2013年11月28日木曜日

増税決定でも動かなかった日銀 12月にも追加緩和の可能性ー【私の論評】異次元の追加金融緩和に、追加財政支出と、15年は10%増税見送り、第三次安倍内閣誕生で日本はやっとデフレから回復できる!(◎_◎;)

増税決定でも動かなかった日銀 12月にも追加緩和の可能性


 黒田東彦(はるひこ)総裁が追加金融緩和に含みを持たせた発言をしたとして、株式市場で話題になっている。これまで消費税増税でも大丈夫と言い続けてきた黒田総裁だが、現在の金融政策では2%のインフレ目標達成は難しいのだろうか。

 内閣府は14日、2013年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値を発表した。その数字自体はそれほど悪いものではないが、その後、内閣府が発表した資料によれば、7~9月期GDP速報値から試算したGDPギャップはマイナス1・3%だった。一応、4~6月期(マイナス1・6%)からマイナス幅が縮小したものの、プラス圏だった06年後半から08年の水準に至っていない。

 なお、GDPギャップは、(現実のGDP-潜在GDP)÷潜在GDPである。潜在GDPとは「経済の過去のトレンドからみて平均的な水準で生産要素を投入したもの」で、経済学での完全雇用・最適資本状態でのGDPでのものとは異なっている。

 筆者は、10月1日に政府が消費税増税を決めた直後に日銀が追加緩和すべきだと思っていた。ところが、日銀は動かなかった。10月3、4日と31日の金融政策決定会合ではいずれも現状維持だった。

 そして11月14日のGDP速報値はそこそこの数字だったが、来年4月からの消費税増税の大ショックに今の景気が耐えうるかどうか、疑問なしとはしないものだった。

 このままでは消費税増税までにGDPギャップが改善されるとしてもせいぜいゼロ程度なので、08年第1四半期の1・8%にも及ばない。GDPギャップがマイナスのままでは、とうていデフレ脱却には至らない。

 そこで、消費税増税になれば、再びGDPギャップがマイナスに転落するのは必至だろう、増税パンチでデフレに逆戻りだ。しかし、まだ日銀は動かなかった。11月20、21日の金融政策決定会合も現状維持だった。

 ここにきて、黒田総裁の「追加緩和もあり得る」との発言は、こうした統計数字から見て、さすがに先行き不安によるものだろう。12月9日には、7~9月期GDPの2次速報が発表される。そこでも1次速報と同じ傾向ならば、12月19、20日の金融政策決定会合では追加緩和をすべきだろう。

 金融政策については、効果ラグがあるために、本格的な効果は2年後くらいであるが、それでも半年や1年先には幾分かの効果が出るはずだ。

 と同時に、政府のほうでも追加補正を検討すべきである。以前の本コラムで書いたように、経済対策は5兆円では足りず、5年で20兆円規模の財政支出が必要だ。そのコラムですでに示したようにそのための財源もある。

 増税の悪影響をやわらげるには、その分の財政支出が必要になる。景気の良くなる前の増税は間違いで、「急(せ)いては事をし損じる」という格言通りの結果になるわけだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】異次元の追加金融緩和に、追加財政支出と、15年は10%増税見送り、第三次安倍内閣誕生で日本はやっとデフレから回復できる!(◎_◎;)
上の高橋洋一氏の論評はもっともなことです。普通なら誰もがこのように思うことでしょう。私も、これに似通った論評をしたことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。

追加緩和、今すぐ必要な状況にない=中曽日銀副総裁―【私の論評】今後永遠に日銀が馬鹿真似をできないようにするため、日銀法を改正して、まともな中央銀行にせよ!(◎_◎;)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、私は増税が決まった途端に、とにかくさらなる金融緩和をすべきことを訴え、すぐに緩和すべきと声明を発表しない、副総裁の発言に危惧の念を抱きました。実は、日銀政策決定委員会は、総裁と副総裁のうちの一人がリフレ派なのですが、リフレ派と半リフレ派が拮抗しています。というより、中曽根副総裁は日銀プロパーであり、この人は、リフレ派なのか、半反リフレ派であるかはっきりしないのですが、もし反リフレ派にまわれば、日銀の金融政策はまた反リフレに大きく舵を切ることになります。

日銀中曽根副総裁
だから、中曽根副総裁の動向には神経を尖らせていました。そんな矢先に、増税が決まった後の中曽根副総裁の発言であったので、「スワっ!日銀また逆戻りか?」と日銀の動向に疑念を抱いてしまいました。そうして、増税後には、さらなる金融緩和は、絶対にすべきだし、それを確実にするために、日銀法は絶対に改正すべきとの趣旨でこの記事を掲載しました。この記事の結論部分の要旨だけ以下にコピぺさせていただきます。
それにしても、過去の日銀は、20年間も判断ミスばかりが続いたわけです。今の黒田体制は、今のところまともな金融政策を実施していますが、これとてどうなるかはわかりません。日銀の金融政策決定委員会が、おかしげな金融政策を決定するようになれば、またまた、異常な金融政策に逆戻りです。特に、来年の4月からは、増税が決定しました。増税は、緊縮財政の一環であり、デフレの最中には絶対に実施すべきものではありません。
しかし、実施されてしまうことに決定されてしまったわけですから、日銀としては、少しでも経済の落ち込みを避けるために、さらなる金融緩和を実施すべきです。こんなときに、金融緩和しないとか、逆に金融引締めなどやられたら、大変なことになります。そうなれば日本は、またデフレ・スパイラルの底に深く沈みこむことになります。そんなことは、断じてさせるわけにはいきません。
であれば、日銀の金融政策をまともにするため、日銀法を改正して、諸外国と同じように、日銀の独立性を、政府の金融政策に従い、専門家的立場から自由に方法を選ぶことができるというものに変更すべきです。そうなれば、少なくとも安倍政権下においては、日銀はいやいやながらも、金融緩和をせざるをなくなると思います。
 過去20年の日銀悪夢を繰り返さないように、近いうちに必ず日銀法を改正して日銀の独立性を世界水準のまともなものにすべきです。そうして、増税が決まってしまった今は、さらなる金融緩和および、上で高橋洋一氏が提唱する、最低限5年間で20兆円の財政支出を行うべきです。 私は、100兆円規模の支出を行っても良いと思います。そうして、国民所得を増やして、一刻もはやくデフレから脱却して、政府の税収を増やすべきです。

都営地下鉄の一体化では馬鹿の壁をやぶった猪瀬知事だったが?
来年から増税した場合、当然デフレからの脱却から遠のくのは、はっきりしています。どう考えても来年4月からの増税は間違いです。デフレの最中の増税などというこは、本来絶対あってはならないことです。安倍総理は、アベノミクスの提唱者です。その安倍総理自身が、増税はせっかく金融緩和の腰をおることは、自民党内の誰よりも知っているはずです。しかし、自民党内のほとんどが増税派であり、それも心底そう信じる馬鹿者揃いであることから、安倍長期政権を狙うためには、今の時点では妥協せざるを得なかったのだと思います。

日本が今後、デフレから確実に脱出するためには、さらなる異次元の追加金融緩和に、追加財政支出と、15年は10%増税見送り、そうしてしゃにむに第三次安倍内閣誕生させることです。これ以外に来年からの増税が決まってしまった日本に早期デフレ脱却の道は残されていません。

来年になれば、様々な統計資料から、来年4月からの増税は間違いだったことが明々白々になります。このエビデンスをもって、上の主張が正しいことを訴え、世論を形成していきたいものです。理をもって説得すれば、いかにマクロ経済に疎い自民党の馬鹿多数派議員どもも、いずれはこのことを理解するようになると思います。理解しなければ、自民党崩壊にも、つながりかねません。いつまでも、馬鹿の壁を積み上げるようなことは許されることではありません。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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