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2017年12月8日金曜日

中国の“微笑み外交”要警戒 「分断工作だ」尖閣衝突回避策で日中大筋合意にチラつく思惑 河添恵子氏リポート―【私の論評】台湾の今そこにある危機を認識せよ(゚д゚)!

中国の“微笑み外交”要警戒 「分断工作だ」尖閣衝突回避策で日中大筋合意にチラつく思惑 河添恵子氏リポート

福岡市で開催された日中両政府の高級事務レベル海洋協議
では「海空連絡メカニズム」についても協議された=29日午前
 習近平国家主席率いる中国が軟化してきたのか。日中両政府は、沖縄県・尖閣諸島のある東シナ海での偶発的な衝突を防ぐ「海空連絡メカニズム」の構築と早期運用に向けて「前向きな進展」があったと発表した。「日中関係の改善の象徴」と報じるメディアもあるが、歴史的に計略を用いる中国を簡単に信用していいのか。北朝鮮と台湾をめぐる、中国の思惑もささやかれている。

 「彼らの『工作』の可能性を疑った方がいい。中国は『微笑み外交』をしてきたときこそ警戒すべきだ」

 中国情勢に精通するノンフィクション作家の河添恵子氏は言い切った。

 海空連絡メカニズムは、自衛隊と中国軍が接近時の連絡方法などをあらかじめ定め、衝突を防ぐ仕組み。中国・上海で5、6日開かれた、日中の外務、防衛、海上保安当局などの高級事務レベル海洋協議で、主要論点がほぼ一致したという。

 河添氏は「北朝鮮と台湾の問題が背景にあるはずだ」といい、続けた。

 「習政権と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権の関係は劣悪で『事実上の敵』といえる。加えて、習氏は2020年以降、本気で台湾を取りに行こうとしている。こうなると、中国人は『敵の敵は味方』のフリをするモードになる。日本政府や自衛隊に笑顔で接近して、話し合いの環境をつくろうとする。彼らの本音は、日本人を油断させて『日米同盟の分断』と『自衛隊内のシンパ構築』を狙っているのではないか」

 習氏は10月の共産党大会で、「3つの歴史的任務の達成」を宣言した。この1つに「祖国統一の完成」があり、武力侵攻も含めた「台湾統一」と受け止められている。

 「核・ミサイル開発」を強行する北朝鮮に対しては、米国の軍事的制圧も視野に入ってきた。中国は、緊迫する東アジア情勢の中で巧妙に立ち回り、台湾統一の邪魔になる「日米同盟の分断」に着手したのか。

 河添氏は「習氏にとって、安倍晋三首相とドナルド・トランプ大統領が体現している『日米同盟の絆』は脅威だ。ここにクサビを打ち込もうとしているのではないか。中国人は『台湾は中国の一部。尖閣諸島は台湾の一部』と考えている。無人島の尖閣諸島は後回しにして、台湾を先に取ろうと考えているのだろう」と分析している。

【私の論評】台湾の今そこにある危機を認識せよ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にある、川添氏の「無人島の尖閣諸島は後回しにして、台湾を先とろうとしている」という懸念については根拠があります。

今年10月、米国で出版された一冊の書籍によって、中国の習近平指導部が準備を進めている「計画」が暴かれました。
大規模なミサイル攻撃の後、台湾海峡が封鎖され、40万人の中国人民解放軍兵士が台湾に上陸する。台北、高雄などの都市を制圧し、台湾の政府、軍首脳を殺害。救援する米軍が駆けつける前に台湾を降伏させる…
米シンクタンク「プロジェクト2049研究所」で、アジア・太平洋地域の戦略問題を専門とする研究員、イアン・イーストンが中国人民解放軍の内部教材などを基に著した『The Chinese Invasion Threat(中国侵略の脅威)』の中で描いた「台湾侵攻計画」の一節です。

イアン・イーストン氏
イーストン氏は「世界の火薬庫の中で最も戦争が起きる可能性が高いのが台湾だ」と強調しました。その上で「中国が2020年までに台湾侵攻の準備を終える」と指摘し、早ければ、3年後に中台戦争が勃発する可能性があると示唆しました。

『The Chinese Invasion Threat(中国侵略の脅威)』の表紙
この、衝撃的な内容は台湾で大きな波紋を広げました。中国国内でも話題となりました。
具体的な時間は分からないが、台湾当局が独立傾向を強めるなら、統一の日は早く来るだろう。
国務院台湾弁公室副主任などを歴任し、長年、中国の対台湾政策制定の中心となってきた台湾研究会副会長、王在希は中国メディアに対し、イーストンの本の内容を半ば肯定しました。

王在希氏
その上で「平和手段か、それとも戦争か、台湾当局の動きを見てから決める」と踏み込みました。近年、中国の当局関係者が台湾への武力行使に直接言及するのは極めて異例です。

ブログ冒頭の記事にもあるように、10月24日に閉幕した共産党大会で、党総書記の習近平(国家主席)は「3つの歴史的任務の達成」を宣言しました。「現代化建設」「世界平和の維持と共同発展の促進」とともに掲げられた「祖国統一の完成」とは、台湾を中国の地図に加えることにほかならないものです。

党大会終了後、北京市内で開かれた政府系シンクタンクが主催するシンポジウムで、軍所属の研究者が「中国近未来の6つの戦争」と題する発表しました。

その研究者は、習近平指導部が隠してきた、中国が主権を主張する領土を奪還するための2050年までの予定表を明かしました。台湾統一の時期は20~25年。イーストンの指摘と一致します。

習近平は、東シナ海や南シナ海、インド、ロシアとの国境周辺などにも版図を広げる心づもりだといいます。同発表では、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を奪還する時期は40~45年とされています。

中国の情報機関はここ数年、台湾軍の内情を探るため深く潜り始めています。
台湾の蔡英文政権が2016年5月に発足して、中国国内の各情報機関の台湾担当部署の予算も人員も大幅に増加しました。
ある中国共産党関係者は、こうした変化も台湾への軍事侵攻に向けた準備だととらえています。

今年5月、台湾軍中枢の参謀本部ミサイル防衛指揮部(当時)の前指揮官、謝嘉康(少将)が、中国側に重要な軍事情報を漏らしたとして、「国家安全法」違反容疑で拘束されました。

謝嘉康
同指揮部は陸上配備のミサイル部隊を統括しており、米国製の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などの防空網や、上海を射程に収めるとされる自主開発の巡航ミサイル「雄風2E」の情報が漏れた可能性があります。

謝嘉康を中国側につないだのは退役後、旅行業を営んでいた元上官の男でした。男は、中国の国家安全部門に籠絡されて、その手先となっていました。09年と10年、元上官からタイやマレーシアへの家族連れの無料旅行に招待された謝嘉康は、たくらみに気付かず、誘いに乗ってしまったのです。

11年には、陸軍少将の羅賢哲が、指揮通信情報(C4ISR)を統合するシステムの情報を漏洩(ろうえい)した疑いなどで逮捕されました。

羅賢哲
羅賢哲は武官として駐在したタイで、歓楽街での買春現場を中国の工作員に撮られて脅されました。04年から情報提供を始め、毎回10万~20万ドル(約1120万~2240万円)の報酬を受け取っていました。羅賢哲は12年、無期懲役となりました。

台湾当局はスパイ事件の詳細や判決を公表していません。それ自体が手の内を明かすことになるからです。

羅賢哲にハニートラップをかけたとされる美女間諜:李佩琪
台湾軍内部には中国側の協力者が数多くおり、明るみに出たのは氷山の一角と指摘する声があります。ある現役将校は「中国側や軍内部の協力者に見せつけるため、逮捕案件自体を選別している可能性がある」と指摘しました。

台湾軍幹部の中には、中国大陸から来た「外省人」とその子孫が多いです。特に年齢層の高い退役軍人や高級幹部は「大中国」意識が強いです。退役・現役軍人の中には「台湾人意識」を支持基盤とする民主進歩党に反感を持つ者も多く、もともと中国に利用される素地があるといいます。

昨年11月には、北京の人民大会堂で開かれた孫文の生誕150周年記念式典に、台湾の退役将官32人が出席しました。中国の国歌斉唱時に起立し、国家主席、習近平の演説を神妙に聞き入る姿が問題となりました。

危機感を抱いた蔡英文政権は今年7月、改正法案を提出し、退役した軍高官が中国で政治活動に参加することを禁じましたが、後手に回っていることは否めません。

「世界一流の軍隊」の建設を目指す習近平は共産党大会で、20年までの「機械化、情報化の実現による戦略能力の大幅な向上」を宣言しました。台湾軍は「内と外」からの脅威にさらされています。
日本としては、先日もこのブログで述べたように、地政学的に重要な位置にある台湾との協力を強化する必要があります。まずは、日本は台湾を主権国家として認めなければなりません。
その道筋をつけるために、台湾にTPP加盟をすすめたり、日台の経済関係を強化したりするなど、協力関係を強化していくことが重要です。

さらには、日米台の関係を深め、安倍総理の安全保障のダイヤモンド政策をさらに充実・拡充するべきです。

そのためには、沖縄にある米海兵隊の一部を台湾に駐留させるようにし、いずれ半分もしくは全部を台湾に駐留させるということも考えられます。

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2016年2月15日月曜日

【湯浅博の世界読解】尖閣衝突「5日で日本敗北」 衝撃シナリオに見え隠れする中国のプロパガンダ―【私の論評】内実は他先進国とは渡り合えない、儀仗兵並の人民解放軍だが?

【湯浅博の世界読解】尖閣衝突「5日で日本敗北」 衝撃シナリオに見え隠れする中国のプロパガンダ

RAND corporation(ランド研究所) 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる日中衝突で「日本は5日間で敗北する」という衝撃のシミュレーションが、インターネット空間で飛び交っている。米外交誌「フォーリン・ポリシー」の1月15日号に掲載された仮想シナリオの紹介記事である。特に国防総省に近いランド研究所が実施したとの触れ込みだから、その衝撃は余計に増幅された。

原文にあたってみると、記事は2人の記者が連名で書いており、ランドが実施した詳細なシミュレーション報告ではない。本文も「ホワイトハウス地下の危機管理室ではなく、ランド研究所で専門家にたずねる形で行われた」と、ただし書きをつけている。

5日間の初日は、日本人の右翼活動家が尖閣に上陸し、中国の海警に逮捕されるという前提ではじまる。2日目は、外交か警察案件のはずが、いきなり日本が護衛艦、戦闘機を派遣し、米国が駆逐艦や潜水艦をだして中国の軍艦とにらみ合う。

3日目は、中国のフリゲート艦が射程内に入った空自機を機関砲で攻撃。交戦状態になって、海自艦2隻が撃沈される。4日目と5日目は中国がサイバー攻撃で日米の送電や証券取引システムを破壊する。米国は潜水艦と航空機を増派して、海自艦隊の撤退を支援した。かくて尖閣は中国が確保して終わる。

一読して、現実離れしていることに気づくはずである。活動家は日本の巡視船に阻まれるし、上陸できても中国側でなく日本側に逮捕される。2日目に米艦船が現場に出現した時点で、中国艦船は矛を収めざるを得ないだろう。交戦状態になっても、米軍や海自潜水艦の威力が過小評価され、米国が都市機能マヒに追い込まれて、報復に出ないことなど考えられない。

2人の記者から取材を受けたのは、確かにランド研究所のシュラパク氏で、文字通り戦争ゲームのプロだ。元来、ランドのシミュレーションは、政府関係者を招いて行われ、綿密な研究分析の上に、多様な動きを検討し、独自の裁定を下すのが通例だ。ところが、記事にはそうした周到さはみられない。

この記事に対する日本国内の反応にランドは、あくまで記者たちと東シナ海で考えられる可能性を短時間、議論したもので、ランドの公式シミュレーションではないことを強調している。

なぜいま、シュラパク氏が絡んで記者2人が、米国の「巻き込まれ脅威論」のシナリオを発表したのだろうか。結果として、「米国が小さな無人島に関与して中国との紛争に巻き込まれ、米国の国益を損なう」という中国のプロパガンダに沿ったものになっている。

最近、中国の対外宣伝は米欧紙への寄稿やシンクタンクを活用して、ソフトに語りかける手を使う。とかく世論は、目立った主張や甘いささやきに幻惑されがちだからである。この記事に効用があるとすれば、日本の安保法制に穴はないかを確認し、日米同盟の紐帯(ちゅうたい)を確認するよう促したことだろうか。

横須賀生まれの日系人である米太平洋軍のハリー・ハリス司令官
外交誌の公表から12日後、米太平洋軍のハリス司令官が講演で、尖閣防衛について「中国の攻撃を受ければ、米国は間違いなく日本を防衛する」と述べて、クギを刺したのは妥当であった。

しかもここ数年、ワシントンで発表されるアジアの戦略報告書の主流は「中国の軍事的台頭にどう対処すべきか」であることを銘記すべきだろう。(東京特派員)

【私の論評】内実は他先進国とは渡り合えない、儀仗兵並の人民解放軍だが?

尖閣に関しては、上記とは別にYouTubeでは、中国がアメリカ軍撃破というシナリオの「3D模擬奇島戦役」というタイトルの動画が掲載されています。その動画(コピー)を以下に掲載します。



この動画は、昨年9月からYouTubeに掲載されています。9月というと、中国で抗日記念70周年軍事パレードが行われました。

昨年9月3日に北京で挙行された「抗日戦争勝利70周年記念軍事パレード」と歩調を合わせて、中国艦隊がアラスカ州アリューシャン列島沖のアメリカ領海内で“パレード”し、アメリカ海軍を憤慨させたなどということもありました。 

中国のイージス艦もどきの鑑定 能力はイージス艦にはるかに及ばない

しかし、中国によるアメリカ軍人の神経を逆なでする動きはそれにとどまりませんでした。直接人民解放軍当局が発表したものではないのですが、「某軍事同盟軍が中国に奇襲攻撃を仕掛ける。中国人民解放軍が反撃し、その軍事同盟軍の島嶼に位置する基地を占領する」というシナリオの「3D模擬奇島戦役」というタイトルの動画がネット上を駆け巡り、再び米軍関係者を憤慨させました。

この「3D模擬奇島戦役」と銘打ったシミュレーション動画は、人民解放軍の基地が攻撃される場面から始まります。そして「20××年に、某軍事同盟が国際法を無視して海洋での紛争を引起し、綿密に計画された奇襲作戦によって、いくつかの人民解放軍基地が攻撃された」というテロップが流れます。

わざわざ「某国」ではなく「某軍事同盟」としているのは、明らかに日米同盟を暗示しています。同様に「綿密に計画された奇襲作戦」はまさに真珠湾攻撃を暗示しており、「抗日戦争勝利70周年記念」を意識した演出のようです。

そうして、この動画で中国軍は、島嶼を攻撃するのですが、これは尖閣を想起させます。これは完璧に中国のブロパガンダです。

そうして、ブログ冒頭の記事におけるシミレーションも、やはり中国のブロパガンダに利用されたものと考えられます。

ブログ冒頭の記事では、「米軍や海自潜水艦の威力が過小評価」と掲載されていますが、まさにそのとおりだと思います。

それに関しては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国海軍、尖閣接近のウラ 米爆撃機の威嚇に習政権“苦肉の策”か ―【私の論評】日本と戦争になれば、自意識過剰中国海軍は半日で壊滅!東シナ海で傍若無人ぶりを働けば撃沈せよ(゚д゚)!
B52を空母に搭載するとこんな感じです 合成写真

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、中国海軍は、日本の自衛隊とまともに対峙すれば、一日で壊滅するであろうこと、米国とまともに対峙すれば、数時間で壊滅するであろうことを掲載しました。

米国と本気で対峙したとすると、数時間で勝負がつくのは目に見えています。航空兵力、海軍力のいずれをとっても、中国は米国の敵ではありません。

まともに戦えば、海上自衛隊の敵でもありません。この記事でも説明しましたし、このブログでも何度か掲載しましたが、日本の対潜哨戒能力は世界一です。潜水艦建造技術も世界一です。

日本の潜水艦は、技術力が非常に高いので、今のトップクラスの「そうりゅう」型だと、原子力潜水艦よりは多少短いですが、それでもかなりの時間潜行できますし、それにスクリュー音がほとんどしないため、どこの国の海軍であれこれを発見することはほぼ不可能です。

オーストラリアも新型の導入を検討している日本の「そうりゅう」型潜水艦
これに対して、中国の対潜哨戒能力は日本には全く及ばず、中国側は日本の潜水艦の動向を全くつかむことができません。いざ戦争になったら、日本は中国の艦船や潜水艦の動向をつぶさに把握できますが、中国側は、どこに日本の潜水艦がいるのか、全く把握できません。

特に潜水艦に関しては、製造技術がお粗末なので、中国の潜水艦は、まるでドラム缶をドンドンとハンマーで殴るようなけたたましい音をたてながら、水中を進むので、簡単に敵国に発見されてしまいます。

この状況で日中がまともに、海にまみえることになると、中国の空母、艦船、潜水艦などは、一方的に日本の潜水艦の餌食になることになり、あっという間に海の藻屑と消えてしまうことになります。

その他航空兵力も現実はかなりお粗末なので、自衛隊の敵ではありません。この状況では、中国は尖閣に人民解放軍を派遣しようにも、到達する前にことごとく撃沈・撃破されてしまいます。はっきりいえば、自殺行為です。

これが、中国大陸の陸の上ということになれば、ゲリラ戦も可能なので、状況は多少なりとも変わるかもしれませんが、海・空戦ということになれば、ゲリラ戦というわけにもいかず、中国に勝ち目はありません。

中国の第五せだい戦闘機といわれる殲20 ステルス性能も低く、
米専門家は第三世代の戦闘機と費用するものも存在する

自衛隊に対してもこの有様ですから、米国相手だと、数時間で中国海軍は戦闘不能に追い込まれてしまうことでしょう。日米同盟軍と戦うことになれば、どうあがいても、全く勝ち目はありません。

それにしても、なぜ中国がこのようなことをするのかといえば、無論プロパガンダのためですか、では、なぜプロパガンダを行うかといえば、もう軍事力の差異ははっきりしすぎるくらいはっきりしているので、中国としては、これ以上南シナ海での示威行動や、尖閣付近での示威行動をできないことは明らかなので、習近平としては、苦肉の策として、これらを実行する以外に道はなかったのだと考えられます。

習近平というと、国内では、腐敗の撲滅などといいながら、実際には権力闘争の続きを実行しています。そうして、人民の憤怒のマグマは従来から煮えたぎって、いついかなるとき大噴火するかわからない状況です。

そのような状況の中で、日本に対しても、アメリカに対しても、強気の態度をみせて、相手に譲歩を迫るようでなければ、国内の人民や、反習近平派の重鎮たちも納得しないどころか、習近平体制を崩しにかかることになります。

特に最近では、経済が悪化しているので、ただでさえ、人民の不満が募っています。しかし、だからといって、本格的に日米と対峙すれば、先に示したようにボロ負けするだけです。そうなれば、習近平はさらに窮地に追い込まれることになります。

だから、昨年は、日本とも戦ったこともない中共が、抗日70周年記念軍事パレードをしてみたり、アリューシャンで米国相手に示威行動をしてみたり、尖閣に機関砲装備の公船を派遣したり、挙句の果てに、上記のようにランド研究所の記事を流布したり、動画を流したりして、本当は無意味なのに、いかにも自分は、やっているぞとばかり、パフォーマンスを演じているわけです。

以下に中国で昨年行われた抗日70周年記念軍事パレードに向けて練習をする女性儀仗兵の動画を掲載します。



この助成儀仗兵は、平均身長1・78メートル、平均年齢22歳で統一されていました。本番では計17人12列の正方形の隊列を組んで行進しました。

儀仗兵とは、儀礼,警護のために,元首,高官,将官に配置される将兵のことです。日本では 1945年まで,天皇,皇族の儀礼に際しては,近衛兵がその任にあたりました。

ところで、儀仗兵は戦闘のための兵ではありません。中国の人民解放軍は、非常に不思議な組織で、そもそも、他国に見られる軍隊とは異なります。この組織実は、商社のような存在で、様々な事業を展開しています。

日本でいえば、商社が武装しているというのが、人民解放軍の真の姿です。そうして、人民解放軍は、人民を解放する軍隊ではなく、共産党の配下にある組織です。そうして、内部もかなり腐敗しており、それこそ、習近平の腐敗撲滅運動の標的にもなっています。

そもそも、このような組織が、他国の軍隊なみに機能するとは考えられません。日本の商社の社員に軍隊なみの武装をさせたらどうなるか、想像に難くないです。さらに、中国では長い間の一人っ子政策のため、人民解放軍の兵士たちもほとんどか一人っ子です。そうなると、中国内での苦しいゲリラ戦なども無理かもしれません。

そうして、この武装商社は、技術的にはかなり遅れた、空母、潜水艦、航空機などを持っています。これらは、先進国の軍隊とまともに対峙した場合、ほとんど役立たずです。ただし、外見はそれらしく、場合によっては美しくさえもみえます。

モデルなみの中国人民解放軍の儀仗兵
ところで、ロシアの軍事米空母1隻を撃沈するのに中国人民解放軍の海軍力の40%が犠牲 になると、ロシアの軍事専門誌「Military-Indust rial Courier」が2013年に分析しています。中国が毎年国防予算 を2けた増加させ、軍事力で米国に追いつこうとしているが、まだ 格差は少なくないということです。 

同誌は、中国が米空母との海戦を念頭に置いて非常に効果的な武器 体系を備えてきた、と紹介した。世界初の対艦弾道ミサイルと呼ば れる東風21Dは射程距離が3000キロにのぼり、日本やグアム の海上の米空母を狙うことができる。鷹撃83などの誘導ミサイル
を装着した12隻の駆逐艦も、アジア・太平洋地域の米艦隊に大き な脅威になる可能性があります。
 
中国は最近、ロシアからモスキットSSM P-270対艦ミサイ ルを備えた駆逐艦4隻を追加で購入した。空母「遼寧」と中距離艦 対空ミサイル紅旗16を搭載した護衛艦「江凱」15隻も敵艦を沈 没させる威力を持ちます。

米空母が率いる艦隊が中国領海に入れば、中国海軍は対艦ミサイル を搭載した駆逐艦10隻とミサイル艇40隻をまず投入し、ゲリラ 戦術で米艦隊を苦しめようとすると予想た。もし空母1隻が沈没 すれば、米海軍は海上制空権の約10%を喪失し、数千人の乗務員
が犠牲になります。
しかし同誌は中国軍が米空母を撃沈するのは容易でないと分析しました。 ひとまず中国が人工衛星・攻撃機・レーダー網を総動員しても、移 動を続ける空母の位置を正確に追跡して打撃するのが容易でない。 米空母は巡洋艦・駆逐艦・潜水艦はもちろん、偵察機・対潜ヘリコ プターなどの護衛を受けます。。 

また、最も発展した艦隊防空網というイージスシステムを通じて、 飛んでくるミサイルをほぼ正確に迎撃することができます。 

空母に搭載されたF35ステルス戦闘機と無人攻撃機は数百キロの 長距離飛行が可能で、中国本土のミサイル発射台など軍事施設を打 撃できます。米空母は中国領海に入らず十分に攻撃できるということです。 

同誌はこのような分析で、中国が米国のジェラルド・R・フォード 級空母1隻を撃沈するには中国海軍戦力の30-40%を消耗する と計算しました。(ジェラルド・R・フォード級空母は2015年進水予定のジェラルド・Rフォードをはじめ、現在のニミッツ級空母に 代わる米次世代原子力空母)

ただ、カギは米海軍が保有する11隻の空母など強大な海上戦力を どれほど迅速に西太平洋に投入できるかだと分析しました。現在、西太 平洋を管轄する米海軍第7艦隊には、空母「ジョージ・ワシントン 」をはじめ、60-70隻の軍艦が配属され、18隻は日本とグア ムに常時配備されています。また、緊急事態が発生すれば、まず最大 6、7隻の空母を西太平洋に投入できます。

米国の空母一隻を撃沈するのに中国は海軍力の40%が犠牲になる

さて、上の分析もっともらしくもあるのですが、2つ大きな見落としがあります。それは、潜水艦と対潜哨戒能力です。上の分析はロシアの分析なので、やはり、自国の兵器の優秀さをアピールする反面、自国の弱みである潜水艦についてはほとんど触れません。

冷戦末期には、日本の自衛隊は、対ソ対潜哨戒を徹底に的に実施し、ソ連の原潜などの潜水艦の行動を逐一偵察しました。そのため、日本の対潜哨戒能力は世界一のレベルになりました。当時のソ連の潜水艦も、現在のロシアの潜水艦も日本の技術には到底及ばず、対潜哨戒能力もかなり低レベルです。

先に述べたように、日本の潜水艦はステルス性が抜群で、中国側には全く発見できません。米国の潜水艦も、日本の潜水艦ほどではありませんが、中国よりははるかに高く、中国を相手とするならステルス性は十分です。

だから、日米の潜水艦は、中国側に察知されずに自由に行動することができます。一方中国の潜水艦は、日米に逐一その所在が確認されてしまいます。

こんなことから、中国が日米などと海戦をするということになると、無論日米は潜水艦を多用することになります。そうなると、中国は初戦で潜水艦からの攻撃に晒され、海軍力はすぐに消滅することになります。その後に、日米は余裕をもって、作戦を遂行することができます。

こんな事を考えると、先ほど中国の儀仗兵について触れましたが、それこそ、人民解放軍自体が、儀仗兵のようなものであるといえなくもないかもしれません。儀仗兵であったとしても、他国の軍隊とはまともに渡り合えないかもしれませんが、人民を弾圧したり、周辺の弱小国などに対しては、戦いを挑むことができるかもしれませんが、日米豪などの先進国の軍隊とは無理というものです。

とは言いながら、人民解放軍は、核を保有しています。商社のような組織が、軍備をするどころか、核武装をして、技術的には稚拙ながら、原潜も保有しているという、とんでもない組織が人民解放軍です。

中国のプロバガンダに対しては、上記のような中国の内部事情を熟知したうえで、一体何のためにやっているのか、想像しながら分析をするといろいろなことが見えてきます。

私たちは、中国を等身大に見る習慣をつけるべきと思います。いたずらに中国に脅威を抱く必要はありませんが、それにしても、核武装をしている厄介な国であることには変わりありません。その核ミサイルは日本を標的にしていることを忘れるべきではありません。こんなことを考えると、現状ではやはり日米同盟がいかに重要であるのか、集団的自衛権がいかに重要であるのか、認識を新たにする必要がありそうです。

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2014年4月24日木曜日

オバマ大統領が尖閣は安保条約の対象と明言、中国にも配慮―【私の論評】お花畑オバマは、尖閣衝突を誘発するだけ!!ブッシュなら中国に配慮するリバランスなど表明しなかっただろう(゚д゚)!

オバマ大統領が尖閣は安保条約の対象と明言、中国にも配慮

すし店での首相主催の夕食会で、歓談するオバマ米大統領と安部首相

安倍晋三首相と来日中のオバマ米大統領は24日午前に会談し、アジアの安定に日米同盟が果たす役割の重要性を確認した。オバマ大統領は尖閣諸島(中国名:釣魚島)が日米安全保障条約の適用対象であることを明言、日本が進める集団的自衛権の行使容認の動きを支持するなど、安倍政権にとって実りの多い会談となった。

一方で、オバマ大統領は日中の領土問題に対する立場を明確にせず、中国に配慮する姿勢もみせた。難航している環太平洋連携協定(TPP)の日米交渉については、閣僚協議を継続することとした。

・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・

並んで会見した安倍首相は、「同盟強化へのオバマ大統領の情熱を信じている。米国を信頼している」などと語った。日本が進めようとしている集団的自衛権の行使容認についても、会談のなかでオバマ大統領から支持を得たという。

さらに会見でオバマ大統領は、中国が領有権を主張している沖縄県の尖閣諸島に言及。「日本の施政下にある領土は、尖閣諸島も含め日米安全保障の適用対象になる」と述べ、武力衝突が起きた際は米軍が防衛義務を負うことを明言した。これまでもヘーゲル国防長官などが示してきた米政府の公式見解だが、初めてオバマ大統領が発言することで、中国をけん制する形になった。

・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・

その一方、米国にとって中国は利害を共有する相手でもある。そのためオバマ大統領は一定の配慮を見せ、「領有権の決定的な立場は示さない」と語り、日中の領土問題には踏み込まない米政府の方針をあらためて示した。その上で、日本と中国がこの問題を平和的に解決することを望んでいると述べた。尖閣諸島をめぐって日中で武力衝突が起きた場合に、米国が軍事介入に踏み切る一線はどこかと記者から問われ、「レッドラインは引かれていない」とも語った。

拓殖大学海外事情研究所の川上高司所長は、「尖閣が安保条約の適用対象であること、集団的自衛権に対する支持を取り付けたことは、安倍首相にとって勝利だった」と指摘。しかし「オバマ大統領は同じく中国に対してもリバランス(重要視)した。中国にとっては、米国は武力介入してこないとも解釈できる」と話す。

この記事の詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】お花畑オバマは、尖閣衝突を誘発するだけ!!ブッシュなら中国に配慮リバランスなど表明しなかっただろう(゚д゚)!

それにしても、中国に配慮したリバランスは余計でした。これでは、オバマは尖閣の紛争を誘発しているようなものです。

リバランスを直訳すると、「再均衡」という意味ですが、軍事と外交の軸足をアフガニスタン、イラクなどの中東、中央アジア地域から、経済発展著しいアジア太平洋へ移していくことを指します。

これは、中国の軍事的、経済的な台頭に対応し、日本、ASEAN、オーストラリアなどとの連携を強化するため、オバマ政権が2011年11月にかかげた政策です。しかし、しかしリバランス政策には大きな矛盾があることを露呈しました。

オバマ政権の真の狙いは、中国を牽制するのではなく、米国が主導する秩序に中国をうまく組み込ませていくことです。当然、アジア諸国も、アメリカは中国を孤立させることは賢明でないとみなしていると考えており、中国を牽制する目的を含んだリバランス政策には、懐疑的です。

この中国を配慮したリバランスは、安倍総理の構想である「安全保障のダイヤモンド」とは根本的に異なるようです。

それに、オバマは中国の現体制が、このまま継続するとはとても思えないにもかかわらず、そのように考えているようです。

そもそも、オバマは尖閣は日本固有の領土あり、日本と中国の間には領土問題など存在しないとはっきり表明すべきでした。しかし、中国を考慮したリバランスという立場上、それを思いとどまったのかもしれません。

本来はこのような意思表明もっとずっと前にすべきでした。今回は遅ればせながらしたわけですが、全くタイミングを逸しています。

オバマが、こうした声明をすべきであったことは、このブログの過去の記事にも掲載しています。その記事のURLを以下に掲載します。
「オバマ政権は尖閣は日本領と表明せよ」 米紙ウォールストリート・ジャーナルが主張―【私の論評】オバマは尖閣日本領表明によって、自ら頭の中のお花畑の虚構に生きるルーピーではないことを証明せよ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、2013年11月1日付のアメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙が、「尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる日本と中国の対立を社説で取り上げ、オバマ米大統領に尖閣諸島が日本の領土であると明確に表明するよう求めた」ことを掲載しました。

私自身は、この時点でも遅いと思ったくらいです。オバマあたりがもっと先にはっきりとこれを表明していれば、尖閣問題は現状ほどにはこじれなかったと思います。中国政府は、尖閣での示威行動を通じて、日本の出方を見るということは無論のこと、アメリカの出方を見ていたというところも、あります。

中国は、いろいろ示威行動を続けても、アメリカが尖閣は日本の領土とはっきり表明しないということで、勢いづいたというところは間違いなくあったと思います。


今やアメリカの三馬鹿の一人と称される、オバマ
 オバマ、最近外交はまるで駄目です。シリアでも、ウクラナイでも大失敗です。今回の尖閣問題に関しての発言は、時期を逸したということと、中国に配慮したリバランスしたということで全く意味のないものになったどころか、中国尖閣挑発の格好の裏付けを与えたようなものです。

これは、オバマのシリア問題での大失敗、ウクラナイ問題での大失敗によっても十分証明されたと思います。

このままだと、尖閣も第二のシリア、第二のウクラナイになってしまうおそれも十分あります。日本としては、中国が尖閣で挑発するなら、毅然たる態度で臨むべきでしょう。尖閣には、一兵たりとも上陸させない。上陸すれば、全員殲滅。寸土の土地も譲らないという態度でのぞむべきです。

しかし、これほど米国大統領の来日が一般国民に軽視されることは過去69年間の戦後の日米関係の歴史でなかったことです。

オバマ以前の大統領であれば、もっと歓迎されていました。

たとえば、あのブッシュでさえ、もっと歓迎されていたと思います。

アメリカは超大国的な動きができなくなった?

オバマとブッシュの差異は、はっきりしています。たとえば、中国問題一つとっても、ブッシュまでは少なくとも年に一回くらいは大統領自らが、中国は、民主化されていないこと、政治と経済が分離されていないこと、法治国家化もされていないことなどに対して、苦言を呈していました。

オバマも発言はするのですが、シリア、ウクラナイなどの例を見てもわかるように、すっかりタイミングを逸してから発言するなどの不手際が目立ちすぎです。最近の、プーチンのウクライナ対策などをみていると、オバマは超大国の大統領としての動きがとれていません。

ロシアは、今や経済的にも軍事的にもとるに足りない国になりましたが、それでもロシアのプーチンは、超大国なみの動きをしていて、小国ロシアの国益のために努力しています。

米国は、今や世界で唯一の超大国なのですが、オバマはとても超大国の大統領とは思えないような行動ばかりしています。

このオバマの外交オンチ、いかんともしがたいです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【産経抄】3月15日―【私の論評】オバマ大統領の外交べたが、安倍総理の痛恨の極みに拍車をかけている!しかしこれは、日本にとって好機となりえるかも(゚д゚)!



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