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2019年9月27日金曜日

韓国・文大統領“驚愕の正体”!? 朝鮮労働党・秘密党員の誓詞文に「文」の名…内容に沿うような動き多数 月刊誌『Hanada』報じる―【私の論評】北が狙うのは南北統一ではなく、韓国の衛星国化である(゚д゚)!

韓国・文大統領“驚愕の正体”!? 朝鮮労働党・秘密党員の誓詞文に「文」の名…内容に沿うような動き多数 月刊誌『Hanada』報じる

月間Hnada 表紙

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、北朝鮮の朝鮮労働党の秘密党員ではないのか-。こんな驚くべき疑惑を、月刊誌『Hanada』が報じ、日本だけでなく韓国でも波紋を広げている。26日発売の同誌最新号にも、疑惑の続報が掲載された。文氏は同日、国連総会出席のために訪れていた米国から帰国するが、最側近の「タマネギ男」ことチョ国(チョ・グク)法相周辺の疑惑に加え、自らにも疑念を突き付けられて大丈夫なのか。衝撃記事を執筆した元日本共産党国会議員団秘書で、ジャーナリストの篠原常一郎氏を直撃した。


 「文政権は『いったん始めた革命をやり切るしかない』と考えているようだ。国家の支配体制を破壊するのではないか。実に恐ろしいことだ」

 篠原氏はこう語った。

 『Hanada』10月号に掲載された「文在寅に朝鮮労働党 秘密党員疑惑 スクープ!」という記事に、ネット以外の他メディアはほぼ沈黙している。だが、初版も増刷分も完売という、驚異的注目を集めている。

 記事の肝は、韓国内に潜む朝鮮労働党の秘密党員が2014年6月15日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(当時、第一書記)に忠誠を誓う「誓詞文」を送っていたというものだ。同誌には、篠原氏が独自入手したハングルの誓詞文と、翻訳が掲載されている。


 正恩氏の父、金正日(キム・ジョンイル)総書記は2000年6月、韓国の金大中(キム・デジュン)大統領(当時)と、北朝鮮の平壌(ピョンヤン)で首脳会談を行い、平和統一を目指す南北共同宣言を締結した。

 誓詞文は、共同宣言から14年を祝ったもので、《(韓国の)自由民主主義体制をたたき潰し、全朝鮮半島に主体(チュチェ)思想化を実現するのに、一命を藁(わら)のようにささげます》《駐韓米軍を南半分から完全に追い払う》《南側政府の警察、検察など司法部と行政部に浸透し、政府の行政機能をマヒさせ》《革命戦士として名誉と自負心を胸深く刻み、主体的な祖国統一の先頭に立つ》(抜粋)など、10カ条の誓約が記されていたという。

 主体思想とは、北朝鮮や朝鮮労働党の政治思想で、正恩氏の祖父、金日成(キム・イルソン)主席によって唱えられた。誓詞文の最後には、40の個人・団体名があり、何と、そこに文氏も名を連ねていたというのだ。

 にわかに信じがたいが、この誓詞文は本物なのか? 韓国版モリカケ騒動ではないのか?

 篠原氏は「以前から、韓国内の一部では文書の存在は噂されていた。文政権のメディア統制が進むなか、元左派活動家らのグループが『まず、日本で発表してほしい』と持ち込んだ原本を入手した。複数の関係者らと真偽を確認した。韓国の国家保安法による取り締まりを恐れてか、文氏など、個人名のハングルのつづりが一部変えてあった。かえって信憑(しんぴょう)性の高さを裏付けた」と語った。

 同誌が先月末に疑惑を報じたところ、韓国メディアは無視したが、覆面姿で誓詞文を紹介するハングルの動画がユーチューブなどに流され、一気に拡散したという。

 最初の報道から1カ月たつが、韓国政府から同誌や篠原氏に抗議はないという。

 経済低迷やチョ氏の疑惑を受けて、韓国内では「反文政権」デモも激化しているが、同誌の影響か、最近では「金正恩と文在寅、両方とも打倒しよう!」というスローガンも出始めたという。

 ■日本国内にも浸透、主体思想十分な警戒を

 26日発売の『Hanada』11月号では、誓詞文などを再録したうえで、チョ氏の疑惑や実像などに迫っている。産経新聞や読売新聞、毎日新聞の同日朝刊には、同誌の広告も掲載されている。

 「反日・離米・従北・親中」の文政権は、米国の警告を無視して、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定したばかりか、在韓米軍基地の撤退も米国に要求している。誓詞文の内容に沿うような動きといえる。

 篠原氏は「保守の朴槿恵(パク・クネ)前政権時代から、韓国の政財官界には主体思想が浸透していた。ドナルド・トランプ米政権は、文政権に『失望』を抱きつつも放置しているが、いざというときは締め付けに入るだろう。在韓米軍は『北朝鮮は非核化できない』とみて、最高度の攻撃態勢を整え始めている」と明かした。

 東アジアの安全保障環境の激変に対し、日本はどう備えるべきか。

 篠原氏は「文政権は『反日』で火が付いた以上、決して妥協しないだろう。わが国は毅然(きぜん)と対応するしかない。韓国内の保守派に『味方』をつくり、対抗するのも手段だ。沖縄など、日本国内にも主体思想が浸透している。正恩氏を礼賛する左翼グループが、日本の安全保障政策を攪乱(かくらん)している。主体思想は日本人拉致問題などにも絡んでいる。十分警戒すべきだ」と語っている。

篠原常一郎氏

【私の論評】北が狙うのは南北統一ではなく、韓国の衛星国化である(゚д゚)!

上の記事にもあるように、「月刊Hanada」10月号にジャーナリストの篠原常一郎さんが「文在寅に朝鮮労働党秘密党員疑惑」という論文を書いています。

篠原さんが入手した金正恩への誓詞文の分析で、「敬愛する金正恩将軍様に謹んで捧げます」というタイトルで始まり、金正恩への忠誠と自分たちが南朝鮮革命を起こすことを誓う内容。その最後には40の個人・団体名が書き連ねてあります。

韓国の場合国家保安法(スパイ防止法)があり、実名だと文書が流出して逮捕され裁判になったとき証拠になるということで文在寅(ムンジェイン)を「ムンジェイム」とか、ソウル市長の朴元淳(パクウォンスン)をパクウォンスムとか、名前の一部を変えてありますが、明らかにその人と特定できるようにはしてあります。

ここに出てくる名前は最近話題の曹国(チョゴク)・元秘書官はいないものの、「なるほど、やはり」と思うような人ばかりです。篠原さんは脱北者など様々な関係者から裏を取っているそうです。

彼らが秘密党員であると考えた場合、日韓関係の破壊、GSOMIA破棄、そしておそらくその後にやってくる米韓同盟の破綻はまさに北朝鮮の方針そのものと言えるでしょう。私たちはそれを覚悟しておく必要があります。

ただし、北朝鮮の「赤化(共産化)統一」という国家目標は、最後はあくまで武力を使うことが原則です。韓国と日本の関係を断ち切り、米軍を撤退させた上で騒乱状態を作り出し、「南朝鮮民衆の熱望に応えて」人民軍が南侵するということですが、今の人民軍はミサイルの打ちすぎで一般部隊には食料もろくに回らない状態です。とても戦争どころではありません。

それに以前もこのブログに掲載したように、金正恩は南北を統一してしまえば、南朝鮮から北朝鮮に多数の、元韓国人が入り込んでくることを許容しなくてはならくなります。

しかし、チュチェ思想で鍛えられた生粋の北朝鮮人とは異なる大多数の元韓国人は、金王朝に対して、ほとんど尊敬の念などもっていません。一部のそれこそ、文在寅のような人間は別にして大多数の韓国人にとっては、金王朝の存続など気にもかけていません。

そうした、元韓国人が南北統一の後には、元北朝鮮の領域にまで多数入り込むことになり、それは金王朝の統治の正当性を著しく毀損することになります。

それを、金正恩は許容することはできないです。ですから、南北統一がされることはないでしょう。ただし、北朝鮮が韓国を衛星国にするという可能性は十分にあります。

韓国を語る時は、常に北朝鮮の意向を見なければならないです。なぜなら、北朝鮮は自分の手を汚さず、韓国に日本への嫌がらせをさせているからです。

そもそも、先に述べたように、北朝鮮は韓国を併合したいとは思っていません。それは、経済的にも、金王朝の統治の正当性守るためにも、それは避けたいでしょう。ただし、あえて言うなら、ソ連が東欧諸国を衛星国にしたような形にはしたいはずです。そのイメージを以下に示します。
  ソ連共産党→ソ連(直轄領)
  ↓
  ーーー形式的国境ーーー
  ↓
  衛星国共産党→衛星国
つまり、ソ連も衛星国もソ連共産党の支配を受けていました。あるのは形式的な国境。あった方が何かと都合が良いと、当時のソ連は判断しました。

では、今の北朝鮮の構想はどうかといえば、以下にイメージを掲載します。
  朝鮮労働党→北朝鮮(直轄領)
  ↓
  ーーー形式的国境ーーー
  ↓
  韓国政府→大韓民国(衛星国)
これは、帝国主義時代の基本戦略であり、親分は自分では手を出さずに子分を使うのです。そういう時に子分の方を叩く返し技もありますが、昨今の日韓関係の場合は、向こうの親分の北朝鮮が日韓両国を喧嘩させようとしているのですから、むざむざと乗って韓国だけを叩くのはやめるべきです。

金正恩は、現状の韓国が北朝鮮の衛星国的な存在になっているのをさらに推し進め、韓国を完璧に北朝鮮の衛星国にしようと企んでいるとみるべきです。
そうして、文在寅は金正恩のその手に乗って、韓国を北朝鮮の衛星国にしようと日々行動しているとみるべきです。

かつての、ソ連の東欧諸国はソ連の衛星国でしたが、なぜそうなったかといえば、ソ連の圧倒的な軍事力には逆らえなかったということが最大の要因です。
現在の北朝鮮は通常兵器では、韓国にも及びもつかない脆弱さですが、核兵器を有しているということでは圧倒的に有利です。これで、韓国を衛星国にすることは可能です。特に、文在寅のような協力者がいれば、なおさらです。
しかし、そう簡単に韓国が北朝鮮の衛星国になるかどうかは、まだ未知数のところがあります。
71年前の朝鮮戦争開戦のとき、金日成は二つの大きな判断ミスを犯しました。一つは米国が参戦しないということ、もう一つは韓国に攻めていけば民衆が共に立ち上がって李承晩政権を打倒しようとするということでした。
しかし米国は直ちに参戦を決め、さらに国連軍まで組織してしまいました。韓国の人々は明確な敵ができたことで自由民主主義国家大韓民国というアイデンティティを強固にしてしまいました。これから先も金正恩にとって、文在寅にとって、そして私たちにとっても想定外のことが起きるかもしれません。

文在寅大統領が秘密党員(あるいは「共に民主党」が、実は「共に労働党」なのか)で元々の北朝鮮の方針を忠実に守ってやってきたとしても、今の金正恩には南に攻めていく能力も関心もありません。かつてのように、中国やソ連がそれを支援するということもあり得ません。

韓国の中では反文在寅の声が日増しに高まっており、それは同時に「日本との関係を重視せよ」という声にもなってきています。

文在寅の暴走が、あるいは金正恩体制すら揺るがせることになるかもしれません。北の最大の危機は、南北統一に向けての、文の過激な行動かもしれません。少なくともチャンスがやってくる可能性はあり、それを掴む努力だけはし続けなければならないです。

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2018年3月27日火曜日

北京訪問の要人は金正恩氏―【私の論評】南北統一で核武装をした先進国なみの経済力を持った独裁国家が生まれることを習近平は懸念している(゚д゚)!

北京訪問の要人は金正恩氏

本日の産経新聞号外
【産経新聞号外】金正恩氏が訪中[PDF]

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が26日から北京を訪問し、27日までに複数の中国共産党の指導者と会談したことがわかった。中国共産党当局者が明らかにした。

 同当局者によれば、中朝双方は今年初めから金正恩氏の訪中時期などについて交渉していた。中国側は、北朝鮮が核放棄に向けて取り組む姿勢を示すことを金氏訪中の条件にしていたという。今回、訪中が実現したことは、北朝鮮から前向きな回答を得た可能性がある。

 朝鮮半島情勢をめぐり、4月に南北首脳会談、5月までに米朝首脳会談が行われる予定で、金氏は今回の訪中で、最大の保護国である中国の指導者と事前協議を行うものとみられる。

 北朝鮮の最高指導者の訪中は、2011年5月の金正日総書記以来、7年ぶり。金正恩氏の訪中は最高指導者として初めて。

【私の論評】南北統一で核武装をした先進国なみの経済力を持った独裁国家が生まれることを習近平は懸念している(゚д゚)!

この動きは、当然のことながら、4月末に開催される南北首脳会談、ならびにその後に控える米朝首脳会談にあわせて様々な調整をするためのものでしょう。

南北首脳会談が、核放棄につながるかどうかは疑わしいです。ただし、この会談自体は前向きにとらえていいでしょう。これまで安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領が、北朝鮮の核放棄に向けて経済制裁を行った一定の成果だといえます。

北朝鮮は南北対話が続く限り、新たな核・ミサイル実験を行わないとも表明し、非核化の意思も示していますが、これも日米の要求に沿ったものでしょう。

しかし、制裁の解除については慎重にすべきです。北朝鮮が本当に核開発を放棄するかどうか分からない中では、核放棄が目に見えて初めて制裁を解除するという姿勢をとるべきです。

この姿勢を続けるには政治の安定が必要となります。野党は森友問題を持ち出し、安倍政権の倒閣運動をしているが、いまはそんな時ではありません。朝鮮半島の安定のためにも安倍政権を退陣させるべきではありません。

本日佐川氏の証人喚問が行われたが、予想通り何の新しい事実も出てこなかった

さて、文政権は北との連邦制を目指して動いていくことになるとみられています。文氏自身は表向きは北に非核化を訴えていますが、連邦制が実現すれば、北の核を手に入れ、自衛に使えるようになります。そうなれば2~3年で在韓米軍が撤退するという話にもなってくるかもしれません。

ただし、それは文在寅が描くシナリオです。もし、そういうことになれば、このブログで以前から述べているように、日米は無論、中露からも、核武装した南北統一朝鮮が朝鮮半島に出来上がることはかなりの脅威です。

韓国には、他の先進国よりは遅れ気味ながら、それなりに科学技術力があります。さらに経済的にもGDPはロシアなみです。この韓国が、核武装した北朝鮮と統一されることになれば、朝鮮半島にロシアの経済力を超えた核武装した軍事独裁政権ができあがるかもしれません。

その独裁者が、金正恩であったにしても、まかり間違って文在寅であっても、日米中露やアジアの他の諸国にとってもかなりの脅威です。

今回、金正恩氏が中国を訪問したのは、金正恩氏にはそのような気はないことを習近平に伝えるためであると考えられます。

習近平

金正恩は、自分は習近平政権と決別するつもりであると、習近平に見られているかもしれないとの危惧があったと思われます。

南北閣僚級会談が開かれた今年1月9日は、北朝鮮が中国に設立した合弁企業や全額出資企業を閉鎖するデッドラインでした。さらに、正恩は朝鮮半島についてはわれわれが決めるという気持ちで南北会談をはじめたと習近平に受け取られたかもしれないと懸念を抱いたと思います。

実際金正恩は、そのように考えたとしても、無理からぬところもありました。1年前にマレーシアで北朝鮮のキム・ジョンナム(金正男)氏が暗殺された事件について、中国政府関係者は、北朝鮮のナンバー2とされたチャン・ソンテク氏が以前、中国を訪問した際、当時の胡錦涛国家主席に対し、ジョンナム氏を北朝鮮の最高指導者にしたいという意向を明らかにし、この情報が金正恩朝鮮労働党委員長に伝えられたことが事件の引き金になったという見方を示していました。

これに加えて、習氏は政権内で北に近い人間を排除してきましたし、北にとってはイランなど親しい国がいくつもあります。そのため、習近平は、金正恩は金王朝にとって中国はもはや不要であると考えているのではないかとの懸念を抱いているということは十分考えられることです。

そうして、その金正恩が、南北統一朝鮮の独裁者なれば、中国と国境を接する朝鮮半島に、核武装をした先進国なみの工業力と経済力を持った独裁国南北統一朝鮮ができあがることになり、中国にとっては脅威です。

無論、ロシアのプーチンにとっても脅威です。北朝鮮は貧乏な国ですが、南北統一朝鮮ともなれば、GDPは確実にロシアを上回ることになります。日米中露ともに脅威を感じる南北統一朝鮮は出来上がる前に、潰されて、半島に北朝鮮でも韓国でもないいくつかの中立的な国々をつくられてしまう可能性も多いにあります。

双眼鏡をのぞくプーチン

しかも、北朝鮮は元々はソ連が建国した国です。ソ連と親和的な南北統一朝鮮が出来上がることも、習近平は懸念しているかもしれません。

今回の金正恩の中国訪問は、そのような習近平の懸念を払拭するためであると考えるべきです。

南北会談、米朝会談が行われたにしても、中国が北朝鮮の敵にまわってしまえば、すべてなし崩しになってしまう可能性もあります。これだけ、周到に南北会談、米朝会談に対して、準備をするのですから、やはり日米、さらには中国の北への制裁は、かなり効き目があったとみるべきです。

それにしても、以下に示すように、北朝鮮は何度も約束を反故にして裏切りを続けています。

1994年:米朝協議
アメリカが軽水炉2基の建設を支持し、重油も提供。その代わりに、北朝鮮が核開発を凍結することで合意。ところが、北朝鮮は裏で核開発を続け、後に核兵器の保有を表明
2005年:6か国協議で北朝鮮が全ての核兵器を放棄することを約束
しかし、2006年10月に北朝鮮は初の核実験を実施
2007年:6か国協議で寧辺(ニョンピョン)核施設の閉鎖・封印を約束
しかし、北朝鮮は核実験・ミサイル発射など挑発行為を継続
2012年:米朝合意 ウラン濃縮や核実験の一時停止
しかし、2013年に北朝鮮は核実験を実施
これだけ、過去に裏切ってきたのですから、南北首脳会談でも、米朝会談でも、核関連施設の査察の方法なども詳細に定めて、それに違反することがあれば、日米中露はすぐにも制裁や武力攻撃できるようにすべきです。

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日米露中まで頭痛のタネ 世界に広がる「韓国疲れ」―【私の論評】南北統一で、主体思想に染まった経済的にはロシアより大きな、核武装した軍事独裁政権ができあがる(゚д゚)!

2018年3月13日火曜日

日米露中まで頭痛のタネ 世界に広がる「韓国疲れ」―【私の論評】南北統一で、主体思想に染まった経済的にはロシアより大きな、核武装した軍事独裁政権ができあがる(゚д゚)!

日米露中まで頭痛のタネ 世界に広がる「韓国疲れ」

文大統領は御満悦だが・・・・

平昌五輪を“利用”して北朝鮮との対話を始めた韓国。五輪後に訪朝した特使団は10年ぶりとなる南北首脳会談まで取り付け、あれよあれよという間に南北が大接近。一方で金正恩朝鮮労働党書記長はトランプ大統領に会談を申し入れ、5月までに実現する見込みとなった。見守るしかない世界の国々は“この先”の難儀を察して頭を痛めている--。

韓国の特使派遣は、朝鮮半島の平和実現に向けた大きな前進--というのが世界の表向きの評価である。4月末の南北首脳会談の開催に加え、北朝鮮が非核化に向けた米朝協議の用意があると表明したことを受け、米国のトランプ大統領も、「前向きだ」と評価した。

だが、韓国の“単独行動”に、各国は内心ヒヤヒヤしている。

「文在寅大統領の判断は、国連決議も含めて、世界各国が取り組んできた北朝鮮への圧力路線を壊すもの。各国はリップサービスのコメントを出していますが、本音では“韓国のおかげでこれまで続けてきた制裁や圧力がすべて無駄になった”と嘆いている」

こう指摘するのは、元在韓国特命全権大使で外交経済評論家の武藤正敏氏だ。

「今回、特使が伝えた合意内容は非常に曖昧で、『北朝鮮に対する軍事的脅威が解消されて体制の安全が保障されれば、核を保有する理由がない』というのは、米国が求める非核化とは程遠い。米国の情報関係者は揃って南北対話に懐疑的だし、日本はもちろん、欧州やアジア各国も同様です。韓国はあまりにも北朝鮮側に妥協、譲歩しすぎている」

慰安婦問題でさんざん「ゴールポスト」を動かされてきた日本にとっては、またも韓国の行動に翻弄される事態だ。2014年1月には米スタンフォード大学アジア太平洋研究センターのダニエル・スナイダー研究副主幹が、日本の政治指導者が「韓国疲労症」にかかっていると指摘したこともある。

だが、日本だけでなく、「コリア・ファティーグ(韓国疲れ)」は米国でも流行語になった。きっかけは執拗な“反日”だ。最初にこの言葉が、使われたのは6年ほど前のこと。

2012年4月、米国歴史教科書の「日本海」表記を「東海」に修正させようと、ホワイトハウスの公式サイトに「東海」支持の韓国人と見られる書き込みが殺到。サーバーが一時パンクする騒ぎになった。2015年4月には安倍首相の米国議会でのスピーチ阻止のため、在米韓国人が「訪米反対声明」を発表し妨害工作を展開。米国政府を激怒させた。

◆トランプは「弱腰」と指摘

今回の特使派遣についても、米外交専門メディア『ザ・ディプロマット』はこう書いている。

〈五輪後の金正恩の友好ムード演出は、文在寅の気前の良さと統一への情熱を食い物にして、食糧援助と制裁解除を獲得するための試みだ。ソウルと国際社会は、太陽政策を再試行しても、国民を無視し国防費を優先させる北朝鮮を変えることができないことを自覚するべきだ〉(3月6日配信)

産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が言う。

「米国は北朝鮮が韓国のすり寄りを利用して、核開発のための時間を稼ぎ、自分たちに都合のいい形での米朝対話を画策する可能性を懸念しています。トランプ大統領の文大統領に対する不信感は根強い。象徴的なのが、文大統領を『appeasement』と批判した昨年9月のツイート。これは直訳すると『宥和』で、相手に不必要な妥協や譲歩をしてすり寄る姿勢を批判する時などに使われ、“弱腰”という強い意味が込められている。同盟国のトップに使うのは極めて異例です」

◆中国も「面白くない」

文大統領は政権発足以来、歴史問題で足並みを揃えようと中国に接近してきたが、その中国からも嫌われているという。中国に詳しいジャーナリストで拓殖大学教授の富坂聰氏が言う。

「朝鮮半島が平和へと向かうことに中国は賛成していますが、中国自らが主導して、北朝鮮が核とミサイル開発をやめる一方、米韓も大規模な合同軍事演習を当面中止する『ダブル・フリーズ』で非核化への交渉再開の条件を作り出そうとしていた。昨年7月にはロシアも合意して、それに乗る形になった。

中国は北朝鮮に特使を派遣していたが、今回の件で、韓国に主導権を持っていかれてしまった形です」

ちなみに中国の特使は金正恩氏に会えなかったというから、メンツを重んじる中国が怒らないはずがない。加えて、その中国に乗ったロシアも、韓国にハシゴをはずされた形だ。元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏が言う。

金正恩も御満悦・・・・?

「南北首脳会談が、そのまま非核化に繋がるとは考えにくい。それどころか会談の中で“米国の干渉排除”や“経済制裁の中断”が議題にのぼり、その時に決裂を恐れる文大統領が強く否定できない展開もあり得る。

金正恩氏の狙いは日米韓の分断です。いずれ韓国はこの宥和策から降りなければいけない。そうなった時、米国や日本が対応することになる」

18年前に訪朝した金大中大統領(当時)はノーベル平和賞まで受賞したが、核放棄に繋がらず、逆に北朝鮮に開発の猶予を与える結果になった。だが、韓国の『中央日報』はこう書く。

「平昌でまいたタネを平和の巨木に育てることは、文大統領にとって重い歴史的荷物であると同時にノーベル平和賞までいける千載一遇の機会だ」

振り回される世界が疲れるのも無理はない。

※週刊ポスト2018年3月23・30日号

【私の論評】南北統一で、主体思想に染まった経済的にはロシアより大きな、核武装した軍事独裁政権ができあがる(゚д゚)!

韓国と北朝鮮の歩み寄りは、いずれ南北統一につながる可能性が高いです、そうして統一朝鮮が朝鮮半島に出来上がることには、日米中ロの四つの国にとっては脅威です。

これは、以前もこのブログで指摘してきたことです。統一朝鮮が出来上がった場合どのようなことになるかといえば、北朝鮮と韓国が一緒になるということですから、半島全体が核武装をした(あるいはいつでも核武装できる)一つの国になることを意味します。さらに、韓国の進んだ工業力と北の核が結びつけば、朝鮮に核大国が出来上がる可能性も否定できません。

さらに、韓国のGDPは東京都なみであり、日本人からみればたいしたものではないと感じられるかもしれませんが、ロシアと同等以上であり、これが北朝鮮と結びつけば、ロシアより完璧に大きな経済になります。

これは、核武装をしたロシアよりも経済の大きい国家の誕生を意味します。この統一朝鮮が、独裁軍事国家になり、さらなる軍拡をする可能性は、かなり大きいです。そうなれば、将来的には核武装したロシアなみの独裁軍事国家が半島にできあがる可能性も否定できません。

そのような国が半島にできあがることは、日米中ロにとっては望ましいことではありません。

そうして、統一朝鮮が、北に近いような政治風土の国になった場合、「韓国疲れ」どころではなく「北朝鮮疲れ」のような状況どころか、大きな脅威が世界各国を悩ませることになるでしょう。

なぜそうなるかといえば、北朝鮮は主体(チェチュ)思想なるものがあるからです。

この思想は、中ソ対立のはざまで、自国の自主性維持に腐心する金日成が、「我々式の社会主義(ウリ式社会主義)」に言及する中で登場し、金正日によって体系的に叙述された。

この過程で、モスクワ国立大学哲学博士である黄長燁が哲学的緻密化に貢献したといわれる。後に金日成により性格づけられ、1972年の憲法で「マルクス・レーニン主義を我が国の現実に創造的に適用した朝鮮労働党の主体思想」と記載されました。朝鮮人民が国家開発の主人であり、国家には強力な軍事的姿勢と国家的資源が必要、とするものです。

「主体(チュチェ)」は、哲学およびマルクス主義の用語「主体」を朝鮮語に変換したもので、また「主体」とは、北朝鮮では「自主独立」や「自立精神」を意味する場合も多いです。主体思想は「常に朝鮮の事を最初に置く」との意味でも使われています。金日成は、主体思想は「人間が全ての事の主人であり、全てを決める」という信念を基礎としている、としました。

簡単にいうと、 人間は自己の運命の主人であり、大衆を革命・建設の主人公としながら、民族の自主性を維持するために人民は絶対的権威を持つ指導者に服従しなければならないと唱える思想です。

チュチェ思想は、人間に譬えるなら「首領」は「頭」であり、「党」は「胴体」であり、「人民大衆」は「手足」であると北では説明しています。胴体と手足は頭が考えた通りに動く必要があります。また頭がなければ生命が失われてしまいます。故に首領の権威は絶対的で、あらゆる人民大衆は無条件に首領に従わなければならない。云々、云々・・・。

書きながら頭が痛くなってきそうな内容ですが、これがどうやって導かれるのか、私には全く理解することができません。ちなみに「主体思想」は序論として「哲学的原理」なるものを掲げており
*人間は世界と自分の運命の主人で、これを開拓する力をもつ 
*人間は自主性、創造性、意識性をもつ社会的存在である 
*人間の自主性、創造性、意識性の高まりが社会により強く影響する方向に社会は発展する
と、これだけ取り出せば、悪くなさそうにも見えるお題目が並ぶのですが、このあと「故に」として「必ず首領の指導を受けねばならない」と来るのです。いったい何が「故に」なのか理解不能です。

相手が「首領」であれなんであれ、「絶対的な服従」というのは人間の自主性、創造性、意識性の否定以外の何ものでもなく、世界と自分の運命の「主人」たることを放棄させることとしか、論理的には読みようがないものです。

「主体思想」の「主体性」とは首領様への絶対服従が原点であり到達点になっている。理屈では通りません。

この思想に染まっている人間に対しては、理屈などの通りません。宗教の一種と考えると、話がすっきり通るかもしれません。指導者を政治的に見るとピンと来ないことが「生き神様」と考えれば「個人崇拝」の構造が別の様相を見せるようになります。主体思想でのそもそもの首領とは金日成国家主席個人を指したわけで、この「生き神様」を祭り上げる、一種の擬似宗教として、これを見ることができるかもしれません。

この主体思想に染まったのが、北朝鮮であり、北と南が統一された、統一朝鮮にもこの主体思想が受け継がれ、生き神様である「金王朝」の出身者を首領とするような国家になったとすれば、これはまともな理屈も何も通じないような、経済的には先進国なみの、核武装した軍事独裁政権ができあがるかもしれません。

文在寅はこのチェチュ思想の恐ろしさを認識しているとはとても思えません。仮に文在寅が、南北統一を推進するということになれば、文はどうあがいても、チェチュ思想による狡猾さには太刀打ちできないでしょう。

統一すれば、元韓国の大統領や政権の幹部など、すぐに暗殺されるか幽閉されるでしょう。チェチュ思想に染まった連中にとっては、このくらいのことは朝飯前の所業でしょう。

そうして、核武装した軍事独裁政権が主体思想という宗教を信奉することになれば、それはとんでもないことになります。

主体思想については、以前のこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
朝鮮大学校元幹部逮捕 「スパイ天国・日本」狙い撃ち 北朝鮮の指示役、韓国大統領選でも暗躍―【私の論評】日本人は、事件の裏にある主体思想の精神破壊力に目覚めよ(゚д゚)!
この記事は、2016年2月3日のものです。以下に主体思想の破滅的な破壊力について解説した部分を引用します。

"
この主体思想の破滅的な破壊力については、2005年4月のNHKスペシャル、「ドキュメント北朝鮮・第1集 個人崇拝への道」という三夜連続のドキュメンタリーで報道されていました。これは、当時のNHKとしては、かなりまともな報道でした。

この番組の後ろのほうで、元旧ソ連共産党中央委員会委員のワディム・トカチェンコ(ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究センター長)がしみじみ語った言葉こそ、今日本人が最も重要なキーワードとして胸に刻まなければならない言葉です。トカチェンコは苦々しい顔をしてこう回想しました。
「北朝鮮はソビエトにとって常に頭痛の種でした。彼らは主体思想を教え込まれ、目的達成のためならどんな手段を用いてもかまわないと考えています。国家のためならば何をしても許されるのです。 
私は時折思いますます。このような人々と全く関わり合いをもたないほうがいいと。不用意に関わるとこちらが病気になり、傷つくことになるのです。」

この動画、以前はYouTubeにも掲載されていたのですが、現在は削除されています。ただし、ニコニコ動画のほうには未だ掲載されています。ご覧になっていない方は、是非視聴していただければ、北朝鮮の本質に迫ることができると思います。

元旧ソ連共産党中央委員会委員のワディム・トカチェンコをして、ここまで言わせた、恐るべきチュチェ思想です。あまりこのような、思想に慣れていない日本人など、この思想に触れてしまえば、あっという間に北朝鮮側に籠絡されると思います。

このチュチェ思想は、北朝鮮では、主体思想塔(チュチェササンタプ、しゅたいしそうとう、韓国語: 주체사상탑)として目に見える形に体現されています。この塔は、朝鮮民主主義人民共和国の平壌市中区域にあります。高さ170メートル。金日成の70歳の誕生日を記念して建てられ、1982年に完成しました。

主体思想塔

こんな思想に基づいて動く国ですから、拉致問題も平気で起こすし、人民が食うや食わずでも、核開発は行うし、他の国のことなどおかまいなしに、全く自分のペースで動くのです。あの中国ですら、主体思想にはかなり悩まされているのではないかと思います。
"

南北統一によって、このような思想に染まった、軍事独裁政権が半島に出来上がる可能性があるのです。そうして、統一朝鮮は、習近平の独裁体制となった中国よりもさらに厄介な存在になるでしょう。朝鮮族の多い、中国の東北地方(満州)に領土的野心を抱くようになるかもしれません。日本の竹島は永遠に日本に戻らなくなるかもしれません。それどころか、中国と同じように尖閣付近で問題を起こすかもしれません。

金正恩ももちろんこの思想に染まっていることでしょうから、トランプ氏と会談したにしても、その場では何か、トランプ氏の意向に沿ったような話をしたとしても、都合が悪くなれば、すぐに裏切ることに関しては何の躊躇もしないことでしょう。

ただし、トランプ氏は高齢であり、長い間自由主義経済の中で商売をしてきて、その時々で失敗したり、成功したりした経験もあるでしょうし、金正恩に匹敵するような狡猾な人物と取引してきた経験もあるでしょう。さらに、年齢も70歳台ですから、若い世代よりは簡単に主体思想に巻き込まれるということないとは思います。

しかし、金正恩などとまともに話ができるなどと考えていては、「韓国疲れ」どころか、深刻な「主体思想疲れ」に見舞われることでしょう。

私自身は、従来のように段階を踏んだり、戦略的忍耐などをしていると、「主体思想」に破れて、南北統一朝鮮が成立してしまうと思います。

その前に、当面は南北統一の動きを見せた場合や、核開発を始めた場合は、米国はためらうことなく即座に軍事的行動をとることを金正恩に納得させ時間稼ぎをして、主体思想なる宗教を破壊することが最善の策だと思います。さらに、実際に北が不穏な動きを見せれれば、すぐに軍事行動に打ってでるべきです。これに関しては、日米中ロで合意することはさして難しいことではないと思います。あるいは、すでに条件付きで合意に達している可能性もあります。

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2018年3月9日金曜日

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文在寅大統領が差し出した手は何をもたらすか(写真右が金与正氏)

南北朝鮮の接近が急加速している。韓国の文在寅大統領は平壌での首脳会談に乗り気で、事態は想像を超えて急展開する可能性がある。先に見えるのは、核保有国・統一コリアの姿だ。拓殖大学特任教授の武貞秀士氏が警告する。

 * * *

 「我々はひとつだ!」

 平昌五輪中、私は韓国を訪れて情報収集につとめた。テレビでは連日、専門家の討論番組を放送していた。そして、耳に残ったのがこのフレーズだった。

 韓国政府は、北朝鮮代表団や管弦楽団、美女応援団を熱烈に歓迎した。日米両政府は核・ミサイル問題の解決の遅れを心配したが、文在寅政権は「五輪はスポーツ大会」とかわした。

 韓国社会の反応は意外と冷めていた。美女応援団が「同胞への呼びかけ」に徹したのには違和感もあったようだ。

 そんな世論と裏腹に文在寅大統領は、米国のペンス副大統領が欠席した歓迎レセプションで「女子アイスホッケーチームの選手の心には休戦ラインはない」と挨拶をした。休戦ラインを守っているのは在韓米軍と韓国軍なのだが……。

 金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏らを招いた昼食会では、金大中、盧武鉉政権時代に北朝鮮を訪れた幹部を同席させ、対話への意欲を示した。すでに南北は今年1月、南北閣僚級協議で軍事協議を再開することに合意している。

 五輪期間中、「心を合わせて難関を突破しよう」「南北関係を当事者同士で解決すべきだ」と訴えた文大統領は、五輪を機に北朝鮮との対話を進めるつもりだろう。金委員長の右腕である与正氏が親書を手渡した席で南北交流の具体的な方策を話し合ったにちがいない。

 これから先、何が起こるのだろうか。米・トランプ大統領は南北対話のあいだは、軍事行動をしないと約束している。北朝鮮は、米国が軍事行動を選びにくい状況を創出するため、南北のスポーツ・文化交流計画を韓国に提案するだろう。

 開催を延期している米韓軍事演習が試金石となる。北朝鮮は、「軍事演習をしたら南北対話は進まない」と文大統領に揺さぶりをかける。そのとき、朝鮮半島問題の主人公は韓国と北朝鮮だと考える文在寅政権は、米韓軍事演習の規模縮小を米国に訴えるにちがいない。

 ここで日本が一連の動きに反対すると逆効果になる。平昌五輪開幕式前日の日韓首脳会談で米韓軍事演習を実施すべきと述べた安倍首相に対して文大統領は「内政の問題だ」と不快感を示した。日本が南北交流を警戒し、米韓同盟強化を助言すれば、北朝鮮ブームが起きていない韓国社会だが、日本への反発から親北に傾斜してしまう。

 北朝鮮は今年9月9日の建国70周年を「民族の慶事」の大イベントであると宣伝しており、この時期までに首脳会談を実現したいはずだ。金大中と金正日の両氏が初めて南北首脳会談を開いた2000年6月の記念日に合わせて、今年6月開催を目指している。

 文大統領は米朝対話再開が必要だと答えた。首脳会談が実現すれば、南北の関係改善は加速する。すでに文大統領は北朝鮮に800万ドルの人道支援を行うと決めている。現在停止中の南北経済交流事業が再開され、開城工業団地の操業や金剛山観光再開を検討している。朝鮮半島縦断鉄道からシベリア鉄道に乗り入れる列車ダイヤの運行を具体化する話も浮上することだろう。すべて北朝鮮の外貨獲得源である。

 南北交流が進んで、「分断された民族を統一する」というムードが高まると、1980年の労働党大会で金日成主席が提案したように、まずは南北同数の代議員で民族連邦会議を作り、大統領を選出するシナリオが浮上するだろう。この時、韓国側の代議員に一人でも従北勢力がいれば、多数決で金正恩大統領が誕生する可能性もゼロではない。

 「なだらかな南北統一」の最大の脅威は、統一コリアが核保有国となることだ。北朝鮮が核・ミサイルを開発するのは、多くの識者が指摘するような体制維持のためではなく、米軍介入を阻止して統一するためだ。だから彼らは統一まで核を放棄しないし、統一後も日米両国からの防衛を根拠に核は捨てないだろう。

 ●武貞秀士(たけさだ・ひでし)/1949年兵庫県生まれ。慶應義塾大学大学院修了後、防衛省防衛研究所に教官として36年間勤務。その間、米スタンフォード大学、ジョージワシントン大学客員研究員、韓国中央大学客員教授等を歴任。2011年、防衛省を退職後、韓国延世大学教授等を経て現職。著書に『東アジア動乱』(角川oneテーマ21)、『なぜ韓国外交は日本に敗れたのか』(PHP新書)などがある。

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実は韓国は、数年前からすでに北朝鮮に乗っ取られていたとみるべきです。北のスパイが約12万人、韓国内に入り込んでいるとされています。

核とミサイルとスパイしか武器を持っていないような国が全力を傾注して、スパイを浸透されたとされてますから、これは十分あり得る数字です。

1998年から2008年まで行われた"圧力より融和で南北統一を目指す政策"である「太陽政策」の間に、北朝鮮は韓国の政治の世界は官邸にむけて、軍部は情報部にむけて、次々に北朝鮮のスパイを浸透させていったとされます。軍自体は良識派の集まりなので、浸透は無理とみて情報部に浸透をはかったとされています。

韓国の政治家のうち、最も始末に負えないのは文在寅をはじめといする「親北・反日」の人々で、大きな勢力を占めています。韓国では「反日」が大前提で、「反日」など争点にすらなりません。

そんな韓国での本当の争点はこのまま北に乗っ取られるのが良いのか、支那に媚びて助けてもらったほうが良いのかということであり、これが最大の争点です。

昨年失脚した朴槿恵大統領は「親中・反日」でしたから、実は当初の大統領選挙の候補者の内、一番まともな政治家でした。

朴槿恵は、韓国は、支那の一の子分になったほうが、北より下になるよりは良いというわけで、彼女はこの10年で、最も良識的な大統領だったといえるかもしれません。

少し前までの、韓国は中国・北朝鮮代理戦争の真っ只中でしたが、朴槿恵が失脚して、文在寅が大統領になった時点で、韓国内では北が圧倒的に優位にたちました。

文在寅大統領は、北朝鮮が韓国を核攻撃するとは考えていません。「北の核はアメリカからの防衛のための核であり、攻撃のための核ではない、平和のための核だ」(盧武鉉元大統領の発言)というのが、盧武鉉の最側近だった文在寅をはじめとする韓国左派系勢力が信じるところです。ですから北朝鮮が「国家核戦力の完成」を表明した段階で南北融和姿勢へ転換するのは、文在寅には当初から「想定内」のことだったのです。

北朝鮮の路線転換とそれを受け入れた韓国が、ともにその先に描いているのが、統一朝鮮実現へ向けた「南北連合国家」(2政府連邦制国家)の形成です。「北朝鮮の国家核戦力の完成」が南北統一への道を開き、しかもそこでは北の独裁体制と核が温存されたままという、まことに理不尽な歴史が始まろうとしているのです。

金正恩が文在寅の訪朝を要請したことで、南北首脳会談が現実味を帯びてきました。実現するとしたら、南北間でどのような話し合いがもたれるのでしょうか。文在寅は果たして、北朝鮮に核放棄を迫るでしょうか。

これまでに南北首脳会談は2回行われています。1回目は2000年6月15日(金大中と金正日)。この会談では、北核問題に触れることなく、「南と北は国の統一問題を、その主人であるわが民族同士で互いに力を合わせ、自主的に解決していくことにした」「南と北は国の統一のため、南側の連合制案と北側のゆるやかな段階での連邦制案が、互いに共通性があると認め、今後、この方向で統一を志向していくことにした」と、南北統一問題に終始しました。

金大中と金正日の首脳会談を特集した
TIMEのdigitalの表紙

ところが、この2年前の1998年5月30日、北朝鮮は自国製のプルトニウムを用いた代理核実験をパキスタンに挙行させたとされ、8月31日には初の準ICBM(テポドン1号)を、日本上空を通過する形で太平洋に向け発射しています。

2回目の首脳会談は2007年10月4日(盧武鉉と金正日)。そこでも北の核問題には触れず、「南と北はわが民族同士の精神によって、統一問題を自主的に解決し、民族の尊厳と利益を重視して、あらゆるものをこれに志向させていくことにした」と、やはり統一問題に終始しています。

この会談の前年の2006年7月5日には、北朝鮮は初のICBM(テポドン2)、ノドンとスカッドC(火星6)6発を日本海に向けて発射し、10月6日には初の核実験を強行。国連安全保障理事会は即刻、全会一致で北朝鮮制裁を決議しました。

この2例のように、今後の南北首脳会談でも、核問題は抜きで「統一問題の自主的な解決」が話し合われることになるでしょう。これまでアメリカは「北核問題と南北和平問題は別問題」としてきましたから、「核問題抜きの南北首脳会談」に強固な反対をすることはないと思われます。

盧武鉉政権下の三つの「親北政策」

文在寅が心酔する盧武鉉元大統領が最大の政治テーマとしたのは、金大中の対北融和政策である「太陽政策」を引き継いでいっそう推し進め、南北統一へ向けて南北連合国家を形成していくことでした。

そこで盧武鉉がとった政策の一つは、過去の「韓国独裁政権」が侵した人権侵害を断罪することです。しかしその一方で、北の核開発や多数の人権侵害については、批判も抗議もまったく行うことがありませんでした。

盧泰愚

二つ目は、韓国史の「北朝鮮式書き替え」でした。北朝鮮史を肯定的に評価する「親北史観」が台頭していったのです。2003年から多数の高校で採用されていった「韓国近現代史」教科書では、戦後韓国の歴史を「米政府および独裁政府」対「韓国民衆」という構図で否定的に記述し、北朝鮮体制を「民族自尊を守りながら絶え間ない変化を追求する合理的体制」と、肯定的な観点で記述しています。

韓国の中学校の国史教科書

三つ目の政策が「国内親日派」の断罪です。北朝鮮では「日本統治時代に親日行為(日本統治への協力)をした者」は、悪逆な犯罪者・売国奴として粛清されました。これを評価する盧武鉉は、これまでの韓国は「国内親日派」を温存してきたと批判し、北朝鮮と同じく「日本統治時代に親日行為をした者」を断罪すべきだとしたのです。

そのために特別法を制定して「親日反民族行為者」(故人を含む)のリストを作成・公表し、彼らを公式の「売国奴」としました。また、多数の「親日反民族行為者とその子孫」の財産が、国家の手によって没収されています。

教科書も憲法も「北朝鮮化」を狙う文在寅

こうした盧武鉉政権の「対北融和・南北連合国家形成」の政治方針を文在寅政権は継承し、「韓国の北朝鮮化」を推し進める政策をいま、次々に打ち出しています。

例えば、2020年から中学・高校で使用される歴史教科書について、「北朝鮮による6・25(朝鮮戦争)南侵」「北朝鮮の世襲体制」「北朝鮮の人権」などの用語をすべて用いないとする執筆基準試案を提示しています。これは盧武鉉政権すら行わなかったことです。


さらに、文在寅政権を支える与党「共に民主党」は、大韓民国憲法にある「自由民主的基本秩序」の文言から「自由」を削除する憲法改正案を議員総会に提出しました。野党の大反対にあっていくらか引っ込めてはいますが、これまでの韓国では「自由民主的基本秩序」とは、北朝鮮のような「一党独裁体制」の否定を意味するとしてきたのです。

この憲法改正案では、自由市場経済に反して国家的な経済統制を強化する条項など、国家社会主義的な思想が露骨に示されています。文在寅政権は、南北連合国家の形成へ向けて、韓国をできるかぎり北朝鮮に近い体制へ変えようとしているのです。

日米中ロは朝鮮半島の統一を望んでいない

このような状況が続けばいずれ「南北連合国家」が形成されてしまうことになります。しかし、これを支持する周辺国が存在するでしょうか。

中国は、半島に北朝鮮優位で、南北が統一されて大きな朝鮮ができることに脅威を感じるでしょう。韓国の朴槿恵は「親中」でしたが、文は「親北」で、金正恩はあからさまな「反中」ではないにしても、「反中」的です。

そのような南北統一朝鮮ができれば、北の核に、南の経済力、工業力と、様々な外国との結びつきが最大限に活用され、アジアにかなり大きな独裁軍事国家ができあがることになります。そのような国と国境を接することは、中国には許容できないでしょう。

ロシアも同じようなものでしょう。元々、北朝鮮はソ連がつくった国です。それが、ロシアと同等以上のGDPである、韓国と統一されれば、隣国が核を持ちしかも、その経済力がロシアより上ということになります。

南北統一朝鮮は、当然のことながら、軍拡に走るでしょう。そうなると、いずれロシアと同等かそれ以上の軍事国家が半島に生まれる可能性もあるのです。

現在のロシアは、中国には経済力ではかなわない存在になってしまいました。かろうじて、軍事力に関しては、ソ連から継承した、軍事技術やノウハウがあるので、圧倒的に優位ですが、それでも台頭する中国は脅威です。

ロシアは、世界で一番長く中国と国境を接している国です。中国の脅威に加えて、核武装した経済力が自分よりも上の、しかも国境を接した新たな大国南北統一朝鮮が誕生することをロシアは望まないでしょう。

その他の国々も、シリアのような国は別にして、北優位ですすめられる南北統一朝鮮は脅威でしょう。

いずれにしても、この問題は放置しておけば、悪化するだけです。以前このブログにも掲載したように、いずれ半島から北朝鮮も、韓国もなくなり全く新たな秩序が形成されるか、南北統一を許してしまうのか、いずれか一方しかないということだけは確かです。

新たな秩序を作り出すというのであれば、国連軍という形をとるかどうかは別にして、日米中ロはもとより、世界の多く国々が、半島に軍隊を送り込み、少なくとも50年くらいは進駐させて、今後世界を脅かすことがなくなる新たな秩序を作り出すまで、分割統治するくらいの覚悟が必要です。

なお、この時に過去の米国による日本統治のようなやり方は許されません。あくまで、国際法にのっとった形で、実行すべきです。北の人民や、韓国の国民の主権を尊重した形で、民主的なやり方をすべきです。ただし、すぐに世界にとって望ましい体制などできあがるわけもありません。どのようなやり方が良いのか、十分考慮した上で、段階的に数十年かけて実行していくべきです。

一歩間違えて、中途半端にすれば、朝鮮半島が中東のように新たな混乱と緊張と脅威を生み出すだけになります。これは、米国だけではいかんともし難いです。やはり、日本も大きな力を発揮すべきですし、他国の力も大いに活用しなければ、できることではありません。

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