2012年5月12日土曜日

渋谷は「大人の街」に変身中 第一弾ヒカリエは大盛況―【私の論評】コンクリートがなければ始まらない!!これは民間主導の構造改革だ!!

渋谷は「大人の街」に変身中 第一弾ヒカリエは大盛況:

渋谷ヒカリエのパース

  東京急行電鉄は2012年4月26日、東京・渋谷駅東口(東京都渋谷区)に駅直結の高層複合施設「渋谷ヒカリエ」を開業した。初日には計約20万人が訪れるほどの大盛況だった。

・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  この渋谷ヒカリエの開発は、渋谷駅周辺再開発事業のリーディングプロジェクトとされている。今後、渋谷駅ビルの再開発や、これまで「非常にわかりにくい」とされた駅構内を整備する機能更新事業、東急東横線渋谷駅の地下化などの大規模事業が続々と進められる予定だ。東急東横線は今年度中に東京メトロ副都心線との相互乗り入れも始まる。



   渋谷を「本拠地」と位置づける東急にとって、渋谷を若者の街から脱皮させ、幅広い年齢層にとって魅力ある街に作り直し、多くの人を呼び込むことが再開発事業の最大の狙いだ。メトロとの相互乗り入れにより、池袋や新宿など他都市に客が流れる可能性もある反面、新たな客を招き入れる大きなチャンスともなる。一方、少子高齢化が急速に進む中、若者の力に頼るだけで、渋谷を盛り上げるには将来的に限界があるのも事実だ。

   東急電鉄の野本弘文社長は渋谷ヒカリエ開業前の記者会見で、「渋谷を大人はもちろん、小学生もシニア層も安心して快適に来てもらう街にしたい。渋谷を日本で一番訪れたい街にしたい」と語った。渋谷ヒカリエはあくまで第一歩。渋谷を老若男女でにぎわう場にする壮大な計画は今後が正念場ともいえる。


続きは「J-CASTニュース」へ

【私の論評】コンクリートがなければ始まらない!!これは民間主導の構造改革だ!!

 上の記事にもでてくる、「渋谷駅周辺地域再開発」とは、文字通り渋谷駅および周辺地域の大規模な再開発のことです。

・平成19年、営団地下鉄13号線の開通
・平成24年、営団地下鉄13号線と東急東横線の相互直通化(および駅の地下化)

などをきっかけに、大規模な駅の改善が行われます。

また、都市再生緊急整備地域指定(都市再生特別措置法にもとづく)を目指し、渋谷区は「渋谷駅周辺整備ガイドプラン21」を作成、具体的に活動をしています。

このような、渋谷駅のターミナルとしての機能更新と、それを契機にした大規模な再開発が渋谷駅の周辺地域で進む予定です。

さて、このような再開発を皆さんはどう思われますか?このような箱物をたくさん作ることには、反対ですか?

実際にこのようなプランを見たり、できあがった施設をみれば、これに大反対する人はほとんどいないと思ます。


今の渋谷の町並みができたのは、もう何十年も前のことです。その間に、渋谷界隈も随分変わってきたと思います。そうして、少し前まで、渋谷は「若者の町」というイメージでした。私も、若いときに、渋谷に行くと、自分が欲しいと思うものがありました。今から20年近く前は、まさにそのような経験を何度もしたことがあります。とにかく、渋谷に行けば、自分好みのものが手に入る確率が高かったです。その頃は、インターネットもあまり発達していなかったので、eコマースもたいしたことはなく、本当に欲しいと思うものは、渋谷界隈に行くのが最も確実でした。

渋谷109 1979年デビュー 渋谷現在の街の基本ができたのはころころ
しかし、今はそのようなこともなくなりました。特に渋谷に行かなくても、eコマースなどで入手できることが多くなりました。

渋谷で買い物をする女の子

上の記事にもあるように、「少子高齢化が急速に進む中、若者の力に頼るだけで、渋谷を盛り上げるには将来的に限界がある」ということなのだと思います。これは、考えるまでもなく、下の東京都の人口ピラミッドを見れば良くわかることです。そうして、「渋谷を大人はもちろん、小学生もシニア層も安心して快適に来てもらう街にし渋谷を日本で一番訪れたい街にするには、いわゆるソフトだけではどうにもならないのだと思います。だかこそ、このような大掛かりないわゆる箱物が必要であるということです。これは、ある意味、民間主導による構造改革です。民間主導のものよは、このように理解しやすいところがあります。

民主党がいう、「コンクリートから人」などということを言っていては、都市の再開発も進められないということです。人に来てもらうためには、まずは、コンクリートで、人に来てもらえるように、交通機関を整えたり、建物を整え、さらに、それらと一体化した、ソフトが必要になるということです。コンクリートを無視していては、人に対する上質のサービス、アメニティーなども提供できず、結果として、人をおろそかにするということです。



そんなことは、仮に、今の渋谷の町を全く変えることなく、補修だけして、ソフトを充実させたからといって、何がおこるのかと考えてみれば十分理解できると思います。そうではなくて、大規模な都市開発をして、箱物や、交通機関その他を充実して、それだけではなく、ソフトも充実させれば、経済効果もはかりしれないことは容易に理解できることと思います。ハードとソフトは、互いに補いあうものであり、両方そろって、はじめて、意味があるのです。ハードを否定していては、いくら、ソフトを充実させても人をおろそかにします。

しかし、このような愚かなことが、ずっと行われているところがあります。それは、どこかといえば、日本そのものです。日本では、いわゆるバブル期の頃に、あまりに意味のない箱物がたくさん作られたため、公共工事=箱物=利権=悪という固定概念が形成され、いわゆる公共工事は必要もないのに、無駄におこなわれているかのイメージが定着してしまいました。そのためでしょうか、公共工事は年々削られていきました。

それが、どの程度なのか、掲載します。

まずは、数字的に表示すると以下の表のようになります。


GDP比でみると、現状は、1980年あたりの、半分以下に落ち込んでいることがわかります。下のグラフでみると、公共投資総額でも、おそらくバブルの頃である、最盛期と比較すると、半分にまで減っています。



バブル期と比較する必要はないと思いますが、GDP比で比較しても、過去と比較すると相当減っていることがよくわかります。

以上は、日本国内の過去との比較ですが、これを諸外国と比較したのが、下のグラフです。これは、1996年のGDP対公共工事総額を100とした場合の推移を諸外国と比較したものです。2009年には、麻生内閣のときに大々的に財政出動をしたので、あがっています。グラフにはでていませんが、その後は、また緊縮財政のため減っています。昨年度および今年度は、震災の復興のため、また若干上がることになると思います。


諸外国と比較しても、日本の公共投資は減っていることが良くわかります。他国はどちらかいうと、どんどん増えています。ドイツも一時減りましたが、その後増えていっています。日本だけが、減っています。

あまりにも、公共工事をやらなさ過ぎたため、最近では、さまざまなインフラの老朽化が目立っています。それに、公共工事をやらないということは、政府が緊縮財政を行ってきたことでもあります。緊縮財政を続けてきたことと日銀の金融引き締めのおかけで、今日本は、デフレ状況にあります。このデフレに原因に関して、世界の趨勢と結びつける人もいますが、これはあまり関係ありません。主たる原因は、緊縮財政と、金融引き締めです。

現在、多少景気が上向いてきていますが、それは、震災復興のため一時的に公共工事を増やさざるをえず、そのために、一時的に回復しているということです。これで、復興を中途半端にしてやめてしまえば、またもとに戻る可能性もあるということです。

下は、菅さんと町村議員との「コンクリートから人へ」に関わる国会のやりとりです。上のデータなど知って背景なども考え合わせると、両方とも愚かだと思います。特に、菅さんは愚かです。


日本は、昨年もあったように、諸外国と比較すれば、もともと地震の多い国です。それに、台風による被害も多いほうです。だから、本来は、諸外国よりも、公共工事が多くなるのが当然です。にもかかわらず、諸外国に比較しても減り続けています。諸外国との比較でなく、日本国内で比較しても、バブルでないころに比較してさえ、相当減っています。これは、異常事態とみるべきです。

あまりにも、公共工事をおろそかにしてきたので、日本各地で、さまざまなインフラが老朽化しています。その一端が、首都高の老朽化で、これは、先日テレビでも報道されていました。その記事のURLを以下に掲載しておきます。

日本のインフラが危ない(上)東京五輪に備えた大量整備から50年「物理的な崩壊」が日本列島を襲う――東洋大学経済学部 根本祐二教授 - DOL特別レポート

今こそ、「渋谷駅周辺地域再開発」のように、全国各地で、大規模な都市開発などを含む大々的な公共工事を行い、箱物や、交通機関その他を充実して、それだけではなく、ソフトも充実するべき時期に日本は来ています。財源など建設国債でまかなえば良いです。過去の大きな公共工事の資金など、私たちもそれとは知らず、私たちの税金からまかなわれています。そうでなければ、今日のインフラは存在せず、私たちは、今のような便利な生活を送れなかったことでしょう。大規模な公共工事など、複数の世代間で負担するのが当たり前のことです。あの戦火で焼き尽くされた日本のインフラのほとんどが、過去は建設国債で賄われています。また、そうしなければ、国の発展もありませんでした。しかし、これを過去の普通の水準で実施するようにすれば、デフレなどすぐにも、解消できます。税収も増えます。皆さんは、どう思われますか?




【関連記事】

古谷主税局長 歴史的答弁「デフレ下の増税は税収減らす」−【私の論評】増税などの緊縮財政は、デフレを克服してからの話!! コルセットだって、締めてばかりいては、色気もなにもあったものではない!!








4 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

こんにちは。
Surniversです。

前回は連投してしまってすいませんでした。
確認画面が、今一正確に投稿出来たのか分かりにくかったですので。
消して頂いてありがとうございます。

さて、海外との公共事業費対GDP比率のチャート。
これは素晴らしいですね。
私は国内の公共事業費対GDP比のチャートは作ったのですが、海外との比較を忘れていました。
推移と比較。
鉄則なんですが・・・orz。

ご指摘の通り、日本は、地震、台風、津波、火山、豪雪、黄砂と唯でさえ自然の脅威が沢山あります。
公共事業費は、今の倍であってもおかしくないでしょうにね。
最も、きちんと国民を豊かにする為の設計図を描いて、それに基づいたインフラを作って頂く、と言う前提付なんですけれど。
バブルの時は、設計図が・・・orz。

やびつ さんのコメント...

はじめまして こんにちは
私のブログにコメント頂きありがとうございます。
専門的なご意見で大変参考になりました。
ハードとソフトのお話、本当に同感します。

現代の大手の手法(代表的な例としてマイカル本牧等から)が地方の小さな街にまで20年前くらいから広がって最初の数年は好調ですが次々と新しい施設が増えるのでテナントは撤退、元々の地元の商店はその数年で体力を落とし廃業。
最終的に採算の合わない施設も撤退でその街は空洞化していく姿を見ています。

話題性や一過性の物で荒稼ぎしてサッと引いてしまう大手のやり方は日本を駄目にするでしょうし、高齢化で交通弱者、田舎はバスだって便利に走ってないし今や廃止路線が増える一方。
本来そこに生きる人々は地元で買い物さえできなくなる。
少子化で将来的な需要は減るでしょう。
お金を持っている世代がこれまで稼いでいる上に年金までタップリ貰う。
ワーキングプアな若い世代はその人達(お金持ちの世代)の年金までまかなう訳で、こういった大箱施設が今後も増えたって成り立つ訳がないと思います(勿論、渋谷近辺のリッチな人達が居る事は理解できます。しかし本当のリッチな人達はヒカリエで服を買ったり食事をするような事は少ないと思います)。

ド素人の考えで論点もずれてますがこの施設が長く人気を保つとは思える事が出来ませんでした。

乱文失礼しました。

山田 豊 さんのコメント...

Surnivers様、コメント有難うございます。連投は、私も、どこそかのブログで、3回もやってしまったことがあります。なれないブログだとそうなることもありますから、全く気にしていません。海外との比較で、日本の公共工事の減少がより鮮明にわかると思います。

このようなチャート、民主党の閣僚の方々など、見ては折られるとは思うのですが、きっと、その意味するところが理解できないのだと思います。困ったものです。

最低限、こうしたことを理解できる、背景などを学んでいる人が政治家になっていたたきたいと思います。

山田 豊 さんのコメント...

やびつ様コメント有難うございます。私自身は、このヒカリエの例は、一つの事例として出したというのに過ぎないです。

この論考の中心は、あまりに公共工事が少なくなりすぎたということです。この公共工事が少なすぎるということが、今日のデフレをまねている大きな原因になっているということです。

デフレを前提にものを考える、やひつさんの言っていることは、正しいと思います。

しかし、デフレは、経済の癌とまで、いわれ、異常な状態です。デフレが解消されれば、消費ももっと伸びます。しかし、20年近くデフレを続けてきた日本では、やひつさんのように考える人が多数派になっています。

しかし、このデフレを克服するために、特に政府や日銀には、いままでのやり方をあらためてもらわなくてはなりません。

公共工事総額が、倍増した他国では、20年前と、比較すると、多少のインフレ基調ではありますが、名目でも賃金が二倍になっています。

もし、やびつさんや、まわりの人の賃金が20年前の2倍近くになっいたとしたら、随分変わっていたと思います。

これからも、お気軽にお立ちりください。

経産省が素案公表「エネルギー基本計画」の読み方 欧米と比較、日本の原子力強化は理にかなっている 国際情勢の変化を反映すべき―【私の論評】エネルギー政策は確実性のある技術を基にし、過去の成功事例を参考にしながら進めるべき

高橋洋一「日本の解き方」 ■ 経産省が素案公表「エネルギー基本計画」の読み方 欧米と比較、日本の原子力強化は理にかなっている 国際情勢の変化を反映すべき まとめ 経済産業省はエネルギー基本計画の素案を公表し、再生可能エネルギーを4割から5割、原子力を2割程度に設定している。 20...