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2020年1月18日土曜日

トランプ減税2.0では中間層に思いがけない利益も:クドロー【私の論評】安倍政権は、古(いにしえ)の日本に思いを馳せ、まともな経済政策を早めに実行すべき(゚д゚)!


国家経済会議のラリー・クドロー委員長

<引用元:FOXビジネス 2020.1.17

トランプ、2期目ではさらに急速な経済成長を目指す

トランプ政権は中間層の減税という目標を達成する方法を検討し始めている。

給与税の低減はホワイトハウスのリストの上位ではないが、低・中所得者の勤労所得控除を調整することは検討対象となっている、と国家経済会議のラリー・クドロー委員長はFOXビジネスのスチュアート・バーニーに語った。

「我々はこれでさらに急速な経済成長率を目指したい。大統領の2期目に打ち出すものだ」とクドローは語った。

最新のデータが利用可能な期間として、2019年第3四半期の米国の経済成長率は2.1パーセントだった。成長率は2018年の第2四半期に4.2パーセントというトランプ時代のピークに達した。減税・雇用法の可決後のことだ。その法律で最高法人税率は35パーセントから21パーセントに引き下げられ、多くの米国人の個人所得税は削減された。

政権は児童税額控除を継続したいと考えているとクドローは述べた。2018年に2千ドルに倍増されたものだ。また、2017年の税制改革では期限切れを迎える、個人・企業両方の「一部の減税を永続化」することを検討していると述べた。もう1つの選択肢は、即時の経費計上を可能にすることであり、クドローはそれを企業の投資にとっての「とても強力なカンフル剤」と呼んだ。

減税提案は2月に提出されるホワイトハウスの予算の一部となる可能性がある、と事情に詳しい3人の人物がFOXビジネスに語った。だが税法の変更のような大きな法案を可決するのは、選挙の年には通常難しく、特に弾劾の混乱の中ではなおさらのことだ。

「トランプ大統領を再選させれば税率は低くなり、税金の負担は軽くなるだろう」とクドローは語った。

【私の論評】安倍政権は、古(いにしえ)の日本に思いを馳せ、まともな経済政策を早めに実行すべき(゚д゚)!

トランプ氏は、次の再選を目指してまた効果のある減税策で経済成長を目論んています。現在の世界の状況を見れば、このようなことをするのは当然のことと思います。選挙といえば、米国国民が行うものであり、他国の国民は関係ありません。

有権者の多くは、外交や世界情勢などよりまずは国内の暮らしぶりを良くしてもらいたいという願いを持っています。暮らしぶりが安定して、はじめて国家レベルや、国際レベルで物事を考えます。

それは、当然のことです。保守やリベラルと自称する人たちは、まずは国内政治に興味があるのかもしれませんが、日々働いて生活をしている一般国民は最大の関心事は、自らの暮らしぶりと、次に自分が携わっている仕事です。

そのようなことは、日本でも古から知られていることです。日本書紀にある「民の竈」の話など昔から語り継がれています。

仁徳天皇は「民のかまどより煙がたちのぼらないのは、貧しくて炊くものが
ないのではないか。都がこうだから、地方はなおひどいことであろう」と
仰せられ「向こう三年、税を免ず」と詔をされた

左翼や保守を自称する人たちの中には、それがビジネスになっている人たちもいます。そういう人たちが、政治を一番に考えるのも当然のことです。それは、一般の人々が自分の仕事を二番目に考えるのと同じです。

しかし、ビジネスリベラル、ビジネス保守の人たちが、一般の人々が政治への関心が低いことを軽蔑したり、何らかの行動を起こすべきと煽るようなことはすべきではありません。ビジネスで政治に関わるのと、一般人が政治に関わるのとでは、姿勢が違ってくるのは当然のことです。

一般の人々が様々な事業に従事して、各々が限られた範囲の中で専門性や能力等を発揮して、社会の隅々にまで、製品やサービスを提供して利益をあげたり、給料を頂いたりしているからこそ、この社会が成り立っているのです。

多くの人々が、自分の仕事を疎かにして、政治に走れば、社会は成り立ちません。そのようなことを防止するためにこそ、選挙制度があるのです。その選挙制度によって有権者が政治家を選び、多くの人々は政治はその人たちに任せるのです。

政治に関しては、一般の人々はアクション(行動)よりもリアクション(反応)という姿勢でいるのは当然のことなのです。ただし、一般の人々も選挙という制度を通じて、政治にまともに反応すべきであることは、いうまでもありません。

元々は不動産というビジネスをしていたトランプ氏は、このことを良くわきまえているようです。多くの人々の関心は、政治よりも自分たちの暮らしぶりであり、それを政府として改善できるのはまともな経済政策であるということを良く理解しています。

だからこそ、一期目に続いて二期目でも、なるべく効果がありそうな減税政策を実現しようとしているのでしょう。

日本とは異なり、まともな経済政策を実行する米トランプ大統領

昨年10月に消費税を10%にした日本とは全く異なります。いや、米国だけではありません。日本は世界の潮流からかけ離れています。

たとえば、インド財務省は昨年9月20日に法人税を減税すると発表しました。これまでインドの法人税は30%だったのですが、これを22%まで引き下げたのです。しかも2019年4月まで遡って適用したのです。

そうして、今年(2019年)10月1日以降に新規で設立された会社で、2023年3月までに生産を開始する企業の法人税率は、15%に軽減しました。これは、世界でも類をみないほど低いです。

これは合弁企業、つまりインドの国内企業だけではなく、外資系企業も対象になります。重要なのは、税控除を一切しないということです。日本で言うところの租税特別措置、大企業優遇策です。非常にシンプルでわかりやすい法人税制になります。ただ、このインドの減税政策は、米国のトランプ減税をそっくりそのまま真似しているのです。

いまの世界の流れは、他の国もそうですが、いかに税負担を低くするか、景気浮揚を図るかという方向に流れています。この状況で増税したのは日本だけです。

しかも、日本の場合は、増税するだけではなくて、軽減税率が複数あり、ポイント還元もあるので、結局は5通りの税率が存在すると言う事態になりました。これは、税制としては下の下です。シンプルで公平で、わかりやすいことが税制にとって必要なのに、全部が真逆です。軽減税率で線を引くにあたり、そこの裁量で権限が生まれてしまうことになります。

裏読みすると、わざと複雑にして批判をそちらに集め、増税そのものについて議論させないようにしているのではないかとさえ思えてきます。

今回の消費税増税は、特に中小零細企業にとってかなりの負担増です。どちらかと言うと、個人がお金を払う際のことばかり議論されていて、そういうところが置き去りにされています。世界が減税の方向へ向かっているのに、あのタイミングでやるべきことだったのでしょうか。日本だけが取り残されて、沈む可能性が出てきたと思います。

米中の関係も含めて世界経済が減速気味のところを、何とか各国は浮揚させようと頑張っているのにも関わらず、日本だけが増税です。「政府、特に財務省は、空気読めよ、何をやっているんだ」と言われても仕方ないです。

日本増税という税制と比較すると、インドの税制はかなり戦略的で、世界の工場の座を中国から奪うということを目指しています。これは相当大きなインパクトがあります。インドは、確かに社会的に遅れた面はありますが、曲がりなりにも政治体制は自由民主主義体制ですから、中国のように大きな政治的リスクはありません。中国の場合は政治的リスクがかなり大きいです。

そのため、マーケットから聞こえて来るのは、アップルがどうも生産拠点をインドに移す、その検討を開始したという情報です。まだ噂ですが、出ているのも事実です。その根拠として、インドの法人税減税があるのではないでしょうか。

インドモディ首相と安倍総理

法人税減税の話をすると、日本も消費税を上げてつつ、それを原資に法人税を下げているではないか、だから日本も戦略的だと言う人もいます。しかし、それにしては法人税も複雑怪奇すぎます。

しかし、税制はトータルで考えるべきです。何か1つだけ「下げた、上げた」で議論するのではなく、トータルでどうなのか、企業の税負担はどうなのか、なぜあの大企業はこれだけしか税金を納めていないのか、という議論を進めるべきなのです。

たとえば、サービス業はほとんど租税控除の特別措置がなくて、税金を多く払っているにもかかわらず、製造業の大企業は様々な特別措置があります。そのような企業が多く加盟している経団連企業の経営者などは「消費税ばんざい」というようなことを平気で言います。

これは、まったく公平ではありません。日本の場合、税制に関しては公正・シンプルという観点からは、全部真逆を行っているといっても過言ではありません。後々、大きなダメージになるのではないでしょうか。

特に、中小・小規模事業者によるキャッシュレス・ポイント還元事業は、消費税率引上げ後から2020年6月末までと期限があります。来年の秋頃からは、消費が一段と落ち込み、日本経済が確実に沈むと見られます。

そのような状態では、当然の多くの人々の暮らしぶりは以前よりは悪くなります。トランプ政権は一期目でも、公平でシンプルな税制改革で成功し、さらに中間層の減税に向けて準備をしているといいます。

トランプ大統領の弾劾裁判が開廷したため、日本ではトランプ氏の再選は難しいなどと主張する人もいるようですが、このブログでは過去に様々なエビデンスとともに、トランプ氏が再選する可能性が高いと評価してきました。

その中で、トランプ氏の税制への取り組みは最も評価できるところです。なぜなら、多くの人々にとっての再優先順位は自らの暮らしぶりだからです。そうして、ここではっきりさせておきますが、多くの有権者のこのような考え方や行動を軽蔑するような、政治家や保守・リベラルビジネスに携わる方々は、結局滅びの道を歩むことになります。

それは、米国だけではありません。日本も例外ではありません。安倍政権は、発足とともにアベノミクスを発動し、税制では失敗しましたが、発足当時から金融緩和を実行し、最近では引き締め気味ながら、緩和を継続しています。

そのため、雇用はかなり改善され今日に至っています。だからこそ、内閣支持率は今でも高いのです。特に若者からの支持は絶大です。しかし、この空前の雇用も、昨年の10月の増税で帳消しなる可能性が高まってきました。

そうなると、国民の暮らし向きは明らかに悪くことになります。

このことを念頭において、安倍政権には、来年の秋に景気が落ち込む前に、何らかの経済政策を実行して、人々の暮らし向きを改善していただきたいです。

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2015年12月5日土曜日

【日本の解き方】人民元のSDR採用後の中国 一党独裁と社会主義体制で困難抱えて行き詰まる―【私の論評】中間層を創出しない中国の、人民元国際通貨化は絶望的(゚д゚)!


中国人民元のSDR構成通貨入りを発表する
IMFのラガルド専務理事=11月30日、ワシントン

国際通貨基金(IMF)は11月30日の理事会で、中国の人民元を特別引き出し権(SDR)の構成通貨に採用することを正式に決めた。

以前の本コラムでも紹介したが、これはIMFが人民元を「自由利用可能通貨」として認めたことを意味する。一般論として、IMFは人民元をドルや日本円と並ぶ世界の主要な通貨としての採用を決め、加盟国との間の資金のやり取りなどに活用していく-といわれている。

中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)での取引の自由化も加速すると予想され、世界の金融界での中国の存在感がますます高まるという意見がある。

しかし、IMFの「自由利用可能通貨」という概念は、単に通貨取引で一定量以上、使われていることを意味するだけで、人民元が自由な市場で取引され、価格が自由に変動することを意味していない。人民元には中国政府による制約が多いという問題もある。今は変動相場制の時代であり、変動相場の中で人民元が「自由に使われるか」どうか、それが、真の「国際通貨」であるかどうかのメルクマール(指標)になるだろう。

筆者は、中国経済の今後には多くの困難が待っているとみている。まず、人民元の国際化であるが、通貨取引の背後には、貿易取引や資本取引があり、それらが大きく拡大しないと、国際化も限定的だ。

中国には共産党一党独裁の社会主義体制という問題があるので、国有企業改革や知的所有権の解決は当面難しく、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加も当面難しい。ということは、貿易取引や資本取引にも一定の限界が出てくる可能性がある。

特に資本取引の自由化は、一党独裁の社会主義体制のままでは基本的には無理である。となると、人民元もこれ以上の国際化はなかなか望めないというわけだ。

また、中国では、政策の自由度も制限されるので、経済発展にも注意信号が出ている。資本取引は自由化できないとしても、実際に資本取引を完全に規制するのも困難だ。となると、固定為替相場を維持するためには、金融政策の独立性を犠牲にせざるをえない。一方、資本取引を完全に自由化できないので、固定為替相場を完全に変動相場制に持っていくこともできず、中途半端だ。

中国が、一人当たり国内総生産(GDP)1万ドル前後で経済停滞に陥るという「中進国の罠」にはまりかけているのも懸念材料だ。一般論として、中進国の罠を超えるためには、大きな構造改革が必要であるが、そこでも中国の体制問題がネックになる。

中国は、当面AIIBによって「人民元通貨圏」のような中国のための経済圏を作りつつ、国有企業改革などを行ってTPPなどの資本主義経済圏への段階的参加を模索するとみられる。しかし、一党独裁体制を捨てきれないことが最後までネックになり、行き詰まるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】中間層を創出しない中国の、人民元国際通貨化は絶望的(゚д゚)!

中国通貨・人民元の国際化を目指す中国政府にとって、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨に人民元が採用されるのは今年の主要政策目標の一つになっていました。

SDRバスケットに人民元が採用されることは、人民元が準備通貨として容易に取引ができ、資産の優れた保存手段となるものとしてIMFからお墨付きを得ることを意味します。

だからといって、すぐにも人民元がドルのライバルとなるわけではありません。SDRの発行残高は3000億ドル(約37兆円)をやや上回るに程度に過ぎません。これは、世界の外貨準備高の2.5%を占めるにすぎません。人民元の構成比率はごく小さいうえ、通常、対外支払いをSDRで行なう国は稀です。

金本位制の採用を取りやめた現在において、SDRは実利的な意味を殆ど有しておらず、象徴的な存在と化しています。あくまでもIMFと各国中央銀行との間でのみ使用される準備資産であり、民間の投資家などにとっては直接的には保有することも売買することもできない資産になっています。



元が国際通貨として本当に認められるには、人民元相場の柔軟性拡大に加えて、中国金融市場に対するアクセス制限の緩和、取引の自由化推進などが要求されますが、株価急落で金融市場に異例な介入を続ける中国政府は、一段と厳しい局面に立たされることになることでしょう。

中国が資本勘定を完全に自由化し、変動相場制に移行しない限り、投資家は人民元を国際通貨として使用することに引き続き慎重になることでしょう。

ただし、そのためには国内でそれなりの条件を整える必要があります。

中国が今の一党独裁を継続していては、高橋氏がブログ冒頭の記事で、指摘していた、「中所得国の罠」に陥る可能性が大というよりも、もうその罠に完璧に落ち込んでいます。

中所得国の罠の模式図

「中所得国の罠」とは、多くの途上国が経済発展により一人当たりGDPが中程度の水準(中所得)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することをいいます。

この「中所得国の罠」を突破するのは結構難しいことです。アメリカを別格として、日本は60年代に、香港、シンガポールは70年代に、韓国は80年代にその罠を突破したといわれています。ただし、アジアでもマレーシアやタイは未だに、罠にはまっています。

中南米でも、ブラジル、チリ、メキシコも罠に陥っていて、一人当たりGDPが1万ドルを突破してもその後は伸び悩んでいます。

政治的自由と、経済的自由は、表裏一体であり、経済的自由がないと、IMFのような国際機関の提言は実行できません。経済的自由を保つには、政治的自由が不可欠です。

これに関しては、このブログでも表現は異なるものの、過去に何度か掲載してきました。

現在のように、一握りの富裕層が経済活動をするというのであれば、いずれというか、もうすでに中国はそうなのですが、経済発展には上限があり、それ以上は伸びることができなくなり、それこそ、「中所得国の罠」にはまってしまうのです。

中国の場合確かに、国全体としてのGDPは大きくなりましたが、それにしても、一人あたりのGDPは、まだ日本の1/10程度であり、まさに中進国の下の部類です。さらに憂うべきことは、中国がGDPを伸ばしてきたにもかかわらず、個人消費は伸びることなく、現在ではなんとGDPの35%に過ぎません。

これは、米国は70%、日本を含める先進国では、60%台であることを考えると、中国はあまりにも低いです。


中国が中所得国の罠から脱して、さらに経済発展をするということになれば、個人消費をもっと増やす必要があります。そのためには、現状のように、一握りの富裕層と、その他大勢の貧困層という状況を改め経済的中間層を創りだす必要があります。

そうして、この中間層が、社会・経済的に活発に活動できるための、基盤を整備する必要があります。

基盤を整備するためには、現状の中国ではほとんど実現されていない、民主化、経済と政治の分離、法治国家化は欠かせません。まずは、これができなければ、何も進みません。他の中進国が「中進国の罠」に嵌っているのは、結局これができないからです。

結局、中国に限らず、一党独裁が最後に障害になるのです。そう考えると、中国の外患内憂はそう簡単に解決しないことでしょう。

結局のところ、人民元が、SDRに採用採用されたとしても、それは象徴的な意味しか持たず、真の意味での国際通貨への道は厳しいと言わざるを得ません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年12月14日土曜日

誰も影響を免れない中国の「重力マシン」―【私の論評】米中二極体制妄想はアジアの不安定要因を招くだけ!日本の「重力マシン」に世界が悩まされるときアジアの安定と、次世代の経済・社会モデルができあがる(゚д゚)!


2013.12.13(金) Financial Times

(2013年12月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

世界中の人々が中国の重力マシンにのせられている?


鄧小平は「韜光養晦(タオ・グアン・ヤン・フイ)」という古い中国の諺を好んで引用した。これは一般に「才能を隠し、好機が来るのを待つ」と訳されている。その考え方は、中国の能力を明らかにする適切な時期が来るまで、それを隠しておくということだった。それまでは、所得を増やし、中国を世界の経済システムに統合させることが優先された。

中国は今、楽々と世界第2位の経済大国になっており、かなりの確率で世界最大の経済大国になる途上にある。中国には、チャイナドリーム(中国夢)――「中華民族の偉大な復興」――という明確な表現で国家の偉大さを取り戻すことをはっきりと目指している指導者、習近平氏がいる。謙虚なふりをする時代は終わったようだ。

自国が尊敬に値する国、もっと言えば恭順にすら値する国であるという中国の意識の高まりは、2008年以降顕著になっている。リーマン危機は、全般的には市場資本主義、特に米国の絶対確実性に対する中国の信頼を揺るがした。

最近は、そのプロセスがさらに先へと進んでいる。中国は、外国企業の幹部、国の指導者、ジャーナリストなどに対する影響力を一様に強めている。

アジア・ソサエティー米中関係センターのオービル・シェル所長の言葉を借りれば、中国政府はその「重力マシン」の回転速度を上げ、相手にする人々を一段と強力に引っ張り込んでいる。英国のデビッド・キャメロン首相からブルームバーグ・ニュースのマット・ウィンクラー編集長に至るまで、あらゆる人がその影響を受けている。

経済的な離陸を遂げる鄧小平の計画は、外国の資本と技術を呼び込むことに依存していた。だが、中国が豊かになるにつれ、誰が誰をより必要としているのかは、もはや明確ではなくなっている。

このお馬鹿な記事の続きはこちらから!

【私の論評】米中二極体制妄想はアジアの不安定を招くだけ!日本の「重力マシン」に世界が悩まされるときアジアの安定と、次世代の経済・社会モデルができあがる(゚д゚)!

上の記事、馬鹿丸出しです。中国共産党中央政府のスポークマンのような内容です。この記事に関しては、経済評論家の上念司氏も以下のようなツイートをしています。
まったく、上念氏が言うとおりです。世界は、あいかわらずバランス・オブ・パワーで動いているのは間違いないです。だから、米国だって、自国に都合が良いなら、中国とも手を組む部分もあります。それに米国だって一枚岩ではないですから、かなり親中的なグループもあれば、反中的なグループもあります。それは、どこの国だって同じことです。だから、上の記事のように、中国の重力マシーンに誰もが影響を受けているように見えることもあります。

野蛮な中国には、次世代を築く「重力マシーン」にはなり得ない

それは、米国や日本に限らず、他の国だって同じことです。だから、英国やドイツだって、中国の重力マシンに動かされているように見えることもあります。その典型例はこのブログでも紹介したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
【脱中国元年】英、独の中国擦り寄りと反日暴動の深い意味 複雑怪奇な世界情勢―【私の論評】 対中国政策が示す日が沈むEU、日が昇る日本。すでに不退転の決意を示している日本国民!!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、英・独の中国刷りよりに関する、中国通の宮崎氏の記事を掲載しました。以下にその要旨を掲載します。
 世界情勢は「複雑怪奇」に激変の最中である。日本人はとかく「西側同盟」と「日米同盟」が堅い絆で結ばれていると勘違いしている。国際政治の舞台裏では「昨日の敵は今日の友」「今日の友は明日の敵」である。 
NATO(北大西洋条約機構)で団結していたはずの欧米同盟とて、中国と対立する米国に意外な方向から敵対者が出現した。何と、英国とドイツが米国に敵対 的態度を示すようになったのである。英、独は中国に異常接近し、特に、英国は金融市場で、ドイツは製造分野でこれまで以上の中国重視政策にかじ取りを変え た。
これに呼応して、この記事では、私の論評として、すでに日本国民は、中国に対して不退転の決意を示していることを掲載しました。
日本は、かつてドイツと日独伊三国同盟を結んでいました。イギリスとは、日英同盟を結んでいたことがあります。第二次世界大戦で一番損をした国はイギリスです。これに対して一番徳をした国は当時の最も邪悪な国ソ連です。アメリカにとっては、結局何も良いことはありませんでした。第二次世界大戦中にイギリスが日英同盟を破棄しなければ、世界は変わり、ソ連の封じ込めに成功し、冷戦など存在せず、ソ連崩壊も早かったかもしれません。 
米国に関しては、日米開戦の10年ほど前までは、両国が戦争をするなど、誰も想像さえしなかったほど、元来は親密な関係でした。一番徳をした国は、結局ソ連です。ソ連のコミンテルンの工作により、日米開戦が画策されたということです。こんなことを書くと、それこそユダヤの陰謀に近い妄想に近いことを書いていると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これについては最近では、倉山満氏の著書『嘘だらけの日米近現代史』にも、指摘されているところであり、これ以前から多くのまともな国内外の歴史学者らが指摘しているところですし、丹念にある程度の文献を読み解いていけば誰にも理解できることです。 
しかし日本においては、マスコミがまともではなく、学者の中にも、戦後利得者もしくは、その系譜のものも多数存在すること、それに現在では日本では他国では当たり前のスパイ防止法も存在しないため、ソ連のコミンテルンに加えて、米国、中国のスパイなどが日本国内で自由に暗躍しているなどのことがあり、第二次世界大戦の真実を覆い隠しているはかりでなく、現代の各国の動きも、上の記事で宮崎氏が指摘しているように、一見複雑怪奇な世界情勢に見せているのです。 
宮崎氏は、上記の記事で以下のように結んでいます。 
激動・激震が予測される今後、果たして日本人は経済成長回復という甘い期待だけではなく、どれほど不退転の決意を示せるのか? 
宮崎氏の懸念は、それなりに理解できます。しかし、私はこれだけ日本の国民が中国の傍若無人さ、節操のなさ、異形ぶり、異質ぶりを見せつけられたら、不退転の決意などという次元は超えてしまい、大多数の国民がもう中国とはなるべく関わりあいたくないと思っていると考えます。中国のこうした行動が、安倍政権を誕生させたといっても過言ではないと思います。直近のアンケートでは、80%の国民が、中国を好ましくない国としています。そういった背景からみれば、日本国民はすでに中国に対して不退転の決意を示していると思います。そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どう思われますか? 
最近のイギリスの景気は、不況にもかかわらず、増税という緊縮財政を実施してしまったので、ますます不景気となってしまいましたが、その後大規模な金融緩和を行い、景気指数など回復の兆しをみせています。しかし、これは、一時的なものであり、さらなる金融緩和が必要という声もあります。

イギリスもこのように景気が良くないですから、一時的に持ち直すために、中国にすりより、輸出が増えればよいと思うこともあります。ドイツだって、他国が手を引くならそこに付け入る隙があれば、入りたいと思うこともあります。だから、上のファイナンシャル・タイムズの記事は、現状の英国の状況に合致した記事であり、英国政府を後押しするような記事だと思います。

イギリスの経済は回復基調だか未だ予断を許さない状況

しかし、世界は結局バランス・オブ・パワー(影響力の大きい国々の覇権のバランス)によって成り立っています。

中国は、発展途上国でありながら、新興国のようなところもありどっちつかずの国ですが、新興国としてバランスオブ・パワーの一角を占めたいという願望があります。しかし、これはまだ実現されていません。経済的には第二位とはなりましたが、それ自体も中国の統計の取り方が出鱈目なので、実際には未だ世界第二だろうと言われています。それに、軍事的にはまだまだという状況ですから、中国は未だバランス・オプ・パワーの一角を占めたとは言いがたいです。

実は、米国にとっても、日本にとっても、現状の中国はこの世から消え去っても、ほとんど影響がありません。そもそも、日本のGDPに占める輸出の割合は、15%程度に過ぎず、米国は6%程度にすぎません、さらにそこから中国ということになると本当に微々たるものに過ぎません。日本は、2%ほど、アメリカに至っては、1%もないかもしれません。

輸入でも、ほんのわずかです。しかも、ほとんど代替が利くものです。中国から輸入しなければ、絶対に駄目というものはほんどないです。中国投資も実は、たいしたことはありません。日本のGDPの2%程度のものです。アメリカはもっと低いです。軍事力は、陸軍は別にして、いまのところ、日本の自衛隊にも遠くおよびません。米国と比較すれば、それこそ月とスッポンです。ロシアの敵でもありません。

純粋にマーケティング的観点からみた、中国のマーケットもあまり魅力的なものではありません。中国の人口が13億とはいっても、それは他国の市場のように、ある程度国として同質性があるわけではありません。中国の一つの省が一つの国と言っても良いくらい、マーケットの内容は異なります。言葉も、生活習慣も異なります。いや、一つの省ですら、その中身は、さまざまな民族が同居していますし、何よりも貧富の差がありすぎです。

日本などと比較すれば、中国全体では差異がありすぎです。さらに、一つの省の中でも、日本と比較すれば同質ではありません。中国で商売をするということは、中国という同一の国の中で商売をするなどということとは、かけ離れています。たとえば、ASEAN諸国で商売をするようなものです。EU内で商売をするよりもまだ、地域も広く、消費者間の隔たりも大きいです。それに、忘れてはならないのは、国民一人あたりのGDPはまだまだということで、未だ日本の1/10に過ぎません。それも、平均しているのではなく、所得の高いものと低いものとでは、あまりに差異がありすぎて、とても、同一の市場とみなすことはできません。こんなことから、他のどの国よりも商売や、事業展開がやりにくい国であることは間違いないです。

ミス・ビキニ・インターナショナルの北京地区予選。同じビキニをまとってい
ても、個々人でその背景は、日本と比較すると天と地ほどの隔たりがある

それに、最近の中国はもう、経済の破綻がささやかれていて、実際現在は小康状態を保っていますが、これも現在打っている手が尽きると、もう打てる手はありません。これについては、以前のこのブログにも掲載しましたので、そのURLを以下に掲載します。
【ビジネスアイコラム】不正マネーを取り込む中国式改革 ―【私の論評】民主化も、政治と経済の分離も、法治国家化もされてない中国は、分裂の危機にある!人民解放軍瀋陽軍区の動きに着目せよ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に中国のとんでもない、不正マネーを取り込む中国式改革の実体を示す部分だけ、以下にコピペさせていただきます。
早い話、李克強首相の主導で上海に「自由貿易区」が9月に設置されたが、大幅に規制が撤廃された同区の進出企業234社のうち外資は21社に過ぎず、大半は国有企業である。党中央が国家全体の予算と金融を支配し、地方政府と国有企業に資金を配分、党官僚が支配する地方政府や国有企業がそのカネを投資して、開発や生産に関与して収益を上げるというシステムの中での、自由ビジネス特区であり、主要プレーヤーは党官僚なのである。 
党官僚は「市場重視の改革」、すなわち経済自由化で利権拡張の機会を得るので、不正資金は今後さらに膨張する。不正資金は、香港経由などで海外にいったん移されたあと、「外資」を装って還流する。大半は投機的で「熱銭」と呼ばれ、規模は半端ではない。
そうして、この不正マネーを取り込む改革で、現在何とか中国は小康状態を保っているのですが、この改革もいつまでも続けられるものではありません。しかし、この改革の次の改革が今のところ何もありません。この改革の効き目がなくなったとき、何か他の余程のことがない限り、中国経済は破綻します。

とは、いっても本当はその手はありまずが、中国共産党中央政府にはそんなことは及びもつかないし、できないでしょう。ちなみに、その手とは、このブログでも過去に何度か述べてきたように、中国も日本が60年程度で、他の先進西欧諸国が数百年もかけて、経済的な中間層を増やしこの中間層が活発な経済・社会活動を行うことによって、国を富ませてきたのと同じ道を歩めば良いわけです。

これは、たとえば、過去のイギリスでは、いわゆるジェントル・マンという階層がそのさきがけです。Gentlemenとは、今では紳士と訳されていて、その言葉のみが人々の記憶にとどめられていますが、もともとは、階層の名称です。一部のほんの一握り上層階級と、大多数の下層階級の中間に当たる層です。そうはいっても、今の中間層のイメージからすれば、ジェントル・マンとてほんの一握りでしたが、それにしても、中間層であることには変わりありません。

ジェントル・マン階層の出身のチャーチル

このジェントル・マンの層が、縦横無尽に活躍したからこそ、あのエリザベス朝のイギリスは光輝くような、業績を残すことができました。その後も、イギリスでは中間層が増えていきましたが、これはあるところで、打ち止めとなり、今でもイギリスでははっきりとした、階級社会です。今でも、労働者階級が上の層に登る道は、大学教授などの教育者になるか、聖職者になるしか道はありません。だから、イギリスはその後あまり発展はしませんでした。

それからいくと、アメリカの場合は、もっと中間層の幅が厚いです。それに、もともと国も豊で、人口も多く、かなり発展しました。これよりも、もっと凄いのが、日本で、今ではそうでもなくなりましたが、一時は、1億総中流といわれるほど、中間層が厚く、これらの存在が奇跡の経済成長の原動力となりました。これらの活躍による、経済・社会活動によって、日本は数十年で戦後の貧乏国から、世界第ニの経済大国に上り詰めました。しかも、中国のように人口が多いということではなく、一人ひとりのGDPも高く、まさに、世界第ニの経済大国といわれるに相応しい発展を遂げました。

日本が、デフレから脱却さえすれば、もともと、日本では中間層が多すぎるくらいなので、まだまだ伸びしろはかなりあります。アメリカも未だ階層社会である部分があるので、現在みられるように経済・社会が停滞していますが、日本がデフレから脱却さえすれば、とてつもないことになる可能性が高いです。

しかし、中国が経済的中間層を増やすことはなかなかできません。それは、現代中国は、経済発展をするためだけに力を注ぎ、社会構造の転換をないがしろにしてきたからです。そもそも、民主化、経済と政治の分離、法治国家化がほとんど進んでいません。これらが、ある程度できなければ、どう頑張っても、まともな資本主義が根付くこともなく、経済的中間層を増やすこともできません。こんな有り様では、米中二極体制など夢のまた夢です。中国がこのような妄想をいだいても、実現できる見込みは全くありません。ただし、中国がこのような妄想を抱いている限り、アジアの安定はありません。

日本の中間層が活躍し始めるのはデフレ脱却後(゚д゚)!

最近、先進国も、過去には、経済的中間層が国を富ませてきたことをすっかり忘れています。しかも、そこが、現在の先進国と、中国との大きな違いであるということをすっかり忘れ、経済・社会を停滞させ、それどころか、上の記事にもある中国重力マシンなどの幻想にとりつかれています。

日本でも、この中間層のことが半ば忘れ去られているようですが、現在日本で中間層が減ったり、元気がないのは、デフレだからです。デフレの軛が断ち切られれば、日本の中間層はまた息を吹き返し、これらが経済・社会的に大活躍するようになり、エリザベス朝のジェントル・マンなどよりも、もっと素晴らしい活動をするようになります。

なぜ、そんなことをはっきりと確信を持って言えるかといえば、それは、日本の中間層のほうが、イギリスのジェントルマンなどよりはるかに数が多いし、それに、現在のイギリスと比較しても、日本には、ほとんど階層というものがなく、誰もが努力次第で、上に登っていけるからです。それを邪魔をしているのは、日本では現在のところデフレだけです。他にはほとんどありません。

デフレが回復した場合、日本は層の厚い中間層がとてつもない経済・社会変革の牽引車となり、とてつもない日本を創りだすことになります。そうして、今一度、世界に向かって中間層の実力を魅せつけることになることと思います。なぜ、そんなことをはっきりと自信を持って言えるかといえば、もう、日本の中間層は、それを実現したことがあるからです。日本の奇跡の高度成長により、すでにそれを示しているからです。

高度成長の時代には、確かに主に経済による成長でしたが、私は、次の成長は、経済だけではなく、社会的に大変革が行われることになると思います。それは、もちろん、政府主導によるものではなく、中間層主導によるものになると思います。そうして、私は、これが、世界の次世代の社会構造モデルになるものと確信しています。このような世界がより良き世界になります。中国による(重力マシン」に振り回されるようであれば、いつまでもアジアの安定は期待できません。

その時代がはやく来てほしいものです。そのためにも、一刻もはやくデフレから脱却する必要があります。その時代になれば、中間層の重要さが、世界的に認知されると思います。しかし、実際に社会構造を変えることは難しく、それが、中国は無論のこと、他の先進国にとっても、日本の「重力マシン」として、大きな課題をつきつけることになると思います。先進国は、これから貧乏国になるのか、発展していくのか、日本の「重力マシン」に振り回されることになります。そうして、安部総理はこれに近い構想を持っていると私は期待しています。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか。

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2013年11月18日月曜日

スティグリッツ:「貧富の格差に対処する国と対処しない国に世界は分裂しはじめた」―【私の論評】中間層を育成することが、過去の経済成長の基本中の基本であったことが忘れ去られている!これは、単なる平等主義とは違う!!

ジョセフ・スティグリッツ「貧富の格差に対処する国と対処しない国に世界は分裂しはじめた」

ジョセフ・スティグリッツ

われわれは不公平な世界に向かっているのか?

もっとも富裕な国、とりわけアメリカの所得と富の格差はこの数十年で急拡大し、そして悲劇的なことに、この大不況以来さらに悪化したことが広く知られている。

しかしほかの国はどうだろうか。国家間の格差は、中国やインドのような新興国の経済力が、何億もの貧困者を引き上げたことで縮小しているのだろうか。貧しい国や中所得国では、格差は悪化しているのだろうか、それとも改善しているのだろうか。われわれは公平な世界へと向かっているのだろうか、それとも不公平な世界へと向かっているだろうか。

これらは入り組んだ問題だ。世界銀行のエコノミストであるブランコ・ミラノビッチらによる最近の研究はその答えをいくつか示している。

・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・

「格差は技術変化を受け入れた副産物」というウソ

ミラノビッチ氏によれば、1988年から2008年にかけて、世界人口の上位1%の所得が60%も増加する一方で、最下層5%の所得にはまったく変化がない。ここ数十年で、中位所得は著しく上がったが、いまだに法外な不均衡がある。

8%の人間が世界中の所得の50%を懐に入れ、同様に最上層の1%だけが15%をわが物にしている。利子配当収入は、富裕国の金融・産業界のエグゼクティブのようなグローバルエリートや、中国、インド、インドネシア、ブラジル諸国の「新興中産階級」にもっとも厚い。では、取り損なったのは誰か。それは、アフリカ、ラテンアメリカの一部、共産主義崩壊後の東欧および旧ソビエトの人びとだ、とミラノビッチ氏は指摘する。

アメリカは世界に恐ろしい具体例を示している。非常に多くの点で「世界に先駆ける」国だけに、他国がそれに続けば、将来いいことは起こり得ない。

一方、アメリカで広がる所得と富の格差は、西側世界で広範に見られる傾向である。OECDの2011年度の研究によれば、所得格差は、1970年代後半から1980年代前半にかけてアメリカとイギリス(さらにイスラエル)で最初に広がりはじめた。この傾向は、1980年代後半にさらに拡大した。所得格差はこの10年で、平等主義的な国であったドイツ、スエーデン、デンマークでさえ拡大した。フランス、日本、スペインという少数の例外を除き、多くの先進国で、最上層10%の稼ぎ手が急浮上したが、最下層の10%ははるかに遅れてしまった。

しかしこの傾向は、普遍的でも回避できないものでもない。同じころ、チリ、メキシコ、ギリシャ、トルコ、ハンガリーは、国によるがきわめて甚だしい所得格差を首尾良く減らし、格差とは政治的産物で、単なるマクロ経済動向によるものではないことを示した。

格差はグローバリゼーション、労働、資本、モノ、サービスの移動、スキルや高学歴の従業員を優遇する、回避できない技術変化の副産物だ、というのは真実ではない。

先進経済諸国の中で、アメリカは壊滅的なマクロ経済の結果、所得と機会における格差が最悪だ。アメリカの国内総生産はこの40年間で4倍以上となり、この25年間ではほとんど倍増したが、ご存じのとおり利益はトップに集中し、そしてますますトップ中のトップへ集中している。

昨年、最上層1%のアメリカ人は、全国民の所得のうち22%を、同じく0.1%は11%を懐に入れた。2009年以来の利子配当収入総額の95%は最上層1%の手に渡ったことになる。

最近発表された国勢調査によれば、アメリカの中位所得者は、ほぼ4半世紀のあいだ動くことがなかった。典型的なアメリカ人の所得は、(インフレ補正後で)45年前より低く、4年制大学の卒業資格を持たない高卒者は40年前よりも約40%所得が低い。

「誰のための繁栄なのか」

アメリカ人の間での格差は、富裕層への減税と金融機関への規制緩和に伴い、30年前から拡大しはじめた。これは偶然の一致ではない。われわれがインフラや教育、健康保険制度、さらに社会的セーフティーネットへの投資を減らすにつれ格差は著しくなった。拡大する格差は、アメリカの政治制度と民主的な国家統治が蝕まれることで、ますます強化されている。

そしてヨーロッパ諸国は、この悪しき先例をかなり熱心に追いかけているようだ。イギリスからドイツにいたる緊縮財政の信奉が、結果として高い失業率、賃金下落、増大する格差を招いた。今回、再選したドイツ首相のアンゲラ・メルケルや、欧州中央銀行総裁マリオ・ドラギは、ヨーロッパの問題は、福祉への膨張した支出の結果だと論じている。しかしその考え方は、単にヨーロッパに不景気(とさらには大不況)をもたらしただけだった。

底は脱した、つまり「公式には」不況は終わったと言っても、EUの2700万人の失業者にとってそれは慰めにもならない。大西洋の両岸で緊縮財政強硬派が、「断固進め!」と言う。繁栄に必要な苦い薬だというわけだ。しかしそれは一体、誰のための繁栄なのか。

度を超えた金融化という事実は、アメリカに次いで不平等が甚だしいイギリスの危うい現状や、増大する格差の説明に役立つ。多くの国で、弱体な企業統治と衰退する社会的つながりが、CEOと労働者間の報酬の格差をますます拡大させてきた(ILOの推計による)。

アメリカ大企業の500対1のレベルにはまだ達していないにしろ、いまでも、大不況以前よりも格差は大きい(役員への報酬を制限してきた日本は注目すべき例外だ)。経済的なパイを拡大することなく、システム操作で、パイの大きい部分を獲得するレントシーキングというアメリカ生まれのイノベーションが、グローバル化してしまったのだ。

「富の分配か分裂か」という時代へ突入

グローバル化による不均衡は、世界中に被害をもたらした。国境を越え移動する資本は、労働者には賃金の譲歩を、政府には法人税減税を要求した。その結果、どん底への競争、賃金と労働条件が脅かされるようになった。政府から資金援助された、科学技術の巨大な進歩にたよる、アップルのような先端企業もまた、税金逃れに手際の良さを発揮してきた。取ることには熱心だが、お返しはない。

子どもの間での格差と貧困は、あまりにもひどい道徳上の恥だ。貧困が怠惰とお粗末な選択の結果だとする右派の考えを、この事実はあざ笑う。

子どもは親を選べない。アメリカでは4人に1人、スペインやギリシャでは6人に1人、オーストラリア、イギリス、カナダでは10人に1人強の子どもが貧困生活をおくっている。公平な経済の創造をしている国もあるのだから、これは回避できないことではない。たとえば半世紀前の韓国では、10人中1人しか学士になれなかった。しかし現在では世界でもっとも高い学卒率の国の1つである。

以上の理由で、単に持つ者と持たざる者に分裂した世界というだけでなく、それに対処しない国と対処する国に分裂した世界にわれわれは足を踏み入れた、と私は見ている。

いくつかの国は、繁栄を分かち合う社会を創り上げることに成功するだろう。また私は、こういう成功こそが本当に持続可能だと信じている。しかし、一方では格差を荒れ狂うままにする国もあるだろう。こういう分裂した国の富裕層は、ゲーテッド・コミュニティー(※2)に引きこもり、貧困者からは完全に隔離され、その生活はほとんど理解の外だろう。そしてその逆もまた然りだ。

私はこういう方向を選択したように見える地域社会をいくつか訪れてみた。そこは世間から隔離された富裕層の特区であれ、絶望的な貧民地区であれ、われわれが住みたいと思うような場所ではない。

【私の論評】中間層を育成することが、過去の経済成長の基本であったことが忘れ去られている!中間層が育てば、富裕層も貧困層もともに利益をこうむることになる。これは、単なる平等主義とは違う!!

上の記事を徹底的に要約し要点中の要点だけをまとめると、以下のようになります。
1.チリ、メキシコ、ギリシャ、トルコ、ハンガリーは、国によるがきわめて甚だしい所得格差を首尾良く減らし、格差とは政治的産物で、単なるマクロ経済動向によるものではないことを示した。 
2.格差はグローバリゼーション、労働、資本、モノ、サービスの移動、スキルや高学歴の従業員を優遇する、回避できない技術変化の副産物だ、というのは真実ではない。 
3.いくつかの国は、繁栄を分かち合う社会を創り上げることに成功するだろう。また私は、こういう成功こそが本当に持続可能だと信じている。しかし、一方では格差を荒れ狂うままにする国もあるだろう。
まずは、上記の要約1.について解説します。格差とは、マクロ経済動向によるものではなく、政治的産物であることがいくつかの国の事例で明らかになっているということです。多くの識者が、格差とはグローバル経済を含めたマクロ経済動向によるものとしています。要するに、安い賃金の国で生産された物品・サービスが高い国の賃金の国々に流れ込み、いずれ世界は標準化されるのですが、その過渡期では偏りが出ることになり、それが、格差が発生する原因だというのです。そんなのは、嘘っぱちだということは、よく考えれば素人でもわかります。

貧困の原因は、膜経済ではく政治氏テムの不備にある

要約2については、日本ではデフレが続き、国内である程度の価格平準化などが進んでいる面もありますが、それにしても、東京の地価は地方に比較すればまだまだ高いですし、賃金も東京都内は高く、地方では低いです。同じスキルを持つ、同じ事業の労働者であれば、あきらかに東京の方が賃金が高く、地方では低いです。

これは、おそらく統計資料を整えるようになってから同様の変らぬ傾向だと思います。同じ国の中ですら、完璧に平準化はされていません。それは当たり前のことです。需要の供給のバランスからそうなっています。地方で東京と同じ賃金で、労働者を雇うことはありません。東京で、最初は安い賃金で地方の労働力を雇いいれたとして、時間がたつうちに、労働者は賃金の低い職場から賃金の高い職場に移ることになります。そうなれば、地方なみの低賃金で人を雇うことは困難になり賃金をあげざるを得なくなります。

日本という人口は1億2千万という人口の多い(中国、インド、アメリカなどは例外中の例外、これらをのぞけば日本の人口はかなり多いほう。ちなみに、ニュージーランド、などは数百万に過ぎない。イギリス、フランス、ドイツなども数千万にすぎない、ロシアは、1億4千万と、日本より若干多いだけです)ものの、国土面積が狭い国ですら建国から2000年以上たっても、結局完全に平準化されていません。このような事実からみても、いくら対象がグローバルに広がっても、完全に平準化される時代が来るはずがありません。というより、グローバル化したから突然賃金や、物価など完璧に平準化されるなどという考えは、まともな経済学の考え方いえば、異端といっても良い考え方です。でも、その異端の考えが、政治家などの中で、理解されていないところに問題があります。

格差は政治システムの不備により助長されている
要約3.は、全くその通りです。アメリカ、中国、EUの中でも先進国は、格差を荒れ狂うままにする国になる可能性が大きいです、そうして、日本はデフレのため現在格差が目だつようにはなりましたか、それでも日本以外の国よりは格差は少なく、デフレを解消した場合、ふただひ中間層が増えるとともに、中間層により経済活動が増え、繁栄を分かち合う社会を創り上げることに大成功することでしょう。またステグリッツ氏が語るように、日本の大成功こそが本当に持続可能だと考えます。

現在世界は、日本が数十年でなしとげ、欧米が数百年かけてなしとげた、中間層の拡大による経済の拡大を忘れています。過去の先進国のすべてが、この道をたどり、高い経済成長を実現したことを忘れています。さらにその豊かさを維持したことにより、より良い社会を構築できたことをすっかり忘れています。中間層による経済活動による経済成長という事実は、今でも新興国などで繰り返されていることです。例外はありません。

いくら、国が豊かになっても、格差は残ります、一握りの富裕層、一握りの貧困層は残ります。しかし、中間層が多ければ、貧富の差はより縮まります。ステグリッツのいう、格差のない社会を実現するのは、多数の中間層です。私たちが、すでに経験済みのこの原則を理解しないで、

そうして、これに近いことをすでに日本は、実現してきました。そうです、高度成長時代の日本がそうです。奇跡の経済成長率といわれた10%台の成長を毎年実現していました。


当時の日本は、まだまだインフラが整備されていなかったため、この整備をするということでも、随分GDPを引きあげていましたが、今の日本ではかなりインフラが整備されてしまっているので、この時代の成長率のように大きな伸びはないでしょうが、それでも、かなりの経済成長率が期待できます。

そうして、すでに豊になった日本でも、高度成長時代の熱狂が再現されると思います。そうして、日本が、単に経済的に豊になることだけを追求することなく、社会を充実させることに向かえば、日本は、それこそ黄金の国ジパングと昔のヨーロッパ人があこがれたような国を本当に実現することが可能です。そうして、日本は世界のトップランナーになることができます。

そうなればそうなったで、社会問題はいろいろ発生しますが、その社会問題とは、従来のものではなく、次世代の社会問題になり、それを解決するノウハウを日本が身につけたならば、次世代社会のモデルを創設することになり、世界に範を示す存在となることでしょう。

一方で格差を荒れ狂うままにする国には、将来はありません。アメリカも今のまま、中間層を減らすような、政治を続けていれば、いずれ没落します。格差を放置する中国は、今後5年以内に国力がかなり衰え、崩壊の危機にさらされ、今のままであれば、10年以内に必ず分裂します。もう、先がありません。

中国富裕層


だからこそ、私たちは、上記のステグリッツの警告を真摯に受け止める必要があります。そうして、現在残念ながら、来年の4月からの増税を決めてしまった日本は、デフレ解消まで遠回りをすることになりますが、それでも、世界の中をみわたせば、これから先一番見込みがあるのは日本です。なぜなら、景気が悪いといいながら、深刻なデフレに見舞われている国はないからです。そうして、デフレは純然たる貨幣現象であり、必ず克服できます。

しかも、日本とは異なり、ほとんどの国は借金をかかえています。そうして、経済は不況という範囲内を納まっており、デフレという特殊な状況にはないからです。日本の場合は、好景気、不況という景気の循環から逸脱したデフレという状況にあるとはいいながら、政府の借金はあるものの、国は借金どころか、海外に貸し付けてる金の金額が過去20年間1位という事実があるからです。このデフレから脱出できれば、人々が消費を増やすのみにあらず、今まで海外に貸し付けていたお金が、日本に大量に投資されることになり、かなり経済成長が期待できるからです。日本の中間層を活気づけるのは、デフレ解消と、中間層を多数輩出させる、政治システムです。そうして、それは、可能です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年11月11日月曜日

富の7割を7%のエリートが占める韓国経済の異常な構図―【私の論評】反共の砦でもなく、社会・経済的にもとるにたらない存在になり、反日に血道をあげる国家に成り果てた韓国からでさえ学べることはある(゚д゚)!

富の7割を7%のエリートが占める韓国経済の異常な構図

週間プレイボーイ2013/11/11号の表紙 本日掲載の記事の元が掲載されている

中堅財閥が相次いで破綻するなど、韓国経済が非常に厳しい状況に直面している。

10月初旬、韓国の中堅財閥である東洋グループの系列会社5社が事実上、経営破綻した。日本ではあまりなじみのない財閥だが、1950年代後半に設立された東洋セメントを母体に、建設、レジャー、金融と拡大。一時は韓国の十大財閥のひとつにまで数えられたほどで、韓国人なら誰でも知っているメジャーな存在だ。

経済評論家の三橋貴明氏が解説する。

「実は破綻した韓国の中堅財閥は東洋グループだけではなくて、昨年秋に熊津グループの熊津ホールディングス、STXグループのSTXパンオーシャンも破綻しています。それから『打倒サムスン』を掲げていたパンテックという携帯端末メーカーも経営が悪化して、大規模なリストラを開始している。今や大財閥に属する現代(ヒュンダイ)やLGですら好調ではありません。サムスンだけです。サムスンの利益のほとんどはスマートフォンですから、一国の経済の好不調がスマホに影響されてしまう」

その原因とは何か?

「韓国は不動産バブルが崩壊して、不動産価格が下げ止まらない。国民は資産価値が目減りしている不動産の借金返済を迫られ、消費が減っている。そのため物価上昇率も1%を切ってしまった。韓国経済は明らかにデフレに突入しているわけです。つまり、中堅財閥は海外ではウォン高で打撃を受けているし、国内ではデフレにより需要が縮小して苦戦を強いられているのです」(三橋氏)

そんな韓国経済について、「究極的に富の分配がフェアじゃないという大きな問題を抱えている」と指摘するのは、信州大学経済学部の真壁昭夫教授だ。

「このままの状態が続けば、韓国経済は間違いなく大財閥による寡占化が進むことになります。十大財閥が韓国のGDP(国内総生産)の7割以上を占めている。7割の富を十大財閥が独占しているわけです。韓国の経済構造はとても簡単で、大手の一部企業が外貨を稼ぎ、韓国経済を拡大して、7割をひと握りの大財閥が持っていく。残りの3割を大多数の韓国人が分け合っている構図です」(真壁教授)

全国紙『朝鮮日報』によると、十大財閥の雇用割合は国内全体の6.9%にすぎない。つまりGDPの7割を約7%のエリートが独占して、残りの3割を93%の国民で分け合っている計算になる。

真壁教授はこれを、「非常に危険な状態」と評する。このままでは貧富の格差が広がるばかりで、政治不安にまでつながる可能性がある。

(取材/鈴木英介)

■週刊プレイボーイ47号「2014年春、ついに韓国経済崩壊で、出稼ぎ韓国人が大量来日!?」より

【私の論評】反共の砦でもなく、社会・経済的にもとるにたらない存在になり、反日に血道をあげる国家に成り果てた韓国からでさえ学べることはある(゚д゚)!

韓国GDPの77%を10大財閥が占める

もともと韓国の経済はかなり脆弱であることと、異常であることはこのブログても掲載してきました。以下にその記事のURLを掲載します。
韓国の国内銀行、深刻な破綻リスク リーマン・ショック以上の危機―【私の論評】アメリカ、韓国からの刈り取り終了か?韓国もう終わりました!かなり危ない韓国の大手銀行のお寒い実体(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、韓国経済が何も最近急に脆弱になったわけではなく、従来からかなり脆弱であったことを掲載しました。その部分のみ以下に掲載します。
韓国の経済以前から異常であったのが、もうそろそろ断末魔のようです。韓国の経済がアジア金融危機以来異様だったのは、このブログにも掲載したことがあります。
要するに上の韓国のKB国民銀行、新韓銀行、ウリ銀行、ハナ銀行、韓国産業銀行、農協銀行のほとんどにかなりのアメリカ金融機関の金を入れて、何とか銀行の破綻を免れていたということです。要するに、アメリカ金融機関からかなりの借金をしたということです。そうして、驚くことに、以下のような状況になっています。
要するに、IMF管理下で、韓国の銀行はほとんどが外資の傘下に入ったということは、よく知られていますが、その度合いとなると詳しく知る人は少ないでしょう。実は、韓国の主要銀行7行のうち6行が外資比率は50%以上となっているのです。ゴールドマンサックス、ローン・スター、シティグループといった投資ファンドや銀行が大株主としてズラリと並んでいるのです。
また、通貨危機以降、韓国の大手企業は外資系銀行や、外資ファンドの資本の支配の元にあり、毎年莫大な配当金をこれら外国人に貢ぎ続けているというのが実情です。06年12月決算の韓国上場企業204社が支払った配当総額は8兆5000億円。このうち、外国人に払われた配当金は4兆4000億円。つまり、半分以上が韓国人ではなく外国人に支払われています。これでは、まるで、韓国は、アメリカの経済植民地のようではありませんか。
以上のようにもともと、脆弱であった韓国経済ですが、日銀の金融緩和前までは、異常な円高、異常なウォン安で、韓国では自国で部品など開発しなくても、日本から輸入してそれを韓国で組み立てると、韓国で部品を開発したり調達するよりもはるかに安くスマホなどを組み立てることができました。無論スマホ以外の機器もそうでした。これが、サムスンをはじめとする韓国企業の唯一の差別性、優位性でした。

2018年に韓国で開催される予定の冬季オリンピック。開催そのものが疑問視されている。

しかし、今年の4月より、日本は異次元の包括的金融緩和を行ったので、円高状況には終止符が打たれ、円高傾向になりました。そうして、最近ではウォン安状況は続いているものの、さすがに以前のような異常な水準ウォン安ではないため、つい最近までの韓国企業の差別性、優位性は雲散霧消してしまい。現在の韓国企業は弱り目に祟り目で、窮地に追い込まれています。

本来、この窮地を脱するためには、日本が数十年で、西欧諸国が400年くらいかけて実施してきた社会構造改革により、経済的中間層を増やし、多数の中間層が小規模ながらも活発な経済・社会活動を行いそれにより、国全体が富み、豊かな社会を築いてきたという方式を踏襲すべきでした。

かつての韓国はまさに、この道を踏襲して大成功し、漢江の奇跡といわれる大偉業を成し遂げました。ところが、その後韓国は、サムソンのような輸出産業を政府が後押しするなどして方向性を見失い、上記のように富の7割を一部のエリートが占めるというような、本来の中間層を増やすという政策からは程遠い政策に転換し、今日の危機を招いています。

そうして、韓国人の多くが、こうした状況を認識せず、政府は反日活動により、国民の憤怒の刃の先を自らに降りかかることをおそれ、それを逸らして日本に向けることにより何とか体面を保ちつつも、何の解決もせずお茶を濁し続けているだけです。
韓国の異常な反日活動

国民のほうも現実に対峙しようとはせず、反日運動により、憂さを晴らすだけで、何ら建設的な努力もおこらず、何の解決にもなりません。

倉山満氏

このような状況を許してしまう韓国には、歴史認識が全くできていないという根本的欠陥があります。これに関しては、以下の倉山満氏の記事をご覧いただくとご理解いただけるものと思います。
倉山満「韓国人の歴史観はすべてファンタジー」
これも詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下にその抜粋だけコピペさせていただきます。
「『反日』は韓国の国是ですが、戦前、例えば、日韓併合が進んだ昭和19年には、日本の戦勝映画が流れると映画館中が大喜びするほど朝鮮人は親日になっていました。 
あたり前です。一緒に戦争を戦っていたわけですから。そのために、敗戦後に『反日』を出発点に国づくりを行うしかなかったというジレンマがあるのです」 
 韓国人は「反日お国自慢歴史観」で学ぶほど、その矛盾が露呈するという。 
「そもそも抗日闘争を建国の理念とすれば、スターリンが指導していた抗日パルチザンである金日成を英雄視するしかありません。テロリズムを賛美し、北朝鮮という敵国の指導者が自分たちを正統に支配する権利を持っていることになる。一方の韓国初代大統領である李承晩はアメリカで独立運動と称してカンパを集めて遊んでいただけです。連合国に参加したわけでも自力で戦ってソウルを解放したわけでない。何ひとつ英雄らしい行動をとっていないのです」 
 これこそが「韓国が抱える闇の深奥」である、と新刊『嘘だらけの日韓近現代史』でも指摘されています。 
「韓国が反日なのは仕方がありません。そういう人たちだと思って付き合うしかない。しかし、隣国だから仲良くしよう、好きになる努力をしようなんてのも間違い。ASEAN諸国のように、普段は仲が悪くても、中国という共通の敵が現れると『大嫌いなアイツとも手を組まねばならない』と一致できる。韓国が反日である状況を喜ぶ国があることも考えねばなりません」 
 格下の韓国を叩くだけの幼稚なナショナリズムに耽溺せず、中国やアメリカにも毅然と立ち向かう――これぞ、真の国士たるものの態度なのかもしれない。
完璧にファンタジーである韓国の歴史観

韓国は、日本や西欧諸国の先進国などのように、社会変革を行い、経済的中間層を増やし、これらの多数の中間層が経済活動を行うことによって、経済成長をするという道筋を選び一時大成功を収めました。しかし、そこからさらに社会を豊かにするということを忘れ去り、その後社会変革はなおざりにされてしまいました。

そのため、結局実体経済も成長せず、社会的にも不安定な状況に陥り、今日の危機的な状況をまねいてしまいしまた。

そうして、これに対する対策の方向性は明らかであり、それに取り組めば明るい未来がまたみえてくるはずなのに、政府も国民もそのようなことには、目もくれず反日運動に憂き身をやつしています。

反日などすぐにもやめて、本来の対策に打ち込むべきなのに、政府にも国民にもそのような考えははないようです。このままでは、韓国に将来はありません。

そうして、日本は韓国よりは社会が進んでおり、中間層の割合も多いです。しかし、長年に及ぶデフレにより、中間層の割合は減少しつつありますし、そもそも中間層の経済活動が低下し、社会活動も停滞しています。日本の社会経済基盤は強固ですから、いますぐ韓国のようになるということはありませんが、このまま数十年もデフレを放置しておけば、韓国のようになってしまいかねません。

たとえ、日本が現在の韓国のような脆弱な社会経済基盤なったとしても、韓国のような反日などで、他者に責任転嫁することなく、自力で復活しようと努力することになるでしょうが、それにしても、もともと脆弱でも何でもないどちらかといえば、強固な基盤を持つ日本がデフレを放置することにより、中間層の社会・経済活動を停滞させ、経済を落ち込ませ、税収を落ち込ませ、多くの国民が閉塞感にさいなまされるような社会を許容し続ける有様は、とてもじゃないですが、日本だって立場や事象は異なりますが、韓国の愚行をあなどってばかりはいられません。



韓国を他山の石として、日本もすみやかに来年の4月からの増税でめどが立たなくなってしまった、デフレ脱却のための手立てを実行すべきです。いまの韓国は、反共の砦でもなく、社会・経済的にもとるにたらない存在になり、解決しなければならない自国の問題を日本を貶めることによりそらすことにばかり血道をあげるどうしようもない国家に成り果てました。今後まともにお付き合いをすべき国ではありません。しかし、こういう国からも、学べることがあるものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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