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2019年1月30日水曜日

厚労省の無理解が招く「統計不正」お手盛り調査の愚―【私の論評】統計不正は、財務省の緊縮が誘発した(゚д゚)!

厚労省の無理解が招く「統計不正」お手盛り調査の愚
「統計法違反」の調査を”身内”に委ねる信じがたい感覚

第198回通常国会にて施政方針演説を行う安倍首相。「統計不正」は今国会の焦点になりそうだ

 毎月勤労統計の不正調査が問題になっていて、今国会でも与野党で厳しい論戦になりそうだ。

 根本厚労大臣は、国会開催前に素早く調査したが、その調査方法が野党から批判されている。「第三者」による調査が相当あやしいものであることが明らかになってきたのだ。

 そこで、実態が明らかになれば批判を招くのが確実な調査方法を、なぜ厚労省、あるいは厚労省特別監察委員会はとってしまったのだろうか。
国会提出前に予算案が修正される異常事態

 まず、今回の統計不正事件を振り返っておこう。

 今年1月11日の厚労省のホームページ( https://www.mhlw.go.jp/content/10700000/000467631.pdf)によれば、毎月勤労統計において、①全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたこと、②統計的処理として復元すべきところを復元しなかったこと、③調査対象事業所数が公表資料よりも概ね1割程度少なかったことを明らかにしている。

 ①では、毎月勤労統計は従業員500人以上の事業所は全数調査がルールだが、2004年からは、東京都内1400事業所のうち3分の1だけを抽出していたという。

 ②では、2004~2017年の調査で、一部抽出調査であるのに、全数調査としていたために、統計数字が過小になっていた。

 ③では、1996年から全国3万3000事業所を調査すべきを3万事業者しか調査しなかった。ただし、誤差率は実際の回収数を元に算出されていたので、誤差率への影響はないという。

 手続き面からみれば、①~③は、統計法違反ともいえるもので、完全にアウトである。

 実害という観点でいえば、②のために、2004~2017年の統計データが誤っていたということになり、統計の信頼を著しく損なうとともに、雇用給付金等の算出根拠が異なることとなり、この間の追加支給はのべ1900万人以上、総計560億円程度になる。

 これらの措置のために、来年度予算案は修正されている。予算案が国会提出前に修正され閣議決定をやり直すことはちょっと記憶にないほどの異例な事態だ。
あまりに早すぎだった調査報告書の公表

 予算面の金額もさることながら、今回の統計不正により、国家の根幹となる統計数字への国民の信頼が大きく揺らいでいる。筆者のように、データに基づく分析を行う者にとっては、とてもショッキングな出来事だ。

 もっとも、今回の統計不正について、厚労省の対応は驚くほど素早かった。事件発覚後10日ほどのうちに、「第三者委員会」として「毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会」を立ち上げ、責任の所在の解明を行った。

 1月22日、「毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会」の報告書を公表(https://www.mhlw.go.jp/content/10108000/000472506.pdf)、関係者の処分を行った( https://www.mhlw.go.jp/content/10108000/000472513.pdf)。

厚労省らしからぬ素早さに驚いていると、「毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会」そのものやその調査方法に疑惑がでてきた。

 まず、指摘したいのは、本件は統計法違反の案件という点だ。こういう事案であれば、第三者とは告発した先の捜査当局である。まずこれが筋であって、もし告発しないなら、可能な限り捜査当局のような姿に近づけないと第三者とはいえなくなる。

「毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会」の委員長は樋口美雄氏。この方は慶大出身の学者だが、今は厚労省所管の労働政策研究・研修機構理事長。これでは、外形的に中立性を疑われてしまう。

 労働政策研究・研修機構は独立した行政法人であるが、そのトップは厚労大臣が任命する(独立行政法人通則法第20条)からだ。

 労働政策研究・研修機構は、厚労省からみれば、いわば子会社であり、身内感覚だろう。

 元役人の筆者の感覚では、少なくとも外形的にはもう少し中立的な「第三者」にしないとまずい。思わず笑ってしまうところだ。

 さらに、本件発覚後の「毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会」によるスピード調査は、あまりに素早すぎて、事実上厚労省がやったのがバレバレだ。

 こうした「委員会」は、実際には事務局である役所がほとんど仕切り、「委員会」の委員はお飾りである。

 それでも外形的にお飾りがバレないように時間をかけて検討し、委員がやった痕跡は残すようにする。

 今回の場合、あまりに早すぎで、10日で調査後、立派な報告書が出てくると、流石に委員ではなく役人がみんなやったのでしょうとなるだろう。

 それが、委員の職員への聴取において、厚労省官房長が職員に質問していたことが発覚し、報道されてしまう。実態は、厚労省が職員への聴取を行う場に、委員が同席させてもらったのだろう。

激減する政府の統計職員数

 なぜこのような無様なことになったのか。筆者の推測では、後で述べるような、今回の統計不正の本質について厚労省幹部がわかっていなかったからだ。

 もし本質がわかっていれば、意図的に時間をかけて対応できる。わかっていないと、国会開催が迫る中、追及されたくないあまり、早く決着を焦り、稚拙な第三者委員会を作り、拙速な調査で関係者処分を行う。つまり、厚労省幹部が国会答弁を上手くできないので、答弁しないで済むように早期決着を目論んだのだ。

 今回の場合、外形的に第三者に疑惑の念なしの委員会を立ち上げ、時間をかけて調査し、国会では、今調査中を連発し、頃合いを見て、調査結果を公表、関係者を処分、今後の予防策を打ち出すのが手筋だ。

 今回の件で、①全数調査ではなく一部抽出は、手続きとしては完全なアウトであるが、正式な手続きを踏めば統計的には正当化ができる。そもそも統計は全数調査ではなく抽出調査でも一定の精度を確保するための学問だ。

 なぜ抽出調査に切り替えざるを得なかったのが今回の問題の本質だ。

 それは、統計業務の人員・予算カットがある。

 まず、日本政府の統計職員数について、国際比較の観点から見てみよう。総務省の資料によれば、国の統計職員数は1940人(2018年4月1日)。省庁別では、農水省613人、総務省584人、経産省245人、厚労省233人、内閣府92人、財務省74人、国交省51人などである。

 なお、2004年でみると、農水省には4674人の統計職員がいたが、農業統計のニーズの減少のため、これまで4000名以上を削減してきた。他の省庁でも、若干の減少である。今回問題になった厚労省は351人の職員だったが、今や233人に減少している。

 日本政府の統計職員数は1940人であるが、これは人口10万人あたり、2人である。2012年でみると、アメリカ4人、イギリス7人、ドイツ3人、フランス10人、カナダ16人であり、日本の現状は必ずしも十分とは言えない。

 どこの世界でも同じだと思うが、統計の世界でも、従事人員の不足は間違いを招くという有名な実例がある。1980年代のイギリスだ。政府全体の統計職員約9000人のうち、2500人(全体の約28%)を削減したところ、1980年代後半になって、国民所得の生産・分配・消費の各部門の所得額が一致せず、経済分析の基礎となる国民所得統計の信頼が失われてしまった。

 日本の統計業務では、人数だけではなく質の問題もある。海外では、統計職員は博士号持ちの専門家が多いが、日本ではまずいない。

 しかも、日本では各省ごとに統計が分散し省庁縦割りだ。そのため、省庁ごとの壁があり、農水省の統計職員の減員分を各省に配分することができなかった。もし横断的な専門組織があれば、統計人員・予算の大幅減少は避けられただろう。

 こうした問題の本質をつかみ、今後の対策として横断的な統計専門部署の創設まで準備しておれば、安心して、第三者委員会での調査に時間がかけられたはずだ。

 このように対応できなかったのは、統計不正問題の本質の把握ができなかった証であり、それこそが重大である。

【私の論評】統計不正は、財務省の緊縮が誘発した(゚д゚)!

今回問題となっている「毎月勤労統計」とは、賃金、労働時間及び雇用の変動を明らかにすることを目的に厚生労働省が実施する調査です(調査の概要と用語の定義はこちらをご覧下さい)。

その前身も含めると大正12年から始まっており、統計法(平成19年法律第53号)に基づき、国の重要な統計調査である基幹統計調査として実施しています。

毎月勤労統計調査は、常用労働者5人以上の事業所を対象として毎月実施する全国調査及び都道府県別に実施する地方調査のほか、常用労働者1~4人の事業所を対象として年1回7月分について特別調査を実施しています。

調査方法は、下の図のようなかたちで行われています。


「毎月勤労統計」に関して、さらに詳細を知りたいかたは以下をクリックしてください。
本来、従業員500人以上の全企業を調査対象にする(全数調査)ところを、東京都では抽出調査にしていたのですが、そこで厚労省は該当の1464事業所のうち491の事業所だけを不適切に抜き出し、調査を済ませていたといいます。これにより実情との誤差が生じ、失業給付などが本来より少なく給付されていたというのです。

この問題が発覚したのは去年12月ですが、不適切な調査は2004年から10年以上に渡って行われており、担当部署にはそれを正当化するような記述を含むマニュアルまで存在しました。

しかしこれも2015年以降に削除され、組織的な隠蔽が図られていた疑いもあります。さらに2016年10月には厚労大臣の名で「全数調査を継続する」旨の書類を総務省に提出。去年1月には"データ補正"も始まり、抽出調査に3を掛けて全数調査に近づけていたとみられています。

しかし先月、総務省統計委員会が「調査結果が不自然」と指摘し、厚労省はついに今月になって不正を公表した。安倍総理は再度調査を行い、過去に遡り給付する方針を示していますが、対象者はのべ2015万人、給付額は合わせて564億円になる見通しで、システム改修などの費用も加えると、総額約795億円がかかる可能性があるといいます。

問題発覚を受け、小泉進次郎厚生労働部会長は「法律を守る意識がないからこういう事案が生まれるのか、それとも法律を守らなければいけないが無理がきて、守らないといけないからといって捻じ曲げて嘘をつき通す形になっているのか。役所自身の責任感を発揮していただきたい」と指摘しています。

今回の件は、厚生労働省統計情報部の中の課の話ですから、そこの部長にも上がっていなかったかもしれないです。だから当然のことながら事務次官も知らず、厚労省で統計に関わっている職員は200人くらいしかいないので、数人の職員しか知らず、課長さえも知らなかった可能性もあります。

ただし、まともな統計の手法でやれば、3分の1の抽出でもほとんど正確に把握できるはずです。元々統計というのは抽出調査をするものです。200万事業所のうち3万件調査するところ、東京だけ1000少なかったにもかかわらず、2万9000で割り算をせず、3万で割っていました。

そこで生じた誤差0.3%〜0.4%分だけ水準が低くなり、それに基づく雇用保険などに過不足が出たのです。2015年の段階で方法を変えるか、もうちょっとお金をかけていれば良かったかもしれません。

今回の件が発生した背景には、まず第一に日本政府の中に数字でやるという風土があまりないことが挙げられます。ほとんどが文系の人ばかりで、"みんな訳わからない"という感じになっているようです。
冒頭の高橋氏の記事にもあるように、海外では統計の部署が横断的な組織になっています。統計はスペシャリストのものですし、博士号を持っている人がやるような仕事になっています。
それに対し日本は各省それぞれが持っているし、この30年農水省だけで統計関連の職員が数千人減っているのですが、縦割りなので減った分を他の省に回すこともできません。日本の統計職員は世界的に見ても少ないし、不安に見えます。だから他にも怪しい統計もある可能性高いです。
実際24日には、厚生労働省が不適切な手法で統計調査を行っていた問題を受けて、政府がほかの統計調査を点検した結果、財務省の「法人企業統計調査」で、本来発表すべきデータの一部を掲載していないミスがあったことが分かりました。

この結果、財務省が、全国の企業およそ3万社を対象に、3か月ごとに業績や設備投資の金額を聞き取る「法人企業統計調査」で、本来発表すべきデータを掲載していないミスがあったことが分かりました。

掲載漏れが見つかったのは、68ある業種区分のうちの「損害保険業」で、平成20年度から29年度までの10年間にわたって、「配当率」、「配当性向」、それに、「内部留保率」の3つが掲載されていませんでした。

財務省では、これら3つのデータは、すでに公表している別のデータから算出可能だとしていて、速やかにホームページに追加して掲載することにしています。

過去に公表した調査結果を修正する必要はないということで、財務省は「二度とこのようなことがないよう再発防止に努める」としています。

今後、厚労省は弁護士など第三者からなる特別監察委員会を開き、事実関係を調べる方針ですが、弁護士で良いのでしょうか。彼らも、統計のプロではありません。やはり、統計の専門家を特別監査委員会に加えるべきです。
それにしても、十数年続いた統計不正問題を見つけた政権や大臣が責任とらさられるなら、もう誰も問題を暴こうとしなくなるでしょう。朝日新聞や野党の安倍叩きのもたらす弊害は深刻です。

しかも批判するなら上記のように、予算を削って、統計に関わる人々を少なくしてしまった財務省の緊縮主義が筆頭にあげられるべきなのに、そこはなぜか無視です。彼らも、問題の本質がわかっていないのでしょう。

勤労統計不正の背景には、現状では担当部署が予算が少なく、しかも初歩的な統計知識ない人材しか育成できておらず、そうなってしまったのはこの20数年の財務省の緊縮主義があると理解すべきです。その緊縮主義に加担してきた経済学者たちやメディアが今更騒いでいるのは滑稽ですらあります。

これは何やら、金融緩和が雇用と密接に結びついているということを理解しない人が日本には多いということ、デフレや、景気が悪いときには、緊縮財政ではなく積極財政をすべきことなどという経済の常識とも共通点があると思います。

文系だろうが、理系だろうが、長期の数字の動きと、短期の数字の動きをみる習慣があれば、このようなこともすぐ理解できるはずです。

政治家や官僚などは、高等数学は知らなくても良いですが、少なくとも様々な統計数字、最低5個くらいは、その数字の動きとその意味するところを知る努力は欠かすべきではないです。

それすらできない人は、政治家や、官僚、報道人、学者などになるべきではないです。これらの人が数字ではなく、情緒でものを語っても無意味ですし、馬鹿をさらけ出すことになるだけです。

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2014年4月24日木曜日

オバマ大統領が尖閣は安保条約の対象と明言、中国にも配慮―【私の論評】お花畑オバマは、尖閣衝突を誘発するだけ!!ブッシュなら中国に配慮するリバランスなど表明しなかっただろう(゚д゚)!

オバマ大統領が尖閣は安保条約の対象と明言、中国にも配慮

すし店での首相主催の夕食会で、歓談するオバマ米大統領と安部首相

安倍晋三首相と来日中のオバマ米大統領は24日午前に会談し、アジアの安定に日米同盟が果たす役割の重要性を確認した。オバマ大統領は尖閣諸島(中国名:釣魚島)が日米安全保障条約の適用対象であることを明言、日本が進める集団的自衛権の行使容認の動きを支持するなど、安倍政権にとって実りの多い会談となった。

一方で、オバマ大統領は日中の領土問題に対する立場を明確にせず、中国に配慮する姿勢もみせた。難航している環太平洋連携協定(TPP)の日米交渉については、閣僚協議を継続することとした。

・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・

並んで会見した安倍首相は、「同盟強化へのオバマ大統領の情熱を信じている。米国を信頼している」などと語った。日本が進めようとしている集団的自衛権の行使容認についても、会談のなかでオバマ大統領から支持を得たという。

さらに会見でオバマ大統領は、中国が領有権を主張している沖縄県の尖閣諸島に言及。「日本の施政下にある領土は、尖閣諸島も含め日米安全保障の適用対象になる」と述べ、武力衝突が起きた際は米軍が防衛義務を負うことを明言した。これまでもヘーゲル国防長官などが示してきた米政府の公式見解だが、初めてオバマ大統領が発言することで、中国をけん制する形になった。

・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・

その一方、米国にとって中国は利害を共有する相手でもある。そのためオバマ大統領は一定の配慮を見せ、「領有権の決定的な立場は示さない」と語り、日中の領土問題には踏み込まない米政府の方針をあらためて示した。その上で、日本と中国がこの問題を平和的に解決することを望んでいると述べた。尖閣諸島をめぐって日中で武力衝突が起きた場合に、米国が軍事介入に踏み切る一線はどこかと記者から問われ、「レッドラインは引かれていない」とも語った。

拓殖大学海外事情研究所の川上高司所長は、「尖閣が安保条約の適用対象であること、集団的自衛権に対する支持を取り付けたことは、安倍首相にとって勝利だった」と指摘。しかし「オバマ大統領は同じく中国に対してもリバランス(重要視)した。中国にとっては、米国は武力介入してこないとも解釈できる」と話す。

この記事の詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】お花畑オバマは、尖閣衝突を誘発するだけ!!ブッシュなら中国に配慮リバランスなど表明しなかっただろう(゚д゚)!

それにしても、中国に配慮したリバランスは余計でした。これでは、オバマは尖閣の紛争を誘発しているようなものです。

リバランスを直訳すると、「再均衡」という意味ですが、軍事と外交の軸足をアフガニスタン、イラクなどの中東、中央アジア地域から、経済発展著しいアジア太平洋へ移していくことを指します。

これは、中国の軍事的、経済的な台頭に対応し、日本、ASEAN、オーストラリアなどとの連携を強化するため、オバマ政権が2011年11月にかかげた政策です。しかし、しかしリバランス政策には大きな矛盾があることを露呈しました。

オバマ政権の真の狙いは、中国を牽制するのではなく、米国が主導する秩序に中国をうまく組み込ませていくことです。当然、アジア諸国も、アメリカは中国を孤立させることは賢明でないとみなしていると考えており、中国を牽制する目的を含んだリバランス政策には、懐疑的です。

この中国を配慮したリバランスは、安倍総理の構想である「安全保障のダイヤモンド」とは根本的に異なるようです。

それに、オバマは中国の現体制が、このまま継続するとはとても思えないにもかかわらず、そのように考えているようです。

そもそも、オバマは尖閣は日本固有の領土あり、日本と中国の間には領土問題など存在しないとはっきり表明すべきでした。しかし、中国を考慮したリバランスという立場上、それを思いとどまったのかもしれません。

本来はこのような意思表明もっとずっと前にすべきでした。今回は遅ればせながらしたわけですが、全くタイミングを逸しています。

オバマが、こうした声明をすべきであったことは、このブログの過去の記事にも掲載しています。その記事のURLを以下に掲載します。
「オバマ政権は尖閣は日本領と表明せよ」 米紙ウォールストリート・ジャーナルが主張―【私の論評】オバマは尖閣日本領表明によって、自ら頭の中のお花畑の虚構に生きるルーピーではないことを証明せよ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、2013年11月1日付のアメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙が、「尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる日本と中国の対立を社説で取り上げ、オバマ米大統領に尖閣諸島が日本の領土であると明確に表明するよう求めた」ことを掲載しました。

私自身は、この時点でも遅いと思ったくらいです。オバマあたりがもっと先にはっきりとこれを表明していれば、尖閣問題は現状ほどにはこじれなかったと思います。中国政府は、尖閣での示威行動を通じて、日本の出方を見るということは無論のこと、アメリカの出方を見ていたというところも、あります。

中国は、いろいろ示威行動を続けても、アメリカが尖閣は日本の領土とはっきり表明しないということで、勢いづいたというところは間違いなくあったと思います。


今やアメリカの三馬鹿の一人と称される、オバマ
 オバマ、最近外交はまるで駄目です。シリアでも、ウクラナイでも大失敗です。今回の尖閣問題に関しての発言は、時期を逸したということと、中国に配慮したリバランスしたということで全く意味のないものになったどころか、中国尖閣挑発の格好の裏付けを与えたようなものです。

これは、オバマのシリア問題での大失敗、ウクラナイ問題での大失敗によっても十分証明されたと思います。

このままだと、尖閣も第二のシリア、第二のウクラナイになってしまうおそれも十分あります。日本としては、中国が尖閣で挑発するなら、毅然たる態度で臨むべきでしょう。尖閣には、一兵たりとも上陸させない。上陸すれば、全員殲滅。寸土の土地も譲らないという態度でのぞむべきです。

しかし、これほど米国大統領の来日が一般国民に軽視されることは過去69年間の戦後の日米関係の歴史でなかったことです。

オバマ以前の大統領であれば、もっと歓迎されていました。

たとえば、あのブッシュでさえ、もっと歓迎されていたと思います。

アメリカは超大国的な動きができなくなった?

オバマとブッシュの差異は、はっきりしています。たとえば、中国問題一つとっても、ブッシュまでは少なくとも年に一回くらいは大統領自らが、中国は、民主化されていないこと、政治と経済が分離されていないこと、法治国家化もされていないことなどに対して、苦言を呈していました。

オバマも発言はするのですが、シリア、ウクラナイなどの例を見てもわかるように、すっかりタイミングを逸してから発言するなどの不手際が目立ちすぎです。最近の、プーチンのウクライナ対策などをみていると、オバマは超大国の大統領としての動きがとれていません。

ロシアは、今や経済的にも軍事的にもとるに足りない国になりましたが、それでもロシアのプーチンは、超大国なみの動きをしていて、小国ロシアの国益のために努力しています。

米国は、今や世界で唯一の超大国なのですが、オバマはとても超大国の大統領とは思えないような行動ばかりしています。

このオバマの外交オンチ、いかんともしがたいです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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