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2019年7月27日土曜日

ファーウェイは巨大な諜報機関だった…中国、5G通信主導で世界諜報インフラ完成へ―【私の論評】ファーウェイの本当の脅威はサイバーテロ(゚д゚)!

ファーウェイは巨大な諜報機関だった…中国、5G通信主導で世界諜報インフラ完成へ

文=深田萌絵/ITビジネスアナリスト

ファーウェイ研究開発ビル

 次世代型通信規格「5G」が始まろうとしている。大容量通信、同時多接続、超低遅延というハイスペックを謳う5Gだが、それを主導しているのは米国政府から「スパイ企業」と呼ばれた中国大手通信企業「ファーウェイ」だ。

 昨年のファーウェイ創業者の娘である孟晩舟氏逮捕をきっかけに世論は「ファーウェイはスパイ企業なのか?」と疑問を抱いたが、その疑問に明確に答えられた人はいない。

 ファーウェイは、単なる通信スパイではない。筆者の見解では、ファーウェイは世界各国の諜報機関と連携する巨大な諜報機関だ。

 通信スパイは専門用語で「シギント」と呼ばれており、通信を盗聴、ハッキングして情報を収集するだけで人員を送り込まない。これに対し、諜報員を送り込んで情報収集や工作活動に当たることを「ヒューミント」と呼ぶ。

『「5G革命」の真実 –5G通信と米中デジタル冷戦のすべて』(深田萌絵/ワック)

 ファーウェイは単なる「シギント」機関ではなく、「ヒューミント」機能を有している。それどころか、ポーランドの諜報機関や、MI6(英・秘密情報部)、FBI(米・連邦捜査局)などにも影響力を持っていたところからして、我が国の内閣情報調査室(内調)や公安警察を軽く超える諜報能力を有しているのだ。

 6年前にファーウェイのスパイ事件に巻き込まれて以来、筆者はファーウェイのスパイ事件を追い続けている。筆者が国の衛星実験の仕事を下請けとして受注した現場で、ファーウェイの工作活動が始まっていたのに気づいてしまったからだ。筆者が経営しているIT企業と共同研究の依頼をした3つの研究室すべてにファーウェイ社員が現れたのだ。

 当時、すでに米国ではファーウェイはスパイだと認識されており、弊社の技術は米国からもたらされているために敏感にならざるを得ない。衛星は最新兵器の命令系統を担う軍事上の重要インフラだ。さすがに衛星をハッキングされては安全保障上の問題となるので、刑事告発に踏み切ったが、事件は受理されなかった。それもそのはずで、日本ではスパイ活動が“合法”なので、取り締まりようがないのだ。

 仕方なくFBIに証拠を持ち込んで事件を通報したのだが、証拠に混ざった1枚の名刺はFBI捜査官をして「こいつは、米国政府が追っているスパイだ」と言わせたのだ。その名は、孟晩舟逮捕のきっかけとなった、イラン制裁違反を犯したスカイコムテック社の役員「アイウェイ」だった。

言論弾圧との戦い

 「スパイ活動は合法です」--。そう言った警察の言葉に愕然として、我が国のスパイ防止法の歴史を見ると、ことごとく野党に潰されてきたという驚愕の事実を知った。これは、世論に訴えかけなければならない――。その使命感を持って、2014年からファーウェイ事件をいくつかのメディアに持ち込んだが、一度は記事が採用されても、すぐに中国側から抗議が入って二度目は潰されるということが何度となく続いた。

 ファーウェイ事件に巻き込まれたことを書かせてもらう機会は得られなかったが、孟晩舟逮捕の報が流れた瞬間、6年間追い続けていたことが事件となったことに感慨深い気持ちになりブログに投稿したところ、入稿を終えた出版社から連絡があった。

 なんと、拙著『日本のIT産業が中国に盗まれている』(ワック)に、ファーウェイ事件について加筆してもいいといわれたのだ。筆者が事件に巻き込まれてから、FBIがファーウェイに寝返り、米国議員を頼り情報発信を続けるとタイヤに釘を打たれ、最終的にはCIAに駆け込むところまで追い詰められた話を書いた。これで、ファーウェイのスパイ活動についての認知度は多少上がるかと期待した。

 しかし、ファーウェイの広告が急増し、保守派の中国ウォッチャーがこぞって左旋回してファーウェイ礼賛を始めたために、3月頃にはファーウェイネタはすっかり鎮静化してしまった。これだけの言論統制力を持っているファーウェイは驚異的だ。

 そのファーウェイが、5G通信基地局を世界で推進する“隠された意図”は何か。

5G通信の機能から読み解くウラ事情

 この中国が主導した5G通信の「大容量」「同時多接続」という仕様には、裏の目的がある。端的に言うと、中国製5G通信インフラとは「中国の全地球支配を完成させるための諜報インフラ」だ。ダウンロード20Gbpsという大容量通信は、動画を楽しみたい人ならまだしも、各端末から10Gbpsというアップロード能力は、そこまで必要なのかと言われれば疑問だ。

 そこで、ドナルド・トランプ米大統領が「国防権限法」によって利用を禁止した中国企業5社の製品を見ると、通信企業が2社、監視カメラ企業が3社だ。

 この監視カメラ企業の監視カメラは、インターネット経由でカメラ映像を見ることができるのだが、バックドアが仕込まれており、実は中国から丸見えだ。筆者も以前に中国製監視カメラをオフィスに置いていたが、ある日、カメラの向きが変わっていることに気がついた。エンジニアに調べさせると、何者かがインターネット経由でカメラのアングルを変えて室内を無断で監視していたのである。

 中国製監視カメラは、本当に「スパイ機能」を有していたのだ。

 また、なぜ5Gが必要なのか。

 カメラ映像1台分くらいなら4G通信でスペックは事足りる。ところが、世界中に格安で販売した中国製監視カメラから映像を伝送するには、「大容量」「同時多接続」というスペックを満たした5G通信でなければ、カメラの台数分だけの通信回線が確保できない。逆に、この2つを組み合わせれば「世界諜報インフラ」が完成するということだ。

 それが、トランプ大統領が国防権限法で中国製通信基地局と監視カメラを禁じた理由だ。

 ファーウェイの基地局が世界中に設置されて諜報網が完成してしまえば、世界は実質的に中国の支配下に落ちる。すべての情報が制御され、私たちは無検閲の情報を手にすることが不可能になり、政治家は弱みを握られて中国の言いなりになる。

 中国製基地局を利用した全人類の通信内容から、中国製監視カメラで撮影した映像がすべて中国共産党に渡り、世界は支配される。「世界諜報インフラの完成」が、中国製5G通信基地局の隠された目的だということを、世界はいまだに理解できていないようだ。
(文=深田萌絵/ITビジネスアナリスト)

深田萌絵(ふかだもえ)
ITビジネスアナリスト
早稲田大学政治経済学部卒 学生時代に株アイドルの傍らファンドでインターン、リサーチハウスでジュニア・アナリストとして調査の仕事に従事。外資系証券会社を経て、現在IT企業を経営。

深田萌絵

【私の論評】ファーウェイの本当の脅威はサイバーテロ(゚д゚)!

冒頭の記事、自らの実体験を踏まえたものであり、生々しいです。さて、ファーウェイは今週、シカゴやワシントン州、ダラスに拠点を構える米国の研究部門Futurewei Technologiesの人員600人を解雇しました。この数字は850人いるこの研究部門の70%にあたり、解雇は米政府によるHuaweiブラックリスト入りを受けた動きです。

Futurewei Technologies

一方ファーウェイの任正非CEOの名前で、2019年卒新入社員の年俸について記載された社内メールが流出し、中国で大きな話題となっています。ファーウェイは元々、高年収で知られますが、今回のメールでは最も優秀な8人のために、最高額で201万元(約3200万円)の年棒が用意されていることが明らかになったからです。

ファーウェイやリストに掲載された学生たちは否定するコメントは出しておらず、中国メディアは本物だと結論付けています。

このような米中冷戦におけるファーウェイ排除の報道を見ても、私たちは何が大問題なのかピンとこないところがあります。諜報員を送り込んで情報収集や工作活動に当たること、すなわちヒューミントによる「スパイ活動」は足がつきやすいです。

今後も、ヒューミントに関しては米国内はもとより、世界中で捜査が進んでいくことでしょうし、そもそそも「ヒューミント」がしにくい環境をつくりだしていくことでしょう。

通信スパイ「シギント」は、ブロックチェーン技術の応用である程度は防御が可能です。だからこそ、米国のトランプ大統領が中国の大手通信機器メーカー Huawei(ファーウェイ)への禁輸措置を事実上解除するともみれていました。

しかし、ロス米商務長官は9日、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置をめぐり、取引に米政府の許可が必要となる対象企業リストに華為を指定し続けると表明しました。トランプ米大統領が容認する方針を示した同社への部品供給は限定的になる見通しが強まりました。

では、米国はなぜファーウエイに脅威を感じているのでしょうか。

安全保障上もっとも大きな問題なのは「ヒューミント」や「シギント」ではなく、「サイバー攻撃」のほうです。それは5Gネットワークの時代になると危険度を増します。だから今、問題視されているのです。

私たちは現在4Gの世界にいます。スマホでもサクサク動画が楽しめますし、友達とSNSを使って連絡を取り合い、「Siri」や「Alexa」といった音声アシストも役に立つようになりました。これが4Gです。

わたしたちは現在でもサイバー攻撃の脅威にさらされている

5Gだとアップリンクが早く、情報を早く盗み取れますが、一番怖いのはリモートコントロールです。スパイチップを埋め込めれば、外部からシステムを意図的に「機能不全」に陥らせることも可能なのです。

5Gの世界は自動運転、自動認識、自動制御、遠隔制御の世界です。例えば、農業の最先端技術では、農作物の温度や写真などから生育状況を察知し、必要な肥料や農薬などを自動散布するドローン技術がすでにあります。法律や許認可の問題などの制度改革を待たなければなりませんが、人工衛星、通信機能などを使って遠隔地でも制御でき、自動で農作物を作れるような社会になります。

また、建築現場では破損した建物の屋根の下などを飛び回って、ほぼ正確な図面をつくるドローンも存在します。自力で急斜面や川、岩だらけの道や氷の上も歩いてモノを運ぶロボットもすでに開発されています。そして、自動車の自動運転技術も実用化に向けて動き出しています。

遠隔操作で動くものが増え、無人化も進み、キャッシュレスも進みます。顔認識技術も進歩し、監視カメラ画像と衛星写真で追跡も可能になります。法律の整備や帯域の問題など解決すべき問題はたくさんありますが、5Gの未来はそこまできています。この動きは止められません。私達の生活が便利になる一方で、サイバー攻撃の危機も高まっているのです。

埋め込んだチップでシステム全体を機能不全に陥らせることは比較的容易です。キャッシュレス社会でシステム・クラッシュが起きれば、買い物もできなくなり、生産装置や自動運転を停止させるなど大混乱が生じます。

このサイバーテロを米国などの先進国は恐れています。鉄道や航空機など民間企業が運営しているシステムがとても心配です。トランプ大統領が対中冷戦を起こす理由がこれでおわかりいただけたでしょうか。

ファーウェイは、ハードウェアとソフトウェアに「バックドア」を潜ませていることや、政府とのつながりについて強く否定しています。しかし、7月6日に英紙テレグラフが「ファーウェイ社員の履歴書が漏洩し、一部社員が過去に中国の諜報当局に協力したことを認めた」と報じ、同社に対する疑念はますます強まっています。

ワシントン・ポストに7月5日に掲載されたオピニオン記事は、ファーウェイを次のように批判しています。「大手通信会社はどこも軍と関係があり、ファーウェイが中国軍と関係していること自体は驚くべきことではない。より重大な懸念は、ファーウェイがこれまでその事実を認めてこなかったことであり、同社と中国政府の双方が繋がりを秘密にしていることだ」

Henry Jackson Societyの研究者によると、今回流出した2万5000件の履歴書を分析した結果、ファーウェイの社員の中には、元国家安全部のエージェントや人民解放軍との共同プロジェクトに従事した者、中国でトップクラスの陸軍士官学校の卒業生、米企業にサイバー攻撃を仕掛けた軍の部門出身者などが含まれるといいます。

一方日本では、安倍総理はファーウェイ製品の政府機関での調達の制限をして、安全保障上問題がある政府内の機器への対処を命じました。しかし、我が国はサイバーセキュリティの技術者の数が産業界でも足りていません。

仮に一昔前のように国産通信機器に戻せばいいと考えても、残念なことに我が国の国産通信機器の供給能力はすでに縮小し、「国産」に頼っていると5Gインフラの普及が遅れてしまいます。八方ふさがりですが、あきらめるわけにはいきません。

重要な機器類の保守やチェックができる技術者を増やすのは、今なのです。冒頭の記事にもあるとおり、スパイ防止法すらない我が国ですが同盟国である我が国から軍事機密が漏れるようなら、米軍は自衛隊とのリンクを切る可能性だってあるのです。やっと、その対策が始まりました。

新防衛大綱にサイバーセキュリティ強化が明記されました。やっと予算もつき実働部隊が設置されました。防衛省は米国カーネギーメロン大学付属機関等や防衛大学でも人材育成を強化して、さまざまな機関と連携し、防護システムをつくろうとしています。これが次世代のAI社会への布石になります。防衛省がハブとなり、我が国全体へのセキュリティ対策を編み上げ、産業の育成にも貢献してほしいものです

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2016年4月7日木曜日

日米比越4カ国で中国を威嚇 海自護衛艦の“歴史的”寄港で南シナ海「対中包囲網」―【私の論評】マスコミが絶対に国民に知られたくない安全保障のダイヤモンドの完成(゚д゚)!


海上自衛官「いせ」 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 日米両国が、フィリピンやベトナムとともに、南シナ海で軍事的覇権を強める中国を封じ込める動きを見せている。米原子力空母「ジョン・C・ステニス」が同海に展開するなか、海上自衛隊の護衛艦や潜水艦がフィリピンに寄港したのだ。護衛艦はベトナムにも向かう。海自最大級のヘリコプター搭載型護衛艦「いせ」も近く、フィリピンに寄港予定で、南シナ海の「航海の自由」を断固守る覚悟といえそうだ。

 海自の護衛艦「ありあけ」「せとぎり」と、練習用潜水艦「おやしお」は3日、南シナ海に面したフィリピン・ルソン島のスービック港に入港した。日本の潜水艦のフィリピン寄港は15年ぶりという。

フィリピンのスービック港に寄港した海上自衛隊の潜水艦「おやしお」(左)、護衛艦「ありあけ」と「せとぎり」

 スービックは、アジア最大の米海軍基地が1991年まで存在した良港であり、中国は米軍撤退後、フィリピンも領有を主張していたミスチーフ(中国名・美済)礁に勝手に軍事施設を建設した。

 中国による「南シナ海」支配の野望を実感させる港に、海自艦船が寄港したことは、各国メディアも注視している。

 ロイター通信は先月、「艦艇の寄港は受け入れ国と親密な関係にあることを示すことになり、南シナ海でフィリピンと領有権を争う中国への牽制(けんせい)につながる」と事前に報じた。

 AFP通信は3日、「この港は中国とフィリピンが領有権を争うスカボロー(同・黄岩島)礁から200キロの位置にある」としたうえで、フィリピン海軍の報道官の「今回の寄港は、地域の平和や安定の持続的促進および近隣諸国の海軍との協力強化が目的」との発言を伝えた。

 これだけではない、海自が誇るヘリ搭載型護衛艦「いせ」が今月中にも、スービック港に寄港する。同艦は、全長197メートル、全幅33メートル、基準排水量1万3950トン。乗員350人。200メートル近い全通甲板を備え、最大11機のヘリコプターが搭載可能だ。海自護衛艦の中でも屈指の哨戒ヘリ運用能力を持ち、潜水艦への警戒・監視活動に威力を発揮する。

 「いせ」は、今月12~16日の日程でインドネシアのパダンで開かれる多国間共同訓練「コモド」や国際観艦式に参加し、捜索・救難訓練や指揮所訓練などを行う。その後、南シナ海に入り、米海軍とフィリピン海軍との共同訓練を行う方向だ。

 さらに注目すべきは、「ありあけ」と「せとぎり」がフィリピン寄港後、日本の護衛艦として初めてベトナム・カムラン湾に寄港することだ。

 カムラン湾は、中国が覇権を強める南シナ海・パラセル(同・西沙)諸島や、同・スプラトリー(同・南沙)に近い軍事的要衝である。

 海自幹部は「特定の目的で(寄港地を)選んだわけではない」というが、西アジアの安全保障のために、日本と米国が、フィリピンやベトナムと連携して、中国を牽制・包囲する狙いが伝わる。

 世界の最重要シーレーンである南シナ海について、中国の習近平国家主席は昨年9月、オバマ米大統領との米中首脳会談で「南シナ海を軍事拠点化する意図はない」と語っていた。ところが、地対空ミサイルや対艦巡航ミサイルを配備した後に行われた先月31日の同会談では、習氏は「中国の主権を侵害する行為は許さない」と開き直った。

 中国の暴走を止められないのか。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「南シナ海の『航行の自由』が保障されなければ、世界経済の深刻なダメージとなる」といい、続けた。

ジョン・C・ステニス
 「米中首脳会談に合わせて、米国は空母『ジョン・C・ステニス』を派遣して中国に圧力をかけたが、首脳会談は平行線に終わった。海自護衛艦のベトナム寄港は歴史的な出来事だ。日本の安全保障政策は新たなステージ入った。日米とフィリピン、ベトナムの4カ国による『対中包囲網』が形成されるとみていい。これにインドネシアも加わる可能性がある」

【私の論評】マスコミが国民絶対に知られたくない、安全保障のダイヤモンドの完成(゚д゚)!

このような報道、やはり日本のテレビや、新聞でもほとんど報道しません。これは、何を意味するのか、日本のメディア自身も把握していないのでしょう。情けないことです。

今回の目玉はやはり「いせ」の南シナ海への寄港でしょう。「いせ」は厳密には、空母ではないものの、少し改装でもすれば、すぐにでも空母にもなるような艦艇です。これは、おそらく、戦後初めての南シナ海への空母の派遣ということになります。

米国は日本に対し、南シナ海で、無人有人の偵察機や、探知用のレーダーつきの軍艦、潜水艦などを出して、中国軍の動向について情報する「情報・監視・偵察(ISR)」をやってほしいと要望し続けています。しかし、日本は、まだ日本の領海である南西諸島など東シナ海でのISRを拡大している最中で、まったくの外国である南シナ海でISRを始める余力がない、と米国に返答しててました。

日本は自国周辺のISRについて、長らく米軍に全面依存し、独自の情報収集機能をほとんど持たなかったのですが、冷戦中からソ連に対する対潜哨戒活動を強化し、現状ではその能力は世界のトップクラスになっています。無論中国のそれと比較すると、数段上のレベルにあり、当面中国が追いつけるようなレベルではありません。

しかし、一時的な航行でなく、日本が南シナ海で恒常的に中国軍の動向を把握するISR(軍事諜報活動)を行うとなると、話は全く違ってきます。東シナ海は日本の領土領海なので、そこでのISRは正当な防衛ですが、日本と直接には関係もない南シナ海で日本が恒常的なISR活動を行うことは、南シナ海を中国の領海や経済水域でなく全くの「公海」とみなしたとしても「外国への軍事的影響力の行使」「覇権行為」とみなされることになります。特に、日本国内ではそうです。

ただし、ISRについては、日本はすでに海外の実績があるのも事実です。それは、ソマリア沖の海賊対策として、日本の海上自衛隊はすでに対潜哨戒機を派遣して、海賊の監視活動にあたっており、かなりの成果を収めています。

ソマリア沖の海賊の監視には自衛隊が活躍している
この方面で、自衛隊は、水上部隊は護衛艦(対潜ヘリ搭載ミサイル駆逐艦)2隻、対潜ヘリ4機からなり海保から8名が同乗し海上警察活動をしています。

航空部隊は2機の対潜哨戒機と水上部隊所属機のヘリの整備も行う整備隊など約150名、基地の運営と警備を行う陸自部隊約50名、日本とジブチ間の補給物資の輸送を行う空自の輸送機部隊からなります。

この海賊対策は、多国籍軍によって行われていますが、昨年は海上自衛隊の伊藤弘海将補が昨年の5月末から7月末まで多国籍軍の司令官を勤めました、自衛隊としては初めて多国籍部隊のトップということになりました。

伊藤弘海将補
このような実績もあることから、米国が、台湾、フィリピン、南シナ海という一体の地域・海域を日本の自衛隊の活動地域として指定し、台湾とフィリピン、中国、東南アジアがそれを了承したとしたとすれば、日本がソマリア沖のように南シナ海でISRにあたるということは十分にあり得ます。



米軍と自衛隊の艦隊は、昨年10月19日までインドとの3カ国の合同軍事演習(Malabar 2015)に参加したかえり、日米軍が一緒に南シナ海を通った時に、10月28日から2週間ほどの期間で、初めての南シナ海での日米合同軍事演習を行いました。中国を敵に見立て、航行の自由を確保する軍事演習などが行われました。こうした流れから考えると、日本が南シナ海で中国を牽制するようになる日は、意外と近いかもしれません。

なぜかといえば、元々安倍総理は、総理大臣になる直前に、外国のサイトに安全保障のダイヤモンドに関して寄稿しているからです。

これについても、日本のマスコミはほとんど報道しなかったので、日本人でもこの重要な構想については知らない人が多いようです。

これについては、このブロクにも過去に掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
尖閣侵犯、野田内閣“弱腰”で中国エスカレート 曳光弾封印…―【私の論評】知れば知るほど、納得する安倍総理の凄さ!!安全保障のダイヤモンドを知れ!!
詳細は、この記事をごらんいただくものとして、力による現状変更を目論む中国に対して、周辺諸国が協力して、以下のような安全保障のダイヤモンドを構築して、中国の囲い込みを行うという構想です。
この構想が公表されたのは、安倍総理が総理になる直前の、2012年12月27日のことです。安倍総理は、この頃から今日の南シナ海の状況を予見したともいえます。

安倍総理が総理になってから、全方位外国であらゆる国を訪問し、特に上記のダイヤモンドを形成することになる国々にも訪問して、その都度安全保障のダイヤモンドの実現のため鋭意努力されました。そうして、各国の首脳にこの構想に対して、賛意を評していただいたため、構想事態は間近と見て良いくらいです。

後は、実際に軍事的にも中国を封じ込める体制を整えることになりますが、それに対してもブログ上記の記事にあるように、安倍政権は着々と歩を進めているようです。

南シナ海での海上自衛隊の監視活動、いずれそう遠くない将来に始まると思います。そうして、東シナ海でも鉄壁の防備をすることが、このセキュリティーダイヤモンド構想の完璧な完成ということになります。

オーストラリアは、「そうりゅう型」潜水艦を日本から導入することを検討しているようで、もし「そうりゅう型」を導入しなかったとすれば、中国の影響から抜け切れていないと見るべきとする向きもありますが、いずれの潜水艦に決まったにしても、強固な日米比越の対中国包囲網が出来上がった後では、これに追随せざるを得ないでしょう。

米軍としては、及び腰オバマ大統領の後の大統領になったとき、中国が南シナ海での軍事行動をやめなければ、早期に決着をつけるべきでしょう。無論、爆撃するか、埋め立てられた環礁を包囲して、中国側の補給路を絶つなどして、それで中国の出方をみて、それでも中国が反撃をするなら、攻撃して粉砕するのです。

それで、本格的な戦争になったとしても、中国に米国や、安全保障のダイヤモンドに対抗したとしても勝てる見込みは全くありません。

もし、中国の南シナ海での暴挙をそのまま許しておけば、いずれとんでもないことになります。それこそ、中国は沖縄奪取、日本奪取、フイリピン、インドネシア、ベトナム奪取へと突き進むでしょう。

それは、中国が建国されてからまもなく、チベット、ウィグル、内蒙古に侵略したことからも明らかです。

まずは、手近ですぐにできる、陸続きの軍事的に弱い国々から侵略を開始しましたが、中国の欲望はとどまるところを知らず、今度は海洋においてそれを実践しようとしているのです。

そのようなことだけは、断固として避けなければなりません。その防波堤の役割を果たすのが安全保障のダイヤモンドです。そんなことは、当たり前のことなのに、日本のマスコミは中国の息がかかっているのでしょうか、安全保障のダイヤモンドの存在を絶対に日本国民に知られたくないようです。

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