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2019年1月30日水曜日

厚労省の無理解が招く「統計不正」お手盛り調査の愚―【私の論評】統計不正は、財務省の緊縮が誘発した(゚д゚)!

厚労省の無理解が招く「統計不正」お手盛り調査の愚
「統計法違反」の調査を”身内”に委ねる信じがたい感覚

第198回通常国会にて施政方針演説を行う安倍首相。「統計不正」は今国会の焦点になりそうだ

 毎月勤労統計の不正調査が問題になっていて、今国会でも与野党で厳しい論戦になりそうだ。

 根本厚労大臣は、国会開催前に素早く調査したが、その調査方法が野党から批判されている。「第三者」による調査が相当あやしいものであることが明らかになってきたのだ。

 そこで、実態が明らかになれば批判を招くのが確実な調査方法を、なぜ厚労省、あるいは厚労省特別監察委員会はとってしまったのだろうか。
国会提出前に予算案が修正される異常事態

 まず、今回の統計不正事件を振り返っておこう。

 今年1月11日の厚労省のホームページ( https://www.mhlw.go.jp/content/10700000/000467631.pdf)によれば、毎月勤労統計において、①全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたこと、②統計的処理として復元すべきところを復元しなかったこと、③調査対象事業所数が公表資料よりも概ね1割程度少なかったことを明らかにしている。

 ①では、毎月勤労統計は従業員500人以上の事業所は全数調査がルールだが、2004年からは、東京都内1400事業所のうち3分の1だけを抽出していたという。

 ②では、2004~2017年の調査で、一部抽出調査であるのに、全数調査としていたために、統計数字が過小になっていた。

 ③では、1996年から全国3万3000事業所を調査すべきを3万事業者しか調査しなかった。ただし、誤差率は実際の回収数を元に算出されていたので、誤差率への影響はないという。

 手続き面からみれば、①~③は、統計法違反ともいえるもので、完全にアウトである。

 実害という観点でいえば、②のために、2004~2017年の統計データが誤っていたということになり、統計の信頼を著しく損なうとともに、雇用給付金等の算出根拠が異なることとなり、この間の追加支給はのべ1900万人以上、総計560億円程度になる。

 これらの措置のために、来年度予算案は修正されている。予算案が国会提出前に修正され閣議決定をやり直すことはちょっと記憶にないほどの異例な事態だ。
あまりに早すぎだった調査報告書の公表

 予算面の金額もさることながら、今回の統計不正により、国家の根幹となる統計数字への国民の信頼が大きく揺らいでいる。筆者のように、データに基づく分析を行う者にとっては、とてもショッキングな出来事だ。

 もっとも、今回の統計不正について、厚労省の対応は驚くほど素早かった。事件発覚後10日ほどのうちに、「第三者委員会」として「毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会」を立ち上げ、責任の所在の解明を行った。

 1月22日、「毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会」の報告書を公表(https://www.mhlw.go.jp/content/10108000/000472506.pdf)、関係者の処分を行った( https://www.mhlw.go.jp/content/10108000/000472513.pdf)。

厚労省らしからぬ素早さに驚いていると、「毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会」そのものやその調査方法に疑惑がでてきた。

 まず、指摘したいのは、本件は統計法違反の案件という点だ。こういう事案であれば、第三者とは告発した先の捜査当局である。まずこれが筋であって、もし告発しないなら、可能な限り捜査当局のような姿に近づけないと第三者とはいえなくなる。

「毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会」の委員長は樋口美雄氏。この方は慶大出身の学者だが、今は厚労省所管の労働政策研究・研修機構理事長。これでは、外形的に中立性を疑われてしまう。

 労働政策研究・研修機構は独立した行政法人であるが、そのトップは厚労大臣が任命する(独立行政法人通則法第20条)からだ。

 労働政策研究・研修機構は、厚労省からみれば、いわば子会社であり、身内感覚だろう。

 元役人の筆者の感覚では、少なくとも外形的にはもう少し中立的な「第三者」にしないとまずい。思わず笑ってしまうところだ。

 さらに、本件発覚後の「毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会」によるスピード調査は、あまりに素早すぎて、事実上厚労省がやったのがバレバレだ。

 こうした「委員会」は、実際には事務局である役所がほとんど仕切り、「委員会」の委員はお飾りである。

 それでも外形的にお飾りがバレないように時間をかけて検討し、委員がやった痕跡は残すようにする。

 今回の場合、あまりに早すぎで、10日で調査後、立派な報告書が出てくると、流石に委員ではなく役人がみんなやったのでしょうとなるだろう。

 それが、委員の職員への聴取において、厚労省官房長が職員に質問していたことが発覚し、報道されてしまう。実態は、厚労省が職員への聴取を行う場に、委員が同席させてもらったのだろう。

激減する政府の統計職員数

 なぜこのような無様なことになったのか。筆者の推測では、後で述べるような、今回の統計不正の本質について厚労省幹部がわかっていなかったからだ。

 もし本質がわかっていれば、意図的に時間をかけて対応できる。わかっていないと、国会開催が迫る中、追及されたくないあまり、早く決着を焦り、稚拙な第三者委員会を作り、拙速な調査で関係者処分を行う。つまり、厚労省幹部が国会答弁を上手くできないので、答弁しないで済むように早期決着を目論んだのだ。

 今回の場合、外形的に第三者に疑惑の念なしの委員会を立ち上げ、時間をかけて調査し、国会では、今調査中を連発し、頃合いを見て、調査結果を公表、関係者を処分、今後の予防策を打ち出すのが手筋だ。

 今回の件で、①全数調査ではなく一部抽出は、手続きとしては完全なアウトであるが、正式な手続きを踏めば統計的には正当化ができる。そもそも統計は全数調査ではなく抽出調査でも一定の精度を確保するための学問だ。

 なぜ抽出調査に切り替えざるを得なかったのが今回の問題の本質だ。

 それは、統計業務の人員・予算カットがある。

 まず、日本政府の統計職員数について、国際比較の観点から見てみよう。総務省の資料によれば、国の統計職員数は1940人(2018年4月1日)。省庁別では、農水省613人、総務省584人、経産省245人、厚労省233人、内閣府92人、財務省74人、国交省51人などである。

 なお、2004年でみると、農水省には4674人の統計職員がいたが、農業統計のニーズの減少のため、これまで4000名以上を削減してきた。他の省庁でも、若干の減少である。今回問題になった厚労省は351人の職員だったが、今や233人に減少している。

 日本政府の統計職員数は1940人であるが、これは人口10万人あたり、2人である。2012年でみると、アメリカ4人、イギリス7人、ドイツ3人、フランス10人、カナダ16人であり、日本の現状は必ずしも十分とは言えない。

 どこの世界でも同じだと思うが、統計の世界でも、従事人員の不足は間違いを招くという有名な実例がある。1980年代のイギリスだ。政府全体の統計職員約9000人のうち、2500人(全体の約28%)を削減したところ、1980年代後半になって、国民所得の生産・分配・消費の各部門の所得額が一致せず、経済分析の基礎となる国民所得統計の信頼が失われてしまった。

 日本の統計業務では、人数だけではなく質の問題もある。海外では、統計職員は博士号持ちの専門家が多いが、日本ではまずいない。

 しかも、日本では各省ごとに統計が分散し省庁縦割りだ。そのため、省庁ごとの壁があり、農水省の統計職員の減員分を各省に配分することができなかった。もし横断的な専門組織があれば、統計人員・予算の大幅減少は避けられただろう。

 こうした問題の本質をつかみ、今後の対策として横断的な統計専門部署の創設まで準備しておれば、安心して、第三者委員会での調査に時間がかけられたはずだ。

 このように対応できなかったのは、統計不正問題の本質の把握ができなかった証であり、それこそが重大である。

【私の論評】統計不正は、財務省の緊縮が誘発した(゚д゚)!

今回問題となっている「毎月勤労統計」とは、賃金、労働時間及び雇用の変動を明らかにすることを目的に厚生労働省が実施する調査です(調査の概要と用語の定義はこちらをご覧下さい)。

その前身も含めると大正12年から始まっており、統計法(平成19年法律第53号)に基づき、国の重要な統計調査である基幹統計調査として実施しています。

毎月勤労統計調査は、常用労働者5人以上の事業所を対象として毎月実施する全国調査及び都道府県別に実施する地方調査のほか、常用労働者1~4人の事業所を対象として年1回7月分について特別調査を実施しています。

調査方法は、下の図のようなかたちで行われています。


「毎月勤労統計」に関して、さらに詳細を知りたいかたは以下をクリックしてください。
本来、従業員500人以上の全企業を調査対象にする(全数調査)ところを、東京都では抽出調査にしていたのですが、そこで厚労省は該当の1464事業所のうち491の事業所だけを不適切に抜き出し、調査を済ませていたといいます。これにより実情との誤差が生じ、失業給付などが本来より少なく給付されていたというのです。

この問題が発覚したのは去年12月ですが、不適切な調査は2004年から10年以上に渡って行われており、担当部署にはそれを正当化するような記述を含むマニュアルまで存在しました。

しかしこれも2015年以降に削除され、組織的な隠蔽が図られていた疑いもあります。さらに2016年10月には厚労大臣の名で「全数調査を継続する」旨の書類を総務省に提出。去年1月には"データ補正"も始まり、抽出調査に3を掛けて全数調査に近づけていたとみられています。

しかし先月、総務省統計委員会が「調査結果が不自然」と指摘し、厚労省はついに今月になって不正を公表した。安倍総理は再度調査を行い、過去に遡り給付する方針を示していますが、対象者はのべ2015万人、給付額は合わせて564億円になる見通しで、システム改修などの費用も加えると、総額約795億円がかかる可能性があるといいます。

問題発覚を受け、小泉進次郎厚生労働部会長は「法律を守る意識がないからこういう事案が生まれるのか、それとも法律を守らなければいけないが無理がきて、守らないといけないからといって捻じ曲げて嘘をつき通す形になっているのか。役所自身の責任感を発揮していただきたい」と指摘しています。

今回の件は、厚生労働省統計情報部の中の課の話ですから、そこの部長にも上がっていなかったかもしれないです。だから当然のことながら事務次官も知らず、厚労省で統計に関わっている職員は200人くらいしかいないので、数人の職員しか知らず、課長さえも知らなかった可能性もあります。

ただし、まともな統計の手法でやれば、3分の1の抽出でもほとんど正確に把握できるはずです。元々統計というのは抽出調査をするものです。200万事業所のうち3万件調査するところ、東京だけ1000少なかったにもかかわらず、2万9000で割り算をせず、3万で割っていました。

そこで生じた誤差0.3%〜0.4%分だけ水準が低くなり、それに基づく雇用保険などに過不足が出たのです。2015年の段階で方法を変えるか、もうちょっとお金をかけていれば良かったかもしれません。

今回の件が発生した背景には、まず第一に日本政府の中に数字でやるという風土があまりないことが挙げられます。ほとんどが文系の人ばかりで、"みんな訳わからない"という感じになっているようです。
冒頭の高橋氏の記事にもあるように、海外では統計の部署が横断的な組織になっています。統計はスペシャリストのものですし、博士号を持っている人がやるような仕事になっています。
それに対し日本は各省それぞれが持っているし、この30年農水省だけで統計関連の職員が数千人減っているのですが、縦割りなので減った分を他の省に回すこともできません。日本の統計職員は世界的に見ても少ないし、不安に見えます。だから他にも怪しい統計もある可能性高いです。
実際24日には、厚生労働省が不適切な手法で統計調査を行っていた問題を受けて、政府がほかの統計調査を点検した結果、財務省の「法人企業統計調査」で、本来発表すべきデータの一部を掲載していないミスがあったことが分かりました。

この結果、財務省が、全国の企業およそ3万社を対象に、3か月ごとに業績や設備投資の金額を聞き取る「法人企業統計調査」で、本来発表すべきデータを掲載していないミスがあったことが分かりました。

掲載漏れが見つかったのは、68ある業種区分のうちの「損害保険業」で、平成20年度から29年度までの10年間にわたって、「配当率」、「配当性向」、それに、「内部留保率」の3つが掲載されていませんでした。

財務省では、これら3つのデータは、すでに公表している別のデータから算出可能だとしていて、速やかにホームページに追加して掲載することにしています。

過去に公表した調査結果を修正する必要はないということで、財務省は「二度とこのようなことがないよう再発防止に努める」としています。

今後、厚労省は弁護士など第三者からなる特別監察委員会を開き、事実関係を調べる方針ですが、弁護士で良いのでしょうか。彼らも、統計のプロではありません。やはり、統計の専門家を特別監査委員会に加えるべきです。
それにしても、十数年続いた統計不正問題を見つけた政権や大臣が責任とらさられるなら、もう誰も問題を暴こうとしなくなるでしょう。朝日新聞や野党の安倍叩きのもたらす弊害は深刻です。

しかも批判するなら上記のように、予算を削って、統計に関わる人々を少なくしてしまった財務省の緊縮主義が筆頭にあげられるべきなのに、そこはなぜか無視です。彼らも、問題の本質がわかっていないのでしょう。

勤労統計不正の背景には、現状では担当部署が予算が少なく、しかも初歩的な統計知識ない人材しか育成できておらず、そうなってしまったのはこの20数年の財務省の緊縮主義があると理解すべきです。その緊縮主義に加担してきた経済学者たちやメディアが今更騒いでいるのは滑稽ですらあります。

これは何やら、金融緩和が雇用と密接に結びついているということを理解しない人が日本には多いということ、デフレや、景気が悪いときには、緊縮財政ではなく積極財政をすべきことなどという経済の常識とも共通点があると思います。

文系だろうが、理系だろうが、長期の数字の動きと、短期の数字の動きをみる習慣があれば、このようなこともすぐ理解できるはずです。

政治家や官僚などは、高等数学は知らなくても良いですが、少なくとも様々な統計数字、最低5個くらいは、その数字の動きとその意味するところを知る努力は欠かすべきではないです。

それすらできない人は、政治家や、官僚、報道人、学者などになるべきではないです。これらの人が数字ではなく、情緒でものを語っても無意味ですし、馬鹿をさらけ出すことになるだけです。

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2018年11月11日日曜日

【熱戦と日本の針路】エスカレートする米中の軍事的緊張… 安倍政権は中国封じに「財政出動」を― 【私の論評】日本が増税等の緊縮で「ぶったるみドイツ」のようになれば米は日本にも制裁を課す(゚д゚)!



 ドナルド・トランプ米政権は、経済分野でチャイナ(中国)を締め上げているだけではない。軍事的にも、その影響力を封じ込めるために積極的に行動している。

 米海軍のイージス駆逐艦「ディケーター」が9月30日、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島周辺で「航行の自由作戦」を実行中、中国海軍の蘭州級駆逐艦が41メートルの距離まで異常接近する事件が発生した。米側の発表によると、警告にも関わらず、中国駆逐艦は攻撃的な動きを繰り返したという。

 米空軍は9月下旬、核兵器搭載可能なB52戦略爆撃機を南シナ海に派遣し、中国への圧力を強めた。ジェームズ・マティス米国防長官は、10月中旬に予定していた中国訪問を取りやめている。

 米海軍のイージス駆逐艦「カーティス・ウィルバー」と、イージス巡洋艦「アンティータム」は10月22日、台湾海峡を航行し、米国が台湾の独立を擁護する姿勢を明示した。米国防総省のロブ・マニング報道部長は「2隻の航行は、米国が掲げる『自由で開かれたインド太平洋』構想に基づく。今後も艦船や航空機の航行や飛行を続ける」と明言した。

 米国は8月9日、宇宙軍の創設を発表した。これはロシアではなく、中国の宇宙戦力拡張に対抗するためである。米国がロシアを警戒しながらも、敵対していないことは、米露両国が10月9日、合同で金星探査ロケットの打ち上げを2026年に計画していると発表したことでも分かる。

 トランプ氏が10月20日に発表した中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄方針も、ターゲットは中国である。中国はINF条約に署名していないので、まったく制限を受けることなく中距離核ミサイルを拡充してきた。

 中国共産党は国内で、ウイグル人、チベット人への残酷な抑圧体制をますます強化している。在日ウイグル人のトゥール・ムハメット氏によれば、強制収容所に収監されているウイグル人は300万人を超えているという。在日チベット人学者のペマ・ギャルポ拓殖大学教授の推測では、過去10年間に、共産党政権に対して焼身抗議したチベット人の数は1000人を超えている。

 マイク・ペンス米副大統領による10月4日の演説は、こうした中国の人権抑圧体制との全面戦争を宣言したものだ。

 「米中熱戦」の最中に、日本企業が中国経済への協力を進めるのは、いかにも日本の国益に反した行為である。こうした人権抑圧体制に協力して、利益を上げること自体が非倫理的である。

 それを防ぐためにも、安倍晋三政権は消費増税を延期して、積極的な財政出動で国内市場の拡大を図るべきだ。そうすれば、日本企業が「一帯一路」などという、怪しげなビジネスに取り込まれなくても済む。

 国際通貨基金(IMF)は10月10日、日本政府の資産と債務はバランスがとれており、債務過剰ではないと発表した。今や自信をもって、安倍政権は財政出動を行うべきである。 =おわり

 ■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオなどで活躍する。著書に『国境ある経済の復活』(徳間書店)、『太平洋戦争の大嘘』(ダイレクト出版)など多数。

【私の論評】日本が増税等の緊縮で「ぶったるみドイツ」のようになれば米は日本にも制裁を課す(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にもあるように、日本は一帯一路に参加するべきではありません。それは今後の対米関係を考えれば当然そういうことになります。それ以外にも理由があります
それは、一帯一路の前途が暗く、失敗の可能性が高いことです。日本は中国の覇権主義的拡張政策から距離を取ったほうが良いです。その理由を以下に述べます
第1に、一帯一路に対し他の地域大国が必ずしも支持を表明していないことです。6月10日に中国の青島で開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議で、習近平国家主席は加盟国のリーダーたちから支持表明を獲得して結束を演じようと腐心しました。ところがかねて反対姿勢を崩さなかったインドは支持を表明しませんでした。
ロシアはどうでしょうか。中国が外国元首に初めて与えた「友誼勲章」を胸にSCO会議を後にしたプーチン大統領。その翌日に開催したのが、ユーラシア経済同盟に加わる旧ソ連5カ国の代表による集団安全保障会議だったのが象徴的です。
同盟には旧ソ連圏の権益を守り、中国の進出を防ごうとの共通した狙いがあます。特にプーチンがロシアの裏庭と見なす中央アジアにおいて、一帯一路の伸長と各国への食い込みに神経をとがらせています。
時を同じくして、ロシアは中国のミネラルウオーター企業が極東の水がめ、バイカル湖から飲料水を採取するのを禁じる措置を取りました。ロシア人の流出が進むシベリアに大挙して進出してくる中国系企業は、環境を破壊するだけでなく政治的な脅威と化しつつもあります。
歴史的に中国は「シベリアから樺太までの広大な領土を帝政ロシアに奪われた」と思い込んできました。いつかは「失地回復」しようという野心にロシアは気付いています。
第2に、日本は東シナ海の自国領を守り、中東産石油の安定供給を確保するため、インドやアメリカ、オーストラリアなどを加えた「自由で開かれたインド太平洋戦略」を唱えています。日本が一帯一路に反対するインドと戦略的に組もうとしながら、裏では中国に笑顔を見せれば、国際社会から批判されることになるでしょう。そうした日本の無節操は、民主主義や人権尊重の思想を共有する国との関係を強化しようという、従来の「価値観外交」から逸脱することになります。
第3に、日本は自らの積極的な関与によって、一帯一路の不透明な部分を改善できる、と過信しているところがあります。中国は既に海でも陸でも、一帯一路に巻き込まれた小国を借金漬けにし、中国政府の呪縛から離脱できないようにしてきました。
港湾整備に巨額の融資が投入され、返済のめどが立たなくなったスリランカは仕方なく港湾権益を中国に99年間の契約で譲渡しました。ラオスやタジキスタン、モンゴルなど陸の沿線国も多額の借金を抱え、中国の息が掛かった商人が政治に介入し始めました。
パキスタンでは中国の支援によって、アラビア海と中国西部を陸路で結ぶグワダル港開発が進行。その結果、国際社会が進めるテロ封じ込めにまで支障を来しています。実際、パキスタンはイスラム原理主義勢力タリバンよりも、中国が「分離独立主義者」と敵視する亡命ウイグル人に対する弾圧を強めているほどです。

日本はこうした中国の反人道的行為に加担するのか、良識が問われています。日本は70年代から戦時賠償金の代わりに円借款を超低金利で提供し、中国の近代化に大きく貢献しました。だが日本がいくら真摯に過去の反省を示しても、中国政府が扇動する反日の炎は消えませんでした。機会さえあれば、「打倒小日本(ちんぴら日本をつぶせ)」という官製の反日ナショナリズムが再燃しました。

一帯一路に協力し、日本が供与したハイテク技術が中国軍の空母や武器と化すことになります。将来、日本の政治家や財界が後悔してももう間に合わないのです。

 次に、上の記事では、安倍政権は、日本企業が「一帯一路」などという、怪しげなビジネスに取り込まれないように財政出動をすべきとしていますが、それ以外にも理由はありませす。

それは、このブログにも過去に何度か経済してきたように、日本が「ぶったるみドイツ」のようにならないためにも、財政出動が必要です。

緊縮に緊縮を重ねてきたドイツがどのようになっているか、特の安全保障面でどのようにひどいことになったのかは、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ドイツの緊縮財政により安全保障に悪影響をおよぼしている状況を記載している部分を以下に引用します。
ドイツ空軍(ルフトヴァッフェ)の主力戦闘機「ユーロ・ファイター」のほぼ全機に“深刻な問題”が発生し、戦闘任務に投入できない事態となっています。現地メディアによれば全128機のうち戦闘行動が可能なのはわずか4機とも。原因は絶望的な予算不足にあり、独メルケル政権は防衛費の増額を約束したが、その有効性は疑問視されるばかりです。 
ドイツは“緊縮予算”を続けており、その煽りを受けてドイツの防衛費不足は切迫しています。空軍だけではなくドイツ陸軍においても244輌あるレオパルト2戦車のうち、戦闘行動可能なのは95輌などといった実態も報告されています。 
こうした状況に追い込まれた原因の一つとして、ドイツを含む欧州連合(EU)には、財政赤字が対GDP比で3%、債務残高が対GDPで60%を超えないこととする「マーストリヒト基準」があり、財政健全化を重視しすぎるとの声が経済専門家の間にはあります。
ドイツの主力戦車「レオパルド2」
昨年10月15日、ドイツ潜水艦U-35がノルウェー沖で潜航しようとしたところ、x字形の潜航舵が岩礁とぶつかり、損傷が甚大で単独帰港できなくなったのです。 
ドイツ国防軍広報官ヨハネス・ドゥムレセ大佐 Capt. Johannes Dumrese はドイツ国内誌でU-35事故で異例の結果が生まれたと語っています。
ドイツ海軍の通常動力型潜水艦212型。ドイツが設計 建造しドイツの優れた造艦技術と
最先端科学の集大成であり、世界で初めて燃料電池を採用したAIP搭載潜水艦である。
紙の上ではドイツ海軍に高性能大気非依存型推進式212A型潜水艦6隻が在籍し、各艦は二週間以上超静粛潜航を継続できることになっています。ところがドイツ海軍には、この事故で作戦投入可能な潜水艦が一隻もなくなってしまったというのです。 
Uボートの大量投入による潜水艦作戦を初めて実用化したのがドイツ海軍で、連合国を二回の大戦で苦しめました。今日のUボート部隊はバルト海の防衛任務が主で規模的にもに小さいです。 
212A型は水素燃料電池で二週間潜航でき、ディーゼル艦の数日間から飛躍的に伸びました。理論上はドイツ潜水艦はステルス短距離制海任務や情報収集に最適な装備で、コストは米原子力潜水艦の四分の一程度です。 
ただし、同型初号艦U-31は2014年から稼働不能のままで修理は2017年12月に完了予定ですかが再配備に公試数か月が必要だとされています。
ドイツ軍が、緊縮財政でこのような様になっているのです。日本の自衛隊はこれほど酷くはないですが、それにしても以前から緊縮で自衛隊員の工夫でなんとかしてきましたが、 来年10 月から緊縮財政の一手法でもある、消費税の10% への増税をしてしまえば、一時税収が増えたにしても、その後は再度デフレに舞い戻り、税収が大幅に減ることが十分予想されます。

ドイツの場合は、中国からは距離的になかり離れています。直接の脅威はロシアですが、そのロシアは現状ではGDPが韓国より若干少ない程度です。韓国のGDPは東京都と同程度です。ロシアというと大国扱いされることがありますが、それはソ連時代の核を継承しているのと、軍事技術が進んでいるからであり、実際には大国ではありません。また、人口も1億4千万人であり、日本より2千万多い程度です。

そのロシアは現状では、NATOと直接対峙する力はないです。だからドイツの軍事力が現状のように緊縮でとんでもないことになったにしても、EUはドイツ以外にも大国があるのでなんとかなります。

しかし、アジアにおける中国はロシアとは違います。中国の国民一人当たりのGDP は日米には及ばないですが、それにしても中国は人口が多く13 億人以上であり、国全体のGDPは世界第2位であり、やはり日本がしっかりと中国に対峙しないと、とんでもないことになります。

日本は、少なくとも日本の領土は日本が守る体制を整え、米国が中国と対峙しているときには、少なくとも米国を支援できる体制を整えなければなりません。

そのような時に、緊縮財政をして、安全保障にかける資金が逼迫すれば、日本も「ぶったるみドイツ」のような状況になりかねません。そうなれば、アジアの安全保障の状況はかなりかわり、中国にとって都合の良い状況になるのはいうまでもありません。

そんな状況をトランプ政権が許容するはずもありません。一帯一路が原因で、日本がこのような状況に陥れば、米国は日本に対しても制裁を課すことになるでしょう。

日中友好などに浮かれて、一帯一路に浮かれて、協力をした企業など、真っ先に米国の制裁対象となるでしょう。一対一路は儲けにならず、米国から制裁を受け、日本企業は半殺しの目にあうかもしれません。

また、消費税増税などの緊縮財政を実行して、それが故に安全保証が疎かになり結果として日本が「ぶったるみドイツ」のようになれば、これも制裁の対象になるでしょう。

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2018年6月13日水曜日

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明確な定義なく「煽る」だけ…非論理的な財政破綻論者 不要な緊縮招く危険な存在

財政破綻を煽る記事 写真はブログ管理人挿入 以下同じ


 「日本が財政破綻する」「国債が暴落する」と煽(あお)る論者はいまだに少なくない。

 そもそも財政破綻などを煽る人は、なぜかその定義を明らかにしない。これまでの筆者の体験も次のようなものだった。

 その1。私「国債暴落の定義を言ってください。何カ月以内で何%とか。暴落はあるのですか」

 先方「暴落なき暴落が『あります』」(ありますを強調)

 私「暴落はないのですか」

 先方「暴落『なき』暴落があります」(なきを強調)

 その2。私「ハイパーインフレの定義は何ですか。ケーガン(経済学者)のもの? 国際会計基準?」

 先方「(一切答えず)ハイパーインフレになっていいんですか。日銀引受はハイパーインフレになるのです」

 私「日銀引受は毎年やっていますよ。私はその最高記録保持者ですが」

 先方「…」

 かつて役所内で議論した際にも、「財政破綻の定義は難しい」と言われ、定義することも避けられた。

 不良債権処理の専門書を書いたこともある筆者にとって、民間の破綻認定は簡単だった。債務の支払い能力がないというためには、基本的には貸借対照表(B/S)で債務超過を示せばいいからだ。

 政府の場合、徴税権(見えない資産)があるから債務超過でも即破綻ではないが、資産を考慮したネット債務残高がポイントだ。通貨発行権は統合政府のB/Sに出てくるので、ネット債務残高を見ればいい。ちなみにインフレ目標は、通貨発行権の乱用予防の役割もある。

 ネット債務残高というものの、その国の経済力との関係が問題になる。となれば、ネット債務残高対国内総生産(GDP)比が将来的に発散(ブログ管理人注:数列の極限値や積分の値などが有限値に定まらない、つまり無限大や不定になること。数学に詳しくない人は無限大になったとの理解で十分です)したら、破綻と言っていいだろう。

 こうした計量的に明確な定義もなく財政破綻を唱える人は、客観的に説明できずに煽るだけになる。日本の今の財政状況とは関係なく、実際に財政破綻した国で行政サービスが低下したことなど、国民生活面での不都合を強調しがちだ。または、B/Sの片方の借金だけを強調して「借金は避けるべきだ」「将来世代の負担になる」というが、見合い(ブログ管理人注:対応していること、釣り合っていること)の資産があると、こうした論法は馬脚をあらわす。

 正確に定義され計算された基礎的財政収支(プライマリーバランス)の動向は、ネット債務残高対GDP比の発散条件と密接に関わっている。通常、プライマリーバランスが赤字であっても改善傾向にあれば、ネット債務残高対GDP比はめったなことでは発散しない。プライマリーバランスが均衡化するに越したことはないが、改善さえすれば「財政破綻」を過度に心配する必要はない。

 財政破綻の定義を明確にせずに財政再建を語るのは、不必要な緊縮財政(増税、歳出カット)を招き、意図せざる失業者を発生させるので、経済にとって危険である。

 今の多くのマスコミ、学者や財界は財務省に洗脳され、財政再建を盲目的に追求し、緊縮財政そのものを目的化している。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】不況時に増税をする等の緊縮財政は「狂気の沙汰」ということだけは覚えておこう(゚д゚)!

何でも緊縮すれば良いと思い込む「緊縮脳」は始末に負えない

財政破綻論者のほとんどは当然のことながら、緊縮策の支持者です。

不況時に緊縮策をとれば景気はさらに冷え込み、その結果税収は落ち、財政状況はますます悪化する。このような事は経済学を学んだことがない人でも直感としてすぐにわかるはずだと言いたいところですが、日本のみならず、世界的に見ても不況時に緊縮こそが答えだと信じてしまう人のほうがむしろ多数派かもしれません。

さらには経済学を学んだことのある人どころか、権威あるとされる経済学者の中にも、依然としてこのような主張をする人までいます。古今東西の歴史を紐解けば緊縮策の結果として手痛い思いをした経験を持つ国は歴史的に数多くあり、その教訓を嫌というほど学んでいるはずなのに、なぜ緊縮策という「ゾンビ経済学」はこのように蘇ってくるのでしょうか。

ジョン・クギンのオーディオブック"ゾンビ経済"の表紙

日本でも、古くは江戸時代に徳川吉宗の緊縮策などを皮切りに、様々な緊縮策が何度も実行されましたが、長続きはしませんでした。さらに、戦前には日本が世界で一番はやく金融恐慌(日本では昭和恐慌)から脱却したのは、無論緊縮策ではなく、高橋是清による積極財政と金融緩和によるものでした。

こうした貴重な体験をした日本人が、過去の歴史を忘れて、緊縮策になびく人が多いというのは、全く理解に苦しむところです。しかし、世界恐慌の原因がデフレであったことが、わかったのはなんと1990年代の経済研究によるということを考えると無理もないのかもしれません。

高橋是清

それだけ、緊縮は多くの人々に支持される経済政策なのです。経済が悪い時に緊縮策が機能しないのははっきりと確かめられた事実です。緊縮策は倫理的な問題を別にしても、経済学的に不合理で誤った政策です。

経済的に正しいのは、不況の時は、財政政策と金融政策を二つとも発動せよ、です。

これはマクロ経済学を学んだ者にとっては当たり前の話です。通常の教科書モデルでも、変動相場制の国ではマンデル=フレミング効果が働いて、金融緩和の後ろ盾のない財政政策はあまり効果がありません。かといって、金融緩和だけでは、痛みの出ている箇所への集中投下ができないので即効性がなく、また大きな需給ギャップを埋めるには財政政策が不可欠になってきます。

さらに流動性の罠の下での財政出動は、クラウディングアウト(民間投資圧迫)も“後世へのツケ”も残すことはありません。

ノーベル賞受賞者でもあるアメリカの経済学者ジョセフ・スティグリッツも、不況の時の緊縮策は「自殺」への処方箋だとしています。同じくノーベル賞受賞者であるクルーグマンも、はっきり「狂気の沙汰」と言っています。過去おいては、欧州では緊縮財政で失敗しています。

日本も、安倍政権が誕生して、積極財政に踏み切るかとみられましたが、14年4月から、増税という緊縮策に踏み切ってしまいました。そのため、個人消費が低迷してしまい、今でもデフレに一歩手前の状況にあります。

ただし、金融緩和は政権発足当時が継続して行ってきたので、雇用は過去にない程良い状況になっています。

2012年に民主・自民・公明の三党合意で消費税増税法案が成立しました。そうして、14年4月から消費税が8%に増税されました。19年10月には、10%増税が予定されています。増税しないと日本が駄目になるというのですが、今の日本で緊縮財政を強行するのはデフレを長引かせるだけであり、まさに「狂気の沙汰」です。


緊縮策とは個人の行為でいえば、節約ですが、これが多くの人々の琴線に触れるのかもしれません。だれでも、贅沢三昧することよりは、節約のほうが、良いと考えるものですが、それを政府の支出にまで拡大して解釈し、緊縮こそ善であると思い込むのは完璧な「狂気沙汰」です。これは、社会の常識として多くの人々に認識していただきたいです。

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2013年10月1日火曜日

ポール・クルーグマン、日本への緊急提言「 日本:いいところを邪魔すんな 」―【私の論評】 "デフレ予想ががっちりと〔プラスの〕インフレ予想に転換するまで待てばいいじゃない"というのは、本当だ!次の10%は、インフレ予想に転換していなければ絶対阻止!めげるな反増税派闘いはこれからだ\(◎o◎)/!

ポール・クルーグマン、日本への緊急提言「日本:いいところを邪魔すんな」

2009年に来日しクルーグマン博士は、日本の経済対策の不備を語っていた
2013年10月1日 by optical_frog Leave a Comment
Paul Krugman, “Japan: Don’t Ruin A Good Thing”, September 19, 2013.
Paresh/The Khaleej Times – Dubai, UAE/CartoonArts International/The New York Times Syndicate

ここまでのところ、アベノミクスはホントにホントうまくいってる。「日本銀行は変わったんだ」、「宴もたけなわのところで酒瓶を片付けてしまうようなマネはしない」、「持続的なプラスのインフレ率を目標にする」とシグナルを送り、また、債務は高水準ではあるものの、なんらかの財政刺激をまもなく行うというシグナルも送ることによって、日本の当局者たちは、短期の経済実績で刮目すべき転回を成し遂げた。

でも、この短期の成功は、自己破滅的なおわりを迎えたりしないだろうか? 『フィナンシャルタイムズ』に最近のった論説にでてくるこの問いは、ぼくもホントに心配してる:「日本経済は、第二四半期に当初の報道よりも大幅に急速なペースで拡大した。それにともなって、安倍晋三首相が異論多数の消費増税を敢行する確率が上昇している――もっとも、この増税はさらなる政府支出によって相殺されるという話だが」

いいかな、もしかすると、日本はこの増税を受けてもなお、経済成長を維持できるかもしれない。でも、できないかもしれない。経済成長が確実に定着するまで待てばいいじゃないの。とりわけ、デフレ予想ががっちりと〔プラスの〕インフレ予想に転換するまで待てばいいじゃないの。

ぼくに言わせれば、消費税増税を延期するのは、純粋に財政の観点から見ても賢明な判断だ。日本でゼロ下限とデフレが組みあわさって生じた深刻な帰結の1つは、日本の実質金利が最近まで他の先進国よりも大幅に高くなってしまっていたことだ――これまでに積み重なった債務がすっごく大きいときには、深刻な懸念事項だよ。実質金利を下げるのは(そして、かなりの部分まで、既存の債務の実質価値を下げてやるのは)、長期的な財政の見通しにとって大いにものをいう。財政責任の名の下に、この前線で事態の進捗を危機にさらそうってのは、おろかでしかない。

そうだね、たしかにゆくゆく日本はもっと歳入を必要とするようになる。でも、リフレーションの方が先決だ。消費増税がいままさに議論されてるってことですら、マジでよくないサインだよ。

OECDの不確実っぷり
2008年以後の経済論議には、独特な特徴がある。それは、目を見張るほどの破壊的な役割を、国際的なテクノクラートたちの全員ではないまでも大半が演じてしまっている、という点だ。高い失業率と低いインフレ率に直面するなかで、主だった機関は――欧州委員会、国際決済銀行、経済協力開発機構 (OECD) などの機関は――ずっと一貫して先進諸国をいっそう落ち込ませるような政策を訴え続けている。

この記事の詳細は、こちらから(゚д゚)!

© The New York Times News Service

【私の論評】 "デフレ予想ががっちりと〔プラスの〕インフレ予想に転換するまで待てばいいじゃない"というのは、本当だ!次の10%は、インフレ予想に転換していなければ絶対阻止!めげるな反増税派闘いはこれからだ\(◎o◎)/!


8%増税は阻止できなかった\(◎o◎)/!


上のクルーグマン博士の記事、もっともです。これは、以前のもこのブログに掲載した、ニューヨーク・タイムズのサイトに掲載されている、クルーグマン博士のブログの日本訳です。このところ、世界は、緊縮派の先導により、経済成長よりも、緊縮財政という、まるで日本でいえば、経済対策といえば、倹約という江戸時代さながらの経済対策により、イギリスをはじめ、多くの国々が大失敗しています。

本日とうとう、安部総理による8%への増税の決定がありました。これに関しては、前々から予想されていたことで、こうなることは、十分判っていたのですが、それにしても、ショックです。せっかく、景気が良くなりかけていたのに、これで腰をおられて、デフレからの脱却が遠のくことは間違いないです。本当に残念です。


8%増税は阻止できかなったが?

安部総理も、苦渋の選択だったと思います。第一次安部政権の崩壊は、日銀の金融引き締めによる景気の悪化も、その一つの大きな原因でした。今回の増税も景気腰折れの危険性は十分あります。そうなれば、さんざん増税を煽った、マスコミや政治家、官僚が安部下ろしにまわることでしょう。彼らの論理は「増税は安部が意思決定したから」というものになると思います。そんなことは、絶対にさせてはなりません。

今回の増税は、日本の政治風土は、まだまだ政治主導ではなく官僚主導であることを露呈しました。多くの政治家が、全世界的な緊縮レジームの罠と、日本の官僚主導の罠に嵌って、増税やむなしとしてしまったことに気づいていません。愚かです。官僚特に、財務省は、省益を拡大するため、国民のことはそっちのけで、増税を推進しました。


そもそも、これが、増税推進派の隠れた意図だと思います。しかし、今後は、そうはいかないと思います。


10%増税は絶対阻止\(◎o◎)/!

中央銀行による不景気のときの金融緩和に関しては、アメリカ、EUなどの先進国はもとより、中国などの新興国でも、それが効き目があることは、十分実証されており、日銀の官僚が何を言っても、デフレ時期には、金融引締めではなく、金融緩和すべきというコンセンサスが政財界、国民の間でも、広くなされていたものと思います。だから、日本でも実現可能となったものと考えられます。


しかし、緊縮財政(増税も緊縮財政の一環です)に関しては、最近ようやっと、イギリスなどの緊縮財政の失敗が明らかになりつつあるところで、まだまだ、上でポークル・クルーグマン博士が述べているように、不況時の緊縮には意味がないことの全世界的なコンセンサスが得られていません。私の身の回りにも、これを理解していない人が多いです。皆さんの周りもそうだと思います。こういう人たちに、しっかりと緊縮が意味のないことを理解してもらわなければならないのです。
やられたら、倍返しだ。10%増税は絶対阻止するぞ\(◎o◎)/!

しかし、これもEUのイギリス、イタリア、スペイン、ポルトガルそうして、これからの日本の失敗が明るみに出るにつれて、全世界的にコンセンサスが得られ、無論日本でも認められ、OECDやIMFも認めざるを得なくなる時は近いです。


だから、今回増税が決まったからといって、それでお終いというわけではありません。増税反対派としては、まだまだやることはあります。増税は、今回だけではありません。次には10%の増税の予定があります。これは、上の記事で、クルーグマン博士が語っていたように、プラスのインフレ予想に転換しない限り絶対に阻止です。いつまでも、官僚主導で日本が官僚の好き勝手にはできないことを思い知らせるべきです。今から周到に準備をしておいて、何が何でも絶対阻止です。ちなみに、本日は、この10%増税ブロックの意味合いもこめて、ビーチバレーのブロックの画像とともに掲載させていただきます。

以下に消費税増税のスケジュールを掲載しておきます。



今回の増税だけであれば、財政政策を併用すれば、景気が腰折れすることは確実ですが、腰折れ度合いは、そんなに酷いことにならない可能性もあります。しかし、15年度10月の増税がそのまま実行されれば、日本は、またぞろ、デフレが続き、失われた20年が失われた40年にさえなる可能性があります。

そんなことは、断じて防がなければなりません。安倍総理は、少なくとも、この15年10%は望んてはいないと思います。しかし、私たち増税派が、本日の増税にめげていたら、この増税も実施されてしまうかもしれません。そうなれば、大変なことになります。

少なくとも、コアコアCPIがプラスに転じ、それどころか、ハイパーインフレ懸念がでそうなとき以外を除いて、絶対に増税させないことが肝要です。以下は、消費者物価指数推移です。コアコアCPIも掲載しています。



コアコアCPIとは、食料品・エネルギー品目など価格変動の大きい品目を除いた消費者物価指数(CPI)です。インフレやデフレの基調の度合いをみる場合に使われます。

上記のグラフのように、日本のコアコアCPIは、98年あたりより、右肩下がりで一度も上がっていません。これが、プラスに転じるどころか、あがり過ぎであり、ハイパーインフレ一歩手前という状況なら、増税すべきです。


本日の負けは明日の勝利に\(◎o◎)/10%増税は阻止しないと大変なことになる\(◎o◎)/!


















本来これを指標として、増税するしないを決めるべきです。このように、右肩下がりの現在増税すれば、どう考えても、景気は腰折れします。そうして、他の指標も連動します。

私たちは、今から、こうした指標の悪化に敏感になり、悪化するたびに、増税が間違いであったことについて、多くの人々に注意を促し、このまま10年度に増税すれば、今度こそ、大変なことになると警鐘を鳴らし続けるべきです。


10%阻止は貫徹するぞ\(◎o◎)/!

増税派の皆さん、本日は8%の増税が決まったばかりですから、残念な気持ちでいっぱいかもしれませんが、今回の増税で景気の腰が折れるのは間違いないですが、15年の10%増税が行なわれたら、それこそ、今度は失われた20年がほぼ確定してしまうおそれがあります。今度は、そんなことは絶対にさせてはなりません。

本日から闘いの日々が始まります。本日の増税確定にめげている暇はありません。本日からまた立ち上がろうではありませんか(@_@)

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか\(◎o◎)/!


【私の論評】


消費税増税が支持されない本当の理由―【私の論評】消費税増税が支持されない理由は、ただ単に税金を払いたくないということではなく、払う必要のない税金を払いたくないという正当な理由に基づくものである(゚д゚)!

消費増税の理由 ありとあらゆる理屈つけ8回も政府は変えた―【私の論評】結局、決め手に欠ける来年4月時点での消費税増税の理屈?これで国民は納得するのか、本当に増税してしまえば、増税派議員、財務省に非難が集中することを覚悟しておけ!


安倍首相が増税しない合理的理由―【私の論評】木下風情に屈服する必要はない、やられたら100倍返しで討伐しよう!どこまでも、どこまでも喰らいつき増税派を叩きのめそう(゚д゚)!

斎藤貴男氏「消費税のカラクリをあばく」―【私の論評】財政破綻は、消費税増税に向けてのキャッチコピーに過ぎない、世界金融市場はそう思っていない。なのに増税して良いのか(@_@;)

対外純資産、過去最大の296兆円 2位中国の2倍、22年連続「世界一の債権国」―【私の論評】対外金融資産が世界一の国日本が、財政破綻すると思い込むのは狂気の沙汰、そんなことをいい触れ回る輩は大馬鹿かスパイに決まり(゚д゚)!

資生堂が調査 2013年秋冬のキーワードは「赤の口紅」―【私の論評】増税するしないで、日本の官僚、政治家、マスコミの頭が、五星紅旗色に染まりデフレスパイラルの泥沼に落ち込むか、女性の唇が真紅に染まり下着や水着が真っ赤になり本当に景気が良くなるかが決まる!(◎_◎;)


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