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2018年8月1日水曜日

米中貿易戦争、中国に“勝ち目”なし…国際社会「一帯一路、既に失敗」 習近平体制、いよいよ黄信号 ―【私の論評】貿易戦争の過程で、台湾問題で中国に揺さぶりをかける米国(゚д゚)!

米中貿易戦争、中国に“勝ち目”なし…国際社会「一帯一路、既に失敗」 習近平体制、いよいよ黄信号 

高橋洋一 日本の解き方

7月25日新興5カ国(BRICS)首脳会議に
おいて「貿易戦争に勝者なし」と演説した習近平

 米トランプ政権が中国に仕掛けている貿易戦争が習近平政権に打撃を与えている。習政権の肝いりの政策である「一帯一路」や、アジアインフラ投資銀行(AIIB)、「中国製造2025」などはもくろみ通りに進むのか。

 本コラムでも指摘したが、この争いは中国に勝ち目がない。関税引き上げは、自由な資本主義国間では百害あって一利なしだが、対社会主義国では政治的には意味があるためだ。

 そもそもモノの取引の自由化は互いの利益になるが、その前提としてヒトやカネの自由化が必要だ。ところが、社会主義国ではその体制維持のためにヒトとモノの自由化は制限される。となると、モノの自由化は社会主義国のいいとこ取りになることもありうる。中国は実際、自国への投資を制限しつつ、資本主義国への投資を自由に行い、その結果、投資とともに見返りに技術を導入していた。技術面での内外非対称的な対応が経済成長を後押ししてきた。

 ところが、トランプ政権が関税引き上げという思わぬ手を使ったことで、習政権が対応に苦慮しているのが実情だ。

 最近、中国国内でも、習批判が出ているようだ。これは今後の経済成長を疑問視することと同じで、トランプ政権の対中貿易戦争のこれまでの成果と関係なしとはいえない。

 トランプ政権が対中強硬路線を打ち出してきたのは、前のオバマ政権が対中融和的であったのと好対照だ。トランプ大統領は生粋のビジネスマンであり、自由資本主義者である。社会主義的な覇権主義の中国とは基本的な価値観が合わないのだろう。

 米国は貿易戦争を中国だけに猛烈に仕掛けており、欧州連合(EU)や日本には今のところ厳しい対応はない。これは、やはりトランプ流の中国包囲網であろう。

 一方、中国の対外的な覇権主義を象徴するのが、AIIBを通じた一帯一路構想だ。以前に本コラムで、その無謀性や失敗になる可能性を指摘したが、当時のマスコミは「バスに乗り遅れるな」の大合唱だった。

 その後の展開をみると、パキスタンの地下鉄建設などで一帯一路は既に失敗だったと国際社会から評価されている。

 「中国製造2025」は、国内向けの産業政策である。中国製造業の2049年までの発展計画を3段階で表し、その第1段階として「25年までに世界の製造強国入り」することを掲げている。第2段階は、35年に「世界の製造強国陣営の中位に位置させる」。第3段階は、45年には「製造強国のトップになる」というものだ。



 ある程度の工業化がないと、1人あたり国内総生産(GDP)1万ドルの壁を突破するのは難しいというのが、これまでの発展理論であるが、中国は今その壁にぶち当たっている。

 貿易摩擦によって輸出主導経済が崩れると、中国の経済発展に行き詰まりが出て、「中国製造2025」の達成も危うくなる。

 これも、習体制にとっての黄色信号だといえるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】貿易戦争の過程で、台湾問題で中国に揺さぶりをかける米国(゚д゚)!

中国が貿易戦争に勝てる見込みは全くありません。かといって、これで習近平体制がすぐに潰れるかといえば、その可能性は小さいです。

何しろ中国は自由自在に統計改竄できる国なので、実体は苦しく破綻状態になったにしても表には出にくいからです。

旧ソ連は70年間も騙し続けました。中国も同じで破綻と分かるのは実際に体制崩壊した時でしょう。それまではピンピンにみせかけたゾンビ状態を続けることでしょう。

中国のゾンビ「キョンシー」

米ブルームバーグ通信は7月31日、米政権が2000億ドル(約22兆2000億円)相当の中国製品に追加関税を課す制裁について、関税の税率を10%から25%に引き上げる検討をしていると報じました。貿易問題で対立する中国政府への圧力を、制裁強化によって一段と強める狙いがあるといいます。

ブルームバーグは同日、米中両国が対立緩和に向けて協議の再開を模索しているとも伝えました。2000億ドル相当の輸入品を対象とする対中制裁の強化検討は、協議の席に戻るよう中国に迫る狙いがあるとしています。

トランプ米政権は中国の知的財産侵害に対抗するため、計500億ドル相当に25%の追加関税を課す制裁を表明。7月上旬にまず340億ドル分を発動し、今月にも残り160億ドル分を実施する可能性があります。

米政権はさらに2000億ドル相当に10%を課す制裁を準備中でした。同通信によると、税率25%への引き上げは最終決定されていません。

協議再開に向けた動きをめぐっては、ムニューシン米財務長官と中国の劉鶴副首相が非公式な意見交換を継続していますが、具体的な日程や協議の形式は固まっていないといいます。

米中間ですでに貿易戦争が勃発しました、米中間の通商摩擦はもはや言葉遊びをしていられる段階を過ぎています。

さて、今後米中の対立はどうなっていくのでしょうか。今後の展開として、米国が台湾問題で中国に揺さぶりをかける可能性が大いにあります。

2018年7月13日、米国海軍のイージス駆逐艦2隻が先月、台湾海峡を通過しました。米艦の通過は11年ぶりのことです。独立志向の台湾・蔡英文政権への軍事的圧力を強める中国をけん制する狙いとみられ、中国は「受け入れられない」と反発しています。米中間で激しさを増す貿易戦争とも重なり、「台湾海峡も波高し」という状況です。

台湾国防部によると、航行したのはイージス駆逐艦マスティン(排水量9200トン)とベンフォールド(同8900トン)。いずれも米第7艦隊の母港・神奈川県横須賀基地に配備されています。

台湾海峡を通過したとされる米イージス艦「マステイン」

2隻は7日午前、台湾海峡に南から進入して北東へ向かいました。米国側は2隻が海峡を通過する前に通知。台湾軍は規定に基づき周辺海域と上空を統制し、戦闘機と軍艦を派遣して同行監視しました。米国が艦船を台湾海峡に送ったのは公式的には2007年以来。台湾メディアによると、昨年7月に中国海軍の空母「遼寧」が台湾海峡を航行した際にも米艦船が追跡したとの情報がありますが、公表されていません。

台湾総統府の報道官は7日夜、「台湾はかねてから台湾海峡と地域の平和・安定を重視している。台湾は国際社会の責任ある一員として今後も両岸(台湾と中国)の現状維持に努め、アジア太平洋地域の平和と繁栄、発展を確保していきたい」とコメント。外交部の報道官は台湾への軍事圧力を強める中国を念頭に、「絶えず高まる軍事的脅威に対応するため、国防への投資を加速して防衛能力を強化する」としています。

台湾を中国の一部と見なす「一つの中国」原則を認めない蔡政権に対して中国側は最近、台湾周辺で戦闘機や爆撃機の訓練を繰り返すなどの軍事的威嚇を続けています。今回は米艦船の航行を公表することで、米軍が南シナ海で行っている「航行の自由作戦」と同様に、中国に米軍の存在感を改めて誇示した形です。

さらに2隻の台湾海峡通過は、米国が膨大な貿易赤字を理由に中国に対する高関税措置に踏み切るなど、米中間の摩擦がますます高まっている時期とも重複しています。香港メディアは「トランプ政権をタカ派が掌握し、米議会の与野党ともに中国に対して強硬な立場を前に出している」とし、「米国は今後、外交軍事手段を強化し、台湾問題と東シナ海、南シナ海問題への介入を強化するだろう」との見方を示しています。

これに対して、中国側はどう反応・対応するでしょうか。様々な考え方をするでしょうが、どれも外れると思います。

何やら中国は勘違いをしているようです。トランプ政権による対中国貿易戦争の目的は、中国をまともな相手とみなして、中国市場の開放や、人民元の完全な変動相場制への移行などで終了するようなものではないです。

先日もこのブログで指摘したように、典型的なピューリタニズムの原理に基づき行動する典型的な米国の保守層に属するトランプ氏はもともと、中国とは価値観を共有することはできません。

トランプ氏にとっては、ピューリタニズム的な勤勉が報われるような社会にしたいとこですが、それを邪魔するのが、中国なのです。中国による、知的財産権の侵害はもとより、中国の現体制下における米国との貿易は、そもそも米国の勤労者にとって不利益をもたらすものであるというのが、トランプ大統領の考えです。

そんな中国の体制を変更させるか、変更できないというのなら、二度と米国を頂点とする戦後秩序に対する挑戦をできないくらいまでに、中国の経済を弱体化させることです。

習近平や中国の共産党幹部は、米国の保守層に息づくピューリタニズムの原理を全く理解できません。米国の連中も自分たちと五十歩百歩であり、綺麗事のベールを剥げば、結局拝金主義に塗れた連中に違いなく、どこかで気脈を通じることができるに違いないと考えていることでしょう。

実際、クリントン夫妻など、気脈を通じやすい人物が米国にも多数存在することは確かです。しかし、それがすべてでもありませんし、大部分でもありません。米国の人口のおそらく半分は占めるであろう、保守層の中にはピューリタニズムの原理が息づいています。そうして、トランプ大統領はその代表格であります。

習近平がこれを無視して、トランプ氏をただの金持ち爺さんくらいに思うと、とんでもない目にあうこことになります。そうして、実際にとんでもないことになりつつあるのです。

トランプ氏は中国が民主化、政治と経済の分離、法治国家化をある程度すすめるというような大胆な構造改革を行わない限り、次の段階では台湾問題で中国に揺さぶりをかけるのは必至です。

中国は、今後米国に貿易戦争で負け、台湾で負け、東シナ海で負け、尖閣で負け、さらに南シナ海で負け、世界中で負け、数十年後に気がついたときには図体が大きいだけの、国際的には何の影響力もない凡庸なアジアの独裁国家に成り果てていることでしょう。

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2017年11月26日日曜日

中国は絶望的「格差」国家、民衆の怒りが爆発する日―【私の論評】新たな脆弱性を抱えた習近平体制(゚д゚)!

中国は絶望的「格差」国家、民衆の怒りが爆発する日
「中国の特色ある社会主義」は19世紀の帝国主義にそっくり

中国の農村の風景。中国では都市住民と農民の間に圧倒的な格差が存在する(資料写真)

 10月に中国・北京で第19回中国共産党大会が開催された。内外の注目は人事に集中し、話題は汚職摘発の先頭に立った王岐山の去就や、チャイナ7(政治局常務委員)に次の総書記になる可能性がある50代が入るかどうかなどに集中した。

 王岐山はチャイナ7に留まらなかったものの、その他の人事は習近平の思惑通りとなったことから、マスコミは一斉に「習近平への権力集中が進んだ」と報じた。

 習近平は3時間以上にも及ぶ演説の中で2つの指針を示した。1つは「新時代の中国の特色ある社会主義」であり、もう1つは「中華民族の偉大な復興」である。この2つの目標は、その底流において深く関連している。

生まれ落ちた時から格差がある

大手マスコミは全くと言ってよいほど非難しなかったが、習近平が「新時代の中国の特色ある社会主義」と言っているものは、とても歴史の審判に耐えうる代物ではない。まさに噴飯ものである。

 そもそも社会主義は人々の権利の平等と所得分配の公平を謳う思想であろう。根底に平等がなければ社会主義とは言えない。

 中国にはものすごい格差が存在する。共産党幹部と深いつながりを有する一部の富裕層が天文学的な富を蓄えた。そして、それに連なる人々も裕福になった。その子弟は海外に留学するとともに、ショッピングバックを抱えて銀座を闊歩している。

 だが、日本に観光旅行に来て銀座で爆買いできる層は、多く見積もっても13億人の1割程度であろう。だから日本に来る観光客の数が、人口が5000万人の韓国を少し上回る程度でしかないのだ。

 中国には都市住民と農民を峻別する戸籍制度が存在する。この制度は中国がものすごい格差社会になった原因の1つである。現在、都市戸籍の保有者は約4億人であり、農民戸籍は9億人。

 都市戸籍になるか農民戸籍になるかは、「おぎゃー」と生まれ落ちた時に決まる。都市戸籍を持つ親から生まれると都市戸籍、農民戸籍を持つ親から生まれると農民戸籍になる。それは武士と農民を分けていた日本の江戸時代にそっくりだ。21世紀になっても中世さながらの制度が存在する。

 農民戸籍を持つ9億人の中の約3億人が都市に働きに出ている。しかし、都市戸籍を有さないために、子供を都市の学校に通わせることができない。最近は都市郊外に農民工の子供のための学校が作られているが、これはまさにかつて南アフリカで行われていたアパルトヘイト(隔離政策)そのものと言ってよい。

 中国の都市の住宅価格が高騰し、バブル状態を呈していることはよく知られている。普通のサラリーマンが住宅を手に入れようとすると、勢い郊外に目を向けざるを得ない。だが、いくら安いと言っても、農民工が多く住む周辺には住みたくないと言う。それは子供を農民工が通う低いレベルの学校に通わせるわけにはいかないからだ。そのために少々狭くとも中心部に住む。これは中国で不動産バブルが崩壊しない原因の1つになっている。

維持される戸籍制度

中国共産党は戸籍制度が格差の原因になっていることをよく認識している。そのために、胡錦濤政権では「和諧社会」なるスローガンを作って、格差の是正に取り組もうとした。しかし、胡錦濤の政治力では分厚い既得権益の壁を崩すことはできなかった。格差は胡錦濤の10年間で一層拡大した。

 このような状況にあるから、もし習近平が本気で社会主義社会を建設したいのであれば、政権基盤が強くなった第2期目において、「和諧社会」の建設に邁進すべきであった。それこそが共産党の使命なのだ。

 しかし、習近平は格差是正に舵を切らなかった。「新時代の中国の特色ある社会主義」では戸籍制度を維持するつもりのようだ。

 また、現在、中国には不動産に対する固定資産税や相続税が存在しない。このことが都市に住む富裕層に、富を不動産に移して効率的に蓄えることを可能とさせている。固定資産税や相続税をかけることは、戸籍制度の廃止とともに格差是正の切り札になる。しかし、それは都市の富裕層から激しい反撃を受けることになろう。だから、それについての言及もない。

 つまり、「新時代の中国の特色ある社会主義」とは、ものすごい格差を固定し、それを維持する体制を言う。それによって強い中国を作るということだ。

 それは「社会主義」と言うよりも「絶対王政」と言い換えた方がよい。ビスマルクが唱えてもおかしくない「軍国主義」であり、「中華民族の偉大な復興」とは、格差に苦しむ庶民に対して国威を誇示して不満をそらすことを言う。まさに19世紀である。

共産党は民衆の反逆を恐れている

習近平の今度の演説は、中国共産党が都市に住む富裕層の利益を代表する政党であることを明言したものである。

 しかし、いくらきれいな言葉で糊塗しても、虐げられた庶民はその本質を肌感覚で見抜いている。その結果、共産党は民衆の反逆を恐れる政党になりさがってしまった。強権的に市民をコントロールし続けており、治安維持に要する費用が軍事費を上回っている。また、インターネットを通じて共産党批判が広がることが恐れ、それを押さえることに血道を上げている。中国ではビックデータとは、共産党に批判的な者をあぶりだす手法を言う。

 歴史的な視点に立つとき、習近平は第2期目において19世紀の帝国主義路線に舵を切ったと言ってよい。それは、日本の今後に対しても大きな影響を及ぼすことになろう。

【私の論評】新たな脆弱性を抱えた習近平体制(゚д゚)!

中国共産党の第19回党大会が開幕。政治報告をする
習近平総書記=18日午前9時6分、北京の人民大会堂

18日に北京の人民大会堂で開幕した中国共産党第19回党大会で、習近平(シーチンピン)総書記(国家主席)が行った政治報告は3時間半近くに及びました。かつての共産圏の指導者をほうふつとさせる長時間の演説は、「反腐敗闘争」を通じて党内の権力基盤を固めてきた習氏の自信の表れとも言えそうです

「同志のみなさん」。この日、人民大会堂の演壇に立った習氏がそう呼びかけたのは午前9時すぎ。習氏は時折せき込んだり水を飲んだりしたことはあったが、休憩を挟むことなく午後0時半まで話し続けました。

長時間にわたる報告に、壇上に並んだ党代表たちの中には急ぎの報告を受けたりトイレに行ったりするためか、たまらず中座する姿も。習氏の隣の席に座った江沢民元総書記(91)は報告中に大きなあくびをしたり、何度も腕時計に目を落としたりしていました。

習氏の右隣に座った胡錦濤(フーチンタオ)前総書記(74)が2012年の前回大会で報告にかけた時間は、習氏の半分以下の1時間30分余り。胡氏は報告を終えて自席に戻った習氏に自身の腕時計を示して、「長かったよ!」と言わんばかりにアピール。習氏は苦笑いを浮かべていました。

習近平は、今回の党大会で華々しく自らの支配を見せつけましたが、一部の観察者は、習近平が実は背伸びしているのではないかと考えています。

習近平は、第19回党大会という舞台を完全に支配していたし、彼の権力は集団指導体制を崩し、毛沢東や鄧小平のような存在になろうとしている。「習近平思想」は、今や「新時代」の指導原理となったのです。

習近平思想の書籍『習近平氏国政を語る』
習近平政権の最初の五年における反腐敗キャンペーンで、153万の党員が調査を受け、27万8千人が起訴されました。その中には、440人の部、省レベルの幹部、そして43人の中央委員が含まれています。

軍も、1万3千人の幹部がクビにされ、50人を超える将校が汚職によって投獄されました。習近平は、その結果、空席となったポストを埋めています。習近平によって補充された幹部は今や中央委員会の20%を占めます。

習近平は派閥闘争でも優位に立っています。25人の政治局委員のうち、17人が彼の仲間です。政治局常務委員会では、7人のうち、4人が習近平派に属します。そして、ここ数十年で初めて、後継者となる人物が常務委員会に入らなかったのです。このことは、習近平が2期10年の定年制を無視しようとしていることを示しています。

このような急速な権力の強化によって、何が起きるのでしょうか。一部の分析者は、習近平の支配が完全となった結果、それが脆弱性になると論じています。習近平は経済と外交を完全に司るため、いかなる挫折も彼個人が責められることになります。

習近平は、自らに対する反対を懸念しており、最近、ある党内文書が、党の指導、共産党の歴史、中国の伝統文化と国家の英雄に対する批判を禁止したといいます。それはつまり、習近平に対する批判を禁止するのと同義です。

習近平の野望は国内あるいは個人の権力に限りません。彼は党大会で中国が2050年までに技術、金融、安全保障において支配的な「近代化強国」になることを目標としてあげました。5年前、中国が目指していたのは地域強国でした。それが今や習近平は中国が新たなグローバル秩序を作ると言っているのです。

トランプの米国は難しい問題に直面しています。習近平は今やトランプの好意に報いるつもりだし、トランプ訪中を盛り上げ、盛大な歓迎儀式の後には、双方の家族を含めた写真写りの良い会合を開きました。トランプ=習会談の「達成事項」は北朝鮮問題と貿易でした。

トランプ訪中
中国の戦略家は伝統的に、実際の勢力よりも自らを弱く見せることで敵を驚かせるのが賢明であると論じてきました。このやり方は今や君主のように君臨する習近平には不可能です。彼は、表面の派手な強さの内側にある脆弱性を自覚しなければならなくなりました。

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2015年1月17日土曜日

腐敗幹部の自殺が流行 習近平体制22か月で自殺者と不明者7700人―【私の論評】阪神淡路大震災の死者数を上回る、習近平体制の犠牲者数。日本は、このような前近代的国家に関わっているべきではない、最低限の付き合いにとどめるべきと心得よ(゚д゚)!


馬発祥・中将

地面を揺るがすような大きな音とともに、アスファルトの道路に真っ赤な血潮が広がる。北京市中心部から、車で30分ほど走ったところにある中国人民解放軍海軍大院の100号楼(ビル)。中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」によると、倒れた人物は海軍副政治委員の馬発祥・中将。

呉勝利・海軍司令官、劉暁光・海軍政治委員に次ぐ海軍のナンバー3という軍最高幹部の1人。馬氏は15階の執務室の窓から飛び降り、覚悟の自殺だった。軍首脳は直ちに箝口令を敷いたが、馬氏の壮絶な飛び降り自殺は瞬く間に軍内に広がった。ジャーナリストの相馬勝氏が中国の異常事態をレポートする。

* * *
中国海軍では2014年9月から11月までの3か月で、馬氏を含めて3人の将校が自殺しており、極めて異常な事態と言わざるを得ない。3人はいずれも汚職などの腐敗事件に絡んでいるとされ、中央軍事委員会規律検査委員会の取り調べを受けていた。香港メディアなどは「軍内で自殺が流行している」と報じているが、それは軍ばかりでなく、中国共産党・政府幹部にも蔓延しつつある。

筆者は31省・自治区・直轄市における腐敗幹部の自殺や行方不明、海外逃亡の数字を記した内部文書を入手した。習近平指導部発足から2014年9月末までの22カ月間の記録で、自殺者は全体で1252人、行方不明者は6448人、海外逃亡者は8341人。総計1万6041人。自殺者と不明者を合わせると7700人と極めて深刻な数字となる。

習近平国家主席は2012年11月の党総書記就任後初の演説で、汚職などの腐敗撲滅を公約に掲げ、「虎だろうが、蝿だろうが一緒に叩く」と豪語した。その成果を誇示するように、約2年後の2014年12月5日、党中央規律検査委員会は2012年12月4日から2014年10月末までの696日間で、公用車の私的利用や、公金を使った華美な宴会などによる飲食といった職権濫用など8項目の規定に違反した党員・幹部の数字を公表し、摘発件数は6万7737件で、処分されたのは8万9585人に上ったことを明らかにした。1日平均では128人だ。

2014年春の全国人民代表大会(国会)では13年の1年間で、汚職などで立件された公務員は前年比8.4%増の5万1306人だったと発表されており、1日平均では140人が逮捕されたことになる。

【私の論評】阪神淡路大震災の死者数を上回る、習近平体制の犠牲者数。日本は、このような前近代的国家に関わっているべきではない、最低限の付き合いにとどめるべきと心得よ(゚д゚)!

本日は、阪神淡路大震災からまる20年です。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りさせていただきます。あれから、20年もの歳月がたっていることが、信じられません。まだまだ、心の傷が癒えていないかたも大勢いらっしゃると思います。

多くの人々の悲しみがまだ消えていません。

炎上する新長田方面


本日、この被災による死傷者の方々の数など調べてみましたが、以下の通りです。

2015.01.14 16:00

さて、この死傷者数の数をご覧ください、6,434人です。この数と、習近平体制22か月で自殺者と不明者7700人とは、直接比較できるものではありませんが、それにしても、かなり多いことがわかります。

馬発祥氏の自殺については、以前このブログでも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
強まる習政権の「恐怖政治」 胡錦濤派“粛清” 有力者全滅の可能性も―【私の論評】習近平は、権力を掌握できるか否かの正念場!しかし、掌握したとしても対日本政策は変わらないどころかますます悪化する(゚д゚)!
一昨年3月中国人民政治協商会議の開幕式に出席した習近平国家主席(上段右)と令計画氏(下段)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では胡錦濤派にも、粛清の嵐が及んでいることを掲載しました。そうして、以下のように締めくくりました。
失脚相次ぐ中国の現実から、現状では、習近平が権力を掌握できるか否かの正念場であることがわかります。しかし、権力を掌握してもしなくても対日本政策は変わらないどころかますます悪化することでしょう。 
もう年末で、今年も終わりが近いです。2015年の日中関係はどうなるかなど、予め十分予想がつきます。良くなることは、一切ありえません。来年は、「終戦70周年」にあたります。この時にこそ、習政権は「歴史問題」で日本を激しく叩くつもりだからです。
この記事の頃は、まだ自殺・不明者などの総数はわかりませんでしたが、とうとう7000人を超えたということで、それに、馬発祥氏の死に様もこの時点では死亡した事実がわかっただけで、はっきりしていませんでした。

すさまじい権力闘争です。習近平は汚職を理由にこのようなことをしているようですが、汚職といえば、中国では習近平自身も汚職をしていますし、習近平の一派や、近い人々だって、汚職が当たり前なので、汚職などというのは単なる後付の理由で、これは純然たる権力闘争です。

習近平は、権力掌握のためであれば、手段を選ばすということで、権力闘争の標的になった人たちは、捕まって自白などを強要され、自分の家族や親族にまで累が及ぶことを恐れて自殺したのだと思います。

しかし、自殺にまで追い込むとは、日本をはじめとする文明国家では考えられないことです。このように多数の人々が、自殺に追い込まれたり、行方不明になったりするなどということは、まともな国では考えられないことです。

日本をはじめとする文明国においては、権力闘争で失脚したとしても、権力の座からは、降りなくてはならなくなるものの、普通の市民生活はできます。しかし、未開の後進国である中国では、命がけです。

中国と、日本とでは、そもそも人口が異なりますから、単純比較はできません。日本の人口は、中国の人口の約1/10ですから、日本でこのようなことが起こったとして、自殺者不明者が中国の1/10として換算すれば、770名の自殺者・不明者ということになります。

それにしても、日本においてもこれだけの数の人が自殺したり不明ということにでもなれば、日本では大騒ぎになるはずです。

阪神淡路大震災における犠牲者の親族や、関係者の方々の悲しみは、20年たっても癒えていません。中国においては、権力闘争により犠牲になった人たちの親族や関係者の方々の悲しみも長期にわたって癒やされないことでしょう。

ましてや、中国は日本などと異なり、やむを得なければ、死者に鞭打つというお国柄です。

元々「死者に鞭を打つ」は、中国の史記という古典が元で、呉の名将伍子胥が父兄の仇である楚の平王を討ったとき、既に平王が亡くなっていたため墓から死体を引きずり出して鞭打ちし、復讐を果たしたという故事にちなむものです。

そうして、日本とは異なり昔から、大帝国を設立しても長続せず、分裂しまた大帝国を築きさらに、また分裂また、統一という繰り返しです。


中国で行われた集団裁判 女性の中には売春によって死刑になるものもいた

習近平によるこうした苛烈な権力闘争はまるで、中世の出来事のようですが、現代中国における現実です。そうして、習近平政権の犠牲者は、これだけに及びません。チベット、ウイグル、モンゴルなどの侵略地域はもとより、中国各地で様々な理由で多くの人々が虐げられ殺されています。その実数は、一体どの程度になるのか想像の範囲を超えています。

私は、このような国が長続きするはずはないと思います。このような国が、将来米国などと肩を並べるような国になるとも思えません。その前に、分裂すると思います。

このような全近代的な国中国は、これからも、私達日本を含めた、先進国の国々からは理解できない振る舞いをすることと思います。そもそも、大東亜戦争が集結し、アジアから西欧の植民地が消え去った後に、まるで前近代国家のごとく中国は植民地を求めてチベット、モンゴル、ウィグル、満州に侵略を開始しています。

第二次世界大戦から直後までの中国


前近代から抜けだそうとしないというのなら、そのような国という扱いでいくしかありません。

本年は、「戦後70周年」ということもあり、中国はこの期に乗じて、様々ないいがかりをつけたり、恫喝をすることでしょうが、所詮前近代国家です。まともに相手にする必要はありません。

今後は、つきあいは最小限にして、相手にしないのが一番です。これは、韓国問題を解説したときにも掲載したことですが、国際的にはある国が他国にイチャモンをつけて、それに対して他国がそのイチャモンに反論をして、水掛け論になった場合、言い出したほうが負けという不文律があります。

今後、中国が日本に関わることで、歴史を捏造、改竄した場合には、すべて水掛け論にもっていき、国際的には日本の勝利という方向ですすめ、その他は、一切関わらないという姿勢を堅持すべきです。

後は、中国の隣国への干渉を最低限にさせるように、安部総理が進めてきて、もう少しで完成しそうな安全保障のダイヤモンドをより強固にするべきです。

そうして、前近代的中国が、衰退するのを待てば良いのです。中国の崩壊は、すぐには成就しないかもしれませんが、今世紀中には確かだと思います。日本としては、このような前近代国家にかかわっても、何も得るものがないので、上で示したようなやり方で、中国とは今後関わらないという姿勢を堅持すべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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