職場に楽しいことがたくさんあったら、きっと仕事にも良い影響があるはずです。これぞまさに楽しい仕事場という例をひとつ、ご紹介します。いつもの「仕事場探訪」の番外編として、ECプラットフォーム提供サービスを行うカナダのShopify社の仕事場をのぞいてみることにしましょう。
【私の論評】オフィスづくりは、組織づくりそのものだ!!オフィス作りだけでは意味がない!!
ささて、素敵で遊び心のあるオフィスなど、最近ては、いろいろなサイトに紹介されるようになってきました。上の記事のshopipyのオフィスもそうした事例の一つです。そうして、上のライフハッカーの記事もそうなのですが、こうしたオフィスの紹介をする際に、なぜオフィスがそのようになっているのか、その背景までは説明しません。これでは、バランスを欠いていると思います。
オフィス作りの根本は、何かといえば、そのものずばり組織づくりの一環です。上記のようなユニークなオフィス作りするには、それなりに企業の組織づくりというものがからんでくるはずです。組織づくりが元にあり、その組織戦略にもとづいて、このようなオフィス作りがされているのです。
オフィス作りだけみて、それがどうのこうのと論評しても、それは、氷山の一角にすぎないわけで、それは全体の10%を示すだけで、氷山の一角の下には、企業独自の組織戦略があるわけで、それが、90%を占めているわけです。そうであれば、10%をみるだけではなく、90%を見る必要性があるわけです。
それに、皆さんも、もうお気づきのはずです。どこかの会社の総務部の人あたりが、このようなオフィスをみて、その場で見えることだけ真似したとしても、会社は何も変わらないと思います。かえって混乱するだけで、良いことは一つもないでしょう。だからこそ、今回は、組織づくりについて述べていきます。そうして、本日は、私の理想とするオフィスの写真んとともに掲載していきます。ただし、これは、理想というよりは、妄想かもしれませんが・・・・・・・・・・(笑)!!
実は、これに近いことはこのブログでも述べたことがあります。それは、8月14日の記事であり、タイトルは以下のようなものでした。
「あえてダラダラすること」があなたの毎日に健康と創造力をもたらす―【私の論評】常に新しいものに目がいくように、組織づくりをしておくことが肝要である!!
詳細は、この記事をみていただものとして、ここでは結局、結論は以下のようなものでした。
成長の基盤は変化します。企業にとっては、自らの強みを発揮できる成長分野を探し出し、もはや成果を期待できない分野から人材を引き揚げ、機会のあるところに移すことが必要なのです。昨日を組織的に切り捨てるとともに、資源を体系的に集中することが、成長のための戦略の基本なのです。
そうして、このようなことを実践するため、デュポンでは、研究者は自分の時間の1/3を、自分の担当の仕事とは、一見、何ら関係ないないことの研究調査に当てなければいけないようになっています。こうして、新しいものに否が応でも目が向けられるように、組織にビルトインされているということです。
こ のようなビルトインインは、デュポンだけではありません。Googleは、勤務時間の20%を自分のプロジェクトに充てるという独自の勤務ルール「20%タイム」を設けていることで知られています。Googleからリリースされている、サービスの50%はここから生まれているとのことで、従業員のモチベーション対策のみならず、実際のビジネスでも有効に機能しています。
3Mでも「勤務時間の15%を自分で選んだプロジェクトに充てる」という制度が導入されています。他の多くの会社でも、こうしたビルトインを行っている会社があります。それにこうしたビルトイン「20%」タイムだけではありません。
あのザッポスにも、独特のビルトインがあります。このザッポスですが、この会社は、靴のeコマースで世界一の企業であり、Amazonでさえ、競争するのをやめて、ザッポスを傘下に収めてしまいました。傘下に収めたといえば、何やら、普通の感覚では、Amazonが勝利したように受け取られがちですが、そうではありません。実際、ザッポスは、Amazonの傘下に収まっても、経営者も変わらず、従業員もひとりもくびにならず、社名変更も何もなく、従来どおりのザッポスとして運営されています。
経営方針もAmazonから指示されるということもなく、従来通り、ザッポスの経営者が実施しています。変わったことといえば、Amazonは、ザッポスに対して、直接投資ができるということだけです。実際、ザッポスの経営者も、従業員もAmazonの傘下に入ったことを敗北ではなく、自分たちの勝利ととらえています。
話を元に戻しますが、このザッポスにも、ビルトインがあります。ザッボスは、eコマースの会社ではありますが、顧客からのクレームや、注文を直接ザッポスのコールセンターで受け付けています。そうして、このコールセンターでは、驚くべきサービスがビルトインされています。それは、お客の注文やクレームを受けたコールセンター要員は、お客様都合により、電話が長引いたとしても、お客様との通話時間に、その制限はないというものです。
実際、あるとき、ザッポスの特集をテレビで放映したさいに、あるザッポスの社員は、お客様との会話でいままで最長は、8時間だったとしています。それに、日々3時間くらい電話をかけてくる顧客は、けっこういるそうです。それも、すべて会社の方針で、制限なしに受け付けるようにしています。
他社でも「20%」ルールやザッボスのようなルールは導入していなくても、導入している事柄がたくさんあります。
あまりに数が多すぎて、全部のビルトインを掲載することは不可能ですから、以下に重要なものだけかいつまんで掲載させていただきます。そうして、以下のビルトインは、ほとんどドラッカーの書籍を参考にしたものですが、私はもはやドラッカーの言葉については、ほとんど記憶しているので、以下で、この言葉は、ドラッカーの書籍のどこに掲載されているものであるというようなことは紹介しません。あらかじめことわっておきます。
貢献と集中と目線を高くさせること
知識があって、理解力があり、懸命に働くだけでは十分ではありません。成果をあげるにはこれらとは違う何かが必要です。仕事において成果を上げるには、特別の才能や適性は必要ありません。いくつかの簡単なことを行なうだけで良いのです。そうして簡単な習慣を身につければ良いのです。そうして、そういった習慣が身についたら、また新しい簡単な習慣を身につけること、この積み重ねを重ねることによってのみ卓越性が生まれてきます。このために重要なのは、以下の三点です。
第一が、常に貢献を考えること、考えさせることです。これは簡単なことのように思えて、実はそうではありません。「業績」という言葉が出てきそうになったら、そのつど「貢献」と言い換えるべきです。業績とは、主に売上、利益の数値です。特に営利企業の場合は、これがなければ、どのような行動も成果とはいえません。この業績をあげるためには、会社に働く者すべてが、何がしかの「貢献」をしなければなりません。貢献のないところに、業績はありえません。たとえば、eコマースであれば、誰かが、ユーザービュー数を上げるために、具体的に行動して貢献することにより、ユーザービュー数が上昇し、それが、業績に結びつきます。
第二が、常に集中することです。これも簡単なことに思えますが、そうではありません。集中するには優先順位を決めなければなりません。どのような仕事にも順番があり優先順位があります。その順番や優先順位は、会社によっても、構成員によっても、幾通りもあり、どれが絶対に正しいなどということはなく、これは、実際に働くものでなければ、その内容を決めることはできません。管理職、経営者ができるのは、これをとりまとめることぐらいです。特に新しい事柄においてはそうです。机の上で、新しいことを思いついても、それを実施するのは、自分一人だけではありません。多くの人がこれを実施しなければ、大きな貢献とはなり得ません。
第三が、目線を高くさせることです。何をどうしようとも、「世のため人のため」という目線の高さがなければ飛躍は無理です。必ず、欲という落とし穴に落ち込みます。売上をあげる、利益を上げるだけの考えでは成功はおぼつきません。誰もが納得でき、誰をも奮い立たさせられるような、理念を掲げなければなりません。これは、主に経営者の仕事です。そうして考えるだけではなく、全従業員に徹底しなければならないものです。ありとあらゆる機会を利用して、徹底するべきものです。
そしてもう一つ。成果を上げるための必須の資質は「真摯たること」です。これなくしては、長期的な成果を望むことは不可能です。
成果を上げる者は、成果を上げる能力を努力して身につけています。彼らは、成果を上げることを習慣にしています。成果を上げるよう努める者は、皆が皆、そうして、成果を上げられるようになっています。
まずは、多くの社員に、「成果をあげることは修得できる。そして修得しなければならない」という信念を植え付ける必要があります。
「何に対して貢献するか、どのような貢献ができるのか」仕事ができる者は自分で考えますし、また、そうさせなければなりません。
特に、貢献という考え方は、当たり前のようにみえて、近代組織の歴史は短く、せいぜい前世紀に現在のすべての組織の原型が出来上がったばかりです。近代組織ができあがる前は、多くの人は、大きな組織に属したこともなく、また組織から貢献を求められることはなく、所定の作業を所定通り実施すれば、それで仕事をしたとみなされました。しかし、知識社会に突入した現代組織においては、それだけではすみません。
それだけで済ましたいなら、アルバイトで十分です。現代の知識労働者は、「自分のできることで、他の人ができないことで、自分がやれば貢献できること」を自分で見出し、自分で実行して、成果をあげるこ とにより、貢献し続けなければならないのです。これは、昔のやり方に慣れた人にとっては、驚天動地の大変化です。民間企業、その中でも、先進的IT企業は、こうした驚天動地の大変化の先兵なのです。
そうして、このようなことに慣れていない人は、かなりプレッシャーを感じると思います。とにかく、会社にただ出てきて、決まった時間を過ごて、決められたことをすれば、仕事になるというわけではないのです。それどころか、どんな格好をしていようと、無駄時間をつかうがつかうまいが、そんなことは全く関係ないのです。考えてもみてください。自分がザッポスのコールセンター要員だったとしたら、顧客との会話が制限されていれば、楽ですが、制限されていなければ、最終的には、どんな顧客にも満足してもらわなければなりません。それも、自分で考えて、自分で貢献しなければならないのです。
であれば、事務所の雰囲気など、なるぺくプレッシャーが生じないようにすることが良いに決まっています。逆にオフィスを自由な雰囲気にすることによって、木っ端役人のように、定時に出社して、自ら創意工夫も何もなく、定められた通り作業をして、定時に退社すれば、それで良いなどということはないということ知らしめているということもできます。だからこそ、Googleや、ザッポスや、冒頭のshopifyのようなオフィスができあがるのです。
多くの革新的な会社が、上記の三点を徹底するために、あるゆる努力をしているのです。この三点は、かなり集約しているので、この中に包括されてしまうもので他にもいろいろあります。たとえば、コミュニケーションの取り方、チームワークの仕方、ITの使い方、その他あげればきりがありません。
そうして、各々の会社が経営者はいうにおよばず、社員も、この三点を実現するために、日々努力しています。そうして、こうしたやりかたは、会社の生い立ち、経営者の考え方、組織文化によっても、会社ごとにかなり異なります。だかこそ、他社の人が、オフィスだけみて、それだけを真似しただけでは、会社は変わらないのです。各々の社員が一見自由きままにしているように見えて、そこには、一定の秩序があるのです。その本質を見抜かない限り、うわべだけ真似したとしても、業績には結びつかないのです。皆さんは、どうお考えになりますか?
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