2012年5月31日木曜日

急にクローズアップされた生活保護問題デフレ脱却と「負の所得税」が合理的な解決策 - 高橋洋一の俗論を撃つ!―【私の論評】日銀がお札を増刷すれば、生活保護問題はなくなる?!

急にクローズアップされた生活保護問題デフレ脱却と「負の所得税」が合理的な解決策 - 高橋洋一の俗論を撃つ!:

母親の生活保護に関して、釈明会見をする河本純一さん
 生活保護問題が急にクローズアップされた。生活保護の増加の背景に不正受給があると思われているからだ。だが、増加の主な要因は不正受給だけではない。金融政策によるデフレ脱却と「負の所得税」の導入、この両輪で生活保護問題は合理的に解決できるだろう。

生活保護問題に金融政策が関わっていることに違和感を持つ人もいるだろう。しかし、米国の金融政策は雇用の確保が法的に義務づけられている。バーナンキFRB議長に対する記者会見でも、話題はもっぱら失業率の話だ。

金融政策で失業率を低下させることができるので、生活保護問題の解決には有効だ。日本では、雇用・労働問題を構造問題としてとらえる経済学者、社会学者、法学者ばかりだ。雇用、労働問題をマクロの金融政策で対処しようとしないのは、筆者から見れば奇妙なことに思える。

マクロにおける金融政策によるデフレ脱却と、ミクロにおける縦割り行政の打破になる「負の所得税」(歳入庁と番号制を含む)の導入、この両輪で生活保護問題は合理的に解決できるだろう。


釈明会見をする梶原雄太さん


【私の論評】日銀がお札を増刷すれば、生活保護問題はなくなる?!

上の記事の結論は、「マクロにおける金融政策によるデフレ脱却と、ミクロにおける縦割り行政の打破になる「負の所得税」(歳入庁と番号制を含む)の導入、この両輪で生活保護問題は合理的に解決できるだろう」ということです。そうして、このマクロと、ミクロの政策、どちらが優先順位が高いかといえば、当然マクロ政策です。これ抜きにミクロ政策だけやっても根本解決にはなりません。今の政府、まともなマクロ政策はせずに、目先のミクロ政策だけやって、結局モグラ叩きに終始しています。

上の記事を見て、高橋洋一氏も指摘していたように、金融政策と、生活保護の問題との関連性を奇異に感じる人もいるかもしれません。しかし、これは、本当です。どこの国でも、その時点で2%程度のインフレになれば、その後どうなるかは別にして、それだけで、一夜にして大きな雇用が創出されます。

日本や、アメリカなどであれば、一夜にして、数百万の雇用が創出されます。また、その逆も真であり、デフレになれば、それだけで、一夜にして、数百万人の雇用が失われます。これを否定する人は、経済を語る資格がありません。

そうして、これは、マクロ経済学上の常識であり、これを否定することはできません。そうして、何もこれは、いわゆる教条主義ということではなくて、古今東西の事実が示す真理です。まずは、これを否定するまともな経済学者いないでしょう。そうして、米国では、金融政策が雇用の確保に法的に義務付けられているということです。

アメリカで大恐慌時にパンを求めて行列する人の像
そんなに簡単なら、雇用問題などすぐに解決できるではないか、という方もいらっしゃるかもしれません。確かにそうです。無論、雇用問題のすべてが、金融政策だけで解決できるとは限りません。たとえば、雇用のミスマッチの問題もあります。金融政策が雇用と密接に結びついていると認識されているアメリカでさえ、雇用問題はあります。しかし、アメリカでは、日本などと比較すると、比較的短期間に雇用問題を解決できています。今まで、アメリカでも深刻な雇用問題に直面しても、少なくとも日本よりは、早く解決できています。これは、金融政策を雇用問題解消の大きなツールであることを認識し、このツールを活用してきたからにほかなりません。雇用問題の根底には、金融政策が不可欠であるということです。

バーナンキFRB議長
とにかく、雇用と金融政策が密接な関係にあるということが、日本では、ほとんど認識されていません。これが、一般の人であれば、そこまで考える必要はないのかもしれませんが、それにしても、ある程度社会的に高い地位にある人は、どのような分野で働いていたとしても、常識として知っておくべき重要な事柄だと思います。


そうして、生活保護は、雇用と密接に関係しています。雇用が増えれば、生活保護受給者数は減ります。雇用が減少すれば、生活保護は増えます。これも当然のことです。

だから、上記の記事のように、生活保護の問題を考える際には、金融政策が不可欠であり、これを変えずに、この問題を考えていても、根本的な解決にはなりません。そうして、個人のモラルなどのことばかり考えていても、何の解決にもならないわけです。金融政策を抜きにこの問題を考え、対策を打ったとしても、結局は何の解決にもなりりません。モグラ叩きになるだけです。


無論個人のモラルの問題もあると思います。しかし、それは、金融政策などで、十分雇用が確保されるような状態になっているときに、論じられるべきであって、そうではないときに、論じても仕方のないことです。まずは、デフレを解消しなければどうにもなりません。

それに雇用の問題は、生活保護だけの問題ではありません。これは、学生の就職にも密接に連なる問題です。最近、就活の問題もクローズアップされていますが、この場合も、多くの人が、デフレのことは問題にせずに、ミクロ的な問題である企業サイドの問題、学生サイドの問題にばかり集中しています。これでは、なんら根本的解決にはなりません。デフレで雇用が減少している最中に、企業や学生のことだけ考えていても、これもモグラ叩きになるだけです。


ところで、総務省が25日発表した4月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100、生鮮食品を除く)は、前年同月比0・2%増となり、3カ月連続でプラスになった。ただし、食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合指数は前年同月比は0・3%の下落となりました。

この数字は変動の大きい食料とエネルギーを除く米国型コア指数で、基本的な物価動向を示すものとされているが、09年1月から3年4カ月マイナスのままです。

このようにデフレは若干緩和しつつあるものの、依然として継続中です。5月23日には日銀が追加緩和を見送ったことで、円高と株安が進みましたが、現状の金融政策のスタンスでは、リーマン・ショック時のような日本の独り負け状態になってしまうのでのではないでしょうか?とにかく、日銀は、自ら提示した、1%インフレ目処も実行するつもりはないようです。

スペイン中央銀行
中央銀行の独立性は、政府の金融政策の指示に従って、その金融政策を実施する際の手法を専門家の立場から選ぶ自由があるというのが本来の姿であり、これが、世界の常識です。ところが、日銀法が平成10年に改正されて、日銀がやってきたことは、金融政策まで独自で決定して、実行するというスタンスをとってきました。そうして、ことあるごとに、結局は、デフレを促進する金融政策である金融引き締めばかりを実行してきました。

日銀白川総裁

このデフレのままでは、雇用問題も解消せず、生活保護問題も解消しないということです。さて、本日は、生活保護、雇用の側面を中心に掲載してきましたが、このような問題に対しても、生活保護の受給者のモラルの問題など、生活保護の制度自体とか、いわゆる、ミクロの見方だけでは、この問題の根本的解決にはならないということてず。金融政策などの、マクロな見方ができなければ、解決になりません。


そうして、ミクロ的な見方による解決方法は、私たち個人や、企業でも、直接介入して解消することもできます。しかし、マクロ的な事柄に関しては、直接はできません。しかし、間接的にでも、できる方法があります。

そうです。それは、国をマクロ的な見方で、見てそれに対策を打つべき主体であるべき、政治家を選挙で選ぶという行為です。そうして、失われた20年を30年にしないためには、日銀法を改正して、本来の中央銀行の役割にもどすことを主張する政治家を選ぶべきです。


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2012年5月30日水曜日

クリエイティブなアイデアが出やすくなる、ワーキングメモリを鍛える方法―【私の論評】ワーキングメモリを増やすには、記憶そのものを増やすことだ!!しかも、若いうちに!!

クリエイティブなアイデアが出やすくなる、ワーキングメモリを鍛える方法:


作業記憶(ワーキングメモリー)の容量、もしくは一度に記憶できる情報量というのは脳内で簡単にアクセスできる場所にある量だけ、というわけではないようです。 心理学者のArt Markman博士が「Psychology Today」に書いていた記事によると、作業記憶が良くなればなるほどクリエイティブなアイデアが生まれる容量も増えるとありました。

さて、この記事の結論、以下のようなものです。

では、作業記憶の容量を増やすにはどうすればいいのでしょう? 確実な方法というのはありませんが、効果があると言われている方法はいくつかあります。たとえば読書量を増やしたり、頻繁に本を読むようにしたり、読んでいるものに関する理解を深めて読解力を身につけるというのも一つの方法です。一時的な記憶でもいいので、すべての文章をあとで思い出せるようにしてみましょう。この練習をすれば違いが表れます。

サイコロジー・トゥディの表紙
さらに、「二重Nバック課題」という聴覚と視覚を同時に使う練習をすることで、実際に脳が作業により集中しやすくなり、作業記憶を強化することになります。まずは手始めに、無料のゲーム「Brain Workshop」(英語)で練習してみてはいかがでしょう。集中力が増すと覚えたい情報を細分化され、物事を覚えやすくなります。単純な情報というのは常に覚えやすいのです。

研究はまだ継続中で明確な答えというのはありませんが、作業記憶の容量を増やして鍛えることはどんなことを考えるにおいても重要になります。練習を何度か繰り返せば、良いアイデアが浮かびやすくなるかもしれません。アイデアが出ずに行き詰まりがちな人は、ぜひ試してみてください。


【私の論評】ワーキングメモリを増やすには、記憶そのものを増やすことだ!!しかも、若いうちに!!

皆さん、上の記事をどう思われますか。このような心理学実験、わざわざやらなくても、ほとんど結論が出ているような気がするのは、私だけでしょうか。ワーキング・メモリがどうのこうのと言っていますが、結局のところ、創造性のことだと思います。創造性は、どこから出てくるのかといえば、日本の愚かな教育学者や、多くの人が語るように、個性の尊重などからは生まれるものではありません。



上の結果では、結局、ゲーム以外のことでは、読書ということを語っています。読書といえば、結局は、何のためにやるかといえば、体系的にかかれた文章を読んで、記憶にとどめるということだと思います。そうなんです。結局人間の頭は、コンピュータのメモリのように、機会的に増やすということはできませんが、いわゆる、記憶がより多ければ記憶容量や、いわゆる、ワーキングメモリが増えるということだと思います。


こんなことは、昔からいわれていて、それを実際に査証するようなことは、心理学実験などしなくても、以前から多くの人に知られているところです。本日は、まずは、その査証となる事柄をあげておきます。

ボンクラ養成学校?

その事例として、昨日のスパイ事件でも、スパイが入り込んでいたといわれる、松下政経塾と、海外の優秀なリーダー養成校の比較をしてみたいと思います。無論、松下政経塾は、昨日の「松下政経塾出身の主な政府与党幹部」というリストに、12人もの人間が名前を連ねているにもかかわらず、一人の例外もなく全員ボンクラであるということから、この塾はリーダー養成には、完全に失敗しています。

松下幸之助氏を囲む松下政経塾塾生たち

しかし、昔から、西欧では、優秀なリーダー養成学校があります。こんなことを言うと、皆さん、MBSや、ハーバード・ビジネススクールなどを思い浮かべるかもしれませんが、そうではありません。大学院で、本当の意味でのリーダーを育てているわけではありません。リーダーたる器は、その前に形作られます。大学院などでは、手遅れです。大学院では、器は形成しませんが、実際に社会で活躍するために、必要な行動様式などを教えているわけであり、リーダーを養成しているわけではありません。こんなことでは、すでに手遅れなのです。



では、西欧のリーダー養成学校とはどのようなものか、掲載します。これについては、私自身は、以前から良く知っていたことなのですが、実際に、これらの学校に行ったことのない私よりも、それを良く知り抜いている人の記事などが参照になると思い、探してみたところ、ぴったりの記事がありましたので、以下に紹介します。

現代イギリスのボーディングスクールの寮
詰め込み教育復活を!世界のリーダー養成校から学べ

詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、以下に一部分をコピペしておきます。

アメリカでいえば、エリート教育は中高一貫のボーディングスクール(全寮制・寄宿制学校)から始まる。ボーディングスクールの特徴は、
・進学の準備校ではない
・全寮制
・少人数
・留学生も1~2割
・田舎にある
・教師も住み込み
・図書館から体育施設まで充実
というものです。
とにかく中高一貫教育、全寮制というところが、世界のエリート養成学校に共通しているとろです。この記事を書いた人は、たまたま、アメリカを例に出していますが、私は、おそらく、アメリカのボーディンクスクールの原型になっているのは、イギリスのパブリックスクールだと思います。

イートンスクールのユニフォーム

さて、boarding とは、本来は「寄宿、下宿生活」のことで、寄宿学校が原義。両親の家を離れての団体生活の中で心身ともに鍛えられ、学業のみならず、生活も指導されることで、規則と自分に対する克己の態度が育まれるといわれています。

イギリスの寄宿教育は19世紀末にドイツに影響を与え、ヘルマン・リーツが田園教育舎と呼ばれる数多くの寄宿学校を立ち上げた。第二次大戦後、ソ連軍により、その多くは廃校に追い込まれたが、オーデンヴァルトシューレやスイスエコール・ド・ユマニテなどは現在も存続しています。

こうした実践を範とした学校がアメリカやオーストラリアなどにもいくつかあります。中でも伝統と実績のある世界各地の学校が、共通の教育理念で連帯したものに、クルト・ハーンがその設立を推進した「ラウンドスクエア」と呼ばれる団体があります。盟主となるイギリスのゴードン・ストウン校の建物が、ローマ風の円形競技場と四角い建物からなるのにちなんだものです。



同じ寄宿学校でもフィニッシングスクールは、良家の女子が社交界デビューに備える行儀作法のための学校で、これとは区別しなくてはならないです。

女の子のフィニシッングスクール

ボーディングスクールは王侯貴族が通う学校でもあり、スウェーデン王室のプリンスたちが卒業名簿に載るスウェーデンの「Lundsbergs skola」、ベルギー王室やルクセンブルク公国やモナコ公国のプリンスたちが卒業名簿に載るスイスの「ル・ロゼ校」、イギリス王室のプリンスたちが卒業名簿に載るイギリスのイートン校などがあります。
中高一貫とはいえ、ボーディングスクールの敷地は東大キャンパスの5倍から15倍くらいある。東大の10分の1くらいの生徒数でそうなのだ。そこには陸上トラック、プールはもちろん、ゴルフコース、アイスホッケーリンク、テニス・スカッシュのコート、ジムまである。立派な音楽堂や美術館もある。勉強の合間はスポーツや芸術活動を徹底的にやる。その合間にボランティア活動。超多忙な中で子供たちは時間管理術を学び、自らの適性を知っていく。こういう詰め込みの中でこそ本当の個性や適性がわかってくるのだ。
アップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズは「創造とは結びつけること」と話しているが、創造力とはつながっていない知識をつなげることで違う考えを発見することだ。アイシュタインも「創造的思考とは組み合わせ遊び」と言っていた。世界的な発見は知識の出合いから始まっている。それを歴史家はメディチ効果という。ルネサンス期のフィレンツェ、そしてメディチ家。ここに世界を探検する最高の学者が集まり、斬新なアイデアが合体してイノベーションを引き起こした。生まれたのが、口紅、日焼け止めローション、温度計、デオドラント、歯の漂白、魚雷、防火服、慈善信託など。
メディチ家礼拝堂
多様な人材に幅広い教養を詰め込み共同生活させることでメディチ効果も生まれるのだ。世界中の古典から始まる多様な知識を詰め込まれ、運動から音楽からボランティア活動まで徹底的にやらされ、24時間他人と暮らす。若いうちから、いろんな知識をつなげる思考ができていくだろう。 
さて、筆者は、ここで、松下政経塾の大失敗と、ゆとり教育の間違いを語ります。
松下政経塾もこれを狙ったのだろうが、間違っている。一つは時期。大学を出た者では遅い。実務経験の期間が無くなり頭でっかちになるだけ。先生のレベルも違う。世界のエリート教育を受けた人でないとエリート教育はできない。いまどき日本語でやっているから多様性もない。松下さんの最大の失敗策であることは今の内閣をみれば一目瞭然。 
今の日本の若者の多くは日本の教育制度の犠牲者である。ゆとり教育と大学全入時代のせいで、“極度の詰め込みによる受験戦争”を勝ち抜くという経験をした者が、昔に比べて極端に少ない。知識が詰め込まれていないところに創造力も個性もない。芸術や音楽やスポーツだって知識の詰め込みが脳や肉体にないといいパフォーマンスはできないし、いいものかどうかの評価さえできない。
 さて、以上のようなことから、本題に戻ります。このような、詰め込み教育をされた人たちの頭の中は、どうなっているかといえば、それこそ、本日の本題となる、ウォーキング・メモリが増えているのだと思います。この状態で、さらに、新たな知識や経験をつめば、かなりクリエーティブな思考の持ち主になれるのだと思います。

吉田松陰肖像
そうして、日本だって、昔はそうでした。それこそ、今でいえば、特に武家では、丁度今でいえば、中高という時期に、徹底的に書物を読まされたり、武術の鍛錬などをやらされました。

室町時代の武家の教育について、参考になる記述がお伽草子の『筆結物語』にあります。

この内容がどの程度一般化できるのかわからないのですが、簡単に以下に掲載しておきます。
【読書】
1)孝経…忠臣は孝門から出るので
2)四書五経…孝経の後に読んで、仁義道徳を学ぶ
3)武七書…兵法を学ぶ
4)東坡・山谷詩・三体詩・詩学大成…詩・聯句の座での詩作のため
5)三代集・源氏物語・伊勢物語…歌・連歌の便りに
1)2)は修身道徳、3)は専門、4)5)は教養といったところでしょうか。 
しかし、読書=学文(学問)だけではだめで、しっかり体を使うことも必要だといいます。
いわば【体育】ですね。
飛越・早技・力技・荒馬・強弓・山を走る・水練
これが具体的な内容です。
面白いのは、山を走って鍛錬するのに鷹を使うこと、それから水練(水泳)をするのに鵜を使うことです。
こういった、伝統は、無論江戸時代にも引き継がれ、江戸時代には、藩校というものが各地につくられました。内容や規模は多様ですが、藩士の子弟は皆強制的に入学させ、庶民の子弟は入学できませんでした。後に、庶民に開放された藩校もあります。広義では医学校・洋学校・皇学校(国学校)・郷学校・女学校など、藩が設立したあらゆる教育機関を含みます。

全国的な傾向として、藩校では「文武兼備」を掲げ、7〜8歳で入学して第一に文を習い、後に武芸を学び、14〜15歳から20歳くらいで卒業する。教育内容は、四書五経の素読と習字を中心として、江戸後期には蘭学や、武芸として剣術・槍術・柔術・射術・砲術・馬術などが加わりました。

会津藩藩校 日新館
藩校は、全寮制ではありませんでしたが、若い時期に徹底的に詰め込みをするということでは、ボーディングスクールに似ています。江戸時代には、藩校のほかに、私塾も多くつくられました。その中で、一番成功したのは、吉田松陰の松下村塾です。これは、松下政経塾とは、対照的に明治維新の立役者を多数輩出しました。

とにかく、いわゆる、リーダーを育てるような学校は、古今東西をとわず、若い時期に詰め込みをするということでは共通点があります。そうして、日本では、近代的ないわゆる大学や、大学院という教育機関がなかったにもかかわらず、幕末、明治維新には、多くの傑出した人物が現れました。やはり、日本では、伝統的な若い時代の詰め込み教育が、藩校などにも引き継がれていて、だからこそ、未曾有の転換期にも対応できたのだと思います。だからこそ、明治の先達は、世界でも稀有ともいわれる、無血大革命に成功し、日露戦争に勝利するという大偉業を達成できたのだと思います。

萩藩校 明倫館跡
やはり、頭の中に知識がある程度詰まっていなければ、クリエーティブにもなれないし、クリエーティブさが欠けていたては、リーダーたるものの器ではなく、そんなものに、国の政治など司ることなど到底不可能であるため、自然とこうした形が出来上がったのだと思います。

日新館での学習風景(再現)
若いうちに、頭の中に様々な知識を詰め込むというということが、やがて、大人になったときに、知識と知識をつなげるクリエーティブな頭になれるということです。だから、最近の教育は、「ゆとりの教育」などといって、中高あたりで詰め込みをやらせないため、クリエーティブではなく、リーダーとしての器の欠ける人間をつくりだしてきたということで罪深いことだと思います。

そうして、松下政経塾もその例外ではないということです。どうして、こんなことになったのか、本当に理解に苦しみます。

今からでも、遅くはないので、詰め込み教育を再開すべきです。松下政経塾も、やり方を改めるべきと思います。



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2012年5月29日火曜日

中国“不正”スパイが国外逃亡!日本の政財界情報ダダ漏れの闇―【私の論評】日本でも、他国なみのスパイ防止法を制定すべき!!

中国“不正”スパイが国外逃亡!日本の政財界情報ダダ漏れの闇:


中国大使館
在日中国大使館の1等書記官(45)が、外国人登録証明書を不正に入手していた疑いが強まり、警視庁公安部が出頭を要請していたことが29日、分かった。書記官は拒否し、一時帰国した。書記官は中国人民解放軍の情報機関「総参謀部」出身で、野田佳彦首相も学んだ松下政経塾に在籍経験があり、日本の政財界要人とも交流があった。公安部は、スパイ活動をしていたとみており、大スキャンダルに発展する可能性もある。

 
「彼が松下政経塾に在籍していた当時から、公安当局者の間では『中国が工作をしている』と有名でマークしていた。中国情報当局による組織的な諜報活動といえる。日本の政財界中枢にパイプを築き、情報を得るだけでなく、中国政府の意向を日本中枢に浸透させる狙いだろう」

元公安調査庁第2部長の菅沼光弘氏は語る。


警察当局によると、問題の書記官は2008年、外交官の身分を隠して葛飾区役所に申請書を提出し、外国人登録証を不正入手した疑いが持たれている。

この登録証を使って、書記官は銀行口座を開設しており、口座には都内の会社から多額の顧問料や報酬が振り込まれていた。ウィーン条約で禁じられた商業活動をしていた疑いもある。中国の外交官が日本の国内法規に抵触して立件対象になるのは初めてだが、問題はさらに根深い。

書記官は1989年に人民解放軍傘下の外国語学校を卒業後、世界各国で諜報活動を展開する軍総参謀部2部に所属。07年に外交官として赴任する前、福島大大学院の院生や、松下政経塾の特別塾生、東京大学付属機関の研究員などを経験して、政財界要人にパイプを築いていったという。

くしくも、現在の政府与党には、野田首相や玄葉光一郎外相をはじめ、松下政経塾出身者が多数いる。


【私の論評】日本でも、他国なみのスパイ防止法を制定すべき!!

上の記事、なにやら、消化不良をおこしたような感じがしませんでしたか?上の記事で結局嫌疑をかけられているのは、「外国人登録証明書を不正に入手」ということです。さらに、他のニュースからは、この1等書記官が、国内で出資を募っていたということも報道されています。これは、国際法的に外交官がやってはいけない行為といわれています。しかし、これだけではすっきりしません。本日は、これをすっきりさせていただきます。なお、本日は、外国スパイの画像などとともに掲載させていだきます。


しかしながら、この報道には、重要なところが欠落しています。その欠落を知るためには、まずは、日本には日本以外の国ではどこにでも存在している「スパイ防止法がないということを理解しておかなければなりません。上の記事は、このことは理解しているものとして書いているのだと思います。しかしながら、理解していない人も多いと思いますので、以下に説明します。


スパイ防止法とは、1985年(昭和60年)、大日本帝国の防諜法・軍機保護法・国防保安法の復活のため、伊藤宗一郎、北川石松など9名によって議員提案された「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」および前述の法案に修正を加えた「防衛秘密を外国に通報する行為等の防止に関する法律案」のこと。国家機密法(国機法)、国家秘密法(国秘法)とも呼ばれます。


守秘義務の無い一般国民や新聞・雑誌が、取材活動や海外報道などで知りえた「秘密」を伝達したり報道(漏洩)した場合、その取材ルートがどのようなものであれ(海外報道によって知ったものであっても)、五年以下の懲役となります。

国民各層からの大規模な批判と論争の末、世論に押される形で、昭和60年12月20日、法案は審議未了廃案となりました。

軍機保護法・国防保安法などの治安立法は、ポツダム宣言受諾以降に実施された戦後民主化の過程で、昭和二十年十月四日、GHQ覚書「政治的、民事的、宗教的自由に対する制限の撤廃」によりその効力は停止し、昭和二十二年四月十八日、「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」によって終局的に廃止されました。

このブログにも以前掲載したことがありますが、GHQという組織は、馬鹿(能力の低い者という意味)とスパイ(コミンテルン=ソ連のスパイ)の集まりであったことが明らかになっています。このような、GHQが、スパイ防止法などを認めかったのは、当然のことです。

さて、話を本題にもどします。本来、このスパイ防止法があれば、これにもとづき、この一等書記官に嫌疑をかけて、逮捕もできるということです。しかし、これがないために、、おそらく、スパイ活動をしていることは明らかであり、公安も、こちらのほうを追跡していたのでしょう。

日本の場合は、スパイ防止法がないため、この事件に限らず、他の似たような事件でも、スパイ活動そのものによっては、逮捕することも、起訴することもできないのです。

だから、日本公安当局は、この書記官のスパイ行為を追跡してはいたのですが、それでは、逮捕できないので、たたけば埃がでないかと、他の犯罪行為などをあたっていたら、「外国人登録証明書を不正に入手」や、国内での商行為などを見つけたため、今回の措置をとったということです。またスパイには協力者がいなければ、仕事になりません。しかし、この協力者についても、協力したというだけでは逮捕できません。だから、公安当局は、この協力者らの過去の犯罪履歴をあらったり、これから何か犯罪を起せば、それを根拠に逮捕することでしょう。こんなことを考えると、やはり、スパイ防止法は絶対に必要です。また、日本以外の国では、どこの国でも、似たような法律が必ずあります。アメリカにもあります。無論ドイツにだって、どこの国だってあります。ないのは、日本だけです。

必要ないと言う人は中韓朝もしこく他国に繋がった売国奴もしくは、長い間の平和で、平和ボケしてしまった人だけだと思います。日本から上記3ヶ国への情報漏えいは、それこそ山のようにあります。























自衛隊が海図を漏洩したり、ヤマハ発動機が外為法違反の輸出をしたり、挙句には橋本元首相が中国公安部の女性をあてがわれたとの憶測の後で何十億円もの無償ODAを行ったりなどなどあげればきりががないです。


他国からの諜報活動や工作がこれほど公然と行われており、しかもそれを全く取り締まることのない国など世界では日本しかありません。
































ここで一番大切なことは「日本が流出させた技術や情報で被害を受けるのは、日本だけではない」ということです。日本が特亜3国に流出させた核開発技術は、日本のみならずアジア全体に核の脅威を与えることになります。実際、つい最近も、失敗はしましたが、北朝鮮のミサイル発射が行われたことは、記憶に新しいです。

それに、日本の場合、スパイ防止法以前の問題があります。北朝鮮や朝鮮総連と密着した政党や、教職員組合、マスコミなどは、拉致が発覚した後でこそそのようなことはさすがになくなりましだ、、それまでは北朝鮮の悪口を言おうものなら、糾弾に合うという勢いでした。全く異常です。


スパイは、情報や秘密を探るだけではありません。敵国の民衆に自国に同情させる教育をしたり、敵国政府を攻撃するマスコミ関係者を養成したり、公務員にして政府、自治体内に送り込んだり、といったことを長年やってきています。特に、日本ではスパイ防止法がないので、スパイ天国といわれているくらいです。特亜3国はいうまでもなく、旧ソ連のスパイであるコミンテルンはもとより、今でも、ロシアスパイが日本国内で活動しています。





















現実的にスパイ行為を防止するために最も効果があるのが、覚醒剤の取り締まり強化と、パチンコ禁止です。この二つが北朝鮮スパイの活動資金ですから。その他は、なかなか、取締りが難しいです。だから、スパイ防止法は、必須です。無論、スパイ防止法は、負の面もないとはいいません。しかし、その負の面をおそれて、日本をスパイ天国にしてしまっていることは、この負の面をはるかに超えて、日本に深刻な打撃を与えています。

































それにしても、松下政経塾にも入り込んでいたということで、驚いている人もいるようですが、その認識は甘いと思います。日本は、スパイ天国なのですが、どこに入っていてもおかしくはありません。今日もテレビでみていたら、日本の民主党の議員が、「驚いた」などの感想を漏らしていました。これは、著しい認識不足といわざるをえません。私は、大学などにいる中国の留学生など全部とはいいませんが、一部は、間違いなくスパイか、スパイ候補生だと思っています。それは、あの長野オリンピックのときの、中国人学生の組織力をみてみても、良く理解できることです。


































こんな状況ですから、上のリスト「松下政経塾出身の主な政府与党幹部」に掲載されていた幹部など、自分でも知らないうちに秘密を漏洩していたかもしれません。公安当局は、これも明らかにしたければ、したいと考えはあったと思います。そうして、できるものなら是非明らかにして欲しいものです。



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