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2016年3月4日金曜日

【正論】「欲ない、夢ない、やる気ない」……現代日本の最大の危機はこの「3Y」にある 作家・堺屋太一―【私の論評】団塊の世代以上の世代には想像もつかない現代の若者の窮状(゚д゚)!


堺屋太一氏

《「身近な願い」ばかり》

今年2月、奈良県御所市名柄に世界初の郵便庭園が開かれた。

明治初年から昭和までの時代を象徴する郵便切手を大きく拡大、透明な衝立(ついたて)に並べて野外に展示する。これが設けられる「郵便名柄館」の本体は、100年ほど前に開設された木造洋館の旧郵便局を再生した産業遺産である。

郵便名柄館のテープカットをする関係者ら 右から二人目が堺屋太一氏
昨年8月には、ここをあて名として「はがきの名文コンクール」が行われた。テーマは「ひと言の願い」、地元にある一言主神社にちなんだものだ。

これには全国から3万9500余通、5歳から101歳までの人々が応募してくれた。

ところが、応募された「ひと言の願い」はすべて内向き。最も多かったのは「死んだおじいちゃんおばあちゃんに会いたい」の類、次いで「家族の病気を治してください」や「平和な暮らしが続けられますように」である。

そこには将来展望を語り、明日への希望に夢膨らませる類のものはなかった。

「将来はサッカー選手になりたい」とか「宇宙飛行士志望」という少年も、「会社社長の大富豪」や「日本を導く政治家を目指す」という青年もいなかった。

予備審査員40人が探してようやく3通前向きなものが出てきた。「お寺の住職になりたい」という青年と消防士志望の少年、そして「ケーキ屋で近所を喜ばせたい」という少女である。

「はがきの名文コンクール」だけで世の風潮を断じるわけではないが、ここに示された「欲望の低さ」は、あらゆる場面に見られる。

まずは若者の間に広がる物欲の低下だ。20世紀のうちは家族も独身者も「豊かなモノ」に憧れ、衣料を買い込み電気製品をそろえ自動車を買った。中年世帯は分譲住宅を探して展示場を回った。

だが最近は、あえて高級衣料や電気製品をそろえず、必要に応じてレンタルする人々も多い。自動車にしてからが「要るときにレンタルすればよい」という向きも増えている。

1980年代以降に生まれた「ミレニアム(世紀末)世代」は、モノを持つことにステータスを感じないらしい。

《激減した海外への留学生》

第2に、最近の若者には「未来への夢」が乏しい。90年のバブル景気の頃までは、年々経済は成長し、収入は増加した。誰もが「明日は今日よりも豊かだ」と信じて夢を描くことができた。

だが90年以降の日本は経済も人口も頭打ち、よほどの努力と幸運に恵まれない限り、人生を変えるほどの飛躍はない。むしろ予測されるのは意外な転落である。人はみな臆病な心配性になってしまったらしい。

そのせいか、飛躍を夢見て海外に留学をする青少年もめっきり減った。欧米では今や日本からの留学生は「絶滅危惧種」、中国や韓国人の大集団に圧倒されている。

だが何よりの気懸かりは40歳にして一度も結婚を経験していない男性の急増だ。

75年、私は40歳で結婚未経験の男性だったが、当時それはきわめて珍しかった。高校大学の同級生も役所の同期入省者もみな結婚経験者。多くは子持ちである。それだけに結婚を迫る圧力は四方から感じた。
ところが、2015年には40歳の男性の30%以上が結婚未経験者。生涯未婚で終わる男性は20・1%と予想されている。

なぜこれほど40歳男性の未婚が多いのか。その理由が経済的な問題や住宅問題でないのは明らかだ。日本人ははるかに貧しい時代に若くして結婚し、どんどん子を産んでいた。諸外国でも貧しい人々が早期に結婚、若い年頃で出産している。

それがなぜ、最近の日本人に限り40歳になっても結婚しない者が多いのか。

《「3Yない社会」の危機》

この理由は2つ。1つは結婚を強いる社会の機能がなくなったこと、もう1つは若者自身の結婚生活への想像力と決断力が欠如していることだろう。

実際、現在の日本社会の最大の危機は、社会の循環を促す社会構造と若者層の人生想像力の欠如、つまり「やる気なし」である。「欲ない、夢ない、やる気ない」の「3Yない社会」こそ、現代日本の最大の危機である。

16年に入ると、日本をめぐる状況は急に厳しくなった。中国経済の減速と国際原油価格の下落で、経済は混乱し出した。

過激組織「イスラム国」(IS)や北朝鮮の動きも要警戒だ。国内の政治も一見は安定してみえるが、「次」が見えない不安がある。だが、何よりの重大問題は「3Yない」の社会風潮。世の雰囲気である。

今の日本は世界で最も「安心で安全で清潔で正確な国」だ。だがあまりにも安全清潔に徹する規制と厳格な基準の故に、人々の楽しみを奪い、やる気を失わせているのではないか。官僚、教育などの猛省を促したいところである。(さかいや たいち)

【私の論評】団塊の世代以上には想像もつかない現代の若者の窮状(゚д゚)!

何やらこの記事を読んでいると、怒りのようなものが沸々と湧いてきます。堺屋太一氏自身は、上の記事で、最後に「今の日本は世界で最も「安心で安全で清潔で正確な国」だ。だがあまりにも安全清潔に徹する規制と厳格な基準の故に、人々の楽しみを奪い、やる気を失わせているのではないか。官僚、教育などの猛省を促したいところである」と結んでおり、今の風潮を批判する立場でこの記事を書いています。

堺屋太一氏といえば、『団塊の世代』という近未来小説を今から40年ほど前に書かれています。団塊の世代(だんかいのせだい)とは、日本において、第一次ベビーブームが起きた時期に生まれた世代のことをいいます。第二次世界大戦直後の1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)に生まれて、文化的な面や思想的な面で共通している戦後世代のことです。
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第一次ベビーブーム世代とも呼ばれる彼らは、日本経済においては第二次世界大戦後の高度経済成長、バブル景気と失われた20年開始までの時代を共に経験しています。

堺屋太一氏の『団塊の世代』に関して、年齢のギャップによる軋轢などが掲載されていますが、失われた20年に関しては、予測不能だったのか、掲載されていません。確かに、これほど酷い停滞をすることなど当時は、全く予想できなかったのだと思います。

そうして、私はこの予想つかなかった、経済的な大停滞が、今の若者の「欲ない、夢ない、やる気ない」という3Yを生み出しているのではないかと思います。

堺屋太一氏は、40歳男性の未婚が多いことの理由が経済的な問題や住宅問題でないのは明らかだとしています。そうして、「日本人ははるかに貧しい時代に若くして結婚し、どんどん子を産んでいた。諸外国でも貧しい人々が早期に結婚、若い年頃で出産している」としています。

しかしながら、1970年〜1980年あたりには豊かな国と言われていた日本です、その後に日本に生まれた若者にとっては、この状態が貧乏でもなく、豊かでもなく、それが当たり前です。昔の日本が貧乏だったことや、諸外国にはとてつもなく貧乏な人がいることなど、彼らにとっては、人ごとに過ぎす、自分たちと比較して考えることもすらおぼつかないと思います。

それに、人はたとえ貧乏だったにしても、経済が良くなるとか、いずれ自分の給料が上がるとか思えると、将来に希望が持てますが、その見込みがなければ、ある程度豊かであっても、将来に希望はなかなかもてません。

日本もかつては、アメリカや他の先進国と同様に、会社に入って、同じ地位についていたとしても、緩やかなインフレだったので、1、2年では対して変わらないように見えても、20年もたつと、物価はかなりあがり、給料は倍近くなるというのが当たり前でした。経済が緩やかにでも成長していれば、そうなります。

しかし、デフレでは、そのようなことはありません。ジリジリと物価は下がり続けるのですが、給料も下がっていきます。そんな状況では、人々は将来に希望など持てなくなり、防御一辺倒になり、節約に走るのが当たり前です。

諸外国の貧しい人々が、早期に結婚して、若い年頃で出産するのは、当然といえば当然です。彼らの多くはあまりに貧困で、娯楽というなどというものはほとんどなく、唯一セックスだけが手軽な娯楽であり、その結果として、早く結婚して、早く出産ということになります。

発展途上国の子沢山

これと、先進国の若者を単純に比較するのは間違いです。それに、団塊の世代が若い時代には、すでに日本は豊かな国になっていたことを考え合わせると、団塊の世代と現在の若者が置かれている環境の差異に着目する必要があると思います。

そうして、現状の経済の状況をみてみると、昨年10-12月期のGDPはマイナスで、これは明らかに8%増税の悪影響であることは明らかです。消費税増税の影響は一時的であって、増税から1年以上経っても影響があるとは考えられないと考えるむきもありますが、こういう人は、消費税率8%の負担が永続的にかかり続けるという事実を忘れているのだと思います。加えて、わが国の場合、2017年4月から10%への消費税再増税が予定されている。多少所得が増えたとしても、2017年4月に増税が予定されているのだから、家計の財布の紐が緩まないのは当然とも言えます。

このような環境に置かれている、若者が、「欲ない、夢ない、やる気ない」の3Yになるのは、無理もないことだと思います。

そうして、最近の経済状況は確かに悪いのですが、過去を振り返ると現在の状況は過去よりははるかに良いです。日本は、1997年の消費税増税から、デフレに突入し、古今東西に見たことのないほどデフレが続きました。

最近では、ようやっとデフレから脱却しかかっているのですが、それでもデフレの悪影響は色濃く残っています。

ところで、自殺者数と景気は相関が高いことが知られていますが、この数年間の経済状況の改善と、さらに自殺対策にここ数年経費を増加させていく方針を採用していることもあり最近は自殺者数が減っています。類似の事例はホームレス対策にもいえ、ホームレス数は景気要因に関わらず対策費の増加に合わせて減少しています。

自殺者数の減少については、マクロ(景気)とミクロ(自殺対策関連予算の増加スタンス)の両方が功を奏していると考えられます。

自殺対策関連予算の推移はまとまったデータがないので拾い集めてみると

平成19年 247億円 平成20年 144億円 平成21年 136億 平成22年 140億 平成23年 150億 平成24年 326億 平成25年 340億 平成26年 361億 となってます。

以下に、失業率と自殺者数の推移のグラフを掲載しておきます。


日本がデフレに突入した、97年あたりからそれまで、2万台であった自殺者数が、一挙に3万人台になっています。このグラフをみただけでも、経済政策の失敗は自殺者数を増やすということがいえそうです。

さて、ここで、一冊の書籍を紹介させて頂きたいと思います。

経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策


この書籍には、経済政策と死者数と間の相関を調べた内容が記載されています。

さて、日本では、現在アベノミクスの是非が話題になっています。世界中どこでも、不況に陥ると経済政策をどのようにするべきか、議論されます。しかし、結局のところ、どのような政策がいいのでしょう。そして、その決断を、イデオロギーや経済理論だけを頼りに行って、本当に良いのでしょうか。

世界規模の不況に陥ったとき、国ごとに経済政策は異なり、それによって国民の運命も異なる方向に動かされてきました。公衆衛生学者と疫学者である本書の著者は、そのことを利用して政策の優劣を比較しました。つまり、過去の各国の政策選択とその結果のデータを、世界恐慌からソ連崩壊後の不況、アジア通貨危機、そしてサブプライム危機後の大不況まで調査し、比較したのです。

比較の指標は、国民の生死です。政策の違いによって、国の死者数は増えたのか減ったのか、健康状態や平均寿命などがどう変化したかを比較しました。経済政策は、国の借金返済や構造改革、景気刺激など、さまざまな目的で行われますが、そもそも国民に死を強いるようでは元も子もありません。結果はどうだったのでしょうか。

著者らの研究によれば、不況下で危険な「緊縮政策」を選択した影響で増加する死亡数は、まさに驚くべきものです。最も悲惨なのは、ソ連崩壊後のロシアで、1990年代に経済政策の失敗により数百万人の男性が死んだ(主に自殺とアルコール関連の死亡)と考えられるといいます。


アジア通貨危機後にIMFに緊縮財政を強いられたタイでは、感染症対策支出を削らされたせいで、感染症による死亡率が大幅に上昇しました。現在、緊縮財政をとっているギリシャでは、これも対策費の削減によりHIV感染が拡大しているほか、医療費カットで医療制度が崩壊し国民の健康状態はひどく悪化しています。

著者たちは次のように述べています。
民主的な選択は、裏づけのある政策とそうでない政策を見分けることから始まる。特に国民の生死にかかわるようなリスクの高い政策選択においては、判断をイデオロギーや信念に委ねてはいけない。…正しくかつわかりやすいデータや証拠が国民に示されていないなら、予算編成にしても経済政策にしても、国民は政治家に判断を委ねることができない。その意味で、わたしたちはこの本が民主化への第一歩となることを願っている。
私は、本書をきっかけに、政策論争がイデオロギーを離れ、経済理論だけではなく、現実のデータに基づいたものになることを願っています。

この書籍の示すデーターなどからも、日本のデフレ下における増税(緊縮財政)は、やはり自殺者を増やしたものと思います。

そうして、ここにさらにショッキングな若者のデータがあります。


日本の年間自殺者は全体的に減少傾向にあります。’98年以降、14年連続で3万人を超えていたその数は、’12年から3年連続で3万人を割り、警察庁によると’14年は2万5218人でした。その後も2万人台です。

しかし、若年層の自殺は深刻な状況にあると言ってよいです。15~39歳の死亡原因の第1位は自殺でした(男女別では男性15~44歳、女性15~34歳で1位)。

G7で15~34歳の死因の1位が自殺というのは日本だけです(上のグラフ参照)。死亡率はアメリカやフランス、カナダの約2倍、ドイツやイギリスの約3倍、イタリアの約4倍となっています。

私自身は、会社で人事を担当していたこともありますから、その時々の若者と話をする機会も多いです。そうして、ここ数年特に大学生などの若者が置かれている立場が、私達の頃と比較してさえ、ひどい状況にあることが見て取れます。

おそらく、生まれてから一度も景気が良かったことがなく、デフレ・スパイラルの泥沼に沈み込んでいた時代の若者については、団塊の世代以上の人たちには、想像もつかないと思います。まずは、親の収入が従来よりも減っているのは統計上からも明らかですし、まだデフレから脱却していないので、これからあがるということもなかなか期待できないです。

団塊の世代以上の人々の中には、「我々の子ども時代や若い時代は貧乏だった」と語る人もいると思います。しかし、団塊の世代以上の人たちの頃のように、経済が伸びていたり、少なくともデフレでなければ、多くの人々は将来に夢を託すことができます。しかし、デフレであれば、ある程度豊かであったにしても、その豊かさがいつまで続くのか疑心暗鬼になるのか当たり前です。

それが、今の若者を直撃しています。仕送りなども従来から比較すると低くなっていますし、バイトも昔のように恵まれていません。そのせいですか、奨学金という名の実質上の就学ローンがかなりの額になります。大学や、大学院を卒業したとたん数百万の借金という人など珍しくもありません。

そうして、今の若者は、生まれて物心ついてからこのかた、一度もデフレでなかった時代を過ごしたことがありません。こんなことは、おそらく、古今東西はじめてのことではないでしょうか。景気は、循環するのが当たり前なのに、今の若者はもの心ついてから一度も景気の良い時代を経験したことがありません。

「モノを持つことにステータスを感じない」のではなく、そもそも「モノ持つ」余裕がないのです。実際は買えるのかもしれませんが、そうした心の余裕が持てないのです。団塊の世代が若いときや、少なくとも我々が若い時代までの頃には、若者が法外な価格の車を購入するのは珍しいことでもなんでもありませんでした。高い車を購入しても、それを転売して、新しい車に変えたり、そうしていずれ賃金も上がるので、返済することも可能でした。

「未来への夢」が乏しいのではなく、そもそも、「若者を取り囲む社会が未来に乏しくなった」のです。過去の酷いデフレ状況では、日本に10の大きな問題があったとして、何か一つ解決すると、他にしわ寄せが行くだけで、何の解決にもなりませんでした。

もし、デフレから完璧に脱却さえすれば、10の大きな問題のうち6つくらいは自動的に解消されます。そうして、残りの4つも目星はつけられることになります。しかし、過去はデフレだったため、結局八方塞がりでした。こんな社会で若者が「未来への夢」を持てといっても、土台無理です。この理不尽な社会に、防御を固めるだけです。

実際私の知っている、ある若者は、札幌の大学で親から離れて4年間を過ごしたにもかかわらず、一度もすすきの飲みに行ったことがないという、にわかには信じがたいことを語っていました。学生と飲みは、切っても切り離せないものですが、彼は近所の飲み屋に行ったことはあったそうですが、それも稀で、飲むのは、自宅アパートでの家飲みがほとんどだったそうです。

すすきの交差点
そうして、これまた信じられないのですが、車はもちろん持たず、飲みにも行かず、親からはある程度仕送りをしてもらい、学費と生活費はなんとかなっていたのですが、バイトもしていて、なんとそのバイトでの給料を貯金したそうです。そうして、4年間で少なくとも数百万以上の貯蓄をしていたそうです。

彼自身は、比較的裕福な家庭の出身のようですが、まわりの友人などが深刻な状況であれば、自分独りだけ遊んだり、楽しんだりすることもできず、将来には不安もあるということで、こういうことになってしまったのだと思います。

「40歳にして一度も結婚を経験していない男性の急増」これも、なんとなく理解できます。結婚するにしても、ある程度お金がかかります。さらに、最初は共稼ぎできたとしても、子どもができれば、共稼ぎはなかなかできず、男性にある程度稼ぎがないと生活がなりたちません。仮に、成り立つとしても、それがいつまで続くかなど保証の限りではありません。そうなれば、結婚に二の足を踏むのは当然のことです。

それに先ほどの若者のように、車を持たない、飲みにも行かないし、そもそもあまり外出しないということでは、女の子と知り合う機会もないではありませんか。

以上のようなことから、私は堺屋太一氏を含めた、団塊の世代以上の人たちが思っている以上に現在若者がおかれている環境は厳しいものがあると思います。

若者にもっと優しい社会を!

最近このブログては、安倍総理が増税を見送るかもしれないということを掲載しています。8%増税でも酷い結果を招いていまいました、10%増税など予定通りに行われてしまえば、とんでもない結果を招いてしまいます。若者の自殺者がさらに増えてしまうことになるかもしれません。

今一度言います。増税は緊縮財政です。そうして、先ほども述べたように、不況に陥った際に緊縮財政によって死者数が増えていた国々が多数あります。かつての日本もそうでした。

そうして、堺屋太一氏の主張する現代日本の最大の危機はこの若者の「3Y」にあり、これを取り除くためには、緊縮財政ではなく、当面積極財政を行うべきです。

そのためには、10%増税は完全デフレ脱却まで、絶対にしないことと、減税、給付金、公共工事など、積極財政をすべきです。

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2014年9月7日日曜日

未経験の30代「やらみそ女子」が急増中 専門サイトまで登場-【私の論評】今の日本では、デフレが一見関係無いように見える社会現象においてさえ、大きな歪を創りだしてしまっていることに目覚めよ(゚д゚)!

未経験の30代「やらみそ女子」が急増中 専門サイトまで登場
2014.09.07

クロスポートのサイトより。画像はブログ管理人挿入。以下同じ。

 
厚生労働省の調査によると、「30歳の3割が処女」だという。“20歳を過ぎれば処女を捨てるのが当たり前”なんて思い込んでいる人にとっては驚きの数字かもしれないが、当の女性たちはそんな固定観念に縛られず、むしろその縛りから自らを解放して性と向き合っている。

セックスに関するアドバイスを与える「恋人・夫婦仲相談所」の二松まゆみ代表によれば、近年「やらみそ」女性が増えているという。

「かつて男性は20歳を過ぎても処女の女性を『やらはた』(やらずの二十歳)なんて呼んでからかっていましたが、最近は女子会トークで『やらみそ』(やらずの三十路)という言葉が使われています」

二松代表のもとにはそんな「やらみそ」女性からの相談が増えているそうだ。

厚労省が実施する「第14回出生動向基本調査」(2010年)では、未婚の女性で「性経験なし」は20~24歳が40.1%、25~29歳が29.3%、30~34歳が23.8%、35~39歳が25.5%だった。30歳女性の約3割が処女という結果だ。

25~29歳女性の未経験率は、長年下落傾向にあったが、2005年の25.1%を境に上昇に転じた。

「処女増加」を背景に、新たなビジネスも登場した。今年5月に、「処女専門婚活サイト」と銘打った「クロスポート」がオープンし話題を呼んでいる。同サイトの運営担当者が語る。

「処女を妻にしたいという願望を持った男性と、処女であることにコンプレックスを感じて婚活に積極的になれない女性に出会いの場を提供するサイトです」

現在、約200人の処女が同サイトに登録し、男性会員は約550人を数える。

「女性会員は20代半ばが一番多く、次いで30代。処女かどうかはあくまで自己申告ですが、男性会員の期待はとても大きいと感じています」(同前)

※週刊ポスト2014年9月12日号

【私の論評】今の日本では、デフレが一見関係無いように見える社会現象においてさえ、大きな歪を創りだしてしまっていることに目覚めよ(゚д゚)!

「やらみそ女子」については、前から気になっていました。「やらみそ」とは、30歳台の独女ということになると思います。

未婚ということから、いわゆる、生殖、子どもをつくるためのセックスではなくて、婚外セックス、レジャーとしてのセックスをしない女性ということになると思います。

独女通信というサイトでもいわゆる「やらみそ」が話題となっていました。その記事を以下に引用します。
30代独女に処女が増えているってホント?
「30代独女にジワジワと処女が増えている」 
こんな噂が都市伝説のごとく巷で語られている。本当にそうなのか。口裂け女以来、都市伝説には一家言ある私は、さっそく取材を進めることにした。30代独女は私も同じ。でも恥ずかしながら、それなりに出会いもあった。別に美人じゃないけれど、フツーに暮らしていれば、たまにはぶつかる男だってある。30歳を超えて処女でいるっていうのは、けっこう大変なように思えるが、最近は違うのか? 
コラムニストの清水ちなみさんが監修した『大独身』(扶桑社刊)には、数多くの独女についてのアンケートがまとめられている。“30歳以上の独身女性の4人に1人は処女である”も、その中の一部。根本的な出会いがなかったから? キッカケがつかめなかったから? それとも男に根性がなかったから? 
どういう経緯で処女のままなのか、これからの可能性はあるのか、興味津々の私は、実際にインタビューをしてみることにした。でも、内容が内容だけに、いくら紹介とはいえ、なかなか聞きづらい。それでもなんとか30代、独身、処女の3大条件の揃った女性、ユカリさんにたどりつくことができた。 
色白でおとなしそうなユカリさん(32歳)は、エレガントな雰囲気をまとった、なかなか素敵な人だった。金融関係の会社に勤め、10年になるというが、こんな素敵な女性に声をかける男性はいなかったのだろうか? 
「残念ながら、恋愛経験は一度もありません。いいなあ、と思う人はいましたけど、告白しませんでした。どうしても、というほど追い詰められた気持ちにはなりませんでしたし、遠くから見ているだけでも充分に素敵な経験ですから」 
わからない。目の前においしそうなものがあると、手を伸ばさずにはいられない私にとって、「遠くから見てるだけ」というのは、なんとも理解に苦しむ。 
「別にひとりでいることが苦にならないんです。特に恋人が必要かと思うと、そうでもないし。お友達でも独身の人はたくさんいます。だから、今はこのままでいいんじゃないか……と」 
ますますわからないぞ。自分が嫁き遅れているとか、負け犬だのと、焦ることはないのか? 
「さあ……。たぶんないんでしょうね。結婚した友人達もいるけど、必ずしも優雅でリッチには見えないし、彼女たちをうらやましいと思ったことは、一度もありません」 
よーし、じゃ勇気を出して聞くぞ。ひとり寝が寂しいとか、男に抱かれたいとか、考えたことはないのか?「さあ……。そこまでストレートには……。でも手を握ったり、肩を抱かれて歩きながら、突然キスされたり、なんてシチュエーションには憧れます」と、頬を微かに赤らめて話すユカリさん。でも、中学生じゃあるまいし、聞いてるこっちも別の意味で恥ずかしいぞ。 
ユカリさんをインタビューして感じたことは、決して受け身の女性ではない、ということだ。実家がある、仕事を持っている、焦りを感じさせない環境など、さまざまな条件が揃っているからだろうが、彼女にとっての「独身・処女」は、決して偶然ではなく、選んだ結果、そうなっているということ。一方で、気持ちではいつも出会いを求めているのに、ずるずると今日まで来てしまった、という女性もいる。それが、ヒデヨさん31歳だ。

「高校、短大と女子ばっかりで男性と知り合うチャンスは皆無でした。短大卒業後は叔母がやっているお花屋さんを手伝っていたので、やっぱり男性と知り合う機会がなくて、とうとう30歳を過ぎてしまいました。この先どうなるかはわかりませんが、35歳ぐらいまでには何とかしたいなって思います。焦ってもしょうがないですけどね。こればっかりは運命ですから」 
もうひとりの独女、38歳のシステムエンジニア、マリエさんも、出会いがなかったタイプだ。 
「私はすごく引っ込み思案で、男の人から声を掛けられたらつい逃げてしまうんです。女性の魅力にも自信がないし、このまま死ぬまで処女かもしれませんね」
今は恋人を持ちたいということに、熱意や夢がなくなったというマリエさん。30代前半は、恋人がいない状況がツラかったが、36歳を過ぎてから急に気が楽になってしまったそうだ。それはいったいなぜ? 強く異性を求めていた人が、そのうちに平気になっちゃうなんてことってあるんだろうか? 
「男性と違って女性の場合は、長い間性生活がないと、やがてそれに慣れてしまう傾向があるんです。それは独身女性も、結婚している女性も同じです」と語るのは、心身症の専門医、東洋英和女子大学大学院教授、河野友信医師。結婚している女性でも、夫との性生活がない人は少なくないという。だが、女性の場合は、なぜか性生活がなくても平気になってしまうことがあるというのだ。 
「男性の場合、まずそういうことはありません。でも、女性はそのままの環境に安住してしまうんです。ホルモンなどの生理的なメカニズムも関係していると思いますが、性に興味を失ってしまった、ということで悩んでいる女性も、たまにいらっしゃいます」と河野先生。 
独女を長く続けていると、異性への興味も失ってしまう可能性もある? なんだかそれも怖い。いや、そんなことはないか。独女にとっては、ありがたい身体のメカニズムなのかも。変な男に振り回されるくらいなら、ユカリさんのように泰然と、ひとり悠々自適で暮らす。それも悪くはないかもしれない。(取材・LADYWEB.ORG) 
■ライブドアニュースの人気連載「独女通信」
http://news.livedoor.com/category/vender/90/
これも、独女の30歳以上の女子で、「やらみそ女子」が増えていることを掲載しています。どうやら「やらみそ女子」の増加は、単なる憶測ではないようです。

これは、結局婚外セックス、レジャーとしてのセックスの経験ということを言っているのですが、このブログでも以前、「セックス」と限定はしなかったのですが、いわゆる若者の「経験」について取り上げたことがあります。

その記事のURLを以下に掲載します。
若い頃は経験すべき?それとも貯金すべき?-【私の論評】ちょっと待ってくれ、貯金と経験がトレード・オフの関係になってしまったのはデフレのせいではないかい?若者はデフレ脳から脱却しもっと政治・経済に関心をもて、選挙に行け(゚д゚)!
いつも奇抜なファッションでファンを魅了するレディー・ガガ。すごくない?
普通ならとてもできないが、若ければできる。それが若さの特権だったはず。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、あまりにも長い間デフレが続いてしまったため、本来若者にとって「経験」と「貯金」はトレード・オフの関係にはなかったものが、そうなってしまっている厳しい現実について掲載しました。

そうして、以下のような結論を掲載しました。
十五年以上も、デフレが続いている国など世界広しといえども、日本しかありません。この状況は打破しなければなりません。 
であれば、若者も政治・経済に興味と関心を持ち、選挙にも行って、デフレ脳で完璧に腐った頭の政治家に票は入れずまともな政治家に投票すべきです。そのためにも、ある程度勉強しなければならないと思います。 
そうして、様々な経験が積めるような世の中にして、楽しいことも、大変なことも経験すべきです。それか、次世代を進歩させます。貯金と経験がトレードオフになる世の中は、進歩しません。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思いますか?
私は、この記事を書いているときに、「経験」と「貯金」の間には、現在は残念ながら、トレードオフになっていることは間違いないのですが、「経験」の中にセックスまで含めるのはどうかと思いながら書きましたので、敢えて「セックス」のことは掲載しませんでした。

巷では、リフレ派は何でも「デフレ」のせいにするという人もいますが、しかし、ブログ冒頭の記事や独女通信の記事をみていて、やはり「経験」の中に「セックス」を含めても良いのではないかと思いました。

というのは、若者が貯金や倹約に優先順位を置いて生活をした場合、やはり、行動範囲が狭まり、男女が出会う頻度もかなり低くなり、それが、「やらみそ女子」を増やしていると推測できるからです。

そうして、これは無論最近では、草食派といわれる男性も含まれると思います。

というより、男性の多くが、将来に対する希望がみえなくなったので、結婚や、結婚前のつきあいも、それどころか、婚外セックス、レジャーとしてのセックスなどにもなかなか踏み切れなくなっているのだと思います。

小数の例外をのぞいて、セックスは男女間でなりたつものです。男性がこの有り様では、女性も「やらみそ女子」が増えるのも当然のことだと思います。

デフレがあまりにも長い間続いてしまったので、「やらみそ女子」が増え、当然出生率も減るという状況になっているのだと思います。

それにしても、現在65歳以上のいわゆる団塊の世代の人は、このような見方はしていないようです。私は、この世代に接することも多いのですが、特に親しくなった人の本音などを聴いていると、ほとんどの人が、「現代の未婚の若い女性には、処女はほとんどいない」と無邪気に信じ込んでいるようです。

これは、やはり、デフレでない環境で長い間生活してきたということが大きく影響しているように思えます。

それにしても、ブログ冒頭の記事でも、独女通信においても、「やらみそ女子」が増える背景として、デフレのことには全く触れていません。

独女通信に掲載されていた写真、セクシーなランジェリーの是非について。

デフレは、不景気ではありません。好景気と、不景気は、通常の景気循環において、交互に現れる正常な社会現象です。景気が良ければ、いずれは悪くなり、悪くなったとしてもいつまでも悪いということはなく、いずれまた好景気に戻るというのが通常です。

普通は、20年も生きていれば、好景気と、不景気を両方を少なくとも一回づつくらいは経験します。もしかすると、二回以上も経験します。にもかかわらず、日本ではもう完璧に15年以上、デフレ気味になってからは、20年にもなります。

これは、全く異常もデフレというのは、全く異常です。デフレになるならないのは、単なる貨幣の流通上の問題であって、国際競争力とか成長戦略などとはあまり関係がありません。単なる中央銀行の金融政策の不味さの問題です。

しかし、デフレがあまり長い間継続してしまったため、特に若い世代は、デフレしか経験したことがないので、デフレは全く変えられないもの、所与のものとして物事を考える傾向がみられるようになています。

ブログ冒頭の記事と、独女通信もそうです。それに、雇用問題を考えるときにも、そのような傾向が多く見られます。しかし、現実には、雇用問題と中央銀行(日本の場合は日本銀行)の金融政策には密接な関係があり、実際日本以外の国では、雇用が悪化すると真っ先に非難されるのが、中央銀行の金融政策です。

私は、「やらみそ女子」が増えるという現象は、無論全部がそうだとは言いませんが、やはり、かなりの部分はデフレに関係していると思います。

それは、自殺者数でも同じことがいえます。日本では、1998年から、それまでは自殺者数が二万人台だったのが、三万人台になっています。最近では、景気が少し良くなったためか、また二万人台にもどってはいます。これは、現在の日銀の岩田副総裁を含む、多くの経済学者らが指摘するところです。



「やらみそ女子」に関しては残念ながら、実証することはなかなか出来ないですが、過去と比較すると現在のほうが、「やらみそ女子」が増えていることや、今後もしデフレから脱却する事ができた場合明確な数値をもって実証することが可能になのではないかと思っています。

いずれにしても、デフレは、社会に様々な歪をもたらすことだけは確かです。実体経済が良くなければ、社会に大きな歪が出るのは、あたり前のことです。デフレから脱却しない限り、こうしたデフレによる社会の歪は是正されません。

たとえ、何かを是正したとしても、他の別な悪い社会現象を発生させ、新たな歪を生み出し、結局のところモグラたたきになるだけです。

上の、2つの「やらみそ女子」の記事には、デフレに関する記載がまったくありません。これは、いわゆるデフレ脳というものに、おかされている査証だと思います。

私は、政治家のみならず、もっともっと多くの人々がデフレ脳から脱却しない限り、なかなかデフレは、克服できないと思います。だからこそ、日銀がデフレ・円高政策を続けても、デフレ脱却の世論は盛り上がらず、過去20年もの間、デフレであり続けたのだと思います。

今後は、そんなことで、いつまでたってデフレから脱却できなければ、ますます社会に様々な歪が発生していくだけです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年1月16日木曜日

「失望」だけではない米国の靖国参拝への反応―【私の論評】荒れる成人式は報道しても、米国の安倍靖国参拝に関する「失望」以外の反応を報道しない、日本のメディアはやはり反日だ(゚д゚)!




安倍晋三首相の靖国神社参拝に対する米国の反応を報告しよう。先週は中韓以外のアジアの反応を紹介したが、今回は米国での反応のうち、これまた日本の大手メディアが報じない部分に光を当てる。

周知のようにオバマ政権はこの参拝に対し日本の米国大使館の声明として「失望」を表明した。

様々な面で異例の声明だった。まず声明の発信者の名前も肩書きもない。駐日大使でも大使館報道官でもないのだ。その後、ワシントンの国務省報道官も大使館声明を繰り返す形で「失望」を表明した。

何よりも異例だったのは、米国政府が日本の首相の靖国参拝について、大使館レベルにせよネガティブな公式声明を出すのはかつてなかった点である。

ブッシュ前政権は当時の小泉純一郎首相が毎年靖国を参拝し、中韓両国が絶叫のように非難を浴びせ続けても、びくとも動かなかった。ブッシュ政権の高官たちは、むしろ日本が中国の威圧に屈しないことを望むとさえもらしていた。ところが今回は、大使館が本国の本省よりも先に、安倍首相の靖国参拝に対するコメントを出したのである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
JPpress

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】荒れる成人式は報道しても、米国の安倍靖国参拝に関する「失望」以外の反応を報道しない、日本のメディアはやはり反日だ(゚д゚)!

米国では、安部総理の靖国参拝に反対するグループが安倍たたきを展開しました。その代表的なものが、ワシントンで民主党系のジャーナリスト、クリス・ネルソン氏が発信するアジア関連専門のオンライン・ニュースレター「ネルソン・レポート」でした。



ネルソン・レポートでは安倍首相の参拝の直後からその行為を非難する意見や投稿が次々に紹介されました。その一方で、ネルソンレポートには、これらに反論するケビン・メア氏の意見も掲載されました。これら一連の動きを説明したのが、上の記事です。詳細は、是非この記事をご覧になってください。

ケビン・メア氏

以下上のブログ冒頭の記事の中に含まれる、ケビン・メア氏(ネルソン・レポート」のケビン・メア氏の発言を引用します。ケビン・メア氏は、アメリカ合衆国の弁護士、外交官。学位は法務博士号(Juris Doctor)。ジョージア大学法科大学院・1981年卒。NMVコンサルティング上級顧問 在日本大使館政治軍事部部長、在沖縄総領事、国務省東アジア・太平洋局日本部部長などを歴任しました。
 「(この場に安倍非難のコメントを寄せた)ほとんどの人たちは安倍首相自身が参拝について説明した声明を読んでいないようだ。この人たちは安倍首相が靖国神社と同時に鎮霊社をも参拝し、『戦争で亡くなられ、靖国神社に合祀されない国内、および諸外国の人々の霊をも悼んだ』ことを無視している。安倍首相はこの声明でさらに『日本は二度と戦争を起こしてはならない。私は過去への痛切な反省の上に立って、そう考えています』と述べているのだ」 
 「この場(ネルソン・レポート)の論評者たちが完全に無視した、もう1つの極めて重要なポイントは、安倍首相が『ある人たちは、私の靖国参拝が戦犯を崇拝するためだと批判しますが、私が安倍政権の発足した今日この日に参拝したのは、政権1年の歩みと、二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことのない時代を創るとの決意を英霊にお伝えするためです』と述べていることだ」 
 「この点はなぜ(この場の議論で)伝えられないのか。たぶん批判者たちにとっては、安倍氏を右翼の軍国主義者だとする決めつけにこの言明は合致しないからだろう。戦争で命を亡くしたすべての人に祈る。過去を反省する。不戦の誓いを新たにする。この種の特徴は極右の軍国主義者ではない。だから批判者たちはその安倍氏の言明を無視するのだろう」 
 「(安倍首相の参拝への)反対論のほとんどは、『米側のわれわれが参拝するなと告げていたのに、安倍首相が参拝した』ために怒ってしまった、ということのようだ。自分たちの命令に服従しない行動だからけしからんというのだろう。しかしこれはなんと傲慢な態度だろう。傲慢というのは、もちろんワシントンで安倍参拝に憤慨したり失望したと言う人たちの態度を指す」 
 「もちろん靖国神社の境内にある施設が、日本の戦争を客観的に見る立場からすれば不当だと言える面もある。特に遊就館の戦史展示が示す認識は、外部の観察者たちにとっては不快なだけでなく、滑稽ですらある。日本は第2次世界大戦では敗北した以外には間違ったことは何もしていないというふうに映る。だが、すべての戦死者の霊を悼み、不戦を誓い、戦争を反省するための靖国参拝が、遊就館の歴史観を自動的に受け入れているととらえるべきではない」 
 「この参拝を憤慨する人たちへの私の提言は『もう忘れなさい』ということだ。この参拝は日本が挑発的とか軍国主義的になることを意味しない。安倍首相が第2次大戦やその以前の時代の歴史を修正しようとしているわけでもない。日本がアジアで緊張を高めているわけでもないのだ」 
 「アジアの本当の緊張は、東シナ海や南シナ海での中国の軍事拡張や覇権的意図を伴った挑発によって起きているのだ。常軌を逸した国である北朝鮮の軍事挑発も緊張の高まりの原因だ。北朝鮮はまもなく弾道ミサイルに核弾頭を搭載する能力を獲得するだろう」 
 「米側の私たちが焦点を合わせて把握すべきなのは、神社への単なる参拝ではなく、安倍首相が就任からこの1年間に実際に成し遂げたことである。安倍首相は米国の歴代政権が長年の間、期待してきたことを現実に達成しつつある。日本の防衛費を増額し、平和と安全の維持に重要な役割を果たす日米安全保障条約における米国側の負担を減らしている。安倍首相のリーダーシップの下で、日本はアジア地域の脅威に対してこれまでよりも現実的な認識を抱き、その認識に沿った対応を実際に始めたのである」 
 「もちろん中国は日本が防衛面でより堅固になることは好まない。なぜなら、より強い日本は東シナ海と南シナ海の全域を制覇しようという中国の野望の妨げとなるからだ。尖閣諸島近くでは、武装艦艇を動員して日本側を威嚇しているのは中国なのである。最近とくに新たな防空識別圏(ADIZ)を一方的に宣言し、東シナ海の広大な空域をコントロールしようとしているのも中国である。安倍首相の靖国参拝で失敗した部分があるとすれば、それは中国のヒステリー増大に弾薬を与え、中国側の手中に陥りかねなくなったことだろう。このヒステリーというのは、『日本が軍国主義化して、アジア地域での緊張を高めている』という叫びであり、残念ながらワシントンの安倍批判者たちもそれに同調しているのだ」 
 「日本が再び軍国主義になっている? 真面目に事実を見てみよう。日本政府が最近、発表した中期防衛計画が洩れなく実行され、防衛費の5年連続増加がなされたとしても、日本の5年後の防衛予算は単に2002年の水準へと戻るだけなのだ。それはここ11年間も日本の防衛費は削減されてきたからである。安倍首相は好ましいことに、その流れを今年の予算で逆行させたのだ。 
 だが安倍首相は日本を軍事的、挑発的な国家にしようとしているわけではない。歴史を修正しようとするわけでもない。安倍首相は、祖先を尊敬し、同時に過去の過ちを認め、反省を表明する正常な国家への方向へと、日本を動かしているだけなのだ。中国についてはそんな方向性を見出すことはできない。だからこそ、もう靖国参拝は放念し、アジアでの米国の真の利害について考えようではないか」
日本のメディアでは、安部総理の参拝に関して、アメリカ側の、「失望した」という意見のみ報道されていて、このような報道はほとんどなされていません。これは、著しく公平に欠けると思います。安倍総理靖国参拝に対する反対意見に対する米国側の反対意見には以下ようなものもあります。
【正論】米国は中韓にこそ「失望」すべし
この記事は、産経新聞のもので、著者は、ヴァンダービルト大学 日米研究協力センター所長 ジェームス・E・アワー氏です。詳細は、この記事をごらんいただくものとして、結びの部分のみ以下にコピペさせていだきます。

ジェームス・E・アワー氏
 米国政府は安倍首相に失望の念を表すべきだろうか。米国は独立国としてそうする権利がある。しかし、慎重に考察すれば、1952年から2014年までの平和愛好国としての日本の実績を認めたがらない姿勢を示す韓国に、そして、とりわけ中国の声明や行動に対して、最低でも同等の(言わせてもらえれば、もっと大きな)失望感が向けられる必要がある、ということが見えてくる。 
 そして、米国が東京に失望感を表明するのであれば、米国の指導者たちには少なくとも安倍首相の試みを高く評価してもらいたい。首相は、腰が引けて時に非現実的である日本の反戦平和主義を、もっと積極的な形に変えようとしている。それは、米国が60年以上にわたって日本に採用するよう奨励してきたことでもある
この意見は、まさに正論だと思います。それにしても、日本のメディアは、米国側の靖国参拝に関する反対意見ばかり報道して、それ以外の報道はしません。このような、記事を掲載したのは産経新聞くらいなもので、他のメディアは報道していません。

最近大手メディアが報道したものとしては、あいかわらず、荒れる成人式など報道しています。これに対して、三原じゅん子参議院議員はご自身のブログで苦言を呈していました。
「私もやんちゃな時期あったけど」三原じゅん子、"荒れる成人式"報道に苦言
参議院議員 三原じゅん子さん


このブログ記事、現在ご本人の判断によるためか、削除されています。余計な波風をたてて、炎上しても困るというような判断をされたためかもしれませんが、言われていたことは全く当たり前のことで、多くの人がそう思っていると思います。

三原議員は、「成人の日」の1月9日、自身のブログに「新成人、飲酒で暴れ、、、、、」と題した文章を投稿。内容では読売新聞で報じられた「荒れる成人式」の記事が引用されておりそれに対して以下の様な感想を記しています。
いつの頃からだろう。(中略)毎年、そんな(荒れる成人式の)報道ばかりの成人の日になったのは。私もやんちゃな時期もあったけど、式典で暴れるのとは意味が違う。
もしかしたら、こういうことを大騒ぎして報道することが、彼らの何かを刺激しているのではないだろうか。 
彼ら(暴れる新成人)が『馬鹿らしい』『恥ずかしい』と思えるようになるにはどうすべきかを考えねば。その一歩として、マスコミもあまり騒がないことを提案したい。
これは、多くの人が思っていることだと思います。私も、そう思います。三原さんも単純にそう思っただけと思います。



しかし、これは、見せたくないものを隠蔽してしまうということでもあり、実際、政治であれぱ典型的な思想統制の手法でもあります。おそらく、三原さんは、こう指摘されることをおそれて、この記事に内容を削除したのだと思います。

でも、現実は、多元的なもであり、いくつもある報道ネタから、ほんのいくつかが選択され、メディア上にメディア・イベントとして展開されているということも事実です。

成人式式典にもさまざまな出来事があり、現実にはその中から「ディズニーランド成人式」、「時節もの成人式」、「荒れる成人式」が任意に選択され報道されているということです。全国各地の成人式式典をすべからく、しかも参加者個々人にすべてまで報道するなどということは、最初から全く不可能なことです。

だから、選択するのは当然のことです。ただし、選択の仕方が問題です。ここ10年くらいは、荒れる成人式の報道が当たり前のようになってしまいました。しかし、考えてみれば、一体いかほどの人が成人式で荒れているというのでしょうか?実際に、すべての成人式が荒れているわけではないと思います。また、荒れた成人式であっても、その中で実際に荒れた成人の数は圧倒的に少ないと思います。

函館市の今年の成人式 何も問題はなかった

これが、確実に10%程度の人が確実に、荒れる側というのであれば、見方は変わってきます。そうなれば、何かが確実に変わりつつあるということで、これは報道しなければならず、報道しなければ隠蔽しているということにもなりかねません。

しかし、現在の荒れる成人式報道は、犬が人に噛み付いてもニュースにはならないが、人が犬に噛み付いたらニュースになるという部類であり、小数の馬鹿者を報道をしているだけです。小数の馬鹿は珍しいだけで、社会に何の影響も与えません。であれば、荒れる成人式に関して、あるメディアが全く報道しなかったとしても、そのメディアが報道統制をしているとか、事実を隠蔽しているということにはならないです。だから、三原さんのよいうに、一切報道しなければ、荒れる成人式を演出する馬鹿者はいなくなるか、いても世の中には存在しないことになります。

このように考えると、報道しなくても良い「荒れる成人式」を報道しても、安部総理靖国参拝に対するアメリカの反応のうち、反対意見ぱかり報道するマスコミは、異常です。

マスコミの異常ぶりは、今に始まったことではありませんが、安部総理を巡ってはそのようなことが多く散見されます。

まずは、このブログでも指摘したように、安部総理の安全保障のダイヤモンド構想が、ほとんど報道されないこと。これとは、反対に、増税反対派の意見はほとんど報道せず、増税があたかも既成路線であるかのような執拗な報道。特定秘密保護法案に関する反対勢力があたかも大多数であるかのような執拗な報道、安部総理の積極的な外遊に対する消極的な報道など、原発即廃炉、多数派報道など、あげれは枚挙に暇がありません。

こんなことを考えると、やはりマスコミは未だに反日的であると言わざるをえません。考えてみれば、荒れる成人式の報道も、大多数のまともな若者も含めて、若者一般に他の世代が不信感抱くようにを植え付ける試みなのかもしれません。

中国では、2010年あたりから、年平均8万件以上もの暴動がおこります。このようなことは、日本ではありません。しかし、荒れる成人式などを派手に報道すれば、日本もあたかも荒れているように、印象操作をできるではありませんか。今の若者だって、昔の若者だってさしたる違いありません。

いせん、戦争中の若者に対する評判などを掲載した文章をたまたまみたことがあります。それには、「今の若いものはなっていない」との評がでていて、今も昔も変わらないのだと苦笑いしてしまいました。こんなことをいうと、今から5000年も前のメソポタミアの碑文にですら、同じことが刻まれていたそうです。

そもそも、若者を批判するということは、その前の世代が育て方を間違えたということを言っているに過ぎません。私自身は、現在の若者が特に変だとか、おかしいなどと思ったことはありません。何か変わって見えたとしても、それは所詮時代背景などによるものと思っています。そんなことを言うなら、鳩山、菅などの一部の団塊の世代のほうがよほどイカれていると思います。



成人式の報道、日本におけるアメリカの反応などをみていれば、マスコミの報道姿勢に関しては、やはりいつも疑念を持って接することが肝要だと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年7月11日木曜日

人民日報「日本の少子化対策は見当違い、若者の仕事問題改善せよ」 「悔しいが正論」「ぐぬぬ」とネットで話題―【私の論評】人間の頭のねじれを象徴する人民日報記事と気になる日本の野党党首らの頭のねじれ具合?

人民日報「日本の少子化対策は見当違い、「若者の仕事問題改善せよ」 「悔しいが正論」「ぐぬぬ」とネットで話題




   中国共産党機関紙・人民日報日本語版は2013年7月8日付の社説で、「日本はなぜ『少子化』に頭を悩ますのか?」という見出しの記事を掲載した。日本の少子化は将来の労働力供給に影響を与え、経済発展のブレーキとなるだけでなく、高齢化問題をも深刻化させ、医療費・福利厚生などの社会保障システムの負担を重くさせる。その結果として、国際競争力を低下させるという。

   政府が2013年6月25日閣議決定した、2013年度版「少子化社会対策白書」によると、日本の女性が第1子を出産した平均年齢は30.1歳となり、初めて30歳を超えるなど「晩婚化」と「晩産化」が同時に進んでいる。また、若者の経済状況の悪化が結婚や出産を望まない原因となっている。日本が最近発表した人口統計・予測資料によると、5月1日の時点で、全国の15歳未満の「子ども人口」は1649万人で、総人口に占める割合は12.9%ととなり、これまでで最低の数字を記録した。

   この問題について記事では、政府は少子化担当大臣を特別に設置したほか、「産後ケア」を強調し、実施されていた児童手当の支給額増加、妊婦の産休期間の延長、養育費の補助金の増加などの対策もおこなったが、これらの対策でも日本はいまだに少子化の流れをとどめられていないと指摘する。

   そして、

「根本的な要因はケア不足なのではなく、経済的な問題である」
と断じた。

   さらに、日本では子どもを大学までやるのにすべて国公立だったとしても、合計で2985万円かかる―こんなAIU生命の2005年の調査結果を引き合いに出した上で、内閣府の調査で、子供を出産、子供を養育するには経済的負担が大きすぎ、費用を捻出できないとする答えは全体の39%を占めていることをあげて、

「このため、現在の若い男女の立場にたって若者の仕事問題を改善しなければ、若者は当然、順調に結婚や出産などできないだろ」
と案じている。

くだらないので、特に最後まで読む必要はないとは思いますが、この記事の続きはこちらから!!

【私の論評】人間の頭のねじれを象徴する人民日報記事と気になる日本の野党党首らの頭のねじれ具合?

人民日報の記事、なにやら私は、人間の頭のねじれを象徴しているような気がします。そもそも、中国の社会構造は遅れていて、日本を批判できるような状況ではありません。

まず、中国は一人っ子政策により、高齢者社会にまっしぐらの状況にあります。これについては、このブログにも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
中国、60歳以上が2億人突破へ 総人口の14・8%:―【私の論評】社会の変革を後回しにしたつけが効いてきた中国、習近平はラストエンペラーになる!!【2】
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事で用いたグラフと、一部記事の内容をコピペさせていただきます。
中国の人口は60歳以上が、2億人を突破することが確実になってきました。中国の老齢化に関しては、このブログにも過去に何回か掲載してきました。日本の場合は、社会がある程度高度化してから、老齢化したので、老齢化は確かに大変なのですが、さらならる生産性の向上などにより何とか出来る見込みはあります。それに、随分前に調べたのですが、65歳の高齢者のうち、介護が必要な人は5%ということで、これは思いのほか少ないです。 
・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・ 
しかし、中国の60歳台の場合は、日本の団塊の世代とはかなり異なります。若い頃は、日本の団塊の世代などとは異なり、大部分の人が、食事にも窮したような、貧乏な時代を過ごしています。経済的にある程度良くなったのは、中年を過ぎてからなので、考え方、ライフスタイルも今の若い世代とは相当異なります。また、パソコンなども特殊な人を除きつかつたことのない人が大多数です。 
このようなことから、日本の60歳台は、知識労働にも馴染んだ人が多いですが、中国ではそうではありません。ほとんどの人が、肉体労働で収入を得た人たちが多く、知識労働などに従事できる人はほんの一握りです。 
それに、中国が高齢化で不安なのは、日本のように社会保障がほとんどないことです。生活に窮したとしても、生活保護などあるわけでもなく、医療費も高額ですし、日本人と比較すると、かなり利己的な社会となっていますから、かなり深刻です。日本も決して良い環境とはいえませんが、中国に比較すれば、老人にとっては、別天地です。
少子高齢化、生産人口の減少により、最早中国は世界の工場ではなくなりつつあります。こんな状況では、若者はさぞ重宝されていると思いきや実体はその逆です。

そもそも、中国では統計がはっきりしないので、何ともいえないですが、中国の現在の新卒の半分は就職できいない状況にあります。これについて、中国の別のメディアが以下のように伝えています。
中国も「就職氷河期」日本はどのように雇用を確保? 
 中国は今まさに「最も就職が難しい時」を迎えている。大学卒業生を中心とする若年層が、雇用市場で厳しい寒さに直面している。目を世界に転じれば、「経済を発展させ、雇用を増加させる」ことが各国政府の永遠の課題だ。だが世界がなお経済危機からの復興の途上にある中、先進国でも発展途上国でも、若者の間でまるで伝染病のように失業が蔓延している。各種のデータを総合的にみると、15歳から24歳の若年層の失業者数は約3億人に上り、米国の人口にほぼ匹敵することがわかる。「銭江晩報」が伝えた。 
 だがすべての国が失業率の高止まりに苦しんでいるわけではない。欧州では多くの国が就職難に苦しむが、ドイツの就職率は高く、特に若年層の就職状況は他国とは異なり好調だ。ドイツの若者は軽々と職を得ることができるが、隣国の若者はどんなに願っても仕事に就くことができない。日本の就職率は93.6%と高く、日本がどのように若者の雇用を確保しているかが気になるところだ。
この記事も、ブログの冒頭の記事と同様に、最近のものです。なにやら人民日報とは随分異なる論調です。詳細は、上の記事をご覧いただくものとして「銭江晩報」は、日本の高い就職率を「政府や日本の経済団体は専門のネットワークプラットフォームを構築し、小規模企業となかなか就職できない学生とをつなぐ架け橋を無償で提供しており、同プラットフォームに登録した学生は最短2週間で内定通知を受け取れる可能性があるという」と掲載し評価しています。

そうして、私は、この見方も一部正しいところは、ありますが、今年に入ってからの日本の就職率の改善は、アベノミクスの異次元の金融緩和に対する期待と、4月からは、実際に緩和を始めているということにつきると考えています。

このことについては、以前のブログにも掲載したので、その記事のURLを以下に掲載します。
【日本の解き方】雇用問題が論争されない悲劇 改善に重要な金融政策―【私の論評】雇用問題と金融政策は全く無関係だと思い込んでいるのは先進国では日本人だけ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、若者の雇用を含む雇用全般と金融政策とには密接な関係があることを掲載しました。以下に、この記事で用いたグラフと、一部内容を抜粋させていただきます。
米国では、金融政策は雇用政策とほぼ同義である。というのは、短期的には失業率とインフレ率の間に逆相関関係(フィリップス曲線)があり、「犠牲率」という概念が広く共有されている。犠牲率とは、インフレ率を低下させるためにはどの程度の失業率の上昇になるかということだ。この概念を用いることで、これ以上下げられない失業率より現実の失業率が高ければ、インフレ率を少し高めて失業率を低下させるという政策を実施できる。
この曲線をご覧いただければ、消費者物資があがる、要するにインフレになれば、失業率が下がっていくことを示しています。要するに、インフレになれば、雇用率があがっていくということです。これは、無論国によって、相関係数などは異なりますが、どこの国にもあてはまります。無論、日本だってあたはまります。 
こんな、当たり前のことが、日本では、全く理解されていません。皆さんの中には、日銀と雇用とのが関するなど全く結びつかない人もいると思います。しかし日本だけが、他国で通用している、マクロ金融や、経済いの法則くが成り立たないということはありません。日本でも成り立ちます。
現在日本では、異次元金融緩和を実施している真っ最中です。異次元金融緩和は、若者雇用すなわち、ブログ冒頭の人民日報の記事でいうところの、「若者の仕事問題改善」そのもの直結しています。アベノミクスの狙いは、株価上昇ではありません、これは単なる副産物であり、本命ではありません。

本命は、あくまでデフレからの脱却です。デフレからの脱却の目的は、景気を良くすること、景気が良いとは若者をはじめとする雇用状況を良くするということです。賃金を上昇させるということです。賃金は、今のところ全体があがっているという状況ではありませんが、雇用面では間違いなく手応えがあります。

このようなことを考えていくと、ブログ冒頭の人民日報の記事の内容は、日本は、「経済的な問題」を行なっていないとしています。これは、頭がねじれた人が掲載しているとしか思えません。人民日報は、中国共産党の機関紙ですから、中国共産党の頭がねじれているということでしょうか?

そもそも、何のための記事なのでしょう。中国共産党はこの記事で何をいいたいのでしょうか。やはり、日本政府のやり方を批判することにより、就職率が異常に低い中国の若者たちの憤怒のマグマをそらすという意味でもあるのでしょうか?それにしても、あまりに、中途半端で、おかしいです。これは、中国共産党自体が危機にあるという査証なのかもしれません。

そうして、その危機のなかには、皮肉にも、日本の「若者の仕事改善」を実施するための日銀の金融緩和も含まれています。どういうことかといえば、これはこのブログでも以前紹介しているので、その記事のURLを掲載します。
これが実力だぁ 中国・韓国 経済が大失速アベクロ相場でニッポン圧勝―【私の論評】白川によって中国と韓国の大富豪に大奉仕させらてきた日本人!!もう二度とあんなバカ真似はさせまじ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中韓は、日銀の長期にわたる金融引締め政策による、デフレ・円高構造にかなり恩恵を受けてきたことは間違いありません。結果として、日本の若者も含む雇用情勢を悪くしつつ、中韓の雇用状況が良くなるように貢献してきたことになります。その政策が打ち切られため、中国は6月の段階で国内経済が大混乱しています。7月危機説まで、囁かれている状況です。

こんなことを考えあわせると、冒頭記事は、日本政府が従来のように、雇用問題一つとってみても、金融緩和などの本質的なことを実施せず、関係のないことを実施して、たとえば菅政権の雇用対策のように無意味なことをして、にそれで対策をしたつもりなるような愚かな政府に逆戻りしてもらいたいという淡い思いの表明なのかもしれません。

いずれにしても、冒頭の記事は、頭がねじれているとしか思えません。このようなねじれは、日本でも散見されます。

このねじれに関して、高橋洋一氏が指摘しています。以下にその記事のURLを掲載します。
労働者の党が金融政策批判の不可解 自由貿易否定で経済成長は困難
アベノミクスに対して野党の意見は二極化している。第1の矢である金融政策について、共産党の志位和夫委員長は「アベノミクスは国民の所得を奪う『毒矢』ばかりだ。アベコベミクスだ」とし、生活の党の小沢一郎代表は「物価高によって、国民の生活は苦しくなっている」、社民党の福島瑞穂党首は「物価は上がっても給与は下がっている」、みどりの風の谷岡郁子代表は「資本主義の社会では、お金は低いところから高いところに流れがち」といずれも批判的な立場だ。 
 これに対し、日本維新の会とみんなの党は第1の矢に賛成で、さらに公約で日銀の目的や責任を明確化するため「日銀法改正」にまで言及している。 
 労働者の立場に立つべき政党が、金融政策に反対するというのは世界中を見ても日本だけだろう。欧州の社会主義政党が、雇用の確保のために金融政策を活用すべきと主張するのは、歴史的にみても当然である。というのも、インフレ率と失業率の逆相関を示す「フィリップス曲線」が示すように、金融緩和は失業率の低下をもたらし、労働者のためになるからだ。 
 ちなみに、今のアベノミクスの金融緩和によって、2年後の失業率は3%半ばまで低下すると同時に、マイルドインフレになるので、賃金上昇率はインフレ率2%を超えて3%程度まで高まるだろう。小泉政権時代の例を挙げて、賃金が上昇しないと主張する野党もいるが、デフレ脱却をしていなかった時なので反論になっていない。
欧州の社会主義政党が、雇用の確保のために金融政策を活用すべきと主張しているにもかかわらず、金融緩和に反対する、共産党、生活の党、社民党、それから高橋洋一氏は指摘していませでしたが、民主党の海江田代表も含めての党首たちの頭はねじれているとしか思えません。これらの、党首たちの発言は、まるで、このブログの冒頭の記事の人民日報のような頭のねじれ具合だと思います。

私たちは、人民日報や、日本の政治家の頭のねじれ具合を見過ごすわけにはいきません。はっきり認識して、これらに流されるべきではありません。落ち着いて考えて、冒頭の人民日報の記事に対するネットでの「悔しいが正論」「ぐぬぬ」などという反応をすべきではありません。私は、そう思います。皆さんは、どう思いますか?

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2013年2月27日水曜日

中国、60歳以上が2億人突破へ 総人口の14・8%:―【私の論評】社会の変革を後回しにしたつけが効いてきた中国、習近平はラストエンペラーになる!!【2】

中国、60歳以上が2億人突破へ 総人口の14・8%:

北京日報号外

27日付の中国紙、北京日報によると、政府系シンクタンクの中国社会科学院は、中国の60歳以上の高齢者人口が今年中に2億200万人に達し、総人口に占める割合は14・8%になるとの予測を発表した。今年版の「中国老齢事業発展報告」で明らかにした。

・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

報告によると、中国の2012年の高齢者人口は1億9400万人で、総人口に占める割合は14・3%。80歳以上は毎年約100万人増加しており、今年中に2200万人に。生活習慣病を患う高齢者は今年1億人を突破するとの見通しを示した。また、子どもがいない高齢者の家庭は昨年で少なくとも100万世帯に上った。

【私の論評】社会の変革を後回しにしたつけが効いてきた中国、習近平はラストエンペラーになる!!<2>

中国の人口は60歳以上が、2億人を突破することが確実になってきました。中国の老齢化に関しては、このブログにも過去に何回か掲載してきました。日本の場合は、社会がある程度高度化してから、老齢化したので、老齢化は確かに大変なのですが、さらならる生産性の向上などにより何とか出来る見込みはあります。それに、随分前に調べたのですが、65歳の高齢者のうち、介護が必要な人は5%ということで、これは思いのほか少ないです。

それに、中国の60歳台と、日本など先進国の60歳台とには根本的な違いがあります。日本の60歳台で現在最も人口が多いのは、いわゆる団塊の世代と呼ばれる人たちです。

団塊の世代とは、日本において、第一次ベビーブームが起きた時期に生まれた世代、または第二次世界大戦直後に生まれた文化的思想的に共通している世代のことです。第一次ベビーブーム世代とも呼ばれます。第二次世界大戦後の日本の歩み特に経済成長を共にしており、またその突出した人口構成ゆえに良くも悪くも日本社会のありように多大な影響を及ぼしている世代です。

人口論による厳密な定義としては、第一次ベビーブーム時代の1947年から1949年までの3年間に出生した世代を指します。この世代の年間出生数は250万人を超え、3年間の合計は約806万人にのぼります(厚生労働省の統計)。人口面からの分類法であり、堺屋太一によるノジュールの訳語による語源の由来と密接に関係しています。

この層の人たちは、それ以前の人々から比較すると、ライフスタイルもものの考え方も現代人にかなり近く、若いころに、はじめてヤングと呼ばれた世代でもあります。高度経済成長とともに歩み、それまでの日本人から比較すれば、かなり豊かになった時代に育っています。現役時代には、パソコンなども使う時代にあたっており、その意味でも現代の若い世代ともライフ・スタイルも考え方にもあまり違いはなく、相互理解もしやすいです。

iPadを使う日本の高齢者

しかし、中国の60歳台の場合は、日本の団塊の世代とはかなり異なります。若い頃は、日本の団塊の世代などとは異なり、大部分の人が、食事にも窮したような、貧乏な時代を過ごしています。経済的にある程度良くなったのは、中年を過ぎてからなので、考え方、ライフスタイルも今の若い世代とは相当異なります。また、パソコンなども特殊な人を除きつかつたことのない人が大多数です。

このようなことから、日本の60歳台は、知識労働にも馴染んだ人が多いですが、中国ではそうではありません。ほとんどの人が、肉体労働で収入を得た人たちが多く、知識労働などに従事できる人はほんの一握りです。

それに、中国が高齢化で不安なのは、日本のように社会保障がほとんどないことです。生活に窮したとしても、生活保護などあるわけでもなく、医療費も高額ですし、日本人と比較すると、かなり利己的な社会となっていますから、かなり深刻です。日本も決して良い環境とはいえませんが、中国に比較すれば、老人にとっては、別天地です。

にもかかわらず、中国では経済発展のみを優先して、こうした高齢化への対策を怠ってきました。これから、高齢化が進展するにつれて、日本では考えられないほどの社会不安がおこるのは必定です。

そうして、中国では、このような問題に対して対処する気は毛頭ないようです。このような問題を放置しておけば、経済もうまくはいかなくなります。とにかく、貧富の差が大きすぎることを放置しておいて、官僚と一部の企業家だけが、私服を肥やしますます社会不安をつのらせる一方です。

中国は最早若者の国ではない。急速に高齢化が進んでいる。

こうした、高齢化にともない中国では中国独自の特殊事情で最近さらに深刻な問題がおこっています。

中国では、大事に育てた一人っ子に先立たれた家庭(中国語で「失独家庭」)が増え続けており、近い将来に1000万世帯を超える見通しだというのです。夫婦のほとんどは50歳を超えており、失意の中で過ごすという精神面の問題だけでなく、これらの老齢家族の面倒を今後、誰が見るかという新たな問題が浮上しています。これらの人々が、さらに高齢化すれば、中国の高齢化問題はよりいっそう深刻なものになります。

中国が一人っ子政策に踏み切ったのは1979年でした。前年末に天津のある女性労働者(女児1人を持つ)が「もう男の子は欲しがりません」と宣言。これをきっかけに一人っ子政策が国策となり、1980年には「晩婚」「晩生」などを盛り込んだ婚姻法も成立しました。

中国の老夫婦

それから30年余り、多少の緩和策は取られたものの、都市部ではいまだに厳しい一人っ子政策が継続されています。総人口を抑制するにはやむを得ない政策ではあったことも事実ですが、半面でいくつかの重要な問題も引き起こしてきました。

最大の問題は中絶の増加などにより、男女比が極端にアンバランスになってしまったことです。そのほか、戸籍のない子供が多く生まれたり、一人っ子を甘やかした結果、社会常識の欠落した協調性のない人間が増えたりするなどの問題点も指摘されています。

そこに新たに一人っ子に先立たれた家庭の問題が登場してきたわけです。当局によると、こうした家庭は毎年7万6000世帯ずつ増え続けており、近い将来には1000万を超えるといいます。夫婦ともに健在ならば、一人っ子に先立たれた人は2000万人以上になるのです。

高齢化や、人口構成の歪さ、それに経済でバブルが弾けた中国、当面経済発展だけで、なんとか社会を維持させるということにも限界があります。

ラスト・エンペラー習近平

さて、このままでは、中国はまったなしです。このまま社会を放置しておけば、いずれ内乱が起こり、中国共産党中央政府の明日はないでしょう。社会変革をすれば、中国共産党中央政府が、そのまま存続することはなく、まったく別物になるしかありません。そうして、習近平は、時間稼ぎのために、これからも、人民の目をそらすため、反日政策を更に強化せざるをえません。日本側がどうしようにも、中国のこの体制が変わらない限り、日中間系は悪化する一方です。いずれにせよ、10年以内に結論を出さざるをえない状況に中国共産党中央政府が追い込まれていることは間違いありません。そう思うのは、私だけでしょうか? 皆さんは、どう思われますか?

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2012年6月18日月曜日

東大自治会が全学連脱退 「共産党、不当支配」 - MSN産経ニュース―【私の論評】誠に慶賀に堪えない、素晴らしきこと哉!!

東大自治会が全学連脱退 「共産党、不当支配」 - MSN産経ニュース:


戦後の学生運動の象徴だった全学連(全日本学生自治会総連合)に所属する東京大学教養学部学生自治会が、全学連と都学連(東京都学生自治会連合)から脱退することを代議員大会で決定した。同自治会は理由について「日本共産党による全学連と都学連を通じた不当な支配から脱却するため」としている。同自治会は全学連の中核的存在。関係者は「全学連にとって存続に関わる問題で共産党勢力の凋落(ちょうらく)を裏付ける動き」と指摘している。 全学連は現在、5つの党派が独自に名乗っているが、同自治会が所属していたのは最大組織とされる共産・・・・・・・・・・・・

この記事の続きはは、以下のURLをご覧ください。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120617/edc12061722550001-n1.htm

【私の論評】誠に慶賀に堪えない、素晴らしきこと哉!!

この流れ、当然といえば、当然であり、未だに東京大学の自治会が、共産党の傘下にあったこと自体が驚きです。もう、学生運動など絶えて久しく、その系譜である、組織が生きながらえていること自体が不思議です。だから、本日のタイトルは、旧文語調にしてみました(笑)。



同じ内容の別の記事が、Yahooにも掲載されており、それに関しては、詳細は、以下のサイトをご覧ください。

東大自治会が全学連脱退 元信奉者・中国人学生主導

以下に要約のみ掲載させていただきます。

かつての東大学生運動の中心的存在だった教養学部学生自治会が全学連から脱退した。運動が下火になった後も40年以上続いた「共産党支配」に終止符を打ったのは、皮肉にも党に心酔して一時は党の“手先”となった中国人学生だった。

「彼ら(共産党幹部)は学生自治会を自分たちの従属物としか思っていない。それが許せなかった」

こう憤る教養学部3年で同自治会前委員長の何●(かろく)さん(20)は、全学連脱退を主導した仕掛け人だが、実は高校時代から共産党の機関紙を愛読していた共産党信奉者だった。

何さんは山口県で育ったが、中国籍のため党員にはなれなかったものの、入学直後から党活動に加え、同自治会の活動にも積極的に参加し、平成22年12月に委員長に就任した。

しかし、翌年の12月には党と決別。党の狡猾(こうかつ)な手口による学生自治会支配に嫌気がさしたからだった。

何さんによると、手口の基本は、執行部内の党員に党の方針を指示し、ほかの執行部員の賛同が得られるよう主張させることだという。そのために行うのが、党員を正副委員長に就任させるという工作だ。

党の支部会議で次期正副委員長候補を勝手に決定。現職委員長に指示して、この候補に活動方針の提案など、役割を多く与え、存在感を高めて自然と委員長に選ばれるように画策する。

以下に全学連の五つのサイトのURLを掲載します。五つもあるということが驚きです。

外部リンク

さて、昔の学生運動は、過激なものが多かったようです。最近の田母神さんなども加わったもののように、平穏な形で行うデモは問題ありませんが、届け出ていないデモは道路交通法違反、さらに暴徒化すれば騒乱罪や公務執行妨害、暴行、傷害、器物損壊罪等に該当します。政治目的で政府転覆はかれば内乱罪等にもなります。




過去の学生運動では大学占拠したり火炎瓶投げたりしていましたから犯罪です。ただ参加者多く全員裁くのは時間と労力かかる上、大半は付和雷同者なので首謀者と悪質な者だけ裁判にかけ他は拘束、取り調べ後注意して釈放しました。今同じようなことをすれば、人数に関係なく逮捕され処罰の対象となることでしょう。私か大学に入学したころといっても随分前ですが、それでも学生運動もほとんどなく、それらしきものをみたのは、学生生活の中でも、一度のみで、革マル派の連中が、たった、10数人で、隊列を組んで、行進していたのを見ただけです。



学生の頃、母校の北海道大学の構内を歩いていると、その隊列が前から近づいてくるのが、見えました。随分近づいてきてから、その隊列の一番先頭の一人がいきなり、前に小走りででてきて、私の直前で、くるりと踵をかえして、何をするのかと、注目していたら、いきなり、カメラを取り出し、隊列の写真撮影をしはじめました。撮影が終ると、また、隊列の先頭にもどり、行進を続けました。

とは、いいなが、そのデモを見ている人は、誰もいなく、私自身たまたま自分のすぐ前に隊列があったので、何事なのかくらいの感覚で見ていただけです。

ちなみに、私のすぐ横に女子学生の数人がいて、ヘルメット姿の集団がなんなのか、理解できず、隊列がまだ遠くにあったときに、一人の女の子が、隊列を指先し「何あれ? ばっかみたいー」と言っているのが聞こえてきました。

東大女子学生
私は、過去の日本の学生運動に関しては、全否定です。一片の利も認めるものではありません。彼らの行動は、壊すことだけで、結局何ら創造的ではなかったものと評価しています。単なる時代の徒花だったと思います。日本で、学生運動が盛んだった頃、それは、全世界的な潮流となっていました。


これに関して、あの経営学の大家ドラッカーはいずれかの著書で、全世界的な学生運動の盛り上がりは、結局その世代の層の人口がかつてないほど、増加したためだけと看破していました。それこそ、戦前から、このような擾乱どころか、もっと酷くで過激なねものをみてきたドラッカーだからこそ、このようなことが言えるのだと思います。私なんぞが言い出したあかつきには、その正当性などなかなか納得させられないと思います。だからこそ、ここに、ドラッカーの言葉を掲載しました。私もそう思います。その程度のものが、いままで、温存されてきたこと自体が驚きです。

その当時、学生運動をしていた人間は、もうすでに、60歳を超す団塊の世代です。いくから、数が多いからといって、この世代の一部の人間の価値観がいつまでも、生き続けられるわけがありません。私は、この世代の人たちのいうことは、全く学生運動にかかわっていなかったとか、当時右翼であったとか、最低限右派というなら聞きますが、それ以外の人の言うことは、まずは疑ってかかるようにしています。新左翼などは、当時「30歳以上の大人を信用するな」をキャッチフレーズとしていましたが、そのようなもので、まずは、ほとんど信用しません。そうして、こうしておくことにより、正しい判断ができました。当然のこととして、新左翼の巣窟民主党のいうことなど、はなから全く信用していませんでした。正しい判断だったと思います。

それに、この学生運動が最高潮達していた頃の日本は、今とは、比較できないほど異なる時代いであり、その時代に今にも共産主義革命が始まるなど考えることは、今から考えると、非常奇異なことでした。それに関しては、以前このブログにも掲載したことがありますので、以下にそれをコピペしておきます。
1991年に旧ソビエトが崩壊する少し前に、当時のソビエトである経済学者が論文を発表しました。その内容の冒頭の要旨だけあげておきます。 
「我々の共産主義は、結局失敗した。我々の共産主義は、現状のソビエトのような体制をつくりあげることを目指したわけではない。我々の理想は結局実現されなかったが、世界の中には理想を実現した国もあるはずだ。私は、その国をいろいろ探し求めてみた。そうして、とうとう、ある国が我々が目指した理想の共産主義に近いものを実現していることを発見した」。 
では、この学者の言う、理想の共産主義を実現した国とは一体どの国でしょうか?なんと、それは、「日本」です。このようなことを掲載すると、多くの方が、日本が共産主義なんてそんな馬鹿なと思われるかもしれません。しかし、日本は、特に、いわゆる、金融ビッグバンが行われる前の日本は、まさに、共産主義と呼んでよいような社会でした。 
ちなみに、金融ビッグバンとは、1996(平成8)年11月に第2次橋本内閣が提唱した、金融制度改革のことをいいます。英国のビッグバンと区別する意味で、日本版ビッグバンとも呼ばれています。金融ビッグバンは、2001(平成13)年には東京市場をニューヨークやロンドンのような国際市場にする、ということを目的に行われた改革です。
かつてソ連のゴルバチョフ大統領が"日本は世界で一番成功した社会主義国だ"と発言しました。確かに日本は表向きは従来から資本主義国家であり、冷戦下では、自由主義陣営に属していましたが、社会の体制は、社会主義的もしくは、共産主義といっても良いくらいのものでした。 
ゴルバチョフ氏
たしかに、今から振り返れば、1990年代の初頭までは、日本は、共産主義国家と呼んでもさしつかえないほどの体制でした。税金の累進性は欧米より強く高額所得者は税金をたくさんとられます。貧困層は福祉や公的補助、医療制度など優遇され高額所得者から巻き上げた税金が還元されます。サラリーマンは年功序列で能力で関係なく昇給しました。当時は、経済格差は‘悪‘と公言する政治家までいました。そのため、当時の日本は、所得格差もかなり少なく、実質上世界一といっても良いくらいの平等な社会を実現していました。 
この時代には、多数の人が、自分は経済的にも社会的にも真ん中くらいに位置しているという意識が強く、「一億総中流」などという言葉もあったくらいです。現在とは、かなり異なると思います。
こんな時代に、革命を信じて、学生運動をするなど、今の時代のように情報が豊富ではなかったとはいえ、ドラッカーなどからみれば「数の論理」としか、見られなかったのは当然のことです。


多くの人間が主張すれば、正しくないことでも、正しいと信じこむ、思い込むことの典型例だと思います。ただし、今の私たちも、この時代の若者の愚行を笑ってばかりいられません。ごく最近であれば、マスコミが目一杯日々、報道したり、おかしげな人が、トンデモ理論を日々叫びまくると、「デフレの最中における、増税は、百害あって一利なし」ということは、明々白々なのに、「増税やむなし」と思ってしまう人も大勢います。

消費税を復興税とする企みは、失敗した
じゃあ、それが、いったい何故なのかと問えば、おそらく自分の頭で判断しているのではなく、「新聞に書いてあったから」とか、「大勢言っているから」、「テレビで見たから」とうのが関の山です。しかし、考えてみれば、こいつは、学生運動が盛んだった頃の、学生より始末に悪いかもしれません。なぜなら、その当時は、情報は今に比較すれば、入手しにくかったからです。今なら、各省庁の情報など、簡単にインターネットで、参照できるし、質問も可能ですし、さらには、関係情報などかなり入手できます。


いずれにせよ、どの時代でも、多くのマインドコントロールや、誘惑などがあるのが、当たり前です。つい最近では、オウム真理教の逃走犯である、菊池が逮捕されました。何かの信条を持つとか、思想を持つあるいは、自分にとって重要だと思うことを判断するというのなら、他者にコントロールされることなく、自分で情報を集め、とことん自分で考えてからにすべきです。これは、いつの時代にも変わらない真実だと思います。しかしながら、そうはいっても、今回の出来事「誠に慶賀に堪えない、素晴らしきこと哉!!」です。




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