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2019年9月21日土曜日

【田村秀男のお金は知っている】政治も「ガチョウの沈黙」に便乗!? 消費税が「悪魔の税制」といえるワケ―【私の論評】国民はもっと怒れ! 本当は増税率25%の大インパクト(゚д゚)!



 日本の法人税率は29・74%という建前だが、ソフトバンクグループは税引前純利益1624億2200万円もあるのに、納税額は500万円、税負担率0・003%。日本製鉄はそれぞれ1109億2200万円、16億1500万円、1・46%。これは、元国税マンで税制研究の大家、富岡幸雄・中央大学名誉教授が近著『消費税が国を滅ぼす』(文春新書)で明らかにした。

 大企業がまともに納税すれば約9兆円の税増収となり、消費税増税は不要どころか、消費税減税が可能になるという。消費税率を下げれば、家計の消費は上向き、内需は拡大、20年以上もの間、日本経済を停滞させてきたデフレ圧力は解消、日本再生の見通しが立つ。消費税増税による日本経済破壊ぶりを論じてきた拙論にとって、まさに正鵠(せいこく)を射た思いだ。消費税というのはつくづく「悪魔の税制」だと思う。

 消費税を世界で初めて導入したのは第二次世界大戦後のフランスだが、その基本的な考え方は17世紀、ルイ14世の財務総監、ジャン・バティスト・コルベールの「徴税の極意」に由来する。

 吉田寛・千葉商科大学教授の近著、『市場と会計』〔春秋社〕によると、コルベールは、生きているガチョウを騒がせずに、その羽をできるだけ多くむしり採ることだ、とうそぶいた。騒ぐとやっかいな貴族や僧職には課税せず、宮廷に出入りすることのない平民を徴税の対象とした。

 日本でも消費税が1989年に導入されて以来、財務官僚は何かとうるさい財界には法人税率を引き下げる一方、収入をむしり取られてもおとなしい家計に対しては消費税率アップで臨む。そればかりか、法定税率はあくまでもみかけだけで、内実は企業規模が大きくなればなるほど実際の税負担率は下がっている。忠実に税を納めているのは主に中堅規模の企業だという。

 日本国の国土、文化・伝統や国民の献身などあらゆる資源を最大限利用しているソフトバンク、日本製鉄のような超大企業が巨大な利益を稼いでいるのに税負担が小さくても、お上からとがめ立てられることはない。

 政治の方も、「ガチョウの沈黙」に便乗している。安倍晋三政権は消費税率を2014年度にそれまでの5%から8%に引き上げたばかりか、今年10月には10%とするのだが、安倍政権は消費税増税にもほとんど影響されずに安定した世論の支持率を保っている。

 このままだとどうなるか。家計なるガチョウは1997年度の消費税増税以来の慢性デフレにさいなまれている。子育てや教育にカネのかかる30歳から50歳未満の世代の2018年の給与は01年よりも少ない。


 グラフは家計消費と消費税、法人税、所得税など一般会計税収総額の推移である。税収増減額はほぼぴったりと家計消費増減額に連動している。政府税収は消費税率を上げない限り増えない。法人税は上記のような不公正ぶりだ。

 ガチョウを太らすことを考えないどころか、やせ細ろうとも、気にしない。そして平然と毛をむしり取る。(産経新聞特別記者)

【私の論評】国民はもっと怒れ!  本当は増税率25%の大インパクト(゚д゚)!

日本経済を旅客機にたとえると、増税で超低空飛行することに・・・・・・

今回の、消費税を「2パーセント」の増税と軽く考えている人もいますが、本当はそうではありません。「買った物の値段の8パーセント」の税が「10パーセント」に増えるので、税金としては「25パーセント増税」です。率でみれぱ、25%の増税率なのです。
計算式にすると10-8=2  2÷8=0.25  0.25×100=25(%)
すでに数十数パーセントのものを、2%だけあげるというのとは全く異なります。

400万の年収が500万になったら、年収は25%アップと同じ考え方です。おそらくほとんどの人が、年収が25%もアップすれば、かなり年収のアップを実感できると思います。

消費税の場合も、それと同じで。頭の中で2%と大勢の人が思っていても、実際に増税されれば、増税率は25%ということがすぐに実体験として感じ取られることになります。

それに、10%というと切りがよく、誰でも計算できるので、さらに始末が悪いです。10万のモノを買えば、 1万、1千万のモノを買えば、100万です。

因みに消費税3%の時から計算すると10%増税は、330%の増税率ということになります。これでは、消費が減るのも無理はないです。

そうして、これでは景気が良くならないのも無理はないです。個人消費支出は、景気を左右する最も大きな要素です。

日本経済を巨大な旅客機とたとえると、国内総生産(GDP)はその高度にたとえられます。これが増えていれば、経済成長率がプラスとなって好景気、反対に減少していれば、経済成長率がマイナスで、不景気となります。

旅客機を飛ばしているエンジンに相当するのが、①個人消費支出、②設備投資、③輸出入、④政府支出、の4項目で、この合計がGDPとなります。

この中でも、個人消費支出と設備投資は、「景気の両輪」と呼ばれることもあるメインエンジンです。ところが、設備投資がGDP全体の15%程度を占めるのに対して、個人消費支出は、全体の60%程度を占める圧倒的な規模を持つのです。

最近は個人消費は減っているか、12年頃までは60%程度を占めていた

したがって、設備投資が2%増えても、経済成長率は0.3%しか増えないのですが、個人消費支出が2%増えると、経済成長率は1.1%も増えることになります。
こうしたことから、「機長」である政府にとって、旅客機の高度を上げて景気を良くするためには、個人消費支出を増やすことが、最も効率的ということになります。それでは、個人消費支出を増やすための政策には何があるのでしょうか。

私たちが消費を増やすのは、収入が増えた場合です。したがって、「機長」である政府は、税率というレバーを操作して減税を実施、所得を増やすことで消費拡大を実現しようとするのが常道です。

反対に、消費が増えすぎ、インフレなどの弊害が発生している場合には、増税をして、エンジンの過熱を抑えるべきなのです。

しかし、減税が個人消費支出の増加に直結するわけでありません。実際バブル崩壊後の深刻な不況期、政府は度重なる財政出動(総額100兆円)を行ったのですが効果は無く、個人消費支出は一向に増えませんでした。

ちょうどこのあたりに、日銀は株価、土地価格等の資産価格が上昇していたものの、一般物価はほとんど上昇していなかったにもかかわらず、金融引き締めに転じてしまいました。これが大失敗でした。

将来に不安を感じていた人々は、財政出動分の大部分を貯蓄に回し、消費の拡大には消極的になりました。この結果、個人消費支出は増えずに景気は低迷、日本経済という旅客機の飛行状況は、さらに悪化してしまったのです。

日本経済のメインエンジンである個人消費支出は、景気の動きを大きく左右する最も重要なものです。しかし、その動きは中央銀行(日本では日銀)の金融政策に大きく左右され、「減税すれば消費は増える」という単純な図式は成立しません。

このメインエンジンをいかにコントロールするかは、日本経済という旅客機の安定的な飛行に直結するものであり、機長である政府(財務省)の手腕と、日銀の金融政策の手腕が問われるのです。

さて、財政政策については、ブログ冒頭の記事のような状況です。減税どころか、増税するという有様です。

では、日銀の金融政策はどうかといえば、インフレ目標は達成目前だったのですが、8%への消費増税で台無しになってしまいました。今では、「2%」の目標ははるか遠いものになってしまいました。

黒田バズーカのキモは国債を買いまくることに尽きるのですが、最近は日銀も手を緩めています。

2016年9月から、名目金利に着目する「イールドカーブ・コントロール」という新方式に変更した結果、国債の購入ペースは年間80兆円から年間30兆円に減額しているのです。



国債購入ペースが落ちている以上、予想インフレ率も、実際のインフレ率も芳しくないのは当然のことです。

日銀が国債購入額を減額したのは、市中の国債の品不足が理由だとしています。

ところが、'19年6月末の国債発行残高は980兆円もあります。日銀の保有国債は46%の454兆円です。

「コップに水がまだ半分も入っていない」と考えれば、526兆円もの国債が市中には残っているのです。インフレ目標達成を第一に掲げるなら、日銀は国債購入ペースを落とす必要はなかったのです。

日銀が、この状況にある現時点で、2%増税をすると、個人消費が確実に低下して、日本経済という旅客機はエンジンを減速せざるをえず、低空飛行余儀なくされることになります。

このような実体を知って、国民はもっと怒るべきです。おとなしくしていては、ますます、毛をむしり取られ「やせ細ったガチョウ」に成り果てることになります。

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2018年11月1日木曜日

米国で相次ぐ値上げ、消費者の慣れに便乗―【私の論評】デフレを20年放置した日本は、世界で特異中の特異!「井の中の蛙」になるな、世界から学べ(゚д゚)!。

米国で相次ぐ値上げ、消費者の慣れに便乗

航空会社や食品メーカーがコスト増を顧客へ転嫁 ビッグマックやコーラも

 米経済にとっては微妙な時期だ。失業率は過去数十年で最低の水準にあり、経済成長は力強い。インフレ率は米連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%に近いが、労働力不足と関税問題がエスカレートすれば、物価上昇への圧力が加わりかねない。一方で輸入品の価格を下げるドル高など他の要因は、そうした圧力を弱める可能性がある。どこかの段階で、物価高は経済成長の勢いを弱める。投資家はインフレが勢いを増すことでFRBの利上げが加速するのではないかと懸念している。

 クラッカーの「リッツ」などで知られる菓子大手モンデリーズ・インターナショナルは、来年に北米で値上げに踏み切る予定だ。ディルク・バン・デ・プットCEOは29日のインタビューで、北米の消費者と小売業者が以前よりも値上げに寛容だと述べた。

 企業はさまざま形のコスト上昇に直面している。モンデリーズによると、一部のクッキーやクラッカーを値上げするのは、材料と輸送費の上昇を受けた措置だ。航空会社が支払うジェット燃料の価格は1年前から約40%上昇している。9月のトラック輸送コストは前年同月比7%上昇したが、これは業者が人件費の上昇分を転嫁したためだ。労働省が31日発表したところによると、7-9月期の民間部門賃金は前年同期比3.1%上昇し、2008年以来の伸びを示した。

 米メーカーが支払うアルミニウムの価格は1年前から8%上昇、鉄鋼の価格は38%上昇している。トランプ政権が課した関税が反映されているためだ。中国からの輸入品2000億ドル相当に対する10%の関税が9月に導入され、該当品を購入する企業を圧迫している。

 皮革製品メーカーのスティーブマデンは今週、中国から輸入するハンドバッグなどの製品を値上げすると発表し、関税を避けるため他国に生産移転する計画を明らかにした。自社店舗では中国製品の価格が10%上昇するケースもあるという。

 グラント・ソーントンのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「こうした状況はみな物価の上昇を示している。1-3月期(第1四半期)にはインフレ率が上がるかもしれない」と述べた。



 消費者が値上げに慣れつつあることを感じ取り、利益を増やすために値上げする企業もある。アルミ部品大手アーコニックは、関税で全般に価格が上昇するなか、圧延アルミ製品の営業利益率が値上げによって拡大したと述べた。アップルはこのほど発表した「MacBook Air(マックブック・エア)」と「iPad Pro(アイパッド・プロ)」の新製品の価格をそれぞれ20%、25%引き上げた。

 コカ・コーラや航空大手などの企業は、値上げしても需要に衰えはないと話している。デルタ航空、ジェットブルー航空、アメリカン航空グループはいずれも燃料費上昇をカバーするために運賃などを引き上げている。

 大手以外の一部航空会社は、値上げで顧客が減るリスクは冒せないと話す。格安航空のアレジアント・トラベルは、自社の顧客が大手の顧客よりも値上げに敏感だと述べた。同社はコスト削減のため、オフピークのフライトを減らしている。

 一部の飲食チェーンは、値上げしながらもセットメニューなどで顧客を取り込もうとしている。マクドナルドの7-9月期の米既存店売上高が前年同期比2.4%増加したのは、ハンバーガーの値上げが大きかった。高級ハンバーガーのハビット・レストランは5月下旬に3.9%の値上げをした。7-9月期の売上高は予想を上回ったが、これは値上げによるところが大きい。客足は3.4%減少した。

 食品メーカーは今年、市場シェアにこだわるスーパーやネット食料品店の反対を受けて値上げに苦労していた。利益拡大のために他の手段に乗り出すメーカーもある。

 ハーシーは来年商品の包装を変えて単価を引き上げる計画を発表した。ケロッグはワッフルにチョコレート味を追加し、同様の商品より12%高い価格をつけた。ケヒレーンCEOは「単純に定価を引き上げる時代は終わった。それは消費需要の減退につながる」と述べた。

 ハーシーのミシェル・バックCEOは先週のインタビューで、消費支出と経済成長がなお好調なため、小売業者は以前より値上げに積極的だと述べた。

 シカゴのシェリル・キングさん(50)は、2人の子供のために買うグルテンフリーやオーガニックの商品を中心に、一部の食品が小幅に値上がりしていることに気づいた。だが自身も医師の夫も買う商品は変えていない。「特売やクーポンは利用するが、私たちは大丈夫だ。そこまで節約に気を遣っているわけではない」と話している。

【私の論評】デフレを20年放置した日本は、世界で特異中の特異!「井の中の蛙」になるな、世界から学べ(゚д゚)!。
米国の値上げの状況は上記のような状況です。では日本はどのような状況かといえば、それを端的に示すのが、現在、香港や中国を中心にアジアで話題になっているの沖縄での以下のニュースです。

中国人のみ料金10倍 宮古島・砂山ビーチのレンタル業者 市から注意され看板撤去

世界を旅していると、度々直面するものに「外国人料金」というものがあります。現地の人とは別に、観光客で訪れる外国人向けに設定された料金のことです。

レストランから世界遺産まで、様々な場所で様々な外国人料金が存在しますが、要は「あなた方、外国人は海外旅行が出来るくらいのお金持ちなのだから、たくさんお金を払ってください」というものなのでしょう。

以下に代表的なものをあげます
・タージマハル(インド) 
 外国人 1,000ルピー(約1,100円)
 現地人 40ルピー(約68円)

・ペトラ遺跡 (ヨルダン)
 外国人 50ディナール(約7,800円)
 現地人 1ディナール(約156円) 
・アンコールワット (カンボジア)
 外国人 37ドル(約4,033円)
 現地人 無料
国の豊かさの差異や収入格差で致し方ない面もあるのでしょうが、それにしても数字だけ見ると現地の人との何十倍もの差が生じています。

冒頭の中国人観光客の話に戻りますが、2万円というのは(業者の意図は本来の外国人料金の意味合いとは違うようですが)価格の設定上、途上国が外国人向けに提示する料金と同じなのです。

中国からの旅行客の1人当たりの支出額は、15年のデータで28万3000円と言われています。ビーチパラソルが2万円でも、普通に払う中国人も少なくないのでしょう。無論、ビーチパラソルなどは複数人で使用するものなので、1人当たりのコストはもっと下がるわけです。


出展:日本政府観光局(JNTO) weblio英会話 For School and Business

日本人の10倍の値段を設定しても、料金を払える中国人観光客がいるという現実があるわけです。私自身は、心のどこかで、日本は少なくともサービス業などの表面的な部分は先進国でおもてなしの国とみなされており、経済が悪化したとはいえ、国民一人あたりGDPは未だ上位の部類で、外国人料金などは無縁の国だと思っていました。

しかし、今回の沖縄のことで、外国人料金を設定せざるを得なくなるかもしれなかった日本の未来を少しだけ垣間見たような気がしました。

初任給40万円のファーウェイ

中国の通信大手・華為技術(ファーウェイ)の日本法人が大卒で月給約40万円、院卒で43万円で新卒募集をかけたのが日本で話題になっています。

ファーウェイの初任給月40万円が話題「普通に就職したい」「優秀な人は流れていっちゃう」

一般的な日本の企業の大卒初任給の平均は19万8000円なので、倍以上の給与額です。

一部のメディアはファーウェイの初任給について「日本の技術の獲得のために、初任給を高く設定している」と非難しています。ただし8月にトランプ米大統領が国防権限法にサインし、ファーウェイとZTE(中興通信)の製品の米政府機関での利用を禁止しました。4月に米国市場から締め出される“死刑宣告”を受けていたZTEに続き、ファーウェイも標的となりました。

それも時間の問題でした。すでに、米中経済安全保障調査委員会(USCC)が技術系コンサルのインテロス・ソリューションズに依頼したレポートでは、「米国の安全保障を脅かす中国ICT企業」として、ファーウェイの存在が指摘されていたからです。

このような状況にあるため、企業自体がどのようになるかもわからないので、この初任給の高さは、危険手当という意味もあるかもしれません。

しかし、日本の外から見れば、こんなことがニュースになること自体、「日本の常識が世界基準から遅れている」と言わざるを得ないところがあるかもしれません。

同じアジアでも香港やシンガポールも、それなりの地元の有名大学に出ていれば、初任給で30万以上を超える企業は多く存在します。日本にはおそらく存在しません。

ファーウェイの給与水準が特段高いのわけではありません。これが世界基準なのです。それに対して日本の大卒初任給は20年以上、変わっていません。ただし、今後は変わってく可能性はあります。ただし、多くの人々の頭の中ではそうはなっていないようです。

もうすでに現状人件費の安い日本人労働者が、とんでもない外国のブラック企業に買い叩かれる時代になっていたのです。

人件費だけではありません。日本の不動産も格安なので、香港や中国では、毎日のように日本の不動産に関するセミナーが開催され人気を集めています。

時々海外にでかけると、いくつかの日本の物価は、香港やシンガポール、上海、北京、ソウルに比べると安いと感じることが良くあります。

ついこの間まで、自分たちより下だと思っていた国に、企業も人材も土地も買われている日本なのです。しかも不幸なのことに、多くの日本人にはそのような認識がまったくないようです。未だにアジアの王様気分でいる日本。

最近変化の兆しは見えつつありますが、未だに多くの人が低賃金、長時間残業を「やりがい」や「精神論」で乗り切ろうとしています。今のままだと、優秀な若い日本人の人材が出稼ぎのごとく、給与の高い海外に流れるのは目に見えています。ただし、日本では安倍政権になってから、金融緩和に転じたので、雇用状況が格段に良くなり、雇用自体はかなり良くなりました。

最近は賃金もあがりつつありますが、まだ本格的ではありません。現状の金融緩和が続けば、賃金もあがっていくことになると思います。ただし、緩やかなデフレでは、1〜2年では数%に過ぎず、20年〜30年で倍になるという感じです。現在の日本人はこの感覚をほとんど忘れています。

何しろ、過去20年もデフレが続いたせいで、現在40歳未満の人はデフレの時代しか知らないし、60歳以上の人はインフレの時代に育ち、自分たちの将来が大体決まる頃もデフレではなかったので、デフレ時代の本当酷さを認識している人は少ないです。

長期間インフレが続き、それが人々の心にどのような影響をもたらすのかを知っているというか、本当に理解している人はさらに少ないです。デフレ状態にあるよりも、こちらのほうがよほど、ハッピーであることを理解する人は本当に少ないです。

そうです、日本では諸外国に比較すると、相対的に緩やかなインフレの時代を知っている人口は少ないのです。



長期にわたって、デフレだった日本は、今や世界的にみて物価の安い国になってしまっていたのです。気づいていないのは本当に日本人だけかもしれません。

それは、特に最近ひしひしと感じています。最近では、消費税増税の悪影響もある中で、日銀が物価目標をなかなか達成できないなどとしながらも、金融緩和策は続けているので、値上げ圧力があるのは間違いないです。

こうした中で、中小企業の閉鎖が目立ってきているのです。今朝は、テレビでマグロ専門店が、仕入れ価格が高くなったので、それを販売価格に転嫁できずに、閉店するという報道がされていました。

これはどうしたことでしょうか。日本だけが、物価が安い国というとを知っていたとしたら、このマグロ専門店の店主も考えを変えたかもしれません。マグロ専門店の店主がこれを知っていれば、値上げして様子をみるくらいのことはしたかもしれません。しかし、あまりに長い間デフレに順応してしまったため、そのような柔軟な考えになれないのです。

今の若い人たちにはできれば、今すぐにでも海外に出て欲しいです。これは、日本の将来が危ういというからではありません。

「世界から日本はどう見られてるのか?」「今の日本の立ち位置は?」「世界のスタンダードは?」そうして、長期のデフレが他国と比較して、どのように日本に悪影響を及ぼしたのか。

そういったものを肌で感じて、学んで、そしてそれを日本に還元しなければ、この国に未来はないかもしれません。

こうした肌感覚は、日本国内にいるだけでは絶対に学べないところがあります。ただし、日本の金融政策と、外国の金融緩和政策の違いについて、頭にいれておかないと、ただ海外に闇雲に出かけて物価を比較したところで、本質は何見えこないと思います。

逆に、海外に出る時間的、金銭的に余裕のない人も、頭を働かせて、日本と他国の金融政策の違いを頭に入れた上で、できれば英文でインターネットの記事を読んで、世界の状況をみれば、日本だけが特異であることがよくわかります。

なお、最近はGoogle翻訳が、格段に良くなったので、Googleで日本語に翻訳すると、かなり良い翻訳になっているので、読みやすいです。とはいっても、やはり英語がある程度わかっていないと、翻訳を通じても良くわからないこともあります。やはり、英語はある程度理解すべきです。そうして、世界ではそれが常識です。

官僚の誤謬と政治家の頭の悪さで、結局20年もデフレを放置しておいた国など、古今東西日本しかありません。

世界から謙虚に学べば、また日本は世界で戦える国になると思います。「井の中の蛙」にはなるべきではありません。世界から学ぶべきです。

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