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2018年3月22日木曜日

米が歴史的な新対中政策 協調路線転換、対決も辞さず ジョージ・ワシントン大のロバート・サター教授―【私の論評】米エスタブリッシュメントは金無し中国に興味なし(゚д゚)!

米が歴史的な新対中政策 協調路線転換、対決も辞さず ジョージ・ワシントン大のロバート・サター教授

ロバート・サター氏

 「米中関係が歴史的な変革を迎えた」-。米国歴代政権の国務省や国家情報会議で中国政策を30年余、担当したロバート・サター氏(現ジョージワシントン大学教授)は産経新聞とのインタビューでトランプ政権や議会が一致して長年の中国への協調を基本とする関与政策を止める形で新たな対中対決政策へと踏み出したことを明らかにした。新対中政策では日本との連帯への期待も大きいという。3月中旬に行われた同氏とのインタビューの主な内容は次のとおり。(ワシントン 古森義久)

 --米国の中国対応は現在どういう状態か

 「米国の対中政策はいま歴史的とも呼べる大きな過渡期に入り、変革を迎えた。米中国交樹立以来の『中国との協力分野を増やしていけば、中国は米国にとって利益となる方向へと変わる』という前提に基づく関与政策が米国をむしろ害することが明白となったからだ。

 トランプ政権が公表した最近の国家安全保障戦略や国家防衛戦略もこれまでの姿勢を変え、中国を競合相手、修正主義勢力と断じ、米国の価値観に反するなど対決や警戒を中心に据えた。これら厳しい表現は政府レベルで中国に対して使われたことはこれまでなかった」

 --米国の態度を根本から変えさせた原因はなにか

 「中国の戦略的な動向や意図の本質が明確になったことだ。今回の中国の全国人民代表大会(全人代=国会)でも明らかになったように、中国共産党政権はまずアジア太平洋で勢力を強め、他国に追従を強いて、米国をアジアから後退させようともくろんでいる。『中国の夢』というのはグローバルな野望なのだ。米国主導の国際秩序を嫌い、それに挑戦して、米国の弱体化を図る。軍事、経済、政治などあらゆる面での中国政府の動きが米国を敵視しての攻勢なのだ」

 --米側では中国のそうした実態を今になってわかったというのか

 「いや基本的に米国の国益をすべての面で害するという中国の挑戦が明白になったのはこの1年半ぐらいだといえる。南シナ海での軍事膨張、貿易面での不公正慣行、国際経済開発での中国モデルの推進、国内での独裁の強化など、みな米国への挑戦なのだ。私は2009年ごろから中国のこの基本戦略は認識していたが、オバマ政権下ではなお中国との協調こそが米国を利するという政策が主体だった」

 --中国の対外戦略の基本は米国敵視なのか

 「基本はそうだが、米国が強く反発するとなると、攻勢を抑制する。だがその一方で最近の習近平国家主席はロシアのプーチン大統領と緊密に連携し、米国の力を侵食する手段を画策している。軍事面をも含めてだ。

 現代版シルクロード経済圏構想『一帯一路』も中国のパワー誇示の野望の一環だといえる。インフラ建設ではあまり実体のない計画をいかにも巨大な実効策のように宣伝する。情報戦争と呼べるプロパガンダなのだ」

 --ではこれからの米国は中国にどう対峙していくのか

 「米国は総合国力を強くして中国を押し返さなければならない。米国が本気で押せば、中国も慎重になる。米国はその際に日米同盟への依存をも高めることになる。安倍晋三首相は中国の本質をみる点で優れている。トランプ大統領も対中政策では安倍氏から学んでいる。

 中国の膨張戦略はたぶんに米国がもう弱くなってきたという認識から発している。米側では中国のその認識がわかり、中国には対決をも辞さずに強固に立ち向かわねばならないという思考が強くなったのだ。この思考はトランプ政権だけでなく議会でも超党派の支持がある」

【私の論評】米エスタブリッシュメントは金無し中国に興味なし(゚д゚)!

米国の対中国政策が歴史的な転換をし、中国を競合相手、修正主義勢力と断じ、米国の価値観に反するなど対決や警戒を中心に据えることになったとしています。

では、以前の体制はどのようなものだったのでしょうか。これをしっかり把握しておかないと、その変化が良く認識できなくなります。

それを理解するには、以下の動画をご覧いただけると良くご理解いただけるものと思います。この動画は、2015年11月9日のものです。

丁度米国の大統領選挙でトランプ政権が登場する前の年のものです。思い起こすと、この時には米国でも日本でもトランプ大統領の登場を予想する人は誰もいませんでした。


この動画をご覧いただけれは、まずは、米国はいわゆるエスタブリッシュメントといわれる、ほんの一部の支配層が支配する国であることが良く理解できます。そのエスタブリッシュメントのうちの多数派の中国に対するエンゲージメント派は、いずれ中国は民主化するであろうと見ていたようで、中国は将来的にアメリカにとって自分たちが御せる良い市場になると信じていたようです。

この動画で伊藤貫氏は、米国には親中派のエンゲージメント派と中国反対派のコンテインメント(封じ込め)派が存在しており、アメリカの富の大きな部分を握ってるわずか上位0.1%エスタブリッシュメントの多くがエンゲージメント派であるため、エンゲージメント派が圧倒的に有利であると語っています。


ただし、この動画の伊藤­貫は、ルトワック氏のような軍事や戦略の専門家ではないことと、アメリカに長期間滞在しアメリカのエスタブリッシュメントやエンゲージメント派に多大な影響を受けていると見られます。

そのためでしょうか、中国の軍事力を過大に評価しているところがあります。現実の中国の軍事力は、伊藤氏の想定よりはるかに遅れています。たとえば、中国の巡航ミサイルは音速を超えたレベルで巡航すると述べていますが、これは最近そうではないことが明らかにされています。

確かに音速を超えて巡航はするのですが、標的に突入する直前には速度を通常の巡航ミサイルなみに落とした上で狙いを定めて突入するということが、軍事専門家によって解明されています。そのため、思ったほどの脅威ではないということが解明されています。

中国の巡航ミサイル

しかし、この点を除けば、伊藤貫氏の見解は、この当時までは正しいものだったと思います。これは当時の米国のエンゲージメント派の中国に対する見方だったのだと思います。軍事的にも強いので、中国とは協調すべきであるという考え方だったのでしょう。

これは、確かに2015年あたりまでは、米国の正しい見方であったかもしれません。しかし、トランプ大統領が登場したあたりからこれが変わり始めました。ただし、選挙期間中は、中国に対して対抗心をむき出しにしたトランプ氏でしたが、トランプ氏が大統領になった当初は、彼自身もエスタブリッシュメントに対抗するのは得策ではないと考え、中国政策を決め兼ねていた部分があったと思います。

しかし、米国のエスタブリッシュメントの中国に対する見方が、最近変わってきたのだと思います。だからこそ、トランプ大統領も中国への対決姿勢を露わにしたのです。

なぜ変わったといえるかといえば、それは非常に簡単に理解できることです。それは、中国からの資金の流失がとまらないという現実があるからです。

それに関しては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【田村秀男のお金は知っている】外貨準備増は中国自滅のシグナル 習近平氏の野望、外部からの借金なしに進められず―【私の論評】頼みの綱の一帯一路は幻影に過ぎない(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事に掲載した上のグラフをみると一目瞭然ですが、中国からの資金流出が止まりません。

中国からの資金流出は2015年には一旦止まったようにも見えたのですが、16年からまた流出が増え、17年中も増え続けました。その動きは今年に入ってからも止まりません。この状況は、中国の外準は海外からの借金で賄われていることを示しています。

中国の過去の経済発展は、中国内のインフラを整備に投資することによって実現することができました。しかし、国内ではインフラ整備が一巡して、現状では大きな投資先はなくなりました。

ここで、中国政府が国内の構造改革に着手して、国内産業を育成するために投資をするなどのことをすれば、米国のエスタブリッシュメントも中国に対する見方を変えなかったかもしれません。しかし、これを実行するためには、民主化、政治と経済の分離、法治国家化もある程度すすめなければなりません。これは、まさにエンゲージメント派の抱いていたシナリオでした。

とこが、中国政府は不可思議な投資をはじめました。それは、例の「一帯一路」です。このプロジェクトは失敗することが最初から目に見えているようなものです。これが失敗する理由は、このブログにも掲載したことがあります、その記事を以下の【関連記事】のところに掲載しておきます。興味のある方は是非ご覧になって下さい。

国内投資と、海外投資では明らかな違いがあります。国内投資の場合は、たとえ中国政府が多大な投資をして大失敗したとしても、それは国内を回り回って、国内景気を上向かせたり、雇用を生み出したりした後に、結局税金という形で中国政府が回収できます。

ところが、「一帯一路」のような海外投資場合は、そうではありません。失敗はただの失敗で、かなり多くの部分が中国からは消えてしまいます。

中国の中国による中国のための一帯一路

ただし、中国は実際には中国企業にこのブロジェクトを請け負わせ、労働者も中国から覇権して、なるべく外貨獲得につとめようとしているようです。しかし、労働者だって食事はするし、たまには休暇を楽しんだりするはずで、それまで規制して全部中国から持ってきたものを食べたり、休暇のたびに中国に帰るなどということは不可能で、やはり幾分かの資金は現地に落ちるはずです。

さらに、海外投資は自国より経済成長が圧倒的に高いところに投資すれば、利益率も高まりますが、そうではないところに投資すれば利益率は低下します。

中国は最近は経済の成長率が鈍化したとはいえ、それでも他国と比較すれば、高い方です。であれば、最初から利益率が低いですから、中国企業に受注させるなどの姑息なことをしても、あまり意味がありません。

それに、自分たちの利益だけを重視するようにすれば、当該国はプロジェクトを受け付けなくなります。やはり多少とも、当該国自身やその国の企業に儲けさせるようにしなければ、どこの国もこのブロジェクトを受け付けなくなります。そうなると、たたでさえ低い利益率がますます低くなります。

このような政策をとってしまったからこそ、中国からますます資金が逃避する事態を招くようになってしまったのです。

米国のエスタブリッシュメントは、中国でも金儲けができ、自分もともに栄えることができれば、中国に対する見方を変えることはなかったでしょうが、現状では、様子見に入っているのだと思います。

要するに、米エスタブリッシュメントもまずは金無し中国には興味がないのです。そうして、現在の中国は金が無いどころか、米国の価値観に反する行動をしていることは明らかになりました。

仮に中国が再び経済発展をしたとしても、中国の市場は米エスタブリッシュメントの御しやすい市場になるとは限らないことが明らかになってきたのです。さらには、中国の覇権の及ぶ地域も、自分たちが御しやすい市場になることはないと見るようになったのです。

米中国交樹立以来の『中国との協力分野を増やしていけば、中国は米国にとって利益となる方向へと変わる』という前提に基づく関与政策が米国をむしろ害することになることに米エスタブリッシュメントも気づいたのです。

さらに、最近では習近平が中国憲法を変えてまで、終身独裁を宣言するということをしてしまいました。これは、中国が北朝鮮のような体制になるようなものです。これでは、エンゲージメント派がいくら中国はいずれ民主化するなどと擁護しても、信憑性が全くなくなってまいました。

だからこそ、米の対中政策は歴史的な転換点を迎えているのです。

【関連記事】

中国の「一帯一路」がピンチ?大型プロジェクト取り消す国が相次ぐ―米華字メディア―【私の論評】"一帯一路"は過去の経済発展モデル継続のための幻想に過ぎない(゚д゚)!


2016年4月7日木曜日

日米比越4カ国で中国を威嚇 海自護衛艦の“歴史的”寄港で南シナ海「対中包囲網」―【私の論評】マスコミが絶対に国民に知られたくない安全保障のダイヤモンドの完成(゚д゚)!


海上自衛官「いせ」 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 日米両国が、フィリピンやベトナムとともに、南シナ海で軍事的覇権を強める中国を封じ込める動きを見せている。米原子力空母「ジョン・C・ステニス」が同海に展開するなか、海上自衛隊の護衛艦や潜水艦がフィリピンに寄港したのだ。護衛艦はベトナムにも向かう。海自最大級のヘリコプター搭載型護衛艦「いせ」も近く、フィリピンに寄港予定で、南シナ海の「航海の自由」を断固守る覚悟といえそうだ。

 海自の護衛艦「ありあけ」「せとぎり」と、練習用潜水艦「おやしお」は3日、南シナ海に面したフィリピン・ルソン島のスービック港に入港した。日本の潜水艦のフィリピン寄港は15年ぶりという。

フィリピンのスービック港に寄港した海上自衛隊の潜水艦「おやしお」(左)、護衛艦「ありあけ」と「せとぎり」

 スービックは、アジア最大の米海軍基地が1991年まで存在した良港であり、中国は米軍撤退後、フィリピンも領有を主張していたミスチーフ(中国名・美済)礁に勝手に軍事施設を建設した。

 中国による「南シナ海」支配の野望を実感させる港に、海自艦船が寄港したことは、各国メディアも注視している。

 ロイター通信は先月、「艦艇の寄港は受け入れ国と親密な関係にあることを示すことになり、南シナ海でフィリピンと領有権を争う中国への牽制(けんせい)につながる」と事前に報じた。

 AFP通信は3日、「この港は中国とフィリピンが領有権を争うスカボロー(同・黄岩島)礁から200キロの位置にある」としたうえで、フィリピン海軍の報道官の「今回の寄港は、地域の平和や安定の持続的促進および近隣諸国の海軍との協力強化が目的」との発言を伝えた。

 これだけではない、海自が誇るヘリ搭載型護衛艦「いせ」が今月中にも、スービック港に寄港する。同艦は、全長197メートル、全幅33メートル、基準排水量1万3950トン。乗員350人。200メートル近い全通甲板を備え、最大11機のヘリコプターが搭載可能だ。海自護衛艦の中でも屈指の哨戒ヘリ運用能力を持ち、潜水艦への警戒・監視活動に威力を発揮する。

 「いせ」は、今月12~16日の日程でインドネシアのパダンで開かれる多国間共同訓練「コモド」や国際観艦式に参加し、捜索・救難訓練や指揮所訓練などを行う。その後、南シナ海に入り、米海軍とフィリピン海軍との共同訓練を行う方向だ。

 さらに注目すべきは、「ありあけ」と「せとぎり」がフィリピン寄港後、日本の護衛艦として初めてベトナム・カムラン湾に寄港することだ。

 カムラン湾は、中国が覇権を強める南シナ海・パラセル(同・西沙)諸島や、同・スプラトリー(同・南沙)に近い軍事的要衝である。

 海自幹部は「特定の目的で(寄港地を)選んだわけではない」というが、西アジアの安全保障のために、日本と米国が、フィリピンやベトナムと連携して、中国を牽制・包囲する狙いが伝わる。

 世界の最重要シーレーンである南シナ海について、中国の習近平国家主席は昨年9月、オバマ米大統領との米中首脳会談で「南シナ海を軍事拠点化する意図はない」と語っていた。ところが、地対空ミサイルや対艦巡航ミサイルを配備した後に行われた先月31日の同会談では、習氏は「中国の主権を侵害する行為は許さない」と開き直った。

 中国の暴走を止められないのか。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「南シナ海の『航行の自由』が保障されなければ、世界経済の深刻なダメージとなる」といい、続けた。

ジョン・C・ステニス
 「米中首脳会談に合わせて、米国は空母『ジョン・C・ステニス』を派遣して中国に圧力をかけたが、首脳会談は平行線に終わった。海自護衛艦のベトナム寄港は歴史的な出来事だ。日本の安全保障政策は新たなステージ入った。日米とフィリピン、ベトナムの4カ国による『対中包囲網』が形成されるとみていい。これにインドネシアも加わる可能性がある」

【私の論評】マスコミが国民絶対に知られたくない、安全保障のダイヤモンドの完成(゚д゚)!

このような報道、やはり日本のテレビや、新聞でもほとんど報道しません。これは、何を意味するのか、日本のメディア自身も把握していないのでしょう。情けないことです。

今回の目玉はやはり「いせ」の南シナ海への寄港でしょう。「いせ」は厳密には、空母ではないものの、少し改装でもすれば、すぐにでも空母にもなるような艦艇です。これは、おそらく、戦後初めての南シナ海への空母の派遣ということになります。

米国は日本に対し、南シナ海で、無人有人の偵察機や、探知用のレーダーつきの軍艦、潜水艦などを出して、中国軍の動向について情報する「情報・監視・偵察(ISR)」をやってほしいと要望し続けています。しかし、日本は、まだ日本の領海である南西諸島など東シナ海でのISRを拡大している最中で、まったくの外国である南シナ海でISRを始める余力がない、と米国に返答しててました。

日本は自国周辺のISRについて、長らく米軍に全面依存し、独自の情報収集機能をほとんど持たなかったのですが、冷戦中からソ連に対する対潜哨戒活動を強化し、現状ではその能力は世界のトップクラスになっています。無論中国のそれと比較すると、数段上のレベルにあり、当面中国が追いつけるようなレベルではありません。

しかし、一時的な航行でなく、日本が南シナ海で恒常的に中国軍の動向を把握するISR(軍事諜報活動)を行うとなると、話は全く違ってきます。東シナ海は日本の領土領海なので、そこでのISRは正当な防衛ですが、日本と直接には関係もない南シナ海で日本が恒常的なISR活動を行うことは、南シナ海を中国の領海や経済水域でなく全くの「公海」とみなしたとしても「外国への軍事的影響力の行使」「覇権行為」とみなされることになります。特に、日本国内ではそうです。

ただし、ISRについては、日本はすでに海外の実績があるのも事実です。それは、ソマリア沖の海賊対策として、日本の海上自衛隊はすでに対潜哨戒機を派遣して、海賊の監視活動にあたっており、かなりの成果を収めています。

ソマリア沖の海賊の監視には自衛隊が活躍している
この方面で、自衛隊は、水上部隊は護衛艦(対潜ヘリ搭載ミサイル駆逐艦)2隻、対潜ヘリ4機からなり海保から8名が同乗し海上警察活動をしています。

航空部隊は2機の対潜哨戒機と水上部隊所属機のヘリの整備も行う整備隊など約150名、基地の運営と警備を行う陸自部隊約50名、日本とジブチ間の補給物資の輸送を行う空自の輸送機部隊からなります。

この海賊対策は、多国籍軍によって行われていますが、昨年は海上自衛隊の伊藤弘海将補が昨年の5月末から7月末まで多国籍軍の司令官を勤めました、自衛隊としては初めて多国籍部隊のトップということになりました。

伊藤弘海将補
このような実績もあることから、米国が、台湾、フィリピン、南シナ海という一体の地域・海域を日本の自衛隊の活動地域として指定し、台湾とフィリピン、中国、東南アジアがそれを了承したとしたとすれば、日本がソマリア沖のように南シナ海でISRにあたるということは十分にあり得ます。



米軍と自衛隊の艦隊は、昨年10月19日までインドとの3カ国の合同軍事演習(Malabar 2015)に参加したかえり、日米軍が一緒に南シナ海を通った時に、10月28日から2週間ほどの期間で、初めての南シナ海での日米合同軍事演習を行いました。中国を敵に見立て、航行の自由を確保する軍事演習などが行われました。こうした流れから考えると、日本が南シナ海で中国を牽制するようになる日は、意外と近いかもしれません。

なぜかといえば、元々安倍総理は、総理大臣になる直前に、外国のサイトに安全保障のダイヤモンドに関して寄稿しているからです。

これについても、日本のマスコミはほとんど報道しなかったので、日本人でもこの重要な構想については知らない人が多いようです。

これについては、このブロクにも過去に掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
尖閣侵犯、野田内閣“弱腰”で中国エスカレート 曳光弾封印…―【私の論評】知れば知るほど、納得する安倍総理の凄さ!!安全保障のダイヤモンドを知れ!!
詳細は、この記事をごらんいただくものとして、力による現状変更を目論む中国に対して、周辺諸国が協力して、以下のような安全保障のダイヤモンドを構築して、中国の囲い込みを行うという構想です。
この構想が公表されたのは、安倍総理が総理になる直前の、2012年12月27日のことです。安倍総理は、この頃から今日の南シナ海の状況を予見したともいえます。

安倍総理が総理になってから、全方位外国であらゆる国を訪問し、特に上記のダイヤモンドを形成することになる国々にも訪問して、その都度安全保障のダイヤモンドの実現のため鋭意努力されました。そうして、各国の首脳にこの構想に対して、賛意を評していただいたため、構想事態は間近と見て良いくらいです。

後は、実際に軍事的にも中国を封じ込める体制を整えることになりますが、それに対してもブログ上記の記事にあるように、安倍政権は着々と歩を進めているようです。

南シナ海での海上自衛隊の監視活動、いずれそう遠くない将来に始まると思います。そうして、東シナ海でも鉄壁の防備をすることが、このセキュリティーダイヤモンド構想の完璧な完成ということになります。

オーストラリアは、「そうりゅう型」潜水艦を日本から導入することを検討しているようで、もし「そうりゅう型」を導入しなかったとすれば、中国の影響から抜け切れていないと見るべきとする向きもありますが、いずれの潜水艦に決まったにしても、強固な日米比越の対中国包囲網が出来上がった後では、これに追随せざるを得ないでしょう。

米軍としては、及び腰オバマ大統領の後の大統領になったとき、中国が南シナ海での軍事行動をやめなければ、早期に決着をつけるべきでしょう。無論、爆撃するか、埋め立てられた環礁を包囲して、中国側の補給路を絶つなどして、それで中国の出方をみて、それでも中国が反撃をするなら、攻撃して粉砕するのです。

それで、本格的な戦争になったとしても、中国に米国や、安全保障のダイヤモンドに対抗したとしても勝てる見込みは全くありません。

もし、中国の南シナ海での暴挙をそのまま許しておけば、いずれとんでもないことになります。それこそ、中国は沖縄奪取、日本奪取、フイリピン、インドネシア、ベトナム奪取へと突き進むでしょう。

それは、中国が建国されてからまもなく、チベット、ウィグル、内蒙古に侵略したことからも明らかです。

まずは、手近ですぐにできる、陸続きの軍事的に弱い国々から侵略を開始しましたが、中国の欲望はとどまるところを知らず、今度は海洋においてそれを実践しようとしているのです。

そのようなことだけは、断固として避けなければなりません。その防波堤の役割を果たすのが安全保障のダイヤモンドです。そんなことは、当たり前のことなのに、日本のマスコミは中国の息がかかっているのでしょうか、安全保障のダイヤモンドの存在を絶対に日本国民に知られたくないようです。

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