2019年4月7日日曜日

「国民党が勝てば中台統一が加速」 2020年台湾総統選を台湾の保守系シンクタンクが解説―【私の論評】トランプ・安倍台湾電撃訪問で蔡政権・台湾独立派を勢いづかせる起爆剤に(゚д゚)!

「国民党が勝てば中台統一が加速」 2020年台湾総統選を台湾の保守系シンクタンクが解説

新台湾国策シンクタンク査部長 張人傑

張人傑氏 1956年生まれ。台湾の東海大学社会学部博士課程修了,淡江大学欧州研究所博士課程修了、
張榮發基金会・国家政策研究センター研究員。淡江大学公共行政学部専任講師退職。

台湾では2020年1月、総統選挙が行われる。この選挙の結果は、日本だけでなく、アジア全体の方向性を決めるものとなる。

台湾統一を狙う中国の習近平国家主席は今年1月の演説で、香港やマカオに適用している「一国二制度」の受け入れを台湾側に迫った。

これを断固拒否する姿勢の与党・民進党からは、現職の蔡英文総統と頼清徳・前行政院長(首相)が一騎打ちで公認候補を争う構図だ。

一方、台湾の親中派の野党、中国国民党からは、朱立倫・前党主席、王金平・前立法院長(国会議長)、韓国瑜・高雄市長らが出馬意欲を見せている。

来年の台湾総統選で、台湾の未来はどう変わるのか。台北市にある台湾独立志向の新台湾国策シンクタンクを訪れ、台湾政治に詳しい専門家による解説を聞いた。

(国際政治局 小林真由美)

◆     ◆     ◆


国民党が勝てば中国との統一が加速

台湾は今、これまで以上の危機に直面しています。中国国民党の呉敦義主席は今年2月、「国民党が総統選に勝利した場合、中国との平和協議に署名する可能性がある」と述べており、5月の新総統就任後、中国による台湾統一が一気に加速する恐れがあるのです。

これはまさに、中国が建国直後の1949年にチベットに侵攻し、併合した時と同じ状況になることを意味します。中国政府はウイグル人に対しても、最初はじわじわと同化政策を行いましたが、現在は数百万人ものウイグル人を強制収容所に入れて教育するという強硬手段に出ています。

中国共産党は、自由や民主主義の価値観を大事にする台湾人を洗脳し、中国人にしたいと考えているとみられます。今ある台湾の自由を守るためには、中国国民党への政権交代は何としても阻止する必要があります。

台湾メディアも中国共産党の影響下に

気になるのは、来年の総統選で民進党は勝利できるのだろうか、という点です。

昨年11月の統一地方選で、民進党は惨敗しました。この時、中国共産党と中国国民党がフェイク・ニュースを流したことも選挙戦に大きく影響したとみています。

今年3月の台南市の補欠選挙では、民進党は何とか議席を維持しましたが、中国国民党とその背後にいる中国共産党は今回もフェイク・ニュースを流して世論を変えようとしました。

現在、中国国民党と中国共産党は結託して、「民進党が勝ったら独立宣言をする。そうしたら台中関係は非常に緊張し、軍事的な危機が迫る恐れがある」というフェイク・ニュースを盛んに報じ、台湾の人を脅しています。

一方で、「中国国民党が勝ったら中国と平和協議を結ぶ(=台湾が中国に併合される)」というニュースはあまり広く知られていません。民進党は、この危険性をもっと訴えるべきです。

台湾の選挙でこの「フェイク・ニュース作戦」が成功したら、中国共産党は、今年の日本の選挙でも、来年のアメリカの大統領選挙でも同じ手を使うでしょう。来年の総統選挙でも、フェイク・ニュースに惑わされないことが大事です。

ところが、台湾のメディアの多くは中国共産党の影響を受けているため、中国共産党を批判するメディアは少なくなっています。むしろ、台湾では、「中国が短期間でいかに経済を発展させたか」を報じる番組が増えています。

台湾では「中台統一派」が増えている

台湾では現在、いわゆる機会主義者(オポチュニスト)が増えています。「中国に付いた方が有利そうなら中国に付く」という層です。日本人が考えている以上に、中国との統一を「悪くない」と考える中台統一派は多いのです。

台湾の文化は中国の影響を強く受けていますが、その点で宗教も大きな役割を果たしています。台湾には、観光地としても有名な龍山寺などに多くの台湾人が参拝していますが、そこで祀られている神様は皆、中国の神様です。その信仰の中身は、基本的に現世利益的なので、台湾人は一生懸命、「私はお金がほしいです」と神様に祈っている状態です(笑)。

台湾人の考え方が唯物論的になると、商売繁盛、経済発展が最優先になります。民進党も中国国民党も経済政策がダメとなると、「中国と統一した方が経済的に潤うのでは」と考える人が増えるのです。中国側も、台湾は武力侵攻しなくてもお金で買うことができると考えているとみられます。

台湾の唯一の友人は日本

現在、アメリカと台湾の関係は強化されていますが、それはお互いの利益のためであり、「友情」はないです。共通の敵である中国に対抗するために、台湾はカードとして使われていると指摘する専門家も多いです。

でも日本は違います。「台湾が中国の一部になれば、日本も危ない」という運命共同体という言葉以上の友情でつながっていると信じています。台湾の唯一の友人は日本だけです。

中国国民党も中国共産党も、来年の選挙で中台統一を実現したいと考えており、もし国民党が勝ち、民進党が敗れれば、中国の太平洋進出や世界大国化が一気に進みます。来年の総統選は、台湾の未来、日本の未来、そしてアジア全体の未来を分ける非常に重要な選挙になると言えるのです。(談)

【私の論評】トランプ・安倍台湾電撃訪問で蔡政権・台湾独立派を勢いづかせる起爆剤に(゚д゚)!

最近の台湾情勢については、以下の動画がかなりコンパクトでしかも、理解しやすいです。是非ご覧になってください。


この動画で、渡辺哲也氏が、トランプ大統領の台湾電撃訪問の可能性について語っています。

これは、確かにありそうですし、もし実現すれば台湾にとって、というより蔡英文政権にとって本当に良いことになります。

求心力を失いつつある与党が支持率を回復させる起爆剤となるのは、まさに「トランプ米大統領の台湾訪問」でしょう。
イラクを電撃訪問したトランプ米大統領

トランプ政権では、歴代政権に比べて米政府高官が訪台する頻度が多く、長らく凍結していた台湾への武器の売却も決定。米議会も、環太平洋合同演習(リムパック)への台湾の参加や、米台による合同軍事演習の実施を求める法案を提出するなど、政権も議会も台湾重視が鮮明となっています。

そうした中で、政府高官の相互訪問を可能にした「台湾旅行法」に基づき、トランプ氏が台湾を訪問すれば、蔡氏の支持率は一気に回復し、「台湾独立論」を勢いづかせることになります。同時に、中国に接近する台湾の「親中派」の勢いが削がれ、対中包囲網のつながりが強化されるのは違いないです。

もちろん、中国を大いに刺激することにはなりますが、中国がアジアの支配圏を強め続けるのであれば、トランプ氏の訪台は、極めて効果的なけん制球になります。トランプ氏は、対中包囲網の形成を後押しするためにも、台湾への訪問を実現すべきです。
以前、このブログでは、蔡英文総統はまともなマクロ経済政策を実行すべきということを掲載しましたが、確かにこれで蔡英文総統は人心を掌握し、来たるべき2020年1月、総統選挙を有利に運ぶことができるはずです。
しかし、これだけだとインパクトにかけるところがあります。しかし、トランプ米大統領台湾電撃訪問ということになれば、断然現政権にとって有利になります。
日本も、米国が昨年3月に成立させた『台湾旅行法』と同じような法律を成立させるべきです。同法は、閣僚級の安全保障関連の高官や将官を含む米政府当局者全員が台湾に渡航し、台湾側の同等役職者と会談することや台湾高官が米国に入国し国防総省や国務省の当局者と会談することを定めた法律です。
米国は中国との国交樹立以降、台湾とのこうした交流を自粛してきましたが、これをトランプ大統領は反故にしました。ラブコールを送る友人に日本も応えるべきです。

台湾に対する支援は、覇権主義の中国、「怨恨」感情を露わにする韓国や、強欲ロシアとの北方領土返還交渉にカネを使うより費用対効果は高いはずです。

オバマ政権末期に真珠湾を電撃訪問した安倍総理

そうして、日本は日本版『台湾旅行法』を成立させるだけではなく、トランプ大統領が台湾を訪問するしないは別にして、安倍総理が電撃訪問をすべきです。

無論トランプ大統領も電撃訪問したほうが良いに決まっています。トランプ・安倍台湾電撃訪問で蔡政権・台湾独立派を勢いづかせる起爆剤となれば、最高です。

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