高橋洋一氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ |
【高橋洋一・株式会社政策工房 代表取締役会長】
上の記事、高橋洋一氏の個人ブログの内容なので、そのまま全文引用しました。
今回の組閣をみたときに、私自身も上の記事で、高橋氏が指摘しているように、増税推進内閣ができあがってしまったと危惧をしていました。
しかし、安部総理としては、増税を見送ることは、上で高橋氏が述べているように、かなり危険な政治的ギャンブルになってしまいます。
はっきりいえば、消費税増税見送りとひきかえに、安倍長期政権を捨てるということになります。
それでは、安部総理の本来の目的も達成どころか、その道程のほんの少しの所で挫折することになります。これでは、先の安倍内閣と同じことになってしまいます。
だからとって、消費税増税をしてしまえば、今度は景気が落ち込み、日本経済はデフレ・スパイラルの泥沼に再度深く落ち込むことになり、今度は国民が離反して、安倍政権の指示率は落ち、党内には安倍おろしの嵐が吹き荒れ、またまた、少し前までのように、安部総理は無論のこと、総理大臣自体がコロコロと短期間で変わりつつける状況に戻ってしまいます。
日本の過去の歴代総理大臣 クリックすると拡大します |
いずれにしても、これでは同じことの繰り返しになってしまいます。
これを回避するための手段として、安部総理は、上記で高橋洋一氏が語っているようにある時点で、金融緩和とかなりの規模の景気対策実行するのだと思います。
要するに、消費税増税は、予定通に実行するものとして、異次元の包括的金融緩和は継続するか、場合によってはさらに拡大し、これと同時にいずれかの時点で、積極財政政策に転じるということです。
増税しながら、積極財政をするなどというのは、まったくもって矛盾した話なのですが、それでも、長期安定政権を維持するためには、現時点では他に方法は見つからないのだと思います。
8%、増税の影響もかなりでてきて、それでも今のところ、政府は想定内としていますが、高橋洋一氏は他の記事でも、これ想定内でもないし、悪天候のせいでもないと指摘しています。
【日本の解き方】消費支出最悪水準の理由は天候不順では説明できない 増税で減少した可処分所得 - ZAKZAK http://t.co/VtARgvO7sS @zakdeskさんから
— 高橋洋一(嘉悦大) (@YoichiTakahashi) 2014, 9月 4
8%増税でもこの有り様ですから、10%増税ともなれば、かなりの悪影響がでます。しかし、これを積極財政で回避しようというか、積極財政で実質上骨抜きか、あるいは、実質的な減税にしてしまうのです。
そうして、過去には、そうした実例もあります。
その事例をあげます。これは、以前にもこのブログに掲載しましたので、その記事のURLを以下に掲載します。
“ネット増税”で景気動向は悪化している―【私の論評】ネット増税ならびにデフレ下での増税は、我が国でも初めてのこと、これを考えれば、景気はかなり悪化することが予想されるが、なぜ今大騒ぎにならないのか(゚д゚)!これも高橋洋一氏の記事を元記事に私が論評したものです。詳細は、このの記事をご覧いただくものとして、要約すると高橋洋一氏は以下のように述べています。
クリックすると拡大します |
消費税増税の効果は、金融政策の緩和効果を相殺し、さらに悪影響を与えている。というのは、97年増税時には、先行減税があり、レベニュー中立(増税と減税が同じ)で行われた。89年消費税創設時には、物品税が廃止され、ネットで減税であった。しかし、今回の増税はネット増税である。これの悪影響がないはずない。89年年の増税のときは、増税はしたものの、物品税を廃止したため、ネット(全体)では、減税でした。97年のときには、先に減税措置があった後で増税したので、実質増税をしなかったのと同じでした。
これと同じように、何らかの措置をして、増税を骨抜きにしてしまうか、実質減税にしてしまうのです。
まさに、ブログ冒頭の記事て、高橋氏が述べたいたように、、安倍政権がフリーハンドを持つようになり、かなりの規模の経済対策ができるようになりますし、実際に実行するのです。
この時点であれば、増税は約束通に実行し、増税のために景気が悪化している、あるいは悪化することことは誰の目にも明らかになるため、安部総理がかなりの規模の経済対策を実行することに異を唱える者は誰もいなくなります。
そんなことをすれば、逆にかなり批判や非難を浴びることになるでしょう。
私としては、ここ数年は、人手不足、資材不足などによる公共工事の供給制約があるため、大規模な所得税減税や、再配分的な大胆な交付金政策を実行すれば、良いと思います。
このようなことを実行することにより、たとえ増税があったにしても、実質的に増税をゼロにするか、あるいは実質的に減税にすることも可能です。
それにしても、安部総理が増税を見送ったにしても、そのまま増税したにしても、いずれにしても、安部総理にとっても、国民にとっても、地獄をみるところでしたが、このようなやり方なら回避できると思います。
それにしても、今回このような回りくどいやり方をしなければならないのは、自民党内には、完璧にデフレ・増税脳におかされた人々が大勢いるということです。
経済に関しては、全く頓珍漢で、自分がデフレ・増税脳におかされているなどとは、全く顧みることもなく、増税が正しいと信じて、増税を推進しようとしています。
これは、民主党政権も同じでした。民主党内には、増税に反対する議員も大勢いました。金子洋一氏などその典型です。以下に金子氏のツイートを掲載します。
内閣改造について、私のコメントが読売新聞朝刊に掲載されました。➡︎『消費税率引き上げで経済が冷え込む現状を容認したような顔ぶれ。予定通り10%へ引き上げるというメッセージではないか』菅、甘利氏そろって留任…内閣改造 http://t.co/Qay1gTlCFM
— 金子洋一・民主党参議院議員(神奈川選出) (@Y_Kaneko) 2014, 9月 3
民主党政権の時代も、金子氏をはじめとして、増税に反対の議員が様々な活動を行っていましたが、結局は、増税法案が通り、今年の4月には増税されてしまいました。それに考えてみれば、そもそも、増税は民主党がいいだしたのではなく、その前から自民党が言い出したものです。民主党政権は、最初は増税に反対していました。にもかかわらず、増税烈士の、谷垣総裁に、あの菅元総理が歩み寄って、増税への道が確定されました。
それに、昨年も安部総理は、結局はデフレ・増税脳の多数派にしてやられて、8%増税をせざるをえませんでした。
菅氏と谷垣氏 |
それだけ、政治家全般のデフレ・増税脳は根深いし多数派なのです。
これは、まるで、1人の健常者が、複数の認知症患者と生活をともにする世帯ようなものです。この場合、1人の健常者が複数の認知症患者に対して、いくら理屈を説いてまわっても、理解しません。かといって、1人健常者が認知症患者を完璧に見放してしまえば、認知症患者は死んでしまいます。世帯は崩壊します。
であれば、回りくどい方法であっても、理屈・理論が通じない認知症患者を納得させつつ、健常者が最終的に正しいと信じる方向にもっていくより方法はありません。いくら、正論を説いて回ったところで、認知症患者には通じません。
今回の安部総理による、党人事・内閣改造の狙いもこれと同じようなものです。
本格的にデフレ・増税脳を患っている人を論理的に説得するのは、難しいです。論理や話し合いでは、どうどう巡りになるだけです。だから、このような回りくどいことをするしか方法がないのです。
このように思っていたところ、本日の夕刊フジに以下のような記事も掲載されたのを発見しました。
谷垣幹事長起用は「対財務省シフト」 再増税見送り布石 “次善の策”も選択肢
意外な自民党幹事長 谷垣氏 |
本当にそうだと良いと思います。いずれにせよ、今度増税してしまえば、一時でも経済がかなり悪化するのは間違いありません。本来であれば、消費税増税など政策的には完璧な間違いです。これを正しいと考える人は、完璧なデフレ・増税脳です。
これとともに、この記事では、上記の高橋洋一氏の説も紹介しており、それを“次善の策”として紹介しています。
それにしても、今回の石破氏の実質上の降格・左遷人事の理由はわかります。昨年を思い返してみると、石破氏は総理が増税に関する表明をするはるか以前から、新聞記者などの質問に答えて「自民党内では増税で決まっている」と発言していました。
これは、はっきり言って裏切り行為です。会社などの営利企業などにおいても、会長・社長などがまだはっきり意思決定を表明していないような事柄について、新聞記者に対して「会社は、こちらの方向に進むということで一致している」などと安易に答えれば、社内で糾弾され人事で弾かれるのはあたり前です。
あの石破氏の不用意な発言に関しては、さすがに安部総理も忸怩たる思いがしたと思います。左遷・降格は当然の処置であったと思いますし、もしそうしなければ、しめしがつかない状況になったでしょう。いずれにせよ、特に今回は、当然の処置だったと思います。
麻生氏に関しても、昨年ははやばやと「増税は国際公約」などと、これも不用意な発言をしていたため、本当は、降格・左遷の対象にも入っていたかもしれませんが、党内の力関係などから免れたものと思います。
昨年は、増税は国際公約と語っていた麻生氏 典型的なデフレ・増税脳? |
しかしながら、安倍政権が長期政権になった場合、自民党の内部でも、上で述べた、10%増税の実質的な骨抜きか、増税の見送りになったとしても、その背景を本当に理解する人々は指導的立場になれるでしょうが、そうでない人はそうはなれないでしょう。また、させてもいけません。
それにしても、最近リフレ派が以前のように、増税の危機についてあまり騒がないので、不思議に思っていたのですが、もう彼らの中では、消費税見送り、もしくは消費税骨抜きは既定路線になっているのかもしれません。どちらに転んでも、経済がかなり落ち込むことはないだろうと見込んでいるのかもしれません。
あまり騒ぎたてると、いくら認知症とはいえ、そのからくりに気づくデフレ・増税脳派も出てくるかもしれず、そうなれば、さらに認知症相手の煩わしいことになるかもしれないと思い、沈黙しているのかもしれません。
もう、増税するしないは、経済論議ではないのです。理屈でも理論でもありません。政局です。それも、経済に関して、正常な感覚を持っている小数の人々と、そうではない多数のデフレ・増税脳の人々との間の闘いなのです。そうして、昨年は、デフレ・増税脳にしてやられましたが、今回はいずれに転んでも、増税反対派に分がありそうです。
来年こそ、デフレ・増税脳は後退し、本格的な景気浮揚がはじまる(゚д゚)! |
それにしても、国民感情としては、せめて10%増税だけは、政策的にはっきり間違いとわかっていて議論の余地もないわけですから、最初から見送っていただきたいものです。
それに、安倍長期政権が実現した暁には、経済に関する認知症とでもいうべきデフレ・増税脳退治をしていただきたいものです。
これをするには、無論デフレ・増税脳を人事的に弾くという手もありますが、それだけではなく、デフレのときには金融緩和と、積極財政を行い、過度のインフレのときには、金融引締めと緊縮財政を行うという、全く疑う余地のないごくあたり前のことを本当に理解できるようにすることも含むべきです。
これを本当に理解できない人は、本来は閣僚はおろか、議員ですら務まるわけもなく、また勤めさせるべきではありません。これは、極あたり前のど真ん中です。
何をするにしても、実体経済がまともでなければ、できるものではありません。今後このようなつまらないことで、日本の経済力を弱らせる必然性はまったくありません。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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