2012年5月26日土曜日

勝栄二郎財務次官勇退か?(月間FACTA)―【私の論評】増税そのものを主張する愚かな首相や、総裁にも、勇退していただきたいと思うのは、私だけ?

勝財務事務次官に「勇退説」が急浮上(月間FACTA)

有料定期購読誌、月刊FACTAに以下のような内容が掲載されていました。
財務省の勝栄二郎事務次官は今夏も続投、3年目突入が確実視されてきた。ところが、ここに来て「勇退説」が浮上している。「直勝内閣」と揶揄される野田政権は財務省主導で誕生し、全面支援を受けてきた。しかし、野田佳彦首相は消費税増税や原発再稼働で指導力を発揮できず、内閣支持率は右肩下がり。小沢一郎元民主党代表の無罪判決で政局混迷は一段と深まり、「影の総理」を務めてきた勝氏も愛想を尽かしたというわけか。

財務省関係者によると、最近の勝氏は消費税政局に疲労の色が濃く、「オレはもう辞めるからな……」と側近に漏らし始めているという。10年、いや20年に一人の大物次官とされる勝氏でも、「さすがにマスコミに叩かれ続け、相当まいっている」という。政治家を凌ぐ策士と評される勝氏だが、育ちの良いナイーブな面もあり、永田町の政争に辟易としているようだ。

とはいえ、降ってわい ………
有料定期購読誌なので、サイトに掲載されている部分だけ簡単に掲載します。

【私の論評】増税そのものを主張する愚かな首相や、総裁にも、勇退していただきたいと思うのは、私だけ?


官僚にも序列があって、霞が関には「次官年次は財務省がいちばん上」という不文律があるようです。ここで予定より早く勝栄二郎氏に引退されてしまうと他の官公庁が大騒ぎになってしまうとの観測もあります。引退した勝栄二郎は日銀総裁の座を狙いに行くかもしれないとか。そのような話がでているそうです。この雑誌有料定期購読のものであり、私は、この雑誌を定期購読しているところで、読ませていただきました。官僚は、普通は、表に出ることはあまりないのですが、勝栄二郎氏は、最近「財務省のマインドコントロール」などとも揶揄され、相当たたかれているようです。こうなると最後の大物次官といわれるこの人も、なかなか堪えれないようです。


勝栄二郎氏とは、どのような人物なのか、以下に経歴と人物像をあげておきます。

経歴
1973年(昭和48年)3月 - 早稲田大学卒業
4月 - 東京大学法学部学士入学
1975年(昭和50年)3月 - 東京大学法学部卒業
4月 - 大蔵省入省
2000年(平成14年) - 財務省大臣官房文書課長
2002年(平成16年) - 主計局次長
2006年(平成20年)7月 - 大臣官房総括審議官
2007年(平成19年)7月 - 理財局長
2008年(平成20年)7月 - 大臣官房長
2009年(平成21年)7月 - 主計局長
2010年(平成22年)7月 - 財務事務次官
人物
獨協高校卒業後、1968年度の東京大学の入学試験が中止となったため早稲田大学に入学した。「十年に一人の大物次官」「最後の大物次官」「影の総理」と呼ばれ、消費税増税に驀進する財務省にとっては切り札的存在といわれている。野田佳彦が総理大臣の座につくことができたのも勝ら財務官僚が増税推進派の野田を総理にすべく工作をしたとされ、野田は勝に組閣について相談したぐらい頼っているといわれている。 
野田内閣は財務省に完全に支配されており、「真の総理は野田ではなくその背後にいる勝である」ということが永田町と霞が関の共通認識になっていると報道された[3]。たちあがれ日本の片山虎之助は2011年9月29日の参議院予算委員会で鈴木善幸内閣が田中角栄の影響下にあったことを「直角内閣」とよばれたことにならい、野田内閣を「直勝内閣」と揶揄した。

経歴、人物ともに、エリート中のエリートです。早稲田大学卒業後、東京大学に学士入学しています。これは、やはり、将来官僚になることを考えて、官僚の学閥である東大に意図して、意識して、行ったということだと思います。ここで、今なら、東大大学院など行く人もいるのかもしれません。しかし、やはり、大学院ではなく、学士として行ったということは、やはり、学閥を相当意識してのことだと思います。やはり、以前このブログに書いたように、日本は、高学歴社会ではなく、大学格差社会だということだと思います。早稲田大学を卒業して、東大大学院では、あくまで、早稲田卒ということになり、学閥とはみなされないということだと思います。


さて、財務省次官の勇退の可能性があるということですが、これは、一体何を意味するのでしょうか?やはり、増税論議は、ご破算になるということでしょうか?これが確実になってきたため、勝氏も嫌気がさして勇退ということなのでしょうか?

それは、後で述べるものとして、まずは、野田佳彦内閣を主導するのは財務省であることは、これまでも示してきた通りですが、消費税を増税したい財務省の本心を今回はしっかりと紹介したいと思います。

まず紹介したい動画は、元財務省の官僚の高橋洋一氏の動画です。


高橋洋一氏は、小泉内閣、安倍内閣を支え、円の供給量を増やすことで、円高を緩和し、PB(プライマリー・バランス)を後一歩のところまで改善した功績を持っております。小泉政権の末期は、アメリカからの圧力によって円の供給量を削減したらしく、その後のリーマン・ショックもあり10年以上にも渡りデフレを脱却できていないのが現状です。


この動画の中で、大変興味深いのは、以下の点です。
① 財務省は財政再建など微塵たりとも考えていない。
② 税率のUPによる特例措置が最高の利権でそれだけが目的。
③ 財務省では税収増では無く税率UPで評価が決まる。
④ 今が税率UPの最高のタイミング
増税による税収減を東日本大震災を言い訳に出来る。
増税による税収減を欧州通貨危機を言い訳に出来る。
⑤ 円高を緩和するだけで財政は再建できてしまう。
よって財務省は円高対策を本気ではやらない。
無意味とされる為替介入だけは慣習でやる。
⑥ 円とドルの為替レートは(日本円の量÷米ドルの量)でほぼ決まる。
円のマネタリー・ベースの量=130兆円
米ドルのマネタリー・ベースの量=2兆ドル
→ よって為替レートの見込みは1ドル65円に収束する傾向。
→ 日本が70兆円の量的緩和をすればだいたい1ドル100円になる。
※ アメリカはリーマン・ショック後に通貨量を3倍に増やしているため、円高になるのは市場原理として当然。(ブログ管理人注:これは、中国も同じこと。さらに、日本は、尖閣問題があった後でも、中国の最大の経済援助国であり続けている)
⑦ 日銀引受は禁じ手でも何でも無く高橋洋一氏は毎年やっていた。
→ この対策により小泉政権下では1ドル120〜130円台の円安をキープ。
中国に利する経済・金融政策を続ける野田さんに満足のコキントウさん

そうして、高橋氏は、野田総理大臣も、谷垣総裁も、実は、勝次官に完全に取り込まれていて、この二人は、どちらも、増税推進派であり、増税ツインであると評しています。そうして、両方とも、勝氏にレクチャーされ、それを背景として、財政政策を考えているため、両方とも考えはほとんど同じなのだと言っています。表面づらでは、争っているようにしているのですが、結局は、これはできレースに過ぎないことは、以前のこのブログにも掲載したことがあります。


それは、そうとして、最近これに関しても大きな動きがあります。それは、輿石幹事長による、野田総理と小沢氏の会談です。

サイトでみつけた合成写真、右の人物は誰なんでしょう。安住財務大臣だったら最高でした。

消費増税関連法案をめぐり民主党内で対立が続く中、野田佳彦首相と、増税反対派を束ねる小沢一郎元代表が近く会談します。両者の歩み寄りは困難とみられますが、決裂を避けたい党執行部には、会談を1回で終わらせずに継続させる案が浮上しています。結果が法案採決の時期や野党の国会戦術に影響を与えるのは確実で、与野党ともに政局の分水嶺(れい)となる会談の行方を注視しています。



小沢氏からみれば、財政の健全化は必要だし、消費増税もやむなしの事態もあるでしょうが、それは次期総選挙で国民に問いかけてからでなければ、民主党が嘘つき政党だと云うことになるのが許せないわけです。その前に、死に物狂いで、国民との約束を果たすべく努力すべき時です。これから1年間は、増税などの“易きに流されず”政治家として汗をかけ、と云うことです。考えてみれば、判ることですが、現在の永田町で与野党通じて一番大きな派閥が小沢グループです。民主も自民も区別がつかなくなればなるほど、最大派閥の存在感は増すことになります。とても皮肉なことだが、そういうことです。

さて、この増税論議一体どうなるのでしょう。 今国会会期中は特例公債法案の問題もクリアしなければならないので、20日程度の会期延長を行い、消費増税法案は継続審議とする。これが一番すっきりしています。これが駄目であれば、かなり複雑にはなりますが、会期の大幅延長です。おそらく年末までに延ばされることになるでしょう。


しかしこの場合、野田氏が民主党代表で無くなる可能性もあるので、法案が胡散霧消と云うこともありえます。どちらの方法を選んでも、野田総理の運命は9月までの可能性が高いだけに、消費増税法案自体は潰れることでしょう。現時点で、谷垣自民の意向丸呑みの暴挙には、話し合い解散の暴挙も加わるので、野田自身が受け入れ難い地獄に嵌っています。仮に、話し合い解散を棚上げにしたとしても、自民党内がバラバラになり、纏まって法案賛成に回るとは限りません。民主党も同様です。消費増税法案が民自大連合で“否決”なんて悪夢さえ見える状況では、もう野田佳彦の選択肢は、継続審議か大幅会期延長の二つしかありません。代表選に落ちれば、“一兵卒”になるだけです。それは、自民党の谷垣総裁も同じことです。9月末に総裁選がせまっています。

こんなことを、予期して、増税は無理であることを悟ったからこそ、勝財務次官は、勇退をほのめかすようになったのでしょうか?私としては、そう思いたいです。それにしても、日銀総裁狙いとは、良いところに目をつけたものです。従来日銀総裁人事は、財務省プロパー、日銀プロパーが交代で、総裁の地位についていましたが、最近はこれも崩れて、日銀プロパーが続けて、総裁の地位についています。だから、この次は、財務省プロパーがなってもおかしくないです。それに、日銀法が改悪されてから、日銀の独立性が高くなったので、財務省はおろか、政府など関係なしに、日銀の行動を決めることができます。それに向けて、着々と準備をしているのだと思います。私は、そんなにうまくはいかないと思いますが、もし、それがうまくいったとしたら、勝さん、是非というより、かならず、日銀に金融緩和をさせて欲しいです。このまま、日銀が金融引き締めばかりやって、復興需要でただでさえ、円の需要が高まっているに日銀が増刷拒否の姿勢を崩さない限り、デフレ、円高基調はかわらず、結果として、中国を利するだけです。

いずれにせよ、デフレの最中には、積極財政、金融緩和をするのが、常道であり、増税するとか、金融引き締めをするなどと答えるようでは、センター試験すら合格できません。こんなことを、わかっていながら、省益のための増税を目指し、無理をして積極的に増税ツインにレクチャーし続けてきた勝さん、これだけでも疲れたことでしょう。さすがに、この期におよんで、政局の動きなどにも嫌気がさしてきたということなのかもしれません。野田氏も、谷垣氏も一平卒になる可能性が高いです。そうなれば、増税のためには、また、勝次官は、また最初からレクチャーをしなければなりません。あるいは、勝さんは、その次が誰になるのか、見越してるいるのかもしれません。誰になろうとも、おそらく、野田氏や谷垣氏のように、御しやすい人間でないことは確かだと思います。それが、反増税派だとしたら、そこまでいかなくても、積極増税派でないとすれば、どうなるのか?皆さんは、どう思われますか?



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