2019年4月25日木曜日

いまだ低いファーウェイへの信頼性、求められる対抗通信インフラ―【私の論評】5G問題の本質は、中国の「サイバー主権」を囲い込むこと(゚д゚)!

いまだ低いファーウェイへの信頼性、求められる対抗通信インフラ

岡崎研究所

4月12日、トランプ大統領は、ホワイト・ハウスに関係者を招き、将来の通信網5Gに関する演説を行なった。その中で、トランプ大統領は、米国は5Gの分野でリーダーとなり、どの国にも負けないよう5Gの競争において「米国は勝たなければならない(America must win)」と述べた。


 5Gについては、世界最大手の通信機器会社、中国の華為技術(ファーウェイ)に対する警戒心が諸外国で広まっている。その最中、2月28日、ファーウェイは、米国のウォールストリート・ジャーナル紙に、「聴くことすべてを信じないで。我々のところに会いに来て欲しい」と題するメディアに対する公開書簡を一面広告として掲載し、攻勢に出た。ファーウェイは、今年に入って既にニュージーランドやベルリンでも広告を出し攻勢に出ているという。ニュージーランドでは、「ファーウェイのいない5Gは、ニュージーランドのいないラグビーのようなものだ」とのキャッチ・フレーズを使って注目させた。

 ファーウェイ製品への懸念は当然であり、特に5Gシステムの整備に当たって同社を使うことは避けるべきである。通信は基幹インフラであり、国家安全保障の観点から慎重な考慮と保守的な判断が必要である。残念ながら中国の信頼度は未だ高くない。米国はファーウェイに対し強い懸念を維持し、同盟国にその製品や設備を使わないよう要請している。ファーウェイを使う場合、同盟国間の情報共有にも支障をきたすとしており、事柄は深刻である。

 豪州は5G通信整備からファーウェイ排除の方針を発表した。ニュージーランドも同様の姿勢を打ち出しているが、先般アーダーン首相が訪中し、この問題も議題になったと言われている。日本も、政府調達からは事実上排除する方針であると言われ、大手キャリアも5G基地局ではファーウェイ製品を使わない方針だと報道されている。

 問題は、欧州である。3月26日、欧州委員会は、5Gでファーウェイ製品を採用するかどうかは加盟国の判断に委ねる方針を示した。仏独などは、規制を強化しながらも、ファーウェイを通信市場から排除することはしないとの方針のようだ。が、欧州域内には慎重論もあり、EUレベルでの共同政策では今後なお慎重論が出てくるのではないかと想像される。

 他方、英国については、国家サイバー・セキュリティー・センター傘下の監督委員会の報告書が3月28日に公表された。そこでは、ファーウェイを英国の通信網で使うリスクが指摘され、将来ネットワークの中心部にファーウェイを使用すべきではないと結論づけられている。しかし、英国へのファーウェイの進出は、いつの間にか既に相当進んでいるようであり、英国の立場は揺らいでいるように見える。2月にはファーウェイの参加を認めてもリスクはコントロール可能だという政府機関の一部による判断が報道されていた。残念ながら英国は、EU離脱といい、ファーウェイ問題といい、大きく変わってしまった。自国の利益と世界での役割を大事にして、慎重に考えて欲しいものである。

 通信は、将来の基幹インフラであるので、国内通信企業の育成、支援のために政府としても必要な政策や支援を一層強化していくべきだ。そのために、新たな産業政策が必要ではないか。また、ファーウェイなどと競争していくためには、欧米企業との間での国際企業連合を組むことも考慮していくべきではないだろうか。

【私の論評】5G問題の本質は、中国の「サイバー主権」を囲い込むこと(゚д゚)!

ファーウェイ製品への懸念は当然であり、最近では米国中央情報局(CIA)が、中国の通信機器メーカー・ファーウェイが中国の国家安全保障当局から資金提供を受けていると主張しています。資金提供元として名前が挙がっているのは人民解放軍、中央国家安全委員会、国家情報網"第三支部"などです。

報告によると、CIAは今年初めに英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドで構成される諜報協定(Five Eyes)国にこの情報を提供していたとのことです。ただ、HuaweiはThe Timesへの声明において「匿名情報源からの証拠も根拠もない主張」にはコメントしないとしました。

CIAの主張は必ずしも米国の同盟国の行動を左右するものでもありません。冒頭の記事にもあるとおり英国とドイツは米国からの要請があったあとも、5Gネットワークの構築にファーウェイ機器を採用するにあたってオープンな立場を維持しています。

5G到来で生じる両陣営の衝突は、米中摩擦を一段と悪化させつつあります。これが亀裂を拡大させ、世界のより多くの国々を中国のサイバースペース・モデルに近づける可能性があります。

中国は5Gネットワークを積極的に促進しています。2013年に規制当局や企業、科学者を構成メンバーとして5Gのあらゆる側面を設計・管理する団体を設立したほか、国内で5G関連機器を販売する者が必ず試験を行わなければならない国営の施設を建造しました。

1月に開かれた会議の主催者が投稿した演説記録によると、この取り組みを主導する中国工程院の鄔賀銓氏は、5Gに関する中国の目標は「優位性を勝ち取ること」だと述べました。

中国の挑戦が突然表面化したのは、ある巨大企業がパラレルワールドの垣根を飛び越えたためです。中国の通信機器大手、ファーウェイは現在、モバイル・コンピューティング・ネットワークの設備を供給する世界最大手となっています。



米連邦議員や国家安全保障や情報問題を担当する当局者の多くは、ファーウェイが通信機器を通じて世界中で偵察活動を行い、中国の影響力を拡大するための布石を打っている可能性があると警告しています。

また米国はファーウェイが企業秘密を盗み、制裁に違反していると非難しています。トランプ政権によって同社が米国製部品の入手ルートを絶たれる可能性が高まっています。ファーウェイは不正行為を否定しています。

もし米国製部品の入手ルートを絶たれれば、中国は米国の5Gネットワークと互換性のない別バージョンを構築する可能性が高いです。米調査会社ユーラシア・グループで世界テクノロジー調査を率いている元連邦政府アナリストのポール・トリオロ氏はこう指摘しています。「世界の5G向けサプライチェーンが本当に崩壊したら、われわれは全く新しい領域に踏み出すことになる」

この分断の核心にあるのは、インターネットの管理方法についての見解の違いです。米国はオープンモデルを推進。一方、中国および同様の立場を取るロシアなどの国々は、国家が検閲やスパイ活動などを通じて国内のインターネットのトラフィックを管理すべきだと主張しています。これはいわばクローズドモデルです。

中国は「デジタル版シルクロード」と呼ぶ計画の一環として、ベトナムやタンザニアなどの国々に対し、中国製通信機器とともに同国のインターネット・モデルを輸出してきました。

昨年、タンザニア当局は中国のインターネット検閲制度を公然とたたえました。それに続き、コンテンツ配信会社が政府の要請に応じて「禁止コンテンツ」を削除しなければ、罰金や投獄などの処罰を科すというルールを承認しました。

中国は「サイバー主権」という概念を唱え、それを促進するため、国連に対するロビー活動を行ってきました。インターネット規制を国家に限定すべきだと主張する一方、業界や市民社会を脇役に押しやりました。

中国で2017年6月1日、インターネットの規制を強化する「サイバーセキュリティー法」が施行されました。中国共産党は統制の及びにくいネット上の言論が体制維持への脅威となることに危機感を抱いており、「サイバー空間主権」を標榜して締め付けを強化したのです。

同法は制定目的について「サイバー空間主権と国家の安全」などを守ると規定。「社会主義の核心的価値観」の宣伝推進を掲げ、個人や組織がインターネットを利用して「国家政権や社会主義制度」の転覆を扇動したり、「国家の分裂」をそそのかしたりすることを禁止しました。

具体的には情報ネットワークの運営者に対して利用者の実名登録を求めているほか、公安機関や国家安全機関に技術協力を行う義務も明記。「重大な突発事件」が発生した際、特定地域の通信を制限する臨時措置も認めています。



こうした規制強化について、中国は「サイバー空間主権」なる概念を打ち出して正当化しています。2016年12月に国家インターネット情報弁公室が公表した「国家サイバー空間安全戦略」は、IT革命によってサイバー空間が陸地や海洋、空などと並ぶ人類活動の新領域となり、「国家主権の重要な構成部分」だと主張。インターネットを利用した他国への内政干渉や社会動乱の扇動などに危機感を示し、「テロやスパイ、機密窃取に対抗する能力」を強化すると宣言しました。

また同弁公室は今年3月に発表した「サイバー空間国際協力戦略」でも「国連憲章が確立した主権平等の原則はサイバー空間にも適用されるべきだ」と主張。「サイバー空間主権」の擁護に向けて「軍隊に重要な役割を発揮させる」とも言及しました。

中国で活動する外資系情報通信企業の経営者は「インターネットを構築したのは米国であり、その影響は避けられない。中国のネット検閲技術も米国企業が協力したとされている」と指摘。「中国当局にはインターネットの情報を完全にコントロールできないことへのいらだちがある。サイバー空間主権を掲げることで、領土内の決定権は中国にあると強調したいのだろう」と分析しました。

中国では同日、改正版の「ネットニュース情報サービス管理規定」も施行されました。ホームページやアプリ、ブログ、ミニブログなどを通じてニュース提供サービスを行う際に、許可取得が義務付けられました。

2017年11月7日に中国で開催された世界インターネット会議にはアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)やグーグルのスンダー・ピチャイCEOが出席しました。このとき中国共産党の最高指導部メンバーである王滬寧氏は、習近平国家主席がインターネットに対する中国の見方を広めたと称賛。「国際社会から幅広い承認と前向きな反応を得られた」と述べました。

世界インターネット会議開幕式でスピーチをする馬化騰氏(2018年11月7日)


今後世界は5Gを中心として、オープンモデルの世界と、クローズドモデルの世界に分断されていく可能性が大です。クローズドモデルは闇の世界となることでしょう。

私自身は5Gの問題の本質はここにあると思います。日米などの先進国は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を推進することによって、中間層を多数輩出させ、彼らに自由な経済・社会活動を保証することにより、国富を蓄積して国力を増強しました。このようなことを実現した先進国では、インターネットは当然オープンなものと受け止められているのです。

先進国は、中国も経済的に豊かになれば、先進国と同じような道を歩み、経済だけでなく社会も従来よりは格段に豊かになるだろと期待して、中国を支援してきましたが、それはことごとく裏切られました。

特に米国は、もう中国がまともな国になるとは全く信用しなくなりました。そうして、現在では、貿易戦争を挑んでいます。

当の中国は、社会構造改革などをして、まともな国になることなど全く眼中にないようで、習近平は終身主席となり、事実上の皇帝になり、19世紀から18世紀の世界に戻ったかのようです。

その中国が、5Gのクローズドモデルによって、世界中にデジタル版シルクロードを展開し、多くの国々に中国の価値観である「サイバー主権」を押し付けようとしているのです。

先進国はもとより、タンザニアや北朝鮮、中国等を除くある程度まともな国であれば、中国の価値観は耐え難いものであるはずです。結局中国は最新テクノロジーで世界の多くの国々を19世紀や18世紀の遅れた社会に戻そうとしているのです。

米国はもとより、先進国は、5G問題の本質を理解し結束し、それを多くの国々に啓蒙しつつ、中国の5G覇権を封じ込めるべきです。そうして、いずれこの世から消し去るべきです。

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