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2014年7月22日火曜日

日本株を見誤る、2つの「曇ったレンズ」日経平均は今後も上昇?日本株の正しい見方とは―【私の論評】増税の悪影響を小さく見積もったり、成長戦略に過度の期待を寄せるのは間違い(゚д゚)!

日本株を見誤る、2つの「曇ったレンズ」日経平均は今後も上昇?日本株の正しい見方とは

東洋経済ONLINE(村上 尚己 :アライアンス・バーンスタイン マーケット・ストラテジスト兼エコノミスト)


東京証券取引所は本日、売買が多い一部銘柄の株価の刻み
幅を現在の1円から、10銭や50銭に変更して取引を始めた


まずは、時計の針を3か月ほど前に戻そう。筆者は、日経平均株価が1万4000円台半の水準でこう着状態だった4月28日のコラム「日本株は、もう上昇しないのか?」で、「日本株が投資対象として魅力的である」と述べた。次に停滞が続いた5月26日のコラム「日経平均1万4000円台は、魅力的な水準」でも、同様の相場観を強調した。その後、6月初旬に日経平均は1万5000円台を回復し、現時点では1万5000円台半ばと、上昇トレンドを保っている。

幸い、私の予測は正しかったわけだが、それとは別に、7月半ば現在、年初からのTOPIXのリターンはまだ2%前後のマイナスだ。一方、米欧株は年初から6~7%プラスのリターンとなっており、日本株のリターンが10%ポイント程度アンダーパフォームしている。5月半ばには、約15%日本株がアンダーパフォームしていたので、それが6月以降やや縮小している状況だ。

日本株の復調をもたらした、第一の要因は、海外において米中の景気下振れや地政学リスクなどの不確実要因が和らいだことである。それゆえ、基本的には、1万5000円台半ばから日本株の上昇が続くかどうかは、海外経済・米欧株市場の方向次第と考えるのが妥当だろう。

具体的には、米国経済が巡航速度に戻り堅調な雇用回復が続くか、足元で回復モメンタムが弱まっている欧州経済が再び復調するか、そして新興国経済停滞の元凶だった中国経済の持ち直しが続くか、である。現状、欧州経済の回復が鈍っていることを除けば、世界経済の状況はおおむね良好である。

また、日本株の復調をもたらした第2の要因としては、消費増税による日本経済の落ち込みが和らいでいると認識され始め、2014年度の企業業績悪化懸念が和らいだことが挙げられる。実際に、消費増税が実現した4月以降の消費関連データの中には、4月半ばから戻りつつある指標がある。

ただ、実際に、消費増税後の日本経済の落ち込みが軽微だったかというと、決してそうではない。個人消費の駆け込み需要と、その後の5月までの大きな反動減は、前回増税が実現した1997年とほぼ同じある。事前の想定どおりに日本経済は大きく落ち込んだと筆者は判断している。

そして、2014年度は増税の足かせで個人消費回復は期待できないが、春先からの設備投資や輸出の回復で日本経済は復調すると予想している。ただ、こうした筆者が描くストーリーの蓋然性が高まっていると判断できるほど、明確に強い経済指標は今のところない。多くが大きな落ち込みから少し戻っているという、当然の経路をたどっているに過ぎない。こうした意味で、日本経済の状況は、日本株の見通しにとってニュートラルと筆者は判断している。

以下の2つの「曇ったレンズ」を通じて、日本株市場を見てしまうと、今後投資判断を誤りかねない。「思わぬ損失」を被るリスクが高まろう。

第一の曇ったレンズとして、仮に6月以降の日本株の戻りが、この第2の要因、増税後の景気動向への見通しの変化がもたらしているとすればやや心配である。日本経済については、良い、悪い経済指標も混在しているのに、景気動向に対して楽観方向に傾いていることになるためだ。

第二の曇ったレンズとして、安倍政権の成長戦略が6月末に固まり、これが日本株高をもたらしたとの見方もあるようだ。ただ、これまでも説明してきたが、政府が掲げる「成長戦略」には期待するのはまだ時期尚早だし、そして成長戦略のプランの中には、成長阻害につながる危ういメニューも混在している。外国人投資家のアベノミクスに対する期待が戻ったという解釈なのかもしれないが、これも、先に述べたのと同様、「曇ったレンズ」を通じて株式市場を見ているのと同じだろう。

以上の記事は要約記事です。詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】増税の悪影響を小さく見積もったり、成長戦略に過度の期待を寄せるのは間違い(゚д゚)!

以上の村上氏の記事と同じようなことを私は、このブログに何度か掲載してきました。ただし、私は政局のからみで掲載してきましたが、村上氏は上の記事で、ストラテジスト兼エコノミストとしての見解を述べているということです。そうして、私はこの村上氏の見方は、正しいと思います。

村上 尚己


村上氏が語っているように、増税の悪影響を小さく見積もったり、成長戦略に過度の期待を寄せるのは間違いです。村上氏は、他の多くの民間エコノミストが経済のことをあまり咀嚼しないで、頓珍漢なことを語っていて記事を読むと何やら消化不良をおこした気分になるのとは対照的に、経済・金融に関する知識も豊富で、まともな論理展開をするので、信頼がおけます。

村上氏の上の記事で述べている、第一の曇ったレンズである、増税の影響を小さく見積もることのリスクについては、このブログにも何度か掲載してきていますので、その一番新しいもの(昨日)の記事のURLを以下に掲載します。
政府月例経済報告に異議あり!消費税増税の悪影響を認めたくない政府に騙される政治家とマスコミ―【私の論評】財務省はジレンマに陥っている。安部総理と、そのブレーンは肉を切らせて骨を断つ戦略を実行している(゚д゚)!これこそが隠し球かも?
消費者物価指数は明らかに、前2回の増税直後より、悪化している

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で、私は消費税増税後に明らかにいくつかの経済指標がかなり悪化していることを政局のからみで掲載しました。

経済指標が悪化しているにもかかわらず、このまま経済対策、特に財政政策を実施しなければ、9月か、10月になれば、景気は明らかに悪化して、それを判断材料として、来年の10%増税を判断することになれば、見送られる可能性が高まるであろうとの予測ををしました。

いずれにせよ、直近で、減税・給付などの対策を行なわなければ、上の記事で村上氏が懸念しているように、経済は落ち込み、それに呼応して株価も下がる可能性が大ということです。

第二の曇ったレンズに関しては、まずは、成長戦略なるもののうち、規制緩和以外の成長戦略は、もともと、長期にわたって実現されるものであり、ここ数年以内の経済にとっては、あまり関係ありません。

国レベルで、一つの新たな産業を起こしたり、既存の産業を変えたりすることは、たとえうまくいっても、少なくとも10年くらいはかかるものです。ここ、3年から5年以内に経済に大きく影響を及ぼすことはありません。だから、数年のスパンでは株価などの面からは無視しても良いくらいです。

実施して、すぐに効果が現れるものとしては、規制緩和がありますが、これが曲者で、上の記事で、村上氏が述べていたように、成長阻害につながる危ういメニューも混在しています。規制緩和が実施された場合、それがどのように株価に反映されるのか、見極める必要があります。

それともともと、政府主導の経済成長戦略など成功する見込みはほとんどないということを前提とすべきです。もし、これが成功するというのなら、共産主義も成功していたはずです。

これも、このブログに何回か掲載しています。その代表的もののURLを以下に掲載します。
「成長戦略」には、幻想を抱くな―【私の論評】政府主導の成長戦略は必ず失敗する。もし成功するというのなら、共産主義も成功していたはず! 経済成長はバストの成長を参照すべし、余計なことはするな(゚д゚)!
ノキアはiPhonやiPadと同様なもののプロトタイプをアップルにさきがけて開発していた
が、市場に投入する時期を間違えアップルに先を越された。成長戦略はかなり難しい。

この記事も、村上氏のツイートを論評する形で掲載しました。この記事では、政府主導の成長戦略はあてにならないこを掲載しました。所詮役人の作文にすぎない、政府主導の成長戦略は成功するはずもなく、過去においても全部失敗しました。官僚がやって成功したのは、先送り戦略だけです。要するに、何もしないという戦略のみです。

政府がすべきは、インフラを整えることであり、そのインフラの上で政府が実際に何かをしても、うまくはいきません。インフラで活動すべきは民間企業であり、インフラ上で、企業がしのぎあい、競争することにより、より良いサービスや製品が生まれます。

増税の悪影響を小さく見積もったり、成長戦略に過度の期待を寄せるのは、根本的な間違いです。

市場の動向を推し量るためには、これらを捨て去り、正しいデータと正しい経済情勢の把握による判断をすべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年6月9日月曜日

「成長戦略」には、幻想を抱くな―【私の論評】政府主導の成長戦略は必ず失敗する。もし成功するというのなら、共産主義も成功していたはず! 経済成長はバストの成長を参照すべし、余計なことはするな(゚д゚)!

【私の論評】政府主導の成長戦略は必ず失敗する。もし成功するというのなら、共産主義も成功していたはず! 経済成長はバストの成長を参照すべし、余計なことはするな(゚д゚)!

株の相場観などについては、村上氏の上の記事をご覧いただくものとして、タイトルに「成長戦略」には、幻想を抱くべきではないということ、このブログでも過去に何度か掲載しているので、本日はこれについて掲載しようと思います。



これは、ひとりの少女のバストがおとなのバストになるまでをアニメーションにしたもの­です。
バストは3つのステップで"かたち"と"かたさ"が変化し、約4年間で大人のバストへ成長します。そして、その変化の順序はみんな同じだったのです。

そうして、なぜここにこのような動画を掲載したかといえば、経済成長をバストの成長たとえるためです。まさに、バスト自体に何をするというわけでなく、バストの持ち主の少女が、きちんと栄養をとったり、運動をして健康な体を保っていれば(経済でいえばインフラ整備のようなもの)、本人は何もしなくても、ある時期がくると4年くらいで、自然に成長して大人のバストになるということで、これは経済成長も同じようなものであるということです。

経済も、政府などが政府主導で、成長戦略を実施せずとも、政府がインフラを整備すれば、それも良いインフラを整備すれば、あとは民間企業などがそのインフラの上で成長を続けやがて大きくなるということです。ここに、政府が直接介入する必要などありません。直接介入ししまえば、必ず失敗します。

官僚や、政治家など官主導「成長戦略」の成長戦略が経済をけん引すると本気で考えている人たちがいることには驚かされます。民間エコのミスでもそのような人が少なからず存在します。

結論から言うと、官主導の「成長戦略」は、成功したことはありません。2000年代初頭に出版された、ドラッカーの「ネクスト・ソサエティ」にもそのことが記載されていました。それも、日本の官僚の例で説明されていました。

その当時、日本の官僚主導で成功した戦略は二つのみと掲載されていました。しかも、この戦略は先送り戦略というものです。成功した二つの事例を以下に掲載します。
1. 農業政策
日本の農政は失敗の連続で、膨大な補助金を使いながら、食糧自給率をあげることができないでいます。しかし、結果的に先送り戦略(なにもしないこと)より、戦後から現在にかけて、どの先進国よりも農村人口を都市に集中することに成功しました。 
2. 小売り、流通の効率化
かつて日本の流通業界は暗黒大陸ともいわれ、世界中で最も非効率でコストの高い流通システムでしたが、官僚は大型店出店の規制を続けましたが、特に小型店に関しては先送り戦略で何もせず、先送りし、これが結果として家族経営の商店をコンビニという新しい形で存続させることになり、社会のセーフティネットの役割を果たすことになりました。今日では日本は、世界で最も洗練された流通システムを持つ国となりました。 
一方で先送りの戦術以外では、官僚は重大な失敗をしました。その例として、プラザ合意での円高により、景気減速を嫌った、他国では不景気といわれるような水準でもないにかかわらず、官僚は積極的な財政支出・金融緩和を行いました。その結果、有り余るお金がバブル景気を誘発し、その果てに多大な借金が政府に残りました。 
このように、官僚主導で実行した経済政策など、例外的「先送り戦略」だけは成功していますが、その他はことごとく失敗しています。

そんな官僚が、成長戦略を考えても、うまくいくはずはありません。

そもそも、政府が経済対策で行うべきは、インフラの整備です。法律・規制その他の整備、規制緩和。金融緩和、財政出動(現状では公共工事の提供制約があるので、減税・給付など)などでインフラを整備するのが政府の役割です。

このインフラの上で、実際に活動するのは、政府ではなくて、民間営利・非営利企業であるべきであり、ここに政府が直接関与した場合は失敗します。

こんなことがうまくいけば、共産主義下における官僚の計画経済も成功していたはずです。現実には、皆さんもご存知のように共産主義体制はことごとく滅びました。

上の事例は、ドラッカー氏のものであり良い事例なのですが、少し年代が古いので特に若い人にはピンとこないと思いす。そのため、以下に比較的新しい事例をあげておきます。
【日本の解き方】あまりにヒドい政府の“日本再生戦略”―【私の論評】今の政府や政治家は、自分の頭の上のハエを追えない人が、他人の世話を焼いているようなもの、自分がやるべきことに専念せよ!!
詳細は、このブログをご覧いただくものとして、ここではノキアの例をあげました。ノキアは、アップルがiPhone,iPadと同じようなものを、アップルが市場に導入する数年前からプロトタイプを作成していました。


しかし、市場投入時期を間違えて、アップルに先を越されてしまいました。今は、市場でも劣勢です。しかし、ノキアがアップルよりも早めに、これらを市場に導入していたら、今の市場はどうなっていたかわかりません。

市場を見極めるということは、かなり難しいことなのです。おそらく、これを予測してできる企業など滅多にいないと思います。多くの企業が凌ぎを削って、いろいろなことをやっていて、後からみて、その中のある企業が大成功を収めたということであり、最初から計画して市場を形成するなどかなり難しいです。

激しい競争を生き残ってきた企業ですら、難しいことなのに、これを官僚がやってもうまくいくはずはありません。

以上のようなことは、何も私が最初に述べたことではありません。古くは、シュムペータなどが語っいますし、多くの事例もあります。

しかし、市場関係者や、政治家、民間エコノミストですら、これを知らない人も多いようです。まさに、愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶということを地でいくような愚かなことだと思います。

上の村上氏の「成長戦略への幻想」とはこのことです。成長戦略とは、星の数程の民間企業が互いに競争しあって実施するから意義あるものになるのです。政府がやるべきものでありません。これを政府にやらせるというこは、共産主義と同じであり、必ず失敗します。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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ねじれ解消後の今国会は与党内の「産業政策」派vs.「規制緩和」派を反映する産業競争力強化法案と国家戦略特区法案の行方に注目せよ―【私の論評】官僚主導の産業政策で成功したためしは、一度もない成功したのは引き伸ばし戦略のみ\(◎o◎)/!



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2013年8月31日土曜日

話題沸騰! あの『デフレの正体』の著者・藻谷浩介「里山資本主義」で日本は復活する―【私の論評】藻谷ファンタジー炸裂!増税推進派を含むアベノミクス反対派の思想的背景は結局空想的社会主義によるファンタジーか?そんなことでは、何も解決できない(゚д゚)!

話題沸騰! あの『デフレの正体』の著者・藻谷浩介「里山資本主義」で日本は復活する



藻谷浩

日本の足元でいま、人々を幸せにする全く新しい「経済の仕組み」が動き始めた。アベノミクスでも手に負えない問題を、一気に解決できる可能性もある。そんな「里山資本主義」って、一体なんだ!?

「お金さえ持っていれば、水と食料に困らない。そんな"常識"が通用しないことを痛感したのが、東日本大震災でした。

スーパーやコンビニに行っても、いつもそこにあるはずのものがない。交通網が麻痺しているから、誰も水や食料を届けてくれない。お金持ちも貧乏人も等しく、自分がいかに無力かを知り、生存の恐怖に震えました。

われわれが信用しきっていたお金を媒介とする経済システム、お金さえあれば何でも買えるというシステムは、いとも簡単に機能しなくなる。そのことを痛いほどに味わったのが東日本大震災だったのです。

お金が最も大事だというマネー資本主義の限界を知りながら、一方で、その限界にどう対処していけばいいのかわからず不安になっている。それが現在の日本の姿と言っていいでしょう。

私はマネー資本主義を全面的に否定するわけではありません。しかし、お金さえ持っていれば幸せになれるという考え方に支配されている限り、多くの日本人が不安から解放されることもありません。では、どうすれば日本人はこの不安と訣別することができるのか。その一つの答えとして、『里山資本主義』を提唱したいのです」

こう語るのは、地域エコノミストの藻谷浩介氏だ。氏がNHK広島取材班とともに上梓した『里山資本主義—日本経済は「安心の原理」で動く』(角川oneテーマ21)が、今年7月の発売から話題沸騰となり、ベストセラーになっている。

里山資本主義というのは聞き慣れない言葉であるが、ざっくり言えば、お金がなくても安心・安全に生活ができる仕組みを作っておくという考え方のことである。そんなことは可能なのか、と思う方は多いだろう。

「勘違いしてほしくはないのですが、江戸時代以前の農村のような自給自足の暮らしに戻れ、という主義主張ではありません。もちろん、お金を一切使ってはいけないという極論を言いたいのでもありません。

お金が乏しくなっても、水、食料、エネルギーが手に入り続ける仕組みを用意していくという実践であり、お金だけを頼りにするよりずっと安心で安全な未来を作り上げていく生き方にほかなりません。

この記事の詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】藻谷ファンタジー炸裂!増税推進派を含むアベノミクス反対派の思想的背景は結局空想的社会主義によるファンタジーか?そんなことでは、何も解決できない(゚д゚)!

里山いいですね。私も里山が大好きです。里山(さとやま)とは、集落、人里に隣接した結果、人間の影響を受けた生態系が存在する山をいいます。

人間が隣接した結果、結局人間が里山の面倒をみるようになり、特に間伐の伐採などを定期的にするようになりました。そうなると、森に光があたり、木が育ち、小動物も住むようになり、様々な実りが生まれます。たとえば、あの松茸もきちんと手入れがされた里山でしか育ちません。

日本の里山は、今は面倒を見る人が少なくなり、手入れが行き届かなくなり、そのため、松茸もとれなくなったのです。今でも、きちんと手入れをしているところでは、松茸がかなりとれます。松茸などは一つの例で、手入れの行き届いた里山は、素晴らしい資源の宝庫です。大学時代の先輩の実家は広島県の田舎の里山でした。いつも、秋になるとマツタケをどっさり送っていただいていたので、私も毎年ご相伴にあずかりました。とにかく、マツタケを火であぶって、少し醤油をつけるとか、塩をつけるかでパクパク食べます。でもこのようなシンプルな食べ方が一番おいしいです。

里山の風景。東京都稲城市坂浜
山の芋とか、木の実、山菜、きのこ、小動物の肉などが手に入ります。しかも、手入れさえしていれば、とればとっただけなくなくなるというのではなく、資源が循環して人に恵みを提供し続けてくれます。本当に素晴らしいことです。
日本の最近の里山によく見られる杉檜林
だから、藻谷氏の言うこともわからぬではありません。しかし、だからといって、今の日本は里山経済にすぐに移行出来る状態にはありません。なぜかといえば、それはあまりにはっきりしすぎています。

日本は、デフレという経済の病に犯されているからです。デフレというと、日本では、あまりにも長い間デフレが続いたので、それが当たり前になってしまい、なにやら不景気と同じくらいに考えてい人が増えました。

しかし、これは、全くの間違いです。デフレ=不景気ではありません。不景気は、正常であり。デフレは、異常です。日本の実体経済がまともであれば、好景気が何年か続けば、その後には、不景気な時期が何年か続き、その後にはまた好景気がやってきます。好景気、不景気が交互にあらわれることを景気循環といいます。これは、日本を除く経済がまともな国では、当たり前におこる社会現象です。

かつては、日本もそうでした。しかし、15年前から、不景気であるにもかかわらず、政府の増税、日銀の金融引締めということを実施したため、デフレという異常状態にが続くこととなりました。

そうして、このデフレは、藻谷がかつてその著書で語ったように、「人口減」が原因ではありません。デフレ、インフレは純然たる貨幣現象であり、人口の増減などとは全く関係ありません。それは、世界広しといえども、これだけデフレが長期間続いたのは、日本だけであり、日本より、人口が増えている国、日本より人口が減っている国などたくさんありますが、これだけデフレが続いている国は地球上では日本だけであることから、人口とは全ったく関係ないことが理解できます。

里山では最近様々なイベントが催されている

里山女子
この藻谷氏が里山経済学などを言い出したわけです。そうして、私自身は、里山自体は好きですが、それにしても、藻谷氏の里山経済学については、すぐに賛成とはいえません。それどころか、今の段階では大反対です。

なぜなら、今の日本は、デフレという病に侵されているわけです。その病を放置して、里山経済学などに移行したとしても何も解決されません。そもそも、デフレは、里山経済学を実施しないから、発生したのではなく、貨幣の流通量がモノの生産量に比較して少ないから発生しているのです。

まずは、デフレを退治してからでないと、里山経済学など実施しようにもできません。まず退治して、まともになってから、検討すべきものです。現在多くの里山が疲弊しているのは事実です。多くの人々のライフスタイルが昔とは異なり、里山を昔のように手入れをする人が減ったからです。しかし、里山経済学にも限界があります。里山に日本の全ての人が住むようになれば、里山は荒廃します。里山の生態系にも限界があり、そこで生活できる動物や人間の数も限られるからです。

それと同じように、里山経済学にも限界があります。日本の国土すべてを里山経済学が適用できるようにするためには、おそらく、数十年はかかるものと思います。これには、全国民のコンセンサスが必要です。

それに、今すぐにデフレを解消しないうちに、里山経済学を実践したからといって、実体経済がまともになるとは思えません。これって、ある意味では、役人の打ち出す成長戦略と同じようなものです。金融緩和、財政政策、成長戦略というアベノミクスで一番最初に効果がでるのは、金融緩和です。その次が、財政政策です。最も効果が薄いのは、成長戦略です。そもそも、役人の書いたシナリオの成長戦略が成功するとは思えませんし、それに、成長戦略などやりはじめてから、成果が出るにのは、10年以上はかかります。

そんなことをするよりは、金融緩和、財政出動でまずは、経済を良くすることが最優先課題です。成長戦略などその後、民間が主体でやれば良いことです。役人の書いたシナリオで、成長戦略が達成できるなら、そもそも、共産主義もうまくいったはずです。でも、事実はみなさんご存知のように、共産主義はすべからく失敗しました。

このようなことから、藻谷氏の語っていることは、目先が変わっているだけで、成長戦略の亜種と考えるべきです。

こんな成長戦略ですぐに日本が再生するとは思えません。まずは、金融緩和、財政出動で、デフレ脱却が最優先課題です。それに、デフレの最中の増税なんてとんでもないです。

それにしても、日本では、どうしてこのような地に足のついていない、主張などがもてはやされるのでしょうか?本当に理解に苦しみます。「いいかげんにしろ、おとと出でてきやがれ!」と言ってやりたいです。

やはり、このような人たちは、このブログでも以前紹介した、空想的社会主義を理想とする愚かな人々ということなのでしょうか?

これについては、以前このブログにも掲載したことがあるので、以下にそのURLを掲載します。
鳩山「盗んだ尖閣は返すのが当然」と中国でも発言 中国の李首相とも面会し歓迎ムード―【私の論評】こんなに忸怩たる思いをする元政治家、政治家がいるのはなぜ?次からの選挙では、ファンタジスタ退治を実行して空想的社会主義を殲滅しよう(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、鳩山氏は「友愛・リベラル・ウィルス」に完璧に侵されていると掲載しました。そうして、このウィルスは、300年前からあります。それは、空想的社会主義です。これは、大金持ちによる慈善と友愛によるユートピアをつくるというもので、マルクスよりも早い、300年くらい前からある社会主義思想の原型です。鳩山氏の「日本は、日本人だけのものではない。日本の国益よりも、地球益」という言動にも触れていて、確かにそう言われてみれば、空想的社会主義の域をでていません。

藻谷浩の里山経済学の主張も、これとほとんど根は、同じです。やはり、空想的社会主義と似たようなものです。そもそも、デフレの原因を「人口減」としたところで、彼の論理は破綻しています。それに、目の前のデフレを無視して、里山経済学なるものを持ち出すのも、完全に間違いです。

彼らのいうことをそのまま実行したら、経済・社会が破綻します。もう、私たちは、空想的社会主義の完全な失敗を民主党政権によって、嫌というほど見せつけられたはずです。空想と、現実は違います。空想で、社会がまともになったことはありません。できることと、やっていることと、しなければいけないこと、やりたいとは、厳密に区別をつけなければなりません。やりたいことだけを考える人々を夢想家といいます。実務をこなす、現実派の人々とは異なります。現実派の人々が夢見ることと、夢想家の夢見ることとは全く違います。

里山経営に関しては、専門家の方々が今努力して、新たな方法を考えています。まずは、そういう人たちにたより、様々な可能性を探索してもらうということで十分だと思います。

そんなことを考える前にまずは、デフレから脱却すべきです。そうすることによって、はじめて、日本の将来が見えてきます。デフレ脱却なしに、日本に将来はありません。こんなことは、はっきりしています。私は、そう思います。みなさんは、どう思いますか?

【関連記事】

鳩山「盗んだ尖閣は返すのが当然」と中国でも発言 中国の李首相とも面会し歓迎ムード―【私の論評】こんなに忸怩たる思いをする元政治家、政治家がいるのはなぜ?次からの選挙では、ファンタジスタ退治を実行して空想的社会主義を殲滅しよう(゚д゚)!

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民主が社会保障「3党協議」離脱へ―【私の論評】安倍総理には、自分では意図せずに、協力にサポートする二人のファンタジスタがついている!これで鬼に金棒だぁ-(゚д゚)!

片山さつき氏 鳩山氏の「元総理特別待遇」辞退を提言―【私の論評】民主党存続のための三条件?鳩山実は、どっちに転んでも世のため人のために役立つファンタジスタなのかもしれない(゚д゚)!

辛坊さんの謝罪会見の評価は? 言い訳せずの平謝りに専門家は…―【私の論評】非難はしないが、今度似たような企画をするときは、エベレスト登頂の三浦雄一郎さんを見習うべき(゚д゚)!


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2013年7月8日月曜日

自民党の公約のボロも攻めきれず!?アベノミクス批判で二極化する各党の経済政策を検証する―【私の論評】常軌を逸する野党のデフレのど真ん中での金融緩和、財政出動への批判!!アベノミクスを批判するなら、これらには賛成して、順番や具体的なやり方、目標を批判すべき(゚д゚)!

自民党の公約のボロも攻めきれず!?アベノミクス批判で二極化する各党の経済政策を検証する

参院選に向けての党首討論

参院選の争点は、経済政策でアベノミクスの是非になっている。

自民党公約の経済政策について、「アベノミクスの「3本の矢」を一体的に推進するとともに、「経済再生と財政健全化の両立」に向けた取組みを通じて、デフレからの早期脱却とともに、持続的成長への道筋を確かなものにします」、「今後10年間の平均で、名目GDP成長率3%程度、実質GDP成長率2%程度の成長実現を目指します」と書かれている。

連立の公明党は、具体的な数字を上げていないものの、アベノミクス推進の立場である。

この記事の詳細は、こちらから!!

【私の論評】常軌を逸する野党のデフレのど真ん中での金融緩和、財政出動への批判!!アベノミクスを批判するなら、これらには賛成して、順番や具体的なやり方、目標を批判すべき(゚д゚)!

上の記事、さすが高橋氏です。特に金融緩和については余すところなく掲載されているので、私の拙い説明など一切掲載しません。ただし、気になるところ3点だけピックアップします。
1.野党のうち労働者の立場に立つべき、民主党、共産党、社民党などの政党が、金融政策に反対するというのは世界中を見ても日本だけだろう。欧州の労働・社会主義政党は、雇用の確保のために金融政策を活用すべきとの主張を歴史的にしてきている。というのは、インフレ率と失業率の逆相関を示す「フィリップス曲線」が示すように、金融緩和は失業率の低下をもたらし、労働者のためになるからだ。
これについては、有名な事実であり、野党の勉強不足が目立ちます。アベノミクスを批判するにしても、金融緩和、財政出動に関しては、賛成すべきであって、そのやり方とか、順番とか、数値目標に対して異議を唱えるというのなら、わかりますが、金融緩和そのもの、財政出動に反対するような発言をする政党は、はっきりいって問題外です。
2.「名目3%、実質2%」の公約は、「名目4%、実質2%」の誤り
一方、自民党の掲げた数字、名目3%、実質2%という数字も情けない。これは、民主党時代の2012年8月31日に出された「経済財政の中長期試算」での成長シナリオと同じ数字だ。
アベノミクスと民主党とでは、金融政策について「異次元」の違いがあるはずだ。ところが、それが数字にでていない。インフレ目標2%に向けて、黒田日銀は金融緩和している。
「マネーの効果」によれば、マネーストックの増加率は2年後のインフレ率と密接な関係がある。今のペースで行くと、マネーストックを7%程度増加することになって、2年後にインフレ率2%程度になるだろう。また、マネーストックの増加率は2年後の名目GDP成長率とも密接な関係がある。マネーストック増加率7%程度は名目GDP成長率4%程度になる。さらに、各種の規制緩和が行われれば、名目成長率は4~5%程度になっても不思議でない。
これは、本来つきどころ満点であり、ここを突けば、自民党の間違いを指摘することになり、自民党よりも、野党のほうが、良い経済対策ができるかもしれないと、有権者にアピールすることができるはずなのに、ほとんとの野党が指摘しないですし、指摘しても、非常に甘いです。そうして、今の段階では、このあたりを突かないことが、野党の経済音痴ぶりを披瀝することになっています。
3.第一の矢の金融政策、第二の矢の財政政策が2年以内に効果が出るのに対して、第三の矢は法案提出・成立に2年かかり、その効果が発揮されるのはさらに場合によっては5年、10年もかかる政策だ。この意味で、各政党の目指すべき経済観が表れている。
第三の矢に関しては、私は、自民党の公約のなかで、一番疑問に感じているところです。これに関しては、以前にもこのブログに掲載したことがあります。そのURLを以下に掲載します。
【日本の解き方】あまりにヒドい政府の“日本再生戦略”―【私の論評】今の政府や政治家は、自分の頭の上のハエを追えない人が、他人の世話を焼いているようなもの、自分がやるべきことに専念せよ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとて、市場主義経済では、優秀な企業でさえ、将来を見過ことがおおいにあることをノキアと、アップルを例にとってあげました。何と、ノキアは、アップルがiPhoneや、iPadを市場に投入する前に、同じようなものをすでに開発していたのです。しかし、ノキアは市場に投入する時期を間違え、アップルに先をこされてしまったのです。


その後、どうなったかは、皆さんご存知のように、アップルは成長し、ノキアは限界的な存在になってしまいました。この例では、アップルがたまたま成功していますが、アップルだって、いつも成功するとは限らないのです。サイトを探せば、アップルの失敗作も数多くあることがよく理解できます。

これについては、新しいところでは、SNSのPingがありました。私も使ってみたのですが、あまりピンとこなく、結局すぐに使うのをやめてしまいました。未だに、あのSNSの意味がわかりません。

Pingの発表をするジョブズ氏
アップルの失敗作については、以下のNAVERのまとめを御覧ください。
成功の影に失敗あり! 偉大なアップルの失敗作まとめ
資本主義の自由主義市場では、多くの企業が競い合って、いろいろな製品を出して、どこかの企業が成功すれば、それが市場で大きな位置を占めます。誰も、どの製品が売れるかなどわかりません。それを決めるの、性能でも、革新性でもありません。結局のところ、顧客です。企業が自らが、どんなに素晴らしいと思っても、顧客に受け入れられるとはかぎりません。

こんな自由主義市場が機能している、資本主義の世界では、どんなに優秀な企業でも、経営者でも失敗することがあり得るわけです。そうして、顧客に選ばれた企業が勝利を収めます。だれも、最初から、何が成功するのか、何が市場を席巻するのかなどわかりません。評価はあくまで、後付であって、最初から判るのだったら、誰もがすぐに大成功です。

だから、成長戦略として、政府主導で何かをやっても、成功する確率はかなり低いです。もし、これが成功するというのなら、優秀な官僚が、計画経済を立案して、実行した共産主義もうまくいったはずです。しかし、そんなことはなく、共産主義はことごとく失敗してしまいました。

だから、政府主導の成長戦略などは実施すべきではありません。政府はあくまで、黒子に徹して、企業が成長しやすい環境づくりのみに徹するべきです。それに、成長戦略の背後には、いわゆる「日本ダメ論」というのがあるだと思います。

この日本駄目論は、そもそも、古今東西みたことがない、空前絶後のデフレが15年も続いたことを無視して、そもそも日本は駄目なんたという思い込みが背後にあります。日本は、決して駄目な国ではありません。デフレを日本の常態だと考え、それを前提に新たな成長戦略を生み出さないと、本格的な成長はあり得ないというのは単なる思い込みです。私は、政府が実施するのは、金融緩和と財政出動で十分と思っています。そういて、自民党にかぎらず、成長戦略を強調する政党に関しては、いかがなものかと思います。

こういう観点から、自民党の成長戦略には、賛成できません。しかし、だからといって、自民党に反対であるというわけではありませせん。上記のように、他党と比較すれば、自民党のやり方の一つが気に入らないから、反対という立場はとりません。次の選挙でも、自民党を応援します。

そうして、これに関しては、下の動画の主張が素晴らしいと思ったので、掲載させていただきました。


この動画秀逸です。何か一つでも、自分の主張と違えば、支持しないなどということであれば、そもそも、支持する政党などなくなります。

それにしても、野党の主張はお粗末です。これでは、参院選ではボロ負けする確率が高いです。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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