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2014年9月24日水曜日

消費税再増税には海外からも懸念が示されることが増えている―【私の論評】増税DQNも、従軍慰安婦問題と同じ!初めに増税ありきで、あらかじめ準備したストーリーに合わせて事実をねじ伏せるような歪んだ記事を書いたり発言し続け、いずれ事実に復讐される(゚д゚)!

消費税再増税には海外からも懸念が示されることが増えている

消費税再増税の判断時期が12月に迫っており、消費税増税積極派は消費税の増税は「国際公約」でありこれを実行しなければ国際的な信頼が失われるという決まり文句がよく使われる。

ポール・クルーグマン氏

しかし、消費税増税後の日本経済の実態が明らかになるにつれ、海外からも消費税の再引き上げに懸念を示す意見が増えてきた。

例えば、アベノミクスを支持してきた米国のノーベル賞経済学者クルーグマン氏は「日本経済は消費税10%で完全に終わる」とし、逆に消費税は5%に戻して国民の期待インフレ率を引き上げるべきと述べている。

また、米国のルー財務長官は消費税率を4月に引き上げて以降、個人消費と投資が落ち込んでおり「経済活動の縮小による困難に直面している」と懸念を示し、日本に対して内需拡大を維持するための政策を要請した。

世界的には日本の財政再建の信頼性に対する関心よりも、消費税増税後に勢いを失っている日本経済がさらに増税によって景気が後退し、世界経済の足を引っ張る懸念のほうが即影響が出ることもあり関心が高いのではないか。《YU》

【私の論評】増税DQNも、従軍慰安婦問題と同じ!初めに増税ありきで、あらかじめ準備したストーリーに合わせて事実をねじ伏せるような歪んだ記事を書いたり発言し続け、いずれ事実に復讐される(゚д゚)!

上と似たような記事、昨日も掲載したばかりです。昨日は、米国ルー財務長官に関する記事を掲載しました。

米国ルー財務長官

最近では、増税関係の記事を掲載しても、あまり反応は良くなく、ブログへのアクセス数を増すためには、掲載しないほうが良いくらいなのですが、そんなことにはお構いなく、これは本当に重要なニユースですから、本日も取り上げることにしました。

上の記事で、クルーグマン氏は、「日本経済は消費税10%で完全に終わる」とし、逆に消費税は5%に戻して国民の期待インフレ率を引き上げるべき」と述べていることが掲載されています。

これは、当然のことであり、あたり前のど真ん中です。

デフレからなるべくはやく脱却するためには、"日銀の金融政策(無論金融緩和策)+政府による積極財政(減税、給付金、公共工事など)"が必要不可欠です。

デフレであった、昭和恐慌(日本国内で世界恐慌の呼称)も高橋是清はこれと同じ手段の経済対策を行い、世界で一番はやく世界恐慌から脱却しています。

このあたり前のど真ん中のデフレ脱却策をとることなく、今年4月からは8%増税がなされ、明らかに景気が落ち込んでいます。

一部には以下のような全くミスリーディングな報道もあります。
個人消費の格差鮮明 都市復調、地方は低迷  
 消費増税後の個人消費を巡って、復調する都市と低迷する地方の格差が鮮明になってきた。22日発表の食品スーパーの8月の販売統計では、首都圏を含む関東が4%超伸びた一方、中四国や近畿は減少が続いた。大都市部では高額品も売れ始めた。ボーナス増などが消費増につながっている都市部と、ガソリン高が家計を圧迫する地方の違いが、消費の二極化を引き起こしている。
詳細は、この日経新聞の記事をご覧いただくものとして、この記事は明らかにミスリーディングです。こんなことは、最初からわかっていることなのに、この記事では消費増税の逆進性が大きく影響してるのに記事ではそのことに関する説明が全くありません。

消費税の逆進性とは、消費税率が上がると低所得者ほど収入に対する食料品などの生活必需品購入費の割合が高くなり、高所得者よりも税負担率が大きくなるということです。

都市部では、統計上も明らかなことですが、地方よりも所得が高く、消費税増税をすれば、こうなることははっきりしています。

それから、以下の記事は上の記事よりは、まともなのですが、都市部の消費の復活を外国人の消費ということだけで説明しており、そういう側面は否めはしないものの、逆進性については全く触れてないということでは、ミスリーディングです。百貨店の売上向上は、消費税の逆進性によってかなり説明できると思います。
大都市では消費増税後初の前年同月比プラス・・・8月の百貨店売り上げデータをどう読むべきか?
上の2つは、ミス・リーディンクということですが、もっと酷いのもあります。
公明代表、消費税10%「引き上げなければアベノミクス失敗の烙印」
もうこうなると、完璧に意味不明です。増税DQNのレベルです。公明代表は、支持者に創価学会など多くの貧困層を抱えているはずです。本来であれば、消費税の逆進性に着目して、増税反対の立場をとるのがあたり前たと思うのですが、そうはならないのが本当に不思議です。

一方増税に関するまともな記事は、ここ最近では以下くらいのものです。
巻頭特集 第2部 日本経済に大異変!景気急降下、再びデフレへ ブレーンが決意の告白!本田悦郎・内閣官房参与「総理と刺し違えても、『消費税10%』は阻止します」
本田悦朗氏にはどこまでも頑張っていただきたいものです。

とにかく、増税に関しては、一部の例外をのぞいて、テレビも、新聞もDQN報道があまりにも大好きです。

阿比留瑠比氏

ところで、従軍慰安婦に関するDQN報道を続けてきた、朝日ですが、結局は間違いを認めざるをえなくなりました。それに関する、阿比留瑠比氏のFBのコメントがあります。それを以下に掲載させていただきます。


増税DQN報道、発言もこれと同じことです。

もう、経済政策の次元ではありません。経済理論でもありません。初めに増税結論ありきで、あらかじめ準備したストーリーに合わせて事実をねじ伏せるような歪んだ記事を書いたり、発言し続け、いずれ、事実に復讐されることになるのです。

阿比留氏は、いかのようなコメントもしています。


私も、この記事の初めのほうに掲載したように、最近では増税関連の記事を掲載しても、反応が少なく、徒労感を覚えることもあります。

それにしても、日本がデフレに陥ってから15年以上もたちます。朝日新聞の慰安婦DQN報道のように、30年も経ってから、ようやっと消費税増税DQNの報道や、発言が間違いであったという事実が明らかにされるということにでもなれば、あと15年もたたないと日本経済はまともにならないということにもなりかねません。

それだけは、避けたいものです。そうして、阿比留氏が語っているように、ネットにより状況は変わりつつあります。単なる、新聞などの部数などを超えて、事実は伝播し、影響は広がっていきます。時代は、変わったのです。私はそう思います。

皆さんは、どう思われますか?

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2013年11月19日火曜日

【経済学101】ラルス・クリステンセン 「ヒットラーを権力の座に押し上げたのはハイパーインフレではなくデフレである」―【私の論評】日本も過去の歴史を学んでいない、政治家・官僚・マスゴミ・似非識者が多すぎ!過去を学ばない、ないがしろにする者には創造性は育まれず、馬鹿の壁をさらに高くするだけ!

【経済学101】ラルス・クリステンセン 「ヒットラーを権力の座に押し上げたのはハイパーインフレではなくデフレである」

デフレがヒトラーを生み出した!ファシズムの温床、デフレ!

2か月ほど前のことだが、マシュー・オブライエン(Matthew O’Brien)がアトランティック紙で次のように語っている。

ハイパーインフレーションからヒットラーの台頭に至るまでは一直線を引くことができる ことは誰もが知っていることだろう。しかし、この件に関しては誰もが知っていると思い込んでいることは間違いなのである。ナチスが権力の座に就いたのは物価が4日ごとに倍になったハイパーインフレの時期(1923年)-この時期にもナチスは権力の獲得を目指していたが、その試みはうまくいかなかった-ではなく物価が下落していたデフレの時期(1933年)なのである。

オブライエンの言う通りである。しかしながら不幸なことに、ヨーロッパの政策当局者らの中には過去の(経済や政治に関する)歴史をきちんと学んでいる人物がほとんどいないようである。加えて、自由市場に基づく資本主義体制を擁護する者の中で次のことに気付いている人物もまたほとんどいないようである。すなわち、資本主義体制に対する最大の脅威は過度の金融緩和ではなく過度の金融引き締めなのであり、過度の金融引き締めこそが反動的なポピュリスト―右か左かを問わず―が権力の座に就く土壌を形成することになるのだ。

(追記) ドイツのシュピーゲル紙が次のように語っている。

1922年から1923年にかけてドイツ全土を襲ったハイパーインフレはついにはアドルフ・ヒットラーの台頭を促したのであった。

・・・ドイツのメディアの中にも自国(ドイツ)の歴史からきちんと教訓を学ぶ必要のある人物がいるようである。

オブライエンの記事の存在を教えてくれたことを含めPetar Siskoに感謝。

P.S. スコット・サムナー(Scott Sumner)が直近のブログエントリーの中で自由市場の擁護者の多くが金融政策に関わる問題を巡っていかに間違った考えを抱いているかを話題にしている。

もう一つP.S. デフレ圧力に晒されているユーロ圏で進行しているこの新しいニュースにも要注目である。

【私の論評】日本には過去の歴史を学んでいない、政治家・官僚・マスゴミ・似非識者が多すぎ!過去を学ばない、ないがしろにする者には創造性は育まれず、馬鹿の壁をさらに高くするだけ(゚д゚)!

1938年9月1日、ベルリンの「アドルフ・ヒトラー
広場」で行進中の兵士たちに敬礼するヒトラー。

おそらく、ドイツの歴史について忘れ去られていることで、重要なことがもう一つあります。それは、ドイツの当時の空前のハイパーインフレの原因は何であったかというものです。これも日本はもとより、ほとんどの国の政策担当者や、マスコミに忘れ去られています。特に、日本は酷いです。

第一次世界大戦後のドイツがハイパーインフレになった原因としてはいくつもありますが、その大きな直接的な原因の一つは当時のドイツ連邦銀行の独立性によるものです。

この当時のドイツにおける中央銀行(ドイツ連邦銀行)の独立性とは、現在世界各国で標準となっている独立性とは異なります。

現在の世界標準の中央銀行の独立性とは、国の金融政策はその方針を政府が定め、中央銀行はその方針に従い、専門家的な立場から、その方針を実現するための手段を自由に選択できるというものです。国の金融政策の方針はあくまで、政府が定めるということです。

ドイツ連邦銀行

当時のドイツ連邦銀行は独立性を有していましたが、その独立性の中身は、現在の世界標準の独立性とは異なるものでした。どのようなものであったかといえば、国の金融政策は、方針まで含めて中央銀行であるドイツ連邦銀行が定めるというものでした。

政府は、選挙で選ばれた議員などもその構成員の中に含まれ、民意も直接的に反映されるものですが、中央銀行は政府の一下部機関に過ぎず、そんなところが、国の金融政策を独自で決定するのは本来あってはならないことです。しかし、その当時のドイツはそうではなく、結果としてドイツ連銀が、政府の意向とは関係なく、貨幣を大量に刷り増すことになり、ハイパーインフレになってしまいました。

こうしたことの反省もあり、現在の世界の中央銀行の独立性とは、先ほども述べたように、政府の決めた金融政策の方向性に従い、専門的な立場からその方法を自由に選ぶことができるというように制限されたのです。

日本銀行

このことも、忘れ去られています。特に、現在の日本では忘れ去られています。日本でも、従来は日本銀行の独立性はごくまともなものでしたが、平成9年(1997年)6月18日の日銀法改正により、日銀の独立性は拡大され、日銀が国の金融政策の方針を定めることができるようになりました。

この次の年、1998年より日本は完璧にデフレに突入し、それから15年以上もの年月がたっています。その間、ほんのいっとき金融緩和をした例外の期間をのぞき、日銀はデフレであるにも関わらず、ずっと金融引き締め政策を継続し、日本はデフレスパイラルの泥沼に落ち込むこととなりました。安倍政権が誕生することになり、安倍総理が金融緩和をすると約束し、実際に4月から異次元の包括的金融緩和を実行したところ、未だデフレから脱却はできないものの、景気は確実に良くなりました。

過去の日銀の金融政策は全くの間違いであることが、実証されました。15年もの長きにわたって、日銀は誤謬を繰り返していたことが白日の元に晒されることになりました。

以上に述べたことからも、現在の日銀法による、日銀の独立性はあまりに強大すぎます。日銀は、政府の一下部組織に過ぎません。そんな下部組織の、金融政策会議により、日本国の金融政策が定められるという今日の方式は明らかに間違っています。

しかし、特に日銀黒田体制ができあがるまでは、国会議員などが日銀を批判すると、馬鹿なマスコミ、似非識者などは、日銀の独立性を楯にとって「批判するのはおかしい、日銀の独立性に反する」などとはやしたてました。これは、全くおかしなことです。たとえ、現行の日銀法の範囲内で考えたとしても、政府の一下部機関に過ぎない日銀が失敗すれば、批判されるのは当然のことであり、独立性があるからといって、全く批判してはならないなどということにはなりません。

過去の歴史を学ばないのは、何もドイツの政策担当者やマスコミだけではありません。多くの国の政策担当者、マスコミにみられる現象です。しかし、日本では過去の栄光ともいうべき自国の歴史がすっかり忘れ去られ、デフレを長期間にわたって放置するということが平然として行われてきました。

高橋是清

日本の過去の栄光とは、世界恐慌(日本では昭和恐慌)を世界で一番早く脱却したという世界に誇る日本の英知を示す輝かしい歴史です。これは、高橋是清による金融緩和、積極財政政策によるものです。これに関しては、以前のこのブログにも掲載したことがありますので、以下のその記事のURLを掲載します。
ポール・クルーグマンの新著『さっさと不況を終わらせろ』−【私の論評】まったくその通り!!
ポール・クルーグマン博士

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事の【私の論評】においては、高橋是清の金融・財政政策についてその概要を解説させていただきました。是非ご覧になってください。

世界恐慌の原因は、深刻なデフレでした。デフレのときには、金融緩和、積極財政を実施し、早期に経済を立て直すという現在のマクロ経済学上では、当たり前のど真ん中を、日本では昭和恐慌からの早期脱出という形で理論だけではなく、実際に実行してみせたわけです。

この事実は、あまり語られることはありませんでした。それは、様々な原因があるものの、やはり第二次世界大戦に日本が負けたということが大きく影響していると思います。

アメリカは、日本のような政策をとらなかったため、戦前にデフレから脱却することはできませんでした。アメリカがデフレから脱却できたのは、戦争を遂行するための金融緩和政策と、積極財政が効いてきた大戦の最中のことです。もし、戦争がなかったら、回復は相当遅れたことと重います。20~30年か、もっと長く続いたかもしれません。なぜなら、アメリカは、デフレであっても、リフレ政策をするという考えは全くなかったからです。戦争により、戦時国債を乱発することによる結果としての金融緩和、戦争を遂行するため、大量の兵士に給料を支払い訓練して、兵器・要員を大量に生産、戦地まで運ぶという事業による結果としての積極財政がリフレ政策と同じような効果をだしたため、ようやくデフレから脱却できたのです。

そもそも、深刻な世界恐慌から敗戦国の日本が世界で一番先に脱却していたという事実は、アメリカなどの戦勝国からすれば、とても容認できないことだったと思います。実は、戦勝国よりも敗戦国である日本のほうが、知恵があり、経済的には優れていたなどという事実はあまり公にしたくない事実だったと思います。

そのためか、戦後の教育の基本は、ソ連のコミンテルンが大勢を占めた、アメリカGHG(事実です、GHQの構成員のほとんどはソ連のスパイか、馬鹿のいずれかでした)によって創られたこともあり、この事実は日本では学校でもあまり教えられることもありませんでした。しかし、私たち日本人は、この事実を日本の英知を示す素晴らしい一つの事例であることをしっかりと記憶にとどめるべぎです。特に政治家・官僚、政策担当者、マスコミの特に経済記者の方々はその詳細まで含めて、学ぶべぎてす。

日本でも、政治家、官僚、政策担当者が、しっかり学んでいれば、15年間もデフレを放置するなどということにはならなかったはです。過去を学ばない、ないがしろにする者には創造性は育まれせん。

それは、アインシュタインの言葉でも理解できることです。これについては、以前のこのブログても掲載したことなので、以下にそのURLを掲載します。
BOOK REVIEW 『これからの思考の教科書』- ビジネススキルとしての思考法を順を追って学べる良書―【私の論評】常に革新的であるために、一つの思考方法に凝り固まるな!!アインシュタインと菅総理大臣から真摯に学ぼう!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にアインシュタインの発言などを抜粋して掲載します。
このことを端的に示しているのが、アインシュタインです。アインシュタインといえば、あの相対性理論で有名です。特にその中でも、「E=MC2」という式は、統合的思考の産物です。わずか、この一行の式の持つ意味はまるで、広大な宇宙のようです。 
こうした、アインシュタイン自身が自分の業績について語った言葉が印象的です。「私の理論は、すでに先人がそのほとんどすべてを開拓したものです。私が付け加えたのは最後のほんの!%程度くらいにすぎません」。これは、かなり、謙遜した言葉と受け取られるかもしれません。しかし、真実です。 
アインシュタインは、先人が開拓した物理の理論を情報として、徹底的に、頭の中にインプットしたのだと思います。そうして、そこから、様々な知識を生み出し、その過程で、無論、論理的思考と、水平的思考を駆使し、最後の最後で、統合的思考方法を適用して、壮大な理論を「E=MC2」という、単純な公式としてまとめあげたのです。わずか、!%といいながら、その1%は、偉大であり、人類の金字塔となったのです。
アインシュタインは、科学の分野の人であり、先人が開拓した物理の理論を情報として、徹底的頭の中にインプットしました。金融、経済でも同じことです、高橋是清の実施した事柄や、ケインズなどの理論については、政治家や政策担当者は真摯に勉強すべきです。

アインシュタイン

また、私たち一般人も、詳細までは知らなくても、歴史的事実として概要は知っておくべきものと思います。そのようなことが実際に実行されていれば、デフレが15年も続くだとか、来年の4月に増税するなどのことはなかったものと思います。

一人のリーダーだけがそのような姿勢であっても、世の中は変えられません。大勢の人がそのようにしなければ、馬鹿なことはこれからも何度となく繰り返されると思います。私は、安倍総理は過去を真摯に学んでおり、本当は増税などしたくなかったのでしょうが、自民党の中でも、過去の歴史を学んでいる人はほんの一握りであり、それに抗って増税を見送った場合には、安倍長期政権は実現することはかなわず、結局は大事を成すチャンスすらなくなってしまうので、妥協せざるを得なかったのだと思います。残念なことです。平成15年の総裁選には是非勝利をおさめて、これから馬鹿なことが繰り返されないよう頑張っていただきたいものです。

アインシュタインのいうように、日本の過去の政策担当者らが、高橋是清などの先人の研究を徹底的に調べ、それに何らかの新しい1%の新しいことを付け加えるようなことができていたら、デフレになるどころか、今頃日本は大躍進していたかもしれません。

結局、過去を学ばず、ないがしろにする者には創造性は育まれず、馬鹿の壁をさらに高くするだけなのだと思います。何事においても、過去の歴史を真摯に学び、それに新たな1%を付け加えることができたら、天才になれるということかもしれません。ただし、その1%が難しいということだと思います。しかし、その前にまずは、過去の歴史を真摯に学ばない者には、何も新しいことはできないということです。

過去を学ぶ手段としては、何も社会科学、自然科学を学ぶだけではなく、歴史や文学などもあります。この分野もある程度は齧らないと、馬鹿の壁がさらに積みあがるだけになります。読書にはこうした役割もあるということです。どんなに科学が発展したといっても、人間の生きている時間など限られており、生きているうちに自ら直接体験できることなどたかが知れています。古今東西の先達の考えたこと、感じたことなど学べば、自ら直接体験できないことにまで視野は広がります。視野の広がりが、馬鹿の壁を崩してくれます。しかし、そのようなことをしない人は、馬鹿の壁をうず高く、積み上げて馬鹿な人生を送り、一生を終えることになります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【ボール・クルーグマン】財政赤字ガミガミ屋どもこそ非難すべき―【私の論評】日本も同じ!!でも政治家のほとんど、特に自民党に"いかれポンチ"が多すぎ!日米両国とも財政赤字の罠にはまってしまった!

【関連図書】





2013年10月13日日曜日

【ボール・クルーグマン】財政赤字ガミガミ屋どもこそ非難すべき―【私の論評】日本も同じ!!でも政治家のほとんど、特に自民党に"いかれポンチ"が多すぎ!日米両国とも財政赤字の罠にはまってしまった!

財政赤字ガミガミ屋どもこそ非難すべき

by ポール・クルーグマン

アメリカのいかれポンチ代表共和党のJohn Boener

あと2週間後に政務上限危機が起きて経済に悲惨な影響がでたとして,そのときは John Boehner のもとでヘマした連中を非難しよう.それに,財政赤字ガミガミ屋どもも非難しよう――「責任ある」ピーターソン予算委員会みたいな連中,それに,支持したおマジメなみなさんもそろって非難してやろう.

『ニューヨークマガジン』でジョナサン・チェイト (Jonathan Chait) が思い出させてくれてるように,ああいった組織はそろいもそろって2011年に共和党を応援した.共和党がはじめて債務上限を使って現職の大統領に脅しをかけたとき,連中はそろって応援してた.

いかれポンチを応援した、いかれポンチの Jonathan Chait

金融危機が起こりそうないまの様子をみて連中がびびってたとして……ねえ,あんたら,自分の目標に役立つならあんなゆすりもOKだって主張してたのは他でもなくあんたたちだったよね.

© The New York Times News Service

【私の論評】日米双方とも政治家に"いかれポンチ"が多すぎ!だから両国とも財政赤字の罠にはまってしまった!

いかれポンチ?これは、ある方のtwitterの写真です

イカレポンチ

@u_ya_mu_ya


いわゆる、“いかれポンチ”も数が多くなるととんでもないことになります。アメリカでは、 John Boehner のもとでヘマした連中、財政赤字ガミガミ屋どもは、現状のアメリカの様子をみると、“いかれポンチ” も数が多いと、 あと2週間後に政務上限危機が起きて経済に悲惨な影響が出るようなとんでもない事態になることを示しています。

リーマンショックの時には、敏速に対応して、金融緩和を積極的に進めた米国とは、対象的に日本では、日銀が金融緩和をしなかった(当時の日銀はしたといっていていたが、他国と比較すると量的に少なすぎ)日本が、もともとリーマンショックとはほとんど関係なかったのに、ほとん゛と独り負け状態になったことから、米国のほうが経済対策は、はるかに優れているようにみえました。

そうして、日本の政治家や、官僚なども、アメリカに比較すると"いかれポンチ"が多いのかと思い、忸怩たる気持ちがしたものです。

しかし、上の状況をみていると、アメリカも経済に関しては"いかれポンチ"が多数いるということで、お気の毒ではありますが、何やら滑稽でもあります。はっきり、「ばーかみたい」という感じです。ホール・クルーグマン氏もこれらマクロ経済が全くわからない"いかれポンチ"を随分前から、批判し揶揄していました。そうして、著書で、「テレビなどでは、医学の分野の話だと、医師が説明するのが普通だが、なぜか経済の話になると、マクロ経済と全く関係のない人がそれこそ、"いかれた話"を平気でする」と嘆いていました。"いかれポンチ"は、米国でも日本と変わらず多いようです。

日米共にマクロ経済オンチは多いようですが、日本は左に(おそらく反資本主義であるマルクス主義の影響)、アメリカは右に(リバタリアニズムや古典派系経済学の影響だろう)多い傾向があるようです。ただし日本でも新自由主義の構造改革系は反マクロ経済学的要素が強いです。財務省も緊縮デフレ脳です。政治家も少数の例外を除けば不勉強極まりありません。

経済学者のいうことは当てにならないなどという人もいますが、クルーグマン博士も言っていたように、現在の世の中でも、マクロ経済学的な見方は成り立っています。それに、今の日本経済をみていても、マクロ経済学が現実の世界に当てはまるのかなどということは、到底理解できません。

なぜなら、今の日本は、過去20年にもわたって、マクロ経済がこうすべきことと教えていることのすべて逆をやってきています。ただし、今年の4月から、包括的金融感をして、ここ20年ではじめて、マクロ経済学の教えに合致した金融政策をやりはじめたばかりです。これでは、マクロ経済学が、世の中の現実に即しているのかどうかなど、検証不能です。今の日本、まずはマクロ経済学の教えと合致する経済政策をするのが、最優先課題だと思います。

それにしても、日本では、こうしたマクロ経済学を全く無視する"いかれポンチ"が顕在です。顕在どころから、数的にほとんどが"いかれポンチ"です。自民党も、数的には安倍総理も"いかれポンチ"の多数派に囲まれ、長期安倍安定政権を目指すために、忸怩たる思いで「来年4月からの増税」に妥協してしまいました。

自民党の"いかれポンチ"議員は、民主党の"いかれポンチ"議員などと比較すれば、まだましですが、その数の多さは、パーセンテージでみれば、あまり変わりはありません。民主党の"いかれポンチ"度合いは、酷すぎました。中国に対する態度も、自民党にもこうしたとんでもない議員も多数いますが、民主党のポンチ度合いは、度外れていました。

むろん、自民党にも、民主党さえまともな人もいました。民主党は、閣僚はほとんど全部"いかれポンチ"でした。これでは、いくらまともな議員がいてもどうにもなりません。自民党の場合は、少なくとも安倍総理は"いかれポンチ"ではないですし、閣僚にも、議員にもそうではない人もいます。だから、自民党のほうがまだまともかもしれません。だからこそ、こういう人たちに頑張って欲しいです。

認知症の老人は、自分が認知症と理解してない人も
多い。いかれポンチも自分をそうだと思ってない(゚д゚)!

"いかれポンチ"の多数派は、このことに気づいていません。"いかれポンチ"は、全く自分のことをそう思っていません。認知症の老人の多くが、自分は認知症ではないと思っているのと非常に良く似ています。他人評価でなくて、自己評価の世界に生きていて、他人の言うことなどは、歯牙にもかけません。

民間企業の経営者などが、マクロ経済を理解しなくても、"いかれポンチ"とはいえないとは、思います。なぜなら、彼らはミクロ経済の担い手だからです。現経団連会長、米倉のようなのは、いただけませんが、企業経営者の中には、マクロ経済のことは知らなくても、商売上手、事業運営のうまい人はいくらでもいます。しかし、政治家や、経済新聞記者、マスコミ、経済に関係する官僚、財界団体の長などがマクロ経済に疎ければ"いかれポンチ"と言われても仕方ないと思います。

経団連米倉会長

これは、本当に国に関係なく、日米共通です。このまま"いかれポンチ"をそのままにしておけば、上記のアメリカのような、滑稽な出来事が起こっても不思議ではありません。実際、日本の民主党政権下でも、もう少しで現在のアメリカと同じようなことが起こりかけたのは、記憶に新しいところです。

いずれにしても、"いかれポンチ"の多い政治家による政治は、うまくはいきません。日本で、"いかれポンチ"を見抜く方法は、簡単です。クルーグマンのように 「財政赤字ガミガミ屋」は、日本でも"いかれポンチ"の代表格です。特に、「このままでは、日本は財政破綻する」などと心の底から信じ込み、経済成長よりも、財政再建が先と信じ込む政治家は極めつけの"いかれポンチ"です。

社会保障費の削減と、経済成長するということは、全く別次元の問題であり、社会保障費が増えようが、増えまいが、経済成長は実現できます。それに、デフレから一刻もはやく脱却して、経済成長しなければ、税収が減り、そうなれば、ますます、財政赤字が増えるわけです。だから、今は経済成長が最優先なのです。そのためには、アベノミクスの第一の矢である、金融緩和をさらに推し進め、年内には実現できなかった、第二の矢である、大規模な財政出動が必須です。

こんな簡単な理屈がわからないのが、"いかれポンチ"です。いかれポンチどころか、精神を病んでいるのではないかと思います。あるいは、頭が老化したか、完璧に劣化したのか・・・・・・・?

これらの、"いかれポンチ"の言論を徹底的に批判すること、言質をとること、選挙のときには当選させないようにすることが、日本をまともにする最初の一里塚になります。これは、アメリカも同じことです。だかこそポール・クルーグマン氏は、上記のように"いかれポンチ"どもを徹底的に批判しているし、過去においても手ひどく、執拗に批判しまくっていたのです。そういわれてみれば、ブッシュ政権批判など度がすぎていて、批判というより一歩間違えば、罵倒という感じでした。

辛辣な批判をすることで有名なポール・クルーグマン博士

一流の経済学者から罵倒を浴びせられれば、さすがに、参ってしまうだろうし、経歴に傷がつくだろうし、相当ショックだろうと思います。でも、仕方ないです、そもそも"いかれポンチ"は、アメリカだろうが、日本だろうが、政治家などになってはいけないのです。日米双方の、まともな経済学者、まともな言論人、そうした私たちのような草の根の人間は、これから、徹底的に"いかれポンチ"を叩いていくべきです。そうでなければ、日米双方ともまともにはなりません。

日本が財政破綻するなどは、単なるトンデモ説であることは、このブログでも何回か説明しましたし、このブログの読者の皆様は、ほとんどご存知だと思いますが、そうではない方のため、本日は以下に動画を掲載します。この動画をご覧いただければ、よくご理解できると思います。



国家の経済を家庭の主婦的感覚で考えて、貿易赤字(貿易赤字がたくさんあるからといって、それが即経済が悪いこととは結びつかない)で大変だとか、景気が悪いのに、財政赤字をガミガミ(景気が悪いときには、何をさておいても経済成長が重要)いう"いかれポンチ"は、日米ともに政治家になる資格はありません。ましてや、このあたりを理解できなマスコミ関係者も、日米ともに、経済記者、経済新聞を名乗る資格はありません。こういう"いかれポンチ"どもは、世のため、人のため、この世から駆逐しなければなりません。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年10月1日火曜日

ポール・クルーグマン、日本への緊急提言「 日本:いいところを邪魔すんな 」―【私の論評】 "デフレ予想ががっちりと〔プラスの〕インフレ予想に転換するまで待てばいいじゃない"というのは、本当だ!次の10%は、インフレ予想に転換していなければ絶対阻止!めげるな反増税派闘いはこれからだ\(◎o◎)/!

ポール・クルーグマン、日本への緊急提言「日本:いいところを邪魔すんな」

2009年に来日しクルーグマン博士は、日本の経済対策の不備を語っていた
2013年10月1日 by optical_frog Leave a Comment
Paul Krugman, “Japan: Don’t Ruin A Good Thing”, September 19, 2013.
Paresh/The Khaleej Times – Dubai, UAE/CartoonArts International/The New York Times Syndicate

ここまでのところ、アベノミクスはホントにホントうまくいってる。「日本銀行は変わったんだ」、「宴もたけなわのところで酒瓶を片付けてしまうようなマネはしない」、「持続的なプラスのインフレ率を目標にする」とシグナルを送り、また、債務は高水準ではあるものの、なんらかの財政刺激をまもなく行うというシグナルも送ることによって、日本の当局者たちは、短期の経済実績で刮目すべき転回を成し遂げた。

でも、この短期の成功は、自己破滅的なおわりを迎えたりしないだろうか? 『フィナンシャルタイムズ』に最近のった論説にでてくるこの問いは、ぼくもホントに心配してる:「日本経済は、第二四半期に当初の報道よりも大幅に急速なペースで拡大した。それにともなって、安倍晋三首相が異論多数の消費増税を敢行する確率が上昇している――もっとも、この増税はさらなる政府支出によって相殺されるという話だが」

いいかな、もしかすると、日本はこの増税を受けてもなお、経済成長を維持できるかもしれない。でも、できないかもしれない。経済成長が確実に定着するまで待てばいいじゃないの。とりわけ、デフレ予想ががっちりと〔プラスの〕インフレ予想に転換するまで待てばいいじゃないの。

ぼくに言わせれば、消費税増税を延期するのは、純粋に財政の観点から見ても賢明な判断だ。日本でゼロ下限とデフレが組みあわさって生じた深刻な帰結の1つは、日本の実質金利が最近まで他の先進国よりも大幅に高くなってしまっていたことだ――これまでに積み重なった債務がすっごく大きいときには、深刻な懸念事項だよ。実質金利を下げるのは(そして、かなりの部分まで、既存の債務の実質価値を下げてやるのは)、長期的な財政の見通しにとって大いにものをいう。財政責任の名の下に、この前線で事態の進捗を危機にさらそうってのは、おろかでしかない。

そうだね、たしかにゆくゆく日本はもっと歳入を必要とするようになる。でも、リフレーションの方が先決だ。消費増税がいままさに議論されてるってことですら、マジでよくないサインだよ。

OECDの不確実っぷり
2008年以後の経済論議には、独特な特徴がある。それは、目を見張るほどの破壊的な役割を、国際的なテクノクラートたちの全員ではないまでも大半が演じてしまっている、という点だ。高い失業率と低いインフレ率に直面するなかで、主だった機関は――欧州委員会、国際決済銀行、経済協力開発機構 (OECD) などの機関は――ずっと一貫して先進諸国をいっそう落ち込ませるような政策を訴え続けている。

この記事の詳細は、こちらから(゚д゚)!

© The New York Times News Service

【私の論評】 "デフレ予想ががっちりと〔プラスの〕インフレ予想に転換するまで待てばいいじゃない"というのは、本当だ!次の10%は、インフレ予想に転換していなければ絶対阻止!めげるな反増税派闘いはこれからだ\(◎o◎)/!


8%増税は阻止できなかった\(◎o◎)/!


上のクルーグマン博士の記事、もっともです。これは、以前のもこのブログに掲載した、ニューヨーク・タイムズのサイトに掲載されている、クルーグマン博士のブログの日本訳です。このところ、世界は、緊縮派の先導により、経済成長よりも、緊縮財政という、まるで日本でいえば、経済対策といえば、倹約という江戸時代さながらの経済対策により、イギリスをはじめ、多くの国々が大失敗しています。

本日とうとう、安部総理による8%への増税の決定がありました。これに関しては、前々から予想されていたことで、こうなることは、十分判っていたのですが、それにしても、ショックです。せっかく、景気が良くなりかけていたのに、これで腰をおられて、デフレからの脱却が遠のくことは間違いないです。本当に残念です。


8%増税は阻止できかなったが?

安部総理も、苦渋の選択だったと思います。第一次安部政権の崩壊は、日銀の金融引き締めによる景気の悪化も、その一つの大きな原因でした。今回の増税も景気腰折れの危険性は十分あります。そうなれば、さんざん増税を煽った、マスコミや政治家、官僚が安部下ろしにまわることでしょう。彼らの論理は「増税は安部が意思決定したから」というものになると思います。そんなことは、絶対にさせてはなりません。

今回の増税は、日本の政治風土は、まだまだ政治主導ではなく官僚主導であることを露呈しました。多くの政治家が、全世界的な緊縮レジームの罠と、日本の官僚主導の罠に嵌って、増税やむなしとしてしまったことに気づいていません。愚かです。官僚特に、財務省は、省益を拡大するため、国民のことはそっちのけで、増税を推進しました。


そもそも、これが、増税推進派の隠れた意図だと思います。しかし、今後は、そうはいかないと思います。


10%増税は絶対阻止\(◎o◎)/!

中央銀行による不景気のときの金融緩和に関しては、アメリカ、EUなどの先進国はもとより、中国などの新興国でも、それが効き目があることは、十分実証されており、日銀の官僚が何を言っても、デフレ時期には、金融引締めではなく、金融緩和すべきというコンセンサスが政財界、国民の間でも、広くなされていたものと思います。だから、日本でも実現可能となったものと考えられます。


しかし、緊縮財政(増税も緊縮財政の一環です)に関しては、最近ようやっと、イギリスなどの緊縮財政の失敗が明らかになりつつあるところで、まだまだ、上でポークル・クルーグマン博士が述べているように、不況時の緊縮には意味がないことの全世界的なコンセンサスが得られていません。私の身の回りにも、これを理解していない人が多いです。皆さんの周りもそうだと思います。こういう人たちに、しっかりと緊縮が意味のないことを理解してもらわなければならないのです。
やられたら、倍返しだ。10%増税は絶対阻止するぞ\(◎o◎)/!

しかし、これもEUのイギリス、イタリア、スペイン、ポルトガルそうして、これからの日本の失敗が明るみに出るにつれて、全世界的にコンセンサスが得られ、無論日本でも認められ、OECDやIMFも認めざるを得なくなる時は近いです。


だから、今回増税が決まったからといって、それでお終いというわけではありません。増税反対派としては、まだまだやることはあります。増税は、今回だけではありません。次には10%の増税の予定があります。これは、上の記事で、クルーグマン博士が語っていたように、プラスのインフレ予想に転換しない限り絶対に阻止です。いつまでも、官僚主導で日本が官僚の好き勝手にはできないことを思い知らせるべきです。今から周到に準備をしておいて、何が何でも絶対阻止です。ちなみに、本日は、この10%増税ブロックの意味合いもこめて、ビーチバレーのブロックの画像とともに掲載させていただきます。

以下に消費税増税のスケジュールを掲載しておきます。



今回の増税だけであれば、財政政策を併用すれば、景気が腰折れすることは確実ですが、腰折れ度合いは、そんなに酷いことにならない可能性もあります。しかし、15年度10月の増税がそのまま実行されれば、日本は、またぞろ、デフレが続き、失われた20年が失われた40年にさえなる可能性があります。

そんなことは、断じて防がなければなりません。安倍総理は、少なくとも、この15年10%は望んてはいないと思います。しかし、私たち増税派が、本日の増税にめげていたら、この増税も実施されてしまうかもしれません。そうなれば、大変なことになります。

少なくとも、コアコアCPIがプラスに転じ、それどころか、ハイパーインフレ懸念がでそうなとき以外を除いて、絶対に増税させないことが肝要です。以下は、消費者物価指数推移です。コアコアCPIも掲載しています。



コアコアCPIとは、食料品・エネルギー品目など価格変動の大きい品目を除いた消費者物価指数(CPI)です。インフレやデフレの基調の度合いをみる場合に使われます。

上記のグラフのように、日本のコアコアCPIは、98年あたりより、右肩下がりで一度も上がっていません。これが、プラスに転じるどころか、あがり過ぎであり、ハイパーインフレ一歩手前という状況なら、増税すべきです。


本日の負けは明日の勝利に\(◎o◎)/10%増税は阻止しないと大変なことになる\(◎o◎)/!


















本来これを指標として、増税するしないを決めるべきです。このように、右肩下がりの現在増税すれば、どう考えても、景気は腰折れします。そうして、他の指標も連動します。

私たちは、今から、こうした指標の悪化に敏感になり、悪化するたびに、増税が間違いであったことについて、多くの人々に注意を促し、このまま10年度に増税すれば、今度こそ、大変なことになると警鐘を鳴らし続けるべきです。


10%阻止は貫徹するぞ\(◎o◎)/!

増税派の皆さん、本日は8%の増税が決まったばかりですから、残念な気持ちでいっぱいかもしれませんが、今回の増税で景気の腰が折れるのは間違いないですが、15年の10%増税が行なわれたら、それこそ、今度は失われた20年がほぼ確定してしまうおそれがあります。今度は、そんなことは絶対にさせてはなりません。

本日から闘いの日々が始まります。本日の増税確定にめげている暇はありません。本日からまた立ち上がろうではありませんか(@_@)

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか\(◎o◎)/!


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2012年11月22日木曜日

日経平均113円高で9300円台回復―【私の論評】これは、安倍効果以外の何ものでもない!!

日経平均113円高で9300円台回復:


  22日の東京株式市場は続伸し、日経平均株価は前日比113.80円高の9336.32円で取引が始まった。9300円台回復は5月2日以来。

  前日の米国株式相場は上昇。NYダウ平均は48ドル高、ナスダックは9ポイント高となった。サンクスギビングデーを前にして商いこそ薄かったものの、週間新規失業保険申請数が前回より減少したことが好感された。

  東京市場では、外国為替市場で1ドル=82円台半ばまで続伸していることもあり、自動車など輸出関連株など幅広く買われている。東証1部の値上がり銘柄は76%となっている。

【私の論評】これは、安倍効果以外の何ものでもない!!

野田首相が、解散宣言をして以来、円安に振れていることは、以前にもこのブログに述べました。それに、加えて、最近では、株価も上がり気味です。昨日も上の通りです。これは、一体どうしたことでしょうか?最近、株式市場が大きく好転する、政府や、日銀の政策の変更があったでしょうか?

ないです。株価が下落するようなものは、あっても、その他は一切ありません。白川総裁にいたっては、結局インフレ目標1%も達成するつもりはなく、今月12日の時点で、インフレ目標に否定的であり、 「現実的でない」とまで、発言していました。これについては、このブログにも掲載しましたので、その記事のURLを以下にコピペしておきます。

日銀総裁、インフレ目標に否定的 「現実的でない」―【私の論評】インフレ目標を否定する、白川総裁本音炸裂!!マスコミはその協力者!!



詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、白川総裁は、金融緩和措置に対しては、消極的であることには変わりなく、さらに、上のような発言をしていたわけです。であれば、株式市場が好感を持つ状況は一切ないわけです。にもかかわらず、株価が上がっているのは、安倍総裁が、インフレ目標3%や、日銀法改正などを明言したため、市場がそれに好感を持ったためであり、安倍政権が実現した場合、徹底した金融緩和措置を行うことであろうことは明らかなので、それを見越して、上がりそうな株を買いに走っているという事だと思います。それ以外に説明がつきません。

この状況を白川総裁、野田総理は、どのように考えているのでしょうか。私自身は、負け犬の遠吠えのようにしか聞こえません。

最近は、安倍総裁の金融緩和政策に対する批判が、多いです。白川総裁、野田総理だけではなく、マスコミや文化人によるものなど、大合唱という有様です。ツイッターにも、安倍総裁の金融緩和政策を支持するツイートも大ですが、安倍総裁の金融政策を批判するものも多いです。

その代表的なものが、先日もこのブログに掲載した、池田信夫氏の論評です。以下にその記事のURLを掲載させていだきます。

安倍晋三氏の無責任な経済政策 - 池田 信夫氏−【私の論評】安倍総裁を無能呼ばわりしたつもりでしょうが、矛盾点が露呈してますが?!


池田信夫氏

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、池田信夫氏は、同じ論考の中で、金融緩和をすれば、ハイパーインフレになると語り、そのすぐ後に、日本経済は、流動性の罠にはまっているので、インフレにならないなど、無茶苦茶なことを語っています。

さて、詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、ここで、さっそく私自身が、金融緩和すべき論拠を書こうかとも思いましだか、これは、過去に何回も書いているので、本日は、たまには、他の人の論考を掲載してみます。本日サイト"ZAkZAK"を見たところ、経済評論家の山崎元氏が、『経済快説 安倍発言で市場注目のデフレ対策、反対論者の「脅し」に根拠なし』というわかりやすいコラムがあったので、以下にそのコラムから抜粋させていだきます。

山崎元氏
 金融緩和については、大別して、(A)「やるべきでない」(B)「やるべきだ」(C)「やっても効かない(副作用が大きい)」といったお互いに対立する意見がある。 
 デフレ脱却には賛成者が多いから、当面はっきりさせておきたいのは、(B)(C)のいずれが正しいかだ。(C)の論者は、日銀が市中銀行へのマネー供給を増やしても、ゼロ金利状態では貸し出しに回らず、日銀当座預金の必要以上の残高が積み上がるだけで、効果がないという(かつての筆者はこの意見だった)。 
 しかし、こうした場合でも、金融緩和を追加すると「将来のゼロ金利解除」が遠のくだろうという期待が働く「時間軸効果」のほかに、(1)日銀がリスクのある資産を買う(いわゆる「非伝統的金融政策」)(2)政府ないし日銀が外貨を買い実質的に為替介入を行う政策(3)政府が財政赤字を増やして貸し出し需要にもつながる有効需要を追加する(4)マネー供給を拡大すると際限なく通貨発行益が政府のものになるので通貨価値下落への期待が働く(5)高めのインフレ目標をはっきりさせると人々の予想に働きかける効果がある(2月には「1%」というケチな目標だったが、為替市場には少し効果があった)。 
 つまり、金融緩和の手段はまだある。(C)は間違いなのだ。 
 こういうと、金融緩和や財政赤字を拡大すると、「将来大変なことになる」と脅す人がいる。しかし、これらの典型的な弊害としていわれるのが長期金利上昇やインフレ、通貨安というものだが、現在、長期金利は低く、インフレではなくデフレに悩んでおり、円安ではなく円高で国内の産業や雇用が苦しい。先の脅しは、ぬるい風呂を「追い焚き」すると、いきなり沸騰するというような話なのだ。 
 付け加えると、民主党にも前原誠司国家戦略担当相のようにデフレ対策に積極的な意見があるし、「第3極」もデフレ対策には賛成だろう。 
 あとは、政治家が、官僚・日銀にごまかされないように、彼らをどうマネジメントするかだ。

上の記事で、太字にした部分「日銀が市中銀行へのマネー供給を増やしても、ゼロ金利状態では貸し出しに回らず、日銀当座預金の必要以上の残高が積み上がるだけで、効果がない」は、池田氏も語っていた、日本経済が、流動性の罠にはまっているということと同じことです。

日本経済は、デフレになってから、随分経過しています。私は、池田氏が語っていたように、日本経済が、かつて流動性の罠にはまっていて、確かに、その時点では、池田氏山崎元氏が語っていたように、どっぷりと流動性の罠にはまっていた時期があり、その時期には、確かに池田氏がいうように、日銀が市中銀行へのマネー供給を増やしても、ゼロ金利状態では貸し出しに回らず、日銀当座預金の必要以上の残高が積み上がるだけで、効果がなかったという時期は、間違いなく存在したと思います。

そうして、インフレターゲット論者である、ポール・クルーグマン氏も、過去に、日本が流動性の罠にはまっていることを語っていた時期もあります。だから、過去の自分の日本政府や日銀に対する批判はあてはまっていなかったと、認めていた時期もありました。しかし、それは、過去の話しです。

ポール・クルーグマン氏
すでに、日本がデフレ傾向になってから20年、統計上でも完璧にデフレ状態に入ってからも、14年の年月が流れています。この間、一部のほんの短期間を除いて、政府は緊縮財政、日銀は、金融引き締めばかりやってきました。しかし、現在安倍効果で、円安にふれたり、株価が上昇していることを考えると、日本経済は、「流動性の罠」にはまっているから、停滞しているとは言えないのではないかと思います。その主たる原因は、あまりに長い間、緊縮財政ならび、金融引き締め策を実施してきたためではないかと考えます。

そうして、クルーグマン氏は、流動性の罠から逃れるための、処方箋の一つとして、インフレターゲット理論を提唱しているのです。だから、安倍総裁の金融政策は、山崎氏が主張しているように、正しいし、反対論者の「脅し」には、明確な根拠はないです。



ここは、ひとつ、過去20年間、政府と日銀がやってきたことと、真逆の積極財政ならびに、金融緩和をやってみる価値は十分あると思います。それに、金融緩和に反対の人々には、金融緩和が駄目というのなら、ただ駄目と言っているだけではく、デフレから脱却するためにどのようなことをすれば、良いのかしっかりと、主張していただきたいです。ただし、これに対して、政府主導による、新規事業戦略などという愚かな答えでは納得できません。政府が新規事業を起こして成功するというのなら、社会主義、共産主義はうまくいったはずです。現実には、これらは、すべて失敗しました。

それから、山崎氏は、「あとは、政治家が、官僚・日銀にごまかされないように、彼らをどうマネジメントするかだ」と締めくくっていますが、選挙が迫っていることから、次の選挙では、有権者が、官僚・日銀にごまかされるだけではなく、マスコミや、文化人、マニフェストなどにごまかされないようにすべき時と思います。

さて、皆さんは、どう思われますか?



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安倍晋三氏の無責任な経済政策 - 池田 信夫氏−【私の論評】安倍総裁を無能呼ばわりしたつもりでしょうが、矛盾点が露呈してますが?!







2012年11月20日火曜日

安倍晋三氏の無責任な経済政策 - 池田 信夫氏−【私の論評】安倍総裁を無能呼ばわりしたつもりでしょうが、矛盾点が露呈してますが?!

安倍晋三氏の無責任な経済政策 - 池田 信夫

池田信夫氏
・・・・・・<前略>・・・・・・・
  中でも重要なのは、金融政策だ。安倍氏は『インフレ目標の達成のためには無制限に緩和をしてもらう』というが、こういう無責任な政策を公言するのは危険だ。日銀が無制限にマネタリーベースを増やせば、ハイパーインフレが起こることは自明である。それは通貨の信認が毀損されるからだ。安倍氏は『マネーを増やしていけばどこかでマイルドなインフレになる」と信じているのかもしれないが、残念ながらそういうことは起こらない。次の図は各国の中央銀行のバランスシートのGDP比だが、日銀はECBと並んで世界最大である。安倍氏の賞賛するFRBの2倍近い。

なぜそういうことが起こらないかも理論的に説明できる。金利がゼロに貼りついた流動性の罠では、マネタリーベースを増やしてもマネーストックが増えないからだ。これは大学1年生の試験問題なので、安倍氏が自分で考えることをおすすめしたい。

・・・・・<後略>・・・・・・・

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】安部総裁を無能呼ばわりしたつもりでしょうが、矛盾点が露呈していますが?


さて、上の記事、随分そっけないです。それに、矛盾点が露呈しています。特に上の文章は、経済や金融のことを理解していなくても、十分看破できます。ただし、言葉の意味を正確に理解していなと、理解できないかもしれません。言葉の定義をしつつ、矛盾点を掲載していきます。

結論からいうと、池田氏は、安倍総裁が、「インフレ目標の達成のためには無制限に緩和をしてもらう」という金融政策を行えば、「ハイパーインフレが起こることは自明である」と述べているにもかかわらず、その直後に、「金利がゼロに貼りついた流動性の罠では、マネタリーベースを増やしてもマネーストックが増えない」、要するにいくら金融緩和しても、インフレにならないと語っているわけです。これは、完璧に矛盾しています。

もっと簡単にいえば、「安倍総裁の言っているような金融緩和をすれば、ハイパーインフレになる。現在日本経済は、流動性の罠にはまっているので、いくら金融緩和をしても、インフレにはならない」ということを言っているということです。酷い矛盾です。

さらに、最後で、憎々しげに、「なぜそういうことが起こらないかも理論的に説明できる。金利がゼロに貼りついた流動性の罠では、マネタリーベースを増やしてもマネーストックが増えないからだ。これは大学1年生の試験問題なので、安倍氏が自分で考えることをおすすめしたい」と述べています。これは、意見というよりは、個人攻撃に近いです。

東京大学1年生!!
本当に大学1年生になったつもりで、この試験問題を考えてみます。マネーストックとは、世の中に流通している預金通貨を含むお金の総量と考えていいのです。池田氏は、日本経済は、流動性の罠にはまっているので、どれだけ日銀がマネタリーベース、つまり、日銀券を発行しようとも、市中に出回るお金の総量が増えることはないと言っているのです。

では、「流動性の罠」とは何かといえば、wikipediaによれば、「金融緩和により利子率が一定水準以下に低下した場合、投機的動機に基づく貨幣需要が無限大となり、通常の金融政策が効力を失うこと」となっていますが、これだけ読むと何やら良くわからなくなります。確か、古典派経済学者のりカードが最初に言い出したものだと思います。過去の日本の経済状況に対して、あのポール・クルーグマンが著書で指摘していたと思います。


池田氏の記事にそって、説明すると、流動性の罠にはまった状態では、 名目金利がゼロの状況であり、一般企業が、金利がゼロであっても銀行からお金を借りようとはしない状況です。だから、そのような状況では、日銀がいくら金融緩和を行なってお金を市場に提供したとても、市中に出回るお金の量は増えないということです。

なぜなら、一国の経済が流動性の罠にはまっている状態では、、本来あるべき名目の金利水準はマイナスであってしかるべきで、そしてマイナスの金利であれば、一般企業の資金需要も起こり、世の中に流通するお金の量が増えることになりますが、現実の世の中では名目金利をゼロ以下に引き下げることができず、従って、一般企業の資金需要を引き起こすことができないので、世の中に出回るお金の量は増えないということです。

名目金利をゼロ以下に引き下げるとは、現実世界においては、銀行からお金を借りると、利子を払うのではなく、逆に銀行から利子分のお金をさらに上乗せしてもらえるということです。そんなことは、銀行だって、商売でやっているので絶対にできません。だから、銀行はお金をかせなくなるということです。であれば、いくら、中央銀行がいくら市中銀行にお金を提供しても、銀行は企業にお金を貸すことはなく、よって、市中に出回るお金も増えないということです。


そうして、現実に今の日本では、銀行がお金を貸すことができず、大量のお金が滞留しているのも事実てす。あの維新の党の石原元東京知事は、知事時代に都営銀行を設立しましたが、そのときの設立趣旨は、「中小企業は、銀行からお金を借りようにも借りられないから、困っている。だから、都営銀行を設立して、中小企業お金を借りやすくする」というものでした。しかし、この銀行ご存知のとおり、大失敗です。現実には、不良債権だらけになっています。


池田氏は、こうした回答を求めているのだと思います。これで、満点かどうかはわかりませんが、流動性の罠だけではなく、ケーススタディーも出しているので、少なくとも及第点はいただけるものと思います。

では、日本経済は、この流動性の罠からは、永遠に逃れることはできないのでしょうか。そんなことは、ないと思います。確か、リカードが流動性の罠を発表して以来、かなりの間、そのような事例がなくなり、日本が流動性の罠にはまったのは、百年数十年ぶりのことだったはずです。全く久しぶりに、そのようなことが起こったので、最初は何が起こっているのかクルーグマン博士どころか、誰も気付かなかったというのが実情です。リカードの時代に流動性の罠にはまった国があったのは確かです。だからこそ、このような事例が残ったのだと思います。しかし、どこの国かは知りませんが、流動性の罠から抜けだしたことだけは間違いありません。だから、日本がこの罠にはまったのは、久しぶりだったのです。一度流動性の罠にはまったからといって、永遠に抜け出せないということはないはずです。

そういわれてみれば、この流動性の罠から抜け出すための、処方箋を上にも出てきた、クルーグマン博士が出していたはずです。それが、インフレターゲット理論です。

ポール・クルーグマン氏
これは、流動性の罠にはまった、国の中央銀行(日本では日銀)が、長期的なインフレ目標を設定して、それに向かって断固たる姿勢を取り続けるというメッセージを出すことで、さしもの流動性の罠も解消の方向に動くのではないか、それを期待しようというものです。

クルーグマン博士がこの政策提言をしたときには、侃侃諤諤の議論が沸き起こりました。そもそも中央銀行の最大の使命は、貨幣の流通をコントロールして、物価を安定させることだ。それなのに自らインフレを引きおこそうとは、どういう了見だ、という批判が巻き起こりました。

しかし、現在では、アメリカのバーナンキもインフレターゲットを設定していますし、他の先進国でも、当たり前に実施する金融政策の手法のうちの一つになりました。こうして、インフレターゲットを設定するやり方を今ではリフレ政策と呼びます。

これについては、インフレ期待そのものについての、経済学的あるいは倫理的な批判が依然としてあるほかに、果して緩やかな、インフレが実現できるのか、危ぶむ声も未だにあります。日本では、池田氏が、その代表格です。

しかし、古くは、日本では、昭和恐慌(世界恐慌の日本版)での、高橋是清による、リフレ政策を実行したことにより、いち早く恐慌から脱出できたことがわかっています。高橋 是清 自身は、インフレターゲット理論とか、リフレ政策など知らなかったと思いますが、いわゆる世間一般の常識に従い、結果としてリフレ政策を実施したのだと思います。リフレ政策を実行しなかった他国が不況から脱出できたのは、戦争が始まってしばらくしてからでした。要するに、戦争を遂行するためには、膨大な戦費が必要であり、これを可能にするため、インフレなど無視して、大幅増刷などの思い切った金融緩和政策、積極財政政策をとらざるをえなかったためです。要するに、しぶしぶリフレ政策をとらざるをえなくなってから、恐慌から脱出できたということです。

高橋是清
それに、1990年代の研究により、世界恐慌の根本原因がデフレであることがはっきりしました。今では、デフレから脱出するには、リフレ政策がかなり有効な手法の一つであることが実証されています。それに、最近では、不況時に大規模な金融緩和をすると、ハイパーインフレになるとする池田氏等の主張は、イギリスの事例が裏付けているように見られていましたが、これも、そうではないことが明らかになりました。

イギリスの事例とは、不況に喘いでいた、イギリスが、財政赤字を解消するため、2010年に付加価値税の大幅増税を行いしまた。その後まもなく、イングランド銀行(イギリスの中央銀行)が、大増刷を含む、大規模な金融緩和をしました。その後、イギリスのインフレ率は、4%を上回り、それたみたことかと、池田氏をはじめとする世界の反リフレ派が、「不況時に大規模な金融緩和をすれば、ハイパーインフレになる」ことの実例だとしていました。しかし、これは、今年に入って、2%台の穏やかなインフレとなり、そうではなかったことが実証されました。これについては、以前のブログにも掲載しましたので、その記事のURLを以下にコピペしておきます。詳細は、こちらを御覧ください。

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収束したイギリスのインフレ
それに、クルーグマン博士は、デフレ解消への処方箋としてのほかに、雇用を作り出すためにも、一定のインフレは許容すべきだとかねがね考えていました。そうして、今では、世界中の中央銀行が、雇用情勢の調整を自らの、主要な任務とするに至っています。いずれにしても、どうも、池田氏の論考は、問題ありです。イギリスのインフレにしても、4%台を超えなかったわけですから、もともとは、ハイパーインフレなどとはいえません。ハイパーインフレというには、4%内外では小さすぎます。

安倍総裁が最近打ち出しているのは、まさにリフレ政策であり、クルーグマンが昔提唱し、今では、多くの国で実施されている、金融政策、財政政策をしようとているだけです。何も、安倍氏独自の突飛で、珍奇方法ではんく、他国でうまくいった方法を日本にも適用しようとしているだけです。

それに、最近では、日銀白川総裁も、野田総理も、安倍総裁の提唱する金融政策、特に日銀の建設国債引受に反対しているようですが、復興の財源などもともとの、復興税にするのでなく、建設国債にすべきでした。財務省は、復興税でうまく行った例を古今東西にないかをかなり調べたようですが、結局そのような事例などあるはずもなく、結局増税のための理論的根拠にすることはできませんでした。それに関しては、以前のブログにも掲載したことなので、以下にその記事のURLを下にコピペしておきます。詳細は、こちらを御覧ください。

まだ生々しい震災の記憶

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それに、経済が安定しているときや、インフレ気味のときではなく、こんな"デフレ"とも呼べるような経済状況の最中に、日銀が引き受けたとしても何の問題もないと思います。

それにしても、こんな安倍批判をするくらいなら、日銀総裁も、野田総理(この方、もう半分総理大臣ではないので、かわり財務省)も、なぜ現状のようなデフレ状態がかくも長い間放置されてきたのか、その合理的な説明をすべきです。そうして、それに対する対策を速やかに行うべぎです。

もう日本は、デフレ傾向になってから20年、誰もが認めざるをえない統計上でもしっかりとデフレになってからも、14年目に突入しています。この間、小渕氏と、麻生氏だけが、積極財政を行いました。そうして、それなりに成果をあげていました。小泉政権だけが、金融緩和措置を行いました。これも、それなりに成果をあげていました。この時期には、あの懐かしい、ライブドア事件や、村上ファンド事件などがおこりました。今では、酷いデフレなので、こんな事件が起こりえる余地すらない状況です。

それに、過去20年間にわたって、日本では、金融緩和と、積極財政を同時に実施したことは一度もありません。もうそろそろ、いろいろ、反論があったにしても、これを同時実施する時期に来ていると思います。それに、池田氏は、大々的に金融緩和を実施しても、大学1年生の問題を通してインフレにならないと、確約してくれています。実際にリフレをやってみても、インフレにはならないそうなので、ましてや、ハイパーインフレなどにはならないということで、安心して実行できるではありませんか!!リフレ政策を実施すると、うまくいくか、何も変わらないかのいずれかということです。何も変わらないということは、悪いこともないということです。そうして、安部総裁は、それを実行しようと主張しているわけです。では、過去20年間政府・日銀やってきたことの真逆をやってみる価値は十分にあると思います。

そう思うのは、私だけでしょうか?





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