ち目は、日本の自衛隊を中国本土の奥にまで誘いこみ、持久戦に持ち込むことです。しかし、大東亜戦争で懲りた日本は、そのような挑発にはのらないでしょう。しかしながら、中国の脅威は日本を太平の眠りから覚醒させるためには、確かに役立つかもしれません。

かといって、これを利用してあまりにやりすぎれば、新自由主義者のショック・ドクトリンと何もかわりがなくなってしまいます。本当は、日本の政治家の大部分が自発的に真実に目覚めてほしいです。いつまでも、現実逃避のお花畑に住んでいてもらっては困ります。本当に、これに関しては、忸怩たる思いがいします。すぐにも、現実と対峙していただきたいです。お花畑から出るにしても、ショック・ドクトリンはいただけません。

ショック・ドクトリンについてご存知ない方は、ナオミ・クラインの書籍をご覧になるか、以下の動画をご覧ください。

http://www.youtube.com/playlist?list=PL869A8DB2AA247A98

ナオミ・クライン

これに匹敵するような覚醒のための大ショックについての具体案は、上記の戦争以外にはまだあまり考えていません。しかし、いずれ近いうちに必要なのはいうまでもありません。このままでは、失われた20年が40年になってしまいます。馬鹿な官僚や、政治家を納得させ、正しい道に導くため、今までにない、覚醒のための大ショックが必要不可欠です。これは、直近で考えておかなければならない重要な問題です。私も考えて見ますが、皆さんの中で、思いつかれたかたがいらっしゃったら、是非ともコメントという形で残していっていただけたら幸いです。そのコメントが妥当なものなら、大拡散させていただきます。いずれにせよ、今の日本、覚醒のための大ショックがなければ、「戦後体制からの脱却」は遠のくばかりです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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