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2020年7月24日金曜日

【コロナ後の世界】「裸の王様」習主席の最終手段は戦争!? 国際的に四面楚歌も“強硬路線”展開の矛盾 — 【私の論評】中国は総力戦はしないが、6つの不可避な戦争のいずれかに挑戦する可能性は十分ある!(◎_◎;)

【コロナ後の世界】「裸の王様」習主席の最終手段は戦争!? 国際的に四面楚歌も“強硬路線”展開の矛盾 

沖縄県尖閣諸島
 三流の指導者は、行き詰まると戦争に打って出る特徴がある。

 周囲にイエスマンと茶坊主しかいない中国の習近平執行部。その失敗を冷ややかに待つのが李克強首相や、汪洋副首相ら共産主義青年団だ。

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)は当初、反共の連合だった。いつしか全加盟国が中国のサプライチェーンに巻き込まれ、中国批判は希釈化した。南シナ海の領海問題ではベトナム、フィリピンが強硬だが、カンボジアなど「北京の代理人」かと思われる振る舞いである。

 東シナ海、南シナ海に戦雲が湧き、派手に展開する中国の軍事演習と米軍の対応を目撃すれば、ドナルド・トランプ米大統領のいう「台湾防衛」の本気度が試されることになる。沖縄県・尖閣諸島周辺での領海侵犯、接近は頻度が増した。

 しかし、中国国内事情を勘案すれば、「裸の王様」はすっかり飽きられており、「習近平よ、さようなら」というムードなのだ。

 第1は、全国人民代表大会(全人代)で、国内総生産(GDP)成長率の目標値が明示されず、第1四半期はマイナス6・8%と報告された。果たして、その程度で済むのか? 雇用が特に懸念され、李首相は「9億の労働者人口があり、雇用を守り、雇用機会を創造する」と記者会見した。

 第2は、景気刺激策を遂行するための無謀な財政措置である。

 金利の低め誘導、中小企業への融資拡大など主に企業支援政策である。新しく債務となる財政支出は合計5・5兆元(約84兆2600億円)。これは中国GDPの4・1%に相当する。

第3に、李首相の基調演説から、台湾「平和的統一」の文言が消えたことだ。

 台湾総統に再選された蔡英文氏は、就任式で「(中国の唱える)一国二制度には反対」と明確なメッセージを出した。

 尖閣諸島周辺や台湾海峡に、中国海軍の艦船が出没し、領空接近は日常の風景となった。日本の「2020年防衛白書」は明確に、中国の軍事的脅威を記載するようになった。

 中国の富裕層は、全人代で打ち出された「香港の治安維持強化」という方向に賛同を示しつつも、ホンネでは不安視し、資産をもっと安全な場所へ移管している。

 マイナスになることは分かっていても、中国は強硬路線を捨てられない。国際的に四面楚歌(そか)でも、対外活動を強硬路線で展開しなければ習政権は国内で孤立するという矛盾を抱えているからだ。

 そして、すべての矛盾をそらす最後の手段が戦争である。

 ■宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 評論家、ジャーナリスト。1946年、金沢市生まれ。早大中退。「日本学生新聞」編集長、貿易会社社長を経て、論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウォッチャーの第一人者として健筆を振るう。著書に『戦後支配の正体 1945-2020』(ビジネス社)、『「コロナ以後」中国は世界最終戦争を仕掛けて自滅する』(徳間書店)など多数。

【私の論評】中国は総力戦はしないが、6つの不可避な戦争のいずれかに挑戦する可能性は十分ある!(◎_◎;)

中国ウォッチャーとして有名な、上の宮崎正弘氏の記事では、矛盾を逸らす最後の手段としての戦争があり得ることを主張しています。

戦争というと、まず頭に浮かぶのは、台湾を武力統一することです。それに、尖閣諸島の奪取もあり得ます。これらは、日本人ならすぐに思い浮かぶことです。他には、どのような戦争があり得るのでしょうか。

昨日このブログでは、トゥキディディスの罠に嵌って、米中両国が総力戦に入ることはないであろうことと、その根拠も述べました。その上で、総力戦はないものの局地戦はあり得ることを主張しました。その事例として、米軍による南シナ海の中国軍基地への攻撃を挙げました。

本日は、その続きとして、中国による局地戦としては、どのようなものが考えられるのかを掲載します。

これに対するヒントとなるような内容が、2013年11月26日豪州戦略政策研究所(ASPI)のブログ・サイトThe Strategistに掲載されていました。豪州国立大学(ANU)のウェイド客員研究員が、中国がメディアを通して、反米感情を煽ったり、領土拡張を訴えたりしている現状を紹介して、警告を発しました。

当時ウェイド客員研究員は、中国の新書『中国は恐れない――国家安全保障への新脅威と戦略対応』を分析し、人民解放軍の戦略の一部として、軍人か否かを問わず国内の精神的引き締めを行なうと共に、中国の動を規制する外国勢力を牽制するものであると分析し、その他にも、人民解放軍が係ったと思われる映画と通信社の記事にも、同様の分析が成り立つことを主張しました。

中国の映画『静かなる競争』は、2013年10月に中国及び世界のネットに上がるや否や論争を呼びました。そして、その月の末までには、何の告知もなく、映画は中国のサイトからは削除されました。ただ、YouTubeでは見ることができましたが、今は削除されています。

映画は、米国が、5つの方法によって中国政府を転覆させようとしている様子を描いています。その方法とは、(1)政治的に中国を弱体化させる、(2)文化的浸透を図る、(3)思想戦をしかける、(4)諜報部隊を訓練する、及び(5)中国国内の反体制派を強化すること、です。全体としては、米国が中国を支配下に置こうとしているということを伝えたいようです。映画を見た中国国内の軍人や民間人は、侮辱された感情と怒りを持つだろう内容です。

映画の製作に人民解放軍は密接にかかわりました。具体的には、国防大学、中国社会科学院、及び、国家安全部の管轄にある現代国際関係研究院が、2013年初めに映画の製作に関与しました。これは、確かに、米国のアジア回帰に対応したものですが、より深い根本原因もあるでしょう。これだけ権威ある中国の諸機関が映画製作に携わったということは、そこで示された極端な感情が人民解放軍のタカ派に限られたものではないことを表しています。

2013年7月には、更に問題となる領土回復主義の記事が、中国新聞網のサイトに掲載されました。この記事は、「今後50年間に中国が戦わなければならない6つの戦争」という題名で、人民解放軍の一部に見られる超国粋主義の態度を示しています。しかし、このような記事が中国国営通信社に掲載されるという事実から、これが指導部で認められた考えであることが想像出来ます。

6つの「不可避な」戦争は、時系列で示されています。(1)台湾統一戦争(2020-2025年)、(2)南シナ海の様々な諸島の領土回復戦争(2025-2030年)、(3)チベット南部の領土回復戦争(2035-2040年)、(4)釣魚島及び琉球諸島回復戦争(2040-2045年)、(5)外蒙古統一戦争(2045-2050年)、(6)ロシアに奪取された領土の回復戦争(2055-2060年)です。

台湾に関しては、中国は、武力行使の手段を放棄したことはなく、具体的時期が示されたこともそれまではありません。偶然でしょうが、丁度この頃、台湾軍が、中国は2020年までに台湾を併合する軍事的能力を有するだろう、と発表したばかりでした。

南シナ海に関しては、現在のいざこざが戦争に発展することは想像に難くないです。3つ目の中国によるインドのArunachal Pradesh州への領有権の主張は、何十年も中印関係の棘でしたが、中国がヒマラヤのチベット文化圏のどこまでを勢力圏として主張しているかは、今だ明らかにされていません。今年の6月15日夜、ヒマラヤ高地のギャルワン渓谷で中印が衝突。報道では両国で数十人の死者が出たもようです。

尖閣諸島に対する中国の領有権の主張は、最近よく報道されるので、その状況が戦争に発展するのにさほどの想像は必要としないでしょう。今年は、現在までにすでに100日以上も中国の海警局の艦艇が、尖閣付近に出没しています。

また、モンゴルが清王朝から継承した土地に関しても、中国は領有権を主張しています。ロシアの極東地域についても同様で、多くの中国人は、そこはロシアが不当に占拠したものだと思っています。

上記の戦争は、現在の中国の政策で裏付けされたものでもなければ、極端な超国粋主義者の見解にすぎないかもしれないです。しかし、戦争によって領土を回復しなければならないという主張は、長い間中国で言われてきたことです。

中国(中華民国)政府公認の1938年「中国の屈辱」地図は、上記記事が主張する領土と驚くほど一致しています。この地図の中国が「失った」領土には、ロシア極東、琉球諸島、台湾及び南シナ海のみならず、韓国、ヴェトナム、カンボジア、ラオス、タイ、ミャンマー、マレー半島とシンガポール、ネパール、パキスタンの一部及び中央アジアの殆どが含まれています。

「中国の屈辱」地図
中国の主張する領土が、今日の中国の国境を超えて70年以上前に遡ることや、中国の超国粋主義者の言い分を読むにつけ、我々は、これらの地域に住む人々が、恐怖を感じたり危険に晒されたりすることがないようにしなければならないだろう、と論じています。

中国の戦略は、中長期的です。上記の論説で紹介された記事のように、50年間で6つも戦争をしかけては中国ももたないと思いますが、中国人民解放軍は、ハードな軍事戦争のみならず、「三戦」(心理戦、情報戦、法律戦)と呼ばれるソフトな戦争もしかけます。更に、今日では、経済や文化も重要な手段となり、人海戦術も活用しています。

5カ年計画、10カ年計画は、中国共産党の一政権の期間であり、中国にとっての中期、長期は、50年、100年の戦略計画となります。

欧米や日本等の民主主義国は、単年度予算かつ政権も4年位の任期で(最近まで日本の政権は1年位でした)、中長期は、5~10年の計画となります。

ただ、 50年、100年の戦略計画は、たとえそれが国家による計画といえども、あまりに長期です。そもそも、そのようなスパンでは、計画当初の中共幹部のほとんどが、亡くなっているか、引退しているはずです。それに、最初の想定から、世界情勢や技術水準などあらゆる想定が異なるものなり、ほとんど無意味な計画になるでしょう。
現実的には、やはり5年〜10年の計画でしょう。このブログでは、中国海軍のロードマップを紹介したことがあります。それによれば、中国海軍は既に尖閣列島を含む第一列島線を傘下に収め、今年は第二列島線を我がものに収めることになっています。ご存知のように、尖閣諸島すら奪取できない今日、これはもうほとんど絵に描いた餅にすぎません。
私は、習近平自身もこれらの計画が計画通りに進むなどとは思っていないと思います。そんなことより、我々が危惧すべきは、プーチンによるクリミア統合のようなことが、習近平によってなされる可能性です。
2018年ロシアの大統領選挙のとき、プーチンの支持率かなり高いものでした。その4年前、ウクライナ南部のクリミアを併合したことに対する欧米からの経済制裁。そして主力の輸出品である原油の価格低迷。ロシアは当時も、厳しい経済状況を抜け出せずにいました。

国民の可処分所得は4年連続で落ち込み、最低生活費よりも低い所得で生活している人は、この4年間で400万人以上増加しました。国民の生活実感はなかなか改善されないのが現実でした。

それにもかかわらず、当時、プーチン大統領の支持率は80%台で推移。モスクワでは2017年12月、プーチン大統領を題材にした絵画や彫刻などを集めた美術展覧会「スーパープーチン」も開かれるなど、人気にかげりは見られませんでした。2018年の大統領選挙でプーチンは、通算4期目の当選を果たしました。

2017年12月開催された美術展覧会「スーパープーチン」

それは、やはり戦争を起こし、それに勝利したことが大きいでしょう。戦争は、多くの国民に愛国心を燃え上がらせる一つの手段でもあります。この戦争がなければ、あるいはこの戦争に負けていれば、プーチンは今頃引退していたかもしれません。

私は、このようなことを習近平も考えるの可能性は十分あると思います。このブログでも何度か紹介されていただいたように、中国は自国の都合で動く国であり、そもそも外交などあまり重視していません。

本来戦争は、外交手段を尽くしても解決できない他国との争いを解決するための手段の一つに過ぎないのですが、習近平は対外活動を強硬路線の最強の手段として、戦争を選ぶ可能性は十分あります。そうして、その目的は、習近平自身の統治の正統性を強化することにあります。

そもそも、習近平は、建国の父毛沢東や、経済改革を実現した鄧小平などのような大きな実績はありません。だから、統治の正統性は、どうしても弱いところがあります。

中国では、ロシアのように選挙がありませんが、だからこそ、誰の目にも明らに統治の正当性を主張し、特に共産党の中で自己の正当性を主張する必要があります。

上に掲載した六つの戦争のうち、いずれかの戦争を行い、勝利すれば、習近平の統治の正統性は飛躍的に高まり、当面大きな権力闘争などしなくてもすむようになります。

本年2020年は、中国の二つの100年計画の一つ「小康社会の全面的実現」目標の期限である建党100周年の2021年より一年前であり、もしこの時点でいずれかの戦争を行い、それに勝利すれば、習近平政権にとっては長期独裁を全党および人民に納得させるだけの効果を持つ歴史的偉業となります。

ですから、今年中にもいずれかで局地戦争が起こる可能性は、十分にあります。習近平としても、大きな冒険はしたくないので、米国と直接対決せざるを得なくなるような戦争はしないと思います。

中国とソ連は1929年と1969年に国境紛争をしており、1969年の時は核戦争一歩手前まで行った
台湾統一戦争、南シナ海の領土回復戦争、尖閣諸島奪取などは、米国が直接絡みます。もしこれらが、攻撃されれば、米国はすぐに反撃に出る可能性があります。ロシアに奪取された領土の回復戦争もやりたくはないでしょう。

中露は互いに友情は感じていないかもしれませんが、それにしても、国連などでは、中国に賛成する数少ない国の一つでもあります。それに過去には、中ソ国境紛争という苦い経験もあります。

そうなると、チベット南部のインドからの領土回復戦争あたりが手頃でやりやすいかもしれません。

これは、インドにとっては脅威ですが、中国に対抗する勢力にとっては、一つのチャンスかもしれません。これを完膚なきまでに、打ち負かせば、習近平の統治の正統性は地に落ちることになり、失脚する可能性もあります。

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2020年6月7日日曜日

“中国の貧困”をまさかの暴露、李首相の真意とは?— 【私の論評】売り家と唐様で書く三代目と言う格言を地でいく習近平は、四面楚歌の状態にある(゚д゚)!


全人代で飛び出した「月収1000元が6億人」発言

(澁谷 司:JFSS政策提言委員・アジア太平洋交流学会会長)

李克強首相

 今年(2020年)528日、中国の李克強首相は、全国人民代表大会の記者会見で「昨2019年、中国人の平均年収は3万元(約45万円)だった」と公表した。だが、一方で、「中国には月収1000元(約15000円)の人が6億人もいる」と明かしたのである。

 月収1000元ということは、年収12000元(約18万円)にしかならない。この月収では、1キロ30元(約450円)以上もする肉は食べられない。また、中小都市の1カ月分の家賃にもならないだろう。

 一般に、貧困は「絶対的貧困」と「相対的貧困」とに分けられる。世界的には、「絶対的貧困」は1日当たり1.90米ドル(約205円)以下の収入とされる。月収にすると57米ドル(約6150円)、年収は684米ドル(約73800円)である。

 世界的基準から見ると、月収1000元しかない中国の6億人は「絶対的貧困」層には当たらない。

 では、この月収1000元の6億の人々をどのように位置付けたら良いのだろうか。確かに、「絶対的貧困」とは言えないが、中国国内でも平均年収額の40%しかない。したがって、「相対的貧困」層と言えよう(ちなみに、我が国では、1人世帯の場合、年収約122万円以下が「相対的貧困」に当たる)。

 問題は、月収1000元の人々が6億人も存在する中国が、(今年中に)「小康(ややゆとりのある)社会」を実現したと言えるだろうか。もちろん“ノー”である。

 実は、20163月、王岐山 中央紀律委員会書記(当時)が、第135カ年計画(2016年~2020年)で「小康社会」を実現するという目標を掲げた。けれども、昨2019年から今年にかけ「新型コロナ」の世界的蔓延で、習近平政権は、今年のGDP目標数値さえ打ち出すことができなかった。

 そのため、王が掲げた今年末までに「小康社会」実現という目標は、“絵に描いた餅”に終わる公算が大きい。

「習近平派」に対する反撃か

 さて、この度、李克強首相は、なぜ中国共産党に“不都合な数字”を暴露したのだろうか。

 元来、経済に関しては、首相の“専権事項”だったはずである。ところが、前述の通り、首相でもない王岐山が、第135カ年計画で「小康社会」を実現するとぶち上げた。李首相からすれば、王による“越権行為”である。無論、それを許したのは、習近平主席だろう。

 同時に、習主席は、かねてより劉鶴副首相を重用してきた。だから、これまで李首相には、ほとんど出番がなかったのである。

 もしかすると、今回、全人代での記者会見で、李首相は「習近平派」に対する反撃を試みたのかもしれない。習主席の「中国の夢」を打ち砕くためである。

 当然、李首相には党内で確固たる「反習近平派」の支持があると見るべきだろう。そうでなければ、たとえ首相といえども、やすやすと中国の実態を暴露することはできなかったはずである。

習近平の暴走に眉をひそめる元老たち

「反習派」の代表格は江沢民系「上海閥」に間違いない。習主席と王岐山の「反腐敗運動」で同派は徹底的に叩きのめされた。習主席らに対する同派の深い怨みは、想像に難くない。

 他方、胡錦濤系「共青団」(李首相の出身母体)は、以前、微妙な立ち位置だった。だが、現時点では「反習派」の一翼を担っているのではないだろうか。

 201211月、胡錦濤主席は辞任する際、(これ以上)「腐敗がはびこれば党が不安定となるリスクが増し、党の統治が崩壊する可能性がある」と党内で訴えた(したがって、最初「共青団」は習主席と王岐山の「反腐敗運動」を支援していたふしがある)。その時、胡主席は江沢民前主席ら古参幹部に対し、習近平新指導部へ干渉しないよう、涙ながらに訴えたと伝えられる。胡主席は、任期時、散々、江沢民元主席らから干渉を受けたため、新指導部には自らが経験した苦労をさせたくなかったのだろう。ところが、皮肉にも、それが習主席の“暴走”を招いたとも言えよう。

 実際、「反習派」は「紅2代」「紅3代」(元党幹部の2世・3世)の中にも存在する。また、一部の元老たちは、習主席の政治手法―終身制導入や「第2文革」発動等に対し、眉をひそめているだろう。


家族も離反し、四面楚歌?

 近頃、習近平夫人の彭麗媛と娘の習明沢が、習主席と別居したと報じられている。その理由だが、彭夫人と明沢が、中国共産党による香港への武力弾圧に反発しているからだという。2人は、香港版「国家安全法」制定にも反対だと噂されている。明沢はハーバード大学で心理学を専攻したが、香港出身の友人もいる。そのため、香港市民に深く同情しているかもしれない。

 このように、目下「習近平派」は“四面楚歌”の状態にあると言っても過言ではない。だからこそ、習政権は、香港版「国家安全法」の制定や尖閣諸島や南シナ海等で強硬路線(「戦狼外交」?)に転じているのではないだろうか。

[筆者プロフィール] 澁谷 司(しぶや・つかさ)
 1953年、東京生れ。東京外国語大学中国語学科卒。同大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学等で非常勤講師を歴任。200405年、台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。20112014年、拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20203月まで同大学海外事情研究所教授。現在、JFSS政策提言委員、アジア太平洋交流学会会長。
 専門は、現代中国政治、中台関係論、東アジア国際関係論。主な著書に『戦略を持たない日本』『中国高官が祖国を捨てる日』『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる!「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)等多数。

【私の論評】売り家と唐様で書く三代目と言う格言を地でいく習近平は、四面楚歌の状態にある(゚д゚)!

習近平を一言で言えば、他の中共幹部と同じく、自らも不正行為をしているにもかかわらず、多くの幹部の腐敗を追及し失脚させ、カメラを大量配置して反対派人民を監視し、スマホアプリで「習近平思想」を押しつけただけの男です。

中国の建国の父は、毛沢東であり、中国の経済発展は、鄧小平の成果であり、習近平はそれを食い潰しているに過ぎません。売り家と唐様で書く三代目と言う格言を地でいくような男です。


そのことが、どうやら中国共産党内部でも「共通の見解」になりはじめたようです。
武漢肺炎の処理の方法が不評だったのでしょう。さらに、これによって、全世界から不興を買うような行動ばかりする習近平には、愛想が尽きたのでしょう。

現状の中国で何が起きているかは不明です。しかし、習近平にリーダーシップがあるようには見えません。

習近平政権のリーダーシップが期待されるのは、胡錦濤政権が解決できなかった課題への取り組みです。その課題は、解決方法によって、大きく 2 つに分類できます。 1 つは、一党支配の「枠」に付け足す、修正にとどまる課題です。

例えば、格差縮小のための社会保障や所得引き上げなど民生分野の改善や都市化などが該当します。

もう 1 つは、一党支配の「枠」を壊す必要のある課題です。例えば、共産党の権力を監督するための政治改革です。 前者の課題には、胡錦濤政権のやり残した余地が大きいです。

その原因の 1 つは、胡錦濤のリーダーシップの欠如にあると思われます。政策の策定過程、実施過程で胡錦濤が 軍や国有企業、主力産業などの既得権益層の抵抗を排除することができなかったのです。

習近平政権になったからといって、既得権益層が消滅するわけではありません。 しかし、主席になったばかりの、習近平は、胡錦濤に 比べると抵抗を排除することが可能と思われ成果が期待できたのです。



他方、後者の課題に取り組むことは、習近平でも難しいでしょう。なぜならば、習近 平も江沢民や胡錦濤と同様に、一党支配の「枠」の中から誕生した総書記だからです。そのため、習近平が一党支配の「枠」を壊すような政治改革、例えば選挙制度の 導入や司法制度改革、メディア改革を行うことは考えられないです。

例えば、「協商民主」は、そもそも西側の選挙による政策選択である「選挙 民主」のアンチテーゼとして提起されたものであり 、しかも「国の政権機関や政治協商組織、党派、団体などのチャネル」といった既存のチャネルに限定されています。

また党内選挙での差額選挙方式も、政策を選ぶのではなく、人を選ぶ選挙にすぎません。 報告で言及された「党の指導を堅持し」、「西側の政治制度のモデルをそのまま引き 写しにしない」ということは、党中央が政治改革において越えてはならないラインと しての認識を示しています。

それは、「政治協商」にせよ、「差額選挙」方式にせよ、党 中央が認識する一党支配の「枠」内での政治的寛容性の範囲内にあるということです。中国が一党支配体制という世界でも特異な政治体制であることから、政治改革には常に注目が集まります。しかし実際に中国国内で一党支配の「枠」を壊すような政治改革 を求める声はまだ大きくないです。

一党支配の「枠」を修正するだけの余地はまだ大きいです。胡錦濤がやり残した課題に、 習近平がリーダーシップを発揮し取り組むだけで、多くの民衆は習近平政権を評価し、 党と社会の亀裂を修復することは可能と見られていました。そのため、短期的、総書記長になってから5年ぐらいは、 習近平政権は安定を勝ち取ることが可能であるとも見られてきました。

習近平は、胡錦濤政 権 10 年の失政のおかげで、「猶予」期間を手にしたといえるかもしれれませんでした。しかし、習近平が総書記長になった2013年からすでに、今年は7年目です。修復を進めつつ、支持を得て、政権基盤を再編し強化しながら、他方で「枠」を 壊す必要のある課題について,どう対応するかも問われつつあります。


「枠」を壊すという意味では、先ほども述べたように、習近平は建国の父である毛沢東や、中興の祖ともいえる、鄧小平による経済発展に及ぶような成果は何も挙げていないし、その見込みも全くありません。

本年2020年は、中国の二つの100年計画の一つ「小康社会の全面的実現」目標の期限である建党100周年の2021年より一年前であり、もしこの時点で習近平が、毛沢東や鄧小平に匹敵するする成果をあげることができれば、習近平政権にとっては長期独裁を全党および人民に納得させるだけの効果を持つ歴史的偉業になります。

そのためでしょうか、習近平焦っているようではありますが、米国などとの対立はますます激化し、コロナ対応などでは、多くの国々との対立を深め、一向に大きな成果は挙げられそうにありません。

だからこそ、売り家と唐様で書く三代目と言う格言を地でいくような習近平は、四面楚歌の状態にあるのでしょう。

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2018年6月16日土曜日

日米、次の一手は“中国封じ” 台湾&マレーシアと連携、河添恵子氏「中国は四面楚歌になりつつある」―【私の論評】日本はやり方次第で経済により南北全体の生殺与奪の権を握ることができる(゚д゚)!

日米、次の一手は“中国封じ” 台湾&マレーシアと連携、河添恵子氏「中国は四面楚歌になりつつある」

マレーシアのマハティール首相(左)と安倍首相(右)

 世界が注目した米朝首脳会談(12日)と同じ日、日米両国が痛烈な「中国の牽制(けんせい)」姿勢を誇示していた。米国は、台湾の大使館に相当する「米国在台湾協会」(AIT)の新事務所をオープンし、安倍晋三首相は「親中路線」を見直したマレーシアのマハティール・モハマド首相と会談したのだ。これは偶然ではない。専門家は、北朝鮮を連携して取り込むだけでなく、台湾やマレーシアへの関与を強め、世界の覇権を狙う中国と対峙(たいじ)する「日米の意思表示」と分析する。

 「21世紀の強固な米台パートナーシップの象徴だ」

 マリー・ロイス米国務次官補(教育・文化担当)は12日、台北市内で開かれたAIT台北事務所の新庁舎落成式で、こう語った。
AIT台北事務所の新庁舎落成式 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 式には、台湾の蔡英文総統と、首相にあたる頼清徳行政院長が顔をそろえ、ジェームズ・モリアーティAIT理事長と固い握手を交わした。

 蔡氏は「(台湾は)自由で開放的な民主国家として、共通の価値観と利益を守るよう協力する義務がある」と述べ、米国との「価値観同盟」をアピールし、「1つの中国」原則への対抗姿勢を打ち出した。

 これに対し、中国はロイス氏が出席したことに反発した。中国外務省の耿爽副報道局長は「米国に間違ったやり方を正すよう促している」と記者会見で語ったが、傲慢な内政干渉ではないのか。

 米国は最近、覇権主義の中国を「脅威の本丸」とみなし、貿易問題で対立するとともに、南シナ海での「航行の自由作戦」を展開している。今回のAITの新庁舎整備は「台湾重視政策」の一環といえる。

 トランプ政権は以前から、台湾との関係強化を進めてきた。

 自主規制してきた米台高官(一定の地位以上)の往来を促す「台湾旅行法」を3月に成立させた。4月には、超タカ派のジョン・ボルトン氏を大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に起用した。ボルトン氏は昨年1月、米紙ウォールストリート・ジャーナルへの寄稿論文で「台湾への米軍駐留」を提言している。

 背景には、中国が台湾周辺や南シナ海で、示威的な軍事行動を活発化させ、「台湾統一」の野心を隠さないことがある。これを許せば、日本をはじめ、世界のシーレーンを、共産党独裁の中国が支配することになる。

 中国軍は4月にも南シナ海で、空母「遼寧」を含む艦艇や航空機による「史上最大規模」の演習を実施したほか、台湾海峡では、陸軍航空隊所属の攻撃ヘリ部隊が実弾射撃訓練を強行した。

 台湾は、米中双方の利害がぶつかる「発火点」として、戦略的重要性が高まっている。

 元航空自衛隊空将で、軍事評論家の佐藤守氏は、米朝首脳会談と新庁舎落成式が同じ日に重なったことについて「中国への牽制になっていることは間違いない」と指摘し、続けた。

 「AITの新庁舎整備は、米国の『台湾は死守する』というシグナルだ。台湾周辺と南シナ海を中国に制圧されれば、自由主義陣営が危ない。トランプ政権の戦略として、『反中国』の北朝鮮を取り込むと同時に、台湾を(自由主義陣営の)前進基地にしようとしているのではないか」

 わが日本も、米国と連携して「中国包囲網」の形成に動いている。

 安倍首相とマハティール首相の首脳会談では、「北朝鮮の非核化」だけでなく、南シナ海の岩礁を軍事拠点化している中国を念頭に、「海洋安全保障分野でも連携する方針」で一致した。

 共同記者発表で、安倍首相は「インド太平洋地域を平和と繁栄のための国際公共財としていくことが重要だ」と強調し、マハティール氏は「南シナ海、マラッカ海峡を含む公海を自由で開かれたものにしなければならない」と足並みをそろえた。

 マハティール氏といえば、2003年までの22年間、マレーシア首相を務め、日本の経済成長を手本にする「ルックイースト(東方)政策」を提唱した。野党連合を率いて今年の下院選を制し、92歳の高齢ながら首相に復帰した。復活の一因に、中国の対外膨張策「一帯一路」のプロジェクトにのめり込む、ナジブ・ラザク前政権への危機感があったという。

 日米と台湾、マレーシアの連携が、中国への対抗軸となるのか。

 中国情勢に精通するノンフィクション作家の河添恵子氏は「トランプ政権は、12日の米朝首脳会談をもって、北朝鮮問題に1つの区切りをつけ、『中国との対峙』にかじを切ったといえる。台湾のAIT新庁舎も、マハティール氏の訪日も、すべてが連動し、自由主義諸国が中国と対決する新時代の幕開けを告げている。中国は四面楚歌(そか)になりつつあり、今後の火種は、朝鮮半島から台湾に移るだろう」と話している。
【私の論評】日本は経済により南北全体の生殺与奪の権を握ることができる(゚д゚)!
北朝鮮問題がある程度収束すれば、次は台湾を巡って米中対立があらわになるであろうことは、このブログでも以前から主張してきたことです。
北朝鮮問題の根底には、米中対立があり、米朝首脳会談はその前哨戦に過ぎないのです。米朝首脳会談の大きな目的一つは、今後金正恩が米国側につくか、中国側につくのか旗幟を鮮明にさせることだったのです。
トランプ大統領は、米朝首脳会談において北が、米国側につくというのなら、核廃棄と人権問題(拉致問題等)の解決などを条件に、北の現体制の存続を認めるが、もし中国側につくというなら、北の現体制を認めないということで金正恩に迫ったのです。
そうして、金正恩は中国側ではなく、米国側につくとトランプ大統領に約束したのです。そうして、その約束は、今後金正恩がすみやかに米朝首脳会談を開催しないこと、さらに核廃棄と人権問題の解決などで履行されているかどうかが検証されるのです。
トランプ大統領として、この約束が履行されるかどうかを検証する過程と同時進行で、対中国戦略をさらに強化していく腹です。
さて、このようなことは過去にもありました。
このトランプの戦略は70年代のキッシンジャーのものと似ています。当時は中国をソ連との対決に利用しました。今度は北朝鮮を米側に引き入れ中国共産党と対決するのです。

70年代のキッシンジャー(右)  周恩来(左)と食事をしている

そうして、米の中国包囲網は安倍首相が6年前の首相就任翌日12月27日に発表した戦略掛『安全保障のダイヤモンドhttps://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe … と合致します。この偶然は歴史的必然なのかもしれません。

ただし、この戦略は注意を要します。米国は中国を利用したのですが、確かにソ連は崩壊してこの戦略は大成功だったのがですが、これには中国の増長という副作用を招いてしまいました。今や米国は、軒を貸して母屋をとられそうな状況になり、現在中国が海洋進出を強化して、南シナ海を我が物として米国に対抗しています。

トランプとしては、北朝鮮問題ではこのようなことは避けたいと考えたのでしょう。だからこそ、北の援助は米国が直接手がけるのではなく、日本と韓国に任せたのでしょう。特に、安倍総理は北の実情を知り抜いています。

日本と韓国の経済を比較すると、韓国の経済は日本の東京都と同程度です。であれば、北への援助のほとんどは日本によるものになるでしょう。

日本は最近北への援助の方式等の見解公表しています。

  「北朝鮮に現金を直接与えることはないはず。経済協力プロジェクト形式を取って支援することになるだろう」

最近、日本政府の関係者が記者に述べた言葉です。日朝交渉に関連し、北朝鮮は植民地支配および過去の清算による経済支援、すなわち現金支援を期待しているのですが、日本の構想は違うということです。実際、日本経済新聞は14日、日本政府の「3段階対北朝鮮支援」構想を紹介しました。
第1段階は国際原子力機関(IAEA)の核査察に対する初期費用の支援です。北朝鮮非核化の最初の段階といえるIAEAの査察に投入される人員と資機材の調達に必要な費用を日本政府が負担するという計画です。
菅義偉官房長官は13日の定例記者会見で「IAEAが北朝鮮の検証活動を再開する際は初期費用を支援する用意がある」と明らかにしました。2007年にIAEAが北朝鮮寧辺(ヨンビョン)にある核施設を査察した際、日本政府は50万ドル(当時約5700万円)の費用を支出しています。
第2段階は国際機関を通じた人道的支援です。これはコメや医薬品の提供を意味するもので、直接的な現金支援は含まれていません。2014年に拉致被害者の再調査を約束した「ストックホルム合意」では「適切な時期に北朝鮮に対する人道的支援を実施することを検討する」という内容が盛り込まれています。
菅官房長官は「引き続き北朝鮮に『ストックホルム合意』の履行を求めていく」と明らかにしていますが、北朝鮮は2016年に「ストックホルム合意」破棄を宣言し、拉致被害者に対する調査も中断した状態です。日本側は人道的支援をするには拉致被害者の帰国など目に見える成果がなければいけないという立場です。
第3段階はインフラ整備など経済協力です。2002年の日朝平壌(ピョンヤン)宣言では、国交正常化後に無償資金協力、国際協力銀行を通じた融資などの実施に言及しました。しかし今回は有無償借款のような現金支援方式でなく、経済協力を通じた投資形態で進める可能性が高いです。
安倍首相も11日、日本経済新聞社主催の国際交流会議「アジアの未来」に出席し、北朝鮮に対する投資形態の経済協力構想を明らかにしました。安倍首相は「北朝鮮には、手付かずの資源がある。勤勉に違いない豊富な労働力がある。北朝鮮が平和と法の支配と安定に向けた道へと踏み出すことの効果は、アジアを超越し、世界経済全体へ及ぶに違いない」と述べ、北朝鮮の非核化と経済協力を結びつけて述べました。

1965年の韓日国交正常化当時、日本は韓国政府に5億ドル(無償3億ドル、借款2億ドル)相当の経済支援をしました。したがって北朝鮮に現金支援でなく経済協力方式を選択する場合、北朝鮮の反発が予想される部分です。物価の変動などを勘案すると、北朝鮮に対する経済協力は1兆円を超えるという見方もあります。

日本政府が現金支援でない方式を考慮するのは国内の世論を勘案した選択でもあります。日本経済新聞は「巨額の資金拠出になれば、国内世論の理解も得なければならない」と分析しました。また「3段階目の経済協力のハードルは高い」と伝えました。

昨日のこのブログの記事では、北や韓国の経済援助に対して以下のような主張をしました。
日本が北に対して援助をするということになれば、韓国での失敗を反省して、援助にもさまざまな条件をつけるべきです。拉致問題の解決は絶対条件です。さらには、人権擁護に関しても、ある程度の基準を満たすようにさせるべきです。それと、いきなり巨大な額を一度に援助とするというのではなく、様子をみながら少しずつ援助し、約束を守らないなら、中止するというような方式をとるべきです。 
れと、韓国に対しては、援助にしても何にしても、目の前に北という協力なライバル現れて、慰安婦問題などでグズグズすれば、すべて北にかっさらわれてしまうという脅威を与えるべきです。 
また、北に援助をしてもなかなか約束など破らないなどのことがあれば、すぐに援助を打ち切り、韓国への援助を厚くするなどのことをすべきです。 
両方を拮抗させ、日本の国益にとって最も良くなるように、バランスをとって援助をしていくべきです。ただし、あまり長い間朝鮮半島にはかかわらないようすべきです。そもそも、ここしばらくは朝鮮半島には上で述べたような奇妙な状態が続くでしょうが、このような状態がいつまでも続くと考えるべきではありません。
まずは、日本が北に対して現金で援助することはないということは高く評価できるます。北に直接現金で援助した場合、北は密かにその現金で核開発を続ける危険があります。これは断じて避けなければなりません。

また、日本が様々な条件をつけて援助を始めるにしても、北朝鮮が約束を守らない場合はすぐにでも援助を中止する旨を最初から北朝鮮側に伝えて実行すべきです。

さらに、北朝鮮が約束を履行しているかどうかを監督するために、日本の監視団も受け入れさせるべきです。

これに加えて、上でも述べたように、韓国と北朝鮮を拮抗させ、日本にとって国益が最大限になるように管理しつつ、朝鮮半島への援助をすべきです。韓国も最近では経済は低迷し、雇用は最悪の状態です。韓国内では、通貨スワップなどを日本に求める声も大きくなっています。

一方、援助を外交カードとしてうまく立ち回れば、日本が半島全体に対して生殺与奪の権を握ることができるかもしれません。無論これは、米国の強大な軍事力を背景としてなりたつものです。だから、正確には日米が半島に対して生殺与奪の権を握るということです。

在韓米軍

しかし、深入りは禁物です。日本はもとより米国などの他国も、北が発展するとみて、民間企業が無制限に大規模な投資をするなどというようなことはやめるべきです。これは、しっかりと規制すべきです。

そんなことをすれば、民主化、経済の政治の分離、法治国家が不十分で潤沢な資金を手に入れ経済だけが発展した、小中国が半島生まれるだけです。中国と韓国に挟まれた小中国が、海洋進出などはじめたら、さらにアジアは緊張を強いられることになります。

北がさらに経済発展をすることを望むならば、すべての先進国がかつて歩んできたように、自力である程度の民主化と、法治国家化と政治と経済の分離を実行することにより、国内の中間層の活動を活発化させて経済を発展させるように仕向けるべきです。

それで、ある程度北の経済が良くなれば、その後は海外企業からの投資の規制も解くべきです。

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2016年10月31日月曜日

【激震・朴政権】朴槿恵大統領友人・崔順実氏 取り調べへ 機密漏洩疑惑で四面楚歌 支持率も就任以来初の10%台に急落 与党も見放し―【私の論評】特定秘密保護法がなかったら、この事件は日本では最初から無罪放免(゚д゚)!

【激震・朴政権】朴槿恵大統領友人・崔順実氏 取り調べへ 機密漏洩疑惑で四面楚歌 支持率も就任以来初の10%台に急落 与党も見放し

ソウル中央地検に出頭した崔順実氏
韓国の検察は、朴槿恵(パク・クネ)大統領から機密資料を提供されたとして、国政への介入疑惑が浮上している友人の女性実業家、崔順実(チェ・スンシル)氏を31日午後、容疑者として取り調べる方針だ。検察は31日午後3時に召喚することを崔氏に通告済みという。夕刊フジは朴大統領が今回の疑惑で「四面楚歌」に陥り、支持率が急落したと報じている。

 友人女性への機密情報提供疑惑で、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は四面楚歌(そか)の状況に陥った。支持率は就任以来初の10%台に下落し、弾劾や下野を求める世論も高まっている。与野党から真相解明や責任追及を求める声も止まず、特別検察官(特検)による捜査も避けられない見通しだ。朴氏は徐々に追い詰められつつある。

 「朴氏の支持層は急速に崩壊している」。韓国の世論調査機関、リアルメーターは27日、朴氏の支持率下落の理由をそう分析する。

 同社によると、10月24~26日の調査で支持率は21・2%で、前週から7・3ポイント減少。26日だけに限ると17・5%と、就任以来初となる10%台に落ち込んだ。逆に不支持率は就任後最高の73・1%で、前週から8・6ポイント上昇した。朴氏の弾劾や下野を求める意見は42・3%にのぼっている。

 原因はいうまでもない。「朴政権の陰の実力者」と呼ばれる友人の崔順実(チェ・スンシル)氏に、演説草稿や閣議資料などの機密資料が事前に渡された疑惑だ。

 韓国の聯合ニュースによれば、韓国最高検は27日、疑惑捜査のため、特別捜査本部を設置することを明らかにした。

 与党も朴氏を見放しつつある。最大野党「共に民主党」などが求めた特検による捜査について、与党セヌリ党も、特検の任命を求めることを決定したのだ。特検は、政府高官らが捜査対象になった場合に与野党の合意で導入され、制限なく独自に捜査することができる。

 一方、セヌリ党は大統領府に、大統領府高官や閣僚の人事刷新を伝達しており、朝鮮日報(電子版)によると、朴大統領がセヌリ党の李貞鉉(イ・ジョンヒョン)代表に電話をかけ、「国政刷新要求について熟考する」と述べた。

 政権内も疑惑に困り果てているようだ。ハンギョレ新聞(同)は大統領府の参謀の意見として、「(疑惑の)全貌を知らないため、できることもない」と紹介した。

 別の記事では、公務員の「大統領を信じられなくなった。初めて経験することなので複雑で惨憺たる気分だ」「大統領があやつり人形のように感じられた。脱力する」などという意見を報じた。

 中央日報(同)は社説で、「朴大統領は自身に対する聖域のない捜査だけが現政権を救う最後の機会であることを銘記する必要がある。捜査を拒否したり形式的に捜査を受けるだけなら、全国で『下野しろ』という叫びがあふれる日が近づくだろう」と記した。

 しかし、ジャーナリストの室谷克実氏は朴氏の早期の辞任はないとみて、こう話す。「(朴氏は)奇想天外な発想や期待外れの反応をする人だから予想がつきがたいが、恐らく下野することなく、最後まで(大統領の職に)しがみつくだろう。人事を入れ替えて反省するふりをして、権力装置を使って野党の誰かを汚職か何かで逮捕するなど悪あがきを続けるのではないか」

 まだ泥沼が続きそうだ。

【私の論評】特定秘密保護法がなければ、この事件は日本では完全無罪(゚д゚)!

この問題については、一度は掲載しないと思いましたので、本日掲載することにしました。

以下に今回の疑惑をチャートとしてまとめたものを掲載しておきます。



韓国にも、日本で成立するはるか以前から、特定秘密保護法に相当する法律はあったので、今回の事件で崔順実は確実に有罪になることでしょう。ただし、朴槿恵大統領に関しては何ともいえません。裁判の行方を見守るしかありません。

なぜなら、崔順実氏はKスポーツ財団や、ミル財団などを私物化していたこともあり、これらの団体の多数の証言者などが裁判で証言したり、物証を提供することが予想されるため、これは有罪は免れないものと思います。

しかし、室谷克実氏が語るように、朴槿恵氏はあらゆる手を講じて、下野するどころか、最後までしがみつくことになるでしょう。そもそも、大統領は権力者ですから、あらゆる手を講じて、今回の事件の最重要である特定機密漏洩の事実を隠蔽したり、隠蔽できなくても、自分は関与していないとして、関与を否定するでしょう。

それにしても、日本の特定秘密保護法を批判していた人は、韓国を批判する資格はありません。もし、日本で特定秘密保護法が成立していなかったとすると、今回の韓国の問題のようなことが日本で持ちあがった場合、汚職などは別にして、特定機密の漏洩に関しては、対処のしようがありません。

もし情報が漏洩してることが露呈したとしても特定秘密保護法が成立する以前の法律では情報を漏らした公務員しか罰することはできませんでした。

今回の事件のように、公務員でもない朴槿恵氏や、一民間人である崔順実が関与するとみられる今回の事件のような事が日本で発生した場合、たとえ罪状が明らかになったとしても法律で裁くことはできませんでした。特定秘密保護法が成立していかなった場合、日本では朴槿恵氏はおろか、崔順実氏ですら法廷に引きずり出すこともできず、最初から無罪放免しなければならなかったことでしょう。


しかし、特定秘密保護法が成立した後は、情報を聞き出した人間が公務員であろうが、なかろうが、これを逮捕拘留して家宅捜索し誰から情報を受け取ったか調べることができ、これに厳しく対処することもできます。

日本のマスコミは、今回の事件では、韓国内から提供される情報に関しては、熱心に報道しますが、こうした観点は全く報道しません。本当に困ったものです。マスコミの大方も、特定秘密保護法に関しては反対の立場から報道していたので、今更このようなことを報道できないのでしょう。

今回の事件は、単に韓国内の出来事と捉えるだけではなく、日本において特定秘密保護法の施工は正しかったということを再認識させるものとして、捉えるべきものと思います。

特定秘密保護法に関しては、反対派が主張するように、確かに問題点がないとは言い切れません。


しかし、問題点があるからといって、特定秘密保護法案を成立させなかったとしたら、崔順実のような人物が野放しになり、それによって毀損される日本国と日本国民の利益ははかり知れません。

そもそも、防衛、外交、スパイ活動、テロ活動に関して国家秘密などが漏洩したとしても、それに関与した人間が公務員でなかったら、無罪放免などということは、まともに考えれば異常です。これを放置しておくことのほうが、特定秘密保護法に問題点があるからという理由で成立させないことのほうが余程恐ろしいです。本当に、日本はとてつもない恐ろしいことをよくも長期にわたって、継続してきたものです。

今回の韓国の事件に関しては、先にも述べたように、朴槿恵大統領を処罰することは難しいかもしれません。しかし、朴槿恵氏は、大統領就任中は何とか体面を保てるかもしれませんが、大統領をやめた場合、いかなる形でも、政治に復帰することは困難でしょう。事実上政治生命を絶たれたも同じです。

特定秘密保護法も同じようなものです。確かに問題点は全くないとはいいませんが、特定秘密保護法で問題を起すような政府は、次の選挙の機会に投票せずに落として政治生命を断てば良いのです。

特定秘密保護法による問題点よりも、特定秘密保護法がないことによる、脅威のほうがはるかに大きいのは明らかです。日本のリベラル・左翼にはこういう認識は全くないようです。

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