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楽天の三木谷浩史会長兼社長は2011年5月27日夜、自身のツイッターで「そろそろ経団連を脱退しようかと思いますが、皆さんどう思いますか?」と、日本経団連を脱退する意向を表明した。その理由については「電力業界を保護しようとする態度がゆるせない」としている。
三木谷氏の突然の経団連脱退宣言に対して、多くのツイッターユーザーが反応。三木谷氏もそのいくつかに回答した。あるユーザーの「一度入った以上は中から破壊して下さい」という要望に対しては、「無理っぽい」と返答。「楽天において、そもそも利益ありましたか? 経団連」と聞かれると、「ない」とメリットを否定した。
さらに「新日本経団連を立ち上げましょう」に提案に対して、「I agree!」と同意する姿勢を示した。新団体設立の意図について「本格的な世代交代が必要なんですね」と、あるユーザーがたずねると、三木谷氏は「I think so!」と肯定した。
日本経団連は、日本商工会議所、経済同友会と並ぶ「経済三団体」の一つで、東証一部上場企業を中心に、日本を代表するメーカーや銀行、商社などの有力企業で構成されている。財界だけでなく、政界にも大きな影響力をもっている。
楽天は2004年11月に経団連に入会。同時期に東北楽天ゴールデンイーグルスでプロ野球への参入を果たした。ネット業界を牽引する企業のトップの突然の「経団連脱退表明」は、ネットだけでなく経済界に大きな波紋を巻き起こしそうだ。
【私の論評】経団連は、もともと戦中の統制経済を実施するために生まれた組織!!
経団連というと、何か、多くの人々に、まともな資本主義経済の中の、企業組織であり、企業組織の中の代表のように思われている節がありますが、実は必ずしもそうではありません。
事務局があった旧経団連会館 |
戦前の日本では、数多くの民間企業によって電気事業が運営されていた。しかし、1939年、各地の電力会社を統合して国策会社である「日本発送電」が設立され、自由な電力産業は消滅した。さらに、既存の電力会社を解散させて9つの配電会社が作られ、これが戦後の9電力体制の原点になった。「役所より役所的」と言われる日本の電力会社は、かくして設立されたのである。
戦後、1950年代前半までは、通産省による外貨割り当てが行なわれ、これが企業に対して強い影響力を持った。特に、原材料を輸入に頼らざるをえない鉄鋼や石油化学などに対してそうであった。これらの企業の人々が割り当てを獲得するために並んだ通産省の廊下は、「虎ノ門銀座」と呼ばれた。
電力制約は今年の夏だけで終わるものではない。原子力発電の新設が難しくなったため、長期にわたると考えざるをえない。電力割り当てが恒常化すれば、21世紀の日本に「虎ノ門銀座」が復活するだろう。
戦時経済統制のために作られた「統制会」は、戦後、業界団体となった。そして、統制会の上部機構である「重要産業協議会」が、戦後の「経済団体連合会」になった。だから、業界団体や経団連は、商工省を中核とする統制経済体制の一部である。
1960年代、「特振法」(特定産業振興臨時措置法)を提案した通商産業省に対して、石坂泰三によって率いられる経団連は刃向った。しかし、いまにして思えば、これは通産省と経団連が対立した唯一のケースだった。
「総力をあげて」「官民一体となって」「国家存亡の危機を乗り切る」といった言葉が、いま日本の新聞に、ゾンビのごとく復活している。
これこそが40年体制の基本思想なのである。それは、1942年に制定され、1998年まで存続していた旧日銀法の第1条と第2条「日本銀行ハ国家経済総力ノ適切ナル発揮ヲ図ル為……」「日本銀行ハ専ラ国家目的ノ達成ヲ使命トシテ運営セラルベシ」に明瞭に示されている。被災地の救援や原発事故に対処するために、官民一体となり、総力を挙げて国難に当たるのは当然のことだ。しかし、それをその後の経済運営に延長しようというのは、危険な思想だ。
いま本当に必要なことは、価格メカニズムを働かせて、日本の産業構造を省電力型のものに変えてゆくことだ。しかし、統制割り当て経済が続けば、日本の産業構造は、これまでのまま継続する。そして、電力コストの上昇によって疲弊してゆくだろう。
いまわれわれが選択する方向は、日本経済の重大なターニングポイントを決める。皆さん、経団連の前身がどのような組織であったかお分かりになったと思います。経団連は、戦中に日本が、戦争遂行のために、今でいえば、中国やインドのような国家資本主義体制を敷き、それを企業側から、推進する役割をになった組織なのです。
だから、現在の形の電力会社を保護しようとするのは、当然といえば、当然なのです。それに、統制経済を推進するというのが、当初の目的なので、やはり、それを引きずっているせいでしょうが、経団連の発言内容など、自由主義経済の立場からみると首を撚るようようなものが多いです。もともと、三木谷社長のような、良くも悪くも、自由主義経済の申し子的な人には、あわない組織なのです。
特に私が、経団連の発言としておかしいといつも思うのは、あたかも、日本が、輸出立国の国であるようなものいいであり、また、そのような企業ばかりが、経団連の中で幅をきかせているということです。
日本が、輸出大国でもなく、輸出立国の国でもないことは、このブログにも何回も書いてきたことなので、このブログを長年読んでいただいている皆様はご存じだと思いますが、そうでない人もいらっしゃると思いますので、このあたりのからくりを下に掲載しておきます。
日本は、輸出大国でも、輸出立国でもありません。それは、日本政府が出している統計数値をみても、はっきりしています。実は、日本のGDPに占める、輸出の割合は、16%程度に過ぎないのです。これが、他国で特に、輸出大国、輸出立国などといわれれている国では、40%を超えています。中国も、ドイツもそうです。その他、EU諸国も特に先進的な国では、そのようなところが多いです。これに関しては、皆さん気になるようであれば、サイトを検索してください。すぐに、その事実を確認できます。
日本は、10年以上前までは、GDPに占める輸出の割合はさらに低く、8%程度に過ぎませんでした。また、現在世界で、日本よりも、GDPに占める輸出の割合低い国は、アメリカくらいなものです。これでは、どう考えても、日本は、輸出大国でもないし、輸出立国でもないですね。正しく形容すれば、内需大国ということです。これは、数字上からみて、明々白々です。
しかし、馬鹿なマスコミは、今でも、日本が輸出大国であり、輸出立国であるとの情報操作をやめていません。あくまで、輸出立国日本を主張しています。要するに、輸出が駄目になれば、日本はどうしようもなくなるというような論調で、報道をしています。円高になれば、輸出がだめになる、よって、即日本がだめになるとうような論調です。挙句の果ては、政治家まで、そのような発言をする人がほとんどです。
円高になって、日本の多数派である、電気・水道・ガス・パルプやその他などの内需型産業が潤うことは決して報道しません。また、輸出企業であることを前面に打ち出す企業であっても、国内での販売が大きくて、これも潤っていることなど報道しません。リーマンショックの直前のいわゆる「実感なき経済成長」のときは、国内少数派の輸出型産業のみが潤って、他の多数派の内需型産業が振るわなかったため、多数派の人が「実感」できなったことも、あまり詳しく報道しません。
これは、一体どういうことなのか、いつも首をかしげます。そうして、経団連の出す資料や、発表など、これまた、まるで、少数派の輸出産業が日本のすべてのような論調、それこそが日本の中心であり代表のような論調です。マスコミなども、良く、経団連の会長の発言など引用して報道したりして、この少数派が多数派であるかのような報道をします。
経団連が時の政府への申し入れなどすることが時々ありますが、これも、本当に資本主義経済的な観点からすると、疑問符を投げかけたくなるようなものが多いです。特に、気になるのは、マクロ経済の原則をほとんど無視しているような発言もしばしば見られることがあります。
このような観点から、三木谷さんの楽天が、経団連から抜けることは、特に不自然でもなんでもなく、自然なことだと思います。また、楽天が経団連に入っていたとしても、さほどメリットはないと思います。抜けるのが正解でしょう。
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