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2013年12月14日土曜日

誰も影響を免れない中国の「重力マシン」―【私の論評】米中二極体制妄想はアジアの不安定要因を招くだけ!日本の「重力マシン」に世界が悩まされるときアジアの安定と、次世代の経済・社会モデルができあがる(゚д゚)!


2013.12.13(金) Financial Times

(2013年12月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

世界中の人々が中国の重力マシンにのせられている?


鄧小平は「韜光養晦(タオ・グアン・ヤン・フイ)」という古い中国の諺を好んで引用した。これは一般に「才能を隠し、好機が来るのを待つ」と訳されている。その考え方は、中国の能力を明らかにする適切な時期が来るまで、それを隠しておくということだった。それまでは、所得を増やし、中国を世界の経済システムに統合させることが優先された。

中国は今、楽々と世界第2位の経済大国になっており、かなりの確率で世界最大の経済大国になる途上にある。中国には、チャイナドリーム(中国夢)――「中華民族の偉大な復興」――という明確な表現で国家の偉大さを取り戻すことをはっきりと目指している指導者、習近平氏がいる。謙虚なふりをする時代は終わったようだ。

自国が尊敬に値する国、もっと言えば恭順にすら値する国であるという中国の意識の高まりは、2008年以降顕著になっている。リーマン危機は、全般的には市場資本主義、特に米国の絶対確実性に対する中国の信頼を揺るがした。

最近は、そのプロセスがさらに先へと進んでいる。中国は、外国企業の幹部、国の指導者、ジャーナリストなどに対する影響力を一様に強めている。

アジア・ソサエティー米中関係センターのオービル・シェル所長の言葉を借りれば、中国政府はその「重力マシン」の回転速度を上げ、相手にする人々を一段と強力に引っ張り込んでいる。英国のデビッド・キャメロン首相からブルームバーグ・ニュースのマット・ウィンクラー編集長に至るまで、あらゆる人がその影響を受けている。

経済的な離陸を遂げる鄧小平の計画は、外国の資本と技術を呼び込むことに依存していた。だが、中国が豊かになるにつれ、誰が誰をより必要としているのかは、もはや明確ではなくなっている。

このお馬鹿な記事の続きはこちらから!

【私の論評】米中二極体制妄想はアジアの不安定を招くだけ!日本の「重力マシン」に世界が悩まされるときアジアの安定と、次世代の経済・社会モデルができあがる(゚д゚)!

上の記事、馬鹿丸出しです。中国共産党中央政府のスポークマンのような内容です。この記事に関しては、経済評論家の上念司氏も以下のようなツイートをしています。
まったく、上念氏が言うとおりです。世界は、あいかわらずバランス・オブ・パワーで動いているのは間違いないです。だから、米国だって、自国に都合が良いなら、中国とも手を組む部分もあります。それに米国だって一枚岩ではないですから、かなり親中的なグループもあれば、反中的なグループもあります。それは、どこの国だって同じことです。だから、上の記事のように、中国の重力マシーンに誰もが影響を受けているように見えることもあります。

野蛮な中国には、次世代を築く「重力マシーン」にはなり得ない

それは、米国や日本に限らず、他の国だって同じことです。だから、英国やドイツだって、中国の重力マシンに動かされているように見えることもあります。その典型例はこのブログでも紹介したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
【脱中国元年】英、独の中国擦り寄りと反日暴動の深い意味 複雑怪奇な世界情勢―【私の論評】 対中国政策が示す日が沈むEU、日が昇る日本。すでに不退転の決意を示している日本国民!!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、英・独の中国刷りよりに関する、中国通の宮崎氏の記事を掲載しました。以下にその要旨を掲載します。
 世界情勢は「複雑怪奇」に激変の最中である。日本人はとかく「西側同盟」と「日米同盟」が堅い絆で結ばれていると勘違いしている。国際政治の舞台裏では「昨日の敵は今日の友」「今日の友は明日の敵」である。 
NATO(北大西洋条約機構)で団結していたはずの欧米同盟とて、中国と対立する米国に意外な方向から敵対者が出現した。何と、英国とドイツが米国に敵対 的態度を示すようになったのである。英、独は中国に異常接近し、特に、英国は金融市場で、ドイツは製造分野でこれまで以上の中国重視政策にかじ取りを変え た。
これに呼応して、この記事では、私の論評として、すでに日本国民は、中国に対して不退転の決意を示していることを掲載しました。
日本は、かつてドイツと日独伊三国同盟を結んでいました。イギリスとは、日英同盟を結んでいたことがあります。第二次世界大戦で一番損をした国はイギリスです。これに対して一番徳をした国は当時の最も邪悪な国ソ連です。アメリカにとっては、結局何も良いことはありませんでした。第二次世界大戦中にイギリスが日英同盟を破棄しなければ、世界は変わり、ソ連の封じ込めに成功し、冷戦など存在せず、ソ連崩壊も早かったかもしれません。 
米国に関しては、日米開戦の10年ほど前までは、両国が戦争をするなど、誰も想像さえしなかったほど、元来は親密な関係でした。一番徳をした国は、結局ソ連です。ソ連のコミンテルンの工作により、日米開戦が画策されたということです。こんなことを書くと、それこそユダヤの陰謀に近い妄想に近いことを書いていると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これについては最近では、倉山満氏の著書『嘘だらけの日米近現代史』にも、指摘されているところであり、これ以前から多くのまともな国内外の歴史学者らが指摘しているところですし、丹念にある程度の文献を読み解いていけば誰にも理解できることです。 
しかし日本においては、マスコミがまともではなく、学者の中にも、戦後利得者もしくは、その系譜のものも多数存在すること、それに現在では日本では他国では当たり前のスパイ防止法も存在しないため、ソ連のコミンテルンに加えて、米国、中国のスパイなどが日本国内で自由に暗躍しているなどのことがあり、第二次世界大戦の真実を覆い隠しているはかりでなく、現代の各国の動きも、上の記事で宮崎氏が指摘しているように、一見複雑怪奇な世界情勢に見せているのです。 
宮崎氏は、上記の記事で以下のように結んでいます。 
激動・激震が予測される今後、果たして日本人は経済成長回復という甘い期待だけではなく、どれほど不退転の決意を示せるのか? 
宮崎氏の懸念は、それなりに理解できます。しかし、私はこれだけ日本の国民が中国の傍若無人さ、節操のなさ、異形ぶり、異質ぶりを見せつけられたら、不退転の決意などという次元は超えてしまい、大多数の国民がもう中国とはなるべく関わりあいたくないと思っていると考えます。中国のこうした行動が、安倍政権を誕生させたといっても過言ではないと思います。直近のアンケートでは、80%の国民が、中国を好ましくない国としています。そういった背景からみれば、日本国民はすでに中国に対して不退転の決意を示していると思います。そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どう思われますか? 
最近のイギリスの景気は、不況にもかかわらず、増税という緊縮財政を実施してしまったので、ますます不景気となってしまいましたが、その後大規模な金融緩和を行い、景気指数など回復の兆しをみせています。しかし、これは、一時的なものであり、さらなる金融緩和が必要という声もあります。

イギリスもこのように景気が良くないですから、一時的に持ち直すために、中国にすりより、輸出が増えればよいと思うこともあります。ドイツだって、他国が手を引くならそこに付け入る隙があれば、入りたいと思うこともあります。だから、上のファイナンシャル・タイムズの記事は、現状の英国の状況に合致した記事であり、英国政府を後押しするような記事だと思います。

イギリスの経済は回復基調だか未だ予断を許さない状況

しかし、世界は結局バランス・オブ・パワー(影響力の大きい国々の覇権のバランス)によって成り立っています。

中国は、発展途上国でありながら、新興国のようなところもありどっちつかずの国ですが、新興国としてバランスオブ・パワーの一角を占めたいという願望があります。しかし、これはまだ実現されていません。経済的には第二位とはなりましたが、それ自体も中国の統計の取り方が出鱈目なので、実際には未だ世界第二だろうと言われています。それに、軍事的にはまだまだという状況ですから、中国は未だバランス・オプ・パワーの一角を占めたとは言いがたいです。

実は、米国にとっても、日本にとっても、現状の中国はこの世から消え去っても、ほとんど影響がありません。そもそも、日本のGDPに占める輸出の割合は、15%程度に過ぎず、米国は6%程度にすぎません、さらにそこから中国ということになると本当に微々たるものに過ぎません。日本は、2%ほど、アメリカに至っては、1%もないかもしれません。

輸入でも、ほんのわずかです。しかも、ほとんど代替が利くものです。中国から輸入しなければ、絶対に駄目というものはほんどないです。中国投資も実は、たいしたことはありません。日本のGDPの2%程度のものです。アメリカはもっと低いです。軍事力は、陸軍は別にして、いまのところ、日本の自衛隊にも遠くおよびません。米国と比較すれば、それこそ月とスッポンです。ロシアの敵でもありません。

純粋にマーケティング的観点からみた、中国のマーケットもあまり魅力的なものではありません。中国の人口が13億とはいっても、それは他国の市場のように、ある程度国として同質性があるわけではありません。中国の一つの省が一つの国と言っても良いくらい、マーケットの内容は異なります。言葉も、生活習慣も異なります。いや、一つの省ですら、その中身は、さまざまな民族が同居していますし、何よりも貧富の差がありすぎです。

日本などと比較すれば、中国全体では差異がありすぎです。さらに、一つの省の中でも、日本と比較すれば同質ではありません。中国で商売をするということは、中国という同一の国の中で商売をするなどということとは、かけ離れています。たとえば、ASEAN諸国で商売をするようなものです。EU内で商売をするよりもまだ、地域も広く、消費者間の隔たりも大きいです。それに、忘れてはならないのは、国民一人あたりのGDPはまだまだということで、未だ日本の1/10に過ぎません。それも、平均しているのではなく、所得の高いものと低いものとでは、あまりに差異がありすぎて、とても、同一の市場とみなすことはできません。こんなことから、他のどの国よりも商売や、事業展開がやりにくい国であることは間違いないです。

ミス・ビキニ・インターナショナルの北京地区予選。同じビキニをまとってい
ても、個々人でその背景は、日本と比較すると天と地ほどの隔たりがある

それに、最近の中国はもう、経済の破綻がささやかれていて、実際現在は小康状態を保っていますが、これも現在打っている手が尽きると、もう打てる手はありません。これについては、以前のこのブログにも掲載しましたので、そのURLを以下に掲載します。
【ビジネスアイコラム】不正マネーを取り込む中国式改革 ―【私の論評】民主化も、政治と経済の分離も、法治国家化もされてない中国は、分裂の危機にある!人民解放軍瀋陽軍区の動きに着目せよ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に中国のとんでもない、不正マネーを取り込む中国式改革の実体を示す部分だけ、以下にコピペさせていただきます。
早い話、李克強首相の主導で上海に「自由貿易区」が9月に設置されたが、大幅に規制が撤廃された同区の進出企業234社のうち外資は21社に過ぎず、大半は国有企業である。党中央が国家全体の予算と金融を支配し、地方政府と国有企業に資金を配分、党官僚が支配する地方政府や国有企業がそのカネを投資して、開発や生産に関与して収益を上げるというシステムの中での、自由ビジネス特区であり、主要プレーヤーは党官僚なのである。 
党官僚は「市場重視の改革」、すなわち経済自由化で利権拡張の機会を得るので、不正資金は今後さらに膨張する。不正資金は、香港経由などで海外にいったん移されたあと、「外資」を装って還流する。大半は投機的で「熱銭」と呼ばれ、規模は半端ではない。
そうして、この不正マネーを取り込む改革で、現在何とか中国は小康状態を保っているのですが、この改革もいつまでも続けられるものではありません。しかし、この改革の次の改革が今のところ何もありません。この改革の効き目がなくなったとき、何か他の余程のことがない限り、中国経済は破綻します。

とは、いっても本当はその手はありまずが、中国共産党中央政府にはそんなことは及びもつかないし、できないでしょう。ちなみに、その手とは、このブログでも過去に何度か述べてきたように、中国も日本が60年程度で、他の先進西欧諸国が数百年もかけて、経済的な中間層を増やしこの中間層が活発な経済・社会活動を行うことによって、国を富ませてきたのと同じ道を歩めば良いわけです。

これは、たとえば、過去のイギリスでは、いわゆるジェントル・マンという階層がそのさきがけです。Gentlemenとは、今では紳士と訳されていて、その言葉のみが人々の記憶にとどめられていますが、もともとは、階層の名称です。一部のほんの一握り上層階級と、大多数の下層階級の中間に当たる層です。そうはいっても、今の中間層のイメージからすれば、ジェントル・マンとてほんの一握りでしたが、それにしても、中間層であることには変わりありません。

ジェントル・マン階層の出身のチャーチル

このジェントル・マンの層が、縦横無尽に活躍したからこそ、あのエリザベス朝のイギリスは光輝くような、業績を残すことができました。その後も、イギリスでは中間層が増えていきましたが、これはあるところで、打ち止めとなり、今でもイギリスでははっきりとした、階級社会です。今でも、労働者階級が上の層に登る道は、大学教授などの教育者になるか、聖職者になるしか道はありません。だから、イギリスはその後あまり発展はしませんでした。

それからいくと、アメリカの場合は、もっと中間層の幅が厚いです。それに、もともと国も豊で、人口も多く、かなり発展しました。これよりも、もっと凄いのが、日本で、今ではそうでもなくなりましたが、一時は、1億総中流といわれるほど、中間層が厚く、これらの存在が奇跡の経済成長の原動力となりました。これらの活躍による、経済・社会活動によって、日本は数十年で戦後の貧乏国から、世界第ニの経済大国に上り詰めました。しかも、中国のように人口が多いということではなく、一人ひとりのGDPも高く、まさに、世界第ニの経済大国といわれるに相応しい発展を遂げました。

日本が、デフレから脱却さえすれば、もともと、日本では中間層が多すぎるくらいなので、まだまだ伸びしろはかなりあります。アメリカも未だ階層社会である部分があるので、現在みられるように経済・社会が停滞していますが、日本がデフレから脱却さえすれば、とてつもないことになる可能性が高いです。

しかし、中国が経済的中間層を増やすことはなかなかできません。それは、現代中国は、経済発展をするためだけに力を注ぎ、社会構造の転換をないがしろにしてきたからです。そもそも、民主化、経済と政治の分離、法治国家化がほとんど進んでいません。これらが、ある程度できなければ、どう頑張っても、まともな資本主義が根付くこともなく、経済的中間層を増やすこともできません。こんな有り様では、米中二極体制など夢のまた夢です。中国がこのような妄想をいだいても、実現できる見込みは全くありません。ただし、中国がこのような妄想を抱いている限り、アジアの安定はありません。

日本の中間層が活躍し始めるのはデフレ脱却後(゚д゚)!

最近、先進国も、過去には、経済的中間層が国を富ませてきたことをすっかり忘れています。しかも、そこが、現在の先進国と、中国との大きな違いであるということをすっかり忘れ、経済・社会を停滞させ、それどころか、上の記事にもある中国重力マシンなどの幻想にとりつかれています。

日本でも、この中間層のことが半ば忘れ去られているようですが、現在日本で中間層が減ったり、元気がないのは、デフレだからです。デフレの軛が断ち切られれば、日本の中間層はまた息を吹き返し、これらが経済・社会的に大活躍するようになり、エリザベス朝のジェントル・マンなどよりも、もっと素晴らしい活動をするようになります。

なぜ、そんなことをはっきりと確信を持って言えるかといえば、それは、日本の中間層のほうが、イギリスのジェントルマンなどよりはるかに数が多いし、それに、現在のイギリスと比較しても、日本には、ほとんど階層というものがなく、誰もが努力次第で、上に登っていけるからです。それを邪魔をしているのは、日本では現在のところデフレだけです。他にはほとんどありません。

デフレが回復した場合、日本は層の厚い中間層がとてつもない経済・社会変革の牽引車となり、とてつもない日本を創りだすことになります。そうして、今一度、世界に向かって中間層の実力を魅せつけることになることと思います。なぜ、そんなことをはっきりと自信を持って言えるかといえば、もう、日本の中間層は、それを実現したことがあるからです。日本の奇跡の高度成長により、すでにそれを示しているからです。

高度成長の時代には、確かに主に経済による成長でしたが、私は、次の成長は、経済だけではなく、社会的に大変革が行われることになると思います。それは、もちろん、政府主導によるものではなく、中間層主導によるものになると思います。そうして、私は、これが、世界の次世代の社会構造モデルになるものと確信しています。このような世界がより良き世界になります。中国による(重力マシン」に振り回されるようであれば、いつまでもアジアの安定は期待できません。

その時代がはやく来てほしいものです。そのためにも、一刻もはやくデフレから脱却する必要があります。その時代になれば、中間層の重要さが、世界的に認知されると思います。しかし、実際に社会構造を変えることは難しく、それが、中国は無論のこと、他の先進国にとっても、日本の「重力マシン」として、大きな課題をつきつけることになると思います。先進国は、これから貧乏国になるのか、発展していくのか、日本の「重力マシン」に振り回されることになります。そうして、安部総理はこれに近い構想を持っていると私は期待しています。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか。

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2013年11月26日火曜日

米政府「認めず要求にも応じない」と強調、「不必要に挑発的だ」―【私の論評】中国の狙いは、米中二極体制であり、それが可能かどうかオバマの態度を見極めるための策略が防空識別圏設定!米国は大人しくしていれば戦後体制を守りきれぬ(゚д゚)!

米政府「認めず要求にも応じない」と強調、「不必要に挑発的だ」


米国防総省のウォレン報道部長は25日、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海上空に設定した防空識別圏を認めず、中国側の要求には応じないとの方針を強調した。

ウォレン氏は中国側が、米軍などの航空機が飛行する際、経路の通報など4点を要求していると指摘。そのうえで「われわれは識別圏を飛行する際、(中国に)飛行計画を提出せず、無線周波数などを認識させることもしない。米軍機は(中国が求める)措置を一切取ることなく飛行できる」と語った。

さらに「米軍は(日本などの)同盟国との軍事行動も含め、行動を変更するつもりはない。われわれは常に、自衛能力を保持している」と警告した。

一方、アーネスト米大統領副報道官は大統領専用機内で記者団に、防空識別圏の設定は「不必要に挑発的なものだ」と重ねて批判した。そのうえで「地域での争いは外交的に解決されなくてはならない」と、中国に自制を求めた。

【私の論評】中国の狙いは、米中二極体制であり、それが可能かどうかオバマの態度を見極めるための策略が防空識別圏設定!米国は大人しくしていれば戦後体制を守りきれぬ(゚д゚)!

中国の防空識別圏設定に関して、その事実に関しては様々に報道されていますが、その背景、その意味するところまではほとんど報道されていません。これは、トップシークレットに属するものなので、なかなか報道されないのだと思います。

かくいう私も、トップシークレットに属する事柄を探索するすべもなく、本日はこれに関していろいろ分析することにより、識別圏設定の真相を解明していきたいと思います。

まずは、上の防空識別圏の地図をご覧になってください。尖閣列島から日本方向に識別圏が広まっています。もし、尖閣に中国の人民解放軍などが上陸するとか、その構えをみせたときなど、日本の自衛隊の航空機はもとよりアメリカの航空機も、尖閣を守るつもりがあれば、この識別圏の中を飛行することになります。

このことを前提としていろいろ考えてみると、中国の意図が見えてきます。

現在日本では、ほとんど報道されていませんが、日本海はむろんのこと、この海域などアメリカの艦船が航行し、航空機も飛行しています。それは、軍事上の機密であって、この事実が公表されたり、報道されることはまずありません。私の記憶でも、ほとんどなく確か一回だけ、そうしたアメリカの艦艇へ日本のリポーターが同乗してリポートをしているのをテレビで見た記憶があります。確かリポーターは落合信彦さんだったと思います。



それも、もう10年以上も前のことだったと思いますが、テレビで見ていても、緊迫している様子がわかりました。場所は、日本海ということだけで、正確な位置は示していなかっと思います。そのテレビ番組の中でも、国籍不明の潜水艦らしきものを発見して、それに向けて速射砲を連射しているところも放映されました。実際に、発射し海面に水柱がたっていました。

あれは、あくまで威嚇か何かなのでしょうが、結局この報道では、国籍不明の潜水艦らしきものは、潜水艦ではなかったということでしたが、あの時本当に相手が潜水艦であったとしたら、その後はどのような対応をとっていたのか興味のつきないところでした。

このように、日本海でもアメリカの艦船が日々このような活動をしているということですから、沖縄周辺はもとより、尖閣の付近だって、アメリカの艦船や航空機が監視活動などを続けているものと思います。これに関しては、無論軍事機密なので、日本のテレビなどでは報道されないのだと思います。そういわれてみれば、東日本大震災においてはアメリカは、「ともだち作戦」で日本政府などの了承を得ることもなく、震災地に救助隊として軍隊を送りこんでいました。これは、無論救助という側面もありますが、震災という異常事態に乗じて、中国や北朝鮮の軍隊などがおかしげな行動をしないように牽制するという意味あいもあったものと思います。



こんなことからも、当然尖閣付近にも、米国は航空機も送り込んで、アメリカ独自の立場から、情報を収集しているのは間違いないです。この米国の航空機が中国の航空機と遭遇した場合などもいろいろ想定していると思います。

このように米軍の航空機が飛行する空域にまで、中国が航空識別圏内としたということは、日本に対しては無論のこと、暗にこの領域に米軍機が入ったときも、連絡などの正規の手続きをしない場合は撃墜する場合もありえると表明しているのと同じことです。

米軍のオスプレイとともに軍事演習を行った自衛隊

そうして、これは中国側のオバマ大統領に対する挑戦でもあります。オバマ大統領は大統領になった当初は、"YES WE CAN"のキャッチフレーズとともに、リーダーシップのある大統領とも思われましたが最近では、政府の債務上限を上げることにも手間取り、その力量が問題視されています。

中国としては、オバマ大統領の力量を推し量るため、今回の識別権を設定した面があるのは否めないと思います。

オバマ大統領は、尖閣問題についてはずっと煮え切らない態度をとり続けています。この態度が中国側の日本に対する示威行動をさらにエスカレートさせている点は否めません。これについては、以前にもこのブログに掲載したことがありますので、以下にそのURLを掲載します。
「オバマ政権は尖閣は日本領と表明せよ」 米紙ウォールストリート・ジャーナルが主張―【私の論評】オバマは尖閣日本領表明によって、自ら頭の中のお花畑の虚構に生きるルーピーではないことを証明せよ(゚д゚)!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では米ウォールストリート・ジャーナルによるオバマは、尖閣は日本領と表明すべきとの論評につき解説しました。
そもそも、アメリカ側の立場にたっても、尖閣問題に関しては、戦後体勢を維持するという観点からも、中国の示威行動はやめさせるべぎです。ここで、アメリカが何もしなければ、中国は本来戦後体制の利得者ではないにもかかわらず、結果として戦後体制利得者であることを認めることになります。現在の中国共産党中央政府は、日本とは戦争をしていません。戦ったのは、蒋介石率いる国民党軍です。戦後の国々は、戦後体制によって三つに分類されました。第一国は、米英などの第二次世界大戦での戦勝国、第二国は、日独などの敗戦国、第三国は、そもそも戦争に参加して直接戦わなかった国々です。 
現在の中国、韓国、北朝鮮は、あくまで第三国であり、戦後体制の利得者ではありません。そもそも現代中国が独立したのは、戦後のことです。にもかかわらず、もし今後も尖閣について日本の領土であると、アメリカが表明しなければ、アメリカは中国の戦後体制の利得を認めることになります。 
それを許せば、中国は他の戦後体制の利得を次々と要求することになるのは必定です。そんなことは、少し考えれば理解できることです。中国は、明らかに戦後体制利得者になる道を模索しています。 
アメリカがこのように、煮え切らない態度をとり続けてきたのは、最近の中国の台頭をみて、今後中国国内が世界最大の消費市場になると見込んだ米国内親中・媚中派が、中国側の巧みな誘導にのって戦後体制の次の新しい世界の体制は、米中二極体制であると思い込みこみ、アメリカ国内でも、大きな影響力を発揮しているからです。
要するに、戦後体制に替わる次世代の世界の体制は、アメリカ・中国の二極体制であるとの幻想です。しかし、特にここ20年の中国の経済的躍進の原動力は、日銀の金融引き締め政策による、デフレ・円高政策です。これなしに、中国は経済発展することはできませんでした。 
そうして、現実には、昨日も示したように、現体制の中国は経済的にも、社会構造的にも持ちそうもありません。現中国が、本気で社会構造改革に取り組まなければ、分裂は必至です。そうして、これは、中国の過去の歴史が証明しています。
中国は、明らかに戦後体制の枠の中では、第三国の地位から、第一国である戦後体制利得者になる道を摸索しています。そうして、これが成功したあかつきには、その次の段階で、これはほとんど妄想に過ぎないのですが、戦後体制の次の体制を米中二極体制にしようと目論んでいます。

この妄想は、すてにソビエト連邦崩壊ということで、失敗事例があるにもかかわらず、中国はそれを狙っています。アメリカは、冷戦後にはソ連が崩壊したことから、世界アメリカ一極体制を摸索していたようにも見えましたが、最近ではそれはほとんど不可能であることを悟ったようです。

ソビエト連邦はいちはやく崩壊した


冷戦構造による、米ソ二極体制ももともとは不可能だったと思います。それが、ソ連の崩壊によって崩れたわけですが、もしソ連が改革などに成功して、はやい時期に共産主義体制を捨て去り、実質的に資本主義の道を歩んでいて、未だ継続していたとして、その後もずっと米ソ二極体制をとっていたら、いずれ米ソともともに崩壊したかもしれません。しかし、ソ連が一方的に早く脆くも崩れ去ったおかけで、アメリカの国体は今でも維持されています。

中国は、この過去にも大失敗した二極体制の再来を望みあろうことか、アメリカとともにもう一方の極を占めようとしています。中国は以前からこれを望み、以前からアメリカに対して、様々な申し入れを行ってきています。たとえば、太平洋のハワイより西半分を中国の覇権下におさめ、東半分は米国のものにするなどという途方もない妄想をアメリカに申し入れたのですが、オバマによって一蹴されています。

現在の中国は、習近平が掌握しきれておらず、ぱらぱらです。それは、先日の三全中の結果をみても、改革、改革と叫びながらも、結局その中身が明示されず、結局何もできない中国の今日の姿を浮き彫りにしました。自国をまともに治められない国が、世界の半分を治めるなどという途方もない考えを抱くのはこっけいですらあります。

米中二極体制は中国と習近平の妄想にすぎない

そんな国が対外的には、戦後体制利得者の道、そうしてあわよくば米中二極体制の一方の雄になる道を選ぼうとしています。

そうして、これに対するアメリカの反応を探るため、尖閣に防空識別圏を設定して、アメリカの出方を見ています。今のところ、オバマは、識別圏については厳重抗議をしていますが、未だ尖閣は日本領であることをはっきり明言していません。

こういう優柔不断な態度をとり続けていれば、中国は戦後利得者としての権利を主張しはじめます。それは、尖閣の領有権は無論のこと、その他の南の海の島々などの領有権です。

ここで、アメリカが中国の戦後利得者の道をとることを認めてしまえば、中国はさらにエスカレートすることが考えられます。それこそ、その後は、米中二極体制に突っ走ることになります。結局、中国や韓国の戦後選んだ道は、戦後利得者ではないにもかかわらず、日本からその利得をせびりとってきましたし、それができました。この次は、アメリカから利得をせびりとる番ということなのだと思います。かつて、日本に対してそうしたように、今度はアメリカを対象にいわれのない利得をせびるという行為に出たというのが、防空識別圏の設定の背後にあるものです。

オバマを揶揄するポスター。HYPEは詐欺という意味。

そうして、これは、絶対に成功はせず、失敗すれば中国は必ず旧ソ連邦のように崩壊します。しかし、それまでの間、中国はアジア地域の不安定要因を生み出し続けます。こんな馬鹿なことにならないためにも、オバマはいつまでも優柔不断な態度を続けることなく、はっきり「尖閣は日本領、よって、日中に領土問題なし」とはっきりと声明を出すべぎです。それによって、中国の戦後体制利得の確保と、米中二極体制の妄想の両方を打ち砕くことが出来ます。

そうして、日本もこのような背景を理解し、煮え切らないオバマが声明をこれからも尖閣が日本の領土であるという声明を出さないことも想定に入れて、悪中国への対抗措置を考えていくべきです。米国だけではなく、日本も中国の米中二極体制の妄想など粉々なに打ち砕くべく、安倍総理の構想した安全保障のダイヤモンドの強化にむけて努力をつづけ、中国孤立化の道を歩むべきと思います。

こうした中国の挑発行動は、大東亜戦争の勝者による戦後体制を揺るがしつつあります。日本にとっても、戦後体制から脱却は念願であり、日本は、この機会を捉えて、日本国に有利なポスト戦後体制を築くための好機とすべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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韓国「日本外し」外交会議、米中にのみ出席打診―【私の論評】米国経済植民地韓国は、本格的に米中の植民地になり下がるか?黙って放置しても日本に失うものは何もない(゚д゚)! 

「北方領土の日」に寄せて ロシアの「対中安保脅威」がカギ 名越健郎・拓殖大学海外事情研究所教授―【私の論評】北方領土は、北海道の島々!!北方領土のウクライナ人の多さや、対中脅威が返還の契機となるか?

哲学者・適菜収 木を見て森を見ない人々―【私の論評】ニッポン人は、いつから大きな枠組みも、大きな時代の流れも見えなくなったのか?

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特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣―【私の論評】岩屋外務大臣の賄賂疑惑が日本に与える影響と重要性が増した企業の自立したリスク管理

特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣 渡邉哲也(作家・経済評論家) まとめ 米国司法省は500ドットコムと元CEOを起訴し、両者が有罪答弁を行い司法取引を結んだ。 日本側では5名が資金を受け取ったが、立件されたのは秋本司被告のみで、他...