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2018年11月11日日曜日

【熱戦と日本の針路】エスカレートする米中の軍事的緊張… 安倍政権は中国封じに「財政出動」を― 【私の論評】日本が増税等の緊縮で「ぶったるみドイツ」のようになれば米は日本にも制裁を課す(゚д゚)!



 ドナルド・トランプ米政権は、経済分野でチャイナ(中国)を締め上げているだけではない。軍事的にも、その影響力を封じ込めるために積極的に行動している。

 米海軍のイージス駆逐艦「ディケーター」が9月30日、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島周辺で「航行の自由作戦」を実行中、中国海軍の蘭州級駆逐艦が41メートルの距離まで異常接近する事件が発生した。米側の発表によると、警告にも関わらず、中国駆逐艦は攻撃的な動きを繰り返したという。

 米空軍は9月下旬、核兵器搭載可能なB52戦略爆撃機を南シナ海に派遣し、中国への圧力を強めた。ジェームズ・マティス米国防長官は、10月中旬に予定していた中国訪問を取りやめている。

 米海軍のイージス駆逐艦「カーティス・ウィルバー」と、イージス巡洋艦「アンティータム」は10月22日、台湾海峡を航行し、米国が台湾の独立を擁護する姿勢を明示した。米国防総省のロブ・マニング報道部長は「2隻の航行は、米国が掲げる『自由で開かれたインド太平洋』構想に基づく。今後も艦船や航空機の航行や飛行を続ける」と明言した。

 米国は8月9日、宇宙軍の創設を発表した。これはロシアではなく、中国の宇宙戦力拡張に対抗するためである。米国がロシアを警戒しながらも、敵対していないことは、米露両国が10月9日、合同で金星探査ロケットの打ち上げを2026年に計画していると発表したことでも分かる。

 トランプ氏が10月20日に発表した中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄方針も、ターゲットは中国である。中国はINF条約に署名していないので、まったく制限を受けることなく中距離核ミサイルを拡充してきた。

 中国共産党は国内で、ウイグル人、チベット人への残酷な抑圧体制をますます強化している。在日ウイグル人のトゥール・ムハメット氏によれば、強制収容所に収監されているウイグル人は300万人を超えているという。在日チベット人学者のペマ・ギャルポ拓殖大学教授の推測では、過去10年間に、共産党政権に対して焼身抗議したチベット人の数は1000人を超えている。

 マイク・ペンス米副大統領による10月4日の演説は、こうした中国の人権抑圧体制との全面戦争を宣言したものだ。

 「米中熱戦」の最中に、日本企業が中国経済への協力を進めるのは、いかにも日本の国益に反した行為である。こうした人権抑圧体制に協力して、利益を上げること自体が非倫理的である。

 それを防ぐためにも、安倍晋三政権は消費増税を延期して、積極的な財政出動で国内市場の拡大を図るべきだ。そうすれば、日本企業が「一帯一路」などという、怪しげなビジネスに取り込まれなくても済む。

 国際通貨基金(IMF)は10月10日、日本政府の資産と債務はバランスがとれており、債務過剰ではないと発表した。今や自信をもって、安倍政権は財政出動を行うべきである。 =おわり

 ■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオなどで活躍する。著書に『国境ある経済の復活』(徳間書店)、『太平洋戦争の大嘘』(ダイレクト出版)など多数。

【私の論評】日本が増税等の緊縮で「ぶったるみドイツ」のようになれば米は日本にも制裁を課す(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にもあるように、日本は一帯一路に参加するべきではありません。それは今後の対米関係を考えれば当然そういうことになります。それ以外にも理由があります
それは、一帯一路の前途が暗く、失敗の可能性が高いことです。日本は中国の覇権主義的拡張政策から距離を取ったほうが良いです。その理由を以下に述べます
第1に、一帯一路に対し他の地域大国が必ずしも支持を表明していないことです。6月10日に中国の青島で開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議で、習近平国家主席は加盟国のリーダーたちから支持表明を獲得して結束を演じようと腐心しました。ところがかねて反対姿勢を崩さなかったインドは支持を表明しませんでした。
ロシアはどうでしょうか。中国が外国元首に初めて与えた「友誼勲章」を胸にSCO会議を後にしたプーチン大統領。その翌日に開催したのが、ユーラシア経済同盟に加わる旧ソ連5カ国の代表による集団安全保障会議だったのが象徴的です。
同盟には旧ソ連圏の権益を守り、中国の進出を防ごうとの共通した狙いがあます。特にプーチンがロシアの裏庭と見なす中央アジアにおいて、一帯一路の伸長と各国への食い込みに神経をとがらせています。
時を同じくして、ロシアは中国のミネラルウオーター企業が極東の水がめ、バイカル湖から飲料水を採取するのを禁じる措置を取りました。ロシア人の流出が進むシベリアに大挙して進出してくる中国系企業は、環境を破壊するだけでなく政治的な脅威と化しつつもあります。
歴史的に中国は「シベリアから樺太までの広大な領土を帝政ロシアに奪われた」と思い込んできました。いつかは「失地回復」しようという野心にロシアは気付いています。
第2に、日本は東シナ海の自国領を守り、中東産石油の安定供給を確保するため、インドやアメリカ、オーストラリアなどを加えた「自由で開かれたインド太平洋戦略」を唱えています。日本が一帯一路に反対するインドと戦略的に組もうとしながら、裏では中国に笑顔を見せれば、国際社会から批判されることになるでしょう。そうした日本の無節操は、民主主義や人権尊重の思想を共有する国との関係を強化しようという、従来の「価値観外交」から逸脱することになります。
第3に、日本は自らの積極的な関与によって、一帯一路の不透明な部分を改善できる、と過信しているところがあります。中国は既に海でも陸でも、一帯一路に巻き込まれた小国を借金漬けにし、中国政府の呪縛から離脱できないようにしてきました。
港湾整備に巨額の融資が投入され、返済のめどが立たなくなったスリランカは仕方なく港湾権益を中国に99年間の契約で譲渡しました。ラオスやタジキスタン、モンゴルなど陸の沿線国も多額の借金を抱え、中国の息が掛かった商人が政治に介入し始めました。
パキスタンでは中国の支援によって、アラビア海と中国西部を陸路で結ぶグワダル港開発が進行。その結果、国際社会が進めるテロ封じ込めにまで支障を来しています。実際、パキスタンはイスラム原理主義勢力タリバンよりも、中国が「分離独立主義者」と敵視する亡命ウイグル人に対する弾圧を強めているほどです。

日本はこうした中国の反人道的行為に加担するのか、良識が問われています。日本は70年代から戦時賠償金の代わりに円借款を超低金利で提供し、中国の近代化に大きく貢献しました。だが日本がいくら真摯に過去の反省を示しても、中国政府が扇動する反日の炎は消えませんでした。機会さえあれば、「打倒小日本(ちんぴら日本をつぶせ)」という官製の反日ナショナリズムが再燃しました。

一帯一路に協力し、日本が供与したハイテク技術が中国軍の空母や武器と化すことになります。将来、日本の政治家や財界が後悔してももう間に合わないのです。

 次に、上の記事では、安倍政権は、日本企業が「一帯一路」などという、怪しげなビジネスに取り込まれないように財政出動をすべきとしていますが、それ以外にも理由はありませす。

それは、このブログにも過去に何度か経済してきたように、日本が「ぶったるみドイツ」のようにならないためにも、財政出動が必要です。

緊縮に緊縮を重ねてきたドイツがどのようになっているか、特の安全保障面でどのようにひどいことになったのかは、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ドイツの緊縮財政により安全保障に悪影響をおよぼしている状況を記載している部分を以下に引用します。
ドイツ空軍(ルフトヴァッフェ)の主力戦闘機「ユーロ・ファイター」のほぼ全機に“深刻な問題”が発生し、戦闘任務に投入できない事態となっています。現地メディアによれば全128機のうち戦闘行動が可能なのはわずか4機とも。原因は絶望的な予算不足にあり、独メルケル政権は防衛費の増額を約束したが、その有効性は疑問視されるばかりです。 
ドイツは“緊縮予算”を続けており、その煽りを受けてドイツの防衛費不足は切迫しています。空軍だけではなくドイツ陸軍においても244輌あるレオパルト2戦車のうち、戦闘行動可能なのは95輌などといった実態も報告されています。 
こうした状況に追い込まれた原因の一つとして、ドイツを含む欧州連合(EU)には、財政赤字が対GDP比で3%、債務残高が対GDPで60%を超えないこととする「マーストリヒト基準」があり、財政健全化を重視しすぎるとの声が経済専門家の間にはあります。
ドイツの主力戦車「レオパルド2」
昨年10月15日、ドイツ潜水艦U-35がノルウェー沖で潜航しようとしたところ、x字形の潜航舵が岩礁とぶつかり、損傷が甚大で単独帰港できなくなったのです。 
ドイツ国防軍広報官ヨハネス・ドゥムレセ大佐 Capt. Johannes Dumrese はドイツ国内誌でU-35事故で異例の結果が生まれたと語っています。
ドイツ海軍の通常動力型潜水艦212型。ドイツが設計 建造しドイツの優れた造艦技術と
最先端科学の集大成であり、世界で初めて燃料電池を採用したAIP搭載潜水艦である。
紙の上ではドイツ海軍に高性能大気非依存型推進式212A型潜水艦6隻が在籍し、各艦は二週間以上超静粛潜航を継続できることになっています。ところがドイツ海軍には、この事故で作戦投入可能な潜水艦が一隻もなくなってしまったというのです。 
Uボートの大量投入による潜水艦作戦を初めて実用化したのがドイツ海軍で、連合国を二回の大戦で苦しめました。今日のUボート部隊はバルト海の防衛任務が主で規模的にもに小さいです。 
212A型は水素燃料電池で二週間潜航でき、ディーゼル艦の数日間から飛躍的に伸びました。理論上はドイツ潜水艦はステルス短距離制海任務や情報収集に最適な装備で、コストは米原子力潜水艦の四分の一程度です。 
ただし、同型初号艦U-31は2014年から稼働不能のままで修理は2017年12月に完了予定ですかが再配備に公試数か月が必要だとされています。
ドイツ軍が、緊縮財政でこのような様になっているのです。日本の自衛隊はこれほど酷くはないですが、それにしても以前から緊縮で自衛隊員の工夫でなんとかしてきましたが、 来年10 月から緊縮財政の一手法でもある、消費税の10% への増税をしてしまえば、一時税収が増えたにしても、その後は再度デフレに舞い戻り、税収が大幅に減ることが十分予想されます。

ドイツの場合は、中国からは距離的になかり離れています。直接の脅威はロシアですが、そのロシアは現状ではGDPが韓国より若干少ない程度です。韓国のGDPは東京都と同程度です。ロシアというと大国扱いされることがありますが、それはソ連時代の核を継承しているのと、軍事技術が進んでいるからであり、実際には大国ではありません。また、人口も1億4千万人であり、日本より2千万多い程度です。

そのロシアは現状では、NATOと直接対峙する力はないです。だからドイツの軍事力が現状のように緊縮でとんでもないことになったにしても、EUはドイツ以外にも大国があるのでなんとかなります。

しかし、アジアにおける中国はロシアとは違います。中国の国民一人当たりのGDP は日米には及ばないですが、それにしても中国は人口が多く13 億人以上であり、国全体のGDPは世界第2位であり、やはり日本がしっかりと中国に対峙しないと、とんでもないことになります。

日本は、少なくとも日本の領土は日本が守る体制を整え、米国が中国と対峙しているときには、少なくとも米国を支援できる体制を整えなければなりません。

そのような時に、緊縮財政をして、安全保障にかける資金が逼迫すれば、日本も「ぶったるみドイツ」のような状況になりかねません。そうなれば、アジアの安全保障の状況はかなりかわり、中国にとって都合の良い状況になるのはいうまでもありません。

そんな状況をトランプ政権が許容するはずもありません。一帯一路が原因で、日本がこのような状況に陥れば、米国は日本に対しても制裁を課すことになるでしょう。

日中友好などに浮かれて、一帯一路に浮かれて、協力をした企業など、真っ先に米国の制裁対象となるでしょう。一対一路は儲けにならず、米国から制裁を受け、日本企業は半殺しの目にあうかもしれません。

また、消費税増税などの緊縮財政を実行して、それが故に安全保証が疎かになり結果として日本が「ぶったるみドイツ」のようになれば、これも制裁の対象になるでしょう。

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2018年6月16日土曜日

日米、次の一手は“中国封じ” 台湾&マレーシアと連携、河添恵子氏「中国は四面楚歌になりつつある」―【私の論評】日本はやり方次第で経済により南北全体の生殺与奪の権を握ることができる(゚д゚)!

日米、次の一手は“中国封じ” 台湾&マレーシアと連携、河添恵子氏「中国は四面楚歌になりつつある」

マレーシアのマハティール首相(左)と安倍首相(右)

 世界が注目した米朝首脳会談(12日)と同じ日、日米両国が痛烈な「中国の牽制(けんせい)」姿勢を誇示していた。米国は、台湾の大使館に相当する「米国在台湾協会」(AIT)の新事務所をオープンし、安倍晋三首相は「親中路線」を見直したマレーシアのマハティール・モハマド首相と会談したのだ。これは偶然ではない。専門家は、北朝鮮を連携して取り込むだけでなく、台湾やマレーシアへの関与を強め、世界の覇権を狙う中国と対峙(たいじ)する「日米の意思表示」と分析する。

 「21世紀の強固な米台パートナーシップの象徴だ」

 マリー・ロイス米国務次官補(教育・文化担当)は12日、台北市内で開かれたAIT台北事務所の新庁舎落成式で、こう語った。
AIT台北事務所の新庁舎落成式 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 式には、台湾の蔡英文総統と、首相にあたる頼清徳行政院長が顔をそろえ、ジェームズ・モリアーティAIT理事長と固い握手を交わした。

 蔡氏は「(台湾は)自由で開放的な民主国家として、共通の価値観と利益を守るよう協力する義務がある」と述べ、米国との「価値観同盟」をアピールし、「1つの中国」原則への対抗姿勢を打ち出した。

 これに対し、中国はロイス氏が出席したことに反発した。中国外務省の耿爽副報道局長は「米国に間違ったやり方を正すよう促している」と記者会見で語ったが、傲慢な内政干渉ではないのか。

 米国は最近、覇権主義の中国を「脅威の本丸」とみなし、貿易問題で対立するとともに、南シナ海での「航行の自由作戦」を展開している。今回のAITの新庁舎整備は「台湾重視政策」の一環といえる。

 トランプ政権は以前から、台湾との関係強化を進めてきた。

 自主規制してきた米台高官(一定の地位以上)の往来を促す「台湾旅行法」を3月に成立させた。4月には、超タカ派のジョン・ボルトン氏を大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に起用した。ボルトン氏は昨年1月、米紙ウォールストリート・ジャーナルへの寄稿論文で「台湾への米軍駐留」を提言している。

 背景には、中国が台湾周辺や南シナ海で、示威的な軍事行動を活発化させ、「台湾統一」の野心を隠さないことがある。これを許せば、日本をはじめ、世界のシーレーンを、共産党独裁の中国が支配することになる。

 中国軍は4月にも南シナ海で、空母「遼寧」を含む艦艇や航空機による「史上最大規模」の演習を実施したほか、台湾海峡では、陸軍航空隊所属の攻撃ヘリ部隊が実弾射撃訓練を強行した。

 台湾は、米中双方の利害がぶつかる「発火点」として、戦略的重要性が高まっている。

 元航空自衛隊空将で、軍事評論家の佐藤守氏は、米朝首脳会談と新庁舎落成式が同じ日に重なったことについて「中国への牽制になっていることは間違いない」と指摘し、続けた。

 「AITの新庁舎整備は、米国の『台湾は死守する』というシグナルだ。台湾周辺と南シナ海を中国に制圧されれば、自由主義陣営が危ない。トランプ政権の戦略として、『反中国』の北朝鮮を取り込むと同時に、台湾を(自由主義陣営の)前進基地にしようとしているのではないか」

 わが日本も、米国と連携して「中国包囲網」の形成に動いている。

 安倍首相とマハティール首相の首脳会談では、「北朝鮮の非核化」だけでなく、南シナ海の岩礁を軍事拠点化している中国を念頭に、「海洋安全保障分野でも連携する方針」で一致した。

 共同記者発表で、安倍首相は「インド太平洋地域を平和と繁栄のための国際公共財としていくことが重要だ」と強調し、マハティール氏は「南シナ海、マラッカ海峡を含む公海を自由で開かれたものにしなければならない」と足並みをそろえた。

 マハティール氏といえば、2003年までの22年間、マレーシア首相を務め、日本の経済成長を手本にする「ルックイースト(東方)政策」を提唱した。野党連合を率いて今年の下院選を制し、92歳の高齢ながら首相に復帰した。復活の一因に、中国の対外膨張策「一帯一路」のプロジェクトにのめり込む、ナジブ・ラザク前政権への危機感があったという。

 日米と台湾、マレーシアの連携が、中国への対抗軸となるのか。

 中国情勢に精通するノンフィクション作家の河添恵子氏は「トランプ政権は、12日の米朝首脳会談をもって、北朝鮮問題に1つの区切りをつけ、『中国との対峙』にかじを切ったといえる。台湾のAIT新庁舎も、マハティール氏の訪日も、すべてが連動し、自由主義諸国が中国と対決する新時代の幕開けを告げている。中国は四面楚歌(そか)になりつつあり、今後の火種は、朝鮮半島から台湾に移るだろう」と話している。
【私の論評】日本は経済により南北全体の生殺与奪の権を握ることができる(゚д゚)!
北朝鮮問題がある程度収束すれば、次は台湾を巡って米中対立があらわになるであろうことは、このブログでも以前から主張してきたことです。
北朝鮮問題の根底には、米中対立があり、米朝首脳会談はその前哨戦に過ぎないのです。米朝首脳会談の大きな目的一つは、今後金正恩が米国側につくか、中国側につくのか旗幟を鮮明にさせることだったのです。
トランプ大統領は、米朝首脳会談において北が、米国側につくというのなら、核廃棄と人権問題(拉致問題等)の解決などを条件に、北の現体制の存続を認めるが、もし中国側につくというなら、北の現体制を認めないということで金正恩に迫ったのです。
そうして、金正恩は中国側ではなく、米国側につくとトランプ大統領に約束したのです。そうして、その約束は、今後金正恩がすみやかに米朝首脳会談を開催しないこと、さらに核廃棄と人権問題の解決などで履行されているかどうかが検証されるのです。
トランプ大統領として、この約束が履行されるかどうかを検証する過程と同時進行で、対中国戦略をさらに強化していく腹です。
さて、このようなことは過去にもありました。
このトランプの戦略は70年代のキッシンジャーのものと似ています。当時は中国をソ連との対決に利用しました。今度は北朝鮮を米側に引き入れ中国共産党と対決するのです。

70年代のキッシンジャー(右)  周恩来(左)と食事をしている

そうして、米の中国包囲網は安倍首相が6年前の首相就任翌日12月27日に発表した戦略掛『安全保障のダイヤモンドhttps://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe … と合致します。この偶然は歴史的必然なのかもしれません。

ただし、この戦略は注意を要します。米国は中国を利用したのですが、確かにソ連は崩壊してこの戦略は大成功だったのがですが、これには中国の増長という副作用を招いてしまいました。今や米国は、軒を貸して母屋をとられそうな状況になり、現在中国が海洋進出を強化して、南シナ海を我が物として米国に対抗しています。

トランプとしては、北朝鮮問題ではこのようなことは避けたいと考えたのでしょう。だからこそ、北の援助は米国が直接手がけるのではなく、日本と韓国に任せたのでしょう。特に、安倍総理は北の実情を知り抜いています。

日本と韓国の経済を比較すると、韓国の経済は日本の東京都と同程度です。であれば、北への援助のほとんどは日本によるものになるでしょう。

日本は最近北への援助の方式等の見解公表しています。

  「北朝鮮に現金を直接与えることはないはず。経済協力プロジェクト形式を取って支援することになるだろう」

最近、日本政府の関係者が記者に述べた言葉です。日朝交渉に関連し、北朝鮮は植民地支配および過去の清算による経済支援、すなわち現金支援を期待しているのですが、日本の構想は違うということです。実際、日本経済新聞は14日、日本政府の「3段階対北朝鮮支援」構想を紹介しました。
第1段階は国際原子力機関(IAEA)の核査察に対する初期費用の支援です。北朝鮮非核化の最初の段階といえるIAEAの査察に投入される人員と資機材の調達に必要な費用を日本政府が負担するという計画です。
菅義偉官房長官は13日の定例記者会見で「IAEAが北朝鮮の検証活動を再開する際は初期費用を支援する用意がある」と明らかにしました。2007年にIAEAが北朝鮮寧辺(ヨンビョン)にある核施設を査察した際、日本政府は50万ドル(当時約5700万円)の費用を支出しています。
第2段階は国際機関を通じた人道的支援です。これはコメや医薬品の提供を意味するもので、直接的な現金支援は含まれていません。2014年に拉致被害者の再調査を約束した「ストックホルム合意」では「適切な時期に北朝鮮に対する人道的支援を実施することを検討する」という内容が盛り込まれています。
菅官房長官は「引き続き北朝鮮に『ストックホルム合意』の履行を求めていく」と明らかにしていますが、北朝鮮は2016年に「ストックホルム合意」破棄を宣言し、拉致被害者に対する調査も中断した状態です。日本側は人道的支援をするには拉致被害者の帰国など目に見える成果がなければいけないという立場です。
第3段階はインフラ整備など経済協力です。2002年の日朝平壌(ピョンヤン)宣言では、国交正常化後に無償資金協力、国際協力銀行を通じた融資などの実施に言及しました。しかし今回は有無償借款のような現金支援方式でなく、経済協力を通じた投資形態で進める可能性が高いです。
安倍首相も11日、日本経済新聞社主催の国際交流会議「アジアの未来」に出席し、北朝鮮に対する投資形態の経済協力構想を明らかにしました。安倍首相は「北朝鮮には、手付かずの資源がある。勤勉に違いない豊富な労働力がある。北朝鮮が平和と法の支配と安定に向けた道へと踏み出すことの効果は、アジアを超越し、世界経済全体へ及ぶに違いない」と述べ、北朝鮮の非核化と経済協力を結びつけて述べました。

1965年の韓日国交正常化当時、日本は韓国政府に5億ドル(無償3億ドル、借款2億ドル)相当の経済支援をしました。したがって北朝鮮に現金支援でなく経済協力方式を選択する場合、北朝鮮の反発が予想される部分です。物価の変動などを勘案すると、北朝鮮に対する経済協力は1兆円を超えるという見方もあります。

日本政府が現金支援でない方式を考慮するのは国内の世論を勘案した選択でもあります。日本経済新聞は「巨額の資金拠出になれば、国内世論の理解も得なければならない」と分析しました。また「3段階目の経済協力のハードルは高い」と伝えました。

昨日のこのブログの記事では、北や韓国の経済援助に対して以下のような主張をしました。
日本が北に対して援助をするということになれば、韓国での失敗を反省して、援助にもさまざまな条件をつけるべきです。拉致問題の解決は絶対条件です。さらには、人権擁護に関しても、ある程度の基準を満たすようにさせるべきです。それと、いきなり巨大な額を一度に援助とするというのではなく、様子をみながら少しずつ援助し、約束を守らないなら、中止するというような方式をとるべきです。 
れと、韓国に対しては、援助にしても何にしても、目の前に北という協力なライバル現れて、慰安婦問題などでグズグズすれば、すべて北にかっさらわれてしまうという脅威を与えるべきです。 
また、北に援助をしてもなかなか約束など破らないなどのことがあれば、すぐに援助を打ち切り、韓国への援助を厚くするなどのことをすべきです。 
両方を拮抗させ、日本の国益にとって最も良くなるように、バランスをとって援助をしていくべきです。ただし、あまり長い間朝鮮半島にはかかわらないようすべきです。そもそも、ここしばらくは朝鮮半島には上で述べたような奇妙な状態が続くでしょうが、このような状態がいつまでも続くと考えるべきではありません。
まずは、日本が北に対して現金で援助することはないということは高く評価できるます。北に直接現金で援助した場合、北は密かにその現金で核開発を続ける危険があります。これは断じて避けなければなりません。

また、日本が様々な条件をつけて援助を始めるにしても、北朝鮮が約束を守らない場合はすぐにでも援助を中止する旨を最初から北朝鮮側に伝えて実行すべきです。

さらに、北朝鮮が約束を履行しているかどうかを監督するために、日本の監視団も受け入れさせるべきです。

これに加えて、上でも述べたように、韓国と北朝鮮を拮抗させ、日本にとって国益が最大限になるように管理しつつ、朝鮮半島への援助をすべきです。韓国も最近では経済は低迷し、雇用は最悪の状態です。韓国内では、通貨スワップなどを日本に求める声も大きくなっています。

一方、援助を外交カードとしてうまく立ち回れば、日本が半島全体に対して生殺与奪の権を握ることができるかもしれません。無論これは、米国の強大な軍事力を背景としてなりたつものです。だから、正確には日米が半島に対して生殺与奪の権を握るということです。

在韓米軍

しかし、深入りは禁物です。日本はもとより米国などの他国も、北が発展するとみて、民間企業が無制限に大規模な投資をするなどというようなことはやめるべきです。これは、しっかりと規制すべきです。

そんなことをすれば、民主化、経済の政治の分離、法治国家が不十分で潤沢な資金を手に入れ経済だけが発展した、小中国が半島生まれるだけです。中国と韓国に挟まれた小中国が、海洋進出などはじめたら、さらにアジアは緊張を強いられることになります。

北がさらに経済発展をすることを望むならば、すべての先進国がかつて歩んできたように、自力である程度の民主化と、法治国家化と政治と経済の分離を実行することにより、国内の中間層の活動を活発化させて経済を発展させるように仕向けるべきです。

それで、ある程度北の経済が良くなれば、その後は海外企業からの投資の規制も解くべきです。

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